遊戯王VRAINS 幽霊に導かれし少年   作:ナタタク

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霧山城市住民票
名前:シャドー
性別:不明
年齢:不明
誕生日:不明
CV(イメージ):三浦涼介
国籍:不明
身分:精霊?
趣味:不明
家族構成:不明
好きなデュエリスト:いない
性格:記憶喪失で、自分のことを最優先にする、相当なひねくれ者。気弱でウジウジしている、男らしくない男が大嫌い。
好きな食べ物:不明
結局、あんた誰?:知るか!


第5話 魔法少女のロンド

「着いたーー!」

誠と一緒にバスから降りた直葉は背伸びをしながら目の前に広がる校舎を見る。

ここは明日奈が通っている大学、霧山城学園大学で、ここだけでなく、K市にもキャンパスを持っている、この市では一番の大きさの大学だ。

(できれば、家で寝てたかったのに…)

(何言ってやがんだ?家の中は退屈だろーが、この引きこもり!)

休日は家の中にいることの多い誠は出るとしても近場に行く程度だ。

自転車で20分から30分以上かかるような場所へ行くのはまれで、今日は理由があって直葉と一緒に晴れの日であるにもかかわらず、バスで行くことになった。

「誠君、直葉ちゃん!」

「明日奈さーん!」

校門近くで手を振る明日奈を見た直葉は手を振り、彼女のもとへ走っていく。

「明日奈さん、試合はいつ始まるんですか?」

「あと1時間よ。ありがとう、応援に来てくれて。誠君も」

「別に…試合はネットでも見れるのに…」

誠の言う通り、明日奈が1時間後に行う試合はネットで実況中継されるし、応援はそこでの書き込みですることも可能であるため、誠は応援へ行くことはなかった。

今日は直葉に無理やり連れだされる形でここに来ることになった。

「ああ…そうだ!これから私のサークルの部室へ行かない?」

「いいんですか?邪魔になるんじゃ…」

「いいのいいの、そんなに大した準備をするわけじゃないから」

 

明日奈の案内により、キャンパスの学生会館1階にある部室へ案内される。

そこには明日奈と同じ学生たちが集まっており、彼らは今日大会で使用するロボットの調整を行っていた。

「明日奈、弟さんが来たのね!」

リモコンの調整をしていた、茶色いハネ毛のある短めの髪でソバカスのある、ピンクを主体としたセーター姿の少女が明日奈に声をかける。

彼女は明日奈と同級生の篠崎里香で、カフェランベントのアルバイト従業員の1人でもある。

「里香さん、こんにちは」

「ヤッホー、直葉。誠君とはあれから進展は?」

「し…進展!?どういう…?」

里香の発言の意味が分かった直葉は顔を赤くするが、誠は何を言っているのかわからないのか、首をかしげる。

分かりやすい反応を見せた直葉を見て、明日奈はクスリと笑ってしまう。

「節子、このパーツでいいんだよな?」

「ええ。あとはプログラムの調整をして…」

金髪のミディアムでアロハシャツと青いハーフパンツ姿をした男性が茶色いロングヘアーで茶色と黒を基調としたブラウスとミニスカート姿の女性が互いに話し合いながらロボットの手入れをしている。

男性はトビー・ワトソンという、ハワイからの交換留学生だ。

女性は小原節子で、明日奈とは1歳年上の先輩で、このロボットサークルの部長だ。

4輪車に4本のマニピュレーター付のアームをくっつけたような形のロボットが今回の試合で使うもので、今回はパズル組み立て勝負になる。

ロボットにパズルのピースを運ばせ、組み立てさせるスピードを争う。

「ねえ、明日奈さん。トビーさんと節子さん、はりきってますね」

「うん。今回の試合は特に…ね」

「そりゃあそうよ。これが2人にとって、一緒にできる最後の試合になるんだから…」

「え…最後??」

「そうなの。あと1カ月なのよ。トビーさんがこの大学にいられるのは…」

残念そうな表情を浮かべながら、里香は2人を見る。

その1カ月で、半年間の交換留学の期限が終わり、彼は帰国しなければならなくなる。

「最後の試合…。でも、交換留学が終わっても、今なら国際電話とかメールで…」

「そういう問題じゃないのよ、誠君」

「え…ええ??」

「もう、誠君…鈍感なんだから」

頬を膨らませながら、直葉は誠をにらみつけた。

 

試合開始時間となり、体育館には周辺の地域住民や遠方から来たロボットマニアが客席に座っている。

今回のパズル早組みには霧山城学園大学を含めて5校が参加している。

K市や北のN市やKN市、更には隣のS県からも参加校がある。

「節子、ロボットのチェックは頼んだぜ!」

「ええ。任せて!」

コントローラーを手にしたトビーとノートパソコンを前に置いた節子が互いに信頼しあいながら試合に臨む。

明日奈らはアクシデントに備えて、後ろで待機している。

「それでは、パズル早組みを開始します!試合…開始!!」

ストップウォッチが起動し、各校のロボットたちが一斉に動き出す。

「トビー!6番と13番、25番に40番のピースを取って!」

「了解だ!」

P○4のコントローラーを若干改造したものを操作するトビーは節子の言う通り、それらのピースを手にすると、一気にスピードを上げて若干距離のあるパズルボードまで移動する。

ロボットとコントローラーは無線となっているものの、ある程度距離が離れてしまうとコントロールが効かなくなる。

そのため、トビーはロボットと並走するように走らなければならない。

「よし、ええっと、どこにはめればいいか…」

パズルボードに到着したトビーはピースのはまる場所を探し始める。

今回のパズルの規格は25.7×18.2cmの108ピースで、人間が遊ぶのと同じものが使用されている。

そのため、ロボットには速度だけでなく、手にしてからはめるまでの間、ピースを保持し、そして確実の正解の場所へ置けるだけの精密さが求められる。

「こんな声援の中で姉さんたちって試合をしてるんだ…」

ネットの実況を見ているときは、たいていの場合は試合をしている人々が映ってばかりいて、客席については向こう側のがたまたま映るくらいだ。

実況者のいない、聞こえるのは声援ばかりのこの空間は誠にとって、新鮮そのものだ。

「ええっと、ここにこれを置いて…よし、1列できたぜ!!」

何回も往復を繰り返し、ようやく一列完成したトビーだが、相手チームの中にはすでに3列で来ているチームもあり、ここからスピードアップが必要になる。

「ん…?左アームの回転が鈍いか??」

ピースのある場所まで戻ってきたトビーはピースをつかむロボットのアームに違和感を覚える。

些細な問題ではあるが、このまま放置するわけにもいかず、トビーは節子に連絡する。

「ええ…アームに不具合?わかったわ!すぐにスペアと交換しましょう!」

ロボットをスタート地点に戻し、明日奈が交換用の左アームと修理用具をもって走っていく。

急いで不具合の発生した左アームを取り外し、予備のアームと交換する。

「よし、行くぜ!!」

短時間で修理が終わり、節子によるプログラムのチェックも完了したロボットが発進する。

「すごい…こんなに短い時間でできるんだ…」

自分で作ったロボットだということもあるかもしれないが、早急にトラブルを解決した明日奈たちの動きに誠はびっくりする。

「あれ…?そういえば、どうして明日奈さんってロボットサークルに入ってるんだっけ?料理サークルもこの大学にはあるって聞いたのに…」

「…」

直葉の疑問に誠は沈黙する。

(お前、何黙ってんだよ?知ってんだろ?お前の姉貴がそのサークルに入ってる理由)

「…」

(教えろよー。俺は少なくとも、おめー以外とはコミュニケーションがとれねーんだから)

シャドーの声が誠の脳裏に響くが、彼は沈黙を保ったままだ。

(けっ…いけ好かない野郎だぜ。なんでこんな奴にとりつかなきゃならねーんだ…)

誠にとりついているシャドーだが、彼の感情や記憶を読み取ることはできない。

そのため、誠が黙っている以上はこちらも答えを引き出すことができない。

 

「うーん、あとちょっとだったなー」

「トラブルがあったとはいえ、2位はいい順位じゃないの?」

「でも、全国大会になるともっと早いロボットも出るかもしれないでしょ?」

試合が終わり、ミーティングを済ませた明日奈は誠と直葉を乗せて車で家へ戻る。

途中、明日の店のために食材を買いに高校の近くにあるアクアへ寄り道することになるが。

「ねー、明日奈さん。今更なんだけど」

「どうしたの?直葉ちゃん」

「明日奈さんって、どうしてロボットサー…」

「あれ?どうしたのかしら…??」

市役所前通りを走っていた明日奈たちの車が長い渋滞に巻き込まれる。

通勤のある午前中であれば、短めではあるが渋滞が起こることがある。

しかし、このような長い渋滞は大きな事故が起こらない限りはかなり珍しい。

「うーん、どうしよう。特売セールまであと20分なのに…」

「何が起きてるのか、見てくるよ」

「え…誠君!?」

直葉たちが止める声を無視して、誠は車を降りて歩道へ向かう。

そして、そのまままっすぐ走っていき、その途中にあるスーパー『マツカゼ』を通り過ぎて、渋滞の先にある左へ90度曲がる曲がり角に到着した。

「これは…」

そこで見たのは横に倒れた大型トラックで、既にパトカーが到着してトラックのドライバーから事情を聴いている。

後ろのドアが開き、荷物が散乱していて、窓ガラスが割れているにもかかわらず、ドライバー自身は軽傷で済んでいた。

「それで、急に何かが現れたと…?」

「ああ。なんか、銀色の服を着た身長は…180後半くらいか、そいつが急に俺のトラックと並んで走っていたんじゃ。しかも、路上で…。そして、横から思いっきり体当たりしてきて…」

「銀色の服の人間…というより、人間なのか?それは…」

ドライバーの証言には嘘がない可能性の方が高い。

その銀色の服の人間については既に目撃者が何人もいて、トラック横転を目撃した人も同じようなことを言っていた。

「それにしても、こんなことになったのに、よくかすり傷だけで済みましたよね?」

「それが…横転したときに急にトラックの中から引っ張り出されたのさ。で、気づいた時にはトラックの外で、歩道に倒れていたのさ。一体何が何やら…」

こうしてしゃべっている本人もまるで訳が分からないと言いたげな表情を見せており、警察も今回のことは事故として処理していいのか全く分からない様子だ。

「銀色の服…?」

警察官とドライバーのやり取りを聞いていた誠の携帯が鳴る。

非通知となっているため、電話番号は表示されていない。

恐る恐る電話に出る。

「もしもし…」

(もしもし。どうやら、またステージ2による事件が起こったみたいだ)

「その…なんで、知ってるんですか?」

この事故が起こったのは十数分前で、まだテレビやラジオでは放送されていない。

ネットであれば、シャベッターなどのSNSで話題となるかもしれないが、それでもニュースに出るにしては早すぎる。

(警察の中にも関係者がいてね。その人から情報をもらったのさ)

「それ…違法なんじゃ…」

(そうでもしないと、彼らを安全に確保できないからね)

菊岡の言うことには一理ある。

精霊にとりつかれた人間を警察で対応するのは不可能に近く、最悪の場合、その人間を殺してしまうというケースもあり得る。

そして、今現在、とりついている精霊を安全に追い払うことができるのは誠だけだ。

「はぁ…。それで、今回のステージ2はだれが…」

(その情報はまだつかめていない。とにかく、発見次第すぐに捕獲に行けるように、準備だけはしておいてくれ)

言い終わると同時に、菊岡は電話を切る。

ツーツー、と響く電話をポケットにしまっていると、トラックを回収するためのレッカー車が到着する。

トラックは撤去されるだろうが、現場検証があることから、しばらくは通れないだろう。

誠は明日奈に迂回を勧めるため、車まで戻っていった。

 

「…」

電話を切った菊岡は受話器を置き、ソファーに腰を掛ける。

「先生…あの子は…」

「彼は使える子だよ、神代さん」

入れたばかりの紅茶を口にし、薄く笑いながら神代に返事をする。

その使える、という言葉の意味を解せない神代は若干彼に疑いのまなざしを向けている。

「君の懸念は理解しているつもりだ。だが…彼の力は必ず必要になる。私と君からすべてを奪った存在を倒すためにも…」

「ええ。わかっています。わかって…います…」

菊岡の言う『存在』のことはいやでも頭に焼き付いている。

そして、それを倒すために戦うことを誓い合った日のことも。

だが、そのために必要だからと言って、あの臆病な少年を巻き込んでいいものなのか。

患者が来て、席を外す彼の後姿を見ながら神代は悩んでいた。

 

買い物を終え、帰宅した誠と一緒に彼の自室にいる直葉が彼に話しかける。

「ねえ、誠君。あの時使ってたデッキなんだけど…」

「…ん?」

青いエプロンガウンとピンク色の手袋をつけたような姿をした、丸いずんぐりとした形のロボットの電源を入れる誠は急にどうしたと言いたげに彼女に目を向けることなく首をかしげる。

このロボットは最近明日奈が買ったばかりのお掃除ロボット『ロボッピ』で、時間がなかったことから誠が代わりに作ることになっていた。

そういう誠も勉強だけでなく、リンクヴレインズに関する書き込みや実況のチェックで忙しかったため、なかなか手を付けることができなかった。

電源が入ったロボッピのカメラに2本の棒状の目が光る。

「初めまして、ロボッピです。あなたがご主人さまですか?」

「ううん」

「誠君、出来上がった?」

「うん、ほら」

部屋に入ってきた明日奈にロボッピを渡し、彼女はそれを自分の目の高さまで持ち上げる。

「あなたが、ご主人さまですか?」

「そう!これからお手伝い、よろしくね?ロボッピちゃん」

ロボッピの頭を撫でた明日奈はそのままロボッピと一緒に1階へ降りて行った。

一方、自分のことを無視された直葉はじとーっとした目で誠を見ていた。

「ええっと、何の質問だったっけ?」

「あの怪人みたいな男の人とデュエルをしていたときのデッキ!持ってるでしょ?」

「え…ああ、持ってるよ」

(あーあ、おーこらせた、怒らせた)

誠はC.C.デッキを直葉に差し出し、怒っている直葉を分捕るようにデッキを手にし、カードを確認する。

巷に出ているカードすべてを網羅しているわけではないが、それでもそれらのカードは見たことも聞いたこともないものばかりだ。

「ねえ、あたしとデュエルをしてみたい?」

「ええ?デュエルなら外で…」

「そのカード…あんまり外で見せびらかさないほうがいいかもしれないし。それに、あたしも誠君のそのデッキとデュエルしてみたいの」

そういいながら、誠の押し入れの中にある2人用のデュエルボードを置く。

デュエルボードは腕に取り付けることができず、コンセントか電池がなければ使えないが、小型ノソリッドビジョンでモンスターの動きを見ることができるため、デュエルディスクでデュエルができない空間でテーブルデュエルでは不満足だというデュエリストに重宝されている。

2人はデュエルボードにデッキとエクストラデッキをセットする。

(デュエルモードオン、マスタールール3、設定しました)

「さあ…思いっきり楽しもう!」

「う、うん…」

「「デュエル!!」」

 

手札5

LP4000

 

直葉

手札5

LP4000

 

「僕の先攻、僕は手札から《C.C.ブラスタ》を召喚!」

逆V字型の翼部パーツがついていて、小型のライフルと鋭利な二等辺三角形に近い形のシールドを持つ、白と黒が基調の人型ロボットが現れる。

体にはてんびん座の配置となっている複数の青い球体がついている。

 

C.C.ブラスタ レベル4 攻撃1900(5)

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド」

 

手札5→2

LP4000

場 C.C.ブラスタ レベル4 攻撃1900(5)

  伏せカード2(1)(2)

 

直葉

手札5

LP4000

場 なし

 

「あたしのターン、ドロー!」

 

直葉

手札5→6

 

「いきなり見たことのないモンスター…。じゃあ、あたしは手札から《ベリー・マジシャン・ガール》を召喚!」

直葉のフィールドにピンク色に変わった《ブラック・マジシャン・ガール》の帽子をつけた、おしゃぶりを口にしている赤子の魔法少女が現れる。

 

ベリー・マジシャン・ガール レベル1 攻撃400(2)

 

「《ベリー・マジシャン・ガール》の効果発動!このカードの召喚に成功したとき、デッキからマジシャン・ガール1体を手札に加えることができる!あたしは《ブラック・マジシャン・ガール》を手札に加える!さあ、現れて!魔力を繋ぐサーキット!!」

デュエルボートの上にアローヘッドが出現し、それを《ベリー・マジシャン・ガール》がどこから持ち出したのか、ガラガラを鳴らしながら見ている。

「アローヘッド確認!召喚条件はレベル4以下の魔法使い族モンスター1体!あたしは《ベリー・マジシャン・ガール》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れて、リンク1!《グレープフルーツ・マジシャン・ガール》!!」

アローヘッドの中からグレープフルーツと同じ色の、《ブラック・マジシャン・ガール》と同じ形のローブと帽子をつけ、両手に黄色いボンボンをつけた白いツインテールで小学生くらいの魔法少女が現れる。

 

グレープフルーツ・マジシャン・ガール リンク1 攻撃1400(EX2)

 

「《グレープフルーツ・マジシャン・ガール》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功したとき、手札からマジシャン・ガールモンスター1体を特殊召喚できる!あたしは手札から《ブラック・マジシャン・ガール》を特殊召喚!現れて、マイフェイバリットカード!」

《グレープフルーツ・マジシャン・ガール》がボンボンを振り回し、応援する中で《ブラック・マジシャン・ガール》が現れる。

現れると同時に、誠に対して投げキッスをして、彼の顔を赤く染めさせる。

 

ブラック・マジシャン・ガール レベル6 攻撃2000(3)

 

「誠君、もしかして…《ブラック・マジシャン・ガール》に見とれてる?」

「そ、そりゃあ…あんな過激な服装をしてるし…」

反論できなかった誠は目を泳がせながら言い訳をし始める。

誠がウブだということは分かっているが、自分以外の女の子を見て顔を赤くする彼は面白くない。

たとえそれが、自分が使っているモンスターにたいしたものであってもだ。

「ふーん…。あたしは《グレープフルーツ・マジシャン・ガール》の効果発動!このカードのリンク先にマジシャン・ガールがいるとき、このカードをリリースすることで、デッキ・墓地から《賢者の宝石》1枚を手札に加えることができる」

《グレープフルーツ・マジシャン・ガール》がクルンと一回転してから姿を消すと、直葉のデッキから《賢者の宝石》が自動排出され、彼女の手札に加わる。

「更に、手札から魔法カード《賢者の宝石》を発動!デッキから《ブラック・マジシャン》を特殊召喚!」

《ブラック・マジシャン・ガール》がフィールドに現れた《賢者の宝石》に祈りをささげると、《ブラック・マジシャン》がフィールドに現れた。

 

ブラック・マジシャン レベル7 攻撃2500(2)

 

「更に、《グレープフルーツ・マジシャン・ガール》は墓地に存在するとき、カード名を《ブラック・マジシャン》としても扱う。そして、《ブラック・マジシャン・ガール》は墓地の《ブラック・マジシャン》1体につき、攻撃力が300アップするわ!」

 

ブラック・マジシャン・ガール レベル6 攻撃2000→2300

 

グレープフルーツ・マジシャン・ガール

リンク1 攻撃1400

【リンクマーカー:右下】

レベル4以下の魔法使い族モンスター1体

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードの特殊召喚に成功したとき、手札の「マジシャン・ガール」モンスター1体を対象に発動する。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードのリンク先に「マジシャン・ガール」モンスターが存在するとき、自分フィールド上に存在するこのカードをリリースすることで発動できる。デッキ・墓地から「賢者の宝石」1枚を手札に加える。

(3):このカードのカード名は墓地に存在する限り、「ブラック・マジシャン」としても扱う。

 

「く…直葉の常とう手段だ…」

《グレープフルーツ・マジシャン・ガール》を利用した《ブラック・マジシャン・ガール》と《ブラック・マジシャン》の同時展開とパワーアップ。

1ターン目から魔法使い族を展開し、さらに連携を利用してゲームエンドに追い込む。

それが彼女のデッキの特徴だ。

「バトル!《ブラック・マジシャン》で《ブラスタ》を攻撃!黒・魔・導!」

《ブラック・マジシャン》の杖から発射される魔力の球体が《C.C.ブラスタ》を襲おうとする。

しかし、急に盾が分離した刃が《ブラック・マジシャン》を襲い、それを防御するため、やむなく攻撃を中断して守備表示に切り替わる。

 

ブラック・マジシャン レベル7 攻撃2500→守備2100(2)

 

「あ、あれ!?なんで??」

「《C.C.ブラスタ》は相手ターンに1度、相手がモンスターの特殊召喚に成功したとき、そのモンスターの表示形式を変更することができる。そして、その効果を受けたモンスターはこのターン、攻撃できない」

「やっぱり、特殊召喚に対抗してきた…!」

このデッキでの誠のデュエルを見ていた直葉は《C.C.ブラスタ》が何かをしてくるということは分かっていた。

出鼻をくじかれる格好になったが、まだ《ブラック・マジシャン・ガール》は攻撃可能だ。

「だったら、《ブラック・マジシャン・ガール》で《C.C.ブラスタ》を攻撃!黒・魔・導・爆・裂・破!」

《ブラック・マジシャン・ガール》が《ブラック・マジシャン》と同じように魔力の球体を杖から発射する。

魔力の威力は師匠のそれには劣るものの、《C.C.ブラスタ》が迎撃のために発射する弾丸を破壊し、そのまま機体の胴体を貫いた。

 

LP4000→3600

 

C.C.ブラスタ

レベル4 攻撃1900 守備1500 効果 風属性 機械族

(1):相手ターンに1度、相手がモンスターの特殊召喚に成功したときに発動できる。そのモンスターの表示形式を変更させる。この効果を受けたモンスターはこのターン攻撃できず、次の自分のターン終了時まで表示形式を変更できない。

 

「でも、罠カード《ダメージ・コンデンサー》を発動!僕が戦闘ダメージを受けたとき、手札1枚を墓地へ捨てることで、デッキから受けたダメージ以下の攻撃力のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。僕はデッキから《C.C.オセロット》を特殊召喚」

 

C.C.オセロット レベル2 攻撃400(1)

 

手札から墓地へ送られたカード

・C.C.リザード

 

「あたしはカードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

手札2→1

LP3600

場 C.C.オセロット レベル2 攻撃400(1)

  伏せカード1(2)

 

直葉

手札6→4

LP4000

場 ブラック・マジシャン(《C.C.ブラスタ》の影響下) レベル7 守備2100(2)

  ブラック・マジシャン・ガール レベル6 攻撃2300(3)

  伏せカード1(2)

 

「僕のターン、ドロー!」

 

手札1→2

 

「僕は手札から《C.C.ハウンドドック》を召喚!」

猟犬座と同じ配置の青い球体を付けた、4本脚で青い装甲の犬型ロボットが現れる。

 

C.C.ハウンドドック レベル2 攻撃800(2)

 

「更に、僕は手札から魔法カード《C.C.R》を発動!相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在するとき、墓地からC.C.2体を特殊召喚できる。ただし、この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり、ターン終了時に除外される。僕は《C.C.ブラスタ》と《C.C.リザード》を特殊召喚!」

《C.C.ブラスタ》と共にトカゲ座の配置をしている青い球体を付けた、緑色のうろこ状の装甲で槍を持つ魚人型ロボットが現れる。

 

C.C.ブラスタ レベル4 攻撃1900(4)

C.C.リザード レベル1 攻撃300(5)

 

C.C.R(コンステレイト・コマンダー・リバース)

通常魔法カード

このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。

(1):相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在するとき、墓地に存在する「C.C.」モンスター2体を対象に発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、ターン終了時に除外される。

 

「一気にモンスターを4体も!?」

「現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はC.C.1体以上!僕は《C.C.リザード》と《C.C.ブラスタ》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク2!《C.C.ガンレオン》!」

右手に持っている超大型レンチを中心に、複数の工作機械を合体させたオレンジ色の大型人型兵器が姿を現す。

胸部にはしし座の配置をした青い球体が埋め込まれている。

 

C.C.ガンレオン リンク2 攻撃2000(EX2)

 

「また見たことのないリンクモンスターを…!?」

「更に、《C.C.リザード》の効果発動!このカードをC.C.リンクモンスターの素材として墓地へ送ったとき、相手フィールド上に《リザードテイルトークン》1体を守備表示で特殊召喚する!」

《C.C.リザード》のしっぽのパーツがゴトンの直葉のフィールドに落ちる。

当然、特殊召喚されたモンスターとして扱われるため、C.C.にメリットを与える存在を押し付けられた直葉は顔をしかめる。

 

リザードテイルトークン レベル2 守備2000(1)

 

C.C.リザード

レベル1 攻撃300 守備200 効果 地属性 機械族

このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えない。

(1):自分フィールド上に「C.C.」モンスターが存在するとき、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードを「C.C.」リンクモンスターのリンク素材として墓地へ送ったときに発動する。相手フィールド上に「リザードテイルトークン」1体を守備表示で特殊召喚する。

 

リザードテイルトークン

レベル1 攻撃300 守備2000 トークン 地属性 機械族

「C.C.リザード」の効果で特殊召喚される。

 

「まだだ!もう1度現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は効果モンスター3体以上!僕は《C.C.ガンレオン》と《C.C.ハウンドドック》、《C.C.オセロット》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、《C.C.リ・ブラスタ》!!」

アローヘッドにてんびん座が出現し、そこから青と緑を基調とした色彩が加わった装甲で、右手にロングライフルを新たに装備した《C.C.ブラスタ》が現れる。

現れたと同時に、装甲に埋め込まれているてんびん座を模した複数の青い球体が一瞬、緑色の光る。

 

C.C.リ・ブラスタ リンク4 攻撃2800(EX1)

 

「しし座の次はてんびん座!?」

「《リ・ブラスタ》の効果発動。このカードのリンク召喚に成功したとき、墓地に存在するリンク素材となったモンスター1体をこのカードのリンク先に特殊召喚する。僕は墓地から《C.C.ガンレオン》を特殊召喚!」

《C.C.リ・ブラスタ》が上空にロングライフルからビームを発射する。

そして、ビームによって空間が貫かれ、そこから《C.C.ガンレオン》が下りてくる。

 

C.C.ガンレオン リンク2 攻撃2000(3)

 

「そして、墓地の《ハウンドドック》の効果発動。僕がC.C.モンスターのリンク召喚に成功したとき、そのリンク先に特殊召喚できる。《C.C.ハウンドドック》を特殊召喚!」

 

C.C.ハウンドドック レベル2 攻撃800(1)

 

C.C.ハウンドドック

レベル2 攻撃800 守備1300 効果 地属性 機械族

「C.C.ハウンドドック」の(2)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えない。

(1):手札のこのカードを墓地へ送り、相手フィールド上に存在する特殊召喚されたモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターの表示形式を変更する。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが墓地に存在し、自分が「C.C.」リンクモンスターのリンク召喚に成功したとき、そのカードのリンク先にモンスターが存在しない場合に発動できる。このカードをリンク先に表側守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードはフィールドを離れる場合、除外される。

 

「これでまたモンスターが増えた…ということは!?」

「3回目だ!現れろ、星を繋ぐサーキット!」

3回目のリンク召喚を行おうとする誠を見た直葉は本当に今デュエルをしているのが彼なのかと疑ってしまった。

普段の彼のデッキでこのように激しく動くようなことがなかったからだ。

「アローヘッド確認!召喚条件はC.C.モンスター2体以上!僕は《C.C.ガンレオン》と《C.C.ハウンドドック》をリンクマーカーにセット!なお、自身の効果で特殊召喚された《ハウンドドック》はフィールドを離れるとき除外される!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク3!《C.C.ジェニオン》!」

《C.C.リ・ブラスタ》とリンク召喚されたばかりの《C.C.ジェニオン》が互いにリンクしあう。

すると、互いの装甲についている青い球体が緑色に光った。

 

C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(3)

 

1ターンでリンク召喚を3回行い、フィールドに出たモンスターの攻撃力は2500と2800。

2人の黒魔導士を倒すにはそれで十分だ。

だが、それだけでは終わらない。

「《リ・ブラスタ》の効果発動!1ターンに1度、相互リンクしているC.C.リンクモンスター1体の攻撃力をターン終了時まで自身の攻撃力に追加できる!」

《C.C.ジェニオン》の右手から放たれる緑色の光を浴びた《C.C.リ・ブラスタ》の装甲が赤く染まり、タイヤ用の追加パーツ2つが両肩に追加される。

 

C.C.リ・ブラスタ リンク4 攻撃2800→5300

 

「攻撃力5300!?」

「更に、《ジェニオン》の効果発動。1ターンに1度、このカードのリンク先に存在するモンスターの数だけ、このカードにバリアカウンターを置くことができる。そして、このカードが破壊されるとき、代わりにバリアカウンター1つを取り除くことができる!」

《C.C.ジェニオン》の眼前に紫色の鏡上のバリアが生まれる。

これにより、《C.C.ジェニオン》は1度だけ破壊を回避できるようになった。

「バトル!《ジェニオン》で《ブラック・マジシャン》を攻撃!インパクトダガー!」

《C.C.ジェニオン》が腰部にマウントしているビームダガーを引き抜き、守備表示となっている《ブラック・マジシャン》に接近する。

「罠発動!《ブラック・イリュージョン》!!あたしのフィールド上に存在する攻撃力2000以上の闇属性・魔法使い族モンスターはターン終了時まで戦闘では破壊されず、効果を受けなくなる!その間、モンスター効果は無効になっちゃうけど…」

 

ブラック・マジシャン・ガール レベル6 攻撃2300→2000

 

《ブラック・マジシャン》の杖と《C.C.ジェニオン》のビームダガーがぶつかり合う中、《C.C.リ・ブラスタ》の拳が回転を始める。

「でも、ダメージは受けてもらうよ!《C.C.リ・ブラスタ》で《ブラック・マジシャン・ガール》を攻撃!キャリバー・ナックル!!」

拳を回転させながら突っ込んでいった《C.C.リ・ブラスタ》が両腕の大出力のビームソードを展開し、《ブラック・マジシャン・ガール》を切り裂こうとする。

黒・魔・導・爆・裂・破を放って攻撃を阻止しようとするも、それを受けても《C.C.リ・ブラスタ》はひるむことなく肉薄し、そのまま真っ二つに切り裂こうとする。

《ブラック・イリュージョン》の効果で、攻撃が当たる直前に姿を消して回避するが、それでも直葉へのダメージには変わりない。

 

直葉

LP4000→700

 

「一気にライフが700まで…」

「僕はこれで、ターンエンド。《リ・ブラスタ》の効果は消える」

 

手札2→0

LP3600

場 C.C.リ・ブラスタ リンク4 攻撃5300→2800(EX1)

  C.C.ジェニオン(バリアカウンター1) リンク3 攻撃2500(3)

 

直葉

手札4

LP700

場 リザードテイルトークン レベル2 守備2000(1)

  ブラック・マジシャン(《C.C.ブラスタ》の影響下) レベル7 守備2100(2)

  ブラック・マジシャン・ガール レベル6 攻撃2000→2300(3)

 

C.C.ガンレオン 

リンク2 攻撃2000 炎属性 機械族

【リンクマーカー:上 下】

「C.C.」モンスター1体以上

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):フィールド上に存在するこのカード及びこのカードとリンクしている「C.C.」リンクモンスターは1ターンに1度、戦闘では破壊されない。

(2):このカードが特殊召喚された相手モンスターを戦闘で破壊したとき、墓地に存在する「C.C.」モンスター1体を対象に発動できる。そのカードを特殊召喚する。

 

「あたしのターン、ドロー!」

 

直葉

手札4→5

 

「あたしは手札から《チョコ・マジシャン・ガール》を召喚!」

蝙蝠の羽根を模した飾りがついた杖とローブ、そして帽子をつけた青いロングヘアーの魔法少女が現れる。

ローブはハートを模した形となっており、これまでのマジシャン・ガールと比較するとかなり露出度が高くなっていた。

 

チョコ・マジシャン・ガール レベル4 攻撃1600(5)

 

「《チョコ・マジシャン・ガール》の効果発動!1ターンに1度、手札から魔法使い族モンスター1体を墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドロー!」

 

手札から墓地へ送られたカード

・守護神官マハード

 

《チョコ・マジシャン・ガール》は攻撃対象となったとき、墓地のそれ以外の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚し、そのモンスターに攻撃対象を変更させる効果がある。

先ほど手札から墓地へ送られた《守護神官マハード》も例外ではなく、これで《チョコ・マジシャン・ガール》はその甘そうな名前とは裏腹に下手に触れたら大やけどするモンスターに変貌した。

「そして、あたしは手札から速攻魔法《黒魔導強化》を発動!お互いのフィールド・墓地に存在する《ブラック・マジシャン》と《ブラック・マジシャン・ガール》の数によってこの効果は決まるよ。そして、フィールドには《ブラック・マジシャン》と《ブラック・マジシャン・ガール》が1体ずつ、そして墓地には《ブラック・マジシャン》としても扱う《グレープフルーツ・マジシャン・ガール》が1体。よって、3種類すべての効果が使える!まずはフィールド上の闇属性・魔法使い族モンスター1体の攻撃力を1000アップ!」

《黒魔導強化》から放たれる紫色の光が自身の周囲を回転しているのを見た《ブラック・マジシャン・ガール》の両足のブーツが消え、ガラスの靴へと変化する。

「女の子はおめかしをしないとね?」

 

ブラック・マジシャン・ガール レベル6 攻撃2300→3300(3)

 

「更に、このターンあたしが発動する魔法・罠カードの発動に対して相手はカード効果を発動できず、更にあたしのフィールド上の魔法・罠カードは相手によって破壊されなくなる!そして、自分フィールド上に存在する魔法使い族・闇属性モンスターはこのターン、相手の効果を受けない!」

たった1枚の魔法カードによって、直葉の黒魔導士たちと魔法・罠カードには強力な耐性が与えられてしまった。

《ブラック・マジシャン》は《C.C.ブラスタ》の効果で表示形式の変更はできないものの、《ブラック・マジシャン・ガール》はこれで《C.C.リ・ブラスタ》を倒せるだけの力を得た。

「更にあたしは手札から速攻魔法《光と闇の洗礼》を発動!」

「そのカードは…!!」

「自分フィールド上の《ブラック・マジシャン》1体をリリースして、手札・デッキ・墓地から《混沌の黒魔術師》1体を特殊召喚できる!さあ、混沌の力を得て進化して!《ブラック・マジシャン》!」

《ブラック・マジシャン》が白と黒のオーラに包まれ、その姿を変えていく。

帽子が黒い左右に割れたような形のかんむりへと変わり、帽子の中に隠れていた髪もロングヘアーとなって外気にさらされる。

そして、ローブも赤い飾りがいくつもついたコートへと変わり、おまけに杖には赤いらせん状のラインが刻まれる。

師匠の変身した姿を見た《ブラック・マジシャン・ガール》はオーッと言いたげにその姿を見ていた。

 

混沌の黒魔術師 レベル8 攻撃2800(2)

 

「これで、墓地の《ブラック・マジシャン》は2体!よって、《ブラック・マジシャン・ガール》の攻撃力もアップ!」

 

ブラック・マジシャン・ガール レベル6 攻撃3300→3600(3)

 

「バトル!《ブラック・マジシャン・ガール》で《リ・ブラスタ》を攻撃!黒・魔・導・爆・裂・破・超・式(ブラック・バーニング・ハイパーモード)!!」

《ブラック・マジシャン・ガール》の杖から放たれる魔力の光線に貫かれた《C.C.リ・ブラスタ》が消滅する。

 

LP3600→2800

 

「更に、《混沌の黒魔術師》で《ジェニオン》を攻撃!」

「《ジェニオン》の効果発動!破壊される代わりに、バリアカウンターを1つ取り除く!」

《C.C.ジェニオン》の前に展開されているバリアが《混沌の黒魔術師》の杖から放たれる黒い炎から彼を守る。

 

LP2800→2500

 

「そして、カードを2枚伏せてターンエンド!更に《混沌の黒魔術師》の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功したターン終了時、墓地の魔法カード1枚を手札に加えることができる。あたしは墓地の《黒魔術強化》を手札に加える!」

 

手札2→0

LP2500

場 C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(3)

 

直葉

手札5→1(《黒魔術強化》)

LP700

場 リザードテイルトークン レベル2 守備2000

  混沌の黒魔術師 レベル8 攻撃2800(2)

  ブラック・マジシャン・ガール レベル6 攻撃3600→2600(3)

  チョコ・マジシャン・ガール レベル4 攻撃1600(5)

  伏せカード2(3)(4)

 

C.C.リ・ブラスタ

リンク4 攻撃2800

【リンクマーカー:左上 左下 右上 右下】

効果モンスター3体以上

このカード名の(2)(3)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードのリンク召喚に成功したとき、自分の墓地に存在するリンク素材となったモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターをこのカードのリンク先に特殊召喚する。

(2):このカードと相互リンクしている「C.C.」リンクモンスター1体を対象に発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時までそのモンスターの元々の攻撃力分アップする。

(3):このカードとリンクしているリンクモンスター以外の「C.C.」モンスター1体をリリースして発動できる。相手フィールド上に存在するカード1枚を墓地へ送る。

 

 

(へえ、結構やるじゃん。このおっぱいのデカイ姉ちゃん)

「ちょ…シャドー!?」

「ん?シャドーって?それに、顔真っ赤だよ?」

シャドーのおっぱい、という言葉に反応して誠の顔が真っ赤に染まり、シャドーの言葉が聞こえない直葉は首をかしげる。

以前、誠はアクシデントで家の風呂を借りている直葉が体を洗う姿を見てしまったことがある。

当然のことながら、怒った直葉に風呂桶を投げつけられ、数十分程度意識不明となった。

しかし、その時に見た彼女の姿は今でも脳裏に焼き付いてしまっている。

(んだよ。その程度で恥ずかしがるんじゃねーよ。もしかしてお前、変態だったりするのか?)

「…僕のターン!」

(あ、無視しやがったな。ってことはお前、変態確定だな)

(これ以上シャドーと話してたら、直葉に変な誤解を与えちゃう…!)

反論しそうになった誠だが、その言葉を思いっきり飲み込んで、ドローしたカードを見る。

「よし…!僕は手札から装備魔法《スフィア・フォース》を《ジェニオン》に装備!このカードはC.C.リンクモンスターにのみ装備できるカードで、装備モンスターの攻撃力を1000アップさせる!」

発動と同時に、相互リンクしていた《C.C.リ・ブラスタ》がいなくなったことで元の色に戻っていた青い球体が再び緑色の光を放ち始め、バックパックからも緑色の光が発生する。

 

C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500→3500(3)

 

「攻撃力3500!?」

「(ここから《オセロット》の特殊召喚と行きたいけれど、メインモンスターゾーンにリンクしている個所がない…!)バトル!《ジェニオン》で《混沌の黒魔術師》を攻撃!」

「永続罠《マジシャンズ・プロテクション》を発動!」

発動と同時に、直葉の前に魔法陣が描かれたバリアが展開される。

「これで、あたしのフィールド上に魔法使い族が存在する限り、受けるダメージは半分になるよ」

「《ジェニオン》に装備されている《スフィア・フォース》の効果発動!1ターンに1度、装備モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、デッキからカードを1枚ドローできる!」

 

直葉

LP700→350

 

スフィア・フォース

装備魔法カード

「C.C.」リンクモンスターにのみ装備可能。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):装備モンスターの攻撃力が1000アップする。

(2):装備モンスターが相手モンスターを戦闘で破壊したときに発動する。自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

《混沌の黒魔術師》が《C.C.ジェニオン》のビームダガーで切り裂かれ消滅し、誠はデッキトップに指をかける。

(直葉の手札には《黒魔術強化》がある…。バリアカウンターを置けない《ジェニオン》では、もう耐えられない…!)

《黒魔術強化》により、次のターンの《ブラック・マジシャン・ガール》の攻撃力は再び3600となる。

更に、彼女の手札に攻撃力800以上のモンスターが来たら、その時点で誠の敗北が確定する。

たとえ来なかったとしても、彼女には《ブラック・マジシャン》をフィールドに出す仕掛けがいくつもあり、それを考えるとこれが最後のドローになる。

目を閉じ、ゆっくりとカードをめくった誠はこれまたゆっくりと目を開いてカードを見る。

「やった…!僕は手札から速攻魔法《リンク・ヘイロー》を発動!僕のフィールド上に存在するモンスターがリンクモンスター1体のみで、そのモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、そのモンスターは続けてもう1度だけ攻撃することができる!その時、攻撃力はバトルフェイズ終了時まで800アップし、貫通効果を得る!」

 

C.C.ジェニオン リンク3 攻撃3500→4300

 

「あちゃー…そこでそのカードを…」

「今回は僕の勝ちだよ、直葉!」

《C.C.ジェニオン》の両肩についているランチャーから小型の実体弾が数発発射される。

弾丸で貫かれた《リザードテイルトークン》が爆発した。

 

直葉

LP350→0

 

リンク・ヘイロー

速攻魔法カード

このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。

(1);自分フィールド上に存在するモンスターがリンクモンスター1体のみで、そのモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した自分バトルフェイズ中に発動できる。そのモンスターは続けてもう1度だけ攻撃することができる。その時、そのモンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで800アップし、更に守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

「あああーーー悔しい!!」

敗北した直葉は悔し気に最後の伏せカードを見る。

そのカードは《マジシャンズ・サークル》で、その時の彼女には役に立たないカードだ。

「最後は《リンク・ヘイロー》に助けられたよ。そのカードがなかったら、負けてた」

「こうなったらもう1回!もう1回デュエルを…」

「二人ともーーー!ごはん、できたわよーーー!」

もう1度デュエルをしようと準備をしていた直葉とそんな彼女を見る誠に向けて、1階から明日奈が声をかけてくる。

直葉の両親は共働きで、母親に関してはパソコン情報誌の記者を務めており、締め切り前は家に帰ってこないことが多いことから、その時は誠たちの家に泊まることになっている。

「はーい!今行きまーす!こうなったら、ごはんの後でデュエルしようね!」

「う、うん…」

煮え切らない返事をした誠を置いて、直葉は先に部屋を出ていく。

デュエルボードのコンセントを抜き、カードをしまった誠も部屋から出ようとする。

(ったく、煮え切らねー返事をしやがって。お前、それでも男か?)

「…うるさい」

(ちっ…お前みてーな男がこれ以上この世界にいねーことを願いてーな)

 




霧山城学園大学 霧山城キャンパス
場所:JR霧山線「霧山城駅」からK県交通バスで10分程度

霧山城市に存在する市立大学で、経済学部と医療学部、環境学部と人文学部がある。
偏差値はそこそこ高く、たまにトビーのような留学生も来ることがある。
存在するサークルもロボットからアカペラ、料理に歌舞伎など、いろいろそろっている。
ちなみに、K市内にもキャンパスがあり、そこは主に医療学部が利用している。

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