Life Will Change   作:白鷺 葵

25 / 57
【諸注意】
・各シリーズの圧倒的なネタバレ注意。最低でも5のネタバレを把握していないと意味不明になる。次鋒で2罪罰と初代。
・ペルソナオールスターズ。メインは5、設定上の贔屓は初代&2罪罰、書き手の好みはP3P。年代考察はふわっふわのざっくばらん。
・ざっくばらんなダイジェスト形式。
・オリキャラも登場する。設定上、メアリー・スーを連想させるような立ち位置にあるため注意。
 @空本(そらもと) (いたる)⇒ピアスの双子の兄で明智の保護者その1。武器はライフル、物理攻撃は銃身での殴打。詳しくは中で。
 @獅童(しどう) 智明(ともあき)⇒獅童の息子であり明智の異母兄弟だが、何かおかしい。獅童の懐刀的存在で『廃人化』専門のヒットマンと推測される。詳しくは中で。
・歴代キャラクターの救済および魔改造あり。
・一部のキャラクターの扱いが可哀想なことになっている。特に、『普遍的無意識の権化』一同や『悪神』の扱いがどん底なので注意されたし。
・アンチやヘイトの趣旨はないものの、人によってはそれを彷彿とさせる表現になる可能性あり。他にも、胸糞悪い表現があるので注意してほしい。
・ハーメルンに掲載している『運命を切り開くだけの簡単なお仕事』および『ペルソナ3異聞録-.future-』、Pixivの『2周目明智吾郎の災難』および『【一発ネタ】有栖川黎の幼馴染』の設定を下地にし、別方向へ発展させた作品である。
・ジョーカーのみ先天性TS。
 ジョーカー(TS):有栖川(ありすがわ) (れい)⇒御影町にある旧家の跡取り娘。旧家制度は形骸化しているが、地元の名士として有名。身長163cm。
・歴代主人公の名前と設定は以下の通り。達哉以外全員が親戚関係。
 ピアス:空本(そらもと) (わたる)⇒明智の保護者2で、南条コンツェルンにあるペルソナ研究部門の主任。
 罪:周防 達哉⇒珠閒瑠所の刑事。克哉とコンビを組んで活動中。ペルソナ、悪魔、シャドウ関連の事件の調査と処理を行う。舞耶の夫。
 罰:周防 舞耶⇒10代後半~20代後半の若者向け雑誌社に勤める雑誌記者。本業の傍ら、ペルソナ、悪魔、シャドウ関連の事件を追うことも。旧姓:天野舞耶。
 ハム子:荒垣(あらがき) (みこと)⇒月光館学園高校の理事長であり、シャドウワーカーの非常任職員。旧姓:香月(こうづき)(みこと)で、旦那は同校の寮母。
 番長:出雲(いずも) 真実(まさざね)⇒現役大学生で特別調査隊リーダー。恋人は八十稲羽のお天気お姉さんで、ポエムが痛々しいと評判。
・敵陣営に登場人物追加。
 @神取鷹久⇒女神異聞録ペルソナ、ペルソナ2罰に登場した敵ペルソナ使い。御影町で発生した“セベク・スキャンダル”で航たちに敗北して死亡後、珠閒瑠市で生き返り、須藤竜蔵の部下として舞耶たちと敵対するが敗北。崩壊する海底洞窟に残り、死亡した。ニャラルトホテプの『駒』として魅入られているため眼球がない。この作品では獅童正義および獅童智明陣営として参戦。但し、どちらかというと明智たちの利になるように動いているようで……?
・「2罰ボスの外見を見た人間の反応」に関するねつ造設定がある。
・普遍的無意識とP5ラスボスの間にねつ造設定がある。
・『改心』と『廃人化』に関するねつ造設定がある。
・春の婚約者に関するねつ造設定と魔改造がある。因みに、拙作の彼はいい人で、春と両想い。
・すべてオリジナル展開。
・屋根裏部屋の内装が女性らしくなっている。
・R-15。


死線
最後の祈りが紡いだ、奇跡みたいな世界で


 冴さんの狂気は日に日に加速していく。同時に、おぼろげながらにも明らかになってきた“怪盗団捕縛作戦”の内容――そのほんの一部に、僕は頭が痛くて仕方がなかった。

 

 奥村社長『改心』における騒動以来、怪盗団の人気は地に落ちた。代わりに台頭してきたのが現職大臣である獅童正義だ。一応奴の庇護を受けている明智吾郎の人気もじりじりと上昇しつつあった。まあ、僕の人気なんぞどうでもいい。大事なことは、“怪盗団がカルト集団であると認知され、それに対抗できる人間がいることが明らかになった”ことだ。

 現在、奥村社長の護送を成功させた警察関係者――周防刑事、達哉さん、真田さんに対し、警察や検察は目をつけている。検察上層部は、彼らを怪盗団捕縛の切り札になり得る人物だとみなしている様子だ。その繋がりで、桐条グループのシャドウワーカーや南条コンツェルンの特別研究部門も巻き込まれかかっているという。

 大人たちから『新島検事に脅されたが、自分たちが関わってきた事件に関してはどうにか誤魔化しておいた』というメッセージが次々に入ってくる。“国家権力をどこまで掻い潜ることができるか”――それが勝負の分かれ目だと語っていた大人たちは、酷く疲れ切った様子だった。

 

 一歩間違えれば、僕が一番尊敬できる大人たちが、冴さんを介した獅童の駒として引っ張り込まれる危険性がある。獅童の権力的にも、それは不可能なことではない。

 権力者が味方にいると心強いが、逆はあまりにも厳しかった。おまけに、精神暴走状態の冴さんの狂気を見続けたせいで、僕は現在、精神的に厳しい状況に陥っている。

 

 ……けど。

 その分、収穫がなかったわけではない。

 

 

「ここが、冴さんのパレス……」

 

 

 厳かな裁判所が認知世界では一転し、絢爛豪華なカジノが広がっている。冴さんと所縁がありそうな場所と、最近の冴さんの言動――勝負を決める、勝つ――から勝負事に関する場所を次々と羅列した結果、パレスの場所へと行きついたのだ。

 冴さんの認知存在たちはみな遊戯に興じている。ダイス、スロット、ルーレット、トランプゲーム……賭け事ならば何でもありだ。誰も彼もが勝負に勝つことだけに拘りを見せている狂気的な世界。今の冴さんの状況と一致している。

 僕は姿を隠しながら偵察した。最も、僕1人での潜入捜査には限界があり、メインフロアやバックヤードの入り口近辺のような“シャドウが出てこない、いても少ない区域”を中心に見て回ることしかできなかった。僕では把握しきれなかったが、どこかには別棟へ行くための道もあるようだ。

 

 奥に行けば行くほど警備は厳重になる。他の道を探して潜り込むこともできるが、今回の任務は偵察だ。深追いしてシャドウに嬲り殺されるなんてマヌケは曝したくない。

 最悪のケースを上げるとするなら、僕1人で神取や智明と鉢合わせした場合だろう。みんながいれば対応できるかもしれないが、この状況では確実に死が待っている。

 

 

(今回の探索はこれくらいで切り上げるか)

 

 

 自力で見つけ出したセーフルームで一息ついた後、僕は入り口へ戻って来た。後はこのまま、イセカイナビを起動して現実世界へと帰るだけ――

 

 

「――随分と、楽しそうだな」

 

 

 ()()()()()()()()()()。何の事前動作もなく、僕は反射的にそう感じた。体は縫い付けられてしまったかのように動かない。

 嫌な汗がこめかみを伝い落ちる。心臓が早鐘のように音を響かせた。自分の呼吸音がやけに大きく響く。鋭い殺気が体中に突き刺さってきた。

 口を開いたが声が出ない。掠れた呼気が漏れるだけ。この感覚を覚えている。――そうだ。鴨志田の『改心』を待っていた時期、交差点で、背後から俺を突き飛ばした相手。

 

 

「怪盗団の密偵、『白い烏(クロウ)』として過ごす日々は、さぞや充実していることだろう」

 

 

 じゃあ、ここにいるのは。

 ここで、俺の後ろに立っているのは。

 

 

「多くの人々を『改心』させ、一片の汚れ無きその手で力を振るい、正義の義賊として光に満ち溢れた道を往くピカレスクロマン……。愛する者、信頼する仲間、尊敬する嘗ての“反逆の徒”たちに囲まれる旅路とは、なんとも幸福な物語だ」

 

 

 そいつは楽しそうに、楽しそうに言葉を紡ぐ。身体が動かないため振り返って確認することはできないが、きっと奴は笑っているのだろう。

 

 とん、と、肩を叩かれた。声色はどこまでも優しいのに、その響きはどこまでも残忍だ。

 背後に立つ存在から紡がれる言葉一音一音が、明智吾郎という存在そのものを侵していく。

 

 

「――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 ぞくり、と、悪寒が背中を駆け抜ける。なのに、身体の奥底は異様に熱を持っていた。俺の中にいる“何か”が、引きつったような声を上げて首を振る。

 “何か”にとって、そいつが告げる言葉は凶器になり得たのだろう。人の心を傷つけるのには、直接暴力を振るうよりも言葉の方がお手軽だし、効果的だ。

 そいつは楽しそうに笑っている。……いいや、嗤っている。明智吾郎が怯えている姿を見ることが、楽しくて楽しくて仕方がないと言わんばかりに。

 

 

「一色若葉、秀尽学園高校の校長、奥村邦夫」

 

「……ッ!?」

 

()()()()()()

 

 

 違う、という言葉が出てこなかった。()()()()()()()()()()――強い脅迫概念が湧き上がる。体が戦慄くようにして震えだし、頭を殴られるような衝撃と共に、俺の意識は一瞬白んだ。

 

 『■■、愛しているわ』――『娘へ愛の言葉を残して死にたい』と言った女がいた。女が最後に紡いだ娘の名前は、何と言ったか。

 『やめてくれ! こ、殺さないでくれェ!!』――恰幅がよく山吹色のスーツを身に纏った男は顔を真っ青にした。彼はどの高校の校長だったか。

 『私の、ユートピア……』――敵対者を陥れるために殺したスケープゴート。楽園を夢見て死んでいった会社社長は何という名前だったか。

 

 そこで気づく。はて、俺はいつの間に、拳銃を握り締めていたのだろうか。

 敵もいないし、パレスから脱出するだけの状態だったのだ。武器を出す理由はない。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 四方八方から命乞いが響いた。銃声が響き、何かがが倒れるような音がする。白んだはずの世界が、今度は黒くなりかかった。

 次の瞬間、怪盗服の白装束が真っ赤に染まっていくではないか。生温かくてぬめりを伴うその液体が何か、俺はよく知っている。

 知っているが故に愕然とした。そのとき、どさりと何かが倒れる音と、俺の足元に小さな衝撃を感じる。そこに視線を向けて、絶句した。

 

 

「――黎?」

 

 

 秀尽学園高校の制服を身に纏った少女――有栖川黎が倒れ伏している。黎は至近距離から脳天を撃ち抜かれており、どこからどう見ても即死だった。体中の血液が温度を失ってしまったような感覚に見舞われる。

 なんで、どうして。どうして、彼女が。喉の奥底から掠れた声が漏れる。何かを言いたくて口を開いたはずなのに、その音は何の意味もなさなかった。辛うじて俺が紡げた意味のある言葉は、倒れ伏して動かなくなった黎の名前だけ。

 

 ずきりと頭が痛んだ。フラッシュバックするのは、完全密室と化した取調室。

 

 散々痛めつけられ、自白剤を打たれたというのに、“あの子”の瞳から輝きは失われていなかった。自分は間違っていないと、仲間たちや協力者たちを守るという決意が宿る。文字通りの自己犠牲。()()()()()()()()()()()()()!

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 “あの子”の人生を知っている。獅童正義によって冤罪を着せされ、前科者のレッテルを張られたせいで人生を滅茶苦茶にされた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

 

 

「なん、で」

 

 

 ――殺す? 俺が、黎を? 自分の頭の中を支配した思考回路にゾッとした。

 

 どうして俺がそんなことしなきゃいけないんだ。明智吾郎にとって、有栖川黎はこの世で1番大切な女性(ひと)だ。最高の相棒(パートナー)にして、かけがえのない人生の伴侶(パートナー)。そんな大切な人を、何故殺さなければいけないんだ。

 俺が持っていたはずの銃は、いつの間にかデザインが変わっていた。確か、この銃はニューナンブと呼ばれるもので、警察官が携帯する銃だった。俺が認知世界で使用していた銃とは全くの別物で、おまけにどうしてか俺は、その質量は本物だと直感していた。

 銃口から細い煙が漂う。倒れ伏した黎は、俺が持っていた銃を――ひいては俺を見つめたまま死んでいる。その様が、彼女が最期に見ていた景色――あるいは、最期に見ていた人物が誰なのかをはっきりと伝えていた。探偵として推理するまでもない。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なに、言って」

 

()()()()()()()()――それが、お前のすべてだった。お前が生きる理由であり、罪を犯して正当化するための御旗だった。けれど、本当のところは違う。怨嗟の奥に隠した願いは、()()()()()()()()()()()()()()()()。叶わないと知っていたからこそ、お前はそれを隠し続けた」

 

 

 俺には一切の身に覚えがない。けれど、()()()()()()()()()()()()()()と本能的に理解してしまう。

 俺は、それが俺の思考回路ではないと自覚していた。自覚しているはずなのに、飲み込まれてしまいそうになる。

 

 誰かが膝をつく音が聞こえた気がして視線を向ける。“何か”が顔を真っ青にしていた。暴かれたくなかった罪を白日の下に晒されたとでも言わんばかりの表情だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()――“何か”は絶望したのか、がっくりと項垂れていた。

 

 そこで俺は直感する。俺の背後に立って残酷にささやくそいつは、俺のことを言っているのではない。俺の中にいる“何か”に対して、今までの言葉を投げかけていたのだと。今まで俺を突き動かし、時に振り回してきた、感情の要となる存在へ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、“()()()()()()()()()()()()――“何か”の悲鳴に、俺の思考回路が塗り潰される。

 断続的に映るのは、多くの人々を手にかけてきた“何か”の姿。醜悪に笑いながら銃の引き金を引き、時には無表情でビームサーベルを突き立て、認知世界で罪を犯してきた。獅童正義の忠実な『駒』として、『よくやった』という短い賞賛――肯定の言葉を聞きたいばかりに、罪を重ねてきた。

 

 誰よりも獅童正義を憎みながらも、その実、誰よりも獅童正義に認められたかった。誰よりも、父親からの愛情を欲していた。

 一番役に立つ腹心として認められたくて、自慢の息子として愛してもらいたくて、がむしゃらに頑張って来たのだ。頑張ってしまった。

 

 

(そんな未来も、あったのか)

 

 

 今まで想像できなかった未来があった。俺では絶対に思いつかない人生を歩んだ明智吾郎がいた――その事実は、すとんと俺の中に落ちてきた。……だって、世の中には“珠閒瑠市以外のすべての国と町が滅んだ世界”だって存在しているのだ。俺個人のレベルならば、こんな未来/人生があっても何らおかしくはない。

 至さんや航さんに引き取られることも、黎と出会うことも、格好いい大人たちの背中を見ることもなく。怪盗団の仲間としてみんなと歩むこともなく、実父である獅童正義だけが世界の中心だった。その他の人間たちは、明智吾郎にとっての『駒』にすぎなかったのだ。自分のために効果的に使い潰す方法を考えていた。

 “何か”が初めてジョーカーと出会ったとき、“何か”はもう既に、血と罪に彩られた汚い手をしていた。何も知らないジョーカーを嘲笑い、自分が勝者になるために使い潰そうとして近づいた。爽やかな好青年の仮面をかけて近づいた“何か”に対して、ジョーカーは快く対応してくれた。手を差し伸べて、握り返す。

 

 同年代は流されるがままの人間が多い中で、揺らぐことのない真っ直ぐな眼差しに惹かれた。どんな状況下にあっても、自分の意見を相手にぶつけられる強さに惹かれた。

 誰かの為に奔走し、誰かの為に嘘をつく――“何か”とは正反対の在り方に魅せられた。正義の義賊として認知世界を駆け抜ける、大胆不敵な笑みに魅せられた。

 

 

『おかえり』

 

『ただいま』

 

 

 誰に対しても、ジョーカーは優しい。優しさや自己肯定に飢えていた“何か”は、いつの間にか、そんなささやかなやり取りに救いを感じていた。幸福を感じていた。――ジョーカーと共に過ごす時間を、何よりも気に入っていた。

 

 他者から何を思われようと、どんな理不尽に晒されようとも、自己を曲げない強さを持つ者。その在り方は多くの人々を惹きつけてやまない。“何か”もまたその1人であると同時に、ジョーカーの在り方に羨望を抱きながらも、そう在れるジョーカーを憎んでやまなかった。

 優しくされて嬉しかったのは本当。優しくされる度に惨めになったのも本当。ジョーカーに憧れていたのも本当。ジョーカーに救われていたのも本当。ジョーカーが憎くて仕方がなかったのも本当。ジョーカーを殺したいと思ったのも本当のことだった。

 

 『もっと早く出会えていたら一緒にいられたのに』と思ったのも、本当だ。あの優しくて温かくて、賑やかで騒がしい場所にいたかったのも、本当だ。

 でも、自分はあの場にいられないと分かっていた。本当の自分を――汚い殺人犯である自分を見たら、ジョーカーも怪盗団も、きっと失望して離れていく。

 “何か”は目的のためなら自分の手を汚すことも厭わないくせに、そんな自分自身のことが何よりも嫌いだった。消えてしまえと願うくらいには。

 

 

「――()()()()()()()()()()()()

 

 

 血に塗れて崩れ落ちた“何か”と俺を蔑むように、奴は笑う。

 その声はどこまでも優しいのに、残忍で、残酷だった。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 その言葉を最後に、俺はようやく解放された。俺を縫い止めていた殺気は拡散し、身体がふらりと傾く。カジノ入り口にある柵に背を預けた俺は、そのままずるずると崩れ落ちるようにして座りこんだ。

 肺が痛い。俺の身体は酸素を欲しているはずなのに、息を吸う度に息苦しさを覚える。嫌な汗がじっとりと流れ、前髪が顔に張り付いてうっとおしい。俺は乱暴に前髪を掻き揚げ、ちらりと“何か”に視線を向けた。

 “何か”は途方に暮れている。よく見れば、手も、服も、顔も、仮面も、鮮血によって濡れているではないか。しかも、それらすべては“何か”が負った傷が原因の出血ではない。今まで“何か”が手にかけてきた人々の返り血である。

 

 汚い。汚い、汚い汚い、汚い。

 

 こんなに汚い手で、“あの子”の手を取るなんてできない。やってはいけない。“あの子”まで汚れてしまう。

 それ以前に、こんな汚い俺を、“あの子”が好いてくれるはずがない。必要としてくれるはずもない。

 

 

(()()()()()()()……)

 

 

 ほの暗い水底に沈んでいくように、俺の思考回路はそれで一杯になってしまった。ずるずると、身体も心も引きずり込まれていくような感覚に見舞われる。このまま沈んで、永遠に浮上できないのではないだろうか。

 

 俺がそんなことを考えたとき、ふと左手に嵌めていた手袋がなくなっていることに気づく。必然的に、左手薬指に嵌められた指輪が目に入った。

 黎が俺にくれたコアウッドの指輪。ハワイではお守りとして有名な品物であり、俺と共に生きる未来を手にするのだという黎の決意の証だ。

 

 脳裏に浮かんだのは、俺が黎へ贈ったブルーオパールの指輪である。彼女と共に生きるという決意の証。

 ここで折れるということは、俺自身の決意を裏切り、黎を裏切ることに他ならない。

 明智吾郎は有栖川黎を裏切りたくないのだ。その一心で、俺はかぶりを振った。塗り潰されかかった意識が急速にクリアになっていく。

 

 

「……っは、……はー……」

 

 

 荒れていた呼吸を落ち着かせると、俺の呼吸に連動するかのように“何か”がゆっくりと顔を上げた。その眼差しは、天へ向けられている。

 

 水底から水面を見上げ、その先にある太陽に焦がれるように。本当は手を伸ばしたいくせに、それには触れられないと諦めているようだった。

 もしかしたら、“水面の上にある綺麗な存在には触れてはいけない”と己を戒めているのかもしれない。変な所でプライドが高く潔癖な奴だ。

 気持ちは分からないまでもない。俺もまた、“何か”と同じだから。……そう、“何か”の正体は――

 

 

「お前()、……いや、お前()、『明智吾郎』なんだな?」

 

 

 “何か”――いや、“俺”はびくりと肩を震わせた。“俺”は顔を覆い隠し、逃げようと身じろぎする。だが、先程俺の背後に立った人物から突き立てられた言葉のナイフによってボロボロになっていたらしい。

 “俺”はそのまま派手にすっ転んだ。小さく悲鳴を漏らした“俺”は、忌々しそうにこっちを睨み、舌打ちし、そのまま途方に暮れたように項垂れる。“俺”はゆるゆると首を振った後、口を開いた。

 

 

―― ……ああ ――

 

 

 “俺”はそれだけ言った後、口を噤んだ。俺に背中を向けて、梃子でも喋らぬと態度で示している。“奴”が座っているフロアは、バケツをぶちまけたみたいに濡れていた。

 どす黒い赤は血液だ。今まで手にかけてきた人たちのものであり、“俺”の体中にべったりと付着している血液と同じものだろう。“俺”は居心地悪そうに視線を彷徨わせていた。

 俺は深々とため息をつくと、無理矢理体を起こして“俺”の元へ近づいた。()()()と、“奴”は悲鳴に近い声を上げて警告する。ふと気づけば、俺の怪盗服は真っ白になっていた。

 

 一点の汚れもない、真っ白な服。これはきっと、獅童に復讐するために転がり落ちるような人生を駆け抜けた明智吾郎が、自分の本当の理想――明智吾郎が望む正義の味方を形にした姿なのだろう。そんな明智吾郎の真実の姿が、俺から離れようと身じろぎしつつ、力なく首を横に振る“俺”の姿なのだ。罪と血で彩られた、闇を這いずり回る殺人犯。

 

 俺の人生は、“奴”の人生と全然違う。尊敬できる大人たちがいて、大切な女性(ひと)と運命的な出会いを果たし、怪盗団というかけがえのない仲間たちと共に光溢れる道突き進んでいた。これから先の道のりも、ジョーカー/有栖川黎と共に歩むのだろう。“奴”が時折思い浮かべては、首を振って諦めた可能性の1つ。

 誰も手にかけなければ、もっと早い段階でジョーカーと出会うことができたら、自分の周りにまともな大人がいてくれたら――俺の運命を劇的に切り替えてきたすべての要素を拾い集めれば、“奴”にとって俺がどのような存在なのかを察することは可能だ。――“奴”が理想にしていた明智吾郎の姿であり、“奴”の希望そのもの。

 

 

「まったく、世話が焼けるなぁ」

 

 

 俺は深々とため息をつき、迷うことなく“俺”へと歩み寄る。“俺”は相変らず()()()を連呼し続けていたが、全部無視した。

 白地の服には赤が映える。血で汚れれば目立つだろう。分かっていて、俺は奴の手を掴んだ。そのまま無理矢理引きずるようにして立たせる。

 

 

―― お前……お前、なんで ――

 

「何が?」

 

―― 汚れるだろうが!! ――

 

 

 “明智吾郎”がなりたいと願った理想の姿――義賊の仮面。ジョーカーと過ごした日々同様、それは汚したくなかったのだろう。“正義の味方になりたかった”というささやかな願いと同じように。

 

 

「構うもんかよ」

 

―― はぁ!? ――

 

「お前、ずっと俺と一緒にいたんだよな。じゃあ、俺がなりたい正義の味方がどんなもんか、俺が憧れてきた人たちの背中がどんなもんか、知ってるはずだろ」

 

 

 自他の血反吐に塗れても、『神』によってボロ雑巾のように弄ばれても、痛む四肢を引きずって立ち向かおうとする“反逆の徒”。罪と血に彩られて苦しむ人々に対して迷いなく手を差し伸べ、時にはその人物の背中を蹴っ飛ばし、時にはその手を無理矢理掴んで引っ張り出す。自分が相手の血で汚れようとお構いなしだ。

 俺の周囲にいた人々の温かさを思い返す。眩しさに目が眩みそうになったのは、“俺”がその温かさに対して強い罪悪感を抱いていたからだ。闇の道を進んできた自分が、あんな温かな場所で救いを貪っていいわけがないのだと。ひねくれた方面で矜持があり、高潔なことが祟って、こんなに面倒な奴になってしまったのだろう。

 自分の復讐を考えてきた利己主義者のくせに、どうして“彼”は自分の幸福を考えることができなかったのか――その答えを垣間見たような気がして、俺は苦笑した。苛立ち紛れに睨まれている気配を感じ取る。そんな“彼”を、俺は真正面から見返した。“彼”は目を丸くし、ぱちくりと瞬きしながらこちらを見返す。

 

 

「一緒に来い。俺に“お前”の力を貸せ」

 

―― お前、何言って…… ――

 

「その代わり、“お前”の願いを――“ジョーカーのパートナーになりたかった”という“お前”の願いを叶えてやる。……俺には、“お前”の力が必要だ」

 

 

 獅童正義の主義主張は等価交換(ギブアンドテイク)。“明智吾郎”が奴の影響を強く受けた場合、主義主張に等価交換(ギブアンドテイク)を掲げてもおかしくはないだろう。“奴”は俺のことを『頭がお花畑』と言ったレベルなのだから、あり得ない話ではない。

 “俺”は呆気にとられた様子で俺のことを見返す。“奴”は口をパクパク開いては閉じてを繰り返していたが、揺らがない俺の眼差しを受けて、色々と思うところがあったらしい。“奴”は肩をすくめ、ため息をつく。俺に挑みかかるような、嘲るような眼差しを向けてきた。

 

 

―― 壊すだけしかできない奴の力を借りて、どうしようってんだ? ――

 

「決まってんだろ? ――壊すんだよ。クソったれた『神』が定めた運命を」

 

 

 『神』の気まぐれで人形にさせられて、理不尽な目にあわされた人たちを知っている。そのせいで、命を落とさなければならなかった男のことを知っている。そのせいで、理不尽や異形と戦い続けることになった“反逆の徒”を知っている。

 

 「顕現してさえいれば、神様は殴れる」――俺の言葉を聞いた“明智吾郎”は呆気にとられた。その様に俺は違和感を覚える。何故なら“奴”はずっと俺の中にいて、その光景を見つめ続けて来たはずなのだ。俺にとっては常識的なことでも、“奴”にとっては非常識だったらしい。

 御影町の事件ではどさくさに紛れて至さんがフィレモンをぶん殴るのを見たし、珠閒瑠市では大人たちがニャルラトホテプをぶっ飛ばしていたのを見たし、巌戸台ではニュクスとの実質13連戦に勝利した命さんたちの勇士を見たし、八十稲羽ではイザナミを降した真実さんを見ていたはずだ。

 ソースはこんなにあるのに、それを信じられないというのは不思議な話である。ついうっかり「“お前”頭大丈夫?」と問えば、“奴”は「お前の頭の方が心配だよ!」と噛みつくような声で唸った。そんなことを言われたって困る。余りにも腹立たしかったので、俺は言葉を続けた。

 

 

「そして何より、俺の大事な人たちを傷つけようとする、ありとあらゆるものすべてを壊すために」

 

―― 成程。守るために壊すだって? イカれてるな、お前! ――

 

 

 暫くぴーぴー騒いでいた“明智吾郎”だが、最終的には観念することにしたらしい。

 “奴”は深々とため息をつき、「馬鹿な奴」と嗤った。その瞳は、嬉しそうに細められている。

 

 

―― 俺を連れて行くってんなら、背負ってみせろよ。お前にとっては“謂れなき罪”だ。これを持ち続ける限り、“理不尽な罰”も下るだろう。それでも、背負う覚悟はあるか? ――

 

「ある。その代わり、“お前”も一緒に背負って連れて行く。……見せてやるよ、“お前”が見たかった景色を」

 

―― ……ハッ。ホント、馬鹿な奴だな ――

 

 

 吐き捨てるような言葉遣いとは裏腹に、嬉しそうに笑いながら、“奴”は俺に手を伸ばす。俺は奴の手を取った。――刹那、強い風が吹き荒れる。

 在るべきものが在るべき場所へ帰ってきたような感覚に、俺は思わず息を吐く。本当の意味で、“明智吾郎”は俺の中へ還ってきたのだ。

 胸の奥底から湧き上がってくるのは、“彼”の帰還によって顕現した新たな力だ。青い光がきらきらと舞い上がる。

 

 

―― (おれ)(おまえ)(おまえ)(おれ)。……見せてくれよ、“俺”が諦めた全てを ――

 

 

 “明智吾郎”の姿に、黒い縞模様のペルソナが重なる。神話におけるトリックスターの1柱、ロキ。

 

 命さんや真実さんが使うペルソナにもロキがいたが、それとは姿形が全然違った。褌マントという奇特な格好をした美丈夫ではなく、破滅を齎す異形としての側面が強い。

 ロキ――“明智吾郎”は楽しそうに笑うと、青い光の玉になって俺の仮面の中に入り込んだ。ジョーカーがシャドウを仮面に宿していくのと、非常によく似ている。

 

 ロキが持つ本来の力は、対象者に精神暴走を引き起こすためのもの。一応本来の力も使えるが、俺にはそれを自在に振るう適性はない。その力は、俺が“明智吾郎”を受け入れたことと、俺が歩んできた旅路によって力が変容したことの影響らしい。新たな力を振るう機会はいずれ訪れそうな予感がした。

 俺が身纏っている服装は、いつも身に纏っている真っ白い怪盗服のままだ。“俺”が纏っていた怪盗服――甲冑を連想するような黒仮面、およびストライプ前身タイツに焼け焦げたような燕尾マント――になることはない。ジョーカーが仮面を付け替えても、格好が変化しないのと同じ理由だろうか?

 

 

―― “俺”は“偽りの仮面”としてその白い怪盗服を身に纏ってた。でも、お前が身に纏っている怪盗服は名実ともに“お前にとっての真実の姿”だからな。“俺”のような格好に変化する必要がないってことだ。お前から見れば、“俺”はあり得たかもしれない可能性の1つでしかないからな ――

 

「だから、俺の怪盗服は白装束のままなんだな……。分かった」

 

 

 先程よりも幾分か調子がよくなったように思える。俺は清々しい気持ちで――離れていたものがようやく戻ってきたような心地で、絢爛豪華なカジノを後にした。

 イセカイナビが案内の終了を告げる声が響く。現実世界において、ここは裁判所だ。どこからどう見ても、カジノとは縁がなさそうな場所である。

 冴さんにとってここは、自分が勝ち続けるためのステージでしかないのだ。彼女がそこまで歪まされてしまったことも、そうなるまで手が打てなかった自分の無力さが腹立たしい。

 

 けど、今から巻き返すことは不可能なことではないのだ。新たな力も手にしたことだし、遅れを取り戻すことはできるだろう。勿論、難易度は頭が爆発するレベルの理不尽級、ベットは俺たちの命と未来だろうが。

 

 俺はスマホを起動した。グループチャットに報告を入れようとして、手が止まる。

 少し悩んだ後、俺は黎の個人SNSにチャットを打ち込んだ。

 

 

吾郎:冴さんのパレス発見。キーワードは『新島冴』、『裁判所』、『カジノ』。

 

黎:吾郎お手柄。でも、至さんから『かなり強行軍組んでる』って聞いたよ。無茶しないで。

 

吾郎:大丈夫。俺は平気。それから、後でルブランに行ってもいいかな? 屋根裏部屋で、少し話がしたくて。

 

黎:今から将棋友達と会ってくるから、話すとしたらその後になるけど、大丈夫?

 

吾郎:分かった、ありがとう。ルブランで待ってるよ。

 

 

 チャットを終えて一息つく。ルブランへ向かうために公共交通機関に乗り込めば、今度は別の人間からSNSが入った。送り主は真である。

 

 

真:秀尽学園の文化祭についてなんだけど。

 

吾郎:そういえば、ゲストに誰を呼ぶか決まったのかい?

 

真:アンケート結果、明智吾郎がダントツだったの。生徒だけじゃなく、教頭も明智吾郎を推してる。

 

吾郎:えっ。なにそれこわい。

 

真:それに、吾郎から中間報告聞きたいから。黎から聞いたわよ? お姉ちゃんのパレスに潜入してきたって話。

 

吾郎:黎、もうグループチャットに回したのか……。

 

真:中間報告とゲスト出演、お願いね。

 

吾郎:あの、僕の意見は? 特にゲスト出演の方で。正直、スピーチとか面倒なんだけど。

 

真:お 願 い ね ?

 

吾郎:謹んでオファーを受けさせていただきます。

 

真:ありがとう! 本当に助かったわ!!

 

 

 チャットの文面だけで、世紀末覇者がメリケンサックを振り上げる姿がありありと見えるレベルだった。余程、有能である真は教師陣営から頼りにされて――もとい、こき使われていたのだろう。ストレスが天元突破寸前のようだ。こういうところは真と冴さんが姉妹なのだと思い知らされる。

 そういえば、黎が『川上先生曰く、外部から『教師陣が学校運営を生徒に押し付けているという話を聞いた。大人は一体何をやっているんだ!?』って苦情が来たってぼやいてた』なんて漏らしていたことがあったが、事態は解決どころか悪化してしまったようだ。真実さんが嘆く姿が目に浮かぶ。

 教頭のシャドウにパレスがあるか、メメントスに顕現するほどの歪みがあるか、時間があったら調べてみるのもいいだろう。新しい校長が来るまで真に全責任をおっ被せようとする大人を放っておいてはいけないと思う。普通に考えて。

 

 一般参加で黎と一緒に文化祭を回ろうかと思っていたのだが、世の中はそんなにうまくいかないようだ。

 僕は苦笑したのち、ルブランへ向かうために歩き出した。

 

 

***

 

 

 ルブランの店内に設置されたテレビに獅童正義が映し出されていた。奴は『怪盗どもに世直しが務まるはずがない。犯罪者どもを捕まえ、自分が世直しをするんだ』と演説を続けている。即断即決を謳う男を見つめながら、僕はひっそりため息をついた。客はきゃあきゃあと獅童を持ち上げるが、佐倉さんは意図的に話を逸らした。

 佐倉さんは、獅童の話題になると唐突に察しが悪くなる――実際は意図的にそう振る舞う――のは、彼と獅童正義の間にある因縁が理由なのかもしれない。獅童という人間と、「話題ですら関わりを持ちたくない」と言わんばかりだ。荒垣さん加入時、彼とは頑なに打ち解けようとしなかった天田さんの例もある。

 少ない情報で理由を類推しようと試みた僕だが、その思考は中断された。カウベルが鳴り響き、黎とモルガナの帰還を知らせたからだ。僕が表情を輝かせたのと、黎がふわりと口元を緩めたのはほぼ同時である。次の瞬間、黎の鞄の中に潜んでいたモルガナが飛び出した。空気を読んだ利発な黒猫は、さっさと店外へ駆け出してしまった。

 

 

「おかえり」

 

「ただいま」

 

 

 恒例となった挨拶を交わす。かけがえのない、ささやかな時間。俺にとって一番大切な――どこかの“明智吾郎”が望みながらも諦めた――光景である。

 

 俺の中にいる“明智吾郎”が苦笑しつつ、静かに目を細める。

 普段は悪態をつくくせに、今回はやけに大人しい気がした。

 

 

「あの、佐倉さん」

 

 

 佐倉さんに向き直ると、死んだ目をしていた。何もかもを諦めたような、煤けた表情だった。

 

 「節度は守れよ」とだけ告げて、佐倉さんは店の営業に集中し始めた。目が死んでいた。

 屋根裏部屋へ向かう僕と黎の後ろ姿を見た客が色めく。高校生のカップルはそんなに珍しいものだろうか。

 

 相変わらず、ルブランの屋根裏部屋はきちんと掃除が行き届いている。必要最低限の家具と、東京に来てからコツコツ買い貯めたり、知り合いから譲り受けたりしたと思しきインテリアが飾り付けられていた。ベッドの脇には、八十稲羽滞在中に僕が贈った黎の誕生日プレゼントである白い犬のぬいぐるみが座っていた。

 ソファには八十稲羽物産展で購入したモナぬいぐるみとモ(ルガ)ナカーぬいぐるみが鎮座している。小さな戸棚の上にはアンティークのラジオが置かれていた。棚の隣に置かれた観葉植物の葉は艶やかで瑞々しい。きちんと世話をしているようだ。なんだか微笑ましくなって、俺は思わず頬を緩めた。

 僕らが談笑を始めてから暫くして、階下からカウベルの音が響いた。気づけばそれなりに賑わっていた客の談笑は止んでいる。階下の様子を窺えば、佐倉さんが店じまいと明日の仕込みを終えて帰るところだった。やっぱり目は死んでいた。――どうやら、僕と黎は名実ともに2人きりになったらしい。

 

 

「じゃあ、コーヒー淹れてくるね」

 

「うん」

 

 

 黎はそう言って、階下に降りて行った。ルブラン閉店後はいつも、店のカウンター席に座って黎のコーヒーを飲む。だから、彼女が淹れるコーヒーを屋根裏部屋で飲むのは初めてだった。一緒に降りてしまってもいいが、今は何となく、ソファに腰かけて待っていたいと思ったのだ。

 彼女を待つ時間が愛しくて、切なくて、僕はひっそり息を吐いた。胸を満たす温かな熱と込み上げるような感覚を、()()()はよく知っている。僕はきっとそれを手放せないのだろうし、破滅と共にすべてを手放すことが定められていた“明智吾郎”だって、本音は僕と一緒だったろう。

 

 程なくして、黎はホットコーヒーを2つ持って来た。たっぷりの生クリームにイチゴが乗ったデザートコーヒーである。疲れた体は糖分を欲していたのだろう。一口啜ると、じんわりと甘みが体に沁みていくのを感じた。

 

 

「美味しい」

 

「そっか。それならよかった」

 

 

 花を咲かせるように口元を綻ばせた黎の姿に、心の奥底が酷くむず痒さを覚える。“明智吾郎”が顔を真っ赤にして、居心地悪そうに視線を彷徨わせているような気配がした。

 “彼”にとって、ジョーカーが男女どちらの性別であっても、『強い執着を抱き、唯一心を開く/本音を語ることができた、最初で最後の“特別な相手”』なのだ。

 ジョーカーへの執着や“特別”な想いが友愛という形で芽吹くこともあれば、僕/俺のように恋愛という形で芽吹く場合もある。その感覚に戸惑っているのかもしれない。

 

 これもまた、僕の心の1側面。それを受け入れながら、僕はコーヒーを啜った。

 口を付けたコーヒーをソーサーに戻し、僕は黎へ視線を向けた。

 

 黎は何も言わず、じっと僕の言葉を待っている。待っていてくれている。その優しさが嬉しいのに、苦しくて辛くてたまらない。――ああ、なんて、矛盾。

 

 

「……獅童の、密偵の件なんだけど」

 

「うん」

 

「あいつら、俺の正体に気づいてる」

 

 

 「俺が獅童の息子だってことも、俺が怪盗団の一員だってことも、俺が何のために近づいてきたのかも、全部」――その言葉を聞いた黎の表情が曇った。俺を責めるような眼差しではない。ただひたすら俺を憂い、俺のことを案じるような眼差しだ。

 

 密偵として敵の最前線に立つ俺のことを、黎はいつも心配し気遣ってくれた。『無茶ばかりさせてごめん』と謝っていた。

 彼女が俺を案じて、時に信じてくれるだけで、俺は充分だった。逃げることなく、折れることなく、ここまで歩いてこれたのだ。

 俺は静かに目を細め、黎の頬へと触れた。手袋越しだけれど、彼女の温もりがじんわりと伝わってくる。

 

 

「だから、そろそろ、引き時だと思うんだ。あいつらが怪盗団に仕掛けようとしていることは事実だし」

 

「……そうだね。相手がすべてを察した以上、このまま危険な所に居続けるのは得策じゃない。奴らから抜けるタイミングは吾郎に任せるよ」

 

「ありがとう、黎」

 

 

 黎は穏やかに微笑みながら、俺の手にすり寄った。その仕草は本当に猫みたいだ。

 ……なんだろう、この可愛い生き物。俺は心の中で悶絶する。

 

 

「本当はもっと情報を引き出せたらよかったんだけど。俺のミスだ、本当にごめん」

 

「そんなことないよ。吾郎は頑張ってる。ちゃんと知ってるから」

 

 

 頬に触れていた俺の手を取って、黎はそれを両手で包み込む。俺を労ってくれる。その事実に――非常に情けないことだが――目頭が熱くなった。視界がじわりと滲む。

 ぼんやりと滲んだ視界の中で、俺は気づく。黎と重なるようにして、ドミノマスクをつけた怪盗がこちらを見つめていることに。その微笑は、慈愛と祈りに満ちていた。

 胸の奥底がざわめく。気づいたとき、俺――否、“明智吾郎”が「あ」と声を漏らしていた。それに引っ張られるような形で、俺の喉が震える。

 

 

「“ジョーカー”……?」

 

 

 俺――あるいは“明智吾郎”――が、()()()()を込めて呟いたことに気づいたのだろう。ドミノマスクの怪盗は大きく目を見開いた。全てを察した怪盗の頬から一筋、涙が流れる。春を待ち焦がれた花が一斉に咲き乱れるようにして、怪盗――“ジョーカー”が口元を綻ばせた。それに呼応するように、黎も頬を淡く染めて言葉を紡ぐ。

 

 

―― やっと、届いた……! ――

 

「“クロウ”……っ!」

 

 

 感極まって紡がれた言葉に、“明智吾郎”/“クロウ”を求めてやまなかったと言わんばかりの笑顔に、俺の中にいる“明智吾郎”/“クロウ”がくしゃりと顔を歪ませた。勿論俺も、湧き上がってきた衝動に突き動かされるようにして黎を抱きしめる。

 華奢な少女の身体は、簡単に俺の腕の中に納まった。黎も俺の背中に手を回し、強くしがみついてくる。腕の中にある温もりが愛おしい。離れたくない、離したくない――その想いが痛い程伝わって来て、酷く泣きたくなった。

 

 “明智吾郎”/“クロウ”が“ジョーカー”の隣に在ることを望んだように、“ジョーカー”もまた、“明智吾郎”/“クロウ”が隣に在ることを望んでくれた。

 共に在れないことを嘆いた“明智吾郎”/“クロウ”がいたように、“ジョーカー”もまた、世界から“明智吾郎”/“クロウ”が失われたことを嘆いてくれた。

 奇跡を起こす『ワイルド』の祈りが、『神』さえ■した■■■■■■■の想いが、巡りに巡って、明智吾郎と有栖川黎が生きる()()()()へと繋がったのだ。

 

 本当の姿を知ったって――本当の姿がどんなに汚れきっていたものでも――「それでもあなたがいい」のだと選んでくれた人がいる。共に往こうと手を伸ばし、引っ張ってくれる人がいる。「“明智吾郎”はいらない子なんかじゃない」と全身全霊で伝えてくれる人がいる。

 

 何もかもが都合の良すぎる世界を創り上げてしまうくらい、“明智吾郎”を求めてくれる人がいる。――そんな相手は目の前にいることに気づかないまま、気づこうともしないまま、破滅を選んだ自分が馬鹿みたいだ。本当は自分だって、相手と同じことを望んでいたのに。

 “ジョーカー”を手に入れられたら。本当の意味で“ジョーカー”の相棒になることができたら、どんなに幸せだろう。叶わぬ願いと夢想したそれは、今、俺の腕の中にある。それを手にするまでの奇跡がどれ程素晴らしい価値を有しているのか、俺が一番知っていた。

 

 

「黎」

 

「何?」

 

 

 こてんと首をかしげて俺の顔を覗き込んできた黎に、勢いのまま口付けた。黎は拒絶することなく、幸せそうに目を細めてすべてを受け入れる。それをいいことに、啄むようなキスを繰り返しながら、角度を変えて、舌を絡ませて、どんどん深いものへと変えていった。

 

 時折漏れる甘ったるい吐息が背徳感を煽る。彼女が欲しい。欲しくて欲しくてたまらない。ずっとずっと、こうしたかった。

 “明智吾郎”/“クロウ”による“ジョーカー”への執着と想いが“異性間への愛情”へ昇華されたことがトリガーになったのだろう。

 探偵の本分は暴くことだ。俺を望んだ怪盗のすべてを――愛おしい怪盗のすべてを暴きたい。それこそ、知らないところなど存在しないくらいに。

 

 黎は限界らしく、息苦しそうに肩を震わせた。それを確認した俺は、彼女を解放する。銀糸で結ばれていたのはほんの数秒間だけで、それはプツリと切れてしまった。

 蕩けた眼差しを向ける黎を抱き上げ、彼女が使っているベッドに横たえる。余裕がなかったせいで半ば転がすような形になってしまったが、黎は文句を言わずこちらを見上げた。

 

 その目が情欲に染まっているように見えたのは、きっと俺の見間違いではないのだろう。

 

 

「抑え、効かないかもしれない」

 

「吾郎……」

 

「……俺は、黎が思ってるような、立派な奴じゃないよ」

 

 

 “目の前にいる少女を滅茶苦茶に暴いてしまいたい”――凶暴な衝動をどうにか抑え込みながら、一番大切な女性(ひと)に警告する。

 嫌われたくないから線を引く。傷つけたくないから突き放す。逃げ場を用意したつもりだったのに、俺の手は彼女を拘束するように縫い止めていた。

 

 逃がしたくない。このまま手に入れてしまいたい。何もかもを暴き立ててしまいたい。

 ……きっと、こういうところが、父である獅童正義と似ているのだろう。

 そんな自分が、嫌になる。力づくで組み敷くような真似がしたいわけじゃないのに。

 

 

「多分、これから俺は、お前に酷いことすると思う。……獅童のヤツが、お前にしようとしたことと、同じことだ」

 

 

 手袋を付けたままうなじをなぞれば、黎は小さく体を震わせた。手の動きから俺が何をしようとしているのか察したようで、大きく目を見開いた。彼女の頬は、羞恥の為か淡く染まっている。

 

 

「……嫌なら、逃げろ。俺をひっぱたいて、ぶん殴って、突き飛ばして、指輪投げ捨ててくれればいいから」

 

 

 そうなって当然のことをしていると自覚があるから、俺は自嘲した。彼女の瞳の中に映る明智吾郎は、非常に情けない顔をしている。傷ついて当然な顔をして、馬鹿みたいだ。

 離れなければと思うのに、身体は動かない。自分の身勝手さに反吐が出る。ああもう、最悪だ。結局俺も獅童正義と同じ、悍ましい血が流れているのだ。

 

 ――そんなの、知りたくなかった。あんな奴と同じものではなく、もっと優しいものになりたかった、のに。

 

 俺は深々と息を吐いて手を離そうとして――黎は俺の手を取った。慈しむように目を細めた少女は、何もかもを受け入れるように微笑んでいる。瞬く灰銀の宝玉には、密やかな艶があった。ぞくり、と、俺の背中が震える。

 彼女は怪盗だ。狙った獲物は、問答無用で必ず手に入れる。大胆不敵な鋭さは、こんなにも甘ったるい空気の中でも健在だ。言葉はないけれど、その微笑は「貴方が欲しい」と訴えている。自嘲に歪んだ俺の口元が歓喜に弧を描いた。

 

 

「黎」

 

「何? 吾郎」

 

「――キミが欲しい」

 

 

 彼女の左手を取り、手の甲――薬指付近に口づけを落とす。すべてを暴く許可を乞うように。

 

 

「――私も、吾郎が欲しい」

 

 

 黎は俺を受け入れるように、背中に手を回して抱き付いてきた。そのまますり寄って来る。

 

 ああ、そうだ。俺のことなど幾らでも奪ってくれて構わない。その分、キミのことを何もかも暴かせてほしい。探偵と怪盗――宿命のライバル同士の恋は、それくらいでなければ。

 俺は口を使って手袋を外し、勢いのままに投げ捨てる。黒い手袋は、乾いた音を立てて床に落ちた。俺の左手薬指に光る指輪を見つけた黎は、嬉しそうに目を細める。

 黎も野暮ったい黒縁眼鏡を外し、ベッドサイドの棚へ置く。服の下に隠していた指輪のチェーンを外し、指輪を左手薬指に嵌めてみせた。黎は俺を見て、幸せそうにはにかむ。

 

 俺は誘われるようにして黎に口付ける。黎は拒否することなく俺を受け入れて、精一杯応えてくれた。

 暴き立てるように掻き抱かれても、散々求められても、彼女は幸せそうに笑って、「愛してる」と、言ってくれた。

 

 

 

 

 

 ――長い、長い時間。俺は、黎と一緒に過ごしていた。

 

 

 穏やかに眠り続ける黎を腕に抱く。好きな人と身も心も繋がって共に過ごす夜が、こんなにも幸せだなんて知らなかった。

 あどけない寝顔を見守りながら、俺は黎の頭を撫でる。涙が出るくらい嬉しくて、温かくて、幸福で。

 

 ……獅童を愛した母も、こんな気持ちだったのだろうか。弄ばれていると知っていても尚、この幸福を求めて、俺を孕んで――。

 

 母が獅童を愛した結果、俺が生まれた。俺は獅童からは愛されなかったけれど、母は俺の前では決して弱音を吐かなかった。いつだって優しかった。俺を愛してくれていた。たとえ遺品に記された真実が残酷な経緯であったとしても、母から愛されていたことは変わりない。

 父親から愛されない子どもとして生まれたことは事実だったけど、生まれてきたおかげで沢山の人々に出会えた。愛する女性(ひと)、信頼できる愉快な保護者、尊敬できる格好良い大人たち――そんな奇跡を俺にくれたのは、目の前で眠り続けるこの少女なのだ。

 

 

「……必ず、守るから」

 

 

 俺はそう呟いて、静かに目を閉じる。

 意識はあっという間に、静かな闇の中に沈む。

 

 ――どこかで、馬鹿みたいに泣きじゃくる甲冑仮面と、彼を抱きしめながらあやす怪盗の声が聞こえてきたような気がした。

 

 

◇◇◇

 

 

 

 差し込んできた朝の光に瞼を叩かれた僕は、のんびりと目を開けた。黎は相変らず幸せそうな寝顔を晒している。時計を見ると午前4時を指していた。

 まだ眠っていても大丈夫だとは思うが、俺は無断外泊をやらかした身である。しかも、節度なんてガン無視したも同然だ。佐倉さんが帰ってくる前にお暇しなくては。

 そうなると、逃走手段は始発電車に限られる。始発電車の発車時刻における関係上、必然的に、ここでまどろんではいられない。少々名残惜しいが仕方ないか。

 

 ……さて、そうなると、だ。

 

 僕は腕に抱いた黎をじっと見つめた。女を抱き潰してさっさと帰るなんて、獅童正義のようなクズ野郎がやりそうなことである。僕は絶対、奴と同レベルにはなりたくない。

 どうしようか考えあぐねていたとき、もぞもぞと黎が身じろぎする。瞼が小さく震えた後、まだぼんやりとした灰銀の瞳が僕を映し出した。

 

 

「……吾郎……?」

 

「ごめん、起こした?」

 

「ううん。――おはよう」

 

 

 黎は幸せそうに目を細めた。薄らと明らむ空によって薄暗さが消えつつある部屋に、黎の白い肌が浮かび上がる。体のあちこちに残された赤い印が痛々しい。全部、全部、昨日の情事で僕が刻んだものだ。――今になって、ものすごく恥ずかしくなってきた。

 

 それ以上に、黎の姿があまりにも神聖なもののように思えて、眩しい。僕は少しどもりながらも「おはよう」と挨拶を返した。何となく気だるい体を起こす。

 黎は俺が考えていたことを察したのか、半ばよろめくようにして体を起こした。「見送りしたいんだ」と言って照れたようにはにかむ僕の恋人が尊い。

 

 シャワーを軽く浴びて身支度を整える。外泊による始発帰りの際、俺はいつもどこに泊まるかを連絡していた。だが、今回はそれをしていない。嫌な予感に眉間の皺を増やしながら確認してみると、案の定、SNSは空本兄弟からのメッセージで埋め尽くされていた。

 最新メッセージは“ゆうべは、おたのしみ、でしたか? むけいかくな、ことは、していませんか?”とだけ。スマホのメッセージを覗き込んだ黎は、「過保護だなあ。吾郎はちゃんとしてくれたのに」と苦笑した。……お願いだから、ごみ箱に視線を向けるのはやめてほしい。恥ずかしくなるから。

 

 

「それじゃあ、文化祭で」

 

「うん。文化祭でね」

 

 

 黎と啄むような口付けを交わして、僕はルブランを後にした。店の扉を開けたのと、モルガナが散歩から戻って来たのは同時である。

 気高い黒猫は死んだ魚の目をして僕を見つめていた。何か言いたげな顔をしていたけれど、奴は沈黙する方を選んだようだ。

 モルガナの背中はルブラン店内へ消えて行ったが、わずか数秒後に「ニ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」と悲鳴が聞こえてきた。

 

 僕は素知らぬ顔を決め込んで、ルブランに背を向け脱兎のごとく駆け出す。このまま走り続ければ、始発電車に余裕で間に合うだろう。

 

 その予想は正しかったようで、僕は余裕で始発電車に飛び乗ることができた。車内にはぽつぽつ人がいたが、眠っている人の方が多い。僕には目もくれない様子だった。

 これ幸いと僕はスマホを開く。保護者2人を納得させる返事と、文化祭2日目のスピーチを考えなくてはならない。――幸せな夜が明けるのは、なんとも呆気なかった。

 

 




魔改造明智による新島パレス攻略開始。潜入調査をしたらエラいことになったけど、最終的には新しい力を得た模様。原作明智と感性が近い“彼”からしてみれば、魔改造明智の思考回路に対して絶対「お前の頭の方が心配だよ」ってツッコミ入れそうな気がしたんです。ただ、“彼”は魔改造明智と一緒にいたおかげで、少々そっちの価値観に引っ張られているようですが(苦笑)
魔改造明智と黎の関係性はP3Pの月コミュ=荒垣真次郎コミュ恋人ルートを参考にしています。ノンストップ荒垣が出てくるのはコミュMAXワンモアですが、拙作の場合は「コープ開始時に恋人状態になっている」という変則的なスタートとなっているため、このような扱いになりました。文化祭の話を突っ込むと区切りが悪くなりそうなので、一旦ここで話を切った次第です。

以前お遊びで考えた魔改造明智のコープアビリティですが、少々変更することになりました。書いている途中で設定が二転三転してしまうんだよなぁ(遠い目)
今回のヤツも、もしかしたら変わるかもしれません。
【アルカナ:正義】
<ランク1(初期時点)>
*バトンタッチ:1MORE発生時に、主人公及びバトンタッチを覚えている同士で、行動のチェンジ可能。
*追い打ち:主人公の攻撃でダウンを奪えなかった際に追撃。
*ディティクティヴトーク:敵との会話交渉が決裂した時にフォローが発生し、交渉をやり直せる。
*ハリセンカバー:バッドステータスの仲間を回復することがある。
*かばう:主人公が戦闘不能になる攻撃を受ける際に、間に入ってダメージを肩代わりする。
<ランク2(鴨志田パレス攻略開始)>
*マスカレイド・コミュニティ:パレス攻略時に歴代ペルソナ使いが援護してくれる。他、日常生活でもペルソナ使いと関わることがある。
<ランク5(金城パレス、真覚醒後)>
*バタフライエフェクト・友との絆:エンディング分岐に関係する。
<ランク6(双葉パレス攻略後、奥村パレス攻略前)>
*バタフライエフェクト・不揃いの指輪、同じ決意の証:エンディング分岐に関係する。
<ランク7(新島パレス攻略開始)>
*バタフライエフェクト・罪と罰を超えて:エンディング分岐に関係する。魔改造明智吾郎の使用ペルソナにロキ追加。
<ランク8(??)>
*バタフライエフェクト・受け継ぐもの:エンディング分岐に関係する。他にも効果があるようだが詳細不明。
<ランク9(??)>
*マスカレイド・イーチアザー:詳細不明。
<ランク10(??)>
*バタフライエフェクト・未来はここに:詳細不明。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。