侵略!パンツァー娘   作:慶斗

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※形式の都合上、キャラの名前が一部略称になっています。


ナカジマ→ナカ
自動車部メンバー→自動車

マーティン→マー
クラーク→クラー

南風の店長→南風


テクノロジー・ウォー!

由比ヶ浜海岸沖を、自動車部の面々が歩いている。

 

ナカ 「そろそろレオポンに新しい機能をつけてやりたいな」

スズキ「次はどうする?というかまずは規定に反しないようにルールブックを見直すか」

ホシノ「ならば最新版を買いなおさないか?大学選抜の時にカールが解禁になって規定も見直しになってるかもしれないぞ」

ツチヤ「この辺にせんしゃ倶楽部ってどこにありましたっけー?」

 

などと和気あいあいと話している。

その道の反対方向から__

 

マー 「ナカナカ宇宙人に出会えませんネー」

ハリス「宇宙にいるのは間違いないのデスが・・・・地球に潜伏している数が少ないのでショウか?」

クラー「ならばイッソのこと宇宙に探しに行ってみてもいいカモしれまセーン」

マー 「グッドアイデア!ならばまず宇宙船を__」

 

そして、二組がすれ違った瞬間__

 

自動車「!」

三バカ「!」

 

お互いの間を電撃が走り、思わずどちらも振り返った。

__その後、海の家れもん。

 

ナカ 「__っていう人たちとすれ違いまして」

栄子 「ついに出会っちまったのか・・・・!」

ホシノ「すれ違った時確信したね。彼らもまた『技術屋』であることに」

スズキ「ああ、しかも只者ではなかった」

イカ娘「良くない方向に只者ではないのは確かでゲソ」

千鶴 「前途ある女の子たちを間違った方向に導くわけにはいかないわ。ここは心を鬼にしてでも彼らから引き離さないと__」

ツチヤ「え?何の話ですか?」

栄子 「いや、だから三バカと出会って、意気投合しちゃったんだろ?あいつらはヤバいから、関りを持たない方が__」

ナカ 「え?あの人たち、そんなヤバい人たちだったんですか?」

千鶴 「ですか、って、お話したりはしなかったの?」

スズキ「いえ、一瞬通じるものはあったんだけど・・・・」

ツチヤ「あれはマッドサイエンティストの類でしたよね」

ホシノ「ああ。私たちの求めるものとは方向性が違いそうだったからな。そのまま去ったよ」

栄子 「なんだ、そっかぁ・・・・」

 

自動車部の面々が三バカに関りを持たなかったと知り、胸をなでおろす栄子。

 

栄子 「そりゃいい判断だったよ。あいつらに少しでも関わったら、それこそとんでもないことに__」

南風 「たのもーう!」

 

そこへ、南風の店長がやって来た。

 

栄子 「あん?いったい何の用・・・・いや、おっさんのことだからいつものアレか?」

南風 「おう!察しがいいな!いや実はな、今日は新型を持ってきた」

イカ娘「いつも新型でゲソよね」

南風 「まあ見てみろ。今日のは一味違うぞ?」

 

そう言ってドン!とテーブルに大きな球体を置く。

 

栄子 「やれやれ、今回はどんなニセイカが__」

 

そこで栄子は言葉を失った。

そこに置かれていたのは__ニセイカの頭部ではなく、レオポンさんチームのマスコットの頭部だった。

盛大にずっこける栄子。

 

栄子 「な、な、な、な・・・・」

ナカ 「あっ!おじさん、もうできたんだ!」

ツチヤ「仕事早いですねー」

 

二の句が継げない栄子の脇をナカジマたちが通り抜ける。

ぺたぺたとレオポン頭部の触感を確かめている。

 

ホシノ「おお、思ったより質量があるな」

南風 「ああ。立案した機能を全て実装すると必然的にこうなってしまってな」

スズキ「へえ、全部入ったんだ!」

 

わいわいと話が弾む自動車部の面々と南風の店長。

 

千鶴 「みんな、店長さんとお知り合いだったの?」

ツチヤ「はい。さっきお話した三人組の人たちとすれ違ったあと__」

 

~~回想~~

 

三バカとすれ違い、しばらく進むと前方から進んでくる南風の店長。

そして、お互いがすれ違う瞬間__

 

自動車「!」

南風 「!」

 

お互いの間を電撃が走った。

 

~~回想終了~~

 

ナカ 「といった感じで、通じるものを感じまして」

ホシノ「話してみれば自作で何機もロボを作ったことがあるとかで」

スズキ「意気投合して合作を作ることになったんだよね」

イカ娘「おっさんとは意気が合ったのでゲソか・・・・」

ツチヤ「たまに車や戦車以外をいじってみるのも面白かったですよ」

南風 「という訳だ!今回は、俺とこいつらの合作、『ニセレオ娘』で勝負だ!」

 

※形式の都合上、キャラの名前が一部略称になっています。

 

ニセレオ娘→偽レオ

 

ニセイカ同様、頭部の下から十本の触手がニュッと生え、ニセレオが自立した。

 

偽レオ「ヨロシクオ願イシマスポン」

栄子 「しゃあないな・・・・。受けてやれイカ娘」

イカ娘「何だか気味悪いでゲソ」

 

かくして、砂浜でイカ娘vsニセレオ娘の対決が始まった。

 

栄子 「あの自動車部とおっさんの合作だ、何が出てもおかしくはないぞ!」

イカ娘「百も承知でゲソ!こういう時は先手必勝でゲソ!」

 

しゅるるる!

 

イカ娘の触手十本が一斉にニセレオに襲い掛かる。

 

ドオン!

 

大きな音と砂煙を立て触手が砂浜に突き刺さる。

そこは既にニセレオはいなかった。

 

イカ娘「いない!?」

栄子 「イカ娘、右だ!」

イカ娘「!?」

 

いつの間にか、イカ娘の右手に回り込んでいたニセレオ。

頭部の脇から、ブースターらしき噴射口が生えている。

南風の店長は改造したテレビのリモコンを握り、ニセレオに指示を飛ばしている。

 

南風 「ジェット駆動、正常に作動。期待通りのスピードだ」

スズキ「本体への負荷も問題なしだね」

ツチヤ「うちのレオポンにもあれ積めませんかねー?」

ナカ 「うーん、さすがにあのままだと規定違反になっちゃうねー。何かしら形を変えとかないと」

ホシノ「形は戦車を保たないといけないからな」

千鶴 (そういう問題かしら)

 

次々と繰り出される触手攻撃。

しかしニセレオは小刻みなジェット噴射による機動力で触手をものともしない。

 

イカ娘「ええい、ちょこまかと!さっさと当たれでゲソ!」

 

やぶれかぶれに大きく振った触手の束が、偶然にもニセレオの位置をばっちり捉えていた。

 

栄子 「いけるぞ、イカ娘!」

南風 「次のフェーズへ行くぞ!」

 

南風の店長が一時停止のボタンを押す。

 

ドオオン!

 

今まで以上に大きな音を立て、砂煙が立つ。

__しかし、やはりそこにもニセレオはいなかった。

 

イカ娘「また外したでゲソ・・・・!」

 

慌てて周囲を見渡すも__姿が見当たらない。

 

イカ娘「どこ行ったでゲソ!?栄子、どこに行ったか見えなイカ!?」

栄子 「いや・・・・私からも見えない!どこにもいないぞ!」

 

忽然と姿を消したニセレオ。

と__

 

偽レオ「攻撃、開始シマスポン」

 

シュバッ!

 

突如前方からニセレオの触手が飛び出して来た。

 

栄子 「イカ娘、前だ!」

イカ娘「うわああっ!?」

 

すんでの所でのけ反り攻撃をかわすイカ娘。

体制を戻し前を睨み返すが__

 

イカ娘「いないでゲソ!」

 

触手が伸びてきたはずの付近にはニセレオの姿はない。

 

栄子 「どういうことだ!?まさか地面に潜ってるのか!?」

 

次の瞬間、また離れた場所から触手が飛んでくる。

だが、そこにもニセレオの姿がない。

 

スズキ「ステルス機能も正常に動いてるようだ」

ツチヤ「さすがおじさん、あんな方法で姿を隠すなんて」

ナカ 「うちのレオポンにもあれ、採用できないかな?」

ホシノ「検討してみるか」

 

見えないところから伸びてくる触手に苦戦するイカ娘。

 

イカ娘「いったいどこにいるのでゲソ!」

栄子 「くそっ、どこにいるかわかれば!」

 

注意深く砂浜を睨んでいた栄子は、ふとしたことに気づく。

 

栄子 「イカ娘、イカスミだ!」

イカ娘「えっ?」

栄子 「イカスミを広範囲に振りまくんだ!」

 

言われたままにイカスミを空中に振りまき始めたイカ娘。

広範囲にイカスミが飛び散り、そして・・・・

 

栄子 「見つけた!あそこだ!」

 

よく見ると、空中にイカスミが留まっているように見える部分がある。

 

イカ娘「そこでゲソ!」

 

間髪おかず触手が伸びていき__

 

バキッ!

 

見えない何かに当たった音がした。

そして、そこから少し割れたニセレオの顔が見え始めた。

ニセレオは、自分に砂を纏わせ擬態していた。

 

ツチヤ「あっ、バレちゃいました」

南風 「なかなかやるな!」

栄子 「よっしゃ、当たったぞ!これで機能も低下するはずだ!」

 

しかし・・・・

 

南風 「それはどうかな?」

 

南風の店長が巻き戻しボタンを押す。

 

偽レオ「自己修復、作動シマス」

 

なんとニセレオは触手をうまく使い、破片と工具を組み合わせてあっという間に自分の頭部を修復してしまった。

 

イカ娘「自分で傷を治しちゃったでゲソ!」

栄子 「なんつー技術だ!」

 

すっかり治ったニセレオが再び攻撃を仕掛けてくる。

 

栄子 「動きが素早い、姿を消せる、破損しても自分で治す!こんな奴どうやって倒せるんだ!」

 

どんどん勢いに押され、劣勢になっていくイカ娘。

 

ツチヤ「ねえおじさん、私も操作させてくださいよー」

南風 「ん?いいだろう」

ツチヤ「わーい」

 

ウキウキしてリモコンを握るツチヤ。

 

ツチヤ「えっと、これがステルス、これがブースター、これがリペア・・・・、__あれ?このボタンなんだっけ」

 

ツチヤが音量ボタンを押すと__

 

バゴオオオオオオン!

 

突如ニセレオが大爆発を起こし、木っ端みじんになった。

呆気にとられる栄子たち。

砂浜のあちこちにニセレオの残骸がまき散らされている。

 

スズキ「・・・・何が起きた?」

ホシノ「自爆したみたいに見えたな」

ナカ 「そんな機能つけたっけ?」

南風 「オイ!音量ボタンを押したな!」

ツチヤ「ええ!?」

南風 「音量ボタンは自爆ボタンだ!電源ボタンが間違えて押されやすいから音量に変えといたってのに!」

スズキ「そもそも何で自爆ボタンを用意していたんだ?」

ナカ 「やー、おしかったなー」

 

かくしてニセレオの残骸も回収し終わり。

 

南風 「今回はこちらのコントロールミスだ。負けを認めよう」

ツチヤ「もっとお互いの設計について理解しておくべきでしたねー」

ホシノ「しかしいい経験だった。さっそく帰ったら色々試してみよう」

 

そして五人は帰っていった。

 

栄子 「今回はおっさんと彼女らの連携不足に助けられたな」

千鶴 「それにしてもすごい技術だったわ。店長さんと自動車部のみんなが協力すればあそこまでのものができるのね」

イカ娘「それにしても、どうしておっさんは何にでも自爆スイッチをつけたがるのでゲソか」

 

後日。

大洗女子学園艦で戦車道の練習が行われた。

二チームに分かれて戦っていたが、フラッグ車であるレオポンさんチームを覗き仲間は全滅、周囲を囲まれていた。

 

ホシノ「残ってるのは私たちだけか」

ツチヤ「みんなこっち狙ってますね」

ナカ 「よーし、今こそ『あの機能』を試す時だ!」

スズキ「準備はオーケーだ」

ナカ 「よーし、被弾するタイミングを狙って・・・・」

 

やがてM3リーからの砲撃を被弾し__

瞬間、『DSDD』と書かれたスイッチを押した。

 

バアアン!

 

ポルシェティーガーが派手に爆発した。

 

シュポッ

 

そして白旗が上がった。

様子を見にフラッグ車のⅣ号が近づくと__

 

ギュイイイイ

 

白旗が上がったはずのポルシェティーガーが突如動き出し、

 

バアン!

シュポッ

 

Ⅳ号に主砲を浴びせ、打ち取った。

呆然とするみほ。

 

ツチヤ「やった!」

ホシノ「見事に決まったな」

ナカ 「店長さんの自爆装置からヒントを得た、偽装自爆装置(Disguised self-destruct devices)!」

スズキ「かなり効果的ではあるけど、しかしこれは・・・・」

 

Ⅳ号から優花里が顔を出す。

 

優花里「あのー、言いにくいのですが・・・・。その、白旗偽装は戦車道規定に違反してしまいますよ?」

自動車「だよねー」

 

結局、偽装自爆装置はお蔵入りになった。




原作でも、最初は三バカと手を組みながらも、最終的には自ら改造・改良、AIすらも進歩させてしまう南風の店長は、やはりタダ者ではないと思います。

そしてそれに劣らぬ技術力を持った自動車部。
EPS(加速装置)は最終章で更なるパワーアップを果たしていましたが、個人的にはVTOL(垂直離着陸装置)のお披露目が楽しみです。
すでに戦車の枠を超えてますね。

今回は自分なりのSTEALS(姿が消える)を再現してみましたが、実際のポルシェティーガーにはどんなステルス機能が付いているのか・・・・?
目が離せませんね(注目する方向性が違う)。

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