侵略!パンツァー娘   作:慶斗

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※形式の都合上、キャラの名前が一部略称になっています。

アリーナ→アリー
カチューシャ→カチュ
クラーラ→クラ
プラウダ生A、B、C..→プラA、B、C..
プラウダ生全員→プラ生

イカチューシャ→イカチ


※〈〉内の台詞は、全てロシア語で話しているとご解釈ください。


※この作品は、方言を話される方々を否定・侮辱する気持ちは一切ございません。


第3話・誇らなイカ?

イカチューシャのプラウダ生活、二日目。

プラウダ学園艦はイカチューシャを迎えた後針路を北に取り、外ではちらほら雪も降り始めていた。

朝食を食べ終えたイカチューシャは、校舎の中を一人で探検して回っていた。

 

ニーナ「あんれ?イカチューシャさんだあ」

アリー「ほんとだな」

 

向こう側からニーナとアリーナが歩いてきた。

 

イカチ「お主たちは、たしか・・・・」

ニーナ「はいー、戦車道チーム所属、ニーナですだ」

アリー「同じく、アリーナですだ」

イカチ「ああ、そうだったでゲソ」

ニーナ「イカチューシャさん、どっか向かうんで?」

イカチ「うむ、カチューシャたちは何やら手続きとやらで忙しくなるそうでゲソから、一人で見て回ろうと思ってたのでゲソ」

アリー「すったら、私たちが案内しますでさー」

イカチ「む?いいのでゲソか?」

ニーナ「はいー。ちびっ・・・・オホン、カチューシャ隊長にも、みんなでイカチューシャさんの助けになんなさい、といわれてますしゃー」

アリー「わだしたちでわがる範囲でなら、何だって案内とお答えしますでさ」

イカチ「おお、それは助かるでゲソ。それじゃあ・・・・」

 

三十分後。

 

アリー「あんのトロリーバスに乗りますんで」

イカ娘「おお!ま四角で何だか強そうでゲソ!」

ニーナ「んだなぁー。どことなくKV-2に近いもんを感じるだなー」

 

イカチューシャ一行はプラウダ校を出て、市街地観光に出かけることとなった。

市街地に向かうため、停留所でトロリーバスに乗る。

 

イカチ「おお、中はあったかいでゲソね」

ニーナ「プラウダは寒いとこに多くおるんで、バスとかもあったがくするように出来てるんでしゃー」

 

すぐにバスが発車し、イカ娘は窓の外を見る。

 

イカチ「おお、どんどん進んでいくでゲソ!」

ニーナ「そういえば、イカチューシャさんは倉鎌に住んどると言ってただね」

イカチ「うむ!海から上がって来た時、たどり着いたのが倉鎌だったのでゲソ」

アリー「海からで?」

イカチ「海からでゲソ。私の出身は海、育ちも海でゲソ。全ての命が生まれ、育まれる海。そこで生まれ育ったことを、私は誇りにしているでゲソ」

アリー「はー」

ニーナ「やっぱイカチューシャさんはただもんじゃねえでねなあー」

イカチ「それほどでもないでゲソ。それで、お主たちの生まれはどこでゲソ?プラウダでゲソか?」

アリー「いんえいえ、わだしたちの生まれは青森で。カチューシャ隊長たちは北海道出身、クラーラさんはロシア出身でさー」

イカチ「ほー。みんな仲がいいから、てっきり一緒の生まれかと思ってたでゲソ」

ニーナ「みんな生まれは違っても、こうしてプラウダに集った仲間だー。生まれが同じだけより、よっぽど強い繋がりがあるんだべ」

イカチ「いいことでゲソ」

 

かくして、おしゃべりをしているうちにバスは賑やかな地域に到着した。

 

ニーナ「さあ着いたべ。イカチューシャさん、どっか見たい場所はあるかー?」

イカチ「うーむ、そうでゲソね・・・・。まずは__」

 

周囲を見回すイカチューシャ。

ふと、何かに目を止めた。

 

イカチ「あそこにいってみるでゲソ!」

 

と、イカチューシャはある建物へ向けて一目散に駆け出した。

 

アリー「あっ、イカチューシャさん!」

ニーナ「一人で動いたら迷子になるべー!」

 

慌てて追いかける二人。

 

イカチ「おお・・・・!」

 

イカチューシャは、室内スケート場を覗いている。

ガラス張りになっているスケート場は、外からでも中でスケートをしている人が見えるようになっていた。

 

アリー「あー、屋内スケート場だあなあ」

イカチ「プラウダにもスケート場があったんでゲソね」

ニーナ「おんや、イカチューシャさん行ったことあるんだべか」

イカチ「うむ!前に栄子たちと行ったことがあったのでゲソ」

アリー「そうだったんだべか。プラウダでもスケートは人気なんで、冬以外でもスケートする人は多いんじゃ」

 

イカチューシャはガラスにへばりついて中を覗き続けている。

 

アリー「・・・・イカチューシャさん、入ってみますっぺか?」

イカチ「!入っていいのでゲソか!?」

ニーナ「寒いのが特別苦手じゃなきゃ大丈夫だぁー」

イカチ「大丈夫でゲソ!」

 

目を輝かせるイカチューシャ。

かくして一行は入場し、料金を払いスケート靴を借りた。

寒さ対策に厚めのダウンジャケットも借りておいた。

 

イカチ「よし!準備完了でゲソ!いざ!」

 

ひらり、とスケートリンクに舞い降りるイカチューシャ。

 

ニーナ「あっ、イカチューシャさん!あぶねえ!」

イカチ「へ?」

客  「どいてどいてー!」

 

シュンッ!

 

次の瞬間、すごい勢いで何かが脇を通り抜ける。

 

イカチ「うわああああ!」

 

咄嗟の出来事に驚き、一回転して尻もちをつくイカチューシャ。

慌てて駆け寄るニーナとアリーナ。

 

ニーナ「イカチューシャさん!大丈夫だやか!?」

イカチ「うむ、転んだだけでゲソよ」

アリー「それは何よりじゃー」

イカチ「それにしても、今のは何でゲソ」

ニーナ「あれは、スピードスケートをしてる人たちだべ」

イカチ「スピードスケート」

アリー「あんな風に、とにかくスピードを出して競争する種目のことだべ。上手い人になるととんでもないスピードが出るんだぁ」

イカチ「ふむ」

 

見よう見まねでスピードを出そうと構えるイカチューシャ。

しかし__

 

ズデン!

 

イカチ「あうっ!」

 

すぐにバランスを崩し、尻もちをついてしまう。

 

イカチ「うう、難しいでゲソ・・・・」

アリー「スピードスケートと普通に滑るんとじゃ、やり方が違うんでしゃ」

ニーナ「私たちもまだあんなにスピードは出せないべ」

イカチ「ふむう・・・・」

 

名残惜しそうにスピードを出している人たちを見つめていたが、諦めて普通に滑ることにした。

しばらくして。

 

イカチ「ふう、いっぱい遊んだでゲソ!」

アリー「ありゃ、いつの間にかお昼になっとるべな」

ニーナ「そろそろお昼にいがねが?」

イカチ「そうでゲソね。言われてみればお腹も減ってきたでゲソ」

 

かくしてスケート場を出たイカチューシャたち。

食べるところを探しに繁華街へ向かっていると__

 

イカチ「・・・・?くんくん、くんくん」

 

イカチューシャが鼻をすんすんさせはじめる。

 

ニーナ「イカチューシャさん?」

イカチ「何だか、凄くいい匂いがするでゲソ!」

 

今度は匂いにつられて駆けだすイカチューシャ。

 

ニーナ「あ!イカチューシャさん!またでか!」

アリー「待ってくだしゃー!」

 

そして。

 

イカチ「おおおおおお!」

 

カチューシャが目を輝かせる。

そこは、プラウダ生鮮魚介センターだった。

店頭では店員らしき人たちが網に乗せた魚介類を直火で焼いている。

その網の上には、大きなカニや串に刺されたホタテやアワビ、そしてエビが所狭しと並べられている。

 

イカチ「・・・・!」

 

イカチューシャは網焼きのエビに目を奪われ、大量のよだれを垂らしてしまっている。

 

ニーナ「ああ、網焼きだか。ここの生鮮センターはプラウダでも有名なお店だべな」

アリー「相変わらずうまそうだべ」

イカチ「決めたでゲソ!今日のお昼はここでゲソ!」

ニーナ「即決だあ!」

アリー「まあ、たまにはええべ。すんませぇーん」

 

かくしてイカチューシャはエビの大盛り、ニーナは貝多め、アリーナは魚多めに皿に盛った。

 

アリー「いただきまーす」

ニーナ「いただきますー」

イカチ「いただくでゲソ!」

 

イカチューシャは幸せそうにエビをほおばり始める。

 

ニーナ「イカチューシャさん幸せそうだー」

アリー「ほんとエビ好きなんだべなあ」

イカチ「当然でゲソ。エビはこの世で一番おいしいのでゲソ!」

アリー「この世ときだがあー」

ニーナ「でもごのサザエも負けてはねえ。私はこれが一番おいしいんだべ」

イカチ「ふむ?・・・・一口貰ってもいいでゲソ?」

ニーナ「構わんでよー。はい、あーん」

イカチ「あー。・・・・はむ(もぐもぐ)」

ニーナ「どうかー?」

イカチ「うむ!これもおいしいでゲソ!」

ニーナ「そうじゃろ?」

イカチ「エビの次にはおいしいんじゃなイカ?」

ニーナ「ぬぬ」

アリー「このイワシだって捨てがたいですだ。はい、あーん」

イカチ「あーん(もぐもぐ)」

アリー「・・・・」

イカチ「うむ、これもおいしいでゲソ!」

アリー「エビの次にでか?」

イカチ「うむ!」

アリー「むむ」

 

そうして和気あいあいとお互いに食べさせあう一同。

 

ニーナ「いやー、それにしても、イカチューシャさんはほんといい人だなあー」

イカチ「?どこがでゲソ?」

ニーナ「だって、私たちこんな訛ってるのに、顔色一つ変えずちゃんど会話してぐれるんだけえな」

アリー「んだー。人によっては、『何言ってんだかわかんない』とか、色々言われだりもすんだけんど」

イカチ「?だって、どこも変なところなんてないじゃなイカ。ちゃんとした日本語で話せているでゲソよ?」

 

そもそもの会話の論点がわからない、という様子のイカチューシャ。

 

ニーナ「・・・・。何だか、カチューシャ隊長がイカチューシャさんを気に入ってるワケ、わがったような気がすんな」

イカチ「そうでゲソか」

 

すると、ニーナのケータイが鳴り始めた。

 

(着信音:カリンカ)

 

おもむろにケータイを取り出し、画面を見ると、発信はカチューシャからだった。

 

ニーナ「カチューシャ隊長から着信だー」

アリー「どうしたんだべか。急な用事か?」

ニーナ「はい、もしもし?」

 

ケータイに出るニーナ。

 

カチュ『ちょっとニーナ!今どこにいるの!?』

ニーナ「へえっ!?」

 

出た瞬間飛び出すカチューシャの怒号に狼狽えるニーナ。

 

ニーナ「い、今どこにって・・・・市街近くの生鮮センターですんけど・・・・」

カチュ『はあ!?今日はお昼過ぎに他校との練習試合があるから校内にいなさいって昨日言ったでしょう!』

ニーナ「あっ!」

 

言われて思い出したニーナが顔面蒼白になる。

ケータイから漏れた声を聞いたアリーナも同じく真っ青になる。

 

ニーナ「す、すいませぇん!急いで戻りますんで!」

カチュ『当然でしょ!クロテンより早く走って帰ってきなさい!』

ニーナ「はいいい!」

 

カチューシャの怒号に縮こまりながらケータイを切るニーナであった。

 

ニーナ「はあっ、はあっ、はあっ・・・・!」

イカチ「へえ、へえ、へえ・・・・」

アリー「す、すいません、今、戻りました・・・・」

 

電話が終わってからすぐに駆け出し、イカチューシャたちは校舎に戻って来た。

戦車倉庫には怒りに満ちた眼差しのカチューシャと、絶対零度の凍るような視線のノンナとクラーラがいた。

涙目でガタガタ震えるニーナとアリーナ。

 

カチュ「このカチューシャを待たせるだなんて、二人とも随分と偉くなったものね・・・・!」

 

カチューシャは上から見下ろす目線にするためか、T-34/85の上に立って見下ろしている。

ノンナたち以外にもプラウダ戦車道チームのメンバーがいたが、みんな口を挟めずにいた。

それはニーナたちを見捨てる訳ではなく、庇いたいのだがカチューシャたちが怖すぎて一歩が踏み出せずにいるのである。

 

アリー「あ、あんの、ほほほ、ほんに申し訳__」

カチュ「ノンナ。二人にはどんな罰が相応しいかしら」

ノンナ「こうもカチューシャに恥をかかせたのです。白鳥の湖40ルーブルはいかがでしょう」

 

※雪の降る野外ステージで40分踊り続ける刑。

 

ニーナ「ひいい!?」

クラ 「生ぬるいですね。ツンドラでシンクロナイズドスイミング60ルーブルが妥当でしょう」

 

※寒中水泳60分の刑。

 

アリー「あわわわわわ・・・・!」

カチュ「どっちもいい提案ね。じゃあ__」

イカチ「待ってほしいでゲソ!」

カチュ「イカチューシャ?」

 

二人に刑が言い渡される直前、イカチューシャが割って入る。

 

イカチ「二人はずっと私にプラウダを案内してくれていたのでゲソ!だから二人が外に出てしまったのは私のせいなのでゲソ!原因は私にあるのでゲソ!」

ノンナ「イカチューシャ」

カチュ「貴女が二人を庇うのは素晴らしいことよ。だけど、二人は言われたことを守らず、カチューシャに背いたの。背任には罰を与えなければ、他の者に示しがつかないわ!」

イカチ「それなら、一緒に遊んでた私も一緒に罰を受けるでゲソ!」

クラ 〈イカチューシャ様、それは__〉

イカチ「一緒に遊んでくれた二人が罰を受けて私だけ逃れるなんて耐えられないでゲソ!ダンスでも水泳でもなんでもやってやるでゲソ!」

ニーナ「イカチューシャさん・・・・」

 

二人は目に涙を浮かべている。

ふう、とため息をつくカチューシャ。

 

カチュ「・・・・罪を犯していないイカチューシャまで一緒に罰したら、それこそカチューシャの名折れよ。・・・・いいわ、今日の所はイカチューシャに免じて許してあ げる。でも次は無いわよ、いいわね二人とも!」

二人 「はっ、はいいい!」

カチュ「わかったらさっさと戦車の点検を始めなさい!」

ニーナ「はいい!」

アリー「急いでやりますだ!」

 

ニーナとアリーナはイカチューシャとカチューシャに礼をしてからKV-2の元へ駆け出していった。

 

イカチ「すまなかったでゲソ、カチューシャ。今日練習試合があったなんて知ってたら二人に案内は頼まなかったのでゲソが」

カチュ「イカチューシャに非は無いわ。そもそも二人が予定を忘れていなければこうならなかったんだもの」

イカチ「カチューシャが寛大で良かったでゲソ」

カチュ「ふふっ、そうでしょう!カチューシャの心はロシア平原よりも広いのよ!」

 

得意満面でふんぞり返るカチューシャ。

 

クラ 〈今の今まで粛清しかありえない!と叫んでいたのが嘘のようですね〉

ノンナ〈イカチューシャにいい所を見せたかったのでしょう。二人は命拾いしましたね〉

カチュ「だから日本語でっ・・・・まあ、いいわ。それよりイカチューシャ」

イカチ「む?」

カチュ「これからカチューシャたちは戦車道の試合をするのだけれど。イカチューシャがいいなら、一緒にやってみないかしら?」

イカチ「いいのでゲソ!?」

カチュ「ええ!このT-34/85から見える王者の風景は絶景よ!是非イカチューシャにも見せてあげるわ!」

 

そして、練習試合開始の時刻となった。

各自演習場に移動し終え、カチューシャたちは中心地で練習相手の隊長を待っていた。

少し後ろにはニーナとアリーナも控えている。

 

カチュ「そろそろ来る頃ね」

ノンナ「あと五分です」

 

朝から降り続けていた雪は勢いを増し、既に一面銀世界となっている、

イカチューシャもパンツァージャケットを着こみ、寒さ対策はバッチリ。

今回の練習試合は相手の数に合わせたという八対八形式で、カチューシャのT-34/85やノンナのIS-2、ニーナのKV-2などの主力機が選ばれている。

今回は相手の戦車は前もってお互い知らせないようにするため、立っている位置からは相手の戦車はわからないようになっている。

 

イカチ「そういえば練習試合と言っていたでゲソが、相手は誰でゲソ?大洗の西住さんたちとかでゲソ?」

カチュ「それならやりがいはあったかもしれないけど。残念ながら今日の相手は違うわ」

ノンナ「秋田の、私立牟銘(むみょう)高校。そこが今日の我々の相手です」

イカチ「むみょうこうこう、でゲソか」

ノンナ「はい。あそこは今まで大会に出た記録は無く、むしろ今年から戦車道に力を入れ始めたルーキー校です」

カチュ「どうも、今年の大洗の活躍に感銘を受けて一念発起したらしいわ。その最初の相手として、カチューシャたちを希望してきたの。もちろんそんな無名で弱小と分かり切っている所との対戦はお断りなのだけれど。こちらも思う所があって、申し出を受けてあげたのよ」

イカチ「思う所、でゲソか」

カチュ「ええ。__さて、向こうもやって来たようね」

 

見ると、向こうから二人の少女が歩いてきた。

パンツァージャケットを羽織り、顔には不敵な笑みを浮かべている。

 

隊長 「牟銘高校戦車道チーム、隊長を務めさせております。本日はよろしくお願いいたしますわ」

副隊長「同じく、牟銘高校で副隊長をしています。お見知りおきを」

 

グロリアーナを彷彿とさせる佇まいに少し眉を顰めるカチューシャ。

いつものようにノンナに肩車してもらう。

 

カチュ「よろしくされてあげるわ。戦車道を始めてその最初の相手にカチューシャたちを選んだその度胸だけは褒めてあげる」

 

そんなカチューシャの上から目線の威圧にも一切引け目を感じさせない牟銘高校隊長。

 

隊長 「ええ。どうせ星を上げるのなら、初陣は是非とも金星を頂きたかったので」

 

カチューシャの眉がまたピクリと動く。

 

カチュ「大した自信ね。__まあ、今日のこちらの総大将はカチューシャじゃないから、もしかしたら貴女たちにも一縷の望みはあるかもしれないわね」

副隊長「まあ、今日の指揮はカチューシャさんではないと?では、どなたが?」

カチュ「ニーナ、アリーナ!」

ニーナ「はっ、はい!」

 

カチューシャに呼ばれ急ぎ足で前に出るニーナとアリーナ。

 

カチュ「今日はこの二人が主だってチームを動かすわ。私は後ろからそんな様子を監査する役よ」

ニーナ「あ、あんの!今日は、おでやわらがにお願いします!」

アリー「カチューシャ隊長の名に恥じぬよう、頑張りますんで!」

 

そう言って一礼し、挨拶のために手を差し出すニーナ。

だが、牟銘の隊長は顔を伏せ気味にして手を差し出さない。

少し、肩が震えている。

 

ニーナ「あんの・・・・?なんぼしますたか・・・・?」

隊長 「・・・・っく・・・・」

アリー「?」

隊長 「っく・・・・あっはっはっはっは!」

 

突如、牟銘隊長が大声で笑いだした。

呆気にとられるニーナたち。

 

隊長 「可愛い方言だこと!田舎者丸出しじゃない!」

ニーナ「!?」

副隊長「隊長!失礼ですよ」

隊長 「あら、ごめんなさい!でも、まさかあのプラウダにこんな訛り全開な子がいたなんて、しかもその子が今回の責任者!もう笑わずにはいられなくって・・・・!ぷっ、くくくくく!」

 

ニーナたちの方言に笑いが止まらない様子の牟銘隊長に、ショックを隠せないニーナたち。

カチューシャの顔が一層険しくなる。

 

カチュ「あら、無名高校のわりに、随分お偉いことね」

隊長 「!ちょっと!無名(むめい)ではなく、牟銘(むみょう)ですわ!」

カチュ「同じことでしょ。やっぱりカチューシャが前に出なくて正解だったわ。もし初戦を圧倒的戦力差で負けたりでもしたら、それこそ無名のまま戦車道から撤退することになるのだから」

隊長 「!言ってくれますわね・・・・!」

カチュ「事実でしょう?カラスを黒いと言って何がいけないのかしら」

隊長 「っ・・・・!もういいですわ!配置につきますわよ!」

 

カチューシャの言葉に激昂した牟銘隊長は、一礼する副隊長を連れて去っていった。

 

ニーナ「・・・・」

 

相手が去った後も、うつむき気味でじっと立っているだけのニーナとアリーナ。

 

カチュ「・・・・ねえ、同志イカチューシャ。お願いがあるんだけれど、いいかしら?」

イカチ「同志のお願いなら、何でも聞くでゲソよ!」

 

その後。

 

イカチ「というわけで、今回は私が同乗するでゲソ!」

 

イカチューシャは、今回のフラッグ車であるKV-2に乗り込んでいた。

 

隊員A「おお、イカチューシャさんが一緒に戦ってくれるんでか?」

隊員B「それは頼もしい話だべな!」

隊員C「よろすくお願いしますだ!」

 

隊員たちは喜んでいるが、ニーナの顔は晴れやかではない。

 

イカチ「うむ!よろしくでゲソ!・・・・ニーナとアリーナも、よろしくでゲソよ」

アリー「んだー。頼りにしてますじゃー」

ニーナ「あ・・・・えと、は、はい、よろ、しく、・・・・お願いしま、す?」

イカチ「・・・・?」

隊員A「?」

 

ニーナの喋り方に違和感を感じるイカチューシャたち。

かくして、試合開始の時刻となった。

 

ビーーーー

 

試合開始のブザーが演習場に鳴り響く。

開始の合図を受けて動き出す牟銘高校の戦車。

__しかし、プラウダ側はまだ動こうとしない。

・・・・というより、合図が出ない。

 

カチュ『ニーナ!何やってるの!進軍の号令を出しなさい!』

ニーナ「あっ!す、すいません!・・・・えっと、全車前進する・・・・して・・・・、__しましょう!」

プラ生『ウラー!』

 

ニーナのしどろもどろな指示にもしっかり呼応し、前進し始めるプラウダの戦車たち。

その集団の一歩後ろから、カチューシャのT-34/85とノンナのIS-2が追いかける形をとる。

 

カチュ「まったく、何やってるのかしら。進軍の合図すら忘れるなんて、仮にも全軍の指揮を執っているという自覚があるのかしら」

ノンナ『先程の牟銘高校の隊長さんに弄られてから、元気がありませんね』

カチュ「あの程度の舌戦に巻かれるようじゃ、まだまだ任せられそうにないわね」

ノンナ『そもそもカチューシャの代わりになれる人物など、存在しえません』

カチュ「ふふん、当然よね」

 

ある程度進んだところで、ニーナから無線が入る。

 

ニーナ『今回は数が同じなん・・・・なので、物量で圧倒するん・・・・するのは難しい、だ、です。高台に登って全体のの展開を見ながら、砲撃で支援しますだ、です』

カチュ「・・・・何言ってるの、あの子」

ノンナ『懸命に標準語で喋ろうとしているように見受けられますが』

カチュ「何考えてるのよ・・・・!あんなしどろもどろで、的確な指示なんて出来る訳ないじゃない!」

 

やがて、先頭を走る車輛が敵戦車を発見する。

 

プラA『こちら一号車、敵車輛発見しますた!車種は・・・・ええっ!?』

カチュ「何!報告はしっかり行いなさい!」

プラA『す、すんませえん!敵戦車、先頭は、M3リーです!』

カチュ「M3リー?随分ロートルを引っ張り出したのね」

ノンナ『大洗のウサギさんチームを思い出しますね』

カチュ「偶然でしょ。たまたま手に入った戦車はそれってだけでしょ」

プラB『こちら右翼!敵戦車発見!ルノーB1bisと思われます!』

カチュ「!?」

プラC『こちら左翼!八九式戦車を目視!』

 

ドオン!

 

突如砲撃、そして着弾し地面に穴が開く。

 

プラD『報告!相手は三号突撃戦車を後方に配置、こちらを狙撃してきてますだ!』

カチュ「どういうこと!?」

 

思いもよらぬ戦車の報告に耳を疑うカチューシャ。

 

カチュ「ニーナ!敵は見える!?相手の布陣はどうなってるの!?」

ニーナ『あっと、ええっと・・・・』

 

慌てて双眼鏡を覗くニーナ。

 

先頭をM3リー、ルノー、八九式の三両を出し、その後方にポルシェティーガーが引率されるように並走している。

 

ニーナ『先頭車両の後方、ポルシェティーガーを目視しま、した!』

カチュ「やっぱり・・・・!」

 

カチューシャは確信を持つ。

 

ノンナ『ポルシェティーガまで揃えているとは・・・・。カチューシャ、これは__』

カチュ「ええ、間違いない。牟銘の奴ら・・・・みんな大洗と同じ戦車に乗ってるわ!」

 

プラウダ生たちに戦慄が走る。

今やお互い切磋琢磨するいい仲になっているとはいえ、第六十三回大会の準決勝の敗北は彼女らにとってまだぬぐい切れないしこりになっている。

その大洗と同じ戦車が目の前に迫っている、という事実に、少しながらにも心が乱れ始めていた。

 

バアン!

ドオン!

 

やがて戦闘同士が会敵し、砲撃が始まる。

 

カチュ「先頭の三両だけを構っちゃダメよ!側面からの奇襲や狙撃も警戒しないと!」

アリー「あわわ、戦闘が始まっとるべ!」

ニーナ「落ち着くだ、んだ、落ち着いてアリーナ!今日は私たちが指示を出さなきゃいけねんだ、いけないのよ!」

 

心を静まらせて双眼鏡を覗く。

正面の三両に先頭集団は釘づけにされているが、さらにその両脇から一両ずつ戦車が大きく回り込み始めている。

 

ニーナ「左翼一時方向三式中戦車、右舷五時方向にヘッツァーが回り込もうとしてきとりきています!」」

 

いちいち口調を直そうと言いなおすため、若干指示が遅れてしまう。

結果、両脇を相手に取られ、半包囲されてしまう。

一両、二両と少しずつ戦力がそがれ始めてきた。

 

アリー「いがん!前線が崩壊し始めとる!」

ニーナ「全軍後退!体制を持ち直す、てください!」

 

ニーナからの指示で後退し始め、両脇からの挟撃から逃れる。

 

隊長 「思った通り後退しましたわね。ティーガ、今こそ前へ!」

 

牟銘隊長の合図で、一手後ろに構えていたポルシェティーガーが一気に最前列へと躍り出る。

その重量に、T-34/85とて威圧を感じずにはいられない。

 

隊長 「我が牟銘を、ただのコピーチームだと侮ったのかしら?確かにこの戦車を集めたのは最初は憧れからだった。でも、今はこの戦車たちはマネではなく私たちの戦車!私たちは、戦車経験は無くても財力と熱意だけはどこにも負けてはいなくってよ!」

 

ドオン!

シュポッ

 

また一両、ポルシェティーガーの餌食となった。

 

カチュ「またやられた!こんなシロウトめいた戦術にここまでやられるなんて!」

 

カチューシャの頭の中には、すでに状況を打開するための作戦は立っている。

しかし今回は指揮全般をニーナに任せているため、あえて口は出さないでいた。

 

カチュ「ニーナ!指示を出しなさい!でなきゃみんなレーニンよ!」

 

しかしニーナは混乱した戦局をただ見つめるばかりで、的確な指示を出せずにいた。

 

イカチ「ニーナ!早くどうにかしないとみんな全滅でゲソよ!?」

アリー「ニーナ!」

ニーナ「ううううう・・・・!」

 

しかし唸るばかりで指示が出せていない。

三突と狙撃戦を行っているノンナも、一両で二両を相手にしているカチューシャやクラーラも時間の問題である。

 

ニーナ「やっぱり、私なんかには荷が重すぎ__」

 

ガシッ!

 

諦めの言葉を口にしようとしたニーナの両頬を、イカチューシャの触手が掴む。

 

イカチ「ニーナ」

ニーナ「イカチューシャさん・・・・?」

イカチ「ニーナ、お主は今、戦車以外の事で頭がいっぱいでゲソね?」

ニーナ「えっ、いや、そんだ__そんなこと・・・・」

イカチ「さっきからニーナの喋り方が変でゲソ!」

ニーナ「変!?別に、そんなことは・・・・」

イカチ「さっきからニーナは自分の喋り方を押さえつけて、自分を偽ってるでゲソ!それに一生懸命すぎて、戦車に気が回ってないのでゲソ!」

アリー「んだ、それはわだしも感じでたべ。・・・・さっきの牟銘の隊長さんに言われたこと、気にしてだたか?」

ニーナ「・・・・だって・・・・私の方言が、田舎モンだって、あんなに笑われて・・・・」

イカチ「それで、そうならないように意識してた、ということでゲソか?」

ニーナ「・・・・」

 

ニーナは、こくんと頷いた。

 

ニーナ「前から、方言がダサいとか、意味が分からんとか、色んな人に言われてて。気にしないようにしよう、と思ってても、言われるたびに意識しちゃって、恥ずかしくって・・・・」

アリー「ニーナ・・・・」

ニーナ「私も、カチューシャ隊長みたいに流暢に喋りたい。いつかプラウダの顔になった時に、恥をかかないように、って__」

イカチ「ふむ・・・・全く理解できないでゲソ」

ニーナ「へ?」

アリー「イカチューシャさん・・・・?」

イカチ「つまり・・・・ニーナは、『自分の生まれたところが恥ずかしい』のでゲソか?」

ニーナ「え!?そ、そんなこと・・・・」

イカチ「言ってるでゲソ。ニーナが生まれたところ、育ったところ、そこで使っていた言葉が恥ずかしいというのでゲソ?つまり、生まれ故郷が恥ずかしいところだって言ってるようなものじゃなイカ」

ニーナ「・・・・」

イカチ「私は海で生まれ、海で育ち、海でこの言葉で暮らしてきたでゲソ。陸にみんなには時々『変わった口調だ』と言われたりもするでゲソが、私は恥ずかしくは思わないでゲソ。私のこの口調は、海で生まれ育った証。むしろ誇りなのでゲソ!」

ニーナ「!」

イカチ「誇れるからこそ、何を言われようとも気にしないでゲソ。赤の他人がどう言おうとも、私の生まれを誇る気持ちを覆ることは出来ないのでゲソ!」

アリー「イカチューシャさん・・・・」

イカチ「ニーナは、自分の生まれ育ったとことが恥ずかしいのでゲソ?」

ニーナ「そんな、そんなこと・・・・」

イカチ「そんなこと?」

ニーナ「そんだらこと、あるわけねえべ!おっ父も、おっ母も、おばあも、おじいも!みんな同じ言葉を交わして暮らしてきたんだ!それがめぐせえ(恥ずかしい)こたなんてあるわけねえべ!」

 

怒った顔で一気にまくしたてるニーナ。

 

アリー「ニーナ」

ニーナ「あっ・・・・」

 

気が付いたら自分が元の言葉で喋っていることに気が付く。

それを見て、にっこり笑うイカチューシャ。

 

ニーナ「・・・・、うん!」

 

途端、笑顔になり凛々しい顔つきに戻るニーナ。

双眼鏡を構え、戦況を見据える。

カチューシャたちの奮闘により相手の数は減ってきているが、生き残りはカチューシャ、クラーラ、ノンナだけになっている。

 

アリー「ちびっこ隊長たちがピンチだー。ニーナ、どするんだ?」

ニーナ「・・・・」

 

ニーナは答えず、真っすぐ遠目を見続ける。

そして__

 

ニーナ「見つげだ」

 

混戦した戦局の先、一両だけぽつんと動かず佇む車輛__四号戦車を発見した。

旗も立っていて、それが隊長車でありフラッグ車であることは間違いなかった。

 

ニーナ「ちびっこ隊長たちは今自分たちの相手で精いっぱいだー。んだしたきゃ、私たちであのフラッグ車をやるしかねえべ」

アリー「したけ、迂回するにも時間はねえべ?かと言って、あの戦場をフラッグ車が無傷で抜けられるとは思えねえべ」

ニーナ「でも、この状況を招いたんは私だー。私が何ぼかさしねと」

イカチ「提案があるでゲソ」

アリー「イカチューシャさん?」

 

やがて、カチューシャたちに無線が入った。

 

ニーナ『皆さん、これから私だちでフラッグ車へ攻撃します。私だちが背後を取られないように、援護たのむっきゃ!』

カチュ「この状況でさらに援護しろなんて、無茶言うじゃない!」

ノンナ『では、要望を蹴りましょうか』

カチュ「私を誰だと思ってるの!『地吹雪のカチューシャ』と呼ばれた私が、この程度の状況に手いっぱいだと思ってる訳!」

ノンナ『いいえ』

クラ 〈カチューシャ様ですから〉

カチュ「当然!いいわよニーナ!さっさとケリをつけちゃいなさい!」

ニーナ『はい!』

 

カチューシャからの協力を得、作戦を決行する。

 

イカチ「『ナパルコフ作戦』、決行でゲソ!」

 

グググ・・・・

 

高台に構えていたKV-2が、ゆっくりと坂を降り始めたかと思うと・・・・

 

グググ・・・・ズズズ・・・・ズザアアアアアアアアアア

 

沢山の雪が雪崩のように崩れ始め、その流れに乗るようにKV-2も坂を勢いよく滑り降りていく。

そして、坂を滑り降りたすぐ先には、凍った池が待ち構えている。

 

ツツツツツーーーー

 

坂を滑り降りた勢いのまま池の上に突入し、スケートの様にそのままの勢いで滑り始めるKV-2。

そして、その先には、ジャンプ台のように出っ張っている箇所があった。

そこにうまく乗ったKV-2は__

 

シュポーーーンッ

 

ニーナ「ひええええええ!」

アリー「うひゃああああ!」

 

結果、KV-2はスキージャンプの様に空中へ飛び出した。

そのジャンプは大きく、戦っているカチューシャたちの頭上を軽々と飛び越えていく。

 

カチュ「かーべーたんが・・・・空を飛んでる・・・・」

 

その一瞬、線上にいるすべての戦車乗りたちは戦いを忘れた。

そして__

 

ザアアアアアアアアッ

 

KV-2は着地を見事に果たし、敵フラッグ車である四号の目の前へ躍り出た。

誰よりも先に我を取り戻したカチューシャが、KV-2を追おうとする三式を撃破する。

 

隊長 「んなっ、嘘だべ!?」

 

文字通り飛んできたKV-2を目の当たりにした牟銘隊長は、咄嗟の出来事に反応できず__

 

ニーナ「今だべ!」

 

ドオオオン!

シュポッ

 

KV-2の至近射撃になすすべなく撃破された。

__試合終了後。

 

隊長 「まさか、あの重戦車を飛ばすだなんて、想像できませんでしたわ」

カチュ「それはカチューシャも同感よ。あの子たち、大洗に感化されすぎじゃないかしら」

隊長 「よろしいのではないでしょうか。今や彼女たちは全戦車女子のあこがれの的ですのよ」

カチュ「うちにはうちの戦いってものがあるのよ。何でもかんでもミホーシャゆずりって言うのはどうかと思うわ。__まあ、今回はあの子たちを褒めてあげてもいいかもしれないけど」

ニーナ「いんやー、あの瞬間は今思い出すと肝が冷えたべ」

アリー「わだしらよお生きとったもんだべ」

隊長 「貴女たち」

 

談笑しているニーナたちに、牟銘隊長が話しかける。

 

隊長 「見事な戦いぶりだったわ。型にはまらない戦術、感服いたしましたわ」

ニーナ「いえ、これはこのイカチューシャさんの立案で__」

イカチ「謙遜するでないでゲソ。最後の決断と成功に導いたのは、ニーナたちでゲソ」

アリー「いえいえ、やっぱりイカチューシャさんの__」

隊長 「そして、先ほどの非礼をお詫びいたしますわ」

 

牟銘隊長は、すっと頭を下げた。

 

隊長 「試合前で高揚していたとはいえ、大変失礼な言動でした。心から陳謝いたしますわ」

ニーナ「い、いえいえ!もう全然気にしとらんです!」

副隊長「んだべー。他人にばっか気取ってばっかりなもんで、肝心の礼を欠いてちゃ仕方ねえだなあ」

隊長 「!そっ、そんだらことなかべ!__あっ」

 

目が丸くなるニーナたち。

真っ赤になる牟銘隊長。

 

隊長 「と、とにかく!次に相まみえる時を楽しみにしていますわ!では!」

 

一目散にその場から去っていった。

 

副隊長「思ったんけど、やっぱそのキャラづくりには無理があるんでねか?」

隊長 「だまれっしゃ!」

 

ニーナたちはお互いに顔を見合わせ、そして笑った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

その日の晩。

栄子から電話があった。

 

栄子 『お前のことだから平気だろうけど、一応定期的に連絡入れとけって姉貴に言われてさ。どうだ?迷惑かけずにちゃんとやってるか?』

 

そんな栄子に、イカチューシャは元気いっぱいに応えた。

 

イカチ「そんなさだだ(心配)することねえゲソだ。ちゃんとみんなとなこなこどしとる(仲良くしてる)ゲソっぺ」

栄子 『誰だお前』

 

聞いてくる栄子の声は、どんな時よりも真顔だった。




青森と秋田の方、何より先にまず、ごめんなさい。
津軽弁と秋田弁に関しては勉強不足でなんちゃって弁になってしまいましたが、許容していただけると幸いです。

方言を話す女の子、可愛いですよね。
何というか、あか抜けない純朴さが感じられて、好印象なところばかりです。(個人的感想です)

ニーナとアリーナ、クラーラはカチューシャが次世代のプラウダを担う人材と認めているようですが、どう成長していくのでしょうか。
彼女らの今後も完結編で語られると嬉しいですね。

あ、ちなみに牟銘高校の彼女らは、この話のために考えたオリジナルなので、今後の出番は予定していません。

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