サザエ=サン   作:サンシタ

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◆更新◆
◆NINJA SLAYER◆◆With◆◆サザエさん◆

◆注意◆◆重点◆◆注意◆
本エピソードはノリスケ=サンに対するアンチ・ヘイト要素が重点されています、又、登場人物が薬物常習者であるかの様な表現がありますが原作サザエさんにおいてその様な描写はありません

◆クスリ駄目、絶対◆◆駄目◆


#7 ダディ・イズ・マム・バイ・インベンション

PM17:30イササカ邸

 

暗く締め切られた室内、一人の男がUNIXを前に頭を抱えて文章を入力、そして再び頭を抱えた、男の名はイササカ・ナンブツ、過激な性描写と暴力シーンで人気な売れっ子作家だ。

 

 

そしてサイバーサングラスを掛け、部屋の隅で腕を組み直立仁王立ちする男あり、男の名はナミノ・ノリスケ、イササカ・ナンブツの担当編集者である。

 

 

サングラスからは「監視重点」「締め切り」「打ち切り」「お前の代わりはいる」……威圧的なメッセージを次々と点灯させ無言の圧力をイササカに加える。

 

 

イササカの顔色は青白く、目は虚ろ、目元にはドス黒いクマが浮かび、足元には空き瓶や注射器が転がる。

 

 

だが、それも無理もない事だ、連日の徹夜で六十に近い彼のニューロンと肉体は最早限界に近づきつつあった。

 

 

ZBRやバリキ、シャカリキ……合法、非合法問わない薬物のオーバードーズで何とか持ちこたえてはいるものの、後2~3日で彼はカロウシするだろう、もしこの場に医療関係者がいれば即刻入院させる筈だ。

 

 

イササカが体を前後左右に揺らめき奇声をあげた、睡眠不足によるものか、薬物の副作用か定かではない、虚空を見つめ、何事かブツブツと呟くと突然UNIXに向かい一心不乱に文章を入力し始めた、その速さはヤバイ級ハッカーを思わせる、コワイ!

 

 

 

…………………

 

 

「……デキ…タ…ヨ…」イササカがボソボソとノリスケに告げる、ノリスケは小説の内容を確認するとカバンから記録媒体を取り出しUNIXに接続、データを移動させる、画面上に「データ複写中な」のメッセージとウサギとカエルが荷物を受け渡しをするアニメーションが浮かぶ。

 

 

数秒で「複写完了な」のメッセージとウサギとカエルがオジギするアニメーションに変わる、ノリスケは素早く記録媒体を引き抜くと、サイバーサングラスを外し、にこやかにイササカに告げる。

 

 

「お疲れ様でした、とりあえずゆっくり休んでください、次の作品も楽しみにしてます!」オジギをして書斎のドアを閉める、ドアの向こうから何かが倒れる音が。

 

 

イササカ邸を出ると、ノリスケの恐るべきバイオ・ハイエナめいた嗅覚が隣のイソノ家から美味そうな匂いを捉えた!((バイオショーユとサトウ、そして……肉と脂…シモフリ……スキヤキだ!))イササカ邸から「ア……エエッ!……!……してア…ターッ!ウキエ!救…車!」悲痛な叫び声が聞こえるがそんな事よりスキヤキだ!

 

 

「イヤー美味そうな事デスネ!」実際イソノ家のチャブ・テーブルの上にはグツグツとスキヤキが煮えているではないか!鍋の中には火が通ったバイオ水牛のシモフリがワリシタにうっすらと油膜を作り野菜やトーフ、シラタキに絡み付く、立ちのぼった湯気に食材の香りが合わさって鼻腔をくすぐる。

 

 

「呆れた、もう嗅ぎ付けたの?」サザエが呆れた様子で言った、サザエだけでは無くイソノ家全員の感想だろう、ノリスケは当たり前の様にスキヤキを摘まんだ、脂したたりそうなシモフリである、彼は一度に二枚食べた、外からサイレンの音が、いったい何事だろうか?

 

 

実際彼の行ないは奥ゆかしさの欠ける振る舞いであり、囲んで棒で棒で叩かれても仕方ない行動だ。

 

 

だがナミヘイは平然としている、よほど人格が出来ているのだろう、次々とシモフリを掬って行くノリスケを機嫌良さげに見つめる。

 

 

「おい母さん、タマゴとアレを」ナミヘイはフネに告げる、自分で持ってくれば良いのだが実際テイシュ・カンパクである、「私が取ってくるわ」サザエがダイドコロに向かう。

 

 

「タマゴと言えば先日、ステーション前で妙なモノを売ってましてね」ノリスケが語り始めた、

「その名も『全自動タマゴ割り機』」「おじさんは買ったの?」カツオが尋ねる。

 

 

「買うわけ無いじゃないか、実際イディオットな」ノリスケは笑って答える、「手で割った方が早い物をわざわざ機械を使うなんて理解出来ませんよ、どうせそんな物を買うのは自分でタマゴもろくに割った事もないテイシュ・カンパクに決まってますよ」笑いながらシモフリを口に入れるノリスケ。

 

 

なんたる言い草か!たしかにナミヘイはテックに疎く、自分ではタマゴも割らないテイシュ・カンパクである、しかしここまで言われる謂《いわ》れは無い!

 

 

「オ…オイ……」マスオがノリスケの脇腹を肘で奥ゆかしくつつく。

 

 

「なんですか!?」食事の邪魔をされたノリスケは不満げにマスオの顔を見る、マスオはノリスケを見てはいない、ノリスケがマスオの視線を辿っていくと………ナ、ナムサン!ナミヘイの機嫌があからさまに悪いではないか!

 

 

どうやらナミヘイの機嫌を損ねたらしい、漸《ようや》く覚《さと》ったノリスケは必死に話題を反らす。

 

「テ…テイシュ・カンパクと言ってもおじさんの事では無いですよ!オーイ、サザエ=サン、タマゴまだデスカ!」更にナミヘイの機嫌が悪くなる、おお、見よ!ナミヘイの頭を、まるで爆発寸前のカンシャクダマめいて赤くなっているではないか!

 

 

……そしてサザエが持って来たものはタマゴと……おお、ナムアミダブツ、タマゴと先程自分が嘲笑したタマゴ割り機ではないか……ナムアミダブツ。

 

 

「かっ…買ってたんですか……」ノリスケは最早引きつった笑顔でそう返すのが精一杯だった、ナミヘイの怒りがついに爆発する。

 

 

「ノリスケ!お前は当分出入り禁止だ!」「アイエエエ……」しばらくご馳走が食べられなくなり、うなだれるノリスケ 、インガオホー!

 

 

一方その頃

 

 

 

アサヒ・ヒル・ステーション前のメインストリートを一台の脱法改造デリバリー・バイクが駆ける、運転するライダーの眼はマグロめいているがフルフェイス・ヘルメットなので表情はうかがえない、車体には疾走感溢れる書体で「ミ」「カ」「ワ」「ヤ」「!」

 

 

ミカワヤとはネオサイタマで古くから酒や薬の販売を行っているメガコーポであり、近年はデリバリー・バイクによる年中無休24時間配達で人気を博している、また過酷な勤務形態だが宅配速度や件数によるインセンティブも大きく若者にも人気な職場である。

 

 

バイクに通信が来た、「ドーモ、コチラ、デリバリー本部、101号ドーゾ」感情を感じさせないオペレータの声がヘルメットに響く。

 

 

「ドーモ、コチラ、配送車101号、本部ドーゾ」自分の声も機械めいて平坦な事にドライバーは苦笑する。

 

 

「先程、注文が入りまして、ケモビール、大ビン6本です」「ケモビール大ビン6本、ヨロコンデー」「お届け先はアサヒ・ヒル サンチョーム10バンチ、イソノ様です」「アサヒ・ヒル サンチョーム10バンチ、イソノ様、ヨロコンデー」機械めいて復唱、((お得意様だ、目隠ししても行ける!))

 

 

バイクを路肩に止めてドライバーは一本のアンプルを取り出し、中身を一気に飲み込む、マグロめいた眼に不自然な活力が宿る。

 

 

((やってやる……やってやるぜ!))全身に高揚感、多幸感をたぎらせ、バイクは急発進する。

 

 

極彩色のネオンサインが七色の流星に見える、世界を手にしたかのような万能感!バイクは更に速度を上げ時速100kmを越えた、その時である!

 

 

バイクを後方から何者かが抜き去る、ドライバー、薬品で理性を失っているサブチャンは激怒した!「ザッケンナーコラァ!アイサツシロッ!コラァ!」バイクの速度を更に上げる、10m…5m…距離が縮まる、3m…2m……1m…並んだ!

 

 

自分を抜き去った何者かとサブチャンの視線が合う、「アッ……アイエエエ!」恐怖!サブチャンのニューロンに満ちていた多幸感も万能感もあっさりと消え去り残ったモノは圧倒的恐怖!

 

 

サブチャンはようやく理解した、目の前の存在が何者かを、「ニンジャ……」震えた舌から、喉から絞り出したかの様に呟く。

 

 

そう、ニンジャだ!平安時代の日本をカラテによって支配した半神的存在、ニンジャがサブチャンの前に姿を現したのである!

 

 

ニンジャの眼光が鋭さを増す、「アイエエエッ!アイエエエッ!」サブチャンは嘔吐と失禁、NRS(ニンジャリアリティショック)だ!ハンドルを切り損ねバイクが転倒した。

 

 

「ヒィーッ!ヒィーッ!タスケテ!」バイクを捨てあらぬ方向へ逃げ出すサブチャン、ニンジャは冷ややかに一瞥《いちべつ》すると闇に消えた………その後ろをミケネコが見つめる。

 

 

 

 

#8 ダディ・イズ・マム・バイ・インベンションに続く

 

 

 

 

 

 

 




◆感◆閲覧ありがとうございます!次回はバトル回だ!Wasshoi!◆謝◆

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