IS -インフィニット・ストラトス- if   作:人食いムンゴ

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4月10日 朝

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セシリアとの対決の日、この一週間箒には着ききっきりで稽古してもらったが、結局ISのことに関してはまるっきり教えてもらっていなかった。

 

まずそれが不安要素 その1だ。

 

 

実戦的練習はなかったし、知識に関しては多少なりとも教えてもらったが未だに謎な部分が多すぎる。

体力に関しては多少ついたとは思う。

 

そして、不安要素 その2

 

千冬姉が言ってた、専用機『白式』がギリギリで届いた。

初めて触る機体に不安は募る。

 

そんな不安要素を抱えながらいざ、出陣。

箒や千冬姉、山田先生にも激励を貰ってやる気は上がった。

 

おぼつかない操作で、フラフラと安定しないまま待っているセシリアの元へ向かった。

 

「あら、逃げずに来ましたのね」

 

相変わらずな感じ。

戦闘を開始したら向こうは遠距離武器をメインとする戦術で苦戦を強いられた。

俺の武器は刀だ。近づかななきゃ、攻撃は当てられない。完全に分が悪い、不安要素は的中した感じだ。

それに、代表候補生の動きはすごい。自分で『ブルーティアーズと奏でる円舞曲(ワルツ)で』というだけある。

 

一方的にやられていたずらにシールドエネルギーが消費していったが、『白式』が一次移行(ファースト・シフト)とやらに移行してから運動性能が飛躍的に上昇した。

なんか自分の体に馴染んだ感じ。

刀も『雪片弐型』と言われる千冬姉が使ってた雪片と同じ名前を持った武器に変わり、がむしゃらで立ち向かった。

 

ブルーティアーズのビットを全て破壊した辺りで、セシリアに隙が出始めていた。

 

チャンスは今しかないと思い、刀を振り上げてセシリアに向かった。

その瞬間に、セシリアは酷く怯えていた。

顔は強ばり、体は震えているようにも見えた。

 

いくら決闘とは言え、怖がっている女子に俺は刀を振り下ろすことが出来なかった。

 

だから、俺は振り上げた刀を止めて勝負を放棄した。

まぁ放棄したと同時にエネルギー切れになっちまったわけだが…

 

 

『試合終了 勝者セシリア・オルコット』

 

 

負けたのは仕方ない。

 

だけど、アリーナ内で流れきたブザー音と放送を無視するかのようにセシリアは俺に向かって銃を打ち続けてきた。

ふざけてる様子でもない。

 

 

「わ、わたくしは…ま、負けるわけには!!」

 

 

ダメだ。全然聞いてないのか───。

 

 

「わたくしは!わたくしはーーー!」

 

 

怖さを殺すために興奮状態というか混乱状態というか全然周りが見えてない状況。

 

なら、助けるしかないよな。

今、この状況でセシリアを助けれるのは俺しかいない。

 

もちろんセシリアを助けに向かったときに戻れ!という声も聞こえた。

そりゃそうだ。エネルギー切れの状態で攻撃を受ければシールドエネルギーはないので体へダメージが入る。

 

わかったのは承知の上で突っ込んだ。

セシリアは叫びながら撃ってきている。

攻撃の正確性は、落ちない。代表候補生恐るべし。

 

なんとかセシリアに近づいて、咄嗟の判断で抱きついた。

向こうも驚いてたし、俺自身も驚いた。

なんでこんな行動に出たのやら、とりあえず必死に説得した。

抱きついてるだけじゃ理由にならないからな。

 

セシリアも我に帰るような感じで、落ち着きを取り戻し一件落着。

 

ちょっと接近する際に左腕と右足に被弾したが、まぁ痛いのは慣れっこだ。

 

セシリアは俺に謝って、去っていった。

普段、高圧的かつ蔑視した態度をとっていた姿とは違い、彼女のおどおどとした意外な一面を見れたから許した。

可愛いは正義だな。

 

抱きついたことに関しては、箒からこっぴどく言われてたけど、許してもらえたとは思う。多分。

 

 

 

にしても、抱きついて説得してるときは必死だったからあまり考えてなかったけど俺、あんな美少女を抱きしめたんだよなぁ───。

 

セシリアのことを思いだし、

 

……セシリアの体つきも良いなぁ

箒程じゃないけど充分実った胸!

スレンダーな腰つき!

柔らかそうなお尻!

はぁー…。

 

余韻に浸っていた。


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