二番目の使い魔   作:蜜柑ブタ

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原作のように、トゥに犬の格好をさせたら、危ないことになりました。

若干のガールズラブ要素かな?


第六話  トゥ、王女様に出会う

 

 ルイズは、夢の中で妙に体が重く感じた。

 何かに押さえつけられているような、圧迫感に身をよじるが、少ししか動けない。

 そしてなんか、ムニュとか、モニュとか、そういう感じの柔らかさを感じた。それでいてとても温かいのだ。

「うぅ~~~ん…。」

 ルイズは、重たい瞼を開けた。

 瞼を開けてまず視界に飛び込んできたのは、トゥの唇だった。

「!?」

「……ムニャ…。」

 ルイズは、トゥに抱かれていた。

 がっちりと、抱き枕みたいに。足まで絡められている。

「トゥ…! ちょっ…!」

「う~…。」

 トゥは、ルイズの頭に頬を摺り寄せた。

 抱きしめられ直され、ルイズの顔が、トゥの胸に押し付けられた。

 柔らかく、それでいて甘い香りが鼻をくすぐった。

 ああ、この香りは、トゥ自身の体臭だったのだと実感した。

 綺麗で、柔らかくて、それでいて甘い匂いを発するなんて、どれだけスペック高いのか。ルイズにないものだらけのトゥに、ルイズは、嫉妬した。

「……セント…。」

 まただ。

 またセントと寝言で言っている。

 トゥにとって、セントという言葉が何を意味するのか分からない。トゥは覚えてないようだし、下手に聞けば、また上の空になるだろう。だから聞くことができなかった。

「…チビちゃん…。」

 ルイズは、それを聞いてちょっとカチンときた。誰がチビだと。確かに小さいが。

「お腹減った…? もうすぐ…ご飯出来るよ…。いっぱい食べて…ね。」

 寝言だった。

 どんな夢を見てるのだろうか?

 ただ寝言を聞いている限りでは、とても幸せそうだ。

「セント…、セン、ト……。ご飯…美味しい?」

 どうもセントというのは、人名のようだ。

 もしかしたら恋人だったのでは?っという考えが過った。

 トゥほど美しい女性なら、さぞや男性が寄って来るだろう。恋人がいたのかもしれない。

 もしそうなら、なぜセントのことを忘れているのかが謎だ。

 召喚した時に、上の空だったのが関係しているのだろうか?

「……ルイズ…。」

「!」

「…しよう?」

「トゥ?」

 顔を動かして上を見ると、トゥがトロンとした目でルイズを見ていた。

 正気じゃない。それはなんとなく分かった。寝ぼけているのか。

 トゥの手が、ゴソゴソとルイズの体をまさぐりだした。

「えっ、あっ…、ちょっ…ちょっとぉ!」

「ルイズってかわいいなぁ…。」

「やん…、ちょ、あ……!」

「あぁ…、ルイズ。」

「起きなさい! 馬鹿!」

 ルイズは、渾身の力でトゥを蹴っ飛ばした。

 ベットから落ちたトゥは、呻き。

「うう…、あれ? なぁに?」

「…こ、こここここ、この……。」

 ルイズは、耳まで真っ赤にして、涙目だった。

「バカ!!」

「えー?」

 トゥは、わけがわからないと言う顔で首を傾げた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 翌朝。

 生徒達は、ざわついていた。

 ルイズが、トゥに犬の首輪をつけて、鎖をつけて歩いていた。

 しかもトゥは、四つん這いで、ルイズのお手製のボロ布でできた犬の耳と、箒でできた尻尾がトゥの体に付けられていた。

「うぅ~、ルイズ~、ごめんってば~。」

「犬は、ワン! でしょ。」

「…わん…。」

 トゥは、しょんぼりとして、言われるままに鳴いた。

 美少女が美女を犬のように扱っている。

 その光景に、思春期真っ只中の男子生徒達は、鼻血を噴きそうにのをこらえるのに必死になった。……鼻血を出している者もいた。

「えっ? なにこれ、新手のプレイ?」

「お仕置きよ。」

 失笑するキュルケに、ルイズは、キリッと言った。

 しかしキリッとしているルイズと、犬のコスプレ状態で床に四つん這いでしょんぼりとしているトゥの組み合わせは、ある意味で犯罪級だった。というか、トゥの服装もあって、胸が腕で強調されるわけで……。鼻血を出す者が増えていく。

「これ、ヤバいわよ、あんた。」

「なにがよ?」

「無自覚ねぇ…。これ以上被害が拡大する前に、やめときなさいよ。」

「ダメよ。盛ったメス犬にはしつけが必要なの。あと被害ってなによ?」

「周りを見なさい、周りを。」

 言われてルイズは、周りを見た。

 鼻を押さえて、チラチラこちらを見ている男子生徒達。鼻血を噴いて倒れて介抱されている男子生徒もいた。そんな男子生徒達を、女子生徒達は冷ややかな目で見て、ヒソヒソとしていた。

 ここにきてやっと状況を理解したルイズは、慌ててトゥを立たせた。

「しつけは、ここまで!」

「えっ? 本当?」

「ワン! でしょ。」

「…わん……。」

 まだルイズの許しはもらえず、人間の言葉を喋ることを許してもらえなかった。

 

 

 授業。

 後ろの方でトゥの、クスンクスンと泣く声が聞こえていた。

 教室にいる生徒達も、さすがに気の毒になって、チラチラとルイズを見ていた。

 ルイズは、その視線と泣き声を聞いていて、さすがにやりすぎたかと、後悔していた。

 ルイズが許せないのは、トゥに襲われたからじゃない。

 襲われて、まさぐられてちょっとでも気持ちいいと思ってしまったことだった。もし蹴飛ばせなかったらそのまま流されていたかもしれない。

 思い出してルイズは、顔が赤くなるのを感じた。

 やっぱり今日一日は、しつけをしよう、そう決めた。

 やがて今日の授業の講師である、ギトーが入ってきた。

 ギトーは教室の後ろから聞こえる、トゥの泣き声を聞いて眉間を寄せたが、構わず授業を始めた。

 ギトーの授業は、彼の風の系統自慢ばかりだった。

 見た目も相まってギトーの授業は人気がない。生徒達は、少しうんざり気味だった。

 すると教室の扉が開かれ、コルベールが入ってきた。

 だが恰好がおかしい。特に頭部が…。

 そしてコルベールは、すべての授業が中止となったことを伝えた。

 それを聞いて生徒達は歓声を上げた。いかにギトーの授業に人気がないかが分かる。

 アンリエッタ王女が来るため、正装して準備を整えるため、生徒達は解散となり、ルイズもトゥを連れて部屋へ戻るが、戻る時も四つん這いにさせて犬の真似をさせていた。

「わんわん。」

「あら、なぁに? お昼ごはんはまだよ。」

「わん…。」

 実は朝ごはん抜きで、朝すぐに犬の格好をさせられ、首輪をつけられたため厨房にすら行けていないトゥだった。

 部屋に戻る途中、そりゃもうたくさんの人の目があるわけで…。

 男達は、ルイズと犬のコスプレ状態のトゥの組み合わせに鼻を押さえた。

 

 トゥを密かに追いかけて、ジッと見ていたネズミがいたが、その目を通してきわどい角度でトゥを見ていたオスマンも鼻を押さえていた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 やがてアリエッタがユニコーンが引く馬車に乗ってやってきた。

 マザリーニが先の降り、続いてアンリエッタ王女が現れると大歓声が上がった。

「あれが王女様? 私の方が美人ね。」

「…わん…。」

「トゥちゃんの方が可愛いわね。」

「えっ?」

 キュルケの言葉に、トゥは、キョトンとした。

 トゥは、地面に四つん這いになっているため、アンリエッタが見えなかった。

 隣にいるルイズを見上げると、ルイズは、なぜか頬を染めていた。

「?」

 どうしたんだろうと、トゥは、首を傾げた。

 やがて部屋に戻ったルイズとトゥだったが、ルイズは、ぼんやりしていた。

 トゥの上の空とは違う。もの思いにふけ、ぼんやりと何かを思い浮かべて呆けていた。

「ルイズ、どうしたの?」

 しかしルイズは、何も答えない。

「…えーい!」

 トゥが悪戯を思いついて、ルイズの背後から彼女の胸を触った。

 ぺったんこの胸は、掴みどころがない。

 しかしそれでもルイズは反応しなかった。

「ルイズ…、大丈夫?」

 トゥは本気で心配になった。

 その時、部屋のドアをノックする音がした。

 最初に長く二回、次に短く三回。その音を聞いたルイズは、ハッと我に返ってドアへ向かい開けた。

 そこには頭巾で頭を隠した人物が立っていた。

 その人物は部屋に入ると、ドアを閉め、杖を振るった。

 そして確認し終えたという風に、頷き、そして頭巾を外した。

「お久しぶりですね、ルイズ・フランソワーズ。」

「姫殿下!」

「えっ? えっ?」

 驚くルイズ、反対にわけがわからず混乱するトゥ。

 部屋に来たその人物は、アンリエッタ王女その人だったのだ。

 

 

 




トゥ、アンリエッタと遭遇。

トゥに犬の格好をさせて、犬の真似させるのは…、ちょっとやばかったかな?

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