人里のお話なのでオリジナルキャラがたくさん出てきます。特に元外来人組は名前も出ます。ご了承ください。
さて、妖怪という外の世界には居なかった敵がいる中で、俺は幻想郷で生活出来るのだろうか。……トイレが水洗じゃない事もとても重要である。
大樹を含め、この人里で外来人は数人いる。外来人は共同の生活スペースを用意されている。当然、個々の部屋もきちんとあるのだが。外来人が固められているのは別に差別意識でこうしている訳ではない。外来人はいつ住み着くかわからないので、できるだけ多くの人間が狭い空間で暮らせるようにした為であるらしい。
それにあまり外来人と人里の間には壁はない。
……妖怪とも喋る人里の人間には関係ない話ではある。
「おい大樹!起きろよ!今日も授業があるだろ。」
「……フヮァァ~。おはよう。隆希。」
「ああ。おはよう。大樹。」
俺の隣の部屋を使っている外来人の隆希に起こされる。
この住まいでは朝ごはんは1階の食堂で皆で食べることになっている。
「隆希、すまんな。昨日は夜更かしし過ぎた。」
「まだ先生に慣れてはいないんだろ?」
「ああ。授業をどう進めるか、いつも受けてたけれども毎日こんなに苦戦するとは……。」
「俺も最初ここで生活する時は慣れなかったよ。それまで農作業なんてやった事無いからな。」
ここで簡単に説明すると彼、奥村隆希は大樹の前に新しく幻想郷にきた外来人だ。
事の成り行きは数年前、どこかの森の奥で足を滑らせて川に流されたそうだ。意識を取り戻すと、幻想郷に来ていたらしい。
今もし外の世界にいるならば高校3年生らしいが……。身長が低いし童顔なので先輩というイメージが無い。隆希自体先輩ヅラはせず友達の様に接する。
性格は明るくお喋り。でもお調子者ではない。喋っているとこちらも気が軽くなりそうな。
いわゆるムードメーカー的存在かな。
「皆さんすみません。朝食を待たせてしまって。」
他の人はもう既に席についていたようだ。
「誰も気にしてなんかいないって。」
「寝坊だなんて初めてかな?大樹君。」
「おはようございます。志川さん。」
「ああ。おはよう。それより疲れが見えるけど大丈夫なのかい?」
「ええ。まだ慣れてないだけなので。ご心配ありがとうございます。」
「いやいや。ちょっと心配しただけだよ。」
説明を少しすると彼、志川太郎は外来人の中でも1番古株である。
当然年齢も高くそろそろ60歳を迎えるのだとか。
仕事は外来人の居住スペースの運営。最初は1人だったので辛かったと言っていた。
趣味というより外の世界では将棋の棋士でもあったので里の数少ない娯楽である将棋を行っているらしい。
無論この里1番の強さである。大樹も1回指してもらったがこれといって太刀打ち出来なかった。
「それじゃあ。いただきます。」
志川さんがそう言うと、皆は手を合わせる。
「「いただきます。」」
「……モグモグ……。今日の朝食も美味しいな!」
「だよな。さすが京さんだ。」
「……ありがとうございます。」
ここでも補足を。このアパートの朝食担当である浅川京(名前はけいと読む)は料理が得意。外の世界で言うと大学2年生らしい。意外と高身長。170は超えている。俺より少し低いといった感じだろうか。
仕事は料理人。ここの料理だけではなく俺が務める寺子屋の給食や人里にある飲み屋でも働いている。
彼女の料理は評判が良い。実際かなり美味しい。
外の世界でも居酒屋でアルバイトしていたそうだ。その為か大学ではサークルなどに入っていなかったらしい。
……ちなみに見た目はかなり美人。黒髪ロング。霊夢や慧音にも負けない程だ。
大樹含めてこの4人が幻想郷の人里で暮らす外来人である。もしかしたら逞しく違う場所で暮らす外来人がいるかもしれない。…可能性はほぼ0だが。
~朝食終了後~
「着替えよし!…紫さんが俺の服を持ってきてくれて良かった~。」
実は幻想郷で暮らすことが決まりこの部屋で暮らし始めた数時間後の事。紫さんが突如現れたのである。
スキマから俺の服や生活品を持ってきてくれた。何故俺の部屋から出てきたのは兎に角、実際服が無くて困っていたところだった。紫さんは意外と優しい。
「それじゃあ!今日も行きますか~。」
少し準備をした後、俺の働き口である寺子屋に向かう。
……人里は平和で心地よいなあ。
ここまでお読みくださってありがとうございます。
今回だけで1日が終わるかな?と思ったのですが終わりませんでした。
次回は続きやります。一応タイトルは前編としておきましょうか。
更新不定期です。