天狗の幻想入り   作:ジャジャジャジャーン

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紅魔館たる場所に招かれた主人公、藤村大樹はついに紅魔館の主であるレミリア・スカーレットという吸血鬼と会話をする。

……レミリアのキャラ崩壊があるかもです。ご了承ください。


第11話 運命(R)

「立ち話の何だから、咲夜。彼にお茶と椅子の用意を。」

 

「はい。今すぐに。」

 

生まれて初めて主人とメイドのやり取りを見た。

 

「生まれて初めてメイドの接待を受けましたよ。外の世界ではなかなか体験出来ませんから。」

 

「それだけでここへ来てよかったでしょう。」

 

「そうですね。ありがとうございます。」

 

本来の目的は終わったが、こんな事も悪くない。人里の人達が少し心配だけど。

 

「ではお客様。どうぞ。」

 

香ばしい紅茶が置かれた。紅茶はあまり飲まないのが、美味しそうだ。

 

「ありがとうございます。」

 

早速、その紅茶に口をつける。……ん、美味い。

 

「今日はディナーを用意してあるの。料理が出来上がるまで、少し話をしましょうか。」

 

「あ、遅くなる前に帰りたいのですが……。」

 

「泊まる準備はしてあるわ。それに、門番には人里の誰かに君が朝に帰ってくると伝えるよう言ってあるわ。」

 

「でも悪いですよ。」

 

「泊まりたくないならそう言えばいいのに。」

 

「そういう訳じゃ……。」

 

俺が返事に困っているのを見て、レミリアさんはニヤリとする。……楽しんでいるのか?

 

「分かりました。泊まりますよ。」

 

そう返すとレミリアさんは満足げにする。

 

「よろしい。それじゃあ、話の続きをしましょう。」

 

コホンと咳払いしたレミリアは、口調を変えてそう語りかける。

 

「続きも何も、まだ始まってませんよ。」

 

「君が紅魔館へ来た時、何か違和感を感じなかったかい? 」

 

揚げ足取りを気にもせず、話を続ける。

 

「紅魔館に来た時……。違和感といえば、他の人と森に入って、気がついたらはぐれてしまっていた事かな。皆と離れないように注意してたはずなのに、結局ここに1人で来てしまいましたけど。」

 

「もしも、『私が君をここに来させた』としたら? 」

 

『ここに来させた』? まっさかー。

 

「会ったこともないのに……。あ、これが巷で噂の吸血鬼ジョークですか?」

 

「そんなもの無いわよ。」

 

真顔で突っ込むレミリアさん。もしかして、本気?

 

「えっ、本当に? 紫さんも不思議なスキマを使ってたし、それと似たような超能力ですか? 」

 

「まあ、そんな感じよ。私の『能力』ね。」

 

妖怪達が持つ人間にはない力の事かな。巫女や天狗にもあるのだろうか。

 

「一体、どんな能力で俺を紅魔館へ? 」

 

「フフフ、『運命を操る程度の能力』。これが私の持つ『能力』よ。」

 

運命? レミリアさんは、そんなロマンチストには見えないけどなー。

 

「運命を…操る? 凄そうですけど、イマイチどんな能力か分かりませんね。」

 

「『操る』のであって、決して『変える』ことも『上書きする』こともできないわよ。」

 

運命を『変える』事が出来ないなら、あまり強くなさそうだけど、どうなのかな?

 

「『操る』と言いますと?」

 

「まず、『操る』と言うことは『見る』こともできるの。対象の運命を見るとその人に訪れる運命が分かるの。漠然とした物から詳細までね。私はその運命を動かすことができるの。」

 

「動かす? 」

 

「運命が訪れるタイミングをいじれるのよ。」

 

運命に時期があるのかー。なんて残酷な。

 

「あれ? 失礼ですけどあんまり凄くない様に思えます。」

 

「私もそう思うわ。けど他にも出来る事はあるのよ。これよりも凄いことを。」

 

他にもあるのか。吸血鬼の能力って力が強いとか、王道を行く感じとは違うのかな。

 

「運命を操るというより確率を操ると言った方がいいわ。これにも限度があるけどね。」

 

「確率……?」

 

「例えば2つのサイコロを同時に投げると出る目の組み合わせは複数ある。君は1のゾロ目を出せと言われてできるかしら?」

 

「何回も投げないと無理です。」

 

「私なら一発で出せるの。ギャンブルでこの力を使えば、大儲け出来るわね。」

 

そう言いながらレミリアさんは俺の方に何かを投げた。俺の目の前に転がってきた。1のゾロ目。レミリアさんはサイコロを2つ投げ、信じられないことに言った目を出した様だ。

 

「凄いですね! どんなゲームも勝てますね。」

 

これにはTASさんも驚きの乱数調整だ。

 

「絶対勝つゲームは面白くないの。だからここに来たの。」

 

「ここって……。幻想郷へ? 」

 

「流石にそれだけの理由だけでは無いのよ?」

 

どうやら最初から幻想郷に居たわけではないらしい。まあ、サイコロとか紅茶とか、人里では見かけない代物を使ってたから、おおよそ予想はついていたけど。

 

「……そろそろ時間ね。」

 

部屋の壁につけられている時計を見ると、もう19時を回る。夕食ももうすぐなのかな。

 

「最後に結論を。私は貴方の運命を見た。」

 

この話の流れからは意外な結論を聞いた。

 

「……感想は? 」

 

「私も驚いたが、君には数多くの運命が見られた。普通の人間でも複数の運命は見られるけど、あまりにも多すぎる。悲惨な運命もあれば、幸せな運命もある。」

 

「運命って、そんなにあるものですか?」

 

「運命を変えられるのは人間だけよ。努力して、必然をひっくり返す事が出来るのも人間だけ。」

 

人間だけ……。その言葉には、妖怪達には出来ないという意味合いなのか、それとは別なのか。きっとレミリアさんが運命を『変える』事ができないのも……。

 

「君に言えることは、君が自分自身の運命を変えたいのなら、強くなりなさい。私が協力してあげてもいいわ。」

 

「何故そこまでしてくれるのですか? 」

 

「何も私にメリットが無い訳じゃないのよ。私は君を利用する気満々だから、気にしなくていいわよ。」

 

利益無しで面倒を見てもらうのはとても怖いけど、利用されるのはそれで怖いなあ。

 

「ありがとうございます。それじゃあ、これからもお願いしますね。」

 

「分かったわ。咲夜や他の連中にも伝えておく。」

 

毎日は来れないけど、週1で来れるかな? 人里から紅魔館まで結構遠いからなあ。

 

「そうね……。これからは敬語は要らないわ。気軽にレミリアって呼んでもいいわ。」

 

「分かった。これからもよろしく。レミリア。」

 

正直俺よりかなり年下に見えるレミリア相手に、敬語を使うのはしんどかった。気が抜けると、タメ口しそうで。

 

「ところで。君の血液型は?」

 

「? B型だが?」

 

レミリアが先程の様に、またニヤリとする。

 

「咲夜。そろそろ夕食よね? 準備を。」

 

「了解。お嬢様。」

 

いきなり部屋のドアから声がしたので、そちらを見ると咲夜さんが。

 

「はえっ、いつの間に? びっくりしたぁ〜。」

 

「すみません。次から気をつけます。」

 

気をつけるって、どこに?

 

ところで何故ドアが開いていないのか? 確か咲夜さんがこの部屋を出た時は閉めていったはず。

 

……深く考えないようにしよう。

 




ここまでお読みくださってありがとうございます。
レミリアの能力はかなり変えています。原作との違いがあります。
冊子の良い方は次回何が起こるかはわかるはず。

更新不定期です。
次回もよろしくお願いします。

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