「はい、誠君!今度はこの料理を持って行って!」
「わかった。えー、お待たせいたしましたお客様。こちらはエッグカレーになります」
「あ、誠君。こっちの玉ねぎをみじん切りに…」
「誠さん。私、お会計に行ってきますから、その間にテーブル拭きを…」
「誠君。ニンジンの切り方って…」
明日奈の頼みを聞き、料理を運んだあとからすぐに里香や桂子、さらには最近になって新しくカフェランベントのアルバイトに入った節子から次々と頼みごとが舞い込んでくる。
今日は週末だからか、カフェには多くの客が入っており、店長である明日奈は料理を作るだけで精いっぱいだ。
「ああ、ああ!わかりました!まずはテーブル拭きます!節子さんを見てから、玉ねぎのみじん切りをします!」
いきなりたくさんのことを言われてもそれをすべてすぐにやるなんてことはできない。
頭の中でやるべきことの順序を決めると、すぐにテーブル拭きを始めた。
学校から帰ってきたばかりで、疲れた体に鞭打ち、次々と飛んでくる頼み事を1つ1つクリアしていくと閉店時間である午後21時になっていた。
「はあ…はあ、はあ…疲れた…」
客がいなくなり、疲れ果てた誠はぐったりと椅子に座り込み、背もたれに身を任せる。
里香も別の椅子に座って机に突っ伏していて、桂子はうとうとしていた。
節子は厨房で今日の仕事の反省点をメモ帳に書き記している。
「お疲れさま、みんな。今日のまかないよ」
料理を続け、一番疲れているであろう明日奈が笑顔を崩さずに手作りのチャーハンを椅子に座っている3人に出す。
残り物の食材で作った簡単なものだが、疲れ果てた彼らにとってはご飯が喉から手が出るくらいほしくなく。
誠は大急ぎでチャーハンを口の中に書き込んでいく。
「んん…!ゴホゴホ!!」
(お前…疲れてんならさぼりゃあいいだろ…)
のどに詰まったチャーハンをどうにかしようと水を飲む誠。
シャドーはここまでクタクタになるまで働く誠たちのことが理解できない。
彼の眼には仕事がきついもので、金が得られる以外は何の得もないようにしか見えない。
「まぁ…そうだね。けど、姉さんは大学の勉強の後はいつもこんなに働いているんだ。たまには手伝わないと…」
(手伝う?そんなことしなくていいって、あの明日奈って女も言ってただろ?)
今日、手伝うことになったのは誠自身が言い出したことだ。
明日奈からはそんなことはしなくて勉強をしていたらいい、と言っていたが、勉強は営業時間が終わってからやると言って譲らず、こうして手伝うことになった。
「それはそうだけど…」
「あーあ、残念。今日はもうおしまいなんだぁー…」
ベルの音が鳴るとともにドアが閉まり、店に1人の少女が入ってくる。
薄いオレンジの髪をしたボーイッシュな少女で、青いジャケットと白いシャツ、そしてジーンズを着用している。
「え…?竹宮さん、どうして??」
その少女の姿を見た誠はびっくりし、椅子から立ち上がってしまう。
「やぁ、誠君。2年ぶりかな?」
ビクッと大きく反応した誠のことが面白くて、彼女はつい笑ってしまう。
「琴音ちゃん、いらっしゃい。どうしたの?こんな時期に」
週末とはいえ、まだ6月で長期休暇までは時間がある。
そんな時期にどうして彼女がいるのかわからないものの、明日奈は笑顔で彼女を迎える。
「お久しぶりです、明日奈さん。そういえば、和人さんとは仲良…」
「あ、竹宮さん。姉さんたち、疲れてるから…ほら、積もる話は明日にしよう。そういえば、どこに滞在してるの?」
急に誠が会話を遮り、琴音はそんな彼が気になったものの、彼の言うことももっともだと思い、うなずいた琴音は彼についていく。
「友達の家に泊まってるわ。馬廻幼稚園の近くの」
「じゃあ、そこまで送っていくよ。もう遅いから…じゃあ、姉さん。行ってくるよ!」
「いってらっしゃい…ん?和人…??」
琴音が言った『和人』の名前がよくわからず、困った明日奈は首を傾げ、尋ねるように里香たちに目を向ける。
しかし、彼女たちもその名前がわからなかった。
暗い道を自転車のライトの明かりを頼りに進んでいき、長い下り坂に差し掛かる。
たまに車が通ることはあるが、今の時間帯は自転車や人の気配はない。
みんな家に帰っていて、家族と夕飯を楽しんでいるのだろう。
「ふあ…ああ…。今になって疲れてきちゃったなぁ。やっぱり電車の移動って体にこたえるわ」
「ここから名古屋だから…確かに、そうだね。陸上の調子はどう?」
「うーん、ぼちぼちって感じかな?やっぱり周りにはもっとすごい人もいるし」
ちょっと困った感じのする笑みを浮かべながら話す琴音に誠は相変わらずな彼女に一安心する。
彼女も直葉と同じく幼稚園時代からの幼馴染で、小さいころから陸上競技にのめりこんでいた。
そして、中学時代の陸上競技大会の短距離走とハードル走で10秒台の成績を出したことで名古屋高校の目に留まり、スポーツ推薦で同高校への入学が決まった。
ちょうど両親も名古屋への転勤が決まり、賃貸マンション暮らしだったこともあり、そのまま家族全員で名古屋へ行くことになった。
幼いころの琴音はよく走っていて、たまに直葉や自分を巻き込んでかけっこをして遊んでいたのを思い出す。
体力がなかったこともあり、だいだい最下位で負けてしまってばかりだったが。
「そういえば、和人さんはどうしたの?姿が見えないけど、それに…」
「え…?ああ、和人さんは留学したんだ。姉さんが和人さんに会えないから、寂しがっちゃいけないから…」
「ふぅん…相変わらず誠君って、お姉ちゃん思いなんだね」
「まあ…たった1人の家族だからね」
(こいつ…あの時といい、なんでここまでその和人って奴のことについて嘘をつくんだ…?)
シャドーには誠の言っていることが真っ赤な嘘だということはわかる。
問題はなぜそのような嘘をつく必要があるのかだ。
ヒントとなるのは侑哉が言っていた桐ケ谷和人という名前で、桐ケ谷という苗字から直葉の家族の1人だということはわかる。
また、琴音の発言から、明日奈とも関係があることも確かだ。
「あ…そういえば、日曜日に霧山城運動公園で中学生の陸上大会があるけど、よかったら見に行くのはどうかな?」
「ああ…もうその時期だったかな?じゃあ、土曜日は通ってた学校とかお店を見に行こうかな?直葉と誠君と一緒に!」
「うん…」
2人で楽しく会話を続けていると、中川に差し掛かり、琴音は北の川沿いの道に目を向ける。
この道を通ると、馬廻幼稚園へ行くことができる。
「ありがとう、ここまででいいから。誠君、じゃあね!」
琴音は手を振ると、駆け足で夜道の中へと消えていく。
彼女を見送った誠は自転車を押して、通ったばかりの坂道を登り始めた。
(なあ、誠)
「シャドー…?」
(てめえ…侑哉には隠してたが、何か和人について知ってんのか?)
「…ごめん。今は…話せない」
(ちっ…そういって、いつまでもしゃべる気がねえんだろうな)
和人という名前を聞き、表情を曇らせる誠にシャドーは舌打ちする。
そのあと、2人は一言もしゃべることなく家に着いた。
「はああ…」
友人の家に到着し、用意してもらった布団に水色のパジャマ姿で横になった琴音は憂い顔になった状態で、天井を見上げていた。
誠達の前では曇り一つない笑顔を見せ続けていた彼女とは到底思えないものだった。
「誠君…何か、変わった気がする…」
3年会っていないため、成長し変化したところがあってもおかしくない。
姉思い、家族思いなところに変化はない。
しかし、言葉では言い表せないが、何か別に変化しているところがある感じがした。
そんな彼と自分を思わず比較してしまう。
「あの頃は…楽しかったのになぁ。あれ…?」
ふとそばに置いてある鞄が淡く光ったように見え、琴音はその中を見る。
中には陸上用のユニフォームや着替え、そしてカードケースとデュエルディスクが入っていた。
光っているのはカードケースで、中には見たことのないカードが混ざっている。
「このカード…ああ!!」
そのカードを見た瞬間、琴音は自分の中に何かが入り込んだ感じがした。
「琴音-どうかしたのー?」
声が聞こえたのか、友人が心配して扉越しから声をかけてくる。
「…ううん、なんでもない。ごめん」
「そう?何かあったらいつでも言って」
虫を見てびっくりしただけだと思い、友人は部屋へ戻っていく。
琴音は何事もなかったかのように再び布団に入り、眠ってしまった。
「へー、琴音ちゃんが帰ってきたんだ」
「うん。それで…明日、3人で運動公園へ行こうって話になって…それで、直葉は予定大丈夫かなって思って」
家に帰り、誠は自室でスマホを使って直葉に電話をする。
帰り道に思い付きで話が決まってしまい、問題は直葉が行くのがOKかどうかだけだ。
一応、今週の土日に練習試合や練習の予定がないため、大丈夫だろうとは思うが、一応確認はとっておきたかった。
「OKだよ!9時に誠君の家の前でいいのかな?」
「うん、そこからは姉さんと車で…」
「了かーい!楽しみにしてるね!」
電話が切れ、スマホを机の上に置いた誠は背伸びをしてからデッキを確認し始める。
今は明日奈が風呂に入っていて、彼女は風呂に少し時間をかけるため、自分が入るのは少し後になるだろう。
宿題も終わっていて、日曜日に復習と予習をまとめてするつもりでいるため、今はいつでもステージ2とデュエルができるように準備をしておくだけだ。
デッキに入っているカードを縦5枚、横8枚で規則的におき、その上にエクストラデッキに入っているカードを並べる。
そして、侑哉からもらったペンデュラムモンスターとStar Accessで手に入れた《D.C.サイバスター》を置く。
(彼からもらったペンデュラムモンスター…魔術師って名前がついてるモンスターが多いな。機械族単体の僕でのデッキだけど、このカードたちなら…)
《一族の結束》をデッキに入れにくくなるというネックがあるものの、魔術師同士に関連する効果を持っていて、一部を除いて汎用性もある。
念のため、現状使いやすそうな何枚かをデッキに加えてみる。
「よし…次は」
誠はノートパソコンとデュエルディスクをケーブルで接続する。
すると、ノートパソコンの映像がマスターデュエルのフィールドに変化した。
向こう側には裏側になっているカードが5枚表示されていた。
これは普段は大っぴらに使うことができないC.C.デッキのテストをするために菊岡が用意してくれたもので、デュエルディスクと接続することでノートパソコンを使ってデュエルをすることができる。
なお、対戦相手はAIで、これまで誠がデュエルをした相手や菊岡がこれまで遭遇したステージ2のデッキも入っている。
「よし…デュエル、スタート」
開始ボタンをクリックすると同時にデュエルが開始し、相手の先攻となる。
AI
手札5
LP4000
誠
手札5
LP4000
「私の先攻、私は手札から《空牙団の剣士ビート》を召喚」
背中に黒い羽根でできたマントをつけ、先にひし形に配置されている4つの青い魔石がついた剣をにぎったネズミの獣人が現れる。
空牙団の剣士ビート レベル3 攻撃1200(2)
「空牙団デッキ…?」
このカテゴリーのカードは以前カードショップへ行った時に見たことがある。
手札から次々と仲間を特殊召喚していき、リンク召喚へつなげるタイプだ。
「《剣士ビート》の効果。1ターンに1度、手札の空牙団1体を特殊召喚できる。《空牙団の撃手ドンパ》を特殊召喚」
紫色の毛皮で身を包んだキツネの獣人がスリングショットをもって現れる。
空牙団の撃手ドンパ レベル2 攻撃500(4)
「更に、《ビート》の効果。このカードがすでにモンスターゾーンにいる状態で私のフィールドにこのカード以外の空牙団が特殊召喚されたとき、デッキから《ビート》以外の空牙団1体を手札に加える。私はデッキから《空牙団の叡智ウィズ》を手札に加える。そして、《ドンパ》の効果。1ターンに1度、《ドンパ》以外の空牙団1体を手札から特殊召喚できる。私は手札から《空牙団の叡智ウィズ》を特殊召喚」
蛸かクラゲのような触手を生やした白いローブの魔導士がフィールドに現れる。
空牙団の叡智ウィズ レベル7 攻撃1600(3)
「《ウィズ》の効果。このカードの特殊召喚に成功したとき、私のフィールドの《ウィズ》以外の空牙団モンスターの種類1体につき、500ライフを回復する」
《空牙団の叡智ウィズ》が杖を掲げると、2体の空牙団モンスターがピンク色のオーラを纏い、同時にノートパソコンに表示されるAIのライフが上昇する。
AI
LP4000→5000
「サーキット展開」
ノートパソコン上にサーキットが出現し、リンク召喚が始まる。
「アローヘッド確認。召喚条件は空牙団モンスター1体。私は《ビート》をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク1。《空牙団の霊力シャマ》」
右手に錫杖を握り、三度笠と黒い袈裟を身に着けた猿がフィールドに現れる。
空牙団の霊力シャマ リンク1 攻撃1000(EX1)
「《シャマ》の効果。1ターンに1度、墓地の空牙団モンスター1体をデッキに戻し、デッキからカードを1枚ドローする。そして、このカードのリンク先にモンスターが存在せず、ドローしたカードが空牙団カードの場合、そのカードを相手に公開することで、更にデッキからカードを1枚ドローできる。私がドローしたカードは《空牙団の飛哨リコン》。よって、更に1枚ドロー」
墓地からデッキに戻ったカード
・空牙団の剣士ビート
空牙団の霊力シャマ
リンク1 攻撃1000 リンク 闇属性 サイキック族
【リンクマーカー:下】
「空牙団」モンスター1体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分の墓地に存在する「空牙団」モンスター1体をデッキに戻すことで発動できる。自分はデッキからカードを1枚ドローする。そのカードが「空牙団」モンスターの場合、そのカードを相手に公開することで、更にデッキからカードをドローすることができる。
「サーキット展開。アローヘッド確認。召喚条件は種族の異なるモンスター2体。私は《ドンパ》と《ウィズ》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク2。《空牙団の竜騎士ドラン》」
機械でできた翼竜の背中に乗る、紫色のドラゴンをモチーフとした鎧姿の狼の獣人が現れる。
空牙団の竜騎士ドラン リンク2 攻撃1800(2)
「《ドラン》の効果。このカードのリンク召喚に成功したとき、デッキからリンク素材となった2体と異なる種族の空牙団モンスター1体を墓地へ送る。私は《空牙団の参謀シール》を墓地へ送る。私はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
AI
手札5→3
LP5000
場 空牙団の霊力シャマ(相互リンク:《空牙団の竜騎士ドラン》) リンク1 攻撃1000(EX1)
空牙団の竜騎士ドラン(相互リンク:《空牙団の霊力シャマ》) リンク2 攻撃1800(2)
伏せカード2(1)(3)
誠
手札5
LP4000
場 なし
「僕のターン、ドロー!」
誠
手札5→6
「僕は手札から魔法カード《聖天使の施し》を発動。僕のフィールドにカードがない時、デッキからカードを2枚ドローし、手札を1枚墓地へ捨てる」
手札から墓地へ送られたカード
・C.C.クロック
「そして、手札から《C.C.アロー》を特殊召喚。このカードは僕のフィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在するとき、手札から特殊召喚できる」
矢じりに矢座を模した形の傷がある矢がフィールドに現れる。
C.C.アロー レベル1 攻撃100(2)
「更に、手札から《C.C.フェニックス》を召喚!」
C.C.フェニックス レベル4 攻撃1600(4)
「このカードの召喚に成功したとき、レベル4以下のC.C.1体を特殊召喚できる。僕は《C.C.クロック》を特殊召喚」
C.C.クロック レベル2 攻撃1200(5)
「現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はC.C.モンスター2体以上。僕は《クロック》、《フェニックス》、《アロー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚!現れろ、リンク3。《C.C.ジェニオン》!」
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(EX2)
「永続罠《空牙団の作戦会議》を発動。私のフィールドに空牙団リンクモンスターが存在し、相手がリンクモンスターのリンク召喚に成功したとき、このカードの上に作戦カウンターを1つ乗せる」
空牙団の作戦会議(永続罠) 作戦カウンター0→1(1)
「そして、手札から魔法カード《リンク・ギフト》を発動。僕のエクストラモンスターゾーンにリンクモンスターが存在し、メインモンスターゾーンにモンスターが存在しないとき、墓地からそのモンスターと同じ種族のモンスター1体をこのカードのリンク先に守備表示で特殊召喚できる。僕は《C.C.アロー》を特殊召喚!」
C.C.アロー レベル1 守備100(2)
リンク・ギフト
通常魔法カード
このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。
(1):EXモンスターゾーンに自分のリンクモンスターが存在し、自分メインモンスターゾーンにモンスターが存在しないときに発動できる。そのモンスターと同じ種族のモンスター1体をそのリンクモンスターのリンク先に守備表示で特殊召喚する。
「《アロー》の効果。このカードがリンクモンスターのリンク先に特殊召喚されたとき、そのリンクモンスター1体のリンクマーカーの数だけ《C.C.アロートークン》を特殊召喚できる」
《C.C.アロー》の背後から3本の矢が飛んできて、それらの矢羽に違いはあるものの、構造は《C.C.アロー》と同じだった。
C.C.アロートークン×3 レベル1 攻撃100(1)(3)(4)
C.C.アロー
レベル1 攻撃100 守備100 効果 風属性 機械族
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えず、(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在するとき、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードをリンクモンスターのリンク先に特殊召喚に成功したとき、このカードをリンク先としているリンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターのリンクマーカーの数だけ「C.C.アロートークン」を特殊召喚する。この効果を発動したターン、自分は「C.C.」以外のモンスターの召喚・特殊召喚を行えない。
C.C.アロートークン
レベル1 攻撃100 守備100 トークン 風属性 機械族
「C.C.アロー」の効果で特殊召喚される。
「そして、《ジェニオン》の効果。このカードのリンク先に存在するモンスターの数だけバリアカウンターを乗せる」
C.C.ジェニオン リンク3 バリアカウンター0→2(EX2)
「よし…ここからは連続リンク召喚だ!」
「う、うん…」
今の状況であれば、大量のC.C.リンクモンスターをリンク召喚できる。
しかし、問題はAIが発動した《空牙団の作戦会議》で、リンク召喚に成功するたびにそのカードの上にカウンターがたまる。
それを無視していいものかが悩ましい。
「…僕は手札から速攻魔法《サイクロン》を発動。フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊する。僕が破壊するのは《空牙団の作戦会議》!」
発動した《サイクロン》が発動したばかりの《空牙団の作戦会議》を吹き飛ばす。
これで、誠にとっての憂いが断たれた。
「これで…。現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はC.C.モンスター2体。僕は《アロートークン》2体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク2!《C.C.ガンレオン》!」
C.C.ガンレオン リンク2 攻撃2000(2)
「永続罠《空牙団の作戦会議》」
「2枚目…!?」
再び発動された《空牙団の作戦会議》の上に作戦カウンターが1つ置かれる。
空牙団の作戦会議(永続罠) 作戦カウンター0→1(3)
誠の手札に《サイクロン》が入っていることを最初から予測していたかのような動きに驚きを感じながらも、誠は深呼吸して平常心を取り戻す。
「僕は手札から魔法カード《イーリアス・ドロー》を発動。僕のフィールドにC.C.モンスターが3体以上存在し、それ以外のモンスターが存在しないとき、デッキからカードを2枚ドローする。現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は同じ種族のモンスター2体以上。僕は《アロートークン》、《ガンレオン》、《アロー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク4!《D.C.サイバスター》!」
D.C.サイバスター リンク4 攻撃2800(3)
空牙団の作戦会議(永続罠) 作戦カウンター1→2(3)
「そして、《空牙団の作戦会議》の効果。このカードに乗っているカウンターの数×200、空牙団モンスターの攻撃力がアップする」
空牙団の霊力シャマ リンク1 攻撃1000→1400(EX1)
空牙団の竜騎士ドラン リンク2 攻撃1800→2200(2)
「けど、攻撃力は《サイバスター》にも《ジェニオン》にも及ばない!バトルだ!《サイバスター》で《シャマ》を攻撃!ディスカッター!」
《D.C.サイバスター》が腰にさしている剣を抜くと、それに緑色の風が宿る。
その刃で《空牙団の霊力シャマ》を切り裂こうとする。
「《空牙団の竜騎士ドラン》の効果。相手はこのカードと相互リンクしているモンスターを攻撃・効果の対象とすることができない」
しかし、仲間を守るように《空牙団の竜騎士ドラン》が前に出て、《D.C.サイバスター》の剣を槍で受け止める。
「そして、《空牙団の作戦会議》の効果。私のフィールドの空牙団モンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードの作戦カウンターを2つ取り除くことができる」
「けど、ダメージは与えることができるし、《ドラン》と《シャマ》の攻撃力は元に戻る!」
AI
LP5000→4400
空牙団の霊力シャマ リンク1 攻撃1400→1000(EX1)
空牙団の竜騎士ドラン リンク2 攻撃2200→1800(2)
「そして、《ジェニオン》で《ドラン》を攻撃!」
作戦カウンターがないなら、《空牙団の作戦会議》の効果を発動することができない。
《C.C.ジェニオン》はインパクトダガーで《空牙団の竜騎士ドラン》を斬りつける。
しかし、攻撃を受けたはずの《空牙団の竜騎士ドラン》は何の影響も受けておらず、逆に攻撃していないはずの《空牙団の霊力シャマ》が消滅した。
「何!?」
「《ドラン》の効果。このカードが戦闘で破壊されるとき、代わりに私のフィールドの空牙団モンスター1体を破壊できる。そして、破壊したモンスターが相互リンクしているモンスターの場合、デッキからカードを1枚ドローする」
AI
手札3→4
LP4400→3700
空牙団の竜騎士ドラン
リンク2 攻撃1800 リンク 風属性 ドラゴン族
【リンクマーカー:上/左】
種族の異なるモンスター2体
(1):このカードのリンク召喚に成功したときに発動する。デッキに存在するリンク素材となったモンスターと異なる種族の「空牙団」モンスター1体を墓地へ送る。
(2):相手はこのカードと相互リンクしているモンスターを攻撃・効果の対象にできない。
(3):このカードが戦闘で破壊されるときに発動できる。代わりに自分フィールドの「空牙団」モンスター1体を破壊する。その時、破壊したモンスターがこのカードと相互リンクしていた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。
「3枚カードを伏せて、ターンエンド!」
AI
手札4
LP3700
場 空牙団の竜騎士ドラン リンク2 攻撃1800(2)
空牙団の作戦会議(永続罠)(3)
誠
手札6→1
LP4000
場 C.C.ジェニオン(バリアカウンター1 リンク先:《D.C.サイバスター》) リンク3 攻撃2500(EX2)
D.C.サイバスター リンク4 攻撃2800(3)
伏せカード3(2)(3)(4)
「私のターン、ドロー」
AI
手札4→5
「私は手札から速攻魔法《烈風の空牙団》を発動。墓地の空牙団モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。《空牙団の撃手ドンパ》を特殊召喚」
空牙団の撃手ドンパ レベル2 守備1000(3)
「そして、《ドンパ》の効果により、手札から《空牙団の剣士ビート》を特殊召喚」
空牙団の剣士ビート レベル3 攻撃1200(1)
「そして、《ドンパ》の効果。このカードがすでにモンスターゾーンに存在する状態で空牙団の特殊召喚に成功した場合、フィールド上の表側表示で存在するカード1枚を破壊できる。《D.C.サイバスター》を破壊」
《空牙団の撃手ドンパ》が爆弾をスリングショットで発射する。
「やらせない!僕は罠カード《メタル・コート》を発動。このカードを《サイバスター》に装備し、装備モンスターはカード効果では破壊されない!」
全身が銀色にコーティングされた《D.C.サイバスター》は強化された装甲で爆発の衝撃から耐えきった。
「《ビート》の効果により、手札から《空牙団の英雄ラファール》を特殊召喚」
左手にフレンチカットラスを握る薄緑色のドラゴンの獣人が現れる。
空牙団の英雄ラファール レベル8 攻撃2800(5)
「《ラファール》の効果。このカードの特殊召喚に成功したとき、《ラファール》以外の空牙団の種類の数だけデッキの上からカードを確認し、その中にあるカード1枚を手札に加え、それ以外をデッキに戻す。私はデッキから《空牙団の孤高サジータ》を手札に加える。そして、《ビート》の効果発動。デッキから《空牙団の参謀シール》を手札に加える」
3体ものモンスターを召喚権を使わずにフィールドに集結させ、なおも手札には2枚の空牙団が手札に加わっている。
ここからの怒涛のリンク召喚のラッシュに誠は警戒する。
「サーキット展開。アローヘッド確認。召喚条件はカード名の異なるモンスター3体以上。私は《ビート》、《ラファール》、《ドンパ》、《ドラン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク4。《鎖龍蛇-スカルデット》」
赤黒い鱗と翼をもつ、全身が骸骨の鎧で覆われたドラゴンが現れる。
初めての空牙団のカテゴリーの外のモンスターの登場、そして性能の高さからカードショップで高値で取引されているそのカードに誠は戦慄する。
鎖龍蛇-スカルデット リンク4 攻撃2800(EX1)
「《スカルデット》はリンク素材としたモンスターの数によって効果が決まる。このカードが4体のモンスターをリンク素材としてリンク召喚に成功したとき、デッキからカードを4枚ドローし、手札3枚を好きな順番でデッキの一番下に置く」
デッキの下へ送られたカード
・積み上げる幸福
・名推理
・烈風の空牙団
「更に、《スカルデット》が3体以上のモンスターをリンク素材とした場合、1ターンに1度、手札からモンスターを特殊召喚できる。私は手札から《空牙団の参謀シール》を特殊召喚」
青いコートで身を包み、長い日へを生やしている灰色の狼の獣人が骸骨の竜の咆哮と共に現れる。
空牙団の参謀シール レベル4 攻撃1600(2)
「《スカルデット》の効果。2体以上のモンスターをリンク素材としたこのカードのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚に成功したとき、そのモンスターの攻撃力・守備力を300アップさせる」
空牙団の参謀シール レベル4 攻撃1600→1900 守備1000→1300(2)
「そして、手札から魔法カード《貪欲な壺》を発動。墓地のモンスター5体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする」
墓地からデッキに戻ったカード
・空牙団の竜騎士ドラン
・空牙団の霊力シャマ
・空牙団の参謀シール
・空牙団の撃手ドンパ
・空牙団の英雄ラファール
「《シール》の効果発動。手札から《空牙団の孤高サジータ》を特殊召喚」
左腕にスナイパーライフルを抱え、両腕に烏の羽根を模した飾りを付けた黒い鳥の獣人が現れる。
そして、《鎖龍蛇-スカルデット》の頭上に乗ると、銃口をノートパソコンの誠のライフポイントが表示されている場所に向けられる。
空牙団の孤高サジータ レベル5 攻撃1200→1500 守備2400→2700(1)
「《サジータ》の効果。このカードの特殊召喚に成功したとき、《サジータ》以外の空牙団モンスターの種類×500のダメージを相手に与える」
《空牙団の孤高サジータ》がスナイパーライフルを発射し、弾丸が誠のライフ表示に命中する。
ノートパソコンとデュエルディスクに表示されているライフがほぼ同時に減少する。
誠
LP4000→3500
「そして、《空牙団の参謀シール》の効果。このカードがすでにフィールドに存在する状態で私のフィールドにこのカード以外の空牙団が特殊召喚されたとき、墓地に存在する空牙団モンスター1体を手札に加える。私は《空牙団の剣士ビート》を手札に加える。サーキット展開。アローヘッド確認。召喚条件は種族の異なるモンスター2体。私は《サジータ》と《シール》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク2。《空牙団の竜騎士ドラン》」
空牙団の竜騎士ドラン リンク2 攻撃1800→2100(2)
「また《ドラン》が相互リンクをした…」
《空牙団の竜騎士ドラン》によって、相手のデッキの核と言える《鎖龍蛇-スカルデット》が守られ、更にメインモンスターゾーンにはまだ召喚できる場所が確保されている。
また通常召喚の権利を使っておらず、ここからまだどんな展開が起こるのか、誠には想像がつかない。
「《ドラン》の効果。リンク素材となった2体のモンスターとは異なる種族の空牙団モンスターをデッキから墓地へ送る。私は《空牙団の撃手ドンパ》を墓地へ送る。そして、手札から《レスキューキャット》を召喚」
オレンジ色のヘルメットをつけた白い猫が現れ、首にぶら下げている笛をいつでもならせるように口に就ける。
レスキューキャット レベル4 攻撃300(5)
「フィールドに存在するこのカードを墓地へ送ることで、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を効果を無効にして特殊召喚できる。私は《ビート》と《リコン》を特殊召喚」
空牙団の剣士ビート レベル3 攻撃1200→1500 守備500→800(1)
空牙団の飛哨リコン レベル2 攻撃1000(5)
「またモンスターを…!」
「サーキット展開。アローヘッド確認。召喚条件はカード名の異なるモンスター2体。私は《ビート》と《リコン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。リンク2。《トロイメア・ゴブリン》」
右手に巨大なひし形で緑色の岩が先についているメイスを握る緑色のゴブリンが現れる。
トロイメア・ゴブリン リンク2 攻撃1300→1600(3)
「《トロイメア・ゴブリン》の効果。このカードのリンク召喚に成功したとき、手札を1枚捨てることで発動できる。ただし、相互リンク状態でこの効果を発動した場合、その後でデッキからカードを1枚ドローする」
手札から墓地へ送られたカード
・成金ゴブリン
「そして、このターン、もう1度だけ私は手札のモンスターをこのカードのリンク先に召喚できる。私は《空牙団の見習いバレット》を召喚」
ブカブカな帽子をかぶり、右手に小銃を握る小さな猫の獣人が現れる。
空牙団の見習いバレット レベル1 攻撃400(4)
「サーキット展開。アローヘッド確認。召喚条件は空牙団モンスター1体。私は《バレット》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。リンク1。《空牙団の霊力シャマ》」
空牙団の霊力シャマ リンク1 攻撃1000→1300(1)
「またリンク召喚を!?」
「リンク素材となった《バレット》の効果。このカードをリンク素材として空牙団リンクモンスターのリンク召喚に成功した場合、私のフィールドの空牙団リンクモンスター1体に装備カード扱いとしてそのカードを装備させることができる。私は《ドラン》に装備」
《空牙団の見習いバレット》が青いオーラに変化して《空牙団の竜騎士ドラン》に宿る。
4体ものリンクモンスターをこのターンだけで召喚したそのAIの難易度がどうなっているのかと誠は疑問に感じてしまう。
「バトル。《スカルデット》で《ジェニオン》を攻撃」
《鎖龍蛇-スカルデット》の口から紫色のエネルギーが凝縮し、ビームが発射される。
ビームを受けるはずだった《C.C.ジェニオン》だが、円盤状のバリアを展開してそれを受け止める。
「バリアカウンターを1つ取り除くことで、破壊から身を護る!」
誠
LP3500→3200
《鎖龍蛇-スカルデット》以外に、《C.C.ジェニオン》と《D.C.サイバスター》を上回る攻撃力を持つモンスターはいない。
「続けて、《ドラン》で《ジェニオン》を攻撃」
「攻撃力の劣る《ドラン》で《ジェニオン》を攻撃!?」
槍を回転させた後で、正面から突っ込んでくる《空牙団の竜騎士ドラン》を待ち構えるように、《C.C.ジェニオン》は長刀を抜いて構える。
「《バレット》の効果。このカードを装備しているモンスターが相手モンスターを攻撃するとき、そのモンスターの攻撃力を半分にする」
「何!?」
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500→1250(EX2)
《空牙団の竜騎士ドラン》の槍で胸部を貫かれた《C.C.ジェニオン》が消滅する。
誠
LP3200→2350
空牙団の見習いバレット
レベル1 攻撃400 守備400 効果 風属性 獣族
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードの「空牙団」の効果による特殊召喚に成功したときに発動できる。デッキの上から3枚をめくり、その中にある「空牙団」カード1枚を手札に加え、それ以外のカードを好きな順番でデッキの一番下に置く。
(2):このカードがリンクモンスターのリンク召喚の素材として墓地へ送ったとき、自分フィールドに存在する「空牙団」リンクモンスター1体を対象に発動できる。このカードを装備カード扱いとしてそのカードに装備する。
(3):この効果で装備したモンスターが相手モンスターを攻撃するダメージステップ開始時に発動する。その相手モンスターの攻撃力をターン終了時まで半分にする。
「罠発動!《スターダスト・ロード》!僕のC.C.リンクモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られたとき、エクストラデッキからそのモンスターと同じリンクマーカーを持つ機械族リンクモンスター1体を特殊召喚できる。僕は《電影の騎士ガイアセイバー》を特殊召喚」
電影の騎士ガイアセイバー リンク3 攻撃2600(EX1)
「《シャマ》の効果発動。墓地の空牙団モンスター1体をデッキに戻し、デッキからカードを1枚ドローする。そして、カードを2枚伏せ、ターンエンド」
墓地からデッキに戻ったカード
・空牙団の飛哨リコン
AI
手札5→4(うち1枚《空牙団の剣士ビート》)
LP3700
場 空牙団の霊力シャマ リンク1 攻撃1300(1)
空牙団の竜騎士ドラン(相互リンク:《鎖龍蛇-スカルテッド》《トロイメア・ゴブリン》)(《空牙団の見習いバレット》装備) リンク2 攻撃2100(2)
鎖龍蛇-スカルデット(相互リンク:《空牙団の竜騎士ドラン》 リンク先:《トロイメア・ゴブリン》《空牙団の霊力シャマ》) リンク4 攻撃2800(EX1)
トロイメア・ゴブリン(相互リンク:《空牙団の竜騎士ドラン》) リンク2 攻撃1600(3)
空牙団の作戦会議(永続罠)(3)
伏せカード2(1)(2)
空牙団の見習いバレット(装備カード扱い)(4)
誠
手札1
LP2350
場 電影の騎士ガイアセイバー(リンク先:《D.C.サイバスター》) リンク3 攻撃2600(EX2)
D.C.サイバスター(《メタル・コート》装備) リンク4 攻撃2800(3)
メタル・コート(通常罠)(3)
伏せカード1(4)
あれだけの展開をし、伏せカードまで準備したにもかかわらず、手札がまだ4枚も残っているAI。
それに対して、誠の手札は1枚で、《鎖龍蛇-スカルデット》は《空牙団の竜騎士ドラン》のせいで攻撃・効果の対象にすることができないうえに、そのモンスターを《トロイメア・ゴブリン》が守っている。
(《トロイメア・ゴブリン》が存在する限り、相互リンク状態の自分フィールドのモンスターを攻撃対象にできない…。だとしたら…)
誠はデッキをじっと見つめ、それに指をかける。
「僕のターン、ドロー!」
誠
手札1→2
「僕は手札から魔法カード《C.C.R》を発動。相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在するとき、墓地のC.C.2体を効果を無効にして特殊召喚する。僕は《ジェニオン》と《アロー》を特殊召喚」
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500→2800(4)
C.C.アロー レベル1 攻撃100(5)
「現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は機械族モンスター1体。僕は《アロー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚。リンク1。《カード・チェッカー》」
3本脚の小型車輪をつけた、赤と緑の筒形レンズ付きのデジタルカメラが誠のフィールドに現れる。
カード・チェッカー リンク1 攻撃800(2)
空牙団の作戦会議 作戦カウンター0→1(3)
「そして、《サイバスター》の効果発動。リンク召喚されたこのカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、このカードのリンク先にリンクモンスターがリンク召喚されたとき、《ハイファミリアトークン》を2体まで特殊召喚できる」
ハイファミリアトークン×2 レベル4 攻撃1500(1)(5)
「そして、《カード・チェッカー》の効果。1ターンに1度、デッキの上からカードを3枚まで墓地へ送り、その中にあるモンスターの数だけ、このカードの上にチェックカウンターを乗せる」
デッキから墓地へ送られたカード
・C.C.ライラ
・羊飼いの星繋ぎ
・リンク・エクスチェンジ
「墓地へ送られた機械族モンスターは1体。よって、チェックカウンターが1つ乗る」
カード・チェッカー リンク1 チェックカウンター0→1(2)
「そして、《カード・チェッカー》の効果。このカードに乗っているチェックカウンターを自分フィールドのリンク先のモンスターに移動させることができる…」
だが、《カード・チェッカー》のリンク先は下で、当然リンク先にモンスターはいないため、チェックカウンターを移動させることはできない。
「僕は墓地の《リンク・エクスチェンジ》の効果発動。このカードを墓地から除外することで、僕のフィールドのリンクモンスター2体の位置を変更する!」
《電影の騎士ガイアセイバー》と《カード・チェッカー》が瞬間移動し、《カード・チェッカー》のリンク先となる《電影の騎士ガイアセイバー》にそのモンスターのカメラの照準が向けられる。
電影の騎士ガイアセイバー リンク3 攻撃2600(EX2→2)
カード・チェッカー リンク1 攻撃800(2→EX2)
リンク・エクスチェンジ
通常罠カード
(1):自分フィールドに存在するリンクモンスターと相手フィールドに存在する相互リンク状態のリンクモンスター1体を対象に発動できる。それらのモンスターのコントロールと位置を入れ替える。
(2):このカードを墓地から除外し、自分フィールドに存在するリンクモンスター2体を対象に発動できる。それらのモンスターの位置を入れ替える。
「現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はリンクモンスター以外のモンスター2体。僕は《ハイファミリアトークン》2体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク2!《オーガブレイダー》!」
オーガブレイダー リンク2 攻撃1800(1)
空牙団の作戦会議 作戦カウンター1→2(3)
「そして、《ジェニオン》をリリースして手札から速攻魔法《スター・ブースト》を発動。僕のフィールドのモンスター1体の攻撃力をリリースしたC.C.モンスター1体の攻撃力分アップさせる」
D.C.サイバスター リンク4 攻撃2800→5300(3)
スター・ブースト
速攻魔法カード
(1):自分フィールドの「C.C.」モンスター1体をリリースすることで発動できる。自分フィールドのモンスター1体の攻撃力を次の相手ターン終了時までリリースしたモンスターの攻撃力分アップする。この効果でリリースされたモンスターは次の自分スタンバイフェイズ時に自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。
「そして、墓地の《スターダスト・ロード》の効果。このカードを墓地から除外し、自分フィールドの機械族リンクモンスター1体をデッキに戻すことで、墓地からそのモンスターと同じリンクのC.C.1体を特殊召喚できる。僕は《ガイアセイバー》をデッキに戻し、《ジェニオン》を特殊召喚」
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(2)
スターダスト・ロード
通常罠カード
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの「C.C.」リンクモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られたとき、自分EXデッキに存在するそのモンスターと同じリンクマーカーの数の機械族リンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
(2):このカードを墓地から除外し、自分フィールドに存在する機械族リンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、墓地からそのモンスターと同じリンクマーカーの数を持つ「C.C.」リンクモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターン、発動できない。
「そして…《カード・チェッカー》の効果発動。チェックカウンターを《ジェニオン》に移動させる」
《カード・チェッカー》に撮影された《C.C.ジェニオン》の背後に同じ姿の水色の幻影が現れる。
「更に、《オーガブレイダー》の効果。このカードをこのカードのリンク先のモンスターに装備カード扱いとして装備する!」
大剣に変化した《C.C.ジェニオン》は大きく振りかぶり、剣先を攻撃対象である《空牙団の竜騎士ドラン》に向ける。
「罠発動。《空牙団の旅立ち》。私のフィールドの空牙団モンスターの攻撃力はターン終了時まで私のフィールドの空牙団モンスターの数×700アップさせる」
空牙団の霊力シャマ リンク1 攻撃1300→1700→3100(1)
空牙団の竜騎士ドラン リンク2 攻撃2100→2500→3900(2)
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500→3300(2)
「けど…《オーガブレイダー》を装備したモンスターが戦闘を行う相手モンスターの効果はバトルフェイズ終了時まで無効になる。バトル!僕は…」
「《空牙団の旅立ち》の効果。相手は私の最も攻撃力の高い空牙団モンスターしか攻撃できない」
《空牙団の霊力シャマ》を《オーガブレイダー》で両断しようとした《C.C.ジェニオン》に《空牙団の竜騎士ドラン》が立ちはだかる。
大剣と槍がぶつかり合い、そこを中心に大爆発が発生した。
空牙団の旅立ち
通常罠カード
(1):自分フィールドの「空牙団」モンスターの攻撃力はターン終了時まで自分フィールドの「空牙団」モンスターの数×700アップする。このカードを発動したターン、自分フィールドに「空牙団」モンスターが存在する場合、相手は最も攻撃力の高い「空牙団」モンスターしか攻撃対象にできない。
「ちっ…これで《オーガブレイダー》は終わりか…」
「ううん…!」
爆風が消えると、そこには《C.C.ジェニオン》の無事な姿があった。
それだけでなく、装備している《オーガブレイダー》も健在だ。
「《カード・チェッカー》の効果で乗ったチェックカウンターを1つ取り除くことで、《ジェニオン》はその戦闘では破壊されず、戦闘で発生する僕へのダメージも0になる。そして、戦闘を行った相手モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで、戦闘を行った僕のモンスターの攻撃力分ダウンする」
空牙団の竜騎士ドラン リンク2 攻撃3900→600(2)
カード・チェッカー
リンク1 攻撃800 リンク 地属性 機械族
【リンクマーカー:下】
機械族モンスター1体
(1):1ターンに1度、自分のデッキの上から3枚までカードを墓地へ送ることで発動できる。その後、このカードの上にその効果で墓地へ送られた機械族モンスターの数だけチェックカウンターを乗せる。
(2):1ターンに1度、自分フィールドのこのカードのリンク先のモンスター1体を対象に発動できる。このカードに乗っているチェックカウンター1つをそのモンスターに乗せる。
(3):チェックカウンターを乗ったモンスターが相手モンスターと戦闘を行うとき、そのモンスターの上に乗っているチェックカウンターを1つ取り除くことで発動できる。そのモンスターはその戦闘では破壊されず、その戦闘で発生する自分へのダメージが0となる。その後、戦闘を行った相手モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで戦闘を行った自分モンスターの攻撃力分ダウンする。
「《サイバスター》で《空牙団の霊力シャマ》を攻撃!」
風の剣を抜いた《D.C.サイバスター》が《空牙団の竜騎士ドラン》を踏み台にして飛翔し、《空牙団の霊力シャマ》にせまる。
「罠発動。《閃光のバリア-シャイニング・フォース》。相手の攻撃表示モンスターが3体以上存在する状態で相手が攻撃宣言したとき、相手の攻撃表示モンスターをすべて破壊する」
「カウンター罠《リンク・アラート》!僕のフィールドにリンクモンスターが存在するバトルフェイズ中に発動した相手の魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する!」
《D.C.サイバスター》はまぶしい光で構成されたバリアを剣で切り裂き、《空牙団の霊力シャマ》に肉薄する。
「ディスカッター・スラッシュ!」
風の刃で一度で7回も切り裂かれた《空牙団の霊力シャマ》は消滅した。
AI
LP3700→1500
「更に、僕は墓地の《C.C.ライラ》の効果発動!僕のフィールドのC.C.が相手の特殊召喚されたモンスターを戦闘で破壊したバトルフェイズ時、このカードを墓地から除外することで、このターン、そのモンスターは2回攻撃することができる!《ドラン》を攻撃!」
右手に琴を抱える、白磁の少女のような体つきのロボットの幻影が優しい音色を奏でると、《D.C.サイバスター》は両手から《ハイファミリアトークン》を出現させ、《空牙団の竜騎士ドラン》に突撃させる。
2体の《ハイファミリアトークン》から発射される電撃を受けた竜騎士は消滅し、同時にAIのライフも0となった。
AI
LP1500→0
リンク・アラート
カウンター罠カード
(1):自分フィールドにリンクモンスターが存在するバトルフェイズ時にのみ発動できる。相手が発動した魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
C.C.ライラ
レベル3 攻撃1300 守備1200 効果 光属性 機械族
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードの召喚に成功したとき、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在する場合に発動する。自分フィールドに「C.Cフィドルトークン」1体を特殊召喚する。
(2):自分フィールドの「C.C.」リンクモンスターが特殊召喚された相手モンスターを戦闘で破壊した自分バトルフェイズ中、墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。その自分のモンスター1体はこのターンのバトルフェイズ中、2回攻撃できる。
C.C.フィドルトークン
レベル3 攻撃1300 守備1200 効果 闇属性 機械族
「C.C.ライラ」の効果で特殊召喚される。
(1):このカードをリンク素材としてリンク召喚された「C.C.」以外のモンスターはターン終了時、EXデッキに戻る。
空牙団の作戦会議
永続罠カード
(1):相手がリンク召喚に成功したとき、このカードの上に作戦カウンターを1つ乗せる。
(2):自分フィールドの「空牙団」モンスターの攻撃力はこのカードの上に乗っている作戦カウンターの数×200アップする。
(3):自分フィールドの「空牙団」モンスターが破壊されるときに発動できる。代わりにこのカードの上の作戦カウンターを2つ取り除く。
(4):作戦カウンターを3つ取り除くことで発動できる。自分はデッキからカードを1枚ドローする。
「ふうう…」
デュエルが終わり、思わぬ強敵だったためか、誠は大きく呼吸をして背もたれに身を任せる。
「おいおい、こんなあぶねー勝ち方でこれから大丈夫かよ?言っておくが、てめーと心中だけは御免だぜ」
「分かってるよ。けど、心残りは…」
今回のデュエルで、誠はせっかくのペンデュラム召喚を使うことができなかった。
手札に来なかったことを考えると、確実に手札が加わるように何か手はずを整えないといけない。
「誠くーん!お風呂空いたよー!」
「分かった!今行くよ、姉さん!!」
ノートパソコンを閉じ、デッキとデュエルディスクを机の引き出しにしまった誠は押し入れからパジャマと下着を出し、1階まで降りて行った。
「ああー…んだよ、このC.C.デッキってのは!」
真夜中の広々とした真っ暗な部屋の中、テーブルライトに照らされた机の上で、一人の男性がノートパソコンをいじっている。
水色のジャケット姿で薄茶色のショートヘアの青年で、今この部屋には彼以外に人はいない。
3つデスクが並んでいて、背後の掲示板の貼り付けられている名札掛けには1人分しかかけられておらず、名前は谷村徹と書かれている。
そして、その上には彼の所属している部署の名前が書かれており、そこにはアンノウン対応課と書かれている。
「ったく、なんでまだ俺しかいねー上に何の命令もなしでここに缶詰なんだよぉー」
1か月前に急に上層部から異動命令が出て、ハイテクなDen Cityから田舎の霧山城市へ入ることになってから、彼は仕事らしい仕事をしていない。
昼間は雑用ばかりで、今は憂さ晴らしとしてこっそりと残業中だと嘘をついてデュエルで楽しんでいる。
いつもはばれて、雷が落ちるところだが、今日はなぜかみんな早々と還ったおかげでこうして楽しむことができた。
だが、問題なのはパソコンで相手が使っていたC.C.デッキだ。
「はぁー、実在するとなりゃあ、あの話も現実なのかぁ?」
あくびをし、頭をかく徹はそろそろ帰らないとまずいと思い、パソコンを閉じて職場を後にする。
パソコンのそばには書類が残されており、タイトルには『対アンノウン用デュエル装備システム』と書かれていた。