※形式の都合上、キャラの名前が一部略称になっています。
シンディー→シン
カエサル→カエ
エルヴィン→エル
おりょう→おりょ
左衛門左→左衛門
ねこにゃー→ねこ
ももがー→もも
ぴよたん→ぴよ
ダージリン→ダー
オレンジペコ→ペコ
アッサム→アッサ
ルクリリ→ルク
ローズヒップ→ローズ
ニルギリ→ニル
アンチョビ→チョビ
ペパロニ→ペパ
カルパッチョ→カル
カチューシャ→カチュ
クラーラ→クラ
アリーナ→アリー
南風の店長→南風
戦車道強豪校が集まり、盛り上がった海の家れもんのお疲れ様会の次の日。
栄子 「うーむ・・・・」
栄子は店の冷蔵庫を開きながら唸っていた。
イカ娘「栄子ー、どうしたでゲソ?・・・・うわっ」
横から覗いたイカ娘が声を上げる。
開いた冷蔵庫の中は、キャベツの千切りでびっしりだった。
チョビ「昨日の宴会で、使い切れなかったなー」
カル 「どうしましょう・・・・」
ペパ 「あんまり持たないですしねー」
千鶴 「大丈夫よ」
チョビ「え?」
見ると、千鶴はニコニコと事を構えている。
栄子 「そういや、考えがあるって言ってたな」
千鶴 「ええ。それでね。今日のユニフォームは、特別にこれを着てほしいの」
そう言っておもむろに千鶴は民族衣装らしき服を取り出した。
カル 「あっ、それは__」
しばらく後。
チョビ「いらっしゃいませー!」
ペパ 「海の家れもん、ドイツフェスタ実施中っすよー!おいしいビールもあるっすよー!」
れもんの面々はドイツの民族衣装ディアンドルに着替え、ビールやソーセージを運んでいた。
シン 「あら?どうしたのかしら今日は」
イカ娘「今日はドイツフェスタなのでゲソ。ビールとソーセージがオススメでゲソよー」
シン 「うーん、そうね。じゃあ、アイスコーヒーで」
イカ娘「ブレないでゲソね」
清美 「こんにちわ、イカちゃん」
イカ娘「おお、清美!いい所に来たでゲソね」
清美 「そうなの?何だか、いつもと雰囲気や着ている服が違うけど」
栄子 「いらっしゃい清美ちゃん。今日はドイツフェスの日なんだよ」
清美 「へえ、そうなんですか!じゃあ、イカ娘ちゃんが着ているそれ、ディアンドルだったんだね」
イカ娘「うむ!なかなか斬新じゃなイカ?」
清美 「うん、似合ってる似合ってる。それじゃ、今はメニューもドイツなのかな?」
イカ娘「うむ。このソーセージセットがオススメでゲソよ」
清美 「じゃあ、これをひとつ」
イカ娘「かしこまったでゲソ!」
しばらくして料理が運ばれてくる。
イカ娘「ソーセージセットお待たせでゲソー」
清美 「わあ、おいしそう!いただきまーす」
まほ 「こちらもオーダーいいだろうか」
気が付くと、まほたちが別のテーブル席についていた。
イカ娘「あれ?黒森峰の西住さんじゃなイカ」
まほ 「ああ。今日は打ち上げ会の礼も兼ねて来たんだが、ぜひ食べて行ってくれと安斎に言われてな」
チョビ「アンチョビ!」
エリカ「それにしても、ドイツフェスタなんていい度胸してるわね。黒森峰を差し置いて、ドイツ料理で勝負しようなんて」
まほ 「エリカ、そういう言い方は良くないぞ」
エリカ「うっ・・・・、すいません」
小梅 「でもラインナップは凄いですよ。昨日のお料理も多様だったのに、ドイツ由来だけでもこんなに」
エリカ「まあ・・・・それは、認めないことはないけど」
まほ 「ところで、これは何なんだろうか」
まほが指さした先、メニューのそれぞれに小さく、※サービス対象!※と書いてある。
エリカ「随分とサービスいいわね。何がついてくるのかしら」
イカ娘「ザワークラウト食べ放題でゲソ」
エリカ「え」
イカ娘「知らないでゲソか?酸っぱいキャベツの千切りでゲソ」
エリカ「別にザワークラウトくらい黒森峰にもあるわよ。ていうか、それだけおかわりしてどうするのよ」
イカ娘「いっぱい用意したから、たくさん食べてほしいのでゲソ」
小梅 「いいじゃないですか。エリカさん、ザワークラウトお好きでしょう?」
エリカ「嫌いじゃないけど、何度もおかわりするほどじゃないわよ」
まほ 「無理のない量を食べればいいだけだ。私はこのノンアルコールビールセットを頼む」
小梅 「私もそれで」
エリカ「じゃあ、私も」
イカ娘「かしこまったでゲソー」
オーダーを済ませ、清美の席に戻る。
清美 「あの人たち、お知り合い?」
イカ娘「うむ!この間知り合った、黒森峰の西住さんたちでゲソ!」
清美 「ええっ!?黒森峰の西住さんって、あの戦車道で有名な!?」
イカ娘「ふむ、清美は知っていたでゲソか」
清美 「知っているも、黒森峰は戦車道が強くて有名だよ?そんな人と知り合いなんて、イカ娘ちゃんはやっぱり凄いね!」
イカ娘「いやー、照れるでゲソね」
などと言っているうちに、フェアの話が広まったのかどんどんお客がやって来る。
あっという間に満員になってしまった。
千鶴 「急に忙しくなってきたわね」
栄子 「口コミが広まり始めてきたってところか。まずいな、行列も出来かけてるぞ」
チョビ「注文とザワークラウトのおかわりが多くて、手が回り切らないぞ!」
カル 「すいません、ソーセージセット五人前、追加です!」
予想以上の反響にてんてこ舞いのれもん従業員たち。
イカ娘「手が足りないでゲソー!」
まほ 「手伝おう」
イカ娘「えっ?」
ひょいと、イカ娘が片づける皿を取り上げ、下げていくまほ。
エリカ「まったく、さばききれない人数を受け入れるんじゃないわよ。ほら、オーダー呼んでるわよ」
小梅 「運ぶのと片付けなら出来ますので、イカ娘さんたちはオーダーに専念していてください」
急遽参戦したまほたちの助力により、混乱が多少和らぎ始める。
栄子 「ありがとう、助かるよ!」
ペパ 「ソーセージ三人前、五番テーブルっす!」
カル 「黒ビールセット、三人前様です!」
チョビ「五百円のお返しです、ありがとうございましたー」
イカ娘「四名様来店でゲソー!」
小梅 「ノンアルコールビールセット、お待たせしました」
まほ 「こちらお済みのお皿、お下げします」
エリカ「四番テーブル三名お会計、よろしく!」
三バカ「ドーモー」
栄子 「帰れ!」
三バカ「あんまりデース!」
__かくして。
イカ娘「やっと落ち着いたでゲソ」
栄子 「いまだかつてない混みだったな」
千鶴 「まほちゃんたちがいてくれなかったらと思うとぞっとするわ。ありがとう」
まほ 「いえ、我々が勝手にやったことですので」
チョビ「にしずみー」
ふと、アンチョビたちがノンアルコールビールが入ったジョッキを人数分持ってくる。
小梅 「これは?」
千鶴 「お礼のしるしよ。おかわりの分もあるから、好きなだけ飲んでちょうだい」
エリカ「あっ、ありがとうございます」
そして、人数分のジョッキが配られる。
千鶴 「それじゃあ、みんな。お疲れ様」
みんな「
???「
チョビ「いやー、しかし結果的に大成功だったんじゃないか?」
栄子 「そうだな。まほさんたちのヘルプがあってこそだったけど、ここまで評判いいとはな」
カル 「それにしても、いつの間にノンアルコールビールや黒ビールを仕入れていたんですか?」
千鶴 「ふふ、昨日のうちに手配しておいたの。お得意の業者さんに頼めばすぐに持て来てくれるのよ」
ペパ 「さっすが千鶴さんっす!」
???「ねえ、ちょっと」
エリカ「それにしても、このノンアルコールビールも美味しいわね。ノンアルコールビールなんて黒森峰以外は大したことないと思ってたのに」
イカ娘「エリカは視野が狭いでゲソ。もっと見解を深めないと副隊長の名が泣くでゲソよ?」
エリカ「アンタに言われたくないわよ!」
???「ねえったら!」
エリカ「ん?・・・・さっきからうるさいわね、誰よ?」
???「んもう!こっち見て話しなさいよ!」
エリカは周囲を見回すが、声の主が見つからない。
???「きーっ!エリカ!わざとやってるでしょ!イカチューシャ、お願いよ!」
イカ娘「うむ」
のしっ
エリカ「うっ!?」
突如エリカの肩に重みがかかる。
カチュ「これでどう!?これでカチューシャを無視するなんて出来ないでしょう!」
イカ娘の触手に持ち上げてもらったカチューシャがエリカの上に肩車で乗っかっている。
エリカ「ちょっ、何勝手に乗ってるのよ!降りなさい!」
カチュ「そうはいかないわ!エリカにはカチューシャの偉大さと存在をもっと覚えさせてあげないといけないようだもの!」
エリカ「別に気付いてなかったわけじゃないわよ!あえてスルーしてただけなんだから!」
カチュ「余計に許せないわ!粛清も追加してあげるわ!」
エリカ「ああもう!いつもの保護者連中はどうしたのよ!」
辺りを見回すと、ノンナとクラーラが遠くの席に座ってこちらを見ている。
__強烈な怒りと殺意にも感じられる禍々しいオーラを放ちながら。
ノンナ「一度ならず二度までも・・・・。カチューシャを肩車しようなどと、身の程を知らずに」
クラー〈粛清を恐れないとは、良い度胸です〉
エリカ「いちゃもんつけないでくれる!?ていうか、見てたならフォローしなさいよ!」
チョビ(大方、無視されて精一杯アピールするカチューシャを見てたんだろうな)
まほ 「それでカチューシャ。先ほど何か言いかけていたようだが」
エリカの肩に乗ったカチューシャに、まほが動じず話しかける。
カチュ「ええ。提案があるのよ」
栄子 「提案?」
次の日。
ノンナ「いらっしゃいませ」
アリー「海の家れもん、プラウダフェア実施中ですだー」
ニーナ「どうぞ寄ってってくだしゃー」
ロシアの民族衣装、サラファンを着こんだノンナたちが料理を運んだりしている。
そんなノンナたちをまほたちは座席から眺めている。
まほ 「まさか、プラウダの奴らがれもんで働きたがるとは」
小梅 「でも実際、働いてみると楽しかったですし。プラウダの皆さんがやってみたくなるのもわかります」
エリカ「ところで、当の言い出しっぺはどこ行ったのよ」
小梅 「あっ、あそこに」
カチューシャは店内が見渡せるポジションに陣取っている。
どこから持ってきたのか、監視台に座って皆を見下ろしている。
客A 「すいませーん」
カチュ「ノンナ!三番テーブルにオーダーよ!」
ノンナ「はい」
客B 「お冷下さーい」
カチュ「ニーナ!一番テーブルにお冷!早くしなさい!」
ニーナ「は、はいー!」
首からぶら下げたメガホンを握り、事あるごとにメガホンで指示を飛ばしている。
イカ娘「カチューシャ、こんないい席で羨ましいでゲソ」
カチュ「ふふん、いいでしょう。カチューシャのための特別席よ!まあ、同志イカチューシャには後で特別に座らせてあげるわ」
イカ娘「おお!楽しみでゲソ!」
栄子 「働けイカ娘!」
プラウダフェアもやはり大盛況で、かなりの大賑わいである。
しかしあらかじめ人数は揃っていることと、ノンナとクラーラを筆頭とした要領の良さで滞りなく客をさばいていく。
磯崎 「よお、お邪魔。おっ、聞いた通り、かわいい子ばっかり!」
どこから聞きつけたのか、磯崎がノンナたち目当てにやって来た。
席に座り、オーダーと聞きに来るのを待っていると__
クラー〈いらっしゃいませ〉
磯崎 「ああ__げっ!?」
磯崎はついこの間自分を投げ飛ばした張本人__クラーラを前にして怯む。
クラー〈ご注文は〉
しかしそのことは忘れたのか気にしていないのか、クラーラは淡々とオーダーを催促する。
磯崎 「え、・・・・あ、ああ・・・・じゃあ、この『カチューシャセット』を」
クラー〈かしこまりました〉
クラーラが去り、一息つく。
磯崎 (はー、びっくりした。まさかあの子が働いてたとはね。それにしても・・・・)
落ち着いた磯崎は周囲を見渡す。
店の中はスムーズに仕事をこなすノンナや、ぱたぱた慌てながらも一生懸命に料理を運ぶニーナやアリーナが目に映る。
磯崎 (みんなレベル高くてカワイイなー。食べ終わったらどの子に声かけようかな)
と、不穏なことを考えていた磯崎の元に、料理を持ったクラーラが訪れる。
クラー〈お待たせしました、『カチューシャセット』です〉
磯崎 「おっ!それじゃ、いっただっきま__えっ!?」
出された料理を見た磯崎は驚愕した。
出されたトレーの上には、焼き立ての黒パン、熱々のボルシチ、揚げたてのピロシキ、ペリメニなど熱い料理が並び、もわっとした熱気が磯崎の顔面を襲う。
磯崎 「えっ、ちょっ、熱っ!?」
クラー「ではごゆっくり」
動揺する磯崎を置いてクラーラは去っていった。
その場には熱々の料理を目の前にどうしようと頭を抱える磯崎が残された。
カチュ「あら!『カチューシャセット』を食べてる人がいるわ!いいセンスしているじゃない!」
イカ娘「『カチューシャセット』でゲソか」
カチュ「ええ!このカチューシャ自らが選んだ、プラウダの美味しい料理だけのセットよ!」
イカ娘「おお!それはお得じゃなイカ!」
カチュ「そうでしょ!?でもなぜかみんな頼まないのよね。あれのおいしさがわからにないなんてみんな舌が貧相なのよ!」
チョビ「無茶言うな」
かくして食べるのに精いっぱいの磯崎は、ナンパする気力も尽き、そのままフラフラと帰っていった。
チョビ「ふー、終わった!」
プラウダフェアも終わり、うーんと背伸びするアンチョビたち。
カチュ「みんなお疲れ様!おかげで沢山の人たちにプラウダの素晴らしさが伝わったはずよ!」
ノンナ「当然です」
ニーナ「ふえー、やっど終わりですかー」
アリー「でも、たまにはこんなことするんも楽すかったです」
千鶴 「今日は本当に助かったわ。こんなに反響があるなんて、さすがプラウダね」
カチュ「ふふん、当然よね!」
カル 「皆さん、お茶が入りましたよ」
カルパッチョたちが人数分の紅茶が入ったティーカップとジャムやスコーンといったお茶菓子や、コーラの入ったグラスを運んできた。
カチュ「あら、気が利くじゃない!それじゃ、早速__」
スプーンでジャムをすくい、ロシア式で紅茶を飲もうとすると__
???「お待ちになって?」
後ろから声がした。
カチュ「あっ、貴女たち!?」
振り向いた先に、ダージリンとケイが席に陣取っていた。
ダー 「そのスコーンはそのジャムととても相性がよろしいんですの。是非今回は聖グロリアーナの作法でいただいてくださいまし」
ケイ 「アハハ、コーラは別に特別なことはないから、普通に一気飲みしてくれていいよー?」
イカ娘「ダージリンにケイじゃなイカ!二人揃ってどうしたのでゲソ?」
ダー 「小耳に挟んだところ、どうやら海の家れもんさんで次々と学園艦の代表料理を振る舞われているというじゃありませんか」
ケイ 「楽しそうだから、是非私たちも参加させてほしいなーって思って!」
チョビ「凄いことになってるな・・・・。黒森峰、プラウダに続きまさかグロリアーナやサンダースまで名乗りを上げるなんて」
ペパ 「れもんの人気って凄いっすねー」
カル 「うん、でもきっと、れもんだけじゃなくて__」
チョビ「ああ、そうだな。きっと__」
アンチョビたちはイカ娘を見返した。
イカ娘「む?」
そして。
ペコ 「本日は、よろしくお願いいたします」
ニル 「海の家のお手伝いなんて初めてで緊張しますけど、精一杯務めさせていただきますね」
アッサ「売れ筋から人気商品を推定して、下ごしらえの必要量をはじき出しますわ」
キルトを着込んだ聖グロリアーナの面々と、
アリサ「料理なら任せて!いつでも振る舞えるように特訓してたんだから!」
ナオミ「その機会がいつ来るかは全くもって不明だがな」
サンダース勢はカウガールに扮して接客することとなった。
栄子 「今回は聖グロとサンダース両校フェアか。英語圏ながら文化が違いそうだな」
ダー 「聖グロリアーナの文化を沢山の方々に広めるいい機会ですわ。私が腕を振る舞いましょう」
ペコ 「!」
ニル 「!」
アッサ「・・・・アンチョビさん、お願いいたしますわ」
チョビ「ああ、任せとけ」
ガシッ
アンチョビがダージリンを羽交い絞めにし、そのまま厨房の外へ持ち上げていく。
ダー 「あら?アンチョビさん、どちらへ参りますの?私、お料理の準備が__」
チョビ「料理は私たちがやるから。お前はみんなに的確な指示を飛ばす指揮官役をやってくれ」
ダー 「あらそうですの。惜しくはありますが、拝命したからには全ういたしますわ」
アンチョビの説得に厨房入りを諦めたダージリンを見て、聖グロリアーナの一同はひっそりと親指を立てた。
ケイ 「よーしエヴリワン!準備は万全かしら!?」
アリサ「ちょ、隊長!?なんですかそのカッコ!?」
ケイはビールの柄がプリントされたチューブトップワンピースを着込んでおり、そのボディラインが強調されている。
ケイ 「あれ?アリサは知らないか。これね、バドガールって言って__」
アリサ「それは知ってますよ!でも、隊長が進んでそんなカッコしなくたって・・・・」
ケイ 「ああ大丈夫よ。さすがに恥ずかしいから、中に水着着込んでるし」
アリサ「そういう問題じゃ・・・・はあ。まあ、気を付けてくださいね」
ケイ 「?うん、わかったわ」
何に気を付けるか分かっていないケイであった。
かくして、海の家れもんと聖グロリアーナ&サンダースのコラボフェアが始まったのだが__
栄子 「限度ってモンがあるだろ!!」
開店時刻となると同時に大量の客が押し寄せ、店の中は超満員。
並びきれなかった客が店の外に長蛇の列を形成してしまっている。
千鶴 「これは想像以上ね。最初からここまで人が来るなんて」
ペパ 「千鶴さん!アレ、もう展開しちゃいましょう!」
千鶴 「そうね」
しばらくして。
カル 「本日特別措置として、野外席を増設しました。こちらでもいいという方は、是非こちらへお願いします」
れもんの前にスペースを確保し、そこの予備のテーブル・イス・パラソルを組み合わせ臨時の野外席を設けた。
栄子 「おお!これなら大分待機人数を減らせるな」
カル 「これはペパロニのアイデアなんですよ」
チョビ「これで結構な人数を一気にさばけるな!やるじゃないかペパロニ!」
ペパ 「へへっ!私だって成長してるんっすよ!」
しかし、座れる人数が増えるということは注文の数も増えるということであり。
ナオミ「フライドチキン&チップス、お待たせしました」
アリサ「お冷お持ちしました__あ、はい、ポテトとコーラ、スコーンとアールグレイですね!え、フォークが足りない!?今お持ちしますので!」
ケイ 「ヘイ!中ジョッキ六つ、お待たせ!・・・・え?四つ追加?サンキュー!」
チョビ「ケイ!余計にオーダー増やすなー!」
ダー 「いかなる時も優雅・・・・」
ペコ 「ダージリン様、それはお客様のティーポットです」
ダー 「あら」
栄子 「はい、三百円のお返しと、いけね、千円札が切れかけてる!」
ニル 「はい、スコッチエッグと、骨付きフライドチキン、コーラのLLサイズとダージリンですね。かしこまりました」
ダー 「呼びまして?」
カル 「違います」
アッサ「鶏肉の消費が予測以上ね・・・・想定した消費量の二倍に達しそうな勢いですわ」
南風 「たのもう!」
イカ娘「たのまれないでゲソ!」
南風 「むっ!?」
何とか回せているものの、いつ瓦解するかわからないほどのピークと化していた。
だが、評判を聞きつけたり口コミで集まる客がまだまだ増え続け、イカ娘たちの疲労もピークに達していた。
栄子 「まずいぞ、このまま続いたら私たちがぶっ倒れる!」
イカ娘「でもこれだけ並んでいるのに追い返したら大騒ぎでゲソ!」
チョビ「くそう、もう少し人手がいれば・・・・!」
ダー 「では」
おもむろにダージリンはがケータイを取り出し電話をかける。
チョビ「ダージリン!この忙しい時に電話なんて__」
ダー 「忙しいからこそ、ですわ。すぐに皆さんの望んだものが到着いたしますわ」
そして。
ローズ「参戦でございますわー!」
ルク 「いいんですね、本当に連れてきちゃって!」
トラブルを想定しお留守番を命じられていたローズヒップと、抜け出さないように見張り役を買っていたルクリリが助っ人としてやって来た。
栄子 「おお、これは助かる!」
ケイ 「ダージリンだけにいい顔はさせないわよー?」
ほぼ同じタイミングに。
車長 「エマージェンシーコールにお答えしました!」
通信手「ウェイトレスさんのバイトならやったことあるよ~」
操縦手「あたし、バランス感覚なら自信あるよ!」
装填手「わー、隊長タイダン!」
砲手 「それどころじゃないでしょ。お手伝いします!」
シャーマンチームも召致に応じ、一気に戦力が増強された。
ダー 「これで戦力差はほぼ埋まりましたわ。あとは優雅に、着実に。飲み干すだけですわ」
ケイ 「さあ、ここがふんばりどころよ!私たちのマーケットガーデン作戦、見せてあげましょう!」
み!」
そして、一丸となり接客に取り掛かった。
???「・・・・」
しかし、そんな一同を見つめる不穏な影があった。
カル 「いらっしゃいませ、二名様ですね」
カルパッチョがお客を案内するために入り口から離れた次の瞬間__!
食逃げ「今だ!っ!」
強引に人を押しのけ、一人の男がレジを介さずそのまま外へ駆けだした。
そのまま男は振り向きもせず東の方へ駆けてゆく。
栄子 「ちょっ!?お客さん!?」
ケイ 「食い逃げだわ!」
チョビ「なんだと!?」
イカ娘「逃がさないでゲソ!」
逃がすまいとイカ娘が触手を伸ばそうとすると__
客A 「キャーッ!」
客B 「置き引きよー!」
イカ娘「!?」
声のした方に振り向くと、女物のバッグを脇に抱えた男が西へ走っていく。
イカ娘「こっちもでゲソか!」
女A 「キャーッ!」
イカ娘「うえっ!?」
女B 「大変、子供が!」
れもんの正面、はるか遠くの沖合いでゴムボートから落ちた子供たちが溺れかけている。
イカ娘(早く捕まえないと逃げられちゃうでゲソ・・・・!でも、どっちを先に捕まえればいいのでゲソ!?というか、あの子たちを先に助けるべきじゃ・・・・)
同時にいろいろ起こりすぎたせいで、触手がテンパり右往左往し始めている。
イカ娘「ああああ、どうすればいいのでゲソ!?」
ダー 「落ち着いて、イカ娘さん」
不意に声に振り向くと、ダージリンが慌てもせずのんびり腰を落ち着かせ紅茶を飲んでいる。
イカ娘「ダージリンさん、何をのんびりしているのでゲソ!そんな場合じゃないでゲソよ!」
ダー 「淑女たるもの、いかなる時も慌てず、優雅に。そして全てを為してこそ聖グロリアーナ戦車道を志す者の歩む道ですわ。ローズヒップ」
ローズ「はいですわ!」
ダー 「今の置き引き犯さんを追いなさい」
ローズ「お任せですわー!」
瞬間、ローズヒップが置き引き犯を追って駆けだす。
ダー 「イカ娘さん、まず最も優先すべきは何かしら?」
イカ娘「・・・・決まってるでゲソ!」
イカ娘は触手を『六本』救助に割り当て、子供たちを助ける。
ダー 「では、次に触手を『一本』、置き引き犯さんに割り当ててくださいまし」
イカ娘「ゲッソー!」
イカ娘の触手が『一本』、置き引き犯に向かって伸びていく。
ダー 「残りの『三本』。それを__」
ケイ 「ヘイ!手配は済んでるわよ!」
振り向くと、悪戯っぽい笑顔のケイたちが立っていた。
食逃げ「ハアッ、ハアッ、へへっ、ここまで逃げればもうついてこれねえだろ。戦車女子っつったって、所詮は女だぜ!」
と、ほくそ笑む食逃げ犯。
そんな走り去る背中を、アリサが双眼鏡で見続けている。
アリサ「距離、測定する?」
ナオミ「あの程度に必要だと思うか?」
アリサ「まさか。__スクイーディ、耳貸して」
イカ娘「ふむふむ・・・・任せるでゲソ!」
ナオミから作戦を伝えられ、ほくそ笑む。
食逃げ「ハッ、ハッ、ハッ・・・・」
走り続ける食い逃げ犯。
そんな彼の背後から迫りくる『モノ』に、まだ気づけてはいなかった。
イカ娘「そろそろでゲソか?」
ナオミ「まだ早い。もう少し、もう__よし、いいぞ、『落とせ』!」
ヒュウウウ___
ナオミの合図と同時に、空中からその『モノ』が食逃げ犯目掛け落下してくる。
食逃げ「ん!?何だ、何だ!?」
不穏な音に気が付き周囲を見渡した時には・・・・もう遅かった。
ドッスーーーン!!
食逃げ「なあああっ!?お、檻っ!?」
食い逃げ犯の頭上から檻が降って来て、一瞬で捕えてしまう。
その檻はイカ娘が『三本』分で作り上げた檻だった。
アリサ「ミッションコンプリート。ドンピシャね」
ナオミ「後はライフセーバーたちに任せればいいだろう」
客C 「あのー、アイスコーヒーください」
ナオミ「かしこまりました」
そしてナオミとアリサはさも何ごとも無かったかのように業務に戻っていった。
そして残る『一本』の先、置き引き犯の方はというと__
置引き「うわあああああっ!?」
ローズ「お待ちなさーい!ですわー!」
逃げる置き引き犯をローズヒップが追いかけている。
__触手の上に乗りながら。
ニル 「あれは、相当な恐怖でしょうね・・・・」
ルク 「背後から猛スピードで触手に乗って自分を追いかけてくる。平気なヤツなどいないだろ・・・・」
栄子 「それにしても凄いバランス感覚だな。触手一本だけ、しかもあんなスピードで追いかけてるのに問題なく乗り続けるなんて」
更に触手に乗りながら、ローズヒップは足 で微妙な方向転換なども知らせている。
それにイカ娘が応じ、どんな方向に逃げようとも正確な方向に触手を伸ばし続けていく。
さながら、それはサーフィンをしているかのようである。
ダー 「当然ですわ。ローズヒップは類まれな戦車乗りとしての才能を持っています。クルセイダーを乗りこなし、瞬時の判断も下せる決断力。繊細な方向指示に、そして姿勢を崩すことのないあの平衡感覚。まさに淑女に相応しい逸材ですわ」
ペコ 「それゆえに、何故あんなにも紅茶を零すのか、不思議でたまりませんね」
離している間に、ローズヒップと置き引き犯の距離はほぼ皆無になった。
ローズ「今ですわ!」
ローズヒップがくっ、と触手を踏み込むと、その勢いのまま触手が砂浜に突き刺さる。
ローズ「とおおおぅ!」
その強力な慣性によってローズヒップが猛スピードで宙に投げ出され__
ドォーン!
置引き「ぐえーっ!」
そのまま勢いよく置き引き犯の背中に着地、そのまま地面に押し倒した。
ローズ「打ち取ったりー、ですわー!」
置き引き犯に乗り上げたまま、ローズヒップは奪い返したバッグを高々と掲げた。
そして__
時間は過ぎ。
イカ娘「あれだけ人がいたのが、嘘みたいでゲソ」
ダー 「為せば成る。為さねば成らぬ、何ごとも」
ペコ 「上杉鷹山ですね」
その後も多少の混雑やトラブルはあったが、ついに全てのお客をさばききることに成功した。
今は千鶴の労いでコーラや紅茶を全員で楽しんでいる。
アリサ「それにしても凄み混みだったわね。いつもああなのかしら?」
栄子 「いや、さすがに特別だけど。姉貴は捌ききれないような混み具合は好きじゃないから、こういうイベントはあんまりやらないんだけどな」
ニル 「何か、特別に入り用だったのでしょうか」
アッサ「きっと事業拡大をなさるおつもりでしょう」
栄子 「いやー、姉貴はあんまりそんな商売っ毛なんだけどな」
ナオミ「まあ、詮索してもしょうがないだろう」
ケイ 「そうね。今はとにかく楽しみましょう!」
細かいことは後回しにし、ただ宴会に興じるケイたち。
だが一人、そんなお疲れ様ムードの中栄子は落ち着かない顔をしている。
栄子 (きっとこれで終わりじゃない。今までのパターンで言えば、残るは絶対・・・・!)
察した栄子がバッと振り返り店内を見渡す。
__が、当然いると思えた人物は見当たらなかった。
イカ娘「どうしたでゲソ、栄子?」
栄子 「ん?ああ、いや・・・・なんでもない」
翌日。
みほ 「へえ、そんなことがあったんですか」
イカ娘「それはもうすごい人だったでゲソ」
麻子 「そんなにか。・・・・昨日寄らないでよかった」
栄子 「てっきり昨日来てると思ってたんだけどな」
華 「昨日はみなさんで七景島シーパラダイスに行っていましたので」
優花里「シロイルカ、可愛かったです!」
沙織 「ね~♪やっぱりぬいぐるみも買って来ればよかった」
ペパ 「てっきりあの流れだと大洗のみんなが居合わせて、最後に大洗フェア!って流れだと思ったんすけどね」
みほ 「うん、そうだね。ちょっとやってみたかったかも」
沙織 「可愛いユニフォーム着て、いらっしゃいませ~♪とか!」
チョビ「いや、それは無理な話だろう」
沙織 「えっ」
みほ 「そ、そうですよね。私じゃどんくさいから、ウェイトレスなんてとても・・・・」
チョビ「ああ、すすすまない!そういう意味じゃないんだ!」
麻子 「まあ、客観的に考えたら『私たち』には無理だな」
華 「それは、何故でしょう?」
千鶴 「有名すぎるから、よね」
横から千鶴がフォローを淹れる。
みほ 「えっ・・・・?」
チョビ「西住たち大洗戦車道メンバーは今や日本中で一番有名な高校生だ。そんな面々で海の家なんてやってみろ」
カル 「来客数はそれこそ跳ね上がりますね」
チョビ「恐らく他校のフェアの来客数を全部合わせた以上の人が殺到する」
イカ娘「絶対死んじゃうでゲソ・・・・」
沙織 「そっか。それじゃ、やるわけにはいかないよね」
優花里「残念ですが、ご迷惑かけちゃいますもんね」
千鶴 「だから、こういう形はどうかしら」
みんな「え?」
数日後。
みほ 「いらっしゃいませ!」
沙織 「海の家れもんにようこそ~♪」
みほたちは大正浪漫風の和メイド服を着込み接客を行っている。
しかし店は混雑はしていない。
なぜなら、店にいるお客は__
ダー 「みほさん、みつだんごとお茶のおかわり、いだだけますかしら」
みほ 「はい、ただ今」
ケイ 「ヘイ、オッドボール!じゃこロッケめんたいチーズバーガー、三つ追加でお願いね!」
優花里「はいはい~!」
カチュ「ちょっと!カチューシャのシラス丼、まだ来てないんだけど!」
麻子 「ほいほい、もうすぐだから」
まほ 「ふむ、これがマウスカツか。・・・・大きいな」
華 「余ったら、私に任せてくださいね」
ペパ 「おっ、なかなかの包丁さばきっすね!」
沙織 「でしょ?へっへ~、特訓したもんね~♪」
各校の隊長をはじめ、多数のチームメイトだけが入店している。
ねこ 「大洗印のノンアルコールギネス、おまたせにゃ~」
エリカ「うわっ、いくついっぺんに持ってきてるのよ!こぼさないでよ!?」
もも 「心配しなくてもこぼしたりしないですもも!」
ぴよ 「試合直後に撃破されても、恨みっこなしぴよ!」
エリカ「やっぱ根に持ってるでしょあんたたち!」
黒森峰(特にエリカ)によくオーダーを運ぶアリクイさんたちに、
カエ 「ひなちゃんの海の家のバイトって、ここだったんだ」
カル 「うん。まだしばらく続けてるから、またぜひ来てね、たかちゃん」
カエ 「うん、もちろん!・・・・ぅ」
エル 「『ここだったんだ、ひなちゃん』」
おりょ「『またぜひ来てね、たかちゃん』」
左衛門「『もちろん!』」
カエ 「お前らーっ!」
三人 「わ~っ」
手伝いに来たのか遊びに来たのかわからないカバさんチーム。
そして__
磯崎 「頼む、入れてくれ!」
そど子「駄目よ!今日は貸し切りなんだから!」
ゴモヨ「部外者は入れちゃダメって言われてるんですー」
磯崎 「あのパラダイスをみすみす見逃したら、漢の矜持に関わるんだ!頼む、行かせてくれ!」
パゾ美「どうみても不審者だね」
そど子「仕方ないわ。あまり手荒な真似はしたくないけど」
ガッ!ガシッ!ガバッ!
磯崎 「な、何をするんだ!は、離せ、離してくれーっ!」
吾郎 「何やってるんだ、あいつ・・・・」
カモさんチームは磯崎の手足を持ち上げ、そのまま連れ去って行った。
今日の海の家れもんは、大洗の戦車道チームが各校からの来客をもてなす、貸し切りとなっていた。
チョビ「さすが千鶴さんだ。こんな解決策を即座に講じるなんて」
千鶴 「みほちゃんたちだけ仲間外れじゃかわいそうだもの。それにうちをみんなの交流の場にしてもらえるなんて、お店冥利に尽きるといいうものよ」
喋りながらも、千鶴は料理を仕上げる。
みほ 「はいお姉ちゃん、ノンアルコールビールお待たせ」
みほが注文を受けたノンアルコールビールを『四つ』まほたちのテーブルに運んでくる。
まほ 「ああ、ありがとう」
そしてそれを各自に配り、一つをみほに差し出す。
みほ 「えっ・・・・お姉ちゃん?」
まほ 「まあ、座れ。一緒に一杯やろう」
みほ 「でも、今は仕事中だし・・・・」
エリカ「何よ、隊長とは飲めないっていうの?」
小梅 「エリカさん、それじゃからみ酒ですよ」
エリカ「うるさいわよ!」
みほ 「・・・・」
みほは少し躊躇っていたようだが、意を決したようにぐいっとノンアルコールビールをあおる。
途端、うえーっと顔をしかめるみほ。
エリカ「全く・・・・相変わらず飲めないの?」
みほ 「うう・・・・苦い。・・・・でも」
小梅 「でも?」
みほ 「・・・・おいしい」
エリカ「・・・・そう」
みほの言葉に、表情の和らぐ黒森峰勢だった。
千鶴 「さあ、これでひと段落付いたわ。アンチョビちゃんたちも、お昼にしてちょうだい」
チョビ「え?」
千鶴 「せっかくみほちゃんたちが来てくれてるんだから。一緒に楽しまなきゃ勿体ないわよ?」
チョビ「でも、私は・・・・」
千鶴 「ね?」
チョビ「・・・・ありがとうございます」
アンチョビはその場でばっとユニフォームを脱ぎ、
チョビ「西住!私はあんきもパスタを頼む」
カルパッチョと一緒に席につき注文をする。
ペパ 「あっ、ドゥーチェずるい!抜け駆けっすよ!」
カル 「ペパロニもいらっしゃい。一緒に食べましょう」
ペパ 「え?でも__」
千鶴 「大丈夫よ。食べていらっしゃい」
ペパ 「ひゃっほーう!」
ペパロニも飛び跳ねながら着席する。
チョビ「イカ娘も来い!伊勢エビの網焼きがあるぞ!」
イカ娘「本当でゲソか!?行くでゲソ!」
イカ娘が目を輝かせながら輪に加わる。
沙織 「はい!イカ娘ちゃんには、焼き立ての伊勢エビ!」
イカ娘「やったー!」
嬉々としてエビにかぶりつくイカ娘。
イカ娘「うーん!やっぱりエビは最高でゲソ!特にこの伊勢エビはおいしいじゃなイカ!」
そんなイカ娘を囲むみほたち。
戦車談議にも花が咲き、和気あいあいとしている。
栄子 「しかし、嵐のような日々だったな」
栄子が激動のフェアを思い出す。
千鶴 「そうね。でも楽しかったし、これで当面の戦車の維持費も確保できたから」
栄子 「あれ、そういえば燃料費とか、姉貴が工面してくれてたんだっけ」
千鶴 「ええ。
栄子 「マジか。言ってくれりゃ私だって出したのに・・・・」
千鶴 「大丈夫よ。さっき言った通り
栄子 「そういや気になったんだけど、
千鶴 「主にイカ娘ちゃんのお給料の一部からよ」
栄子 「ぇ」
千鶴 「戦車道をやりたい、と言ったのはイカ娘ちゃんだもの。だから、全部とは言わないけれど、イカ娘ちゃんのお給料からも少し引いて、それで運用しているの」
栄子 「・・・・それ、イカ娘には?」
千鶴は何も言わず、『しー』と悪戯っぽく口に指をあてる。
その様子に、察した栄子であった。
栄子 「やれやれ・・・・」
呆れたようにため息をつきながら、憐みの目をイカ娘に向けるが、当の本人は気づいていなかった。
イカ娘「戦車道、最高でゲソー!」
二週間ぶりの投稿になってしまいました。
各校も二周目を終え、十校十色編も二話を迎えました。
いよいよ、次の周から新たな展開が訪れる予定です。
展開の順番は自分の筆の乗り具合に任せっきりなので、予定通りにはいかないかもしれませんので、ご了承ください。