天狗の幻想入り   作:ジャジャジャジャーン

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春雪異変から1ヶ月が経ち、異例の時期で幻想郷に春が来た。そんな中主人公、藤村大樹は紅魔館へ向かい、パチュリーから魔法を教えてもらう。

今回は文字数少なめです。



第20話 魔法(R)

 

この1ヶ月間は異常気象と言っても過言ではない。

ついこの前までは冬の厳しい寒さに見舞われていた幻想郷であったのだが…。『春雪異変』と呼ばれる異変を博麗の巫女が解決したらしい次の日には春の様な優しい風に吹かれ温かい気温が舞い戻ってきた。

しかし突然の気温の変化の為か、体調を崩す人間も少なくはない。特に子供達はそれが顕著で、寺子屋に来る生徒も少し数が減っていた。

つい最近契約した(された)文々。新聞の記事にも面白いものが載っていた。鴉の間でどうやらインフルエンザが流行っているらしい。

……人間と鴉天狗の半人半妖の俺にとっては微妙なラインだ。天狗も病気にかかるのかなあ。

そんな中でもやはり人里の人々は花見が好きであるらしく、このかなりの遅咲きの桜を楽しんでいた。

 

俺は花見もせず紅魔館へ向かっていた。

最近咲夜が寺子屋まで来て誘われる事がしばしばだからだけど。相変わらずいきなり出てきては気がつくと何処かへ行ってしまう。近頃のメイドさんは何でも出来る(?)のか。

 

 

 

「おはようございます。大樹さん。」

 

「おはよう美鈴さん。いつも門番大変ですね。」

 

今日も美鈴さんは門の前で立つ。

 

「そんな事無いですよ。ただ見張るだけのお仕事ですから。今日はパチュリー様からのお誘いだと伺っておりますので案内しますね。」

 

「あれ。今日はレミリアじゃないのか。」

 

いつも俺が紅魔館に呼ばれる理由はだいたいレミリアの暇つぶしである。「君の特訓に付き合ってあげよう。」とか言いながらサンドバックにされ飽きたら吸血されるのがいつものオチ。振り返ると、何故か悲しくなる。

以前少し話をしていたのだが、もしかしたら魔法を教えてくれるのだろうか。

魔法使いがいると聞いてから俺は途端に魔法というものに興味を持った。科学で全てが証明される外の世界とは違って夢を感じることが出来たから、かもしれない。

少しファンタジー小説に影響されていたのか、心の内のどこかに魔法への憧れがあったのかもなあ。

 

 

 

「……来たわね。」

 

俺が訪れるとパチュリーは読んでいる本を閉じた。

 

「魔法を教えてくれるのか?」

 

そう問うと、パチュリーは無言で頷く。

 

「約束事だから一応。」

 

「それは有難いな。魔法使いが幻想郷に居るって聞いた時から実は魔法は使いたかったんだ。」

 

「それじゃあ早速だけど。」

 

パチュリーはあらかじめ出していた本を俺に渡した。その表紙は英語で何かが記されている。でも『Magic』だけは読める。どこかのポッターでも出てきそうなシロモノだ。

 

「これを全部読んで。日本語だから、そこまで難しくない筈よ。」

 

あ、日本語なのか。

 

「了解。向こうで読んでくるね。」

 

どうやら口頭では無いらしい。正直俺も本で読んだ方がマイペースで楽だから嬉しいが。

 

パチュリーが俺に渡した本……『魔法初心』とタイトル付られた本には魔法の定義や理論が載っていた。

内容自体がファンタジー小説の設定の様な感じなので割とスラスラ読める。

どうやら魔法は霊気を魔力に変換してやっと使えるという。妖気でも代用可能かな。

次に魔法には様々な属性があるという。これはゲームの設定みたいだ。属性の分け方は場所により異なる―多分考え方の違いで微妙に差がついている。

ゲームでよく見かけるのは四大元素である。それぞれ火属性は火系統の魔法が得意となるらしい。

魔法にはいくつかの種類もある。種類が多く名前までは覚えられなかったが……スペルカードルールで使われる弾幕にも、水や風を出したり、薬を調合したり、錬金できたりと。

魔法って本当に便利だなあ。幻想郷らしい。

 

 

 

「パチュリーさん。1通り読み終えましたよ。」

 

数時間が経過して、ようやく完読。

 

「終わった? 結構速いわね。」

 

「ページ数が少しだったからね。」

 

その分文字がぎっしり詰め込まれていたけど。

 

「それじゃあ早速貴方の魔法属性を調べましょう。」

 

属性か……やっぱり、かっこいい火属性がいいな。指パッチンで炎出せたら強そう。

 

「どうするの?」

 

「色々な方法があるけど一番は血液ね。確実ですぐ結果も出るし。」

 

あれ、思っていたより現実的。

 

「それじゃあ早速、お願いします。」サッ

 

俺は腕をパチュリーさんに差し出すとパチュリーは手をそこに置いて呪文を唱える。

すると緑の液体がシャボン玉の様な状態で生成され俺の手首と接する。その瞬間に緑の液体の中に少量の血液がいつの間にか入っていた。魔法はこんな事もできるのか。

 

「速いと言っても1時間程はかかるわ。その間適当に他の本でも読んでおいて。」

 

「了解。」

 

外の世界の本でも探してみようかな。

 

「ちなみに奥の方の本は呪いがかかってるから気をつけなさい。襲われるから。」

 

「……。」コクッ

 

無言を返事とした。呪いの本が何故図書館にあるのか。

パチュリーさんは先程の液体とともに奥の研究室(自室でもあるかもしれないが)に入っていた。

それにしても傷を付けずに体内の血液を抜くなんて。魔法には無限の可能性を感じる。

 

待っている間は1人で本を読もうと思っていたけどいつの間にかフランドールが来たので一緒に絵本を読んだ。

 

 

 

「お待たせ……。あら。フランドールも来ていたのね。」

 

奥の部屋からパチュリーさんが出てきた。

 

「大樹が暇そうだったから!」

 

それはそうだけど、一番暇を持て余していたのはフランドールに違いない。

 

「結果はどうだった?」

 

パチュリー「貴方の魔法属性は『土』ね。」

 

大樹「『土』……?」

 

一番もっさいのが来たな……。

 

「大樹も魔法使い目指してるんだ。」

 

「ああ。少しでも強くならないと俺みたいな中途半端な妖怪は生きていけないんだ。」

 

「私も、魔法使えるから同じだね。」

 

「まじかっ! 先を越されたな!」

 

こんな10歳にも満たない外見を持つ少女が魔法を使えるなんて。……レミリアの話をふと思い返すとフランドールは推定300歳位だから、仕方ないか。

 

「知らなかったの? 話を戻すけど貴方は何か物を創り出す魔法に長けているわ。『土』属性は結構便利よ。」

 

「例えば?」

 

「魔力から武器、金属、食べ物までありとあらゆるこの世の『物』を創造できる。外の世界で使えば、恐らくすぐに金持ちになれるわ。」

 

こんな感じで、俺の魔法使い修行が始まった。

 




ここまでお読みくださってありがとうございます。
時間ギリギリの投稿ですので見直しがまだ出来ていません。誤字脱字等はご了承ください。

次回更新は来週日曜日です。
その日に投稿出来ない場合はこちら側の都合で前後するかも知れません。

補足ですが魔法の設定に関してはかなりいい加減です。
原作と違う所があるかもです┏○ペコッ

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