名前:篠原 里香
性別:女
年齢:20
誕生日:5月18日
CV(イメージ): 高垣彩陽
国籍:日本
身分:霧山城学園大学 経済学部
趣味:友人や後輩の恋バナ
家族構成:両親と祖母(現在は通学の都合で1人暮らし中)
好きなデュエリスト:なし
性格:好きなことには一切妥協しない頑固者だが、面倒見の良い姉御肌。ロボットについてはサークルに入ってから興味を持ち始めている。
好きな食べ物:ケーキ
アルバイトをしている理由:友人の手伝いとそれ以上に大きな理由があったのだが、それについてはなぜか思い出せない上に、明日奈もその話を聞いていたのは覚えているが、内容についてはきれいに忘れている。
「Star Access…これが、僕のスキル…!?」
スキル項目を調べたジェミニは震える指でデュエルディスクを操作し、スキル説明を表示する。
(相手によって自分のライフが0になるとき、自分フィールド上のカードをすべて破壊することで、ライフを1だけ残す。そして、LINK VRAINSからカードを1枚アクセスできる…!?)
シャドーが説明を読んだ後で、ジェミニは手札に加わった1枚のカードを見る。
そのカードは見たことも聞いたこともない名前のカードだった。
(こんなカードがLINK VRAINSに…!?でも、データストームからじゃなくて、どうしてLINK VRAINSで…!?)
(なんだよ、なんだよそれー!!俺は必死こいてデータストーム呼んでるのに、そっちはそれなしでLINK VRAINSにアクセスだぁーーー!?ズルイズルイー!!)
我慢できずにデュエルディスクから飛び出したAiがブーイングをしながらジェミニとシャドーを非難する。
しかし、プレイメーカーによって抑え込まれ、デュエルディスクの中に戻されてしまった。
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
ジェミニ
手札3→4
LP1
場 なし
プレイメーカー
手札0
LP600
場 ファイアウォール・ドラゴン(1) リンク4 攻撃3500
サイバース・ユニコーン(EX3) リンク3 攻撃2100
伏せカード1(3)
(おい、このガキ!!お前のターンだろ、惚けてねーで、さっさと進めろ!!)
自分のスキルに驚くあまり、彼のターン終了宣言が聞こえなかったジェミニにシャドーが叫ぶ。
叫ばれたことで正気が戻ったジェミニはデッキトップに指をかける。
「ぼ…僕のターン、ドロー!」
ジェミニ
手札4→5
「ぼ…僕は手札を1枚墓地へ送り、装備魔法《CC:ブーストアップ》を発動!墓地のCCモンスター3体を素材に、リンク召喚することができる!この効果でリンク素材となったモンスターはデッキへ戻る。僕は墓地の《C.C.バルゴラ》3体を選択!」
3体の《C.C.バルゴラ》が再びジェミニの前に現れる。
彼が右手を前にかざすと、サーキットが表示され、3体のおとめ座の戦士はその中へ飛び込んでいく。
「アローヘッド確認!召喚条件は召喚条件はC.C.モンスター2体以上!僕は《C.C.バルゴラ》3体をデッキに戻し、リンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク3!《C.C.ジェニオン》!」
リンクマーカーから《C.C.ジェニオン》が飛び出し、腰にマウントされているビームダガーを手にする。
ダガーを持った《C.C.ジェニオン》は左手を動かし、《ファイアウォール・ドラゴン》を挑発するが、《ファイアウォール・ドラゴン》は動じる様子を見せなかった。
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(EX1)
手札から墓地へ送られたカード
・C.C.リザード
(墓地のモンスターでリンク召喚だってぇ!?)
「更に、このカードはこの効果でリンク召喚したモンスターの装備カードになる!」
《CC:ブーストアップ》はデータとなって消滅し、《C.C.ジェニオン》に吸収される。
吸収したことによって得たエネルギーは水色のオーラへと変化し、《C.C.ジェニオン》を包み込む。
「そして、このカードが《ジェニオン》に装備されているとき、このカードは相手のモンスター効果を受けない!」
「何!?」
プレイメイカーは《ファイアウォール・ドラゴン》を見る。
再び召喚された《ファイアウォール・ドラゴン》は再びフィールド・墓地に存在するモンスターを手札に戻す効果を使うことができる。
しかし、《CC:ブーストアップ》の効果を受けた今の《C.C.ジェニオン》にはその効果を使うことができない。
「そして、僕は手札から魔法カード《リンク・ストライク》を発動!自分フィールドに存在するリンクモンスター1体の攻撃力をリンクの数値×600アップさせる。《ジェニオン》のリンクは3、よって、攻撃力は1800アップする」
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500→4300
(攻撃力4300!?おいおい、プレイメイカー様まずい、まずいってーー!!)
「黙っていろ、攻撃力だけのモンスターなら怖くない」
(攻撃力だけ、ならな!!今のこいつには《ファイアウォール・ドラゴン》のエマージェンシーエスケイプだって効かないんだぞー!?)
デュエルディスクの中からAiが必死に今の状況を訴える。
攻撃力4300の《C.C.ジェニオン》の攻撃を受けたら、ライフがわずか600のプレイメイカーの敗北が決定する。
《サイバース・ユニコーン》と《ファイアウォール・ドラゴン》、どちらが攻撃を受けても敗北は目に見えている。
「そして、モンスターを裏守備表示で召喚し、《ジェニオン》の効果発動!1ターンに1度、このカードのリンク先に存在するモンスターの数だけバリアカウンターを乗せる。そして、このカードが破壊されるとき、代わりにバリアカウンターを1つ取り除くことができる」
《C.C.ジェニオン》の近くに裏守備モンスターが現れ、そのモンスターから放出されるエネルギーがバックパックに吸収される。
「カードを1枚伏せ、バトルだ!僕は《C.C.ジェニオン》で《ファイアウォール・ドラゴン》を攻撃!グリーフバニッシャー!!」
《C.C.ジェニオン》がダガーを投げ捨て、バックパックの長刀を連結させると、それをブーメランのように投げつける。
投擲された長刀が《ファイアウォール・ドラゴン》を切り裂き、そのまま直進していく間に高速移動した《C.C.ジェニオン》が肉弾戦に持ち込もうとする。
「俺は罠カード《ドレインシールド》と《ファイアウォール・ドラゴン》の効果発動!」
《C.C.ジェニオン》の拳が緑色のバリアによって阻まれ、投擲していた長刀は《ファイアウォール・ドラゴン》が尻尾でからめとる。
「《ファイアウォール・ドラゴン》は相互リンクしているモンスターの数だけ、フィールドと墓地に存在するモンスターを手札に戻すことができる。俺は墓地から《サイバース・ガジェット》を手札に戻す。そして、《ドレインシールド》の効果により、攻撃は無効となり、その攻撃力分ライフが回復する」
プレイメーカー
LP600→4900
「かわしたーーー!!とどめの一撃と言わんばかりの《ジェニオン》の攻撃をかわし、一気にライフまで回復させたーー!!さすがはプレイメイカー、LINK VRAINSのヒーロー!!」
「僕は…ターンエンド。《CC:ブーストアップ》はターン終了と同時に墓地へ送られる」
ジェミニの元へ戻った《C.C.ジェニオン》のオーラが消える。
《ファイアウォール・ドラゴン》は奪った長刀を投げ返した。
ジェミニ
手札5→1
LP1
場 C.C.ジェニオン(EX1) リンク3 攻撃4300→2500
裏守備モンスター(1)
伏せカード1(3)
プレイメーカー
手札1(《サイバース・ガジェット》)
LP4900
場 ファイアウォール・ドラゴン(1) リンク4 攻撃3500
サイバース・ユニコーン(EX3) リンク3 攻撃2100
CC(コンストレイト・コンバット):ブーストアップ
装備魔法カード
このカード名のカードの(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):手札を1枚墓地へ送り、自分のEXデッキに存在する「C.C.」リンクモンスター1体を対象に発動できる。自分の墓地に存在する「C.C.」モンスターをそのモンスターの召喚条件を満たすように最大3体までデッキに戻し、そのモンスターをリンク召喚扱いで特殊召喚し、このカードを装備する。
(2):「C.C.ジェニオン」がこのカードを装備しているとき、装備モンスターは相手のカード効果を受けない。
(3):このカードを発動したターン終了時、このカードは墓地へ送られる。
リンク・ストライク
通常魔法カード
(1):自分フィールド上に存在するリンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターの攻撃力をターン終了時までそのリンクの数値×600アップさせる。また、この効果を受けたモンスターが相手の守備表示モンスターを攻撃するとき、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
「俺のターン…ドロー!」
プレイメイカー
手札1→2
「《サイバース・ユニコーン》の効果が終了し、《ファイアウォール・ドラゴン》の攻撃力は元に戻る」
ファイアウォール・ドラゴン リンク4 攻撃3500→2500
(これで、《ファイアウォール・ドラゴン》の攻撃力は《ジェニオン》と同じ。だけど…!)
ジェミニは裏守備モンスターと伏せカードを見る。
この2枚のカードとたった1つのバリアカウンターが彼のこのターンを生き延びる生命線になっている。
(僕の裏守備モンスター、《C.C.ケフェウス》はリバースしたとき、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力・守備力を0にする効果がある。そして、特殊召喚されたモンスターとの戦闘では破壊されない。そして、いま伏せたカード《シフトチェンジ》を使うことで、攻撃対象を変更することができる。これなら…勝てる!)
ジェミニの脳裏に勝利の方程式が構築されつつあった。
問題となるのはプレイメーカーの手札に加わった《サイバース・ガジェット》ともう1枚のカード。
「俺は《サイバース・ガジェット》を召喚!」
サイバース・ガジェット レベル4 攻撃1400(2)
「《サイバース・ガジェット》の効果。このカードの召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。俺は《スタック・リバイバー》を特殊召喚」
「そのカード…《バレット&カートリッジ》の効果で…」
2本指のマニピュレーターが装備されたアームを2本伸ばしたマイクのような形の白い機械が現れる。
スタック・リバイバー レベル2 守備600(3)
「現れろ、未来を導くサーキット!」
プレイメーカーが右に手を伸ばし、サーキットを構築する。
「アローヘッド確認。召喚条件は効果モンスター2体。俺は《スタック・リバイバー》と《サイバース・ガジェット》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!現れろ、リンク2!《リンク・バンパー》!」
ピンボールで登場するバンパーが両肩に装着された青いバイザーの人型ロボットが現れる。
リンク・バンパー リンク2 攻撃1400(2)
「更に、《スタック・リバイバー》の効果発動。このカードを素材にリンク召喚に成功したとき、1度だけリンク素材としたこのカード以外のレベル4以下のサイバース族モンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。俺は《サイバース・ガジェット》を特殊召喚」
サイバース・ガジェット レベル4 守備300(3)
「そして、俺は手札から速攻魔法《時空浄化》を発動。俺のフィールド上に存在するモンスター1体を除外し、そのモンスターを再びフィールドに戻す!俺は《ファイアウォール・ドラゴン》を除外し、再びモンスターゾーンに戻す」
「しまった!!」
《時空浄化》の効果の意味を理解したジェミニは自分の詰めの甘さを痛感する。
しかし、時すでに遅く、《ファイアウォール・ドラゴン》は一度青いデータに分解され、再びプレイメイカーの前で再構築される。
「これで、《ファイアウォール・ドラゴン》の効果を再び使うことができる。今、相互リンクしているモンスターは《サイバース・ユニコーン》と《リンク・バンパー》の2体!よって、お前のフィールドのモンスター2体を手札に戻す!エマージェンシー・エスケイプ!」
赤いデータに染まった《ファイアウォール・ドラゴン》の翼が起こす風がジェミニの2体のモンスターを吹き飛ばしていく。
これで、彼を守るモンスターはいなくなった。
「バトルだ!《ファイアウォール・ドラゴン》でダイレクトアタック!テンペストアタック!」
データの色を青に戻した《ファイアウォール・ドラゴン》の口からデータのブレスが発射される。
もはや手がないジェミニは目を閉じ、攻撃を受ける。
「うわあああ!!」
攻撃を受けたジェミニは吹き飛ばされ、転落していく。
しかし、《ファイアウォール・ドラゴン》が彼を背中で受け止めた。
ジェミニ
LP1→0
サイバース・ユニコーン
リンク3 攻撃2100 光属性 サイバース族
【リンク先:下、右下、右】
サイバース族効果モンスター2体以上
(1):自分または相手ターンのメインフェイズ時にこのカードのリンク先に存在するリンクモンスターの数によって、以下の効果から1つを選択して発動できる。これらの効果はこのカードがフィールドに表側表示で存在する限り、それぞれ1度しか発動できない。
●1体以上:自分フィールドに存在するサイバース族リンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターの攻撃力を次の自分ターンのスタンバイフェイズ時まで1000アップする。
●2体以上:自分ターンにのみ発動できる。相手はターン終了時まで魔法・罠・モンスター効果を発動できない。
●3体以上:自分の手札が0枚の時に発動できる。お互いのメインモンスターゾーンに存在するモンスターをすべて破壊する。その後、自分はデッキからカードを1枚ドローする。
(2):このカードがEXモンスターゾーンに存在するとき、もう片方のEXモンスターゾーンに存在するモンスターはこのカードのリンク先のモンスターとして扱う。
C.C.ケフェウス
レベル4 攻撃1200 守備1700 効果 闇属性 機械族
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードがリバースしたとき、相手フィールドに存在する特殊召喚されたモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力を0にする。
(2):このカードは特殊召喚されたモンスターとの戦闘では破壊されない。
近くにあるビルの屋上に《ファイアウォール・ドラゴン》は降り、その背中から降りたジェミニの前にプレイメーカーが飛び降りる。
「ハハ、プレイメーカー…やっぱり強いや」
「お前も、中々やる」
プレイメーカーがわずかだが、笑みを浮かべる。
デュエル中には見せなかった笑みを見れたこと、そして彼に褒められたことで、ジェミニの表情が明るくなる。
(ちっ、負けたくせに…。本当に訳が分からねえ奴だ)
「どうして、僕とデュエルをしようと…?」
「お前がサイバースと関係があると疑ったんだが、その様子だと、どうやら何も関係がなかったみたいだ」
「サイバース…?サイバース族と何か関係が…う…!?」
「どうした!?」
吸血鬼男を感知したのと同じ激しい頭痛がジェミニを襲い掛かる。
LINK VRAINSにログインしていようが現実世界にいようが、この頭痛はお構いなしに襲い掛かるようだ。
頭痛とともに、黒い翼をはやし、長い爪をもつカラスのような頭のステージ2の姿が目に浮かぶ。
そして、片腕には気絶した金髪の少女を抱えている。
「うぐ…ま、まさか…リーファが…!?」
「…?」
「助けない…と!!」
(おい、ちょっと待てよ!?いったいどうしたんだ、こいつ!?)
頭を押さえながら、Dボードに乗ったジェミニを見たAIが彼のおかしな様子を見て首をかしげる。
プレイメーカーは彼を見て、何かデジャヴのようなものを感じた。
Aiを手に入れ、解析をしているさなかに頭痛とともに感じ、ハノイの騎士のリーダーの姿を実際に肉眼で見た。
もちろん、LINK VRAINSの中ではなく、現実世界で。
今の彼の様子が、その時と若干似ているように感じた。
「追いかけるぞ、Ai」
(ええーーー!?な、なんで!?なんでーー!?)
「1つ、サイバースとは関係ないようだが、何か彼から俺と似たにおいを感じる」
(匂いーー!?クンクン、クンクン…)
デュエルディスクから飛び出したAiがプレイメーカーの匂いをかぐ。
AIであるため、匂いを感じるというのはあり得ないが、Aiの場合は視覚を持っているため、嗅覚があってもおかしくないかもしれない。
(うーん、匂いなんて感じないけどなー)
「2つ、あいつは必死な様子を見せていた。あの動きをみると、とても嘘をついているように見えない」
(だよなー。もし、嘘をついているとしたら、もっとマシな動きを見せるよなー)
「3つ、俺自身も何か嫌な予感を感じる。ハノイの騎士とは別の、何かがある」
プレイメーカーはDボードに乗り、デュエルディスクの通信機能を起動する。
「草薙さん、あのジェミニというデュエリストの行方が知りたい。わかるか?」
「大丈夫だ、遊作。今のあいつの居場所をデュエルディスクに表示する」
デュエルディスクからLINK VRAINSの地図が表示され、そこにジェミニの居場所と思われる矢印のマークが出ている。
矢印の方向が彼の向いている方向を示している。
「よし…」
プレイメーカーを乗せたDボードは浮上し、飛んで行った。
「イレギュラー…?どういうことだ、スペクター」
LINK VRAINSとは異なる、黒と緑が基調の暗い空間の中で、逆立った赤毛にフルフェイスのバイザーを着用した白い服の男が白いスーツと白い7:3分けに近い髪形をした若い男の報告を聞き、質問する。
「ええ。どうやら、LINK VRAINSの中に異物が入り込んだ模様です。現在、調査のために3人派遣していますが…いまだに正体をつかむことができません」
「正体をつかめない…お前ほどの男がな」
彼にとってスペクターは片腕であり、彼がプレイメイカーのことを除いてLINK VRAINSの中で情報収集や工作に失敗する、もしくは時間がかかるようなことはかなり珍しい。
「いかがしましょう、リボルバー様。まだこちらにとって脅威となるかどうかはわかりませんが…」
「ならば、私自身の目で確かめる」
リボルバーが姿を消し、空間の中にいるのはスペクター1人だけだ。
彼は正面にモニターを作り出し、調査をしている3人が提供する映像を見る。
(嫌な予感がする。リボルバー様のことだ、仮に戦うことになったとしても、問題ないだろうが…)
「くそぉ!リボルバー様から頂いた《クラッキング・ドラゴン》が…!?うわああああ!!」
ハノイの騎士A
LP1500→0
「くっそぉ、奴はいったい…なんなんだぁぁぁ!?」
ハノイの騎士B
LP800→0
「…バカに…しやがって…」
スラム街風のエリアの中で、複数の男性の声が混ざったかのような声を出したステージ2が右手をかざし、倒したハノイの騎士2人のデータを吸収する。
「お前も…俺のこと、笑ったか?」
「ば、馬鹿な…!?奴はいったい何者なんだ!?」
唯一生き残ったハノイの騎士がステージ2をおびえながら見ており、足がすくんだせいで動くこともできない。
2人の内の1人はリボルバーから《クラッキング・ドラゴン》を受け取っており、それが使いこなせるようにデッキを構成したうえに、2人がかりでデュエルをしたにもかかわらず、完膚なきまでにたたきつぶされた。
「なあ…笑ったよな?馬鹿笑いしたよな…?俺のこと…え?」
「ち、違う!!俺は…俺は何もしていない!!」
既にステージ2はデュエルディスクを展開し、ゆっくりと近づいてきている。
腰を抜かしてその場に座り込んでしまった騎士は後ずさりするが、背中に壁が当たり、逃げ道をなくしてしまう。
「そこまでだ、イレギュラー!!」
「はぁ…?」
「リ、リボルバー様!!」
ステージ2の背後に現れたリボルバーを見た騎士は安心したかのように笑みを浮かべる。
睨むようにステージ2を見た彼はデュエルディスクを展開する。
「貴様の正体、私自らの手で暴いてくれる!部下を倒した礼をしたうえでだ!」
「へっ…部下。部下ねえ。いいなぁ、あんた…データ取りたいねぇ」
ステージ2は左手を自身の前にかざすと、そこには次々とアカウントデータが表示される。
そこには新たに吸収された2人のハノイの騎士の姿もあった。
「確か…この辺りに…!!」
頭痛の時に見えた景色を頼りに、ジェミニはステージ2を探す。
不思議なことに、スラム街には観客もデュエリストもおらず、閑散としている。
(おい、左を見ろ。ステージ2がいるぜ!)
「え…!?」
逆の方向を見ていたジェミニは慌てて彼が言っていた方向に目を向ける。
そこには頭痛の時に見えたステージ2とリボルバーがスピードデュエルをしている光景が見えた。
「スピードデュエル…!でも、あの白い服のアカウントって…誰なんだ??」
リボルバー
手札4
LP4000
ステージ2
手札4
LP4000
「私の先攻、私は手札から《ゲートウェイ・ドラゴン》を召喚!」
蜜の黄色いひし形のパーツで構成された門が現れ、その中から3つの腕を持つ蛇状のドラゴンが現れる。
ゲートウェイ・ドラゴン レベル4 攻撃1600(1)
「《ゲートウェイ・ドラゴン》の効果。1ターンに1度、手札からレベル4以下の闇属性・ドラゴン族モンスター1体を特殊召喚できる。私は《マグナヴァレット・ドラゴン》を特殊召喚」
頭の上にマグナムの弾頭を装着した、青い筒状の装甲と手足がついたような細長い小型のドラゴンが《ゲートウェイ・ドラゴン》が生み出したもう1つのひし形の門から飛び出す。
マグナヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃1800(2)
「そして、カードを2枚伏せ、ターンエンド」
リボルバー
手札4→0
LP4000
場 ゲートウェイ・ドラゴン レベル4 攻撃1600(1)
マグナヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃1800(2)
伏せカード2(2)(3)
ステージ2
手札4
LP4000
場 なし
「へ、へへ…リンク召喚もしないのか…。リンク召喚で勝負する価値もないクズ野郎…お前、そう思ってる?」
乾いた笑いを見せながら、ステージ2の眼が大きく開く。
彼の笑い声も、眼も、リボルバーにとっては不快そのものだった。
「俺の…ターーーーーン!!!!」
ステージ2
手札4→5
「俺はぁ、手札から永続魔法《黒い旋風》を発動ぉ。俺がBFを召喚したとき、そいつよりも攻撃力が低いBFを手札に加えることができんのさぁ…」
「BF…。聞いたことのないカードを…」
リボルバーはこれまで見たカードデータを思い出す。
先ほど発動した《黒い旋風》もBFというカテゴリーも見たことがない。
このような未知のカードはデータストームにアクセスしないと入手できない。
新しいカードが出る場合、前もってカードデータが登録されるためだ。
「それからぁ…俺は手札から《BF-蒼炎のシュラ》を召喚ん…!」
BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800(1)
「更にぃ、《黒い旋風》の効果発動ぉ。デッキから《BF-黒槍のブラスト》を手札に加えるっと…。そしてぇ、《黒槍のブラスト》はぁ…俺のフィールドにBFが存在するときぃ、手札から特殊召喚できるぅ!」
BF-黒槍のブラスト レベル4 攻撃1700(2)
「まだまだぁ…こいつも《ブラスト》と同じ条件で特殊召喚できるのさぁ…。《BF-残夜のクリス》を特殊召喚」
BF-残夜のクリス レベル4 攻撃1900(3)
「ちっ…一気にモンスターを3体も特殊召喚したか…!」
手札消費が激しいが、一気に3体も特殊召喚してきたステージ2の動きに舌を巻く。
ここからリンク召喚を行うことがスタンダードだが、彼のデッキは正体不明であるため、どうなるかはわからない。
「現れろぉ…俺様を導くサーキットォ!!」
羽根を1枚手にしたステージ2がそれを上空に投げると、そこを中心にサーキットが形成される。
「アローヘッド確認。召喚条件はBF2体。俺はぁ…《ブラスト》と《クリス》をリンクマーカーにセット…。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろぉ、リンク2!《LBF-ターレット・ウィング》!」
両腕に180度方向転換が可能な砲台が装着された、体の半分が機械でできているBFがサーキットから飛び出す。
LBF-ターレット・ウィング リンク2 攻撃2000(EX3)
「《ターレット・ウィング》の効果発動ぉ…。1ターンに1度、俺のメインモンスターゾーンにBFが存在し、チューナーが存在しないときぃ、デッキからレベル3以下のBFチューナー1体を特殊召喚できる…。俺は、《BF-疾風のゲイル》をデッキから特殊召喚…」
砲台から青い弾丸が発射され、その弾丸の中から《BF-疾風のゲイル》が飛び出す。
BF-疾風のゲイル レベル3 攻撃1300(チューナー)(3)
「チューナーだと…!?」
チューナーモンスターという更に知らないカードの登場にリボルバーは驚きを隠せなかった。
そんなことお構いなしに、ステージ2はデュエルを進めていく。
「俺はぁ、《疾風のゲイル》の効果発動ぉ…。1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力と守備力を半分にするぅ!!」
《BF-疾風のゲイル》の翼が起こす突風を受けた《マグナヴァレット・ドラゴン》の弾丸にひびが入る。
弾丸から力の供給を受けているようで、《マグナヴァレット・ドラゴン》は痛みで苦しみ始める。
マグナヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃1800→900(2)
「バトルだぁ…!《蒼炎のシュラ》で《マグナヴァレット・ドラゴン》を攻撃ぃ!!」
《BF-蒼炎のシュラ》の両爪に蒼い炎が宿り、苦しむ炎の弾丸を切り裂こうとする。
「ふん!私は罠カード《ヴァレット・エスケープ》を発動!相手の攻撃宣言時、私のヴァレットモンスター1体を破壊し、バトルフェイズを終了させる」
《マグナヴァレット・ドラゴン》の弾丸が爆発し、煙幕がリボルバーのフィールドを包み込む。
相手が見えない状態での攻撃は不可能と判断した《BF-蒼炎のシュラ》は攻撃を中断する。
ヴァレット・エスケープ
通常罠カード
(1):相手の攻撃宣言時、自分フィールドに存在する「ヴァレット」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを破壊し、バトルフェイズを終了させる。
「更に私は速攻魔法《クイック・リボルブ》を発動。デッキからヴァレットモンスター1体を特殊召喚する。私は《アネスヴァレット・ドラゴン》を特殊召喚」
リボルバーの手にリボルバー(銃の)が現れ、それをフィールドに向けて発射する。
発射されたピンク色の薬品の入った注射器のような弾丸を中心に緑色で先ほどの《マグナヴァレット・ドラゴン》と似た体つきのドラゴンが形成される。
アネスヴァレット・ドラゴン レベル1 守備2200(2)
「そんなもんで俺様に勝てると思ってるんですかぁー?あんた、馬鹿ですねぇー…」
「弱い奴ほどよく吠える。本気でそう思っているならば、行動で示して見せろ」
「はい!強者の余裕のベタセリフ、いただきましたー!俺はレベル4の《蒼炎のシュラ》にレベル3の《疾風のゲイル》をチューニングぅぅぅぅ!!!」
「チューニング…何を!?」
「見せてやろうじゃないのぉ。この俺の力をぉ!!シンクロ召喚!!《BF-アーマード・ウィング》ぅ!」
サーキットとは違う、《BF-疾風のゲイル》が変化した緑色のチューニングリングを《BF-蒼炎のシュラ》が通過することで、まったく別のモンスターが姿を現す。
リボルバーにとって未知のモンスター、シンクロモンスターの登場だ。
BF-アーマード・ウィング レベル7 攻撃2500(2)
「俺はカードを1枚伏せて…ターンエンドぉ」
「この瞬間、《クイック・リボルブ》の効果発動。この効果で特殊召喚されたモンスターはターン終了と同時に破壊される」
注射器が爆発し、同時に《アネスヴァレット・ドラゴン》が消滅する。
すると、同時にリボルバーのデッキが光り始めた。
「更に、《アネスヴァレット・ドラゴン》と《マグナヴァレット・ドラゴン》の効果発動!フィールドに存在するこのモンスターたちが戦闘・効果によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時、デッキから新たなヴァレットモンスターを特殊召喚できる。私は《マグナヴァレット・ドラゴン》と《オートヴァレット・ドラゴン》を特殊召喚する」
デッキから飛び出した黄土色の体でこれまでのヴァレットモンスターと似た特徴と体つきをしたモンスターが《マグナヴァレット・ドラゴン》と共に飛び出す。
リボルバー
手札0
LP4000
場 ゲートウェイ・ドラゴン レベル4 攻撃1600(1)
マグナヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃1800(2)
オートヴァレット・ドラゴン レベル3 攻撃1600(3)
ステージ2
手札4→0
LP4000
場 BF-アーマード・ウィング レベル7 攻撃2500(2)
LBF-ターレット・ウィング リンク2 攻撃2000(EX3)
黒い旋風(永続魔法)(2)
「私のターン!」
リボルバー
手札0→1
「私は手札から魔法カード《テイク・オーバー5》を発動。デッキの上から5枚のカードを墓地へ送る」
デッキから墓地へ送られたカード
・スニッフィング・ドラゴン
・クラッキング・ドラゴン
・貪欲な瓶
・聖天使の施し
・魔宮の賄賂
「現れるがいい!我が道を照らす未来回路!」
墓地の落ちたカードを見て、ニヤリと笑ったリボルバーが右手をかざし、サーキットを形成する。
「アローヘッド確認。召喚条件はトークン以外のレベル4以下のドラゴン族モンスター2体。私は《オートヴァレット・ドラゴン》と《ゲートウェイ・ドラゴン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚。現れろ、リンク2!《ツイン・トライアングル・ドラゴン》!」
サーキットの中から両腕に紫色の三角形型のパーツを装着している。金色の爪と角を持つドラゴンが飛び出す。
ツイン・トライアングル・ドラゴン リンク2 攻撃1200(EX1)
「《ツイン・トライアングル・ドラゴン》の効果発動。このカードのリンク召喚に成功したとき、ライフを500支払うことで、墓地からレベル5以上のドラゴン族モンスターをリンク先に特殊召喚する。私は《クラッキング・ドラゴン》を特殊召喚する!」
両腕の三角形が外れ、それが直線を描くように連なると、そこから《クラッキング・ドラゴン》が飛び出した。
クラッキング・ドラゴン レベル8 攻撃3000(1)
リボルバー
LP4000→3500
「へぇぇ…攻撃力3000のドラゴン族。めっちゃくちゃ、イライラするんだよなぁー、そういうのを見るとさぁ!!」
追加で召喚された巨大なドラゴンを見たステージ2が突然キレ始める。
精霊に憑依されたせいか、それとも彼自身の精神状態のせいなのか、情緒は不安定そのもので、リボルバーにとってはプレイメイカーとは対極のデュエリストに見えた。
「再び現れるがいい!我が道を照らす未来回路!アローヘッド確認。召喚条件は効果モンスター3体以上。私は《クラッキング・ドラゴン》と《ツイン・トライアングル・ドラゴン》、《マグナヴァレット・ドラゴン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!閉ざされし世界を貫く我が新風!リンク召喚!現れろ!リンク4《ヴァレルロード・ドラゴン》!」
両腕が機械でビームの翼を作り出すバックパックが搭載されている、赤いサイボーグのドラゴンがサーキットから飛び出し、ステージ2の周囲を旋回するように飛ぶ。
リボルバーの切り札にして、プレイメイカーを敗北寸前まで追い込んだ真紅のドラゴンが再びフィールドを舞う。
ヴァレルロード・ドラゴン リンク4 攻撃3000(EX1)
「ちっ…」
リボルバーの切り札を見たステージ2が舌打ちをし、睨むように《ヴァレルロード・ドラゴン》を見る。
「バトルだ。《ヴァレルロード・ドラゴン》で《アーマード・ウィング》を攻撃!」
「ブァァァァアカメェェェェ!!《BF-アーマード・ウィング》は戦闘では破壊されず、俺への戦闘ダメージも0になる!無駄撃ちだぁぁぁ!!」
《BF-アーマード・ウィング》が右手に楔を生み出し、《ヴァレルロード・ドラゴン》に向けて投げつける。
一方、《ヴァレルロード・ドラゴン》は口を開き、収納されている砲身を露出させると、そこから赤い弾丸を発射する。
「《ヴァレルロード・ドラゴン》の効果発動!このカードは相手モンスターを攻撃するダメージステップ開始時、攻撃対象となったモンスターをこのカードのリンク先に置き、コントロールを奪うことができる。ストレンジ・トリガー!!」
発射された赤い弾丸と楔がぶつかり合い、そこから粘着質のある液体が飛び出して《BF-アーマード・ウィング》を包んでいく。
一瞬、ノイズが発生した《BF-アーマード・ウィング》は消滅し、リボルバーのフィールドに映る。
BF-アーマード・ウィング レベル7 攻撃2500(2)
(これがシンクロモンスター…)
リボルバーはデュエルディスクを操作し、一時的に奪った《BF-アーマード・ウィング》を見る。
「な、なんだ…これは!?」
カードを見たリボルバーは自身の目を疑う。
そのカードのテキストと名前、数字は見たことのない文字で書かれていた。
そのせいで、彼にはそれを読むことができなかった。
「あーー、どうしたんですかぁー。俺のカード奪って、いい気分ですかぁー?」
「貴様…なんだ、この文字は!?」
リボルバーはハノイの騎士としての活動の都合上、日本語や英語だけでなく、アラビア語やウルドゥー語など、ネットワークにあるありとあらゆる言語に精通している。
今もバイザーを操作してデータベースからテキストの文字の照合を行っているが、どのようなパターンも合わない。
焦るリボルバーを見てスカッとしたのか、ステージ2は笑みを浮かべ始める。
「だが…攻撃力2500であるのは確か。バトルだ!《アーマード・ウィング》で《ターレット・ウィング》を攻撃!同時に、《ヴァレルロード・ドラゴン》の効果発動!アンチ・エネミー・ヴァレット!!」
再び現れる砲身から発射されたオレンジ色の弾丸が《LBF-ターレット・ウィング》に着弾すると同時に、1200度以上の高温が襲い掛かる。
全身が焼けるような暑さに包まれた《LBF-ターレット・ウィング》の攻撃力・守備力が低下する。
LBF-ターレット・ウィング リンク2 攻撃2000→1500
その《LBF-ターレット・ウィング》に追い討ちをかけるように、《BF-アーマード・ウィング》の拳が叩き込まれる。
拳が体を貫き、爆発がステージ2を襲う。
「うわああああ!!!」
ステージ2
LP4000→3000
「私はこれでターンエンド。《ヴァレルロード・ドラゴン》の効果でコントロールを奪った《アーマード・ウィング》は次のターン終了時に墓地へ送られる」
リボルバー
手札0
LP3500
場 ヴァレルロード・ドラゴン リンク4 攻撃3000(EX1)
BF-アーマード・ウィング レベル7 攻撃2500(2)
ステージ2
手札4→0
LP3000
場 黒い旋風(永続魔法)(2)
LBF(リンクブラックフェザー)-ターレット・ウィング
リンク2 攻撃2000 闇属性 鳥獣族
【リンクマーカー:下:左】
BFモンスター×2
(1):1ターンに1度、自分フィールドに「BF」チューナーモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキからレベル3以下の「BF」チューナーモンスターをこのカードのリンク先に特殊召喚する。この効果を発動したターン、自分は「BF」以外のモンスターを特殊召喚できない。
「…」
ダメージを受けたショックからか、急にステージ2は沈黙する。
手札はないものの、フィールド上には《黒い旋風》がある。
次のドローするカード次第では、まだまだ逆転できる可能性がある。
しかし、今の彼からはあきらめたためか、闘志を感じられない。
「どうした?貴様のターンだ。さっさとデュエルを進めろ。もしくは、ここでサレンダーをするか?」
「…て」
「何?」
「ふざけやがって…ふざけやがって、ふざけやがって…」
ブツブツとステージ2が連呼するたびに彼の体からどす黒いオーラが出てくる。
それに触れた瞬間、強い悪寒を感じたリボルバーは彼から距離を置く。
(こ、こいつは…!?)
「ふざけやがってふざけやがってふざけやがってふざけやがってふざけやがってふざけやがってふざけやがってふざけやがってぇぇ!!てめぇーーー!!俺をなんだと思ってやがるゥーーー!!俺はスキル、コピー・フェザーを発動ぉーーーーー!!」
ステージ2が叫び、同時にリボルバーは彼から発生する強いプレッシャーを感じ始めた。
プレッシャーを放ちながら、彼のそばに2人のハノイの騎士が現れた。
その2人も彼と同じ黒いオーラを宿している。
「そのスキルは…貴様!?一体何をした!?」
「俺様のスキルはぁ、ぶっ倒して吸収した野郎2人をこうして召喚して、味方としてデュエルに参戦させるのさぁー!で、こいつら2人は俺らとは別のフィールドを使用することになる!」
「貴様…卑怯な!?」
「卑怯もラッキョウもねぇんだよぉーーー!!勝たないとごみって教わらなかったっけーーー!?さぁ、俺様のために働け、下僕がぁ!!」
急にハイテンションに叫ぶステージ2に応えるように、2人のハノイの騎士がリボルバーを挟むように配置される。
ハノイの騎士A
手札4
LP4000
ハノイの騎士B
手札4
LP4000
「私のターン…」
ハノイの騎士A
手札4→5
「私は手札から魔法カード《トレード・イン》を発動。手札のレベル8モンスター1体を捨て、デッキからカードを2枚ドローする」
手札から墓地へ送られたカード
・クラッキング・ドラゴン
「さらに手札から魔法カード《死者蘇生》を発動。墓地から《クラッキング・ドラゴン》を特殊召喚する」
「ちぃぃ…!」
5年前、サイバースを滅ぼすために使用した《クラッキング・ドラゴン》が主であるリボルバーに牙をむく。
クラッキング・ドラゴン レベル8 攻撃3000(1)
「更に手札から永続魔法《悪夢の拷問部屋》を発動。相手ライフに効果ダメージが発生するたびに、さらに相手に300のダメージを与える。更に手札から装備魔法《魔界の足枷》を《ヴァレルロード・ドラゴン》に装備。装備モンスターは攻撃できず、攻撃力・守備力も100になる」
「ちぃ…!」
自身の体よりも大きな鉄球がついた足枷をつけられた《ヴァレルロード・ドラゴン》の片足に装着され、装着されたモンスターは苦しみ始める。
(《ヴァレルロード・ドラゴン》が対象とならないのはモンスター効果のみ。《魔界の足枷》のような魔法・罠カードへの対処ができん…!)
ヴァレルロード・ドラゴン リンク4 攻撃3000→100(EX1)
「更に私は手札から《ハック・ワーム》を召喚。カードを1枚伏せ、ターンエンド」
更にハノイの騎士のフィールドに《クラッキング・ドラゴン》を小さくしたかのようなデザインのモンスターが登場する。
そして、一時的に奪った《BF-アーマード・ウィング》は限界に達しており、データに分解されつつあった。
「…《ヴァレルロード・ドラゴン》の効果発動…。《アーマード・ウィング》は墓地へ送られる」
リボルバー
手札0
LP3500
場 ヴァレルロード・ドラゴン(《魔界の足枷》装備) リンク4 攻撃100(EX1)
ハノイの騎士A
手札5→3
LP4000
場 クラッキング・ドラゴン レベル8 攻撃3000(1)
ハック・ワーム レベル1 攻撃400(2)
伏せカード1(1)
悪夢の拷問部屋(2)
魔界の足枷(装備魔法)(3)
ハノイの騎士B
手札4
LP4000
場 なし
ステージ2
手札4→0
LP3000
場 黒い旋風(永続魔法)(2)
エクストラモンスターゾーン共有者
①リボルバーとステージ2
②ハノイの騎士2人
「見えてきた…あそこに!!」
スラム街でステージ2を探し続けていたジェミニがリボルバーとハノイの騎士2人、そしてステージ2の姿を見つける。
「そんな…!3VS1でデュエルなんて…!早く止めないと、あの人が…!」
リボルバーがハノイの騎士のリーダーであることを知らないジェミニはDボードを加速させ、彼らを追いかける。
同時に、ステージ2の姿を見たものの、彼の腕に抱きかかえられているはずのリーファの姿がなかった。
(リーファ…一体どこに!?)
「私のターン、ドロー」
ハノイの騎士B
手札4→5
「罠発動。《リリース&リバース》。私のフィールド上のモンスター1体をリリースし、その攻撃力分のダメージを受け、相手フィールド上にリリースしたモンスターを特殊召喚する」
ハノイの騎士Aのフィールドにいた《クラッキング・ドラゴン》が消滅し、ハノイの騎士Bのフィールドへと移る。
クラッキング・ドラゴン レベル8 攻撃3000(1)
ハノイの騎士A
LP4000→1000
「私は手札から速攻魔法《ピアニッシモ》を発動。私のフィールド上に存在する機械族モンスター1体の元々の攻撃力はこのターン、100となり、戦闘・効果では破壊されない」
クラッキング・ドラゴン レベル8 攻撃3000→100(1)
「更に手札から魔法カード《機械複製術》を発動。私のフィールド上に存在する攻撃力500以下の機械族モンスターと同じ名前のモンスターをデッキから2体まで特殊召喚する。私は《クラッキング・ドラゴン》2体をデッキから特殊召喚」
クラッキング・ドラゴン×2 レベル8 攻撃3000(2)(3)
「さあ…命令通り、そのままぶっ飛ばしてしまえ!」
「命令通りだと!?貴様…わざと…!」
ハノイの騎士Aのターン、《クラッキング・ドラゴン》は《ヴァレルロード・ドラゴン》を攻撃することができた。
《魔界の足枷》によって、攻撃力が100となっているため、倒すのはたやすい。
しかし、ただ彼は1ターンキルを演出したいがためだけにわざと攻撃させなかった。
「さあ…俺をバカにしたくそ野郎をぶっ潰しちまえーーー!!」
2体の《クラッキング・ドラゴン》の口からデータのブレスが放たれる。
主を守るため、《ヴァレルロード・ドラゴン》は満身創痍な体を動かし、彼の前で盾になるように立ちはだかり、2体のブレスをすべて受け止めた。
「《ヴァレルロード・ドラゴン》…!?ぐおおおおお!!」
《ヴァレルロード・ドラゴン》のダメージが限界を超えて爆発し、その爆発にリボルバーは巻き込まれた。
リボルバー
LP3500→600→0
「馬鹿な!?あのリボルバーが負けただと!?」
ジェミニに遅れて現場に到着したプレイメーカーは彼が敗北する姿を見て目を大きく開く。
スピードデュエルとマスターデュエルで自分をあれほど追い込み、痛めつけたあの男が敗北するというのは彼にとってありえないことだ。
リボルバーは落下する中、消滅するように姿を消す。
「へ、へへへ…俺様に逆らうから、逆らうからそうなるんだよ、ブァーーーーカ」
「待てーーー!!」
「ああん?」
リボルバーをあざ笑うステージ2に向けて、ジェミニが突っ込んでいく。
だが、3体の《クラッキング・ドラゴン》がブレスを放ち、妨害してくる。
(馬鹿野郎!?この空間で傷ついたら、俺がどうなるかわからねーんだぞ!?)
「リーファを…直葉はどこだ!?」
「リーファ…あーあー、あのカワイコちゃんかぁ。安心しろよ、ちゃーんとコレクションしてあるぜー。次は…行方不明のブルーエンジェルでも、グフフフ…」
「答えに…答えになっていないだろう!?」
「だったら答えてやるよ…。教えまっすぇーーーん!ブァーーーカ!」
3体の《クラッキング・ドラゴン》のブレスをかわすジェミニにハノイの騎士の1人がDボードから飛び出し、ジェミニに組み付く。
「まずい…!!奴を振り落とせ!!」
ハノイの騎士のアカウントが持つ機能を知っていたプレイメイカーが叫ぶが、すでに遅かった。
組み付いたハノイの騎士が自爆し、その爆発にジェミニが飲み込まれてしまった。
「アハハハハハハハ!!あーばよー!!」
残ったもう1人のハノイの騎士が消え、ステージ2は姿を消した。
「草薙さん、聞こえるか!?奴の追跡を!」
「分かった。遊作は彼を!!」
短い通信の後で、プレイメーカーはビルの屋上に落下し、ボロボロになって気絶したジェミニの元へ向かう。
ハノイの騎士の自爆はアカウントが消失するほどの威力であり、このようにアカウントが残っているだけでも奇跡だ。
だが、強烈な精神的ダメージを受けたという点に変化はない。
「直…葉…」
気を失ったジェミニはうわごとのように彼女の名前を呼んでいた。