「父さん、母さん…久しぶり。遅くなって、ごめん」
アルト・テノールから歩いて10分のところにある山の近く、緑あふれる霧山城霊園で誠は両親の墓に手を合わせ、明日奈に用意してもらった花を供える。
この墓地には祖父母や両親が眠っており、月に1回はどうにか時間を作ってお参りすることが結城家のルールとなっている。
しかし、シャドーに憑依され、精霊たちとの戦いに巻き込まれてからはなかなかここに行くことができなかった。
そのお詫びを最初に口にした後で、両親に向けて語り掛ける。
「この前、ようやく和人兄ちゃんを助けることができたんだ。意識が戻ってから、姉さんとスグにコテンパンに怒られちゃったけど…」
和人の影とのデュエルが終わり、意識を取り戻した時にはすでに病院のベッドの中で、服装も病人用のものに変わっていた。
直葉曰く、あのデュエルの後で和人がもどに戻り、2人仲良く1週間近く眠っていたという。
直葉も明日奈もとても心配していて、直葉からはビンタまでされてしまった。
また、眠っている間に直葉が明日奈にステージ2のことなど、何もかも話してしまっていた。
憑依されてからどこか様子がおかしいとは思っていたようで、その意味では二重で姉を心配させる結果となってしまった。
あの時の明日奈は怒っておらず、笑っていたものの、どう見ても目は笑っておらず、もし健常だったなら、その場で土下座していただろう。
その代わり、明日から1週間は緊急時以外は外出禁止の上、店の手伝いをみっちりすることになってしまった。
「今日、和人兄ちゃんが退院するよ。学校についてはどうなるかはわからないけど、でも…許してもらえたよ」
和人のことについては菊岡が掛け合ってくれることになっている。
今すぐは難しいかもしれないが、どうにか社会復帰できるようにしてくれるようだ。
「まだ精霊のことは何も解決していないし、シャドーのこともよくわからないままだけど…なんとなくだけど、どうにかなるって思ってる。だから…」
「誠くーん!!」
いつも聞く、親しみのある女の子の声が誠の耳に届く。
私服姿の直葉が駆けつけて来ており、剣道部所属であっても階段の多い霊園でここまで走るのは厳しかったのか、息を荒くしていた。
「何やってるの、もうすぐお兄ちゃんとの約束の時間でしょ!すぐに行かないと!!」
「うん、すぐに行く!じゃあ、また来るよ!」
両親の墓に手を振った誠は直葉に連れられて、霊園入口にある駐輪場まで走っていった。
「うーん…俺が眠っている間にだいぶデュエルの環境も変わったみたいだな。よく知らないカードばっかりで、おまけにペンデュラム召喚と融合召喚もある…」
ベッドに寝そべる和人はタブレット端末で今のデュエル環境を見ていた。
リンク召喚と儀式召喚しか特殊な召喚法がなかったこれまでと打って変るように、融合召喚にペンデュラム召喚、おまけにシンクロ召喚とエクシーズ召喚といった今までになかった召喚法が現れている。
誠から聞いた話では、商店街であったデュエル大会にも小学生が融合召喚を使っている状態で、気になるのはほぼ全員がそれを今まであったかのように使っていることだ。
そして、ルールにも変化が生じており、エクストラデッキからの特殊召喚でリンクマーカーとエクストラモンスターゾーンの制約を受けるのはリンクモンスターとペンデュラムモンスターのみとなった。
その違和感はいまいち解消できず、手掛かりとなるのは誠が戦ったステージ2が言っていた、禁忌という言葉だ。
(禁忌…もし、シンクロ召喚にエクシーズ召喚、融合召喚、ペンデュラム召喚が禁忌だとしたら、どうして…)
「もう、和人君。ずっとそれを見てばかり。ちょっとは私にも目を向けてほしいな」
「明日奈…」
椅子に座って、果物ナイフで器用にリンゴの皮をむく明日奈がムッとした表情を見せる。
目覚めてから明日奈は時間を見つけてはこうして和人の見舞いに来ている。
恋人同士である2人のポッカリと開いてしまった時間を埋めたいという思いが強く、和人も同じ気持ちだ。
だが、感じている違和感のことをさっきは優先してしまっていた。
「そうだな、悪い。リンゴ、食べさせてくれるか?」
「もちろんよ。和人君には勝ってほしいし」
「おいおい、俺がデュエルをするのは明日奈の弟だぞ?弟を応援しなくていいのか?」
「もちろん、誠君も大事だけど、今一番応援したいのは和人君だから」
ちょっと困った表情になりながらもすぐに笑顔になり、ちょうど切り分け終えたリンゴの1つをフォークで刺して、それを和人に差し出す。
タブレットを机に置いた和人は差し出されたリンゴを口にし、ゆっくり咀嚼する。
「そういえば、店はどうなんだ。明日奈の料理だから、けっこうお客さんも来るんじゃないか?」
「そうね、アルバイトで手伝ってくれるみんなもいるけど、まだお父さんには及ばないかな…」
明日奈の脳裏に浮かぶのはカフェランベントを作った、今は亡き父の姿だ。
お店が大変で、中々一緒に遊びに出かける時間を作ってもらえなかったが、それでも自分たちのために腕を振るって料理を作ってくれた時はとてもうれしかった。
彼の死後、自分が店を切り盛りするようになり、少しでも彼に近づきたいと思い、改めて父親のレシピや料理本を見たり、ネットで調べたりするようになった。
その中で、多くの料理本やサイトに彼の名前が載っていた。
常連客から聞いた話によると、彼は昔、天才料理人と言われるほど有名な料理人で、昔はDen Cityなどの大都市で料理一筋の人生を送っていたという。
しかし、結婚をして子供が生まれてからは家族のためにとメディアへの露出を控えるようになり、家族と一緒に過ごせる時間を作れるようにと自分の故郷である霧山城市へ引っ越したという。
カフェランベントを自宅で開いたことで、いつでも家にいられるようにしたのはいいものの、やはり田舎町でも自分の手料理を求めて客が集まった。
「明日奈は明日奈。親父さんは親父さんだろ?早く食べたいな、お前の料理が」
「和人君…」
「さて…そのためにも早く退院しないとな。それに、そろそろ約束の時間か…」
リンゴを食べ終えた和人にうなずいた明日奈は持ってきた着替えとデュエルディスクを彼に手渡すと、いったん病室を後にする。
着替えを始めた和人の視線はテーブルにあるタブレット端末とデッキケースに向けられる。
デッキケースの中には、自分の影とデュエルをした時に使ったサイバース族デッキが入っている。
直葉が言うには、気絶した和人のそばにあったという。
また、憑依していた監視者のデッキも回収していた。
菊岡が調べたが、それらのカードは誠が持っているC.C.デッキと異なり、なぜか何も力のないただのカードとなっていたという。
誠のカードの場合はある程度精霊のエネルギー反応があるが、これらのカードには何もない。
罠らしきものもないことから、現在は誠のデッキに入れることで決着している。
着替え終えた和人は病室を出て、明日奈と共に屋上へ向かった。
雲一つない空の下、屋上に和人と誠が対峙し、ベンチには明日奈と直葉が座り、そのそばには徹と菊岡、神代の姿もある。
「懐かしいな、誠。こうしてデュエルをするのは!」
「そうだね、あの時はいつも僕が負けてたけど…今は違う。僕だって、強くなったから」
「何言ってやがる。俺がこうしてデッキを用意しなけりゃあ、本気のデュエルができねーくせに」
「今のはシャドーの声だな、誠を助けてくれて…ありがとうな」
「シャドー…?ねえ、今そのシャドーって人がしゃべったの?」
シャドーのことはあらかじめ聞いているものの、やはり明日奈には彼の声が聞こえない。
もちろん、今直葉の肩の上に乗っているアカネの姿も見えない。
「直葉ちゃん、どっちが勝つのかな?」
「うーん…お兄ちゃんの今のデッキがどんなものかわからないけど…けど、今の誠君ならお兄ちゃんに勝てると思うよ」
「それはどうかなー?和人君、誠君に勝つためにかなりデッキに手を加えていたわよ。簡単にはいかないよ」
「お前ら…せめて自分の弟か兄を応援しろよ。なんか、ちぐはぐだな」
2人の互いの想い人が勝つという予想をそばで聞く徹はため息をつき、煙草に手を伸ばしかけるが、禁煙であることを思い出して手を離した。
「行くぞ、誠!」
「行くよ…和人兄ちゃん」
「「デュエル!!」」
誠
手札5
LP4000
和人
手札5
LP4000
「僕の先攻。僕は手札から《C.C.タートル》を召喚」
C.C.タートル レベル4 攻撃0(1)
「そして、このカードは僕のフィールドにC.C.が存在する場合、手札から特殊召喚できる。《C.C.リザード》を特殊召喚」
C.C.リザード レベル1 攻撃300(2)
「現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はC.C.モンスター1体以上。僕は《リザード》と《タートル》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク2。《C.C.ガンレオン》」
C.C.ガンレオン リンク2 攻撃2000(EX1)
「更に、リンク素材となった《リザード》の効果。このカードをC.C.リンクモンスターのリンク素材として墓地へ送った場合、相手フィールドに《リザードテイルトークン》1体を守備表示で特殊召喚する」
リザードテイルトークン レベル1 守備2000(4)
「カードを1枚伏せて、ターンエンド」
誠
手札5→2
LP4000
場 C.C.ガンレオン(リンク先:《リザードテイルトークン》) リンク2 攻撃2000(EX1)
伏せカード1(2)
和人
手札5
LP4000
場 リザードテイルトークン レベル1 守備2000(4)
「まずは様子見といったところか…。《ガンレオン》と自らのリンク先のC.C.リンクモンスターに1ターンに1度だけ、破壊から守ることができる。問題は…」
菊岡が目を向けるのは手札を見る和人の方だ。
彼のデッキについては誠から聞いておらず、未知数なところがある。
(桐ケ谷和人…監視者に囚われていた男が何を見せてくれるか…)
「俺のターン、ドロー」
和人
手札5→6
「俺は手札から魔法カード《サイバネット・マイニング》を発動。手札1枚を墓地へ捨て、デッキからレベル4以下のサイバース族モンスター1体を手札に加える。俺は《レディ・デバッカー》を手札に加える」
手札から墓地へ送られたカード
・斬機シグマ
「そして、俺は手札から《レディ・デバッカー》を召喚」
ピンク色のテントウムシのようなドレスを身にまとった女性型モンスターがフィールドに現れる。
レディ・デバッカー レベル4 攻撃1700(2)
「《レディ・デバッカー》の効果。こいつの召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキからレベル3以下のサイバース族モンスター1体を手札に加えることができる。俺は《バックアップ・セクレタリー》を手札に加える」
「サイバース族!?それって、プレイメーカーしか持っていないカードじゃ…」
「そうだ。だが、俺も持っていた。なんでかは分からないがな。《バックアップ・セクレタリー》は俺のフィールドにサイバース族モンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる。
バックアップ・セクレタリー レベル3 攻撃1200(3)
「更に《シグマ》の効果発動。エクストラモンスターゾーンに俺のモンスターが存在しない場合、こいつは手札・墓地から特殊召喚できる」
斬機シグマ レベル4 攻撃1000(5)
「現れろ、明日へと導くサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はモンスター2体。俺は《バックアップ・セクレタリー》と《リザードテイルトークン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク2。《バックアップ・スーパーゲイザー》」
サーキットへ飛び込んだ《バックアップ・セクレタリー》の背後に回った《リザードテイルトークン》がその姿を集音マイクとカメラが片方ずつに装着されたサブアームがついたバックパックへと変わる。
それを装着した《バックアップ・セクレタリー》の手持ちのタブレット端末のデータが更新されると同時に彼女はサーキットから飛び降りる。
バックアップ・スーパーゲイザー リンク2 攻撃1200(EX2)
「更に俺は手札からフィールド魔法《サイバネット・ストーム》を発動」
発動と同時に晴天だったはずの空が暗くなるとともに紫の竜巻が病院を包むかのように襲い掛かる。
「これって…データストーム!?」
「データストーム…何の話だ?まぁ、いいか。《サイバネット・ストーム》はリンク状態になっているモンスターの攻撃力と守備力を500アップさせる」
バックアップ・スーパーゲイザー リンク2 攻撃1200→2000(EX2)
レディ・デバッカー レベル4 攻撃1700→2200(2)
「《ガンレオン》の攻撃力を上回っても、《ガンレオン》は1ターンに1度、破壊されない!」
「そんなことは分かっているさ。バトルだ。俺は《レディ・デバッカー》で《ガンレオン》を攻撃!」
《バックアップ・スーパーゲイザー》がタブレットを操作する中、《レディ・デバッカー》が飛び出していき、《C.C.ガンレオン》に拳を伸ばすが、《C.C.ガンレオン》は手持ちのジャレンチを盾にして受け止める。
「それでも、ダメージを与えるならいいってこと…!?」
誠
LP4000→3800
「それだけで済むかよ!《スーパーゲイザー》の効果発動。こいつが《バックアップ・セクレタリー》をリンク素材としてリンク召喚に成功した状態で、こいつのリンク先の俺のモンスターが相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時、手札のサイバース族モンスター1体を特殊召喚できる!」
「狙いはそっちか!!」
「俺が手札から特殊召喚するのは《ファイアウォール・ガーディアン》!」
ファイアウォール・ガーディアン レベル4 守備2000(1)
「メインフェイズ2だ。もう1度現れろ、明日へと導くサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はサイバース族モンスター2体以上。俺は《ファイアウォール・ガーディアン》と《バックアップ・スーパーゲイザー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク3。《デトネイト・デリーター》」
紺色の上着にありったけの棒状の爆弾を入れていて、両手にも同じ爆弾を備えた鉄仮面の男が現れる。
もうすでにカウントが始まっていることを示すかのように、手元の爆弾のタイマーは起動していた。
デトネイト・デリーター リンク3 攻撃2100(4)
「更に、リンク素材となった《ファイアウォール・ガーディアン》の効果発動。こいつはサイバース族リンクモンスターのリンク素材として墓地へ送られた場合、墓地から復活できる」
ファイアウォール・ガーディアン レベル4 守備2000(3)
「そして俺はレベル4の《シグマ》と《ファイアウォール・ガーディアン》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、ランク4!《塊斬機ダランベルシアン》」
塊斬機ダランベルシアン ランク4 攻撃2000(3)
「《ダランベルシアン》の効果。こいつのオーバーレイユニットを2つ取り除き、デッキから《斬機アディオン》を手札に加える」
取り除かれたオーバーレイユニット
・斬機シグマ
・ファイアウォール・ガーディアン
「更に、《デトネイト・デリーター》の効果発動。1ターンに1度、こいつのリンク先のモンスター1体をリリースすることで、相手フィールドのモンスター1体を破壊できる。俺は《ダランベルシアン》をリリースして、《ガンレオン》を破壊!」
《塊斬機ダランベルシアン》が消えると同時に、《デトネイト・デリーター》が両手に握る爆弾を《C.C.ガンレオン》に向けて投げつける。
飛んできた爆弾にはニトロも入っていたようで、装甲に接触すると同時に大爆発を起こし、《C.C.ガンレオン》がその炎の中で消えていった。
「ぐっ…!!」
「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
誠
手札2
LP3800
場 伏せカード1(2)
和人
手札6→2(うち1枚《斬機アディオン》)
LP4000
場 デトネイト・デリーター ランク3 攻撃2100(4)
伏せカード2(3)(4)
サイバネット・ストーム(フィールド魔法)
「僕のターン、ドロー!」
誠
手札2→3
「ああ、気を付けろよ誠。《デトネイト・デリーター》は1ターンに1度、リンク3以上を除くモンスターと戦闘を行う場合、ダメージステップ開始時にそのモンスターを破壊してしまうからな」
「だったら、リンク3以上のモンスターを召喚すればいいだけ!僕は手札から《C.C.アルター》を召喚」
C.C.アルター レベル4 攻撃1500(1)
「《アルター》の効果発動。デッキの上から5枚を確認して、その中にあるC.C.1体を手札に加え、それ以外を墓地へ送る。僕が手札に加えるのは《C.C.ピーコック》」
デッキから墓地へ送られたカード
・貪欲な壺
・C.C.ライチ・サーブル
・ガード・ブロック
・攻撃の無力化
・C.C.ブラスタ
「更に僕は《アルター》の効果を発動。墓地のC.C.2体をデッキに戻し、デッキからカードを1枚ドローする!」
墓地からデッキに戻ったカード
・C.C.ブラスタ
・C.C.ガンレオン
「よし…。僕は手札からフィールド魔法《スターライト・サンクチュアリ》を発動!」
発動と同時にデータストームの中から小さな光がいくつも発生する。
「これは…!?」
「これは星の光。暗くて冷たい宇宙を温める命の光。《スターライト・サンクチュアリ》は僕のフィールドに存在するモンスターがC.C.1体のみの状態でリンク2以上のC.C.リンクモンスターのリンク召喚を行う場合、手札に存在するC.C.モンスター1体もリンク素材として選択できる!」
「ということは…!」
「現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はC.C.モンスター1体以上。僕は《アルター》と手札の《C.C.オセロット》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク2。《C.C.ガンレオン》!」
C.C.ガンレオン リンク2 攻撃2000(EX1)
「更に僕は墓地の《C.C.オセロット》の効果を発動。僕のフィールドにC.C.リンクモンスターが存在する場合、このカードを墓地から特殊召喚できる!」
C.C.オセロット レベル2 攻撃400(1)
「そして、僕のフィールドにC.C.が2体以上存在する場合、《C.C.ソラリウム》は手札から特殊召喚できる!」
C.C.ソラリウム レベル4 攻撃1200(3)
「現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は効果モンスター3体以上。僕は《ガンレオン》と《オセロット》、《ソラリウム》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク4!《C.C.リ・ブラスタ》!」
C.C.リ・ブラスタ リンク4 攻撃2800(EX1)
「リンク4のリンクモンスターか…!これなら、《デトネイト・デリーター》を倒せるかもしれないな」
「《リ・ブラスタ》の効果発動!このカードのリンク召喚に成功したとき、リンク素材となった僕のモンスター1体をこのカードのリンク先に特殊召喚できる。僕は《ソラリウム》を特殊召喚」
C.C.ソラリウム レベル4 攻撃1200(3)
「そして、《リ・ブラスタ》の効果発動。1ターンに1度、このカードのリンク先のリンクモンスター以外のC.C.1体をリリースすることで、相手フィールドのカード1枚を墓地へ送る!僕は《デトネイト・デリーター》を墓地へ送る!VXクラスター!!」
《C.C.ソラリウム》がエネルギーに変わって《C.C.リ・ブラスタ》のライフルに吸収される。
そして、《C.C.リ・ブラスタ》の外装の色が青に変わると同時に4つのリングが宙を舞い、そのうちの3つが和人のフィールドへと飛んでいく。
残された1つにめがけて、チャージされたエネルギーを撃ち込むと、そのリングの中へビームが消えていく。
次の瞬間、和人のフィールドを浮遊するリングから3本のビームが《デトメイト・デリーター》に撃ち込まれ、同時に全身に着けていた爆弾が大爆発を起こした。
「ぐ…!攻撃するんじゃあなくて、効果で破壊したか…やっぱり、挑発には乗ってくれないか」
和人は墓地に眠る《ファイアウォール・ガーディアン》に目を向ける。
(《ファイアウォール・ガーディアン》はリンクモンスター同士が戦闘を行うとき、墓地のこのカードを除外することでその攻撃を無効にして、その相手モンスターの攻撃力をターン終了時まで0にし、このカード以外の効果を受けなくする。こいつで《リ・ブラスタ》を受け止めるつもりだったんだけどな)
「バトル。《リ・ブラスタ》でダイレクトアタック。アンブレイカブル・フルクラム!!」
《C.C.リ・ブラスタ》がライフルの銃口を和人に向け、銃口の前で4つのリングが浮遊してエネルギーを凝縮させる。
そして、引き金を引くと同時に圧縮された水色のエネルギーが和人に向けて発射される。
ビームを受けた和人は大きく後ろに下がる。
「くうう…強烈な反撃だな…!!」
和人
LP4000→1200
「俺は《サイバネット・ストーム》の効果を発動!俺が2000以上のダメージを受けたとき、エクストラデッキに裏向きで存在するカードだけをシャッフルし、一番上のカードをめくる。そして、めくったカードがサイバース族リンクモンスターの場合、そのモンスターを特殊召喚し、それ以外のカードの場合は元に戻す!」
「《サイバネット・ストーム》にそんな効果が…!?」
「俺がめくったカードはサイバース族リンクモンスター、《アップデート・ジャマー》だ。よって、特殊召喚!」
データストームの中から飛び出した、ガスマスクで顔を覆い、背中にはアンテナ付きのバックパックを下げた小人型のモンスターが現れる。
アップデート・ジャマー リンク2 攻撃2000(EX2)
「更に俺は罠カード《ショック・ドロー》を発動。このターン、俺が受けた合計ダメージ1000ごとに1枚、デッキからカードをドローできる。俺が受けたダメージは2800。よって、カードを2枚ドローする!」
「僕はこれで、ターンエンド。ターン終了と同時に、《スターライト・サンクチュアリ》の効果を発動。僕のターン終了時、僕のフィールドに存在するC.C.リンクモンスターの数だけ、このカードの上にスターカウンターを置く」
誠
手札3→2
LP3800
場 C.C.リ・ブラスタ リンク4 攻撃2800(EX1)
伏せカード1(2)
スターライト・サンクチュアリ スターカウンター0→1(フィールド魔法)
和人
手札2→4(うち1枚《斬機アディオン》)
LP1200
場 アップデート・ジャマー リンク2 攻撃2000(EX2)
伏せカード(3)
サイバネット・ストーム(フィールド魔法)
「和人君のライフが一気に減っちゃった…。これ、すごくピンチなんじゃないの…?」
「いや、そうとも限らないぜ。桐ケ谷、どうしてあいつがわざわざライフを大幅に減らしてまでサイバース族リンクモンスターを出したと思う?」
「それは…もっと強いリンクモンスターのリンク素材にするため…?」
「そうだ、おまけに《アップデート・ジャマー》なんて出たのが誠にはきついかもな…」
《アップデート・ジャマー》は自分のサイバース族モンスターが戦闘を行うとき、1度だけダメージステップ終了時までこのカード以外のフィールド上のすべてのカードの効果を無効にする。
更に、ステータスも元に戻し、その戦闘で相手モンスターが破壊された場合は1000のダメージを与える。
そして、そのモンスターをリンク素材にされた場合も厄介なことになる。
「俺のターン、ドロー」
和人
手札4→5(うち1枚《斬機アディオン》)
「俺は手札から魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動。手札1枚を墓地へ送り、手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚できる。《ドット・スケーパー》を墓地へ送り、デッキから《フォーマッド・スキッパー》を特殊召喚する!」
トビハゼに似た形をした鉛色のロボットがはねながらフィールドに飛び出す。
フォーマッド・スキッパー レベル1 攻撃0(3)
「更に、墓地へ送られた《ドットスケーパー》の効果発動。このカードが墓地へ送られた時、1度だけ墓地から特殊召喚できる。蘇れ、《ドットスケーパー》」
ドットスケーパー レベル1 攻撃0(2)
「現れろ、明日へと導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はサイバース族モンスター2体。俺は《フォーマッド・スキッパー》と《ドットスケーパー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク2。《スプラッシュ・メイジ》」
サーキットの中から真っ白なローブを身にまとった、青い宝石がついた杖を持つ、サイバース族でありながら魔法使い族とも思える外見の魔導士が現れる。
スプラッシュ・メイジ リンク2 攻撃1100(2)
「《フォーマッド・スキッパー》の効果。このカードをリンク素材として墓地へ送ったとき、デッキからレベル5以上のサイバース族モンスター1体を手札に加えることができる。俺が手札に加えるのは《パラレルエクシード》。そして、《スプラッシュ・メイジ》の効果。1ターンに1度、俺の墓地のサイバース族モンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。俺は《ファイアウォール・ガーディアン》を特殊召喚」
ファイアウォール・ガーディアン レベル4 守備2000(5)
「そして、もう1度現れろ、明日へと導くサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はモンスター3体。俺は《ファイアウォール・ガーディアン》、《フォーマッド・スキッパー》、《アップデート・ジャマー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!」
「まさか、そのモンスターは…!!」
「そう、そのまさかだ!!始祖たる刃で明日を切り開け!リンク召喚!現れろ、リンク4!《斬機オリジンルジャンドル》!!」
精神世界の中で、和人の影に引導を渡したカード。
和人にとっては新たなエースカードと言えるモンスターが今度は誠を倒すために現れる。
斬機オリジンルジャンドル リンク4 攻撃3000(EX2)
「けど…リンク先に《スプラッシュ・メイジ》がいるから、《オリジンルジャンドル》の1番目の効果は発動しない」
「そんなことは分かっている。俺はさらにリンク素材となった《ファイアウォール・ガーディアン》と手札の《パラレルエクシード》の効果発動。まずは《ファイアウォール・ガーディアン》の効果。こいつはサイバース族リンクモンスターのリンク素材となったとき、墓地から復活できる」
ファイアウォール・ガーディアン レベル4 守備2000(5)
「そして、《パラレルエクシード》は俺がリンク召喚に成功したとき、そのモンスターのリンク先に手札から特殊召喚できる」
《ファイアウォール・ドラゴン》に似た羽根をつけ、頭部にV字のヘッドギアをつけている黒い蛇型のモンスターがフィールドに現れる。
パラレルエクシード レベル8 攻撃2000(3)
「更に、《パラレルエクシード》の効果。このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキからもう1体の《パラレルエクシード》を特殊召喚できる。更に《パラレルエクシード》は《パラレルエクシード》の効果で特殊召喚された場合、そのモンスターのレベルは4になり、元々の攻撃力と守備力も半分になる」
パラレルエクシード×2 レベル8→4 攻撃2000→1000(3)(4)
「そして、手札の《斬機アディオン》の効果。このカードはフィールドに表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力を1000アップさせることで、手札から特殊召喚できる。俺は《オリジンルジャンドル》の攻撃力を1000アップさせ、特殊召喚」
斬機アディオン レベル4 攻撃1000(1)
斬機オリジンルジャンドル リンク4 攻撃3000→4000(EX2)
「更に現れろ、明日へと導くサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はトークン以外のモンスター2体以上。俺は《アディオン》と《スピラッシュ・メイジ》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク3。《トライゲート・ウィザード》」
魔導士の次は怪盗と言わんばかりに、白いシルクハットと黒い燕尾服を身に着けた人型モンスターがフィールドに現れる。
トライゲート・ウィザード リンク3 攻撃2200(2)
「そして、手札から魔法カード《貪欲な壺》を発動。墓地のモンスター5体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする」
墓地からデッキに戻ったカード
・塊斬機ダランベルシアン
・スプラッシュ・メイジ
・アップデート・ジャマー
・フォーマッド・スキッパー
・ドットスケーパー
「そして、俺はレベル4の《ファイアウォール・ガーディアン》と《パラレルエクシード》2体でオーバーレイ。エクシーズ召喚。現れろ、ランク4。《塊斬機ラプラシアン》」
金色のフレームに黒の装甲を身に着けた、金色の刀身の剣を手にしている人型兵器がオーバーレイネットワークから飛び出してくる。
塊斬機ラプラシアン ランク4 攻撃2000(3)
「《ラプラシアン》の効果発動!このカードのエクシーズ召喚に成功したとき、オーバーレイユニットを取り除くことで、取り除いた数だけ相手の手札をランダムに1枚墓地へ捨てさせるか、相手フィールドのカード1枚を墓地へ送る。俺は3つすべてを取り除き、お前の手札2枚と《リ・ブラスタ》を墓地へ送る!」
「な…!!」
オーバーレイユニットすべてを剣に宿した《塊斬機ラプラシアン》が刃を振るい、誠の手札2枚が吹き飛んでいく。
更に、縦一閃に切り裂かれる形で《C.C.リ・ブラスタ》も消滅する。
手札から墓地へ送られたカード
・ミラーフォース・ブラスター
・C.C.ブラスタEs
「更に《サイバネット・ストーム》の効果でパワーアップ」
斬機オリジンルジャンドル リンク4 攻撃4000→4500(EX2)
トライゲート・ウィザード リンク3 攻撃2200→2700(2)
塊斬機ラプラシアン ランク4 攻撃2000→2500(3)
「これで、俺のフィールドには攻撃力4500の《オリジンルジャンドル》に2700の《トライゲート・ウィザード》、そして攻撃力2500の《ラプラシアン》。《オリジンルジャンドル》のダイレクトアタックだけでも、勝負がついてしまうな。だが…」
和人の視線にあるのは最後に誠のフィールドに残った伏せカード。
そうしたカードによって大逆転されたケースも多い。
特にこういうタイミングで鼻を折ってくるのは《聖なるバリア-ミラーフォース》。
「そういえば、お前のデッキには入っているよな…?《ミラーフォース》が」
「…」
わざわざ戦っている相手にデッキの中のカードを話す必要はないが、誠の表情がそれを物語っている。
それに、昔彼とデュエルをしていた際、逆転のために《聖なるバリア-ミラーフォース》に頼る場面もあった。
「そのカードの発動は許さないぜ。俺は手札から魔法カード《ナイト・ショット》を発動。相手フィールドのセットされているカード1枚を破壊する。このカードの発動に対して、対象となったカードは発動できない。これで、お前のフィールドは空になる!」
発動された《ナイト・ショット》が誠のフィールドに残る伏せカードを撃ち抜く。
撃ち抜かれたカードが粒子となって消えたものの、なぜかそれが2枚に分裂して再び誠のフィールドにセットされる。
「何!?」
「和人兄ちゃん、昔までの僕とは違うんだ!《ナイト・ショット》で破壊したカードは《ミラーフォース・ランチャー》。このカードはセットされた状態で相手の効果によって破壊され墓地へ送られた時、墓地のこのカードと手札・デッキ・墓地の《聖なるバリア-ミラーフォース》を僕のフィールドにセットできる。そして、この効果でセットされたカードはこのターン、発動できる」
「くっ…そんなものをセットしていたなんてな」
そのせいで、せっかくしたパワーアップした《斬機オリジンルジャンドル》も《聖なるバリア-ミラーフォース》によって破壊されてしまうのが明白だ。
思わぬ隠し玉をサラリと用意していた誠の成長ぷりと新しいカードに舌を巻く。
「これで、攻撃してきたら《ミラーフォース》で…」
「そううまくいくわけがないだろ!俺は手札から魔法カード《サイクロン》を発動!その効果で、今度こそ《ミラーフォース》を破壊する!」
「何!?」
竜巻が復活したばかりの《聖なるバリア-ミラーフォース》のソリッドビジョンを吹き飛ばし、消滅させる。
これにより、枷が外れた和人のモンスターたちは再び攻撃可能になる。
「これで、俺の勝…」
「かかったな!和人兄ちゃん!!僕は墓地の罠カード《ミラーフォース・ブラスター》の効果を発動!」
「何!?そのカードは…」
和人の脳裏に、《槐斬機ラブラシアン》の効果で墓地へ送られたカードたちが浮かぶ。
誠の手札から墓地へ沈んだカードの中には、確かに《ミラーフォース・ブラスター》というカードがあった。
「相手ターンに《聖なるバリア-ミラーフォース》が墓地へ送られた時、墓地に存在するこのカードを除外することで、相手フィールド上の攻撃表示モンスターをすべて破壊する!」
誠のフィールドにコロニーレーザーのような形状の砲台が出現し、そこから虹色のエネルギーが発射される。
そのエネルギーを受けた3体のモンスターが消滅する。
「ちぃぃ…」
「よし!そして、その後相手の墓地に存在する最も攻撃力の高いモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。《斬機オリジンルジャンドル》を特殊召喚」
斬機オリジンルジャンドル リンク4 攻撃3000(1)
「そして、《ミラーフォース・ブラスター》を発動したターン、相手モンスターは攻撃できない」
「くそ…そういうところまで見越していたのか!」
幸い切り札であり《斬機オリジンルジャンドル》を残すことはできたものの、モンスター効果を発動できないゾーンに置かれてしまっている。
おまけにこのターンのバトルまで封じられてしまった。
「だが…まだ俺の動きが止まったわけじゃない。俺は罠カード《サイバネット・ブラスト》を発動!俺の墓地のサイバース族リンクモンスターが相手によって破壊されたターンに発動でき、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!ただし、この効果を発動したターン、バトルフェイズはスキップされる!」
《斬機オリジンルジャンドル》が左手に握る剣を振るい、その剣閃が誠を襲う。
「うわああ!!」
誠
LP3800→800
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
誠
手札0
LP800
場 伏せカード1(《ミラーフォース・ランチャー》)(3)
スターライト・サンクチュアリ スターカウンター1(フィールド魔法)
和人
手札5→1
LP1200
場 斬機オリジンルジャンドル リンク4 攻撃3000(1)
伏せカード(3)
サイバネット・ストーム(フィールド魔法)
「これで、結城のフィールドには《スターライト・サンクチュアリ》のみな上に、手札は0。《ミラーフォース・ランチャー》には手札のモンスターカードを墓地へ送ることで、《ミラーフォース》をセットできる効果があるが、もう桐ケ谷に正体はばれている以上、必ず妨害するだろうな」
「誠君…」
このターンの敗北を回避できたとは言え、誠のフィールドにはここから状況を打開できるカードがない。
次のドローが勝敗を分けることになる。
「こい、誠!もっとお前の力を見せてみろ!」
「分かってる、僕はもう…あの時和人兄ちゃんを見捨てたときの僕じゃない!!僕のターン、ドロー!!」
誠
手札0→1
「僕は手札から魔法カード《応急修理》を発動。墓地から機械族モンスター1体を手札に加える。僕は《C.C.ブラスタEs》を手札に加える。そして、僕は手札の《C.C.ブラスタEs》を召喚!」
形状は《C.C.ブラスタ》とほぼ同じであるものの、カラーリングが黄色になっており、右手のライフルもピストルになっている人型機械が現れる。
C.C.ブラスタEs レベル3 攻撃1300(チューナー)(5)
「このカードの召喚に成功したとき、僕の墓地に存在するC.C.リンクモンスター1体を攻撃力を0にして、効果も無効にして特殊召喚できる。僕が特殊召喚するのは《C.C.リ・ブラスタ》!」
《C.C.ブラスタEs》がピストルから照明弾を発射し、それに反応するかのように《C.C.リ・ブラスタ》が出撃する。
C.C.リ・ブラスタ リンク4 攻撃2800→0(3)
「この効果で特殊召喚されたリンクモンスターはターン終了時に破壊される!」
「だとしたら、どうして《リ・ブラスタ》を…!?」
「更に《ブラスタEs》の効果。僕のフィールドに存在するC.C.リンクモンスター1体をこのターンのみ、そのリンクマーカーと同じ数のレベルのシンクロ素材として扱うことができる。この効果で、《リ・ブラスタ》をレベル4のシンクロ素材にできる!」
C.C.リ・ブラスタ リンク4→レベル4(シンクロ素材時のみ) 攻撃0(3)
「《リ・ブラスタ》にレベル…ということは!」
「そうだ!僕はレベル4の《リ・ブラスタ》にレベル3の《ブラスタEs》をチューニング!!」
「誠君がシンクロ召喚を!?」
初めて誠が見せるシンクロ召喚に直葉が思わず立ち上がる。
《C.C.ブラスタEs》が上空にピストルを1発撃った後で《C.C.リ・ブラスタ》共々その姿をそれぞれ水色と黄色のチューニングリングへと変化させる。
そのリングは一度1つに融合した後で、今度は7つに分裂して、縦一列に並び、そこから光が通過する。
「折れざる意思よ、その力を岩盤を貫く螺旋と変え、撃ち抜け!!シンクロ召喚!現れろ、レベル7!《N.C.C.リ・ブラスタT》!!」
リングの中から飛び出したのは《C.C.リ・ブラスタ》と似た姿であるものの、両膝の増加装甲やより銃身が長くなり、重量が増したライフルを片手で握った機動兵器が現れる。
N.C.C.リ・ブラスタT レベル7 攻撃2500(2)
「これが誠君のシンクロモンスター…!」
「けど、攻撃力は2500で、《リ・ブラスタ》よりも下。それに、《オリジンルジャンドル》の攻撃力は3000。このまま攻撃しても…」
「更に僕は《スターライト・サンクチュアリ》の効果発動。相手フィールドにのみリンクモンスターが存在する場合、スターカウンターの乗っているこのカードを墓地へ送ることで、エクストラデッキからそのスターカウンターの数以下のリンクマーカーを持つC.C.を特殊召喚できる。僕は《ジ・インサー》を特殊召喚」
C.C.ジ・インサー リンク1 攻撃0(EX1)
「そして、《サイバネット・ストーム》の効果で、《ジ・インサー》と《リ・ブラスタT》の攻撃力はアップ」
C.C.ジ・インサー リンク1 攻撃0→500(EX1)
N.C.C.リ・ブラスタT レベル7 攻撃2500→3000(2)
「これで、《リ・ブラスタT》の攻撃力が《オリジンルジャンドル》と並んだ!!」
「バトル!《リ・ブラスタ》で《オリジンルジャンドル》を攻撃!!」
攻撃命令を受けた《N.C.C.リ・ブラスタT》が大小入り混じったリングを縦一列に並べ、照準を《斬機オリジンルジャンドル》に合わせる。
「これで逆転するつもりだろうが、そうはさせない!カウンター罠《攻撃の無力化》!これでバトルフェイズは…」
「《リ・ブラスタT》がリンクモンスターのリンク先に存在する状態でC.C.が攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までカード効果を発動できない!」
「何?!」
「そして、《リ・ブラスタT》は《リ・ブラスタ》をシンクロ素材とした状態で相手モンスターと戦闘を行うとき、その相手モンスターの攻撃力分攻撃力がアップし、更にそのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする!!」
相手の性能をスキャンした《N.C.C.リ・ブラスタT》がさらに出力を上げていき、銃口にエネルギーが集中していく。
N.C.C.リ・ブラスタT レベル7 攻撃3000→6000(2)
「攻撃力…6000。ははっ、これはやられたな…」
未知のカードであることもそうだが、見ない間に一気にデュエリストとして成長した誠に改めて感服する。
「バトルだ!!《リ・ブラスタT》で《オリジンルジャンドル》を攻撃!ジ・アンブレイカブル・フルクラム!!」
「強くなったな…誠」
発射されたエネルギーがリングを通過して3本のビームに変換されると、螺旋を描いてからまっすぐに《斬機オリジンルジャンドル》へと飛んでいく。
それに撃ち抜かれた和人の新たなエースモンスターは爆発とともに消滅した。
和人
LP1200→0
スターライト・サンクチュアリ
フィールド魔法カード
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに存在するモンスターがリンクモンスター1体のみの状態で、自分がリンク2以上の「C.C.」リンクモンスターのリンク召喚を行う場合に発動できる。手札に存在する「C.C.」モンスターを墓地へ送ることでリンク素材とする。
(2):自分のターン終了時、自分フィールドに存在する「C.C.」リンクモンスターの数だけ、このカードの上にスターカウンターを置く。
(3):相手フィールドにリンクモンスターが存在し、自分フィールドにリンクモンスターが存在しない場合、スターカウンターが乗っているこのカードを墓地へ送ることで発動できる。乗っているスターカウンターの数以下のリンクマーカーを持つ「C.C.」リンクモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはターン終了時にEXデッキに戻る。
ミラーフォース・ブラスター
通常罠カード
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分はデッキから「ミラーフォース」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
(2):相手ターンに「聖なるバリア-ミラーフォース」が墓地へ送られた時、このカードが墓地に存在する場合、そのカードを除外することで発動できる。相手フィールドに存在する攻撃表示モンスターをすべて破壊する。その後、相手の墓地に存在する最も攻撃力の高いモンスター1体を相手フィールドに特殊召喚する。この効果を発動したターン、相手は攻撃宣言できない。この効果は(1)の効果を発動したターン、発動できない。
サイバネット・ブラスト
通常罠カード
このカード名にカードの効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分フィールドに存在するサイバース族リンクモンスターが戦闘・効果によって破壊されたターンにのみ発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。この効果を発動したターン、自分はバトルフェイズを行えない。
応急修理
通常魔法カード
(1):自分の墓地の機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。
C.C.ブラスタEs
レベル3 攻撃1300 守備500 風属性 機械族
【Pスケール:青7/赤7】
(1):相手フィールドに存在するSモンスターと自分フィールドの「C.C.」モンスター1体が戦闘を行うときに発動できる。そのSモンスターの攻撃力をターン終了時まで0にする。この効果はこのカードが表側表示で存在する限り、1度だけ発動できる。
【チューナー:効果】
このカード名の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードの召喚に成功したとき、自分の墓地に存在する「C.C.」リンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。その効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、攻撃力は0となり、ターン終了時に破壊される。
(2):自分フィールドに存在する「C.C.」リンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはターン終了時までS素材とする場合のみ、そのリンクマーカーと同じ数値のレベルのモンスターとしても扱う。
N.C.C.リ・ブラスタT
レベル7 攻撃2500 守備2100 風属性 機械族
【Pスケール:青12/赤12】
(1):自分は「C.C.」以外のモンスターをP召喚できない。この効果は無効化されない。
(2):自分がP召喚に成功したターン終了時、Pゾーンに表側表示で存在するこのカードを破壊することで発動できる。墓地またはEXデッキに表側表示で存在する機械族チューナー1体を手札に加える。
【シンクロ:効果】
「C.C.ブラスタEs」+チューナー以外の機械族モンスター1体
(1):このカードが「C.C.」リンクモンスターのリンク先に存在する状態で、自分フィールドの「C.C.」が攻撃するとき、ダメージステップ終了時まで相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない。
(2):このカードが「C.C.リ・ブラスタ」をS素材としてS召喚に成功した場合、以下の効果を得る。
●このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。このカードの攻撃力を戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップさせる。そして、その相手モンスターの効果はターン終了時まで無効化される。
(3):このカードが破壊された時に発動できる。このカードを自分Pゾーンに置く。
「はあ、はあ、はあ…和人兄ちゃん」
ソリッドビジョンが消え、誠は驚いた表情のまま和人を見る。
昔からずっと勝てなかった和人に勝てたことへの喜びよりも、今は驚きが勝り、どういう言葉を出せばいいのかわからない。
「…まったく、久しぶりに帰って来た義兄に少しは手加減しろよ、誠」
乾いた笑いを見せる和人は悪態をつくが、その姿には悔しさがみじんも感じられない。
「義兄って、いつ僕が和人兄ちゃんと家族になったの?」
「もうそんなものだろ?何年俺とスグがお前と一緒に過ごしてきたと思ってるんだ?」
「もう、10年以上だね」
「そういうことだ。もう家族同然だろ?ああ…やっぱり、リアルでデュエルをするとまだまだ疲れるな」
デュエルディスクをしまい、大きく背伸びをした和人が誠に歩み寄り、彼の肩を叩く。
「まぁ…これからもいろいろあるかもしれないが、負けるなよ?」
「…もちろんだよ」
「大した自信だな。まぁ、俺も一緒に戦うけどな」
「…ええ!?和人兄ちゃんも!?」
なんとなく言ってきた爆弾発言に驚く誠を後目に、和人がエレベーターへと歩いていく。
明日奈も驚きを見せながらも、和人を見送った後で、誠に駆け寄る。
「誠君…本当なら止めたいけど、止められないのは分かってる。だから、ちゃんと約束して」
「姐さん…」
「直葉ちゃんも和人君も一緒に、無事に終わらせること。それから…」
「それから?」
「大変だからと言って、お店の手伝いと勉強を怠らないこと。この前のテストの点数見たわよ。あんなに点数を落として…」
テストの点数、その言葉に誠の顔が青くなる。
この前に夏休み前の試験の結果が届き、その点数は目を覆いたくなるほどの点数だった。
一番苦手な生物と理科総合が赤点ギリギリで、あまりの悲惨な点数にその2教科の先生から追加の補修を受けろとまで言われた始末だ。
「大丈夫、今日の夜は私が勉強を教えてあげるから。それで先生たちをびっくりさせなさい!」
「そ、そんなぁー」
「フッ…結城誠。己の贖罪を果たしたか」
3人が仲睦まじく話す中で、先に自室へ戻っていた菊岡が満足そうにソファーに座る。
「だが、戦いの終わりを意味しない。そろそろ目を付け始めたころだろう。私のことを…彼らが」
菊岡の背から伸びる影が徐々に形を変えていく。
人の形であることには変わりないが、大きく身長が伸びていて、なぜか4枚羽根のようなシルエットまである。
「結城誠、そしてシャドー…。もうすぐ君たちに見せてやろう。封印と共に目を背けてきた、人間たちの罪を」