遊戯王VRAINS 幽霊に導かれし少年   作:ナタタク

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特別話4 侑哉のデュエル

『マスター、ここが学生会館です!』

「ここか…確かここの4階の放送室にサイキック族のステージ2が居るんだよな」

『そうです…ここからの案内も私にお任せください!』

「あぁ、頼む!」

レイの案内により学生会館の前に来た侑哉はレイとそんな会話を交わす。

「あ、そうだ…行く前に、花恋に連絡するか」

侑哉はそう呟いて、デュエルディスクから花恋へと連絡する。

『どうかしたの?侑哉…こっちの準備はできているわよ?それとも、私の声が聞きたくなったとか?それなら、いくらでも聞かせてあげるわよ?』

「あぁ、いや…そういうわけじゃなくて…警戒してほしいことがあってさ」

『そうなの……それで警戒してほしいことって?』

あからさまに落ち込んだ声で、花恋は侑哉にそう尋ねる。

侑哉はそんな花恋に苦笑しつつ、ステージ2が放送室を利用して、多くの人達を操った可能性があることを伝えた。

『なるほど…そのステージ2がそんなことを…』

「あぁ…それでもし、仮にそいつがLINK VRAINSに現れたら、LINK VRAINSの中継を見ている人達も洗脳されてしまうかもしれない…だから、ステージ2を発見したらすぐに中継を切ってほしいんだ」

仮にサイキック族のステージ2が自身の能力を拡散することができるなら、中継を見ている多くの人達を洗脳することも可能かもしれない。

だからこそ、侑哉は花恋と葵に中継を切るように頼んだ。

『わかったわ…でも、私達以外の人達はどうするの?さすがに私でもLINK VRAINSの中継を丸々ハッキングすることは難しいわよ?』

「そこなんだよな…どうするかな…」

侑哉はそう呟きながら、思考を巡らす。

(リボルバーに協力してもらって、LINK VRAINSの中継を丸々切ってもらえれば…いや、ダメだハノイの騎士の技術力があればできるかもしれないけど、リボルバーに連絡を取る手段がない)

一つ目の思考は失敗、侑哉はさらに思考を巡らす。

(草薙さんと遊作に協力してもらえば、可能か?あの二人と花恋が協力すれば、なんとかなるかもしれない…いや、それでも難しいか)

「どうしたもんか…せめて、あと1人ぐらいハッカーが居てくれれば……うん?待てよ…1人だけいる、すごいハッカーが…ただ、話しを聞いてくれるかはわからないな…でも、やるだけやるか」

侑哉は頭の中に1人の人物を思い浮かべながら、花恋にあることを尋ねる。

「なぁ、花恋…今の状態で俺の他の知り合いに連絡することは可能か?」

『え…?できるけど…誰に連絡するつもりなの?』

「ちょっとね…それじゃあ試しに連絡してみるよ」

『わかったわ…だけど、その知り合いと連絡している間は私達とは連絡は取れないから、それは注意してね』

「あぁ、わかったよ」

そう言いながら、侑哉はある人物へと連絡した。

侑哉がその人物に連絡を掛けて、しばらく経つとその人物が連絡に出た。

「もしもし?聞こえるか?」

『あら?あなたから連絡が来るなんて…リンクアクセスについて話してくれる気になったの?』

「あぁ、そうだ…まぁ、俺の頼みを聞いてくれたら、だけどな…それで、聞いてくれるか?ゴーストガール…」

『良いわよ…まぁ、内容にもよるけどね…それで頼みってなにかしら?Phantom』

そう、どこか含みのある言い方をしながらゴーストガールはそう言った。

「じ、実は…」

そこまで言って、侑哉は言葉に詰まる。

ゴーストガールにどう説明するべきか、そのことについて考えが纏まっていなかったからだ。

仮に、人を洗脳できる能力を持った奴がLINK VRAINSに現れるかもしれない…しかも、そいつは自分の能力を拡散させることができるかもしれないから、LINK VRAINSの中継を切るのに協力してほしいなどと頼んでも信じてもらえるかわからない。

『良いわよ、どんな内容でも…だって、これは仕事だもの、あなたがどんな荒唐無稽な話しをしたとしても私はそれを信じる…だから、気にしないで話してくれて良いわよ』

「え…?」

自分の心を読んだかのようなゴーストガールの言葉に侑哉は思わずそう聞き返す。

侑哉はよく恋人である葵にもわかりやすいとは言われていたが、まさかこのタイミングでもそれが発揮されるとは思っていなかった。

「俺ってそんなにわかりやすいのか…?まぁ、でもそういうことなら遠慮なく話させてもらうよ」

何だかあんな風に悩んでいたことが馬鹿みたいに思えてきた侑哉はゴーストガールに依頼の内容を話し始めた。

 

 

 

 

『なるほどね…人を洗脳する能力を持った人物がLINK VRAINSに来る可能性があって、しかも、その人物はその能力を拡散できる…だから、LINK VRAINSの中継を見ている人達が操られる可能性があるから中継を切るのを手伝ってほしい…それが、今回のあなたの依頼というわけね?』

「あぁ…それで協力してもらえるか?」

『えぇ、その依頼引き受けるわ…あなたの話しが本当なら、とんでもない事態だし』

「まぁ、あくまで可能性だけどね…もちろん、さっき話した事態にならなくても、リンクアクセスについては話させてもらうからさ…ただし、協力してくれなかった場合は話さないけどね」

侑哉はゴーストガールにステージ2が来なかった場合でもリンクアクセスについて話すことを伝える。

ステージ2が侑哉達の世界に来るかもしれないというのは、あくまで可能性であり確証があるわけではないため、ゴーストガールに協力してもらったお礼をしなければならないと考えたからだ。

『まぁ!そんなに私に有利な条件で良いの?』

「協力してもらってるわけだし、それぐらいはしないとね……っと、さすがに長く話しすぎたな、それじゃあその人物がLINK VRAINSに現れたら連絡するから、よろしくな」

『わかったわ…ちょうど、前に徹夜で組んだプログラムがあるから、それを使うわ…多分、それを使えばLINK VRAINSの中継を切ることができるはずよ』

「本当か!?…うん?ちょっと待てよ、それってつまりゴーストガール1人で何とかなるってことか?」

『まぁ、そういうことになるわね…だから、その人物が現れたら、私のところに連絡してくれればそのままそのプログラムを起動させる…それで良い?』

「あぁ!それで頼む!それじゃあ頼りにさせてもらうよ、ゴーストガール!」

『全く…前に罠を仕掛けてきた人間にここまで信頼を寄せて良いのかしら?今回も罠かもしれないわよ?』

「まぁ、それは多分ないだろう…だって、今回の依頼はあんたにはメリットしかないだろうから、協力しない理由はないだろうし」

ゴーストガールは侑哉の持つリンクアクセスについて知りたがっていた。

他のところからリンクアクセスについて知ろうにも、侑哉の持つリンクアクセスはほとんど情報がない…実際、リンクアクセスについて知っているのは侑哉と遊作達、そして、ハノイの騎士の幹部ぐらいなものだろう。

だからこそ、どちらに転ぼうと協力さえすればリンクアクセスについて侑哉から聞くことができるため、ゴーストガールにとってはメリットしかない。

『ふふっ!私のことをよくわかってるわね』

「まぁね…それじゃあ頼んだよ」

そう言って、侑哉は通話を終了した。

 

 

「…よし、それじゃあ行くか!」

ゴーストガールとの通話を終えた侑哉はそう呟いて、学生会館に向けて走り出した。

「…ここから4階に行けば…でも、その前に明日奈さん達を探さないと…」

学生会館に入った侑哉は明日奈達を探す為にまずは1階の捜索を始めた。

(さて、どうしたものか…明日奈さん達を探すにしても手掛かりがない…仕方ない、とりあえず全部見ていくしかないか)

「きゃあああ!」

侑哉がそんな風に思考しているとどこからか悲鳴が響く。

「今のは!?とにかく、悲鳴のしたところに向かうしかないな…!」

侑哉はそう呟きながら、悲鳴のしたところへと走り出した。

走って、走って、しばらくして目の前に見覚えのある人物が洗脳された生徒に襲われそうになっている光景が目に入った。

「あれは、明日奈さん!?早く助けないと!」

(敵は二人か…まぁ、何とかなるか)

侑哉は走る速度を上げて、洗脳された生徒達の前に立つ。

「明日奈さん!大丈夫ですか?」

「侑哉君!?どうしてここに?」

「それは後で説明します!とにかく今はここから逃げましょう!」

「でも、どうやって?」

「まぁ、任せてください!」

そう言って、侑哉はデュエルディスクを操作し、ボール状の物を取り出す。

そして、それを地面に叩きつけ、煙幕を発生させた。

「よし、今の内に!」

煙幕により洗脳されている生徒達の視界が奪われ、その隙をついて明日奈と共に脱出に成功した。

「はぁはぁ…ここまで来れば大丈夫だと思います…」

「はぁ…ありがとう、侑哉君」

「いえいえ…明日奈さんが無事で良かったです」

息を整えながら、侑哉はそう言った。

「本当にありがとう、侑哉君…他のみんなを避難させていたら逃げ遅れちゃって…侑哉君が来てくれなかったら今ごろどうなっていたか…」

「そうだったんですか…それなら、尚更間に合って良かったです…明日奈さん以外の人達はもう避難できたんですか?」

大分呼吸が落ち着いてきた侑哉は明日奈にそう状況を尋ねる。

「えぇ、なんとかね…」

「そうですか…なら、良かったです…あ、誠君はちゃんと避難させたので大丈夫です!安心してください!」

侑哉は明日奈の話しを聞きながら、次に聞かれるであろう誠の安否について口にした。

実際は、今ごろ《アカシック・マジシャン》の元に向かっているところだが、さすがにそれを話すわけにはいかない。

「そう、それなら良かった…侑哉君はこれからどうするの?」

「俺はもう少し逃げ遅れた人が居ないか探してみます、明日奈さんは先に避難してください」

「…わかったわ、でも無理だけはしないでね!」

「大丈夫ですよ、危なくなったらすぐに避難しますから」

侑哉はそう言って、明日奈に笑みを向ける。

その様子を見て安心したのか、明日奈は侑哉に気をつけてね、と一言言って走り去って行った。

 

 

「…さて、明日奈さんの無事も確認できたし元凶を倒しに行くか!」

そう言って、侑哉は再び学生会館へと走り出した。

「…よし、もう少し!」

学生会館に着いた侑哉は階段を駆けあがって行く。

階段を駆けあがり、ようやく4階へとたどり着いた。

「ふぅ、後は放送室の場所だな…レイ、案内よろしくな!」

『はい!お任せください!放送室はこっちにあります!』

「わかった!」

侑哉はレイの案内を聞きながら、放送室へと走る。

(…もし、これが罠だとしたら、俺の戦うステージ2は偽物なんて可能性があるかもしれない…まぁ、あくまで可能性の話しだけど…どちらにせよ、早くあのステージ2を止めないとな…)

「…お、ここが放送室か…」

侑哉がそんなことを思考していると、気付けば放送室の前にたどり着いていた。

「…よし!入るぞ…」

『マスター…気をつけてください、何が待ちうけているかわかりません…』

「あぁ、わかってる…」

侑哉はそう言って、慎重に放送室の扉を開いた。

その中には放送室のマイクの前に立っているサイキック族のステージ2の姿があった。

「…やはり、来たか」

「そりゃあね…ここまで騒ぎを起こしているのを放っておくわけにはいかないからな」

侑哉はそう言って、デュエルディスクを構える。

「デュエルか…良いだろう、受けて立つ!だが、ここでは少々狭いな…場所を変えるとしよう」

そう言って、サイキック族のステージ2が指をパチンと鳴らすと、放送室に居たはずの侑哉達は学生会館の外へと移動させられた。

「テレポートってわけか…さすがはサイキック族のステージ2だな」

「ここでなら存分に戦えるだろう…では、始めようか」

「あぁ、いくよ!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

ステージ2

手札5

LP4000

 

侑哉

手札5

LP4000

 

「私の先攻…。私は手札からフィールド魔法《脳開発研究所》を発動」

ステージ2の背後に巨大なカプセルが出現し、その中に緑色の培養液が満たされていく。

「そして、私は手札から《サイ・ガール》を召喚」

白と黒をベースとしたマント付きのローブを身に着けた、白い髪の幼い少女が自分と同じくらいの長さの杖を手にして現れる。

 

サイ・ガール レベル2 攻撃500(チューナー)(2)

 

「そして、現れるがいい。神へと続く未来回路」

上空にサーキットが出現し、《サイ・ガール》がその中へ飛び込んでいく。

「アローヘッド確認。召喚条件はサイキック族チューナー1体。私は《サイ・ガール》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク1《サイコロード・スワン》」

 

サイコロード・スワン リンク1 攻撃500(EX1)

 

「《サイコロード・スワン》の効果発動…。このカードのリンク召喚に成功したとき、リンク素材となったモンスターを装備カードとしてこのカードに装備する」

「そうはさせない!俺は手札から《エフェクト・ヴェーラー》の効果発動!このカードを手札から墓地へ送ることで、相手モンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする!」

《エフェクト・ヴェーラー》のヴェールが《サイコロード・スワン》を包み、そのモンスターの効果を封じ込める。

(サイコロードモンスターはリンク素材となったモンスターを装備カードとして、そのカードを素材にしてトークンを召喚する…)

これまでの洗脳されたデュエリストとのデュエルで、彼のデッキにリンクモンスターが入っていることが分かっている以上、何らかの形で《サイコロード・スワン》をエクストラモンスターゾーンから排除することは可能だ。

「私は《脳開発研究所》にサイコカウンターを1つ置き、《サイコロード・スワン》をリリース。《マックス・テレポーター》をアドバンス召喚」

《サイコロード・スワン》が姿を消し、水色のコートに身を包み、緑色のバイザーをつけた紫のリーゼント気味の髪型の男が現れる。

その姿は目の前のステージ2とよく似ている。

 

マックス・テレポーター レベル6 攻撃2100(3)

脳開発研究所 サイコカウンター0→1

 

「《マックス・テレポーター》の効果発動。ライフを2000支払うことで、デッキからレベル3のサイキック族モンスター2体を特殊召喚する。ただし、《脳開発研究所》の効果。サイキック族の効果発動のためのライフコストを0にする代わりに、サイコカウンターを1つ置く」

《脳開発研究所》の培養液の中に新しい脳が入れられ、《マックス・テレポーター》の両手に電気が走る。

叫び声を上げながら正面にかざすと、電気が彼の前で激しく放電し、《サイコ・コマンダー2体がフィールドに現れる。

 

サイコ・コマンダー×2 レベル3 攻撃1400(チューナー)(1)(5)

脳開発研究所 サイコカウンター1→2

 

「そして、再び現れるがいい。神へと導く未来回路。アローヘッド確認。召喚条件はサイキック族チューナーモンスター2体。私は《サイコ・コマンダー》2体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れるがいい、リンク2。《サイコロード・ウィルトシャー》」

 

サイコロード・ウィルトシャー リンク2 攻撃1900(EX1)

 

「《サイコロード・ウィルトシャー》の効果発動…」

「俺は手札から罠カード《無限泡影》を発動。このカードは自分フィールドにカードがない時、手札から発動できる!」

再び手札から発動されたカード。

それも先ほどと同じくモンスター効果を無効化するような効果のカードにステージ2はわずかに沈黙する。

「相手フィールドの表側表示のモンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする!」

《無限泡影》から発生する透明の泡が《サイコロード・ウィルトシャー》を包み込んでいく。

装備されるはずだった2体の《サイコ・コマンダー》は消滅し、サイコロードの効果は不発に終わる。

「私は手札から永続魔法《フューチャー・グロウ》を発動。《マックス・テレポーター》をゲームから除外し、私のフィールドのサイキック族モンスターの攻撃力を除外したサイキック族モンスターのレベル×200アップさせる」

 

サイコロード・ウィルトシャー リンク2 攻撃1900→3100(EX1)

 

「そして、カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

ステージ2

手札5→0

LP4000

場 サイコロード・ウィルトシャー リンク2 攻撃3100(EX1)

  フューチャー・グロウ(永続魔法)(1)

  伏せカード1(2)

  脳開発研究所(サイコカウンター2)(フィールド魔法)

 

侑哉

手札5→3

LP4000

場 無限泡影(永続罠)(2)

 

「俺のターン、ドロー!」

侑哉

手札3→4

 

「まずは、手札から魔法カード、《カップ・オブ・エース》を発動!このカードはコイントスを行い、表が出れば俺がデッキからカードを2枚ドローでき、裏が出れば相手が2枚ドローできる!さぁ、いくよ!」

そう言って、侑哉はコイントスを行う。

コインが空中で円を描き、侑哉の手のひらへと吸い込まれるように落ちた。

「結果は…よし!表!よってデッキからカードを2枚ドローするよ!」

「何!?」

 

侑哉

手札4→3→5

 

《カップ・オブ・エース》をまるで《強欲な壺》のように使う侑哉にステージ2は驚きを露にする。

「まだまだいくよ!もう1度《カップ・オブ・エース》を発動!コイントス…結果は表!よって、さらにデッキからカードを2枚ドロー!」

 

侑哉

手札5→4→6

 

『マスター、絶好調ですね…ステージ2も唖然としてますよ…』

「何言ってるんだ?まだまだこれからだよ!手札から再び魔法カード、《カップ・オブ・エース》を発動!コイントス…結果は、よし!また表だ!よって、デッキからさらにカードを2枚ドロー!」

 

侑哉

手札6→5→7

 

「3回連続で表を当てるだと!?君のコイン運はどうなっているんだ!」

「こういうカードを使いこなしてこそのエンタメデュエリストだからね!…まぁ、まさか3回連続で成功するとは俺も思ってなかったけど…」

侑哉は自分でも信じられないといった様子でそう言った。

実際、侑哉は成功しても2回だろうと思っていたため、3回連続で成功するとは夢にも思っていなかった。

「でもこれで大分準備は整ったよ!まずは手札から魔法カード、《コズミック・サイクロン》を発動!このカードはライフを1000払うことでフィールド上の魔法、罠カードを1枚、除外することができる!俺は君の伏せカードを除外するよ!」

「く…罠カード《サイコ・チャージ》を発動。墓地のサイキック族モンスター3体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

ステージ2

手札0→2

 

墓地からデッキに戻ったカード

・サイコロード・ウィルトシャー

・サイコロード・スワン

・サイコ・コマンダー

 

「うまくかわされたか…」

 

侑哉

LP4000→3000

 

「でも、まだまだお楽しみはこれからさ!俺は手札から《幻影騎士団ダスティローブ》を召喚!」

 

幻影騎士団ダスティローブ レベル3 攻撃800(2)

 

「そして、手札の《幻影騎士団サイレントブーツ》の効果!このカードは自分のフィールドに幻影騎士団が居るとき手札から特殊召喚できる!来い!《サイレントブーツ》!」

 

幻影騎士団サイレントブーツ レベル3 攻撃200(3)

 

「いくよ!俺は《ダスティローブ》と《サイレントブーツ》の2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!戦場に倒れし騎士達の魂よ、今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!エクシーズ召喚!現れろ、ランク3!《幻影騎士団ブレイクソード》!!」

 

幻影騎士団ブレイクソード ランク3 攻撃2000 (EX2)

 

「そして、《ブレイクソード》の効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、相手と自分のカードを1枚ずつ対象にして発動できる、そのカード達を破壊する!俺は君の場の《脳開発研究所》と俺の場の《ブレイクソード》を破壊する!」

「私はサイコカウンターを2つ取り除き、手札から《サイコ・リサイクラー》の効果を発動。このカードは私のフィールドに存在するサイコカウンターを2つ取り除くことで、手札から特殊召喚できる」

背中に竹籠を模した機械を背負った、青いバイザーの少年が現れる。

 

サイコ・リサイクラー レベル4 守備1600(3)

脳開発研究所 サイコカウンター2→0

 

「なるほどね…被害を最小限に抑えたか…でも、そのまま破壊はされるよ!」

《幻影騎士団ブレイクソード》の効果により、《脳開発研究所》と彼自身が破壊された。

 

「そして、《ブレイクソード》の効果発動!エクシーズ召喚したこのカードが破壊された時、墓地の同レベルの《幻影騎士団》モンスター2体を、レベルを1上げて特殊召喚する!蘇れ、《ダスティローブ》、《サイレントブーツ》」

 

幻影騎士団ダスティローブ レベル3→4 攻撃800(1)

幻影騎士団サイレントブーツ レベル3→4 攻撃200(2)

 

「そして、レベル4となった《ダスティローブ》と《サイレントブーツ》の2体でオーバーレイ!漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ、ランク4!《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」

侑哉の精霊の内の1体である漆黒の竜が姿を現す。

その竜は咆哮を上げ、眼前の敵を威嚇した。

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500(EX2)

 

「そして、《ダーク・リベリオン》の効果発動!オーバーレイユニットを2つ使い、相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分だけ《ダーク・リベリオン》の攻撃力をアップする!トリーズンディスチャージ!」

 

サイコロード・ウィルトシャー 攻撃3100→1550

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻撃2500→4050

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・幻影騎士団ダスティローブ

・幻影騎士団サイレントブーツ

 

「さらに、俺はスケール6の《EMオッドアイズ・ミノタウロス》とスケール8の《EMオッドアイズ・ユニコーン》でペンデュラムスケールをセッティング!揺れろ!運命の振り子!迫り来る時を刻み、未来と過去を行き交え!ペンデュラム召喚!来い!《オッドアイズ・ファントム・ドラゴン》!!」

侑哉のエースモンスターが姿を現す、そして、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》と呼応するように咆哮を上げた。

 

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン レベル7 攻撃2500(3)

 

「まだまだいくよ!俺は墓地の《ダスティローブ》の効果発動!このカードを除外し、デッキから《ダスティローブ》以外の幻影騎士団カードを手札に加えることができる!俺は《RUM-幻影騎士団ラウンチ》を手札に加えるよ!」

 

侑哉

手札4→1→2

 

「さぁ、いくよ!俺は手札から魔法カード、《RUM-幻影騎士団ラウンチ》を発動!このカードの効果により《ダーク・リベリオン》をランクアップさせる!煉獄の底より、未だ鎮まらぬ魂に捧げる反逆の歌!永久に響かせ現れよ!ランクアップ・エクシーズチェンジ!!現れろ!ランク5!《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》!!」

 

ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン ランク5 攻撃3000(EX2)

 

「そして、《ダーク・レクイエム》の効果発動!ORUを1つ使い、相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力を0にし、その元々の攻撃力分だけ《ダーク・レクイエム》の攻撃力をアップする!レクイエムサルベージョン!」

「…フフフ…そうだ、そうして考えもなしに使っていくがいい…」

《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》の効果発動で、絶体絶命の状況であるにもかかわらず、ステージ2は笑い始める。

 

サイコロード・ウィルトシャー リンク2 攻撃155→0

ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン ランク5  攻撃3000→4900

 

(何だ、あの笑いは…《ダーク・レクイエム》の効果を受けているはずなのに、随分と余裕だな…この状況をひっくり返すカードがあるってことか)

侑哉はそう思考しながら、ターンを続ける。

「さらに、俺は墓地の《サイレントブーツ》の効果発動!このカードを除外し、デッキから幻影魔法、罠カードを手札に加えることができる!俺は《幻影霧剣》を手札に加えるよ!」

 

侑哉

手札1→2

 

侑哉はバトルフェイズに入る前にある程度の準備を進める。

(あいつが、逆転の手を持っているとすれば恐らくそれは手札にあるカードだな…あいつのフィールドにも墓地にもこの状況を逆転できるカードはないように思えるし…最悪、デッキから発動するカード、なんてものもあるかもしれないけど…後はエクストラデッキのカードとかもあり得るかもな)

「…まぁ、とりあえず攻撃するしかないな…いくよ!バトル!《ダーク・レクイエム》で《サイコロード・ウィルトシャー》に攻撃!鎮魂のディザスター・ディスオベイ!!」

《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》がステンドガラスのような翼を広げ、雷が宿った牙で《サイコロード・ウィルトシャー》に向けて突撃する。

その一撃を腹部で受けた《サイコロード・ウィルトシャー》は消滅し、ステージ2が笑いながらダメージを受けた。

 

ステージ2

LP4000→0

 

サイコ・リサイクラー

レベル4 攻撃1200 守備1800 効果 地属性 サイキック族

このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えない。

(1):自分フィールドに存在するサイコカウンターを2つ取り除くことで発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードがフィールドから離れたとき、自分フィールドにフィールド魔法が存在しない場合に発動できる。デッキ・墓地から「脳開発研究所」1枚を手札に加える。

 

「ハハハハハ!君は無駄足を踏んだ。この分身を倒したことで、確かにこの学校の人々は救われるだろう。だが、あの裏切者の《アカシック・マジシャン》の魂を道連れにさせてもらう。魂を破壊された精霊は消滅し、あの女諸共、完全に私の手駒となる!」

「なっ!?お前、最初からそれが狙いで!?」

ステージ2の言葉に侑哉は驚きを露にする。

「ハハハハハ!そうだ!私にとってこのデュエルの勝敗はさして重要ではなかった!君をここに誘き寄せることが目的だったからな!」

「くっ…!」

侑哉はそう言って、苦虫を噛み潰したような表情をする。

罠であることはわかっていたが、まさか《アカシック・マジシャン》を道連れにするという行為に出てくるとは思ってもいなかった。

(どうする?考えろ!このままだと《アカシック・マジシャン》も直葉も助けられない!何か、何か方法は…!……ある、ひとつだけある!だけど、上手く行くのか?いや、やるしかない!)

侑哉はそう思考をまとめ、デュエルディスクを構える。

「何をしようと無駄だ!君に彼女達は救えない!」

「…君は少し黙っていろ」

冷徹で感情のない声でそう言い放つ侑哉に言い知れない恐怖を感じ、ステージ2は沈黙する。

その恐怖は前に侑哉達を襲った時に感じた恐怖に似ていた。

「さぁ、いくよ」

侑哉はそう呟き、あるカードをデュエルディスクにセットする。

「発動せよ、《超融合》!!」

侑哉が発動したのは《超融合》のカード、それは侑哉達の世界では強力なカードではあるが、特別な力を持ったカードではない。

だが、今侑哉の居る世界なら、精霊が多く存在するこの世界なら超融合の真の力を発揮できるかもしれない、侑哉はそんな僅かばかりの可能性に懸けた。

「…頼む、上手くいってくれ!」

そう呟く侑哉の左目は金色に輝いていた。


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