侵略!パンツァー娘   作:慶斗

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ダージリン→ダー
オレンジペコ→ペコ
アッサム→アッサ
ルクリリ→ルク
ローズヒップ→ローズ

アンチョビ→チョビ
ペパロニ→ペパ
カルパッチョ→カル

カチューシャ→カチュ

シンディー→シン



第6話・体験しなイカ?(後編)

黒森峰女学園・戦車道作戦会議室。

部屋の中ではまほと小梅が今後について話し合っている。

 

エリカ「失礼します」

 

そこへ、エリカがやって来た。

 

まほ 「どうかしたのか?」

エリカ「はい、サンダースから荷物が届いています」

まほ 「そうか、来たか。会議はここらで切り上げよう。エリカ、案内してくれ」

エリカ「はっ、ではこちらへ」

 

エリカに連れられ、やって来た部屋には、木箱がいくつも積まれていた。

 

まほ 「よし、まず一つ開けるとしよう。エリカ、小梅、手伝ってくれ」

エリカ「はい」

小梅 「はいっ」

 

木箱を開けると、中からはVRゴーグル一式が現れた。

 

エリカ「これは・・・・」

小梅 「今話題のVRゴーグルですね。付けるとまるで別空間にいる気分になれるという」

まほ 「ああ、ケイから聞いている。どうやら戦車道の訓練にこれを活用しているらしい」

小梅 「すごい!練習にVR装置を使うなんて、さすがサンダースですね!」

エリカ「でもこれは初心者のための訓練プログラムでしょ?実際に戦車に乗らずにシミュレーションで強くしたところで、本当に強くなれるほど戦車道は甘くないわよ」

小梅 「まあまあ、不慣れな子たちの練習にはもってこいですよ、きっと」

エリカ「だとすればことさら私たちには無用よ。今更シミュレーションで基本を学ばなければならない段階はとうに通り過ぎているわ。そもそも、サンダースは何のつもりでこれを送って来たの」

まほ 「うむ、この装置はオンライン・・・・?に繋げられるらしい」

エリカ「えっ、オンラインですか?」

まほ 「私はあまり詳しくはないが・・・・遠く離れた人ともこれを通じて訓練ができるそうだ」

エリカ「それは・・・・なかなかの技術が使われていますね」

まほ 「実はケイにその集まりに呼ばれているんだ。都合のいい日に皆で集まらないか、とな」

小梅 「それは楽しそうですね!」

 

笑顔ではしゃぎ始める小梅。

 

まほ 「聞いたところだと、みほやイカ娘たちもそれに乗り気のようだ。参加してみないか?」

小梅 「はい、ぜひ!離れたところでもみほさんやイカ娘さんに会えるなんて、夢の技術ですね!」

まほ 「エリカもどうだ、これは一度体験してみる価値はありそうだが」

エリカ「私は・・・・隊長がそうしろと仰るならやぶさかではありませんが」

まほ 「私は命令はしないよ」

エリカ「えっ」

 

思わぬ言葉にたじろぐ。

 

まほ 「これに参加するかどうかは、エリカ自身が決めてくれ。やれと言われたから、やらなければならないなどではなく、エリカ自身がそうしたいと感じたならそうするべきだと思うんだ」

エリカ「・・・・私は・・・・」

 

数日後。

 

ピピッ

 

VRゴーグルが起動し、視界が光に包まれる。

そして、目の前に広がる白い空間には__

 

アリサ「アンタたち、わかってるわね!?いつも訓練で使ってるからって油断はしないこと!仮想空間でもサンダースは他の追随を許さないことを見せつけてやるのよ!」

車長 「はい、肝に銘じます!」

ナオミ「そんな深く考えないでいい。友人たちと楽しむ感覚でいけばいい」

装填手「はい、気軽に努めま~す!」

アリサ「ちょっとナオミ!そんなこと言ってたらこの子たち適当に動くわよ!?やるからには強者の風格を見せつけるものでしょ!」

ナオミ「この催しはみんなにVR戦車道訓練の面白さを知ってもらうため隊長たちが開いたものだ。主催側がそう肩肘張っていたら誰も楽しめないぞ?」

アリサ「うっ・・・・」

 

先にスタンバイしていたサンダースの面々。

 

カチュ「どうノンナ!カチューシャの身長がノンナと同じくらいの高さになっているわ!」

ノンナ「はい。とても斬新な目線です」

クラ 〈他の皆さんも全く一緒の身長なのに、ご自分だけ背が伸びたようにはしゃぐカチューシャ様も可愛らしいですね〉

ノンナ〈同意します〉

カチュ「二人とも!この空間の中くらい日本語で話しなさい!」

 

アバターの仕様上、背丈が統一されていることに一喜一憂するカチューシャとプラウダ勢。

 

ペパ 「おおーっ、これすごいっすねドゥーチェ!隣にいるのに目の前にドゥーチェが見えるっす!」

チョビ「あだっ!?こらペパロニ!そんな激しく肩を叩くな!」

早苗 「あれ?カルパッチョって、隣にいるんだっけ?向かいあってるんだっけ?」

カル 「テーブル挟んで向かい側にいますよ。ふふっ、とても不思議な感覚ですね」

 

早苗の部屋で座りながら参加しているアンツィオ・サハリアノチーム。

 

麻子 「また同じことになったら、私はすぐにこれを脱ぎ捨てる」

華  「まあまあ。ダージリンさんも、その部分は改良してもらったと仰っていましたし、きっと大丈夫ですよ」

沙織 「ゆかりん、ヘッドセットうまくはめられてる?髪つぶれちゃってない?」

優花里「はい!おかげさまで、至極快適であります!」

みほ 「猫田さん、今日はよろしくね」

ねこ 「はいな!よろしくされましたぞい!」

もも 「仮想空間、ましてや戦車となればここは我らのホームグラウンド!」

ぴよ 「八面六臂の活躍をお目にかけますぴよ!」

桂利奈「ねえねえ!VRだってVR!たのしみだね!」

優希 「仮想現実か~。どうにかして理想の男の子が現実に現れたりしないかしら~♪」

あゆみ「いやそれ、VRとかじゃなくて別物の技術がいるよね」

あや 「巷でも話題になってるし、体験しようとしたら専用施設で高いお金払わなきゃいけないからねー」

梓  「もう、タダでできるからとかそういうんじゃないよ?せっかく招待されたんだから、経験にして帰らないと!」

紗季 「・・・・」

 

助っ人として参加したアリクイさんチームと、あんこうチームとウサギさんチーム。

 

西  「遅ればせまして、申し訳ございません!」

福田 「不肖福田、ご承知に応じ馳せ参じました!」

 

本来より少人数で参加してきた知波単学園チーム。

迎え入れる聖グロリアーナ女学院の面々。

 

アッサ「あら?知波単学園は二チームだけ?もっとたくさんゴーグル送ったはずでしょう?」

ペコ 「はい。知波単学園の方々は大所帯ですので沢山の方々をご招待できるようにと、多く送らせてもらいましたが・・・・」

西  「いえ、それがお恥ずかしい話なのですが・・・・」

福田 「先輩方は舶来の、しかも最先端の精密機械と聞き、ひきつけや頭痛、拒絶反応を起こされて・・・・」

アッサ「」

西  「単車いじりが趣味の自分と、柔軟性のある福田だけがかろうじて参上仕りました」

ペコ 「それは・・・・。丁寧な説明書と軽いVRへの予備知識をお知らせするべきでしたでしょうか」

ルク 「いや、流石にそこまで世話焼く必要はない、っていうかそこまで拒否反応示すとは・・・・」

ローズ「取説なんて必要ありませんわ!戦車は戦車の行きたい方へ、心のままに進ませればよいだけですわ!」

ルク 「お前の暴走理論に誰が付きあえるかっ!」

 

苦笑いを浮かべる西たち。

 

アキ 「珍しいね、ミカがこういう催しの招待に応じるだなんて」

ミカ 「何も珍しいことはないさ。礼には礼で返すものだろう?」

ミッコ「?グロリアーナに返す礼ってあったっけ?あっ、おばさま!私モチは三つで!」

 

少し遠巻きな場所に位置している継続メンバー。

遠巻きに吾郎の母ちゃんが「はいよー」と言う返事が聞こえてくる。

 

イカ娘「おお!みんな勢ぞろいでゲソ!」

渚  「色々な方々に声を掛けたと言ってましたが、こんなに集まったんですね」

栄子 「まっ、誰が相手だろうと負けやしないけどな!」

シン 「あら、この中では随分頼もしいじゃない」

鮎美 「はい、栄子さんの操縦技術は人間離れしていますから!」

栄子 「おう!任しとけ!」

シン (ゴーグル被ってるとはいえ向かい合っているのに、平気で喋れてるわね)

 

やがてイカ娘チームもVR空間に現れた。

 

早苗 「イカちゃ~~~~ん!」

イカ娘「げっ!早苗!」

 

姿を見るや否やイカ娘の元へ駆け寄る早苗。

一瞬怯むが、逃げずに立ちっぱになるイカ娘。

 

早苗 (あれ?逃げない?もしかして、ついに私を受け散れる気になってくれたの!?嬉しい!)

早苗 「イカちゃ~~~~ん!私を受け止めて~~!」

 

そのままの勢いでイカ娘に抱き着こうとするも__

 

スカッ

 

そのまま早苗はイカ娘をすりぬけ、通り抜けてしまった。

 

早苗 「なんで!?」

栄子 「なんでって・・・・ここが仮想空間だってこと忘れたのかよ」

早苗 「そんな・・・・!離れていてもイカちゃんと触れ合える夢の機械だと思ってたのに!」

イカ娘「近づかれても触られないのなら、ここで会う方がよっぽど無害でゲソ。これからはずっとここだけで会わなイカ?」

早苗 「ひどい!」

 

半泣きになる早苗。

 

エリカ「来たわね、イカスミ流」

 

声を掛けながら近づくエリカ。

 

イカ娘「むっ?エリカに小梅、それに黒森峰の西住さんじゃなイカ」

 

気が付いたイカ娘が返事する。

 

小梅 「しばらくぶりですね、イカ娘さん」

まほ 「元気そうで何よりだ」

イカ娘「うむ、二人とも変わりはないでゲソ?」

エリカ「あんたは変わらず落ち着きがなさすぎよ」

イカ娘「それにしても」

 

イカ娘はエリカをじっと見る。

 

エリカ「ん?」

イカ娘「エリカはなぜここにいるのでゲソ」

エリカ「えっ」

イカ娘「これは戦車道初心者の訓練のための装置だって聞いたでゲソ。エリカだったら絶対『初心者の向けの装置何て私には無用でゲソ!』って言うと思ってたでゲソ」

小梅 「んぷっ!?」

 

あまりに図星な見解に噴き出しかける小梅。

 

まほ 「はっはっは、エリカをよく理解してるじゃないか」

エリカ「隊長、笑いごとじゃありません!そもそも私は__」

 

エリカが煩労しようとすると__

 

清美 「イカちゃーん」

イカ娘「あっ、清美でゲソ!」

 

現れた清美に呼ばれ駆け出すイカ娘。

 

エリカ「ちょっと!まだ話の途中でしょ!待ちなさいよ!」

 

制止も聞かず清美の元へ。

 

イカ娘「清美の所にも装置が来ていたのでゲソね」

清美 「うん、ダージリンさんが中学に送ってくれたの。今は部員みんなで視聴覚室を借りてるよ」

チョビ「ダージリンの奴、清美ちゃんたちも招待してたのか」

カル 「前の奉納試合、すごかったですものね。きっと清美さんがたを高く評価しているのでは」

ペパ 「だいぶ人数増えてきたっすねー。大洗、サンダースに聖グロ、私たち、プラウダに黒森峰に知波単、それに継続。あとどこか来てないとこあったっすかね?」

カル 「もし来られるとしたら__もしかしたらですが恐らく__」

愛里寿「イカ娘!」

 

声がした方を見ると、愛里寿が笑顔でイカ娘たちの所へ駆け寄っていた。

 

イカ娘「おお、愛里寿!」

愛里寿「イカ娘、清美も元気だった?」

清美 「え?」

愛里寿「え?・・・・あっ」

 

はっとして口をつぐむ。

 

清美 「えっと・・・・初めまして、だよね?」

愛里寿「う、うん!はじめまして!」

 

取り繕う清美に乗る愛里寿だった。

 

栄子 「清美ちゃんナイスフォローだな」

渚  「そう言えば、あの時(※十校十色編第4話『奉納しなイカ?』)、愛里寿ちゃんお忍び参加でしたもんね」

ダー 「皆さん、揃いましたでしょうか」

ケイ 「ヘローエヴリワン!」

 

そこへ、今回の主催者たちがやって来た。

一同の注目が集まる。

 

ダー 「本日はお忙しい所お集まりいただき、感謝いたしますわ」

ケイ 「今日はこのVRの世界を存分に楽しんで行ってちょうだい」

カチュ「ふふん、どれほどのものかと思ったら、なかなかのものじゃない!」

チョビ「ウチにもこういう練習装置があればなあ・・・・。おやつを減らし・・・・いやだめだ、モチベが消える」

西  「それで、我らをこの集いへ招致されたのは如何なる理由が?」

エリカ「そんなの決まってるじゃない。戦車道用のシミュレータに、私たち戦車道を志す者が一堂に会する。やることは一つでしょう?」

みほ 「・・・・!」

 

ピッッピッピッ

 

ケイがタブレットを操作すると__

 

シューン!

 

瞬時に各チームの前に馴染みのある戦車が現れる。

察した各員の顔が引き締まる。

 

栄子 「そうか!集まったみんなでVR戦車道の試合をやろうっていうんだな!?」

ダー 「いえ、やりませんわ」

 

ズコー!

 

ケイ 「うん?何の音かしら」

イカ娘「今私の隣で栄子が派手にずっこけたでゲソ」

 

イカ娘たちがVRをプレイしている場所__れもんの店内では、栄子が椅子から転げ落ちていた。

 

栄子 「いてて・・・・。って、やらないのかよ!」

ダー 「この集まりの目的は、あくまで皆さんにVRの世界を楽しんでいただくための催しですので。この中でしかできない体験を優先したいと存じますわ」

渚  「この空間の中でしかできない体験・・・・ですか?」

ダー 「ええ」

 

シュイイイイン

 

再び空間が姿を変える。

次に目前に現れたのは__

歴史を感じさせる荘厳な建物と、併設された大きな時計が特徴的な塔のような時計台だった。

 

シン 「ここって__」

優花里「イギリス、ロンドンのビッグベンですよ!」

イカ娘「おお!」

 

目の前にそびえ立つ時計台は、仮想空間内の映像にすぎないと分かっていてもその雄大さに圧倒される。

 

沙織 「素敵!わたし、新婚旅行はここに来たいって思ってたの!」

華  「ご予定があったんですか?」

 

目を輝かせる沙織。

鋭いツッコミの華。

 

ダー 「では皆さま」

 

いつの間にか呼び出していたチャーチルに、ダージリンが乗り込んでいた。

 

ダー 「優雅に行進と参りましょう」

 

ダージリンを先頭に、一行は連れ立ってバーチャル空間のウェストミンスター宮殿をゆっくり横切っていく。

 

あや 「わー、すごい!普通に戦車に乗っているのと違いが分からないよ!」

梓  「戦車の揺れやキューポラから見る目線の高さ、音とかも本物そのものだね」

あゆみ「桂利奈、操作は大丈夫?」

桂利奈「うん、だいじょーぶだよ!勝手はちょっと違うけど、前には進めるから!」

 

確かに進めてはいるが、やはり不慣れなせいか実際の運転と同じくややふらついてしまう。

 

ケイ 「みんな、操作はだいじょうぶ?分からないことがあったら私かダージリンに聞いてね」

 

窓から顔を覗かせながら、流れる風景にはしゃぐ沙織たち。

進んでいくうちに、神殿のようなデザインの大きな建物が見えてきた。

 

ダー 「皆さん。ここがかの大英博物館です」

チョビ「おお!」

 

そのデザインと大きさに圧倒される一同。

 

アッサ「この中にはロゼッタストーンをはじめ、イースター島のモアイ、エジプトのミイラ、果ては葛飾北斎の絵までもが展示されています」

みほ 「大きい建物ですね。見て回るのが大変そうです」

ペコ 「おっしゃる通り、あまりの広さに一日では回り切れないと言われています」

シン 「迷子になっちゃいそうね」

ダー 「そして中には本場の紅茶が楽しめるカフェも構えています。是非いらっしゃったときはお勧めいたしますわ」

アキ 「ねえミカ、博物館だって。歴史的価値のあるものがいっぱいあるんだろうね」

ミカ 「アキ、よからぬことを考えちゃいけないよ」

アキ 「何も考えてないでしょ!」

 

そして次にやってきたのは__

 

ダー 「ここがイギリスの中心、バッキンガム宮殿ですわ」

清美 「うわあ・・・・壮大ですね!」

イカ娘「ここにイギリスで一番偉い奴がいるのでゲソね?ならば、そ奴を倒せば私がこの国の一番になれるということでゲソね!」

ペコ 「そのためには、ここを守る幾百幾千もの兵士たちを全員倒さねばなりませんよ?」

 

ちらっ、と敷地内を歩く兵士たち(もちろん映像にすぎないが)を見つめるイカ娘。

 

イカ娘「侵略に同調する同胞が同じくらいの数になったら挑戦するでゲソ」

栄子 「何年後だよ」

 

ダージリンのイギリス観光ガイドにはしゃぐ一行だったが、エリカだけはつまらなそうな顔をしている。

 

エリカ(みんなはしゃいでるけど・・・・これは初心者用のプログラムの中だってことわかってんのかしら。こんなのではしゃいでるってことは戦車道初心者ですって認めるようなものよ)

 

そんな持論を胸にクールに努めるエリカ。

そんなエリカの前を、まほを乗せたティーガーⅠが進む。

 

エリカ(まったく隊長を見習ってほしいわ。あんな子供みたいにはしゃいだりせず、凛と構えて悠然としているわ)

 

と、不意にまほが振り向く。

 

まほ 「すごいなエリカ!まるで本当にイギリスにいるようだ」

エリカ「」

 

まほの瞳は楽しいものを見つけた子供のように輝いてる。

 

まほ 「確かにこの風景は現実のものではないというのは分かる。わかっているのだが、本当にイギリスを戦車に乗って観光しているように思えてならない!ぶい、あーる・・・・というのは初めての体験だが、これほどまでに心躍るとは思わなかった」

エリカ「・・・・。__ですね!」

 

若干の間を開けながら、笑顔で返すエリカ。

そんなやりとりを、苦笑しながら小梅は眺めていた。

VR観光は続き、ケイが案内するアメリカエリアへと進んでいた。

 

ケイ 「次はマウントラッシュモアよ!」

ペパ 「おおー!デカい顔してるっすねー!姐さんもあそこに顔を掘ってもらったらいいんじゃないですか?アンツィオのいい宣伝になるっすよ!」

チョビ「いや、あそこはそういうもんじゃないだろ」

西  「ここがアメリカ・・・・」

福田 「我々にとっては、一生縁がないやもしれない国であります・・・・」

 

壮大な風景を前に感嘆の声が漏れる西たち。

 

イカ娘「そういえば西よ。あの話はどうなったのでゲソか?」

西  「あの話、と申しますと?__ああ、例の五式のお話ですな!」

清美 「あれから、何かわかりましたか?」

福田 「はい、あれから知波単学園へ戻ったのち、書庫から文献を集め糸口を探しておりました」

西  「調べが進むうち、あの場所に関係のある世代が絞られてきておりまして。もうじき特定の運びと相成るかと」

イカ娘「それは楽しみでゲソ!」

 

やがてアメリカ観光も終わり、一行ははじまりの白い空間へ帰って来た。

 

イカ娘「はー、面白かったでゲソ!」

華  「てっきり訓練にだけ使えるものだと思っていましたが、あれほど楽しい経験も出来るとは思いませんでした」

ケイ 「堪能してもらえたようで、何よりだわ」

ダー 「さて皆さん、市内観光を通じて、基本的なVR空間内での操作などには慣れていただけましたかしら」

ねこ 「どっぷり浸かれたにゃー!」

ぴよ 「人類の技術の革新を身をもって体感したぴよ・・・・」

もも 「満足なりぃ・・・・」

 

これで区切りかと、各々感想を述べている、

そんな中、パンとダージリンが手を打つ。

 

ダー 「では皆さん、次のステップへ参りましょう」

一同 「え?」

クラ 「次・・・・ですか?」

ダー 「はい。あの観光はVRの世界がいかなるものかを体験していただくと同時に、観光を通じて戦車操作と感覚の基本を知ってもらうための過程ですわ」

カチュ「つまり、これからが本番って訳ね?ダージリンたら、もったいつけるじゃない」

チョビ「て、ことは・・・・次はこの中で戦車道をやるっていうんだな!」

 

ピンときたアンチョビがワクワク顔でダージリンに問いかける。

 

ダー 「違いますわ」

 

ドテーン!

 

ケイ 「あら?何の音?」

カル 「あ、すいません。ドゥーチェが盛大にひっくり返ってしまいまして」

早苗 「じゃあ、何をするんですか?」

アッサ「これです」

 

アッサムが端末を操作すると、再び周囲が切り替わり始める。

そして画面が切り替わると、空中に文字が浮かび上がった。

 

『Welcome to TanQuest World!!』

 

麻子 「ウェルカムトゥ・・・・タンクエストワールド?」

栄子 「もしかしてタンクとクエストを混ぜているのか?」

アリサ「そうよ。これこそが本来のVR戦車道訓練における特訓メニュー、タンクエストワールド」

ナオミ「戦車道に置ける必要な技術や訓練、知識を身に着けられるカリキュラムが盛り込まれている」

ケイ 「楽しく学んで戦車道ができるようになるっていうワンダフルなプログラムよ」

イカ娘「おお!まるでゲームみたいじゃなイカ!」

車長 「あんまりこのプログラムを侮らない方がいいよ、スクイーディ」

砲手 「なんせ、私たちこのプログラム最後までクリアしたことないからね」

栄子 「えっ、そうなのか?」

通信手「おかげで私たち、まだ実力不十分だからって試合に使ってもらえないんですよ」

アリサ「当たり前でしょ。半人前を育てるプログラムをクリアできてもいないくせに、試合に出られると思ってるの?」

渚  「さすがサンダース、妥協がありませんね」

ケイ 「ウーン、私としては意欲があって戦車道を楽しめるなら、出してあげていいと思ってるんだけどね」

アリサ「そんな軽い基準で試合に出していたら、チームは半人前だらけになってしまいます!これだけはどう言われようと妥協なんてできませんからね!」

 

ケイは肩をすくめてみせた。

 

ダー 「勿論、我が隊の子たちは全員最終ステージをクリア済みですわ」

アッサ「なんだかんだ言って、必要な要素が多様に含まれていますから。一見の価値はあるかと」

鮎美 「とても楽しそうですね!早くやってみたいです!」

栄子 「おお、鮎美ちゃんがキラキラしている」

鮎美 「ですよね、紗季さん!」

紗季 「・・・・(コクコク)」

 

鮎美に同意し首を縦に振る。

 

ケイ 「じゃあみんなやる気あるようだから、始めましょうか」

 

空間が切り替わり始める。

 

ケイ 「訓練内容は陸・海・空の三ステージに分かれてるわ。みんな同時に始められるけど、クリアしたチームは先に次のステージに挑戦することができるの」

カチュ「そう。じゃあ一番早く最後のステージをクリアできたチームが一番優秀ってことね!ノンナ、クラーラ!全ステージクリアのトップ3はプラウダが独占するわよ!」

クラ 「ダー」

ノンナ「当然です」

 

ノンナたちの返事に満足しつつ、キッと清美に強い目線を向ける。

 

カチュ「特にあなた!」

清美 「えっ、私ですか!?」

カチュ「よく目に焼き付けておきなさい!イカチューシャの大同志たる、私たちの実力がどれほどのものかをね!」

 

かくして、VR戦車道訓練、タンクエストが始まった。

まず各員がやってきたのはとてつもなく広い空間をたたえる洞窟内。

目の前は切り立った崖になっており、底も見えないほどの高さになっている。

そして、各々の前には曲がりくねった道がずっと先まで伸びている。

道の幅はだいぶ狭く、戦車一両がようやく通れる程度となっている。

と、前方に文字が浮かび上がる。

 

『Do Not Cross』

 

ダー 「まず最初のステージは『陸』。この道を渡り、向こう岸へたどり着ければステージ突破ですわ」

西  「ふむ・・・・なんたる断崖絶壁」

福田 「西隊長、底が見えず真っ暗であります!」

西  「福田よ、怯えるな!あの闇は我らの恐怖心の象徴!たじろげば、途端にあの闇に飲まれてしまうぞ!我ら知波単学園、前進はあろうとも後退はあってはならん!大和撫子ならば、心を決めたら己の道を突き進むのだ!」

 

発破をかけ、一番に進み始めたのは西のチハ(旧)。

流石に全速力とはいかないが、怯むことなく着実に前へ進み続けている。

 

ローズ「こんなのお茶の子さいさいですわ!おさきにごめんあそばせぇー!」

 

細い道を恐れもせず、クルセイダーが全速力で駆け抜けていく。

 

チョビ「あっ、抜け駆けはずるいぞ!私たちも続けー!」

 

それを皮切りに次々と挑み始める各車。

 

みほ 「麻子さん、無理せず着実に進んでいきましょう」

麻子 「りょ、りょりょ了解・・・・」

 

極力下を見ないように意識しながら、ゆっくりと道を渡り始めるⅣ号。

VRの中とはいえ流石は経験者の集まり、脱落者もなく道の中程にまでさしかかった。

あんこうチームだけは慎重に慎重を重ねており、若干出遅れていた。

 

梓  「あっ・・・・ストップストップ!ちょっと待った!」

 

順調に進んでいたM3が足を止める。

真ん中ほどまで進んだ道は、その先の道幅がさらに狭まってしまっている。

少しでもはみ出したら谷底へ真っ逆さまである。

 

優希 「桂利奈~、ゆ~っくり、ゆ~っくり行こうね~」

桂利奈「あ、あいいい・・・・!」

 

ハンドルレバーを強く握りしめ、ゆっくりと進んでいく。

が__

 

ガクッ!

 

やはり未だ運転技術が未熟なM3は、すぐ足を踏み外してしまい__

 

ガラララララ

 

車体が傾き、そのまま復帰することも叶わず__

 

ウサギ「きゃああああああ!」

 

ウサギさんチームのM3は奈落へと落ちていった。

 

沙織 「みぽりん、ウサギが!」

みほ 「__!」

 

その光景に息をのむみほ。

が__

 

シュン!

 

みほ 「あれ?」

 

すぐにM3はスタート地点にリスポーンした。

 

桂利奈「はれ?私たち生きてる?」

梓  「そっか、落ちたらスタート地点からやりなおしなんだ」

あや 「あせったー・・・・。そうだよね、ここVR空間なんだから本当に死んじゃったりとかないんだよね」

優希 「でも、落ちた瞬間とってもリアルだった~。まるで本当に落ちてるみたい~♪」

紗季 「・・・・」

あゆみ「え?紗季、もう一回落ちてみたい?・・・・お、面白かったって・・・・」

梓  「か、桂利奈!次は慎重にね!ビリになってもいいから、二度と落ちないように気を付けて!」

桂利奈「あ、あいー!」

 

そして再スタートするウサギさんチームだった。

 

操縦手「うわっ、マズった!」

車長 「きゃああああ!」

 

やがてシャーマンチームもミスにより落ちてしまい、スタート地点に戻される。

 

ルク 「だらっしないわねえサンダースの一年坊は。こーんな簡単なことすら一発でできないなんて」

アリサ「むっ、言ってくれるじゃない。そういうアンタは全部ノーミスでクリアできるんでしょうね」

ルク 「あ、あったりまえじゃない!そもそも私はこの訓練、全部一発クリアだったんだから!今更この程度、屁でもないわよ!」

ルク (くっそ、見栄張っちゃったけど、あれ以来一度も全クリできてないなんて絶対に言えないし!)

 

と__

 

ローズ「あーーーれーーー!」

 

すぐ先を、クルセイダーが勢いよく落下していった。

 

ルク 「・・・・」

アリサ「・・・・」

ルク 「あいつは、例外だから」

アリサ「・・・・うん、わかってる」

 

心のままに進ませ落ちていったローズヒップや、見栄を張り、焦りと後悔が見え始めたルクリリを見ながら、楽しそうにしているダージリンだった。

やがて__

 

麻子 「つ、着いたぁ・・・・」

 

なんとか一度も落ちずに、あんこうチームは向こう岸へとたどり着いた。

 

みほ 「麻子さん、お疲れさまでした」

優花里「これまでになく繊細でお見事な操縦テクニックでした!」

華  「麻子さんもこれほどまでに集中力を発揮できるのですね。良い花を生けられそうです」

麻子 「毎回こんなに疲れるなら、寝てた方がいい・・・・」

沙織 「麻子、次にステージもあるんだからがんばろ。ほら、ミルクセーキ飲んで」

 

ゴーグルを外し、麻子にカップを手渡す。

一気に飲み干し、落ち着いたようだった。

と、みほたちの周囲が様子を変えていく。

 

みほ 「次のステージだね」

華  「次は__海、と仰っていましたね」

沙織 「いったいどんなステージに飛ばされるんだろ。南国のビーチとかかな?」

優花里「えっと・・・・その場合、どういった訓練になるんでしょう?」

 

かくして画面が切り替わる。

そこは__大海原に浮かぶ、小さな船の上だった。

デッキの上に鎮座し、波に揺れるⅣ号。

 

みほ 「うわあ、広い空・・・・」

 

と思ったのもつかの間、船が大きく傾き、Ⅳ号が頭から海に滑り落ちるようにして沈んでいった。

全身が海水に包まれる。

思わず息を止め、目をつぶるみほ。

しばらくそうしていたが、恐る恐る目を開けると__

 

みほ 「うわあ・・・・!」

 

Ⅳ号は海の中を、真っ逆さまに沈んでいっている。

映像的には落ちているのだが、流れる景色はまるで空を飛んでいるようにも感じさせる。

魚がすぐ横をかすめ、サンゴ礁や岩のトンネルを潜り抜ける。

その映像だけでも幻想的で、みほたちはその映像美に酔いしれていた。

が、やがて前方に文字が浮かび上がって来た。

 

『Shoot the Sharks!!』

 

麻子 「サメを・・・・撃て?」

 

ふと、前方から何かが迫ってきている。

よく目を凝らすと__

 

沙織 「うわあ!?サメだあー!?」

 

海の下から、口を大きく開けたホオジロザメがⅣ号に向けて迫って来ていた。

一瞬怯んだが、すぐ趣旨を理解したみほがきっとサメを見つめる。

 

みほ 「砲撃準備!優花里さん、装填を!」

優花里「はっ、はい!」

 

両手に一つずつ持ったコントーラーで砲弾を持ち上げ、装填を行う。

 

優花里「装填、完了であります!」

みほ 「華さん!」

華  「いつでも」

 

既に華は照準をサメに合わせている。

 

みほ 「撃て!」

 

ドボオン!

 

水中で砲撃音が響き、砲弾は吸い込まれるようにサメの方へ飛んでいき__

 

ドオオン!

 

見事サメに命中した。

 

沙織 「やったあ!さすが華!」

みほ 「__!」

 

しかし、更に先を見たみほは顔をこわばらせる。

海底から、更に何頭ものホオジロサメがこちらに迫ってきているのが見えたのだ。

 

チョビ「うわあああああ!こっち来てるぞおおおおお!」

 

同じく海ステージに進んでいたアンチョビが絶叫する。

 

ペパ 「いやー凄い数のサメっすね。こんだけいたらモロに困らないなあ」

早苗 「え?モロってなに?」

カル 「モロっていうのはサメ肉のことですよ」

早苗 「へえ!アンツィオってサメ料理も出すんですか?」

ペパ 「いや、モロは私の生まれた町でよく食べてた。あー、でもアンツィオも出してる店があるって聞いたなあ」

早苗 「へえー、サメ肉っておいしいのかな?」

カル 「今度アンツィオに来た時にご馳走しますね」

チョビ「お前らー!和んでないで応戦しろー!」

 

一方その頃。

 

イカ娘「うわああああ!サメでゲソー!こっち来るなでゲソー!」

 

イカ娘が迫りくるサメに怯え、触手を振り回す。

 

スパパパパパ!

 

栄子 「うわっ!?あっぶねえ!?」

 

もちろんVR空間のサメを攻撃できるはずもなく、座っている周囲のテーブルや柱をスパスパ切り裂いていく。

すんでのところでかわした栄子がゴーグルを外し、イカ娘を抑えようとする__が、振り回す触手に阻まれ近づけない。

 

イカ娘「怖いでゲソー!来るなでゲソー!」

栄子 「だったら一度ゴーグル外せ!触手を振り回すな!」

イカ娘「うわあああああ!」

 

しかし栄子の声も届かず、パニックになったイカ娘は触手を振り続ける。

と__

 

ガッ!

 

触手が全て一瞬にして束縛される。

 

イカ娘「!?」

千鶴 「イカ娘ちゃん」

イカ娘「ひいっ!?」

 

ゴーグル越しに、千鶴の静かで押し殺すような声が聞こえてくる。

 

千鶴 「店の中で暴れちゃダメって、何度言えばわかってもらえるのかしら?

イカ娘「あわ、あわわわ・・・・」

 

真横に迫る千鶴のプレッシャーに、サメへの恐怖も吹き飛ぶイカ娘。

 

千鶴 「遊ぶときは節度をわきまえて、周りの人の迷惑にならないようにね?」

イカ娘「はい、はい!わかりましたでゲソー!」

 

やっと落ち着き__というか消沈したイカ娘。

 

イカ娘「仮想空間のサメより現実の千鶴の方がよっぽど恐ろしいでゲソ・・・・」

渚  「あはは・・・・」

 

ドオン!ドオン!ドオン!

 

備え付けられた三門の砲撃により迫りくるサメを難なく打ち払っていく清美のオイ。

隣に位置している愛里寿のセンチュリオンも、正確無比な砲撃によりノーミスで突き進んでいく。

そんな二両にやや遅れを取っているカチューシャたち。

 

カチュ「くっ、何なのアレ!一つの戦車に三つも砲をつけるなんて反則じゃない!ウチにはそんなのないわよ!?」

ノンナ「プラウダは一撃巨砲主義ですから、致し方ないかと」

クラ 「『車体も砲門も大きくなきゃダメ』というのがカチューシャ様の主義ですから」

カチュ「くうっ、このままじゃどんどん引き離されちゃうわ!」

 

カチューシャとて着実に進んでいるのだが、いかんせん二人が早すぎる。

清美に張り合った手前、負ける訳にはいかないカチューシャの心に焦りが生まれる。

と__うっかり迫りくるサメの一匹を取り逃してしまう。

 

カチュ「しまっ__」

 

次弾も間に合わず、あとわずかで食いつかれるという距離で__

 

ドオン!

 

ノンナのIS-2が火を吹き、迫りくるサメを撃破する。

 

カチュ「!?ノンナ、余計なことしないで!」

ノンナ「問題ありません。私は偉大なる同志カチューシャの剣。カチューシャに降りかかる火の粉を振り払うのは当然のことです」

カチュ「・・・・いちおうお礼は言っておくわ。でももう手出しは無用よ!」

ノンナ「ダー」

 

気を取り直したカチューシャは勢いを増し、ゴール直前に愛里寿と清美を追い抜いた。

 

清美 「わあっ、カチューシャさん早い!」

愛里寿「やるじゃない、ちびっ子のくせに」

カチュ「ふふん、これが偉大なるカチューシャの実力よ!次のステージに一番乗りなんだから!」

 

そしてカチューシャの周囲の風景が切り替わっていく。

そして現れた場所は__

 

カチュ「・・・・ここが最後のステージ?」

 

そこは周囲に黒煙が立ち上り、そこかしこに瓦礫が転がるまるで戦場のような場所だった。

 

カチュ「今までと雰囲気が違うわね・・・・。まあいいわ、一番で到着したんだから、こっちもさっさとクリアして__」

ねこ 「おっ、カチューシャさんだにゃ」

もも 「待ってたももー」

カチュ「!?」

 

声に振り向くと、そこにはアリクイさんチームのチヌが既にスタンバイしていた。

 

カチュ「あなたたち、もうここに__ってちょっと待って、今『待ってた』って言ったの!?」

ぴよ 「?そうだぴよ?」

ねこ 「待ってても誰も来なかったから、みんなやられちゃったかと心配してたにゃ!」

カチュ「」

 

言葉を失うカチューシャ。

と、そこへ__

 

みほ 「やった、突破できたよ!」

清美 「最後が大変でしたけど、何とかできました」

愛里寿「副砲の動きもとてもよかった。もっと精度を挙げたら誰も近寄れなくなると思う」

 

Ⅳ号、オイ、センチュリオンが到着する。

ほどなくしてどんどんとメンバーが揃い、最後にM3とシャーマンチームが到着した。

 

車長 「やった!はじめてここまで来れたよ!」

イカ娘「ここが最終ステージでゲソ?」

鮎美 「何だか、戦場跡みたいです」

沙織 「そういえば、最後のステージは『空』って言ったね」

優希 「空~?」

 

言葉につられて空を見る。

と__またもそこに文字が浮かび上がる。

 

『Defeat All』

 

シン 「全て倒せ__何を?」

 

すると__すぐに『それ』は現れた。

 

ゴゥンゴゥンゴゥンゴゥン・・・・

 

頭上から、とてつもない大きさの巨大UFOが降りてきた。

 

梓  「きょ、巨大UFO-!?」

優希 「わあ~、おっき~い♪j

あや 「え、なにあれ、どうしろっての?」

あゆみ「あれを倒せ・・・・ってことかな」

桂利奈「ま、まっさかー・・・・」

紗季 「・・・・!」

 

と、巨大UFOから__

 

ジャキン!

 

戦車砲らしきものが何十門も飛び出した。

 

シン 「ワーオ!ねえ見て!巨大UFOよUFO!初めて見たわ!」

渚  「いや、それどころじゃないですよ!何だか様子がおかしいですよ!?」

栄子 「やべっ!」

 

察した栄子が全力でアクセルをかける。

 

ドガアアアアン!

 

間一髪、離脱した場所に大きな爆音が響き、黒煙が上がる。

 

小梅 「撃って来た!?」

まほ 「全車散開!」

 

まほの号令に各車が一気に散り散りになる。

幾度もわたる高度からの砲撃を縫うようにかわし続けるⅣ号。

と、微動だにしないT-34/85の脇を通り抜ける。

 

みほ 「カチューシャさん!?逃げてください!」

カチュ「何よ見下してきて!こうしてやるわ!」

 

ドオン!

バアン!

 

臆せず放たれた砲撃はUFOの砲門の一つに着弾し、爆発を起こし使用不能となった。

 

カチュ「ふふん、思い知ったかしら!」

ノンナ「お見事です、カチューシャ。どうやら、相手の砲撃をかわしつつ、円盤から生えている砲台をすべて破壊することが目標のようですね」

カチュ「そうとわかれば攻撃あるのみよ!あんな適当な砲門、蹂躙してあげなさい!」

 

攻略法を見出し攻撃を続けるカチューシャたちを見て、闘志が湧いてくる。

 

チョビ「やるじゃないか!あいつらに負けるな、私たちも応戦するぞ!」

 

反転し、サハリアノも砲撃を開始、次々と砲台を撃破していく。

他の車両も果敢に戦い始め、UFOに残された砲台は半分程度にまで減らされてきた。

 

まほ 「よし、いい調子だ。このペースならすぐに__ん?」

 

ふと見ると、UFOの数か所に穴が開いている。

と、そこから小さな円盤が無数に飛び出して来た。

 

ビュン!ビュン!

 

その空飛ぶ円盤からは、紫色のビームのようなものが発射され始める。

 

車長 「わーっ!?敵の攻撃機だー!」

通信手「た、対空砲火!機銃掃射ー!」

 

ガガガガガ

 

重機関銃で応戦する。

高度からの砲撃に加え、突如として増えた小型の攻撃機にパニックになる一同。

砲台を狙えば小型機が、小型機を追えば砲台からの攻撃に対応できなくなる。

 

桂利奈「うわーん!よけきれないよー!」

あや 「西住隊長ー!助けてー!」

 

小型機と砲台両方に狙われたM3は必死に逃げるが、砲台からの砲撃に動きを阻まれる。

そして背後から小型機が高速で接近してくる。

 

梓  「も、もうダメ・・・・!」

 

ウサギさんチーム全員が諦めかけた時__

 

ドガアン!

 

M3に追い迫っていた小型円盤が爆発した。

 

優希 「助かった~♪」

あゆみ「ありがとうございます!」

 

てっきにみほが助けてくれたと思ったウサギさんたちが後方を確認すると__

そこには砲口から砲煙を上げるチヌがいた。

 

梓  「猫田先輩!?」

ねこ (キュピーン)

 

ねこにゃーは何も言わず、爽やかに親指を立てた。

 

カチュ「くっ、こいつら、小さいくせに生意気よ!」

 

応戦を続けるカチューシャの周囲を何台もの円盤が取り囲む。

 

ノンナ「カチューシャ!」

 

助けに行こうとするも、砲撃と円盤の妨害によりノンナたちも動けない。

 

バシュン!バシュン!バシュン!

 

包囲からの集中砲火によりT-34/85の装甲値がガリガリ削られていく。

必死に抵抗するも、数が多すぎて間に合わない。

 

カチュ「こんなところで、このカチューシャが・・・・!」

 

とどめとばかりに円盤がビームを発射すると__

 

バシュンッ!

 

突如として大きな壁のようなものがカチューシャを庇い、ダメージを肩代わりする。

 

カチュ「あ、あなた・・・・」

清美 「大丈夫ですか、カチューシャさん!?」

 

それは清美のオイだった。

 

カチュ「何よ、助けて恩を売るつもり!?そんなことされたってアナタを認めてなんて__」

清美 「恩を売るなんてそんなつもりはありません!だってカチューシャさんは、イカちゃんの大事な友達じゃないですか!」

カチュ「えっ__」

 

思いもしなかった言葉にきょとんとする。

 

清美 「イカちゃんの友達、しかも大同志なんてすごい関係になれるカチューシャさんはきっとイカちゃんにとってなくちゃいけない人なんです。だから絶対に守ります!」

 

清美の真っすぐな目に、偽りはないとはっきり知らされる。

 

カチュ「・・・・何よ、カチューシャよりずっと年下のくせに言うじゃない」

 

きっと清美を見つめ返すカチューシャの瞳には、もう敵意は一切なかった。

 

カチュ「じゃあさっさとこいつらを倒してイカチューシャと合流するわよ、キヨーミ!」

清美 「はい!」

 

お互いの背中を任せるように、カチューシャと清美は共同戦線を張り始めた。

 

車長 「うわあ!三機きたあー!」

砲手 「砲撃!機銃!弾幕!回避ー!」

操縦手「いっぺんにまくしたてるなー!」

 

ドガアン!

 

小型円盤だけに気を取られていたせいで砲撃を避けられず、シャーマンチームは撃破されてしまった。

 

ケイ 「あ、言い忘れてたけど、ここで撃破されたら復活はできないからねー」

車長 「えええええ!?隊長、そういうことは先に行って下さああああ__」

 

シュン!

 

シャーマンチームはエリアからはじき出された。

その後は混乱を極め、各チームはじわじわと追い詰められていく。

空を舞う無数の円盤の攻撃により耐久度がどんどん減らされ、それに比例して闘志がしぼみ始める。

しかしその中にあっても実力者たちはめげずに着実に、正確に敵を減らしていく。

その中でもやはり突飛していたのは愛里寿のセンチュリオン。

その正確無比な動きにより、誰よりも円盤を撃破していく。

と、目立ちすぎたせいか円盤の攻撃がセンチュリオンに集中する。

 

イカ娘「愛里寿!」

愛里寿「無駄」

 

それに一切怯むこともなく正面から立ち向かう。

 

ギュイイイイイイ

 

お得意の夢幻軌道を披露し、一発も被弾せずに向かってきた円盤を全て撃破した。

 

栄子 「おお、やっぱり愛里寿ちゃんはすげえなあ!」

渚  「目の前で見てるのにどうしてそうなるのか、さっぱりわかりませんでした・・・・」

イカ娘「むっ!」

 

しかし、また次の円盤団が愛里寿へ向かってくる。

 

イカ娘「愛里寿、次が来るでゲソよ!」

 

しかし、愛里寿はそこからぴくりとも動かない。

 

イカ娘「愛里寿、どうしたのでゲソか!?」

 

見ると、愛里寿の顔色が芳しくない。

 

愛里寿「き・・・・」

イカ娘「き?」

愛里寿「・・・・気持ち悪い」

 

愛里寿の顔が蒼白になっている。

 

イカ娘「えええ!?」

愛里寿「目が回る・・・・吐き気もする。さっきからちょっと違和感はあったけど・・・・今のでもう耐えれなくなっちゃった」

栄子 「やばい、VR酔いだ!」

渚  「どういうことですか!?」

栄子 「愛里寿ちゃんは本物の戦車なら自分も動くから慣れてるけど、VRの中じゃあくまで動くのは視界だけだ。だからそれによって目が回って画面に酔ったんだ!」

 

※VRの使用推奨年齢は十五歳以上です。

 

ドオン!

 

イカ娘「愛里寿ーっ!」

 

集中砲火により、動けなくなってしまったセンチュリオンは撃破された。

 

あや 「もうムリ・・・・キリがない。こんな数倒しきれないってばー」

桂利奈「わたしも、よけ続けるのキツくなってきちゃったー・・・・」

梓  「ちょっと!ダレてないで__きゃあっ!」

 

ギリギリで直撃を免れるが、後一発もらえばM3は撃破される。

 

梓  「もうダメなの・・・・?」

 

諦めの二文字が浮かびかけた時__無線から何か聞こえてきた。

 

あゆみ「ん?何か聞こえない?」

紗季 「・・・・」

優希 「これって・・・・音楽?」

 

全車共通の無線チャンネルから、曲が流れてきた。

曲名は__サッキヤルヴェン・ポルカ。

 

吾郎母「おやミカちゃん上手だねえ。それは何て曲なんだい?」

 

現実世界の嵐山家で、吾郎の母ちゃんが話しかける。

 

ミカ 「とある国がとある国に攻め入られ、それでもあきらめない心を歌った曲さ。どうやら仲間たちには音が必要なようだからね」

 

ミカはVRゴーグルを被りながら、器用にカンテレを奏でている。

その演奏はヘッドセットに搭載されているマイクを通じ、全車両に無線で流されている。

 

チョビ「この曲は・・・・」

ペパ 「おおお、何だか知らないけど心が躍るっすね!」

カル 「継続さんの無線から流れてきています。きっとミカさんです」

早苗 「うん、まだ諦めちゃダメだよね!」

 

くじけかけた心が曲によって沸き上がり、サハリアノが勢いを取り戻す。

 

ローズ「まだまだやれますわー!」

 

奮起したクルセイダーが激戦区へ踊り入り、円盤や砲弾の注意を一手に引き付ける。

リミッターを外したクルセイダーのスピードは弾幕をいとも容易く潜り抜け、戦場を派手に駆け回る。

それにより包囲が薄まったⅣ号やチヌらが円盤を撃破していく。

 

カチュ「何よ、みんなまだやればできるじゃない!・・・・曲のチョイスが気に入らないけど、ここは乗ってあげるわ!」

 

攻勢に乗ったT-34/85やIS-2の砲撃によりさらに円盤や砲台の数が劇的に減っていく。

 

西  「今こそ好機!儀を見てせざるは勇無きなり、我らも加勢するぞ!」

福田 「はっ!」

 

呼応した新旧チハも勢いに乗り円盤を撃破していく。

 

ルク 「なんだよみんなして活躍し始めて!私も負けてられるかー!」

 

自分も、と前に出ようとするマチルダ。

が__

 

バシュン!

 

ルク 「んなっ!?」

 

背後から円盤の攻撃を食らい、装甲値がゼロになってしまう。

 

ルク 「ちくしょー!なんで私だけえー!」

 

ルクリリは叫びながら退場していった。

 

ナオミ「これで・・・・ラスト」

 

ナオミが最後の砲台を打倒す。

と同時に、チャーチルが最後の円盤を撃ち落とした。

 

ねこ 「あれ?もう終わりかにゃ?」

ぴよ 「あっけなかったぴよ」

 

唯一無傷で戦い抜いたアリクイさんチームは物足りないと言った顔をする。

 

栄子 「半端ないな猫田さんたち・・・・。私でさえ全部はよけきれなかったってのに」

 

息をつき、集合する生き残りメンバーたち。

お互いの健闘をたたえていると__

 

ヴィー!ヴィー!ヴィー!

 

空間が赤く光り、アラートが鳴り響く。

 

みほ 「えっ、な、何ですか!?」

アリサ「ラスボスの登場よ」

沙織 「ラスボス!?」

 

見上げると、巨大UFOの中央が開き、中から超巨大なプラズマ砲が姿を覗かせる。

 

ギュイイイイイ・・・・

 

プラズマ砲が紫色のエネルギーを一転に集め始めている。

 

チョビ「あれ・・・・なんだかまずくないか?」

ダー 「そのとおり、あれが最後の攻撃です」

ケイ 「あれが放たれる前に撃破しないと、エリアにいるみんなは一発で撃破されちゃうからねー」

栄子 「なんだそりゃー!」

 

慌てて砲撃を始めるが、巨大すぎる砲はビクともしない。

その間にもどんどんエネルギーは溜まっていく。

 

ローズ「ヤバいですわ・・・・!」

小梅 「このままじゃ絶対間に合いませんよ!」

チョビ「何か・・・・何か攻略法はないのか!?」

 

と__

 

紗季 「・・・・」

鮎美 「え?紗季さん、どうしました?」

紗季 「・・・・」

鮎美 「あっ、そう言われれば・・・・ええ、きっとそうですね」

 

紗季と鮎美が無線越しで会話し始めた。

 

あゆみ「鮎美ちゃん、紗季と無線越しで話してるよ!?」

あや 「さすがにそれは無理じゃないの!?」

紗季 「・・・・」

鮎美 「はい、皆さんに伝えます!」

梓  「会話が成立した!?」

鮎美 「皆さん、巨大砲台の根本です!」

 

言われて見ると、巨大砲台の根本が紫色に輝いている。

その輝きは時間ごとにどんどん増していく。

 

まほ 「時間がない、二人を信じよう」

みほ 「皆さん、砲台の根元を集中攻撃してください!」

カチュ「聞いたわね!行くわよノンナ!クラーラ!キヨーミ!」

チョビ「決めろー!」

西  「乾坤一擲!」

シン 「あっ、でも学術的資料を残すために半壊程度に抑えた方が__」

栄子 「そういうのじゃないから!」

イカ娘「撃つでゲソー!」

 

ドオン!ドオン!ドオン!

 

残存戦力がありったけの砲弾を目標点へ浴びせまくる。

そして__

 

ドガアアアアアン!

 

巨大UFOは中心地から大爆発を起こし、爆発四散。

跡形もなく霧散し、空には元通りの青空が戻っている。

そして__

 

『CОNGRATULATIONS!』

 

の文字と共にファンファーレが響き渡った。

その後、始まりの白空間へと戻って来た一行。

 

ダー 「皆さん、楽しんでいただけたかしら」

 

ダージリンとケイがそこで出迎えた。

 

みほ 「はい、とても楽しかったです!」

麻子 「戦車道の新しい側面を見れた気がするな」

沙織 「これ、アベックとかでやったら繋がりがもっと強くなるんじゃない?」

華  「まずは相手を見つけませんと」

優花里「もう一周したいくらいです!」

 

各員が口々に楽しかった、面白かったと感想を述べる様子に、ダージリンやケイは嬉しそう笑顔を浮かべるのだった。

しばしそのまま談笑していたが__

 

ケイ 「じゃあみんな、そろそろお開きにしましょうか」

 

解散のくちとなった。

 

ねこ 「もう帰るのかにゃ?この空間は居心地よかったからもっといたかったニャリ」

もも 「同感だもも。これから公式にVR戦車道大会とか開いてほしいもも!」

ぴよ 「現実でもこれくらい動けたら・・・・楽しいぴよがねえ」

カチュ「キヨーミ、気に入ったわ!高校がまだ決まってないなら、プラウダに来なさい!私が口添えして優遇してあげるわ!」

清美 「ありがとうございます。もし決めた時は、ご連絡しますね」

クラ 「すっかり清美さんを気に入られましたね」

ノンナ「ええ。私も彼女は全肯定します」

桂利奈「ねえねえ、また今度一緒にこれで遊ぼうよ!」

操縦手「いいね!じゃあいつにしよっか?」

梓  「みんな一緒になって頑張って、いいチームだったと思う。私たちも頑張るからね」

車長 「うん、つぎは大会で会えるように頑張るね!」

あゆみ「撃破スコア、西住隊長を抑えて猫田先輩が一位だったらしいよ」

砲手 「マジで!?とんだダークホースだったわね」

あや 「どうやりゃあそこまで精度を出せるんだろ・・・・。やっぱネトゲがいいのかな」

装填手「そうなのかな~・・・・。今度ちょっとやってみようかな」

優希 「ねえねえ、そっちの男子生徒ってカッコいい人いるの~?」

通信手「いるってもんじゃないよ、もうよりどりみどり!」

 

激戦を共にした者同士、友情や絆が芽生え始めていた。

 

鮎美 「紗季さん、お疲れさまでした」

紗季 「・・・・(コクコク)」

栄子 「いやー、あそこで鮎美ちゃんたちのアドバイスがなかったらやられてたな」

渚  「まさに今回のMVPでしたね」

シン 「それにしても、あのUFOどういう原理で動いてたのかしら?まさか反物質?」

イカ娘「MVPといえば、あそこで音楽を流してみんなを持ち上げたミカたちもよくやったでゲソ!・・・・あれ?」

 

見回してみると、ミカたちの姿がもうない。

 

ルク 「あいつらなら、さっさとログアウトしちゃったわよ」

ローズ「何も言わずクールに去る。仕事人ですわね!」

アリサ「それはいいんだけど・・・・あいつらVRゴーグルちゃんと返してくれるんでしょうね」

ナオミ「まあ、隊長もあげるつもりで送ったんだろうし、細かいことは言いっこなしだ」

西  「島田殿、気分は大丈夫でありますか_」

福田 「無理はされない方が・・・・」

愛里寿「うん、目をつぶってれば大丈夫。__それよりも、みんなと一緒に喜んでいたかったから」

 

西と福田に補助されながら、目をつぶっている愛里寿(VR酔い対策)は微笑んでいた。

 

カポッ

 

まほがVRゴーグルをはずす。

それにならい、エリカと小梅もゴーグルを外した。

 

エリカ「隊長、お疲れさまでした」

まほ 「ああ、二人ともご苦労だった。__いい経験ができたよ」

小梅 「はい。最新技術の体験だけでなく、お互いをいい意味で知れたような気がします」

エリカ「まあ・・・・その点に関しては認めざるを得ないかもしれないわね」

小梅 「でも、いつでも仮想空間で会えると言っても、やっぱり本物のみほさんたちにも会いたい気はしますね」

エリカ「そんな気兼ねすぐ必要はないでしょ。あいつらとなら、いずれ嫌でも会うことになるわ」

まほ 「いや・・・・その時は割と近いかもしれないぞ?」

エリカ「え?」

 

まほの言葉にきょとんとしていると、まほは傍らにあった段ボールから何かを取り出す。

それは__透明な、半球のような形の帽子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~告知~~

 

終わる夏。

 

「さあ、参りましょう」

 

始まる季節。

 

「イッツショータイム!」

 

再会。

 

「もう二度と寝過ごしはしないからな!」

 

遭遇。

 

「あら、こんなところで偶然ね」

 

始まる戦いの予感。

 

「私には、これしか手立てが無いんだ」

 

願った邂逅。

 

「貴女に、是非ともお目にかかりたかった」

 

紐解かれる謎。

 

「気の合う友人の頼みでね」

 

哀惜。

 

「できるなら、私が支えになりたいのに・・・・」

 

突然の別離。

 

「絶対に離さないでゲソ・・・・!」

 

そして__現れる最強の存在。

 

「パンツァー・フォー」

 

その名は、西住流。

 

 

侵略!パンツァー娘劇場版、誠意製作中。

 

~~告知終了~~




まずは、恥ずかしい個人の都合により一週間の遅れ、申し訳ありませんでした。

そして、長くここまでお付き合いいただき、まことにありがとうございます。
もし今回(各校後夏編最終話・および十校十色第6話)を無事終えられたら始めようと思っていた企画を、ついに立ち上げることに決めました。

今回告知にあった通り、今作の劇場版(長編)の掲載を告知させていただきました。
今までとは違い長い一本の話となるので、これまでとは違った形を取るかもしれません。
それに加え話が長い一本の話であるため、話に不備が生じたりお粗末な部分を残さないために、申し訳ありませんが一話更新ごとに多く間を取らせてもらうことになると思います。
基本的には二週間に一話、最低でも三週間に一話載せられるよう心がけますので、よろしくお願いいたします。

そして最後に・・・・皆さん、腰はお大事に。(切実)

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