作品の設定ですが、時代は2003年(幻想郷では118季)です。時系列はwikiに沿っていきたいと思います。
プロローグが七夕ですので作品は2003年7月7日からスタートしています。
今更な説明申し訳ないです。
原作とは違った感じで進んで行きます。独自解釈や違った世界観が出てくるかも知れません。
ご了承お願いします。
俺が幻想郷に来てはや1週間は経過した。まだ慣れない生活だけど、それなりに楽しく過ごせている。
相変わらず人里からは出ず仕事と特訓の日々が続くが。
外の世界でいうところの7月20数日になるのかな。
人里から北、森の奥…霧の湖と呼ばれる所の上空は赤い霧に覆われ始めていた。
人里から出る用事のない俺にとっては無縁のはず。……とある問題が発生するまでは。
「すみません。慧音先生はおられますか?」
「ああ。今行く。」
今日は寺子屋は休み。生徒が来ていない時に生徒の親がここまで来ることは初めてだった。と言うか、授業参観が無い寺子屋では親が来る機会は少ないだろう。
「実は…。昨日から娘が帰ってこないんです。心当たりとかってありますか?」
「昨日からって…。夜もいなかったのですか?」
慧音とその母親の会話を聞いてみると、とんでもない事態になっている様だ。
「……はい。てっきり他の家でお泊まりしていたのかと。でも今朝帰ってこないんですよ。」
慧音は急いで里の自警団を召集する。それだけではなく、里の大人達がどんどん集まり、話が大きくなってきた。
寺子屋で待っておいてくれ、と慧音に言われた俺は1人でその外の世界をぼーっと見ていた。
「……。ごめんなさい。」
突然に声をかけられ、俺は悲鳴をあげた。声の主はどうやらここの生徒だった。今日は休日なのにどうして寺子屋に来たのだろう?
「?どうしたんだい。急に。」
いつもなら恐らく俺の悲鳴を面白がってくると思うのだが……涙ぐむその男子生徒からはそのような反応は全く帰ってこなかった。
「大樹先生。……僕達は霧の先が気になってつい3人で人里から出てしまったんだ……。」
……どうやら今回の騒動に関係がある様だ。
「もしかして、いなくなった生徒は……」
「気がついたらはぐれてしまっていたんだ。先に帰っていると思って僕達2人で帰ったんだ。そしたら……。まさか。……ヒック……。」
途中ではぐれた子が、騒ぎの居なくなった生徒で間違いないだろう。
「人里を出たって……。番をしている大人がいただろ?別の抜け道から出たのか?」
「……。門番は寝ていたから。だから……。」
ああー……。ここの人達は人里から出るなと子度に厳しく言う。好奇心旺盛な子供達は出てみたかったのだろうなあ。自分の小学生時代を思い返し、心の中でひとりでにうんうん、と頷く。
「よし。わかった。先生が探してくるから君達は家で待っておいて。いいね?」
「……。」コクッ
2人は無言で頷く。
「先生との約束だぞ。じゃあ行ってくるね。」
一丁前に先生面ヅラしてみる。少し時間が経って思い返すと、少し恥ずかしい……。
暫くすると、人里の自警団や志願者達による捜索が始まった。先程の生徒の証言を参考に、人里から北…霧の湖までの範囲を探すという。
「私達自警団は奥の方へ向かうから。大樹達は近場の森などを捜索してくれ。」
「「了解。」」
こうして捜索が始まった。できる限り他の人と離れないように。妖怪を見つけたら逃げること。
俺も最初は他の人達と一緒に捜索していた。最初『は』……。暫くしたら、どうしてかはぐれてしまっていた。
アレェ?
俺が皆を見失い1時間程経っただろうか。……まさか、ミイラ取りがミイラになってしまった。ついさっきまで大人ヅラしていたのに……。
やっとの思いで山の獣道に出ることができた。探している時は、草むらに隠れているかも知れないと道無き所まで隈無く探し、奥まで進んでしまったからだ。
その結果、幻想郷最初の迷子になった。
方角が分からず、とりあえず獣道を進んでいくと、森から抜けられた。
目の前に広がるのは白い霧がかかった大きな湖である。人気が無く、森に広がる湿地帯のようだ。これが霧の湖か。ということは、北に歩いてきたのか。それじゃあ、来た道を進んだ方向とは逆に向けば帰れそうだ。
目の前の白い霧が少し晴れてくると、そこには大きな館が姿を表した。まるで、こちらが帰ろうとするのを足止めするような。空に出ている赤い霧もあってか、全体的に赤い建物だ。
……どうやら人里で噂の赤い霧はこの赤い館から出ているらしい。よくよく見ると、この赤い館を中心として周りを覆っているみたいだ。
実に怪しい。……もしかしたら、行方不明の子供に関して何か知っているかも。そう思い、俺はあの館を訪ねてみることにした。
都合良く、門の入口には門番が居た。チャイナ服を来ている。人里の門番とは違い、ちゃんと起きている様だ。
「……。すみません。ここの門番さんですか?」
「ええ、そうですよ。」
その門番は、笑顔で応答してくれた。
「突然なんですけど、近くで人間の子供を見ませんでしたか? 10歳前後の女の子ですけど。」
「大変失礼しますが、貴方の名前を伺っても?」
「……? 俺は藤村大樹です。」
「貴方が藤村大樹さんですか。待ってましたよ!ついでに言うと貴方が探している女の子はこちらで保護していますよ。」
何故俺を知っているのか、と訪ねたいところ。でも今は探している子供優先だ。
「!? ……女の子は生きているのか?」
「はい。ちょうど貴方が来てから私が人里まで送る予定でした。」
俺がここに来る事を予想しているのか? 言っている事が少し怖いなあ。
「ありがとうございます。ところで。貴女の名前は……?」
「失礼しました。私の名前は紅美鈴。この建物『紅魔館』で門番をやらせて貰っています。」
この赤い館は紅魔館か……。悪魔でもすんでいるのか?
「改めて、ありがとうございました美鈴さん。送るのは俺がやるので。そこまで面倒を見てもらうのは申し訳ないですよ。」
「大変申し訳ないのですが。大樹さんはここ『紅魔館』の我が主から連れてくる様に言われているんです。」
「? 何故ですか?」
「なんでも面白い人間を見つけたからって。」
「……。もしかしてここの主さんは妖怪かな?」
「はい。ついでに言うと私も妖怪ですよ。」
そんな言い方なら何となく予想はついた。だけど、美鈴さんが妖怪なのは驚いた。あの紫さんもとい、ここ幻想郷の妖怪は皆人型なのかなあ?
「そうでしたか。見た目は人間と変わらないですね。」
「そうですね。それじゃあ館の案内人として……メイド長を連れてきますから。大樹さんはここで待ってもらえませんか。」
「ああ、分かりました。」
メイドまでいるのか……
ここまでお読みくださってありがとうございます。
他の作品もまず紅魔館から話が始まってると思います。
斬新さがないのですが安定感がありますね。
時系列順に話は進めたいと思っています。
これからもよろしくお願いします。
……登場人物が増えて口調の崩壊があるかもしれないです。申し訳ないです。
更新不定期です。