侵略!パンツァー娘   作:慶斗

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※形式の都合上、キャラの名前が一部略称になっています。

カエサル→カエ
エルヴィン→エル
おりょう→おりょ
左衛門左→左衛門

ねこにゃー→ねこ
ももがー→もも
ぴよたん→ぴよ


第2話・呼ばれてみなイカ?

お昼のピークでにぎわっている海の家れもんにて。

 

清美 「イカちゃーん」

イカ娘「おお、清美!わざわざ寄って来てくれたのでゲソ?」

 

清美がれもんへやって来た。

 

清美 「うん、今日は練習が早めに切り上がっちゃって。ちょっと顔を見に来たんだ」

イカ娘「わざわざ感激でゲソ!それじゃあ、ここで座るといいでゲソ!」

清美 「うん、ありがとう」

イカ娘「ちょっと待つでゲソ。千鶴に何か飲み物を貰ってくるでゲソ」

清美 「ええっ!?いいよイカちゃん。ちゃんと自分でお金払うから」

イカ娘「硬いこと言いっこナシでゲソ。私たちは親友じゃなイカ!」

清美 「ありがとう。・・・・じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」

イカ娘「任せるでゲソ!」

 

そうしてイカ娘が厨房へ向かうと、

 

左衛門「御免」

 

ちょうど入り口に左衛門左が立っていた。

 

イカ娘「おや、左衛門左じゃなイカ。一人とは珍しいでゲソね」

左衛門「ああ、後の三人は後から来るよ。とりあえず私だけ席を取りにな」

イカ娘「それじゃあそこの席がいいんじゃなイカ?」

 

イカ娘は清美が座っているテーブルのもう一つ奥の空いている席を勧めた。

 

左衛門「では、そうさせてもらおうか」

イカ娘「うむ。注文はみんなが来てからでいイカ?」

左衛門「そうだな。そんなに間は置かないはずだ」

イカ娘「わかったでゲソ」

 

左衛門左は席に向かい、イカ娘は厨房にいる千鶴に声をかける。

 

イカ娘「千鶴ー。清美が来ているでゲソ。何か飲み物もらっていってもいイカ?」

千鶴 「ええ、構わないわよ。清美ちゃん、どのジュースが好きかしら」

イカ娘「聞いてみるでゲソ。おーい、清美ー!」

 

その場で振り向き、声を上げて清美を呼ぶイカ娘。

 

清美 「なあに?」

 

呼ばれて返す清美。

 

左衛門「何だ?」

 

振り向いて返事する左衛門左。

 

清美 「えっ?」

イカ娘「えっ?」

左衛門「・・・・えっ?」

 

一瞬、三人が固まった。

 

イカ娘「・・・・どうして、左衛門左が返事するのでゲソ?」

左衛門(ししししししししまったぁー!!)

 

思わず返事してしまったことに激しく狼狽する左衛門左。

 

イカ娘「む?」

左衛門「い、いや、これはだな、その__」

清美 「?」

 

怪訝そうに見つめるイカ娘と清美たちに、なんとか取り繕うと頭をフル回転させている。

 

左衛門「そう、あれだ!こっちを向いてたから私が呼ばれたのかと思って__」

イカ娘「私はちゃんと清美を呼んだでゲソ」

左衛門「うぐ・・・・」

清美 「イカちゃん、間違えただけなんだから、責めちゃダメだよ」

イカ娘「責めてなんかいないでゲソ。疑問に思ったことを聞いてるだけでゲソ」

左衛門(まずいまずい!このままだと宜しくないことになり得んぞ!)

 

言い訳を続けるたびに泥沼にはまっている感じが抜けない左衛門左。

何を言っても言い返されて紳士そうな気がして、二の句が継げない。

 

イカ娘「じゃあいいでゲソ」

 

はっきりと返ってこない返事に、イカ娘は興味を失ったかのような様子になった。

 

左衛門「おっ!」

左衛門(良かったー、これでもう追及は__)

イカ娘「カエサルたちに聞くことにするでゲソ」

 

その場を去ろうとするイカ娘の肩を、左衛門左は必死に掴み引き留める。

 

左衛門「待て待て待て待て待ってくれ!あいつらに話を振るのは勘弁してくれ!」

イカ娘「だって左衛門左に答えられないなら、あ奴らに聞くしかないじゃなイカ」

左衛門「そんなことあいつらに聞いてみろ!当分の間ネタにされてからかわれる!」

イカ娘「私に言われてもしょうがないじゃなイカ」

左衛門「ううう・・・・」

 

これ以上胡麻化しても良くない方向に向かってしまうと思った左衛門左は、ついに観念した。

 

左衛門「・・・・き、清美・・・・」

イカ娘「え?」

清美 「えっ?」

左衛門「私の名前は、清美・・・・。『杉山清美』なんだ」

清美 「ああ、それで・・・・」

 

清美が驚きながらも納得した顔をする。

 

イカ娘「何を言ってるでゲソ。お主は左衛門左じゃなイカ?」

左衛門「いや、それはソウルネームというか、魂を共有したもの同士の呼び名というか・・・・」

イカ娘「・・・・?」

 

事情を知らない者に改めて説明するとなると恥ずかしいのか、少し顔を赤らめながらごにょごにょと説明する。

 

左衛門「言ってしまえば、あだ名だ」

イカ娘「なるほど、そうだったのでゲソね」

清美 「でも本当にびっくりしちゃった。こんな身近に名前が同じ人がいるなんて」

左衛門「ははは・・・・」

イカ娘(ソウルネーム、とやらを名乗っている人間は、本名を呼ばれることを極端に嫌がるのでゲソか。これは使えそうでゲソね・・・・!)

 

二人の気付かない所で悪い笑みを浮かべるイカ娘。

しばし清美と左衛門左は談笑し、すっかり打ち解けていた。

 

清美 「じゃあ左衛門左さん、また会って下さいね」

左衛門「うむ!また関ヶ原について存分に語ろう!」

清美 「イカちゃんも、またね。今度は侵略部のみんなも連れてくるからね」

イカ娘「うむ!楽しみに待っているでゲソ!」

 

清美は笑顔で二人に手を振って帰っていった。

 

左衛門(ふう、名前がばれた時はどれだけからかわれるか焦ったけど、いい子でよかったな)

 

清美がいなくなって、左衛門左は安堵の息をついた。

そんな左衛門左の肩を、イカ娘がわしっと掴んだ。

 

イカ娘「さて、左衛門左よ。少し聞きたいことがあるでゲソ」

左衛門「ぇ」

 

その時左衛門左から見たイカ娘の目は、怪しくキュピーンと光っているように見えた。

そしてまたしばらく経ってから。

 

エル 「おお、取っといてくれたか。すまないな左衛門左だけ行かせて」

 

遅れてやって来たカバさんチームの三人がれもんへやって来た。

 

おりょ「ほら、行きつけにラムネ買ってきたぜよ」

 

おりょうが笑顔でテーブルにラムネのビンを置く。

 

左衛門「ああ、すまない・・・・」

カエ 「?どうした、元気ないぞ?暑さにやられたか?」

左衛門「いや、そういう訳じゃないんだが・・・・」

カエ 「?」

左衛門「その、・・・・な、実は・・・・」

 

次の瞬間、左衛門左は座ったままテーブルに両手を付き、土下座のように頭を深く下げた。

 

左衛門「先に謝らせてくれ!すまん!」

おりょ「ど、どうしたぜよ急に!?」

カエ 「何かあったのか?」

エル 「頭を下げるなんてお前らしくないぞ?そら、頭を上げろって__」

 

そんなエルヴィンたちの背後から、イカ娘が歩み寄ってきた。

 

イカ娘「ようやく来たでゲソね、里子」

エル 「え」

 

松本里子(エルヴィン)は思いがけない一言に動揺した。

 

イカ娘「武子もよく来たでゲソ、まあそこに座るといいじゃなイカ」

おりょ「ぜよ!?」

 

野上武子(おりょう)は不意の一撃に驚嘆した。

 

カエ 「おい、なんでイカ娘が私たちの本名を呼んでいるんだ!?」

 

思いもよらぬ事態に左衛門左に詰め寄るカエサル。

 

左衛門「すまん、私が教えたんだ・・・・」

カエ 「んなっ!?何でそんなことをした!?」

左衛門「すまない・・・・!だがあのままでは、私一人が晒しものになってしまいかねなかったんだ!」

エル 「一体何があった!?」

イカ娘「まあ、落ち着くでゲソ。砂漠の狐ともあろうものが、この程度でうろたえてはいかんでゲソよ?ナポレオンの再来と言われるほどの戦略家ならば、もっと堂々と事態に対応すべきじゃなイカ?」

エル 「やめろー!いちいち解説挟んでくれなくていいから!」

 

エルヴィンは真っ赤になって頭を抱え込みながらぶんぶん振っている。

 

おりょ「イカ娘!いくらお主でも踏み込んでいい領域といかん領域が__」

イカ娘「竜馬を名乗らず奥さんの方を名乗るとは、謙虚なことでゲソ。竜馬になりたいのではなく、添い遂げたいという乙女心の現れじゃなイカ?」

おりょ「ぐはぁっ!」

 

おりょうも顔を赤面させながらテーブルにもたれかかる。

 

カエ 「エルヴィン!おりょう!なんてことだ、あっという間に三人も手中に収められてしまうとは・・・・!」

イカ娘「ふっふっふ、私の手にかかればこれくらいの侵略はお手の物でゲソ」

 

カバさんチームの実名を武器に立ち回るイカ娘の前に、カエサルが立ちふさがる。

 

カエ 「しかし私は負けんぞ!カバさんチームのリーダーとして、実名を晒されることくらいで狼狽えるほどやわな心はしていない!」

イカ娘「たかちゃん」

カエ 「ひひゃあぁ!?」

 

予想を上回る変化球に、鈴木貴子(たかちゃん)も大きくくのけぞる。

 

イカ娘「可愛い呼び名でゲソね。ローマ軍人の名を名乗るよりよっぽどピッタリでゲソ」

カエ 「お前、なぜそのあだ名まで・・・・はっ!?」

 

カエサルが向けた目線の先では、左衛門左が両手を前に会わせていた。

 

左衛門「すまん」

カエ 「もんざああああああ!」

イカ娘「こんな可愛いあだ名なら、ぜひみんなに広めてあげるべきじゃなイカ!」

カエ 「か、勘弁してください・・・・!」

 

そして、カバさんチーム全員が陥落した。

その後。

 

左衛門「い、いらっしゃいませー・・・・」

おりょ「二名様ですね?あちらでどうぞせよー」

エル 「ありがとうございました、またお越しくださいー」

カエ 「はい、はい、焼きそば二つと、ビール中ジョッキ二つ、ですね」

イカ娘「ほらほら、もっときびきび働かなイカ!」

カエ 「くっ!」

 

カバさんチームの面々は本名とあだ名を言いふらさないという約束で、海の家れもんの臨時バイトとしてイカ娘を手伝うことになった。

四人ともれもんTシャツを身に付け、不慣れながらも業務をこなしている。

 

イカ娘(これは・・・・思った以上の効果でゲソ!この手を使えば、私の配下をもっと増やせるんじゃなイカ!?)

 

接客をカバさんチームに押し付け、イカ娘は外へ抜け出した。

 

イカ娘「さあ、次の獲物を探しに行くでゲソ!」

 

時同じくして、由比ヶ浜の浜辺にアリクイさんチームの面々が水着姿でパラソルの下でのびていた。

 

ねこ 「太陽さんさん・・・・」

もも 「熱い砂浜・・・・」

ぴよ 「まさに灼熱地獄・・・・」

 

そんなグロッキー状態のアリクイさんチームのもとに、イカ娘が現れた。

 

イカ娘「三人ともどうしてこんなところで寝ているのでゲソ?」

ねこ 「おや、イカ娘どの・・・・」

ぴよ 「せっかく海に来たので、海水浴に来たのでぴよ・・・・」

もも 「いい天気だもも・・・・」

 

言葉と裏腹に三人は横になったまま微動だにしない。

 

イカ娘「全然泳いでないじゃなイカ」

もも 「いや、何とかここまでたどり着けたのはよかったももの」

ねこ 「しかしそこで我等スタミナ切れを起こしたのですにゃ~」

ぴよ 「筋力は鍛えても体力は皆無だったのを忘れてたぴよ・・・・」

イカ娘「せっかく海に来たのに寝てるだけなんてもったいないでゲソ。海でしか出来ないことをするべきでゲソ」

ねこ 「それはもっともでありますが~・・・・。いやしかし、こんな状態の私たちに何ができるのでありますかにゃー・・・・」

イカ娘「ふむ、ならばいい私に提案があるでゲソ!」

 

しばらくの後、三人は砂浜に埋まっていた。

正確には、砂浜に横になったところにイカ娘が砂をかけ、首から上以外を全部砂に埋めている状態である。

 

イカ娘「どうでゲソ?」

もも 「おお~、これは~!」

ぴよ 「アニメにもよくあるシチュエーション、まさに王道ぴよ!」

ねこ 「さすがイカ娘殿、海を知り尽くしておりますにゃー」

 

砂浜のお約束、『わ~い埋めちゃえ~』を実践され、海に来たことを実感しているアリクイさんチーム。

そんな三人が惚けてる所に、イカ娘が歩み寄る。

そしてイカ娘はねこにゃーの耳元に近づき、

 

イカ娘「猫田ごにょごにょ・・・・」

 

ねこにゃーの本名を本人にだけ聞こえるようにつぶやいた。

 

ねこ 「!イカ娘殿、どこでボクの名前を!?」

イカ娘「ふっふっふ、私にかかればお主らの名前を知ることなど造作もないことでゲソ!」

 

イカ娘は三人が埋まりながらのんびりしている隙に、荷物から生徒手帳を抜き出して名前を調べていたのである。

 

イカ娘「ねこにゃーだけじゃないでゲソ。ごにょにょ、もも・・・・」

もも 「もも~!?」

イカ娘「ぴよ・・・・ごにょごにょ」

ぴよ 「ぴよよよ~!?」

 

続くももがー、ぴよたんも本名を握られ、顔色が変わる。

 

イカ娘「三人とも立派な名前がちゃんとあるじゃなイカ。わざわざ違う名前なんて語らずに、堂々と自分の名前を名乗ればいいでゲソ!」

ねこ 「いや、本名を名乗らないのも、ネットゲーム友だちのルールであって__」

イカ娘「なら私が代わりにみんなに広めてやるでゲソ!」

ねこ 「やめてください~!リアルネーム拡散は生死に関わる~!」

もも 「特定されちゃうもも~!」

ぴよ 「顔バレからの家凸なんて悪夢ぴよ~!」

 

砂から抜け出して、何とかイカ娘を止めようと試みるが__

 

ねこ 「う、動けないにゃ~・・・・!」

ぴよ 「私たちの力がびくともしないぴよ!?」

もも 「もんもぉ~~~っ!!ふぬぅ~~~!」

 

こんなこともあろうと、イカ娘ががっちりと三人を埋めた砂を固めていたのである。

 

イカ娘「ふっふっふ、私の言うことを聞くというのなら、考えてやらんこともないでゲソ」

 

__そして。

 

ねこ 「お手伝いに来ましたにゃ~」

もも 「なんなりと申しつけてくださいもも~」

ぴよ 「お料理をたくさん持つくらいならできるぴよ!」

 

海の家れもんのアルバイトに、アリクイさんチームが合流した。

 

左衛門「被害者が増えていってる・・・・」

カエ 「そろそろ止めないと、取り返しがつかなくなるぞ!」

エル 「しかし今の我等では、イカ娘を止められるかどうか・・・・」

おりょ「下手を打てば被害は拡大するばかりぜよ」

 

自体をどうにかしようと頭を悩ませるカバさんチームに、

 

千鶴 「私に任せてもらえないかしら」

みんな「え?」

 

千鶴が声をかけた。

その頃、二度の成功に味を占めたイカ娘はまだ次の獲物を探し回っていた。

 

イカ娘「たしか大洗には、まだあだ名で呼ばれているチームがいたはずでゲソ。そやつらも手中に収めれば、大洗は私のもの同然でゲソ!」

そど子「あら、イカ娘さんじゃない。どうかしたの?」

 

砂浜を歩き回っていたイカ娘に、今度はカモさんチームのメンバーが居合わせた。

浜辺にいるにも関わらず、そど子たちはきちんと大洗の制服を着ている。

 

パゾ美「お店にいなくて大丈夫?」

ゴモヨ「私たちも後で食べに行くよ~」

イカ娘「後とは言わず、ぜひ今から来るでゲソ。今ならアンツィオとの特別コラボメニューがあるでゲソ!」

そど子「お誘いは嬉しいけど、私たちはまだ風紀委員として付近を巡回しなければいけないの。自分の都合を優先にはできないわ!」

イカ娘「浜辺と海の巡回は吾郎たちがやってるじゃなイカ。お主たちがやらなくてもいいんじゃなイカ?」

そど子「私たちがしているのは、大洗のみんなの風紀を守るための巡回よ。海に遊びに来ているからってハメを外しすぎて大洗の生徒としての評価や誇りを落とさないように指導しないといけないのよ」

イカ娘「ふむ。さすが園みどり子さんは真面目でゲソね~」

そど子「!!あなた・・・・!」

 

会話にさらりと自然にそど子の本名を混ぜて呼ぶイカ娘。

急に本名を呼ばれ、そど子は驚きで目を見開く。

 

イカ娘(ふっふっふ、これでこやつも私の言いなりに__)

 

と、ほくそ笑んでいたイカ娘だったが、

 

そど子「ありがとう!あなたはちゃんと本名で呼んでくれるのね!?」

イカ娘(逆効果!?)

 

そど子は笑顔を浮かべ、キラキラした目でイカ娘の手を握った。

 

そど子「いくら言ってもみんなしてそど子そど子そど子、もう誰も私の本名を覚えてないのかと思ったわ!」

ゴモヨ「私たちも呼んでるけどね」

パゾ美「この場合は愛称と判断してるのかもよ?」

ゴモヨ「線引きが難しいね」

そど子「とにかく!感激だわイカ娘さん!あなたのような子が増えれば、きっとこの海岸の風紀は守られていくわ!これからもよろしくね!」

イカ娘「ど、どういたしましてでゲソ・・・・?」

 

遠くまで手を振るそど子と別れ、イカ娘は腕を組み頭を傾げながら帰路についていた。

 

イカ娘(うーむ、あやつは例外だったでゲソか・・・・)

イカ娘「だが先の二つだけでも大成功したのだから大収穫なのでゲソ!さて、あ奴らはしっかり働いでいるでゲソかねー?」

 

イカ娘がれもんに戻ると、カバさんチームの面々がイカ娘を待ち構えていた。

 

イカ娘「お主たち、どうしたでゲソ?仕事はまだ終わってないでゲソよ?」

おりょ「いやなに。我々、あの後お互いに話し合ったんぜよ」

イカ娘「何をでゲソ?」

エル 「せっかくあだ名と本名の両方を知った仲になったんだ、お前にもあだ名をつけてあげようと思ってな」

 

先ほどとは打って変わり、強気で不敵な姿勢のカバさんチームにやや怯むも、イカ娘は余裕を崩さない。

 

イカ娘「ふっふっふ、それで変なあだ名をつけてお返ししようというつもりでゲソか?残念でゲソねー。私はそれくらいで怯んだり撤回したりなんて__」

左衛門「松前」

イカ娘「ゲソ!?」

エル 「カラマリス」

イカ娘「うぇっ!?」

おりょ「塩辛」

イカ娘「ひぃっ!?」

カエ 「カラマリ・リピエニ」

イカ娘「あわわわわわわわ」

 

次々と挙げられるあだ名に怯み、おびえ、すくみ、涙目になるイカ娘。

 

イカ娘(どういうことでゲソ!?どういう意味なのかわからないのに、ものすごい悪寒が襲ってくるでゲソ!)

左衛門「これのどれかをみんなに広めようと思うのだが、イカ娘としてはどれがいい?」

 

選択を迫るように近づいてくるカバさんチームたちに、

 

イカ娘「ご、ごめんなさいでゲソー!もうあだ名でからかったりしないから、許してくれなイカー!?」

 

イカ娘はついに降伏し、その場で土下座した。

その様子に、左衛門左は安堵の息をつく。

 

カエ 「効果抜群だったな」

おりょ「そりゃ自分が料理されると思ったら恐怖ぜよ」

エル 「しかし流石千鶴さんだな、イカ娘を制する最善の手を知り尽くしている」

左衛門「うむ。お陰で我等も解放されたわけだが__」

イカ娘「ごめんなさいでゲソごめんなさいでゲソごめんなさいでゲソ~・・・・!」

 

イカ娘はまだ涙ながらに土下座と謝罪を続けていた。

 

おりょ「ちと、効きすぎたぜよ・・・・」

左衛門「うむ。あとでエビチャーハンでも奢ってあげるか」

カエ 「ともあれ、我々は解放されたわけだ。おーい、ねこにゃー!解決したからもうバイトしなくてもよくなったぞー」

 

カエサルがアリクイさんチームに声をかけるが、

 

もも 「焼きそば八人前お待たせもも!」

客A 「おお、凄い!一度に全部運んできた!?」

ぴよ 「ぴよっと!生ビール十人分、お持ちしましたぴよ」

客B 「うわっ、すごい!」

ねこ 「何だか、労働の喜びに目覚めた気がするにゃ~!」

 

持ち前の腕力を生かし業務をこなす三人は、新鮮な体験と店に貢献していることに充実感を見出していた。

 

おりょ「新しい道を見出してるぜよ」

エル 「・・・・何だか楽しそうだから、あのままでいいか」

左衛門「・・・・そうだな」

 

その後。

 

そど子「ふんふんふ~ん♪」

 

そど子は鼻歌交じりにれもんへ向かっていた。

 

ゴモヨ「そど子、ご機嫌だね」

パゾ美「そんなに海の家で食べるのが楽しみなのかな」

ゴモヨ「それもあるだろうけど、イカ娘ちゃんがちゃんと名前呼んでくれるからそれが気分いいんじゃないかな?」

パゾ美「そういうものなのかな?私たちもちゃんと名前で呼んだ方がいいのかな」

ゴモヨ「私たちは、そど子がそう呼んでほしいって言ってきたらでいいんじゃないかな」

パゾ美「そうだね」

 

やがて、カモさんチームはれもんへ来店した。

 

そど子「お邪魔するわ!お誘いに応えて寄らせてもらったわイカ娘さん!」

 

心高らかに声をかけてきたそど子に、

 

イカ娘「おお、そど子じゃなイカ。よく来たでゲソ!」

 

イカ娘はあだ名で返した。

 

そど子「なんでよ!?」




ようやくそれぞれの二話目以降に着手し始めることができました。

各校の二話目以降を書くとともに、もう一つ別の形式も考えています。
実行できるのはいつのタイミングになるかはいまだ不明ですが、出来るようになったらそちらも是非宜しくお願いいたします。

戦車道とイカ娘たちの夏はまだまだ終わりません。

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