名前:トビー・ワトソン
性別:男
年齢:22
誕生日:11月20日
CV(イメージ):近藤隆
国籍:アメリカ
身分:霧山城学園大学 経済学部(交換留学生)
趣味:多趣味だが、オタク傾向にあり
家族構成:両親・兄1人
好きなゲーム:スーパーロボット大戦シリーズ
性格:陽気で面倒見が良いムードメーカー。
日本に来て気に入ったもの:K市の舞妓さん
将来の夢:なし
「ううう…」
「誠君、どうしたの?疲れ切ってるみたいだけど、寝不足?」
昼休み、弁当を食べ終えて机に突っ伏している誠に直葉が心配そうに尋ねてくる。
結局、昨日は一睡もできずに夜が明けてしまい、フラフラになった状態で登校した。
乗っていた自転車が何度もぐらつき、危うく転倒しそうになったこともある。
3時間目の英語の授業中に睡魔に襲われ、うっかり寝そうになったが、その前に英語教師の和平・ミラー先生に丸めた教科書で叩かれ、寝ずに済んだ。
なお、ミラーは苗字と金髪のオールバック、青い瞳をからわかるように、実はイギリス系アメリカ人の父親と日本人の母親を持つハーフで、バイリンガルだ。
気さくな性格とそのような名前から、生徒からはカズ先生、もしくはミラー先生と呼ばれており、女子生徒が密かにファンクラブを作っているという噂もある。
「駄目だよ、ちゃんと寝ないと。でも珍しいよね。授業中に寝そうになるなんて…」
引っ込み思案な誠だが、授業は真面目に受けており、これまでそのようになることはあまりなかったことから、起こしたミラーも意外そうな表情を浮かべていたのを直葉は覚えている。
「もしかして…何か悩みがあるの?」
「どうして、そう思うの?」
「幼馴染の勘…かな?」
ニコリと笑った直葉に誠はドキッとしながらも反論することができなかった。
幼いころからの付き合いで有り、互いの気心を理解しあっている以上、ごまかしがあまり通用しないのかもしれない。
実際、誠は昨日のことを考えていた。
精霊に憑依されてしまったトビーのこと、もう1人のC.C.使い、そして彼が言っていた言葉だ。
彼の言葉が正しければ、明日の夜に再び彼が姿を現すことになる。
そこで彼に勝利すれば、彼を精霊から解放することができる。
しかし、誠は昨日の彼とのデュエルで完敗してしまった。
次のデュエルで果たして勝つことができるのか、それがどうしても分からなかった。
(もしあの時…本当にあの攻撃を受けていたら、僕は…)
そうなった場合、シャドーは消滅し、彼によって命をつなぎ留められていた誠は本当に死んでいた可能性が高い。
あの男にシャドーを一時的に抜かれたときのことを思い出す。
致命傷となった傷が開き、ドクドクと血が流れ出ていた。
その時は彼に撃たれた薬で痛みを感じることはなかったものの、その記憶は恐怖と共に残っている。
恐怖がよみがえり、体が震え始める。
「誠君…!?」
「ごめん…調子が悪いから、保健室行ってくる…」
直葉を制止させ、席を立った誠はフラフラと教室を出ていく。
残された直葉は彼が開けっ放しにした教室の扉をじっと見ていた。
「誠君…一体、どうしちゃったの…?」
あの吸血鬼男の件もあり、直葉は誠の身に何が起こったのかが気になって仕方がなかった。
なぜか未来ファンタジーのヒーローのようなコスチュームになってデュエルをし、吸血鬼男が召喚したヴァンパイアモンスターの攻撃を受けたときは本当に痛そうにしていた。
また、Den Cityで意識を取り戻した時にもどのようにして助けられたのか、誠に聞いても答えてもらえなかった。
(なんだろう…?誠君、あたしの知らないところへ行こうとしてるみたい…)
「うーーん、熱はなさそうだけど、どうも調子が良くないみたいだねぇ」
保健室で、誠から電子式の体温計を受け取った、若干青がかった黒のポニーテールで眼鏡をかけた白衣の女性が首をかしげながら体温計の電源を切る。
彼女はこの霧山城高校の保健室の先生である柊真理で、K市で生活している。
高校生の息子と中学生の娘がいて、夫である柊真人は自衛隊員とのこと。
「風邪とか、そんなのじゃないということは分かってるんです。ただ…」
「ただ…?」
「ただ…どう説明したらいいのか、分からないんですが…怖くて…」
「うーん、困ったわね。私はカウンセラーってわけじゃないから…」
保健室の先生、養護教諭は臨床心士と同程度のカウンセリングのスキルや知識をもっているわけではないため、適切な対応が難しい。
霧山城高校のスクールカウンセラーの先生は今日出勤していないため、相談もできない。
「仕方ないわ…。しばらく保健室のベッドで寝て、調子が戻らなかったら、病院に行くか、早退を考えないといけないわね」
「分かりました…そうします」
「ごめんね。力になれなくて…」
白いカーテンを動かし、そこに隠されているベッドに横になり、外から見られないように再びカーテンを閉じる。
10分程度時間が経つと、柊は担任である早島に誠のことを報告するため、保健室を出ていき、部屋には誠だけが残された。
「もう、しゃべっても大丈夫だよ。シャドー…」
「ああ…。クソッ、むしゃくしゃするぜ。あの野郎は…」
学校に来て、しゃべることができなかったシャドーはそのストレスと昨日のあの男のことで機嫌を悪くしていた。
誠に渡したC.C.を彼も使っていたうえ、自分の素性を知っているようで、大魚を逃した漁師のような気分になっていた。
そのことも気になっているが、何よりも誠が今気になっているのはトビーのことだ。
今日の朝のホームルームで配られた新聞を読んでいると、外国人留学生の男性が行方不明になっているという記事があった。
氏名は公表されていないものの、今朝学校へ行く前に、明日奈の電話をうっかり盗み聞きした時、トビーが家にもおらず、連絡すらつかないことを知っているため、おそらくはトビーのことだと考えて間違いない。
問題は彼が本当に明日の夜に現れるかだ。
昨夜の男を信用できるかはわからないが、今はその言葉を信じるしかない。
そんなことを考えていると、扉が開き、人影が近づいてくる。
「柊先生…じゃない??」
カーテン越しに見える人影は男性のもので、明らかに彼女の者ではない。
その人影はどんどん近づいてきて、勝手にカーテンを開ける。
「やぁ、誠君」
「菊岡…先生…」
笑みを浮かべ、横になっている誠を見たスーツ姿の菊岡に誠はなぜ彼がここにいるのかわからず、驚きを見せる。
今日は菊岡の出勤日で、病院にいないとまずい時間帯であるにもかかわらず、だ。
「どうして…?」
「そんなことよりも、何か僕に話さなければならないことがあるんじゃないか?」
菊岡の問いに誠は沈黙し、目を背ける。
彼の言いたいことがだいたいわかっているのか、菊岡は表情を変えずにいた。
タクシーに乗せられ、半ば強引に病院に連れてこられた誠は菊岡の部屋に連れていかれる。
菊岡は本棚の中にある時点のような太い本を押すと、その本棚がドアのように前へ開いた。
「これは…」
「君の練習場への入り口…というべきかな?」
「練習場…?」
「そうだ。明日には現れるステージ2に今度こそ勝てるようにするために…ね」
「ちっ…うさんくせえ野郎だ。こいつが無様に負けたことをもう知ってやがる…」
得体のしれない部分はあの男と同じだと思ったシャドーは悪態をつき、誠はそのドアから続く地下への階段に息をのむ。
誠自身も、今の自分ではトビーを取り戻せないことくらいわかっている。
どうやってそのことを知ったのか、そしてあの男について何か知っているのか?
聞きたいことはたくさんあるが、一人先に階段を降りて行った菊岡を見て、誠も急いでついていった。
「ここが…君の練習場だ」
階段を降りた先で、菊岡はスマートフォンを操作すると、真っ暗になっていた空間が天井の照明で明るくなり、同時に遠くから何かが動く音が聞こえた。
そこは学校の体育館のような広々とした空間で、デュエルリングが置かれていた。
デュエルディスクが登場する以前、ソリッドビジョンシステムが大型だった時代、大会ではこれでデュエルが行われており、多くのデュエリストを魅了してきたものだ。
ソリッドビジョンシステムの小型化の成功とデュエルディスクの登場によって衰退し、今では写真や映像などでしか見ることができないものが、このようなところにあることに誠は驚いた。
「すごい…このデュエルリング、一番新しいタイプのものだ。けど…」
映像で見たものと似ているが、どこか違和感を感じた誠は急いで片方のゴンドラに入り、カードテーブルを見る。
それはリンクモンスターにも対応したものとなっており、相手フィールドのカードも表示される仕組みになっていた。
「で、でも…なんで病院の地下にこれが…?」
「いろいろと…ね。さて…さっさと始めるとしようか」
スーツの上着を脱いだ菊岡は白いワイシャツ姿で向かい側のゴンドラに乗る。
そして、スーツの内ポケットに入れていたと思われるデッキをデッキゾーンとエクストラデッキゾーンに置くと、『デュエル・スタンバイ』の音声と共に彼のゴンドラが上昇する。
「始めるって…デュエルを…??」
「そういうことだ。明日の夜まで時間がないからね」
「待ってください、僕は…」
「ああ、変身はしなくてもいいよ。あと…僕に負けるようだと、勝てないかもしれないよ?」
フッと笑みを浮かべ、眼鏡を直した菊岡は冷徹に述べ、誠は反論できなくなる。
確かに、誠はドロイドにいいようにやられてしまった。
そんな相手にほとんど時間をおかずに戦うとなると、少しでも強くならなければ確実に負ける。
誠はデッキをセットし、ゴンドラを上昇させる。
「いい覚悟だ。本当なら…もう少しちゃんとした状況で君とデュエルがしたかったよ」
「菊岡さん…あの…」
「聞きたいことがあるなら、デュエルの後だ。さあ、始めよう」
『プレイヤー1、プレイヤー2、スタンバイOK。デュエルスタート!』
菊岡
手札5
LP4000
誠
手札5
LP4000
「僕の先攻だ。僕は手札から《昆虫騎士ドラムロ》を召喚」
「昆虫騎士…??」
C.C.に次いで聞いたことのないカテゴリーのカードに警戒する誠の目の前に赤いテントウムシのような甲冑を身に着け、左腕自体がライフルになっているずんぐりとした騎士が現れる。
昆虫騎士ドラムロ レベル4 攻撃1800(1)
「更に手札から魔法カード《オーラ・ロード》を発動。僕のフィールドに昆虫騎士が存在し、リンクモンスターが存在しないとき、《オーラトークン》2体を特殊召喚できる。この《オーラトークン》はルール上、昆虫騎士モンスターとして扱われる」
発動と共に青いゲートが開き、そこから飛んでくる黄色い光が人型になって菊岡のフィールドに立つ。
オーラトークン×2 レベル5 攻撃1000(3)(4)
オーラ・ロード
通常魔法カード
このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分フィールドに「昆虫騎士(オーラインセクト)」モンスターが存在し、リンクモンスターが存在しない場合に発動できる。自分フィールドに「オーラトークン」2体を特殊召喚する。このカードを発動したターン終了時まで、自分は「昆虫騎士」モンスター以外を召喚・特殊召喚できない。
オーラトークン
レベル5 攻撃1000 守備1000 トークン 光属性 昆虫族
「オーラ・ロード」の効果で特殊召喚される。
このカードはルール上、「昆虫騎士」モンスターとしても扱う。
「これで、フィールドに昆虫騎士モンスターが3体…?」
「さあ、現れるがいい。狭間を繋くサーキット!」
エクストラモンスターゾーンの1つがサーキットに変化する。
「アローヘッド確認。召喚条件は昆虫騎士モンスター1体。僕は《ドラムロ》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1!《昆虫騎士ナナジン》!」
《昆虫騎士ドラムロ》が飛び込んだサーキットが光り、その中から青いトンボをモチーフとした、ほっそりとした甲冑姿の騎士が右手に日本刀を握った状態で現れる。
昆虫騎士ナナジン リンク1 攻撃1000(EX1)
「そして、《昆虫騎士ドラムロ》の効果発動。このカードをリンク素材として昆虫騎士のリンク召喚に成功したとき、デッキからもう1体の《ドラムロ》を特殊召喚する」
昆虫騎士ドラムロ レベル4 攻撃1800(2)
(あの《ナナジン》ってリンクモンスター、リンクマーカーが…)
《昆虫騎士ナナジン》のリンク先は上で、誠のメインモンスターゾーンの4番を差しており、この状態ではそのモンスターを素材にしなければ次のリンク召喚を行うことができない。
《昆虫騎士ドラムロ》の効果を使い、実質コスト無しでリンク召喚したいとしても、攻撃力1000のモンスターが3体も某立ちさせるリスクは大きい。
「そして、カードを1枚伏せ、ターンエンド」
菊岡
手札5→2
LP4000
場 昆虫騎士ナナジン リンク1 攻撃1000(EX1)
昆虫騎士ドラムロ レベル4 攻撃1800(2)
オーラトークン×2 レベル5 攻撃1000(3)(4)
伏せカード1(1)
誠
手札5
LP4000
場 なし
「さあ、誠君。君のターンだ」
笑みを浮かべたまま、自信たっぷりに菊岡はターンを渡す。
攻撃力の低いモンスターを3体も棒立ちし、伏せカードを1枚だけセットするとなると、あからさまな罠に見えて仕方がない。
「あのうさんくせえ野郎…さっさとぶちのめせ!」
「ぶちのめせって…」
得体のしれない人物であることは分かっているとはいえ、自分の命を救った医者である彼をぶちのめすというのには抵抗感を覚える。
問題はデュエルで菊岡は自分に何をしようとしているのかだ。
今の誠のデッキは昨夜のあの男のデュエルから1枚も変化がない。
そのため、プレイングの変化くらいしか違いがないだろう。
「僕のターン、ドロー」
誠
手札5→6
「僕は手札から魔法カード《ナイト・ショット》を発動。相手フィールドのセットされている魔法・罠カード1枚を破壊する。その時、対象となったカードは発動できない」
《ナイト・ショット》から発射されたビームが伏せカードを貫き、消滅させる。
破壊された伏せカード
・オーラ・フラッシュ
ゴンドラのパネルを操作し、すぐに破壊した伏せカードについて調べ始める。
「ええっと…相手モンスターが自分フィールドの昆虫騎士リンクモンスターを攻撃対象とした時、攻撃モンスターを除外してバトルフェイズを終了させる…」
やはりというべきか、あからさまの罠だった。
だが、問題なのは2つ目の効果だ。
「自分フィールドの昆虫騎士モンスターが戦闘・効果で破壊されたバトルフェイズ終了時に除外することで、このターン破壊された昆虫騎士モンスター1体を特殊召喚できる…」
「そうだ。二重の罠を張っていたというわけだ」
フフッと笑う菊岡だが、その言葉が嘘か誠かはわからない。
フィールドとライフを独立させた特殊なタッグデュエルの時、あからさまな罠を張ることで相手を挑発し、相手の攻撃を誘導してもう1つの罠に掛けたという前例が存在する。
しかし、その正体がわからない以上、できることをするしかない。
「自分フィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在するとき、このカードは手札から特殊召喚できる。《C.C.インディア》を特殊召喚」
真っ白なマントを身にまとい、右手に杖を握っている、銀色の機械装甲の鎧を下に、そして緑色のゴーグルを装備した東インド風の男性が現れる。
C.C.インディア レベル5 攻撃2000(1)
「更に、《C.C.ウルフ》を召喚」
C.C.ウルフ レベル3 攻撃1000(2)
「バトル。《ウルフ》で《オーラトークン》を攻撃」
《C.C.ウルフ》が《オーラトークン》にかみつくと同時に自爆し、消滅する。
「《ウルフ》の効果。このカードが特殊召喚されたモンスターとの戦闘で破壊されたとき、デッキからカードを1枚ドローする。そして、《インディア》でもう1体の《オーラトークン》を攻撃!」
《C.C.インディア》が杖から青いビームを発射し、それに貫かれた《オーラトークン》が消滅する。
菊岡
LP4000→3000
「よし…!」
「戦闘ダメージを受けたことで、僕は手札の《昆虫騎士ライデン》の効果発動。僕が戦闘ダメージを受けたとき、このカードは手札から特殊召喚できる」
左手に日本刀を握る、茶色いカミキリムシのようなデザインの鎧を身に着けた騎士が現れ、攻撃した《C.C.インディア》にその刀を向ける。
昆虫騎士ライデン レベル4 攻撃1600(4)
「更に、《昆虫騎士ナナジン》の効果発動。僕が戦闘ダメージを受けた時、その数値分攻撃力がアップする」
昆虫騎士ナナジン リンク1 攻撃1000→2000(EX1)
「《ナナジン》の攻撃力が…でも、攻撃力2000なら…」
「《ライデン》の効果。このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、このカードを装備カード扱いにして僕の昆虫騎士リンクモンスター1体に装備する」
《昆虫騎士ライデン》が黄色いオーラとなり、《昆虫騎士ナナジン》に宿る。
彼の握る日本刀の炎が宿り、ツインアイも赤く光る。
「僕は…カードを2枚伏せて、ターンエンド」
菊岡
手札2→1
LP3000
場 昆虫騎士ナナジン(《昆虫騎士ライデン》を装備) リンク1 攻撃2000(EX1)
昆虫騎士ドラムロ レベル4 攻撃1800(2)
誠
手札6→3
LP4000
場 C.C.インディア レベル5 攻撃2000(1)
伏せカード2(3)(4)
「僕のターン、ドロー」
菊岡
手札1→2
「僕は《昆虫騎士ダーナ・オシー》を召喚」
側頭部の下向きの角や2対4本の指、二重関節の手足などこれまでの3体の昆虫騎士とは大きく異なる特徴を持ったモンスターが現れる。
昆虫騎士ダーナ・オシー レベル3 攻撃1000(1)
「バトルフェイズ開始前に、《ライデン》の効果を発動。装備カードとなっているこのカードを除外することで、装備モンスターの攻撃力をターン終了時まで倍にする」
「ええっ!?」
「わざとダメージを受けるような真似をしたのは、そのためかよ!?」
黄色いオーラが日本刀にすべて吸収され、宿っている炎がマグマのように熱くなっていく。
その刀を一振りすると熱風が発生し、誠はとっさに両腕で顔を隠すが、その熱風はあくまでソリッドビジョンで再現されているにすぎないため、熱が襲ってくることはない。
昆虫騎士ナナジン リンク1 攻撃2000→4000(EX1)
「バトル。《ナナジン》で《インディア》を攻撃。火炎オーラ斬り」
《昆虫騎士ナナジン》が燃え盛る日本刀で《C.C.インディア》を一刀両断する。
両断されたモンスターが爆発し、その衝撃波が誠を襲う。
「罠発動《スターライト・バリア》。C.C.が攻撃対象となったとき、このターン、戦闘で発生するダメージを0にし、デッキからC.C.モンスター1枚を手札に加える。僕はデッキから《C.C.バルゴラ》を手札に加える」
どうにかこれから起こるであろうダメージを防ぎ、一気に展開させることができる《C.C.バルゴラ》を手札に呼び寄せることができた。
次のターンにやろうと思えば怒涛のリンク召喚を行うこともできる。
スターライト・バリア
通常罠カード
(1):「C.C.」モンスターが相手モンスターの攻撃対象となったときに発動できる。デッキから「C.C.」モンスター1体を手札に加える。その後、ターン終了時までこのターンの戦闘で受ける自分へのダメージは0となる。
「そして、《ナナジン》の効果。このカードは相手モンスターを攻撃したバトルフェイズ終了時、エクストラデッキに戻る」
攻撃を終え、日本刀の炎が消えるとともに《昆虫騎士ナナジン》がフィールドから姿を消す。
「そして、墓地からレベル4以下の昆虫騎士1体を特殊召喚する。《ドラムロ》を特殊召喚」
昆虫騎士ドラムロ レベル4 攻撃1800(3)
昆虫騎士ナナジン
リンク1 攻撃1000 リンク 炎属性 昆虫族
【リンクマーカー:上】
「昆虫騎士」モンスター1体
このカード名の(1)の効果はフィールドに表側表示で存在する限り、1度だけ発動できる。
(1):自分が戦闘ダメージを受けたときに発動できる。その数値分このカードの攻撃力がアップする。
(2):このカードは戦闘では破壊されない。
(3):このカードが相手モンスターを攻撃したターンのバトルフェイズ終了時、このカードをEXデッキに戻して発動する。自分の墓地からレベル4以下の「昆虫騎士」モンスター1体を特殊召喚する。この効果を発動したターン、自分はこのカード名のモンスターをリンク召喚できない。
「これでエクストラモンスターゾーンが開いた…リンク召喚が…」
「そう、できるということだ。さあ、現れるがいい。狭間を繋くサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は昆虫族モンスター2体以上。僕は《昆虫騎士ドラムロ》2体と《ダーナ・オシー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。リンク3。《昆虫騎士ダンバイン》」
青紫のカブトムシのような甲冑を身に着けた騎士がサーキットの中からフィールドに現れ、先ほどの《昆虫騎士ナナジン》とは異なり、西洋式の片手剣を手にする。
昆虫騎士ダンバイン リンク3 攻撃2100(EX2)
「そして、リンク素材となった《ダーナ・オシー》の効果。このカードを昆虫騎士のリンク素材として墓地へ送ったとき、ライフを1000回復する」
菊岡
LP3000→4000
「《ダンバイン》の効果。このカードをエクストラモンスターゾーンにリンク召喚に成功したとき、デッキからレベル3以下の昆虫騎士1体を守備表示で特殊召喚できる。私はデッキからもう1体の《ダーナ・オシー》を特殊召喚」
《昆虫騎士ダンバイン》がピンク色の光に包まれた剣を空に掲げると、リンク素材となった《昆虫騎士ダーナ・オシー》が再びフィールドに戻る。
昆虫騎士ダーナ・オシー レベル3 守備1000(2)
「更に、《ドラムロ》の効果により、デッキからもう1体の《ドラムロ》を特殊召喚する」
昆虫騎士ドラムロ レベル4 攻撃1800(1)
「再び現れるがいい、狭間を繋くサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は昆虫騎士モンスター2体。僕は《ダーナ・オシー》と《ドラムロ》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。リンク2。《昆虫騎士ボチューン》」
《昆虫騎士ダンバイン》に似た構造で、明るい紫色の甲冑姿で、頭部がキツネに近い形となっている騎士が現れる。
右手には黄土色の刀身の片手剣が握られており、2体の昆虫騎士は剣を交わす。
昆虫騎士ボチューン リンク2 攻撃1400(3)
「《ダーナ・オシー》の効果発動。僕のライフは1000回復する」
菊岡
LP4000→5000
「更に、《ダンバイン》の効果。1ターンに1度、このカードのリンク先に昆虫騎士リンクモンスターのリンク召喚に成功したとき、デッキからカードを1枚ドローする。更に《ボチューン》の効果。僕のフィールドの昆虫騎士リンクモンスター1体につき、僕の昆虫騎士の攻撃力は400アップする。そして、カードを1枚伏せて、ターンエンド」
菊岡
手札2→1
LP5000
場 昆虫騎士ダンバイン(リンク先:《昆虫騎士ボチューン》) リンク3 攻撃2100→2900(EX2)
昆虫騎士ボチューン リンク2 攻撃1900→2700(3)
伏せカード1(1)
誠
手札3→4(うち1枚《C.C.バルゴラ》)
LP4000
場 伏せカード1(4)
昆虫騎士ダンバイン
リンク3 攻撃2100 リンク 光属性 昆虫族
【リンクマーカー:上/右/左下】
昆虫族モンスター2体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのEXモンスターゾーンにリンク召喚に成功したとき、自分のデッキに存在するレベル3以下の「昆虫騎士」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに表側守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードのリンク先に「昆虫騎士」リンクモンスターのリンク召喚に成功したときに発動する。デッキからカードを1枚ドローする。
昆虫騎士ボチューン
リンク2 攻撃1400 リンク 闇属性 昆虫族
【リンクマーカー:左/右】
「昆虫騎士」モンスター2体
(1):自分フィールドに存在する「昆虫騎士」モンスターの攻撃力は自分フィールドに存在する「昆虫騎士」リンクモンスター1体につき、400アップする。
このターンの敗北は回避したものの、菊岡のフィールドにはさらに2体の昆虫騎士リンクモンスターが現れることになった。
《昆虫騎士ボチューン》の効果によって、2体のモンスターの攻撃力がアップしており、新しい伏せカードもある。
(でも…僕の手札には…)
誠は手札に加わった《C.C.バルゴラ》を見る。
このカードを使って一気に《C.C.バルゴラ・グローリー》をリンク召喚し、《昆虫騎士ダンバイン》を奪い取ったうえで、そこから一斉攻撃を仕掛けることができる。
《昆虫騎士ダーナ・オシー》の効果でライフが5000まで回復しているうえ、墓地に《オーラ・フラッシュ》が存在することから、油断はできないが。
「僕のターン、ドロー!」
誠
手札4→5
「僕は《C.C.バルゴラ》を召喚!」
C.C.バルゴラ レベル3 攻撃1200(2)
「《バルゴラ》の効果。このカードの召喚に成功したとき、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在し、僕のフィールドのモンスターがこのカードだけの時、手札・デッキ・墓地から《バルゴラ》を特殊召喚できる」
C.C.バルゴラ×2 レベル3 攻撃1200(1)(3)
「現れろ、星を繋ぐサーキット!」
サーキットが出現し、既に何を召喚するのかわかっている3体の《C.C.バルゴラ》がその中に飛び込んでいく。
「アローヘッド確認!召喚条件は《C.C.バルゴラ》を含むC.C.モンスター3体。僕は《C.C.バルゴラ》3体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク3!《C.C.バルゴラ・グローリー》!!」
C.C.バルゴラ・グローリー リンク3 攻撃1900(EX1)
「《バルゴラ・グローリー》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功したとき、このカードのリンク先のモンスター1体をこのカードの装備カードにすることができる。この効果はこのカードがエクストラモンスターゾーンに存在する場合、もう片方のエクストラモンスターゾーンのモンスターも対象にできる。僕は《ダンバイン》を《バルゴラ・グローリー》に装備!カーバー・ドレイン!」
《C.C.バルゴラ・グローリー》の武装ユニットから発射された網状のビームが《昆虫騎士ダンバイン》を絡み取る。
《昆虫騎士ダンバイン》はそれから逃れようと、剣でビームを切ろうとするが、中々切ることができない。
「これで、《ダンバイン》は…!」
「罠発動。《星遺物からの目醒め》。僕のフィールドのモンスターを素材にリンク召喚を行う」
「ええっ!?」
「これで、《バルゴラ・グローリー》の効果は不発に終わる。さあ、現れるがいい。狭間を繋ぐサーキット」
《星遺物からの目醒め》が上空を舞い、サーキットへと変化する。
「アローヘッド確認。召喚条件は昆虫騎士リンクモンスター2体。僕は《ダンバイン》と《ボチューン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン」
2体の昆虫騎士が飛び込んだサーキットがエクストラモンスターゾーンに降りて来て、その中から赤と白をベースとした、カブトムシをモチーフとしている点は《昆虫騎士ダンバイン》と同じであるものの、それと比較するとやや太めな構造となっている甲冑を身に着けた騎士が出てくる。
「紅蓮と氷河の力纏いし騎士、リンク召喚!リンク5!《昆虫騎士ビルバイン》!」
昆虫騎士ビルバイン リンク5 攻撃3000(4)
「リンク…5…!?」
誠はフィールドに現れたさらなる昆虫騎士に戦慄する。
これまでに知っている限りでは、リンクモンスターのリンク数は最大で4で、リンク5は今まで見たことも聞いたこともない。
攻撃力は3000で、当然今の《C.C.バルゴラ・グローリー》では手も足も出ない。
だが、まだ動くことができる。
「僕は墓地の《C.C.インディア》の効果発動。僕のフィールドに存在するモンスターがエクストラモンスターゾーンに存在するリンクモンスター1体だけの時、このカードを除外することで、墓地のレベル4以下のC.C.2体を特殊召喚できる。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり、攻撃力・守備力は0になる」
《C.C.インディア》の幻影がフィールドに現れ、杖をフィールドに突き刺すと、上空に青い渦が出現する。
そして、その中から《C.C.バルゴラ》2体が下りてくる。
C.C.バルゴラ×2 レベル3 守備1000→0(1)(2)
「更に、このカードは僕のフィールドにC.C.が存在するとき、手札から特殊召喚できる。《C.C.リザード》を特殊召喚!」
C.C.リザード レベル1 攻撃300(5)
「そして、再び現れろ。星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はC.C.モンスター2体。僕は《バルゴラ・グローリー》と《リザード》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク4!《C.C.アウストラリス》!」
C.C.アウストラリウス リンク4 攻撃2800(EX1)
「《リザード》の効果発動!このカードをC.C.リンクモンスターのリンク素材として墓地へ送ったとき、相手フィールドに《リザードテイルトークン》1体を特殊召喚する」
リザードテイルトークン レベル1 守備2000(3)
「更に、僕は罠カード《戦線復帰》を発動。墓地のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。僕はもう1度《リザード》を特殊召喚」
C.C.リザード レベル1 守備200(5)
「もう1度現れろ!星座を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はC.C.モンスター2体以上。僕は《リザード》と《バルゴラ》2体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク4!《C.C.ジェニオン》!」
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(5)
「これが…《ジェニオン》。こうしてみるのは初めてだな…」
召喚され、ダガーを構える《C.C.ジェニオン》を見ながら、菊岡は静かにつぶやく。
同時に、そのモンスターに対して何か違和感を感じていた。
他のモンスターたちとは異なり、このモンスターからは何か感じられないものがあるためだ。
それが何かは、今の菊岡には答えを導き出すことができなかった。
「《リザード》の効果で、もう1度相手フィールドに《リザードテイルトークン》1体を特殊召喚する!」
リザードテイルトークン レベル1 守備2000(5)
「そして、《ジェニオン》の効果。バトルフェイズ開始時にこのカードのリンク先に存在するモンスターの数だけ攻撃を追加できる!」
《C.C.アウストラリウス》が放つ光の矢を吸収した《C.C.ジェニオン》はバックパックに搭載されている2丁の銃砲を両手に構える。
照準はリンク召喚されたばかりの《昆虫騎士ビルバイン》に向けられる。
「バトル!《ジェニオン》で《ビルバイン》を攻撃!Dソリッドパニッシャー、発射!」
2丁の鉄砲から発射された青いビームが上空を舞う《昆虫騎士ビルバイン》を襲う。
「攻撃力は《ビルバイン》が上回っている…ということは、仕掛けがあるね?」
「はい。《アウストラリウス》のリンク先のモンスターは戦闘では破壊されず、その戦闘で発生する僕へのダメージも0になる!」
《昆虫騎士ビルバイン》がピンクの光を宿した剣でビームを切り裂き、ピンク色の斬撃の痕のような衝撃波が《C.C.ジェニオン》を襲う。
しかし、正面に展開した紫色の円盤状のバリアがその衝撃波を受け止める。
「そして、相互リンクしているC.C.リンクモンスターと戦闘を行った相手モンスターをダメージステップ終了時に破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!」
2丁の鉄砲を合体させ、ロングライフルに変形させると、それを《昆虫騎士ビルバイン》に向けて再び発射する。
しかし、《昆虫騎士ビルバイン》の前に突然現れた《リザードテイルトークン》にビームが命中する。
「ええっ!?」
「リンク先を埋めることで、リンクモンスターのこれ以上の召喚を防ごうとしたのがあだになったな。《ビルバイン》は破壊されるとき、代わりにリンク先のモンスターを破壊する。そして、僕のリンク先に存在するモンスターがフィールドから離れたとき、《ビルバイン》にオーラカウンターが1つ置かれる」
《昆虫騎士ビルバイン》の刀身が展開し、中央部の3つの赤い球体状のパーツが露出する。
そして、そのうちの1つが青く染まった。
昆虫騎士ビルバイン オーラカウンター0→1
「オーラカウンター…?」
「《ビルバイン》は乗っているオーラカウンター1つにつき、攻撃力が400アップする」
昆虫騎士ビルバイン リンク5 攻撃3000→3400
「ということは…僕は《ビルバイン》を守る手伝いをしてしまったってことなんだ…」
仮に《リザードテイルトークン》をリンク先に召喚しなければ、このまま倒すことができたかもしれない。
しかし、菊岡であれば、そのための対策もしている恐れもある。
「…僕は《ジェニオン》の効果発動。このカードのリンク先に存在するモンスターの数だけ、バリアカウンターを乗せる。そして、カードを2枚伏せ、ターンエンド」
菊岡
手札1
LP5000
場 昆虫騎士ビルバイン(相互リンク:《C.C.アウストラリウス》 リンク先:《リザードテイルトークン》 オーラカウンター1) リンク5 攻撃3400(4)
リザードテイルトークン レベル1 守備2000(5)
伏せカード1(1)
誠
手札5→1
LP4000
場 C.C.アウストラリウス(相互リンク:《C.C.ジェニオン》《昆虫騎士ビルバイン》) リンク4 攻撃2800(EX1)
C.C.ジェニオン(相互リンク:《C.C.アウストラリウス》 バリアカウンター0→1) リンク3 攻撃2500(5)
伏せカード2(1)(2)
(いま伏せた2枚のカード…そいつにかけてやがんな…)
《C.C.アウストラリウス》のリンク先には《昆虫騎士ビルバイン》が存在しており、彼もその恩恵を受けている。
現状、そんな《昆虫騎士ビルバイン》を倒せるのは《C.C.アウストラリウス》と相互リンクしている《C.C.ジェニオン》だけだ。
「僕のターン、ドロー」
菊岡
手札1→2
「僕は手札の《寄生虫パラノイド》の効果を発動」
「そのカードは…!?」
菊岡が見せたカードに誠は戦慄する。
これから彼が何をするのか、その1枚だけで理解することができたからだ。
「フィールド上のモンスター1体に装備することができ、装備モンスターの種族は昆虫族になる」
青いムカデのようなモンスターが《C.C.ジェニオン》にとりつき、青い装甲に複数のひびが入る。
日々からは青い触手が出て来て、規制された双子座の機械戦士は苦しみながら膝をつく。
「《ジェニオン》!!」
「《パラノイド》に寄生されたモンスターは昆虫族モンスターに攻撃できず、そのモンスターを対象として発動したモンスター効果も無効となる。だが…その効果はついででしかない。僕は手札から速攻魔法《超進化の繭》を発動。フィールド上の装備カードを装備した昆虫族モンスター1体をリリースし、デッキから昆虫族モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。僕は《パラノイド》を装備した《ジェニオン》をリリース。リリースした以上、君の《ジェニオン》のバリアは無力だ」
触手に口が生まれ、吐き出される糸に《C.C.ジェニオン》が飲み込まれていく。
そして、《昆虫騎士ビルバイン》によって菊岡のフィールドに運ばれていった。
「ちっ、そんなカードをもってやがったか!?」
「僕がデッキから特殊召喚するのは…《昆虫騎士ライネック》」
繭が破れ、その中から深緑のバッタをモチーフとしつつも、やや太めな構造の甲冑を装備した騎士が現れ、その手には2本の黒い短剣が握られている。
昆虫騎士ライネック レベル7 攻撃2600(3)
「更に、墓地の《超進化の繭》の効果発動。このカードを除外し、墓地の昆虫族モンスター1体をデッキに戻した後で、デッキからカードを1枚ドローする。僕は墓地の《昆虫騎士ダンバイン》をデッキに戻し、デッキからカードを1枚ドローする。更に《ライネック》の効果発動。1ターンに1度、墓地の昆虫騎士1体を除外することで、アフィールド上のカード1枚を破壊する。僕は《ダーナ・オシー》を除外し、君の伏せカードを破壊する」
《昆虫騎士ライネック》が2本の剣を重ねると、《昆虫騎士ダーナ・オシー》の幻影が出現し、紫色の光になって吸収される。
そして、その光は球体となって発射され、伏せカードに襲い掛かる。
「く…罠発動!《リンク・スピリッツ》!墓地のリンクモンスター1体を除外し、リンク素材となったモンスター一組を墓地から特殊召喚する。僕は《ジェニオン》を除外!」
球体に命中する直前に発動した《リンク・スピリッツ》の効果により、天井の黒い渦が出現する。
そして、《C.C.ジェニオン》のリンク素材として墓地へ送られていた3体のモンスターがフィールドに戻る。
C.C.バルゴラ×2 レベル3 守備1000(3)(5)
C.C.リザード レベル1 守備200(1)
リンク・スピリッツ
通常罠カード
(1):墓地のリンクモンスター1体を除外することで発動できる。除外したモンスターのリンク召喚に使用したモンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、この一組を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
「僕は手札から魔法カード《死者蘇生》を発動。墓地から《昆虫騎士ボチューン》を特殊召喚」
昆虫騎士ボチューン リンク2 攻撃1400(2)
「さあ、現れるがいい。狭間を繋ぐサーキット。アローヘッド確認。召喚条件は昆虫族モンスター2体以上。僕は《ボチューン》と《ライネック》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。リンク3。《昆虫騎士ダンバイン》」
昆虫騎士ダンバイン リンク3 攻撃2100(EX2)
「《ダンバイン》の効果。このカードをエクストラモンスターゾーンにリンク召喚に成功したとき、デッキからレベル3以下の昆虫騎士1体を守備表示で特殊召喚できる。私はデッキから《ダーナ・オシー》を特殊召喚」
昆虫騎士ダーナ・オシー レベル3 守備1000(1)
「更に、リンク素材となった《昆虫騎士ライネック》の効果発動。このカードをリンク素材としてリンク3以上の昆虫族リンクモンスターのリンク召喚に成功した場合、そのリンクモンスターはカード効果では破壊されない」
《昆虫騎士ライネック》の幻影が《昆虫騎士ダンバイン》に飲み込まれ、青き昆虫騎士の甲冑がピンクのオーラに包まれる。
昆虫騎士ライネック
レベル7 攻撃2600 守備2200 効果 地属性 昆虫族
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):1ターンに1度、自分の墓地の昆虫族モンスター1体を除外し、フィールド上のカード1枚を対象に発動できる。そのカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードをリンク素材として、リンク3以上の昆虫族リンクモンスターのリンク召喚に成功したときに発動する。そのカードは以下の効果を得る。
●このカードは効果では破壊されない。
「続けて、現れるがいい。狭間を繋ぐサーキット。アローヘッド確認。召喚条件は昆虫騎士モンスター1体。僕は《ダーナ・オシー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。現れるがいい、リンク1。《昆虫騎士ナナジン》!」
昆虫騎士ナナジン リンク1 攻撃1000(3)
「そして、《ダーナ・オシー》の効果により、ライフが1000回復する」
菊岡
LP5000→6000
昆虫騎士ダーナ・オシー
レベル3 攻撃1000 守備1000 効果 闇属性 昆虫族
(1):このカードの召喚に成功したとき、自分フィールドにリンクモンスターが存在しない場合、墓地に存在するレベル4以下の「昆虫騎士」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
(2):このカードが「昆虫騎士」リンクモンスターのリンク素材として墓地へ送られたときに発動する。自分は1000LPを回復する。
「更に、《ダンバイン》のリンク先に昆虫騎士のリンク召喚に成功したため、デッキからカードを1枚ドローする。そして、《ビルバイン》のリンク先のモンスターがフィールドから離れたことにより、オーラカウンターが一つ増える」
昆虫騎士ビルバイン リンク5 攻撃3400→3800 オーラカウンター1→2(4)
「攻撃力…3800…」
《C.C.ジェニオン》がフィールドから消え、どうにか守りを固めるために3体のモンスターを召喚したものの、今の菊岡のフィールドに存在する3体のリンクモンスターを前にどれだけしのげるか、誠は不安に思った。
「更に、僕は墓地の《ドラムロ》の効果を発動。このカードと同じ名前のカードが3枚墓地に存在するとき、1度だけ相手メインモンスターゾーンのモンスターをすべて破壊できる」
「な…!?」
フィールドに現れた3体の《昆虫騎士ドラムロ》が左腕のライフルを三角形状の重ね合わせ、3機分のエネルギーをそれに凝縮させる。
底から放たれる高熱の火炎放射に焼かれ、誠の3体のモンスターが全滅した。
昆虫騎士ドラムロ
レベル4 攻撃1800 守備1600 効果 炎属性 昆虫族
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できず、(2)の効果はデュエル中1度しか発動できない。
(1):このカードをリンク素材として「昆虫騎士」リンクモンスターのリンク召喚に成功したときに発動する。デッキから「昆虫騎士ドラムロ」1体を特殊召喚する。
(2):このカードが墓地に存在し、自分の墓地に同じカード名のカードが他に2枚存在するときに発動できる。相手メインモンスターゾーンのモンスターをすべて破壊する。この効果は「昆虫騎士ドラムロ」が墓地へ送られたターン、発動できない。
「そんな…」
これで、誠のフィールドに残ったモンスターは《C.C.アウストラリウス》1体のみ。
攻撃力3800となった《昆虫騎士ビルバイン》にはかなわない。
「そして、手札から装備魔法《リ・リンク》を発動。ライフを1000支払い、僕の墓地のリンクモンスター1体を特殊召喚する。僕は《ボチューン》を特殊召喚」
昆虫騎士ボチューン リンク2 攻撃1400(2)
菊岡
LP6000→5000
リ・リンク
装備魔法カード
(1):1000LPを支払い、自分の墓地に存在するリンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。このカードがフィールドから離れたときにそのモンスターは破壊される。
「《ボチューン》の効果により、僕のフィールドの昆虫騎士リンクモンスター1体につき、僕の昆虫騎士の攻撃力は400アップする」
昆虫騎士ダンバイン リンク3 攻撃2100→3700(EX2)
昆虫騎士ボチューン リンク2 攻撃1400→3000(2)
昆虫騎士ナナジン リンク1 攻撃1000→2600(3)
昆虫騎士ビルバイン リンク5 攻撃3800→5400(4)
《昆虫騎士ボチューン》の登場により、更に菊岡の昆虫騎士たちの攻撃力が上昇した。
4体もの昆虫族リンクモンスターの攻撃を《昆虫騎士ドラムロ》による殲滅で、ズタズタになった誠のフィールドでは耐えきれない。
「負け…る…??」
絶望的な状況に、敗北の二文字が頭に浮かぶ。
脳裏にドロイドとあの男とのデュエルの光景が浮かび、手札を握る左手が震え始める。
「おい!何震えてやがんだ、誠!?」
「ハア、ハア…」
誠は震える左手を右手で必死に抑えようとするが、それでも震えが止まらず、手札を落としてしまう。
浮かぶ光景は更にドロイドとの再戦で敗れる自分の姿へと変わっていき、頭を振ってその幻想を吹き飛ばそうとするが、それはあざ笑うかのように離れない。
「しっかりしやがれ!?てめえ、俺がとりついてやってるのに、これ以上負けるなんて認めねーからな!?」
「でも…でも…」
「負ける…君がそれを望むなら、それでもかまわないさ」
「え…?」
菊岡からの意外な言葉に驚き、足元へ向かっていた誠の目線は彼に向けられる。
手札がなくなったことで、両手が自由になった菊岡は眼鏡を拭いた後で、言葉を続ける。
「君が望むのなら、敗北という結末も致し方ないだろう。そうなれば、僕は君と同じ存在を探すしかなくなるが…。だが、君自身はどうしたい?」
「僕…は…でも…」
「君にどれだけの力があるか…勝てる確率がどれだけ残っているのか…。それは考える必要はない。問題なのは…君がどうしたいかだけだ」
菊岡の言葉を聞くのに集中したせいか、左手の震えが徐々に収まっていった。
そして、純粋に自分が何をしたいのか、深く考えることなしに心に問いかける。
「僕…は…トビーさんを、姉さんの友達を助けたい…。誰かを助けられるくらい強くなりたい!」
叫ぶと同時に誠のエクストラデッキが光り始める。
脳裏には《C.C.ジェニオン》の姿とその背後に浮かぶ倍以上の大きさになり、装備の変化した青い双子座の戦士の姿が浮かんだ。
「バトル。《ビルバイン》で《C.C.アウストラリウス》を攻撃」
《昆虫騎士ビルバイン》が《C.C.アウストラリウス》に剣を向けると、そのまま正面から突っ込んでいく。
そして、握っている剣で彼を真っ二つに切り裂いた。
誠
LP4000→1400
「罠発動!《ムル・アピンの啓示》。僕のフィールドのC.C.リンクモンスターが戦闘で破壊されたとき、墓地もしくは除外されている僕のC.C.リンクモンスター1体を特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる。僕は除外されている《ジェニオン》を特殊召喚!」
ダメージに耐え、天井に出現した黒い渦の中から再び《C.C.ジェニオン》が姿を現す。
《寄生虫パラノイド》から受けたダメージはまだ回復しきっていないのか、痛みで片膝をつく。
C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(2)
ムル・アピンの啓示
通常罠カード
(1):自分フィールドの「C.C.」リンクモンスターが戦闘で破壊されたとき、墓地もしくは除外されているそのモンスター以外の自分の「C.C.」リンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる。
「なるほど…これで僕の攻撃は終わるということか…いいだろう。ターンエンドだ」
勝利まであと一息というところで阻まれたにもかかわらず、別段悔しそうな表情を見せず、菊岡はターン終了を宣言する。
菊岡
手札1
LP5000
場 昆虫騎士ボチューン(リンク先:《昆虫騎士ナナジン》) リンク2 攻撃3000(2)
昆虫騎士ナナジン リンク1 攻撃2600(3)
昆虫騎士ビルバイン(リンク先:《リザードテイルトークン》《昆虫騎士ナナジン》 オーラカウンター2) リンク5 攻撃5400(4)
リザードテイルトークン レベル1 守備2000(5)
昆虫騎士ダンバイン(リンク先:《昆虫騎士ナナジン》) リンク3 攻撃3700(EX2)
伏せカード1(1)
誠
手札1
LP1600
場 C.C.ジェニオン リンク3 攻撃2500(2)
伏せカード1(2)
「僕のターン…ドロー…」
誠
手札1→2
「僕は…《C.C.ブラスタ》を召喚」
C.C.ブラスタ レベル4 攻撃1900(1)
「そして、現れろ。星座を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はC.C.モンスター1体。僕は《ブラスタ》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク1!《C.C.ジ・インサー》!」
C.C.ジ・インサー リンク1 攻撃0(EX1)
「《ジ・インサー》の効果。このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、自分の墓地に存在する「C.C.」モンスター1体を効果を無効にして、このカードのリンク先に特殊召喚できる。僕は墓地の《C.C.アウストラリウス》を特殊召喚!」
C.C.アウストラリウス リンク4 攻撃2800(4)
(奇妙な動きだな…)
仮に菊岡が誠なら、《C.C.ジ・インサー》の効果で《C.C.バルゴラ・グローリー》を特殊召喚し、この2体を素材にリンク4のリンクモンスターのリンク召喚を行う。
あくまで、誠のデッキにほかにリンク4のリンクモンスターが存在するならの話だが。
《C.C.リ・ブラスタ》はリンク4だが、その2体のモンスターでは召喚条件をクリアすることができない。
「分かる…わかるよ、こうすればいいんだね…」
淡く光るエクストラデッキに問いかけるように、誠はつぶやく。
シャドーには誠が何を言っているのかわからず、困惑する。
明らかにその言葉は自分に向けたものではないことだけは分かった。
(あの野郎…何するつもりだ?)
誠はエクストラデッキに右手をかざす。
すると、光が誠の右手に吸収されていき、それが1枚のカードに変化していく。
「現れろ、星を繋ぐサーキット!」
手にしたカードを投げると、上空でそのカードはサーキットに変化する。
「アローヘッド確認!召喚条件は《ジェニオン》を含むリンクモンスター2体。僕は《ジェニオン》と《ジ・インサー》をリンクマーカーにセット!」
誠の言葉に従い、2体のリンクモンスターがサーキットの中へ飛び込んでいく。
その中で、《C.C.ジェニオン》は青い光となった《C.C.ジ・インサー》を吸収し、その形状を変化させていく。
「巨人の鎧纏いし、輝きの戦士。リンク召喚!現れろ、リンク4!《C.C.ジェニオン・ガイ》!」
サーキットの中から、倍以上の大きさとなり、がっしりとした太目の構造となった《C.C.ジェニオン》が現れる。
バックパックに内蔵されていた武器が手足や本体に装着される形の変形であり、ほっそりとした《C.C.ジェニオン》とは大きく印象が異なる。
C.C.ジェニオン・ガイ リンク4 攻撃2800(EX1)
「《ジェニオン・ガイ》…??」
誠が召喚した新たなリンクモンスターを見たシャドーはそのモンスターに既視感のようなものを感じた。
見たこともない、名前も聞いたこともないモンスターであるにもかかわらず。
(この違和感…間違いねえ、俺は…このモンスターを…)
「苦し紛れに新たなリンクモンスターを召喚したみたいだが、攻撃力はどの昆虫騎士にも届いていない…」
菊岡の言う通り、《昆虫騎士ボチューン》と彼をはじめとする昆虫騎士リンクモンスター達は助け合うように攻撃力をアップさせている。
せっかくの《C.C.ジェニオン・ガイ》だが、自身よりも小型であるはずの昆虫騎士たちに力負けしている。
「《ジェニオン・ガイ》の効果発動!このカードのリンク先に存在する特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力と効果を得る。僕は《ビルバイン》を対象にする!ヘルヘイム・ドレイン!」
「何!?」
《C.C.ジェニオン》の胸部から発射された緑色のエネルギー弾が《昆虫騎士ビルバイン》を貫く。
貫かれた傷はすぐに修復したものの、緑色のオーラに包まれ、赤き昆虫騎士は苦しみながら膝をつく。
「効果を失った《ビルバイン》の攻撃力はダウン!」
昆虫騎士ビルバイン リンク5 攻撃5400→4600(4)
C.C.ジェニオン・ガイ リンク4 攻撃2800→8200(EX1)
「バトル!《ジェニオン・ガイ》で《ビルバイン》を攻撃!ヴァナルガンド・クラッシュ!」
《C.C.ジェニオン・ガイ》が右腕に自信と同じ大きさの青い複合攻撃ユニットを召喚する。
ターゲットを《昆虫騎士ビルバイン》に定めると、それから大出力のビームと白く発光する質量弾が次々と発射される。
ビームと質量弾が次々と《昆虫騎士ビルバイン》に着弾し、菊岡のフィールドを爆炎で包み込んでいく。
「更に、この効果を発動した《ジェニオン・ガイ》がこのターン、戦闘で特殊召喚されたモンスターを破壊したとき、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
「フッ…」
伏せカードを見た菊岡だが、それを発動することなく、爆炎に包まれる自分のフィールドを見る。
《昆虫騎士ビルバイン》が消滅するのと同時に、彼を乗せたゴンドラが下に降りて行った。
菊岡
LP4000→1200→0
オーラ・フラッシュ
通常罠カード
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの「昆虫騎士」リンクモンスターが相手モンスターの攻撃対象となったときに発動できる。攻撃モンスター1体をゲームから除外し、バトルフェイズを終了させる。
(2):自分フィールドの「昆虫騎士」モンスターが戦闘・効果で破壊されたバトルフェイズ終了時、墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。このターン、破壊された「昆虫騎士」モンスター1体を特殊召喚する。
昆虫騎士ライデン
レベル4 攻撃1600 守備1500 効果 地属性 昆虫族
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):相手モンスターの攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けたときに発動できる。手札のこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
(2):このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、自分フィールドに存在する「昆虫騎士」リンクモンスター1体を対象に発動できる。このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。
(3):このカードの効果で装備カードとなっているこのカードをリリースすることで発動できる。装備モンスターの攻撃力がターン終了時まで倍となる。
昆虫騎士ビルバイン
リンク5 攻撃3000 リンク 炎属性 昆虫族
【リンクマーカー:上/右/左/下/右下】
「昆虫騎士」リンクモンスター2体
このカード名のモンスターはフィールド上に1体しか存在できない。
(1):このカードのリンク先に存在するモンスターがフィールドから離れたときに発動する。このカードの上にオーラカウンターを1つ置く。(最大3つ)
(2):このカードの攻撃力は乗っているオーラカウンターの数×400アップする。
(3):バトルフェイズ開始時、このカードの上に乗っているオーラカウンターを3つ取り除くことで発動できる。このターン、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃することができる。
(4):このカードが破壊されるときに発動できる。代わりにこのカードのリンク先に存在するモンスター1体を破壊する。
C.C.ジェニオン・ガイ
リンク4 攻撃2800 リンク 地属性 機械族
【リンクマーカー:下/右下/左/左上】
「C.C.ジェニオン」を含むリンクモンスター2体
このカード名のカードはフィールド上に1枚しか存在できない。
このカードをリンク召喚する際、リンク素材となるモンスターのリンクの数値の合計が4でなければならない。
このカードの(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのリンク先に存在する特殊召喚されたモンスター1体を対象に発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力の数値分、このカードの攻撃力がアップし、そのモンスターの効果を得る。対象となったモンスターが相手モンスターの場合、そのモンスターの効果はターン終了時まで無効化される。この効果を使ったターンに1度、このカードが特殊召喚されたモンスターを戦闘で破壊したときに発動する。そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。また、この効果を発動したターン、このカード以外の自分モンスターは攻撃できない。
(2):このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚されたときに発動する。このカードの上にバリアカウンターを1つ置く。
(3):このカードが破壊されるときに発動できる。代わりにこのカードの上に乗っているバリアカウンターを1つ取り除く。
「はあ、はあ、はあ…」
デュエルが終わり、急に疲れに全身を襲われた誠はその場で座り込む。
ソリッドビジョンが消え、誠のゴンドラも下へ下がった。
「見事だ、誠君。自分の壁を超えた君なら、明日は大丈夫だろう」
「大丈夫って…」
誠はこの攻撃ですべてが終わるとは思っていなかった。
2人のフィールドには伏せカードが1枚ずつ残っており、誠も手札が1枚残っている。
それは《リミッター解除》で、いざというときはそのカードを発動するつもりでいた。
「このデュエルの最大の目的を果たした以上、続けても意味が…うん?」
菊岡は誠のフィールドのカードに目を向ける。
誠のフィールドにあるモンスターカードはなぜか《C.C.アウストラリウス》だけになっていた。
(《ジェニオン・ガイ》が…ない…?)
自分にとどめを刺した、《C.C.ジェニオン》が進化したカードがないことに菊岡は疑問を浮かべる。
立ち上がった誠も、そのカードがないことに気付き、驚きを露わにしている。
(あのカード…確かにこれまでのこいつのデッキには入っていなかった…。まさか、こいつ自身が作り出したってわけじゃないよな…??)