遊戯王VRAINS 幽霊に導かれし少年   作:ナタタク

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第3話 双子座の戦士

「ど、ど、どうなってるの!?デッキまで変わっちゃったよ!?」

自分の外見だけでなく、使うカードまで変わってしまった誠はびっくりしながらメインデッキのカードを網羅する。

ほとんどのカードが《C.C.ジェニオン》と同様に今まで見たことがなく、おまけにネットでも情報のないカードばかりだった。

(さっきも言っただろ?こいつはお前の願望がベースなんだって)

「願望だからって…」

(大丈夫だ。元のデッキはちゃんと残ってる。それより、さっさとあのバンパイアをどうにかしやがれ!)

「そ、そうだ…そうだった!」

シャドーの言葉で落ち着きを取り戻した誠はじっと吸血鬼男を見る。

姿が変わり、カードを手にした誠を見たためか、彼も左腕を変化させてデッキとデュエルディスクを生み出した。

(どうやら、あいつはおめーみてーなデュエリストを見ると、本能的にデュエルをっしたがる見てーだな。だが、こいつは好都合だ)

「その…つまり、あちら側からデュエルを拒否されることはないんだね?」

(そうだ!さてっと…俺が力をくれてやったんだ。負けは許さねーぞ!)

「う、うん…!」

負けは許さない、という言葉に若干おびえつつも、デッキからカードを5枚ドローし、2人は対峙する。

「デュエル!!」

 

吸血鬼男

手札5

LP4000

 

手札5

LP4000

 

「ぐうう…裏守備表示でモンスターを召喚…ターンエンド…」

 

吸血鬼男

手札5→4

ライフ4000

場 裏守備モンスター1(3)

 

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「誠君…一体どうしたの…?」

物陰に隠れる形で観戦することになった直葉はなぜ彼らがデュエルをしているのかわからなかった。

勇太が誰かと話をしているように見えたが、どうしてもあの吸血鬼男と話しているようには見えなかった。

「僕の、ターン!!」

 

手札5→6

 

「僕は手札から《C.C.ユニコーン》を召喚!」

誠のフィールドに真っ白な装甲でその名前の通り、一本角のようなブレードアンテナがついた人型兵器が姿を現す。

装甲にはいくつか青い球体がついており、それらの配置は一角獣座と同じだった。

 

C.C.ユニコーン レベル4 攻撃1800(2)

 

「バトルだ!僕は《ユニコーン》で裏守備モンスターを攻撃、マグナム発射!」

《C.C.ユニコーン》の右手に黒いライフルが出現し、裏守備となっているモンスターに向けて発射される。

発射された赤いビームをかすめた裏守備モンスターは一瞬で爆発、消滅した。

 

裏守備モンスター

・ピラミッド・タートル

 

「グウウ…《ピラミッド・タートル》…このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られたとき…デッキから守備力2000以下のアンデッド族1体を特殊召喚できる…。《カース・オブ・ヴァンパイア》、特殊召喚…」

裏守備モンスターが消滅したのと同じ場所に青白い肌で緑色の髪をした、赤い羽根を片方だけ付けている吸血鬼が現れる。

 

カース・オブ・ヴァンパイア レベル6 攻撃2000

 

「ええっと…こういう場合はどうしたら…」

デッキのカードは大雑把に見ただけで、その全容を詳しく理解できていなかった誠は不安になりながら手札を確認する。

「(よし…これなら!)僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

吸血鬼男

手札4

LP4000

場 カース・オブ・ヴァンパイア レベル6 攻撃2000(3)

 

手札5→3

LP4000

場 C.C.ユニコーン レベル4 攻撃1800(2)

  伏せカード1(4)

 

「ぐうう、ドロー…」

 

吸血鬼男

手札4→5

 

「《カース・オブ・ヴァンパイア》リリース…《ヴァンパイア・ロード》召喚…」

急に拭いてきた血のような赤い風の中で《カース・オブ・ヴァンパイア》の体が複数の黒い蝙蝠に変わり、風が消えると同時にまた集結して《ヴァンパイア・ロード》の姿に変わる。

 

ヴァンパイア・ロード レベル5 攻撃2000(3)

 

「そして、《ヴァンパイア・ロード》をリリース…《ヴァンパイアジェネシス》を特殊召喚」

召喚された《ヴァンパイア・ロード》が突然苦しみだし、口から血反吐を吐きながら背中の羽根を巨大化させる。

更に、全身の細い体の中の筋肉が突然活性化し、体の巨大化に耐えられなくなったスーツが破れていく。

頭髪が抜け落ち、鬼のような頭部に変化したときには、そこにあの優雅で貴族のような余裕を持った笑みを浮かべる若き吸血鬼の姿はなく、巨大な悪鬼の姿がそこにはあった。

 

ヴァンパイアジェネシス レベル8 攻撃3000(3)

 

「攻撃力3000!?それに、《ヴァンパイアジェネシス》が現れた、ということって…!」

まさかの攻撃力3000の大型モンスターの登場にびっくりしつつ、直葉の目線が誠に向けられる。

「誠君…」

「手札から永続魔法…《ジェネシス・クライシス》発動…。1ターンに1度、自分フィールド上に《ヴァンパイアジェネシス》が存在するとき…デッキからアンデッド族モンスター1体…手札に加える」

《ヴァンパイアジェネシス》の咆哮と共に再び発生した赤い風が吸血鬼男のデュエルディスクに吸収され、《闇より出でし絶望》のカードが排出され、彼の手に加わる。

 

ジェネシス・クライシス(アニメオリカ・調整)

永続魔法カード

このカード名のカードは自分フィールド上に1枚しか存在できない。

(1):1ターンに1度、自分フィールド上に「ヴァンパイアジェネシス」が存在するとき、自分のデッキに存在するアンデッド族モンスター1体を対象に発動できる。そのカードを手札に加える。

(2):自分フィールド上に「ヴァンパイアジェネシス」が存在しない場合、このカードは破壊される。

 

「更に…《ヴァンパイアジェネシス》の効果…。1ターンに1度、手札のアンデッド族モンスター1体を捨て…それよりもレベルの低いアンデッド族モンスター1体、復活…」

手札に加えたばかりの《闇より出でし絶望》が墓地へ捨てられ、《カース・オブ・ヴァンパイア》が姿を現す。

 

カース・オブ・ヴァンパイア レベル6 攻撃2000(2)

 

「バトル…《カース・オブ・ヴァンパイア》…《C.C.ユニコーン》攻撃…ネイルファングブロー…」

《カース・オブ・ヴァンパイア》の爪が一瞬光ると、一角獣を模した人型兵器に向けて接近し、その爪で引き裂こうとする。

しかし、両前腕部からビームの刃を発生させた《C.C.ユニコーン》が《カース・オブ・ヴァンパイア》をそれで真っ二つに切り裂き、撃破した。

「…!?」

(驚いたかよ!?《ユニコーン》は特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うとき、ダメージステップ終了時まで攻撃力が500アップするんだよ!下手にこいつを攻撃したら、大けがするぜ!)

 

C.C.ユニコーン レベル4 攻撃1800→2300(ダメージステップ終了時まで)

 

吸血鬼男

LP4000→3700

 

「…《ヴァンパイアジェネシス》…《C.C.ユニコーン》を攻撃…ヘルヴィシャス・ブラッド…」

《ヴァンパイアジェネシス》の咆哮と共に赤い風が発生し、その風の中に《C.C.ユニコーン》が飲み込まれる。

風の中で真っ白な装甲が赤く染まっていき、徐々に赤いチリとなって消滅していく。

「《ユニコーン》!うわあああ!!」

赤い風が誠にも襲い掛かり、体中に何かが刺さったような痛みが襲う。

 

LP4000→3300

 

風が収まると、誠は痛みでその場で膝をつき、目を閉じて必死に耐える。

(気をつけな、このデュエルは普通じゃねえみてーだ。ダメージを受けたら実際におめーは傷つく。下手すりゃあ…死ぬぜ?あの時みてーにな)

「死ぬ…?」

誠の脳裏に再びあの時のデュエルの記憶がよみがえる。

何もわからないまま、腹部を刃で貫かれたときの痛み、徐々に失っていく感覚。

「嫌だ…嫌だ。僕は…!」

死ぬことへの恐怖により、だんだん誠の精神が不安定になり、目に涙が浮かぶ。

(しっかりしろよ!てめーが売ったケンカなんだぜ?ま、このまましっぽ巻いて逃げるって選択肢もある)

「逃げる…?」

(ああ、あの吸血鬼男がどうなっても、俺たちは何も困らねー。このままあいつがほかの誰かを襲って、最悪死んだってな)

「死ぬ…ほかの誰かが…」

ここで逃げ出すことで、自分があの時に感じた恐怖をほかの誰かが感じてしまうのか?

そして、自分の場合は運よくこうして生きているが、本当ならば死んでしまえば、二度とこうしてデュエルをすることも、大切な人たちに会うこともできない。

「そんなの…僕は…嫌だ!」

黄色いバイザーに両目が隠れている状態であるため、涙を拭くことができない誠はそのまま立ち上がる。

「僕は…《ユニコーン》のもう1つの効果を発動!このカードが特殊召喚された相手モンスターとの戦闘で破壊され墓地へ送られたとき、デッキからレベル4以下のC.C.1体を特殊召喚できる。僕はデッキから《C.C.ウルフ》を特殊召喚!」

灰色と茶色を基調とし、上半身を狼の毛皮状のマントで隠した人型兵器が現れる。

その機械にも、《C.C.ユニコーン》と同じく、狼座と同じ配置となっている青い球体が埋め込まれている。

 

C.C.ウルフ レベル3 守備1600(2)

 

C.C.ユニコーン

レベル4 攻撃1800 守備1600 効果 光属性 機械族

(1):このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。ダメージステップ終了時まで攻撃力は500アップする。

(2):このカードが特殊召喚されたモンスターとの戦闘で破壊されたときに発動できる。デッキからレベル4以下の「C.C.」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「手札から魔法カード…《生者の書-禁断の呪術-》発動…。墓地のアンデッド族モンスター1体を特殊召喚。《闇より出でし絶望》、特殊召喚…。そして、お前の墓地の《C.C.ユニコーン》…除外…」

吸血鬼男の影が大きくなり、その中から赤い腕を持つ、笑みを浮かべた悪魔の影が浮かび上がる。

そして、その悪魔の腕が誠のデュエルディスクに入り込み、《C.C.ユニコーン》のカードをつかみ、捕食した。

 

闇より出でし絶望 レベル8 攻撃2800(1)

 

「《C.C.ウルフ》の効果発動!1ターンに1度、相手がモンスターの特殊召喚に成功したとき、デッキからカードを1枚ドローし、手札1枚を墓地へ捨てることができる!」

 

手札から墓地へ送られたカード

・C.C.オセロット

 

「カードを伏せ…ターン…エンド…」

 

吸血鬼男

手札5→0

LP3400

場 ヴァンパイアジェネシス レベル8 攻撃3000(3)

  闇より出でし絶望 レベル8 攻撃2800(1)

  ジェネシス・クライシス(永続魔法)(2)

  伏せカード1(3)

 

手札3

LP3300

場 C.C.ウルフ レベル3 守備1600(4)

  伏せカード1(4)

 

「僕の…ターン!」

 

手札3→4

 

「墓地の《カース・オブ・ヴァンパイア》…効果発動…」

《カース・オブ・ヴァンパイア》の頭部が彼の墓地から飛び出し、近くの物陰へと飛んでいく。

「え…キャアア!!」

「その声は…直葉!」

なぜ彼女がここにいるのかわからなかったが、誠は吸血鬼の頭部を追いかける。

どういうわけか、この姿に変わってから体が軽くなった感じがし、いつも以上に速く走ることができ、そのおかげで彼女と《カース・オブ・ヴァンパイア》の間に割って入ることができた。

これでは彼女の血は狙えないと判断したのか、《カース・オブ・ヴァンパイア》は代わりに誠の腕に食らいつき、血を吸い始める。

「うう、ああああ!!」

「戦闘によって破壊された次のターンのスタンバイフェイズ時…ライフを500支払うことで…墓地から復活。その場合…攻撃力、500アップ」

血を吸い終えた《カース・オブ・ヴァンパイア》が吸血鬼男のフィールドへ戻っていく。

誠は血を吸われた腕を抑え、痛みに耐えた。

 

吸血鬼男

LP3400→2900

 

カース・オブ・ヴァンパイア レベル6 攻撃2000→2500(4)

 

「誠君!大丈夫!?」

「はあはあ、どうして…ここに??」

血を吸われたせいか、肌が若干白くなっていて、寒気を感じる。

幸い動けなくなるほど弱まってはおらず、デュエルは続行可能だ。

「だって、誠君が急におかしくなって飛び出しちゃったから…」

「だからって…」

「幼馴染を心配しちゃいけないの!?」

(何やってんだ誠!?さっさとデュエルを進めろよ!)

「く…わかったよ!僕は《C.C.ウルフ》の効果を発動!デッキからカードを1枚ドローし、手札を1枚墓地へ捨てる!」

 

手札から墓地へ送られたカード

・仁王立ち

 

「誠君??一体誰と話してるの??」

急に誰かに返事をし、デュエルを続行した誠に質問する。

まだ状況を飲み込め切れていない直葉にとって、今の誠と吸血鬼男はとても異常に思えた。

「僕はモンスターを裏守備表示で召喚!そして、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

吸血鬼男

手札0

LP2900

場 闇より出でし絶望 レベル8 攻撃2800(1)

  カース・オブ・ヴァンパイア レベル6 攻撃2500(2)

  ヴァンパイアジェネシス レベル8 攻撃3000(3)

  ジェネシス・クライシス(永続魔法)(2)

  伏せカード1(3)

 

手札4→2

LP3300

場 C.C.ウルフ レベル3 守備1600(4)

  裏守備モンスター(5)

  伏せカード2(3)(4)

 

「俺の…ターン…」

 

吸血鬼男

手札0→1

 

「《ジェネシス・クライシス》の効果発動…デッキから…《馬頭鬼》を手札に加える…。《ヴァンパイアジェネシス》の効果…手札のアンデッド族モンスター1枚を墓地へ送り…《ピラミッド・タートル》を特殊召喚…」

 

ピラミッド・タートル レベル4 攻撃1400(4)

 

「《C.C.ウルフ》の効果!デッキからカードを1枚ドローし、手札を1枚墓地へ捨てる!」

 

手札から墓地へ送られたカード

・C.C.インディア

 

(何やってんだ?こいつ…《C.C.ウルフ》がいる限り、特殊召喚するたびに墓地アドバンテージを与えちまうってのに…)

「手札から…《ヴァンパイア・ランサー》…召喚…」

マケドニア朝の槍兵のような鎧と槍を装備した青い肌の吸血鬼が現れる。

 

ヴァンパイア・ランサー レベル4 攻撃1800(5)

 

「このカード…アンデッド族、貫通ダメージ得る…」

「何!?」

守備表示モンスター2体のみの誠に対して、吸血鬼男がオーバーキルといわんばかりの攻撃の布陣を仕掛ける。

攻撃力3000と2800のアンデッド族も当然貫通効果を得るため、ライフ3300程度ではあっという間に削りつくされてしまう。

「バトル…《ヴァンパイアジェネシス》、《C.C.ウルフ》を攻撃。ヘルヴィシャス・ブラッド」

《ヴァンパイアジェネシス》から放たれる赤い風が《C.C.ウルフ》に襲い掛かる。

「僕は墓地から罠カード《仁王立ち》を発動!このカードを墓地から除外することで、僕のフィールド上のモンスター1体にこのターン、攻撃を限定させることができる!僕は裏守備モンスターを選択する!」

《仁王立ち》はフィールド上で発動したとき、自分フィールド上のモンスター1体の守備力を2倍にすることができる。

墓地から発動できるこの効果はその効果を発動したターンでも発動できるため、フィールドと墓地で連続発動するのが定石だ。

だが、この効果で守備力が倍になったモンスターの守備力はターン終了時に0になる。

それを嫌がった誠は墓地で発動するだけにとどめた。

《ヴァンパイア・ランサー》のせいでダメージは避けられないが、《仁王立ち》の墓地効果を受けたモンスターがいなくなれば、もう相手は攻撃できなくなる。

赤い風が裏守備モンスターへと進路を変えていた。

 

裏守備モンスター

・C.C.クロック

 

「伏せていた速攻魔法…《ハーフ・シャット》発動…」

「何!?そのカードは…」

「相手モンスター1体の攻撃力半減…そのモンスター、このターン戦闘では破壊されない…」

戦闘では破壊されなくなったことで、《C.C.クロック》がサンドバックと化す。

守備表示ではあるが、《ヴァンパイア・ランサー》の前ではそれは意味をなさない。

 

C.C.クロック レベル2 攻撃300→150(5)

 

「《クロック》の守備力は800!このままアンデッド族モンスターの一斉攻撃を受けたら、誠君のライフが…!」

おまけに、《ハーフ・シャット》を発動したのがダメージステップ開始時であり、今の誠の伏せカードの中ではそのタイミングで発動できるカードがない。

両腕に時計をつけ、三角帽子をかぶり、時計座と同じ配置の複数の青い球体がついた人型兵器に赤い風が襲う。

「直葉、逃げて!!」

赤い風が自分に向けてやってくることがわかっていた誠は急いで直葉から離れて、その風を受ける。

「うわあああ!!がぁ!!」

 

LP3300→1100

 

一気に2200ものダメージを受けた誠は吐血してしまうほど、肉体にダメージを受けてしまう。

「うう…《C.C.クロック》のリバース効果…。相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在するとき…デッキからカードを1枚ドローする…!」

 

手札2→3

 

全身が悲鳴を上げる中、相手の攻撃が続く。

「《闇より出でし絶望》…攻撃」

《闇より出でし絶望》の口から炎のブレスが放たれる。

「駄目ぇぇぇ!!」

「罠カード…《ドレインシールド》発動!!」

フラフラになりながら発動した罠カードが炎を受け止め、誠を青いオーラで包む。

「相手モンスター1体の…攻撃を無効にして、その攻撃力分…ハアハア、ライフを回復する…!」

 

LP1100→3900

 

「《カース・オブ・ヴァンパイア》、《ヴァンパイア・ランサー》《ピラミッド・タートル》…攻撃」

続けた2体のヴァンパイアが×字を描くように槍と爪で交差して《C.C.クロック》を切り裂き、更に《ピラミッド・タートル》が体当たりする。

《ハーフ・シャット》により、破壊はされないものの、攻撃の余波が誠を襲う。

「うぐぐ…!」

 

ライフ3900→2200→1200→800

 

吸血鬼男

手札1→0

LP2900

場 闇より出でし絶望 レベル8 攻撃2800(1)

  カース・オブ・ヴァンパイア レベル6 攻撃2500(2)

  ヴァンパイアジェネシス レベル8 攻撃3000(3)

  ピラミッド・タートル レベル4 攻撃1400(4)

  ヴァンパイア・ランサー レベル4 攻撃1800(5)

  ジェネシス・クライシス(永続魔法)(2)

 

手札3

LP800

場 C.C.ウルフ レベル3 守備1600(4)

  C.C.クロック レベル2 守備800(5)

  伏せカード1(4)

 

ヴァンパイア・ランサー

レベル4 攻撃1800 守備900 効果 闇属性 アンデッド族

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードがフィールド上に存在し、自分のアンデッド族モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(2):墓地に存在するこのカードを除外し、手札に存在する「ヴァンパイア」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

「ハアハアハア…」

《ドレインシールド》のおかげで少しはましになった痛みが3体の連続攻撃を受けたことでより増した。

《ヴァンパイアジェネシス》の攻撃を受けたように吐血するまではいかないが、それでも気を緩めてしまうと意識を持っていかれてしまうそうなほどのダメージだ。

「ハアハア…僕の、ターン…」

誠は震える手を抑えながら、デッキトップに指をかける。

(お願いだ…もしお前が僕の願いの写し鏡なら…僕の思いに応えて…!)

目を閉じ、祈りながらカードを引く。

 

手札3→4

 

「(よし…!)僕は罠カード《戦線復帰》を発動!墓地のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する!僕は《C.C.オセロット》を特殊召喚!」

その名前の通り、ヤマネコを模したガラのついた猫型の小さなロボットが飛び出してくる。

その背中にはヤマネコ座と同じ配置の複数の青い球体がついている。

 

C.C.オセロット レベル2 守備400(1)

 

「そんな…!守備力がたった400の《オセロット》を特殊召喚しても…!」

《戦線復帰》はレベルに関係なくモンスターを守備表示で特殊召喚できるカードだ。

そんなカードであれば、上級モンスターを呼び出すことだってできる。

少なくとも、《C.C.オセロット》以上の守備力を持つモンスターが墓地にいるにもかかわらず、なぜそのモンスターを選んだのか、直葉にはわからなかった。

「(お前の正体は何だっていい…!今の僕には…お前が必要なんだ!)現れろ、星を繋ぐサーキット!」

右手を空に掲げると、そこに夜空のような光景が生まれ、正方形の枠が同時に出現する。

「あれって…!」

「アローヘッド確認!召喚条件はC.C.モンスター2体以上!僕は《C.C.オセロット》、《クロック》、《ウルフ》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」

3体のモンスターが正方形の枠に入り、下・右下・左上についている矢印が赤く光る。

更にその枠の周りには複数の星が出現し、その星の配置は双子座と同じだ。

「リンク召喚!現れろ、《C.C.ジェニオン》!!」

枠の中から誠の今の姿と似た青い装甲で、顔を黄色のバイザーで完全に隠したうえ、背中にバックパックがついた人型兵器が現れる。

装甲には先ほど現れた双子座の配置をした複数の青い球体が埋め込まれている。

 

C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(EX2)

 

「ぐうう…」

《C.C.ジェニオン》が姿を現した瞬間、吸血鬼男が警戒しながら誠を見つめていた。

「僕は墓地の《C.C.インディア》の効果を発動!僕のフィールド上に存在するモンスターがC.C.リンクモンスター1体のみの場合、このカードを墓地から除外することで、墓地からレベル4以下のC.C.2体を特殊召喚できる。ただし、この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり、攻撃力・守備力も0になる!僕は《C.C.ウルフ》と《C.C.オセロット》を特殊召喚!」

インディアン座の同じ模様が刻まれたサリーを纏い、ジャマダハルというインドの剣を持った茶色い人型兵器の幻影が一瞬だけ現れると、《C.C.ウルフ》と《C.C.オセロット》が再び姿を現した。

 

C.C.ウルフ レベル3 守備1600→0(2)

C.C.オセロット レベル2 守備400→0(3)

 

C.C.インディア

レベル5 攻撃2000 守備1800 効果 地属性 機械族

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できず、この効果を発動したターン、自分は「C.C.」以外のモンスターを特殊召喚できない。また、(1)の方法での特殊召喚は1ターンに1度しか行えない。

(1):自分フィールド上にモンスターが存在せず、相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在するとき、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):自分フィールド上に存在するモンスターがリンクモンスター1体のみで、そのモンスターがEXモンスターゾーンに存在するとき、墓地に存在するこのカードを除外し、墓地に存在するレベル4以下の「C.C.」モンスター2体を対象に発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり、攻撃力・守備力は0となる。

 

「更に僕は手札から魔法カード《漲る宝札》を発動!自分フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力をターン終了時まで、お互いの手札の枚数×500アップさせる!僕の手札は3枚!」

誠の3枚の手札から青い光が発し、その光を受けた双子座の戦士の出力が上昇していく。

 

C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500→4000

 

漲る宝札(アニメオリカ)

通常魔法カード

(1)自分フィールド上に存在するモンスター1体を対象に発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は自分と相手の手札の合計×500アップする。

 

「ぐうう…」

一気に攻撃力を4000まで高めた《C.C.ジェニオン》を見て、吸血鬼男は唸る。

「更に、バトルフェイズ開始時に《ジェニオン》の効果発動!このカードはこのターン、ほかのモンスターたちの攻撃を放棄する代わりに、リンクしているモンスターの数だけ追加で攻撃できる!今、リンクしているのは《オセロット》、《ウルフ》、そして《ヴァンパイアジェネシス》!よって、こいつはこのターン、4回攻撃できる!」

ブレードが取り付けられた手持ち式の鉄砲2丁が左右のバックパックの翼から射出され、《C.C.ジェニオン》の周囲を旋回する。

「ぐううう…!」

「いっけえ、《ジェニオン》!!ストームブリンガー!!」

出力最大となった双子座の戦士のバイザーの色が青く変わり、バックパックのスラスターから青い炎が発生する。

そして、射出された鉄砲2丁がビームを発射しながら突っ込んでいき、《カース・オブ・ヴァンパイア》を撃ち抜いた。

その間に一気に相手フィールド上に突入した《C.C.ジェニオン》がアッパーで影の中にいる《闇より出でし絶望》を殴り飛ばすと、それに向けて更に鉄砲が装着されているブレードでバラバラに切り裂いた。

切り裂き終えた鉄砲を手にした《C.C.ジェニオン》が《ヴァンパイア・ランサー》をブレードで切り裂いていき、更にダメ押しにとビームを連射する。

エネルギーを使い切った鉄砲を投げ捨て、3体のモンスターの消滅を確認した《C.C.ジェニオン》は《ヴァンパイアジェネシス》に肉薄し、右手にエネルギーを集中させる。

過剰なほどのエネルギー供給を受け、青い光を放つ右手でこぶしを作り、《ヴァンパイアジェネシス》を殴ると同時にそのエネルギーを叩き込んだ。

殴られた原初の吸血鬼はその個所から体を崩壊させていき、青い爆発を引き起こした。

「ぐぎゃあああああ!?!?」

爆発に巻き込まれた吸血鬼男は吹き飛び、公園の地面を転げ、あおむけで倒れた。

 

吸血鬼男

LP2900→1400→200→0

 

C.C.ジェニオン

リンク3 攻撃2500 地属性 機械族

【リンクマーカー:下:右下:左上】

「C.C.」モンスター2体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。

(1):バトルフェイズ開始時、このカードのリンク先にモンスターが存在する場合にのみ発動できる。このカードはこのターン、通常の攻撃に加えて、そのモンスターの数だけ攻撃することができる。この効果を発動したターン、このカード以外のモンスターは攻撃できない。

(2):自分ターンのメインフェイズ時に発動できる。このカードのリンク先のモンスターの数だけバリアカウンターをこのカードの上に置く。このカードが破壊されるとき、代わりにこのカードの上に乗っているバリアカウンターを1つ取り除くことができる。

(3):自分ターンのスタンバイフェイズ時に発動する。このカードの上に乗っているバリアカウンターをすべて取り除く。

 

C.C.オセロット

レベル2 攻撃400 守備400 効果 地属性 機械族

(1):自分メインフェイズに発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果は自分フィールドに「C.C」リンクモンスターが存在する場合に発動と処理ができる。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

C.C.ウルフ

レベル3 攻撃1000 守備1600 炎属性 機械族

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):相手がモンスターの特殊召喚に成功したときに発動できる。デッキからカードを1枚ドローし、手札を1枚墓地へ捨てる。

(2):このカードが特殊召喚されたモンスターとの戦闘で破壊されたときに発動する。自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

C.C.クロック

レベル2 攻撃1200 守備800 効果 闇属性 機械族

(1):このカードがリバースしたとき、相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在する場合、デッキからカードを1枚ドローする。

(2):このカードが「C.C.」リンクモンスターとリンクしている場合、そのリンクモンスターは戦闘では破壊されない。

 

「ぐおお、うう…」

「これは…!?」

デュエル終了と同時に、自分の手に何も書かれていないカードが出現し、それが勝手に倒した吸血鬼男に向けて飛んでいく。

その男から急に発生する紫色のオーラがカードに吸収されていき、吸血鬼男が元の人間の姿に戻っていく。

そして、カードは《ヴァンパイアジェネシス》のものとなり、誠の手に戻っていった。

「これが…あのひとにとりついていた…」

(らしいな。こうして倒した奴はカードに吸収されることで強制送還されるみてえだ)

「強制送還って、どこへ…?」

(知らねーな。んじゃあ、元の姿に戻すぞ)

シャドーがそういうと同時に、誠の姿が元に戻る。

元に戻った誠はカードケースとデュエルディスクのデッキを確認する。

デュエルディスクには先ほど使っていたデッキがあり、カードケースには普段使うデッキが入っていた。

「誠君!!」

デュエルを終えた誠のもとへ、直葉が走ってくる。

「直葉…」

「すごかったよ、さっきのデュエル!けど、さっきの姿って…」

「あれは誠君の中に宿っているとある存在の力によって変身したものだ」

誠が説明しようとした矢先、男性の声が2人の耳に入る。

声が聞こえた方向に目を向けると、そこには誠にとって、見覚えのある男性と左耳だけを出した茶色いショートヘアをした白衣の女性の姿があった。

女性は男から指示を受けると、すぐに誠とデュエルした男性の様態のチェックを開始する。

「菊岡…先生…」

「こんなに早く会うことになるとは、思ってもみなかったよ。誠君」




霧山城市立病院
場所:JR霧山線「馬廻駅」から南へ徒歩10分霧山城市立病院前通りバス停「霧山城市立病院前」から徒歩2分

21世紀初頭になって、「霧山城市における病院の設置等に関する条例」により誕生した医療機関。大きな病気であっても、可能な限り地元で治療・回復させるということをコンセプトとしており、複数の看護師・医師による連携に長けているとのこと。ただ、最近入ってきたとある意思と看護師はあまり同僚の医師たちと関係を構築しようとせず、院長も彼らをどうやって連携させようか考えているとのこと。

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