侵略!パンツァー娘   作:慶斗

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※形式の都合上、キャラの名前が一部略称になっています。


シンディー→シン
マーティン→マー
クラーク→クラー


サンダース大付属高校の生徒たち→サン生
サンダース生A、B、C・・・・→サンA、サンB、サンC・・・・・


第6話・コンスパイアしてなイカ?

米国地球外生命体対策調査研究所、由比ヶ浜支部。

中ではハリスとクラークが__

 

ハリス「Year!ついにグレート級のアイツを倒せまシター!」

クラー「ヤハリビッグソードとヘビーライフルの組み合わせハ最強デース!」

 

狩りゲームでついに強敵を打ち倒していた。

 

クラー「確か栄子サンもこいつはマダ倒せてイナイって言ってマシタからね」

ハリス「今度会った時ドヤッであげまショウ」

シン 「何やってんのアンタたち」

ハリス「Oh、シンディー」

 

あきれ顔のシンディーを不思議そうな顔で見る。

 

ハリス「何っテ・・・・コレですよ。ヴィンテンドーの最新ゲーム、モンスターバス__」

シン 「そういうこと聞いてるんじゃない!・・・・全く、近頃宇宙人研究してないと思ったら、暇さえあればゲームして・・・・。もうちょっと真剣にやりなさいよ!」

クラー「デスがそう言われましても、我々は発見シタ宇宙人のデータや生態を調べるのが役目デスし」

ハリス「その通りデス。データさえあれば我々は研究が進められるのデース」

シン 「うっ」

 

じーっと見つめてくる二人にたじろぐシンディー。

 

ハリス「クラーク君。我々のチームで調査担当ハ誰でしたでショう?(チラッ)」

クラー「言われてみれバ・・・・誰でしたでショう?調査担当ハ・・・・宇宙人を見つけるのが役目でしたよネ?(チラッ)」

シン 「うっ・・・・わ、わかったわよ!すぐに宇宙人の一つや二つ、見つけてきてやるんだから!」

 

いきったシンディはそのまま研究所から出ていった。

 

ハリス「シンディーはわかりやすくてイイですね」

クラー「デスがハリス君、我々がマダ宇宙人を見つけられていないのも事実デスよ?ソロソロ研究結果を出さナイと、本部に何を言われルか・・・・」

ハリス「ウーム・・・・」

 

顎に手をあてながら考えていると__

 

マー 「ハリス君!クラーク君!」

 

マーティンが血相を変えて飛び込んできた。

 

クラー「ドウしたのですかマーティン君」

ハリス「慌てなくテモ君が来るマデはキークエとっといてマスから」

マー 「それどころデハありまセーン!これを見てくだサーイ!」

 

マーティンが持ち込んだ新聞を広げる。

 

ハリス「ナニナニ?『サンダース大学付属高校期待の戦車道チーム、隊長のケイさんに今後の意気込みを直撃取材』?」

 

その新聞の一面記事は、海に浮かぶサンダースの学園艦をバックに、ケイが笑顔でピースをしている写真だった。

 

クラー「フム、サンダースの隊長サンのインタビュー記事デスか」

ハリス「カメラの前でも堂々としてマス。自信の表れデス。__それで、この記事が何カ?」

マー 「注目すべきはソコではありまセン!ほら、後ろに写ってる学園艦をジックリ見てくだサイ!」

ハリス「こ・・・・コレは!?」

 

その写真をじっくり見てるうち、ハリスたちの顔色が変わる。。

 

ハリス「コレは・・・・マサカ!」

マー 「イエーーース!コレは、サンダースがこれまでの事象に絡んでいるという重要な証拠なのデース!」

クラー「一体ドウイウことなのか・・・・調べなくてはいけまセンね!米国地球外生命体対策調査研究所所属、MIT主席の我々とシテは!」

三バカ「イヤッフーーーゥ!」

 

場所は移り、サンダース大学付属高校学園艦の校舎内。

廊下をナオミとアリサが歩いている。

 

ナオミ「どうした?さっきからスマホの画面ばかり見てるが」

アリサ「ああ、どうやら大型の台風が発生したらしいのよ。季節柄こっちにくるかもしれないわ」

ナオミ「ふむ。なら訓練のスケジュールなども合わせて調整した方がよさそうだな」

 

スッと画面を閉じるアリサ。

 

アリサ「それにしても、この時期に非常勤講師が来るなんてどういうことかしら」

ナオミ「さあな。噂によるとアメリカでも指折りの超天才博士らしい」

アリサ「何でそんな超天才サマがサンダースに?」

ナオミ「聞いたところによると校長からの強いオファーがあったらしい。うちの生徒のいい刺激になるだろうとの配慮とかで」

アリサ「あっ、それでもしタカシがその人たちに引き抜かれたりしたら!?」

ナオミ「は?」

アリサ「どうしよう!もしタカシがその人たちに認められたら、アメリカに連れてかれちゃうかも!?今のうちにパスポート取っておくべき!?」

ナオミ「落ちつけ。そもそもアイツに用があるのかわからないだろう。ていうか、ついてくつもりなのか」

 

レクリエーションホールへたどり着くと、大勢の生徒でひしめき合っている。

 

装填手「あっ、アリサさんこっち空いてますよ~。お~い」

アリサ「ねえ、これから来る講師ってどんな人かわかる?」

車長 「あ、すいません・・・・私たちも知らないんです」

砲手 「私が聞いた話では、いらっしゃる講師の人は工化学学科を先行している人だそうですよ。なんでも本場アメリカで研究博士の称号ももらっているとかで」

通信手「ということは、メカの天才ってこと~?」

操縦手「戦車の修理とか片手間にやっちゃいそうだね」

ナオミ「むしろ改造して余計な機能を付けたりもしてな」

アリサ「やめてよ、それじゃシンディーさんとこの三バカみたいじゃない。あんなの来ちゃったらウチは崩壊するわよ、カタストロフ」

 

やがて壇上にケイが上がってくる。

どうやら進行はケイが担うようだ。

 

ケイ 「ヘイ!レディースアンドジェントルメン!みんな、講師の方々を迎え入れる準備はオッケィ?」

サン生「オッケーィ!」

ケイ 「オーライ!じゃあリピートアフターミー!せーの!M・I・T-!」

サン生「M・I・T~!」

 

すると__呼び声に応えてヤツラが現れた。

 

三バカ「イヤッホォォォーーーーウ!」

 

ハイテンションな三バカが飛び出して来た。

さすがに水着に白衣といったクレージースタイルではなく、きっちりスーツの上に白衣を背を背負っている。

傍目には『デキる男』に見えなくもない。

 

アリサ「!」

ナオミ「あいつらは・・・・」

装填手「あの時(サンダース編第2話・クールに努めなイカ?)のマッドサイエンティスト三人組!」

通信手「なんであそこにいるの!?」

車長 「まさか招待した博士って・・・・あの人たち!?」

 

ケイからマイクを受け取るクラーク。

 

クラー「お初にお目ニかかりマース。ワタクシ、クラークと申しマス。主に『開発』を専攻シテおりマス」

ハリス「私はハリスといいマース。主に『実験』ヲ専攻してマース」

マー 「ボクはマーティンです!主に『研究』を専攻しておりマース!」

砲手 「うっそー・・・・」

運転手「何しに来たの、あの人たち」

アリサ「というか、何で隊長あそこで紹介してるのよ!散々あんな目にあったのに!」

ナオミ「隊長には隊長の考えがあるんだろう。話はあとで聞けばいい」

ケイ 「さあみんな、何か聞きたいことはあるかしら?」

サンA「はーい!ご趣味は何ですか?」

クラー「ウーン・・・・」

ナオミ「絶対宇宙人研究って言うな」

アリサ「そしたらみんなドン引きね。速攻で化けの皮が剥がれるわよ」

マー 「そうデスねー・・・・主に・・・・」

ハリス「人のためになるモノの研究開発、と言ったところでショウか」

サン生「おおおー・・・・」

 

立派な発言に声が上がる。

 

ナオミ「・・・・まっとうなこと言ってるな」

アリサ「しっ・らっ・じっ・らっ・し・い・・・・!」

 

三バカのいかにも真面目発言にイライラするアリサ。

その後もアメリカンジョークをまじえた応答に生徒たちは盛り上がり、初印象はばっちり好感を得た三バカだった。

 

ケイ 「お三がた、ありがとうございました。彼らはしばらくサンダースに駐留して様々な分野でご助力願うことになるわ。みんなも聞きたいことや相談があったら彼らを訪ねてね」

三バカ「お待ちシテいマース」

 

かくして三バカお披露目会は終了した。

解散後。

 

サンB「おもしろい人たちだね~」

サンC「本場アメリカの人って関わる機会少ないもんね。今のうちにたくさん話聞いとこうよ!」

ナオミ「まずいな。野放しにしていたらどうなるかわかったもんじゃないぞ。どうするアリ__アリサ?」

 

見渡すと、アリサの姿はなかった。

険しい表情で廊下をずんずん進むアリサ。

やがて廊下を歩く人影に三バカたちを見つけ、速度を上げる。

 

ケイ 「グッジョブ!みんなからも好印象だったわよ」

マー 「それは何よりデース」

ハリス「これからお世話になるのデスから、皆さんとも仲良くしまセンと」

クラー「ひとまずはここで研究をしつつ皆サンの学力向上に__エ?」

アリサ「アンタたちいいいいいいい!」

 

ガシィツ!

 

険しい表情でクラークたちの胸ぐらをつかむアリサ。

 

クラー「ホワッツハペン!?」

アリサ「正直に吐きなさい!ここに何しに来たの!早く白状すれば、戦車引きずりの刑で勘弁してあげるわよ!」

ハリス「それってホボ処刑デース!」

ケイ 「アリサ、ストップ」

 

掴みかかるアリサに、ケイが割り込む。

 

アリサ「隊長!なんでこんなやつら庇うんですか!ていうか、なんでこいつらがサンダースにいるんですか!」

校長 「こらこらアリサ君。乱暴はいけませんよ乱暴は」

アリサ「あっ、こ、校長!?」

 

陰に隠れていたことに気が付かず、校長にたしなめられて手を放す。

 

アリサ「校長、こいつらは・・・・」

校長 「ええ、ちゃんと存じていますよ。かの名門MITを首席で卒業。全米を股にかけ活躍し、来日した上でも数々の研究成果を生み出し、今人類に最も貢献されているという偉大な研究博士の皆さんです」

 

開いた口が塞がらないアリサ。

 

アリサ「何世迷言言ってんですか校長!こんな奴らが人類のためになったことなんて一瞬もありませんよ!?」

校長 「まあまあまあまあ」

 

何を言っても聞く耳持たない校長に違和感を感じるアリサ。

ちらっとクラークを見ると__口元は確かにニヤリと悪い笑みを浮かべている。

 

アリサ(!?コイツ・・・・まさか校長になんかしてる!?)

校長 「ではアリサ君、私はこれで。これから皆さんと今後を話し合わなければなりませんので」

アリサ「あっ、校長ーっ!」

 

アリサの制止も聞かず校長は行ってしまった。

うなだれるアリサ。

 

ケイ 「ヘイアリサ、ドンウォーリー」

 

ポンとケイが肩を叩く。

 

アリサ「隊長!」

ケイ 「はいはい言いたいことはわかってるから。とりあえずチームのみんなを集めてちょうだい。今後について話をするわ」

アリサ「わ・・・・わかりました」

 

一時間後。

サンダースの戦車道チームが戦車倉庫に集まった。

 

ケイ 「オッケー。みんな集まったわね」

アリサ「隊長!一体これはどういうことなんですか!」

ケイ 「落ち着いてアリサ。これから説明するから」

 

~~回想~~

 

コンコン

 

校長室をノックするケイ。

 

校長 『どうぞ』

ケイ 『失礼しまーす』

 

ドアを空けて入ると、そこには既に三バカたちがいた。

 

ケイ 『あら・・・・あなたたち・・・・どうしてここにいるの?』

校長 『やあケイくん。ご紹介しよう。クラーク博士、マーティン博士、ハリス博士。彼らは米国の地球外調査研究に所属する高名な博士たちだよ』

ケイ 『米国の特殊機関の・・・・?』

校長 『来日の折、是非我が校を視察されたいと申し出をいただいてね。我が校としても願ったりな申し出なので二つ返事でお受けしたよ』

ケイ 『ホワット!?校長、何を言って・・・・』

 

そこでケイは校長の目がどこか焦点があっていないことに気が付く。

加えてクラークたちの妙に堂々としたいで立ちから事態を察知する。

 

ケイ 『オーケイ、わかったわ。じゃあお披露目会が必要だからみんなにホールに集まるよう言っておくわ』

 

~~回想終了~~

 

装填手「そんなことが・・・・」

ケイ 「あの三人がどんなつもりで乗り込んできたかはわからない。でも今校長は彼らの手中にある。下手に動けば今後の学校生活に支障が出かねないわ」

ナオミ「その場においてはいい判断でした。無理に追い込めば校長に『退学だ!』と言わせていたかもしれません」

車長 「でもどうしましょう?このまま野放しにしていたらとんでもないことになっちゃいますよ?」

アリサ「なら、私たちであいつらの正体を暴いてやりましょう!それを全校生徒にばらまけば、たとえ校長を味方につけてもサンダースにはいられなくなるはず!」

ケイ 「いい案だわ。だけどそのためにはまず彼らに接触しなければならない。でも私たちじゃ顔が割れてるから、近づいても探りを入れるのは難しい。誰が適任かしら・・・・」

砲手 「はい!」

 

と、元気よく手を挙げる砲手たち。

 

ケイ 「あら、あなたたち?」

砲手 「はい。隊長たちより私たちのほうがあまりあの人たちも警戒しないのではないかと」

車長 「だから、私たちが接触して情報を流します!」

通信手「隊長はそこから解決策を見出していただければ~」

アリサ「それはいい案ね。じゃあ、これを持っていきなさい」

 

アリサはボールペンを渡す。

 

操縦手「これは?」

アリサ「小型のとうちょ__超小型集音機よ。スイッチを押せば音声が拾える。性能は保証するわ」

操縦手「あっ、ありがとうございます!」

ナオミ「・・・・スッと盗聴器を出してくるところにツッコミはしないのか?」

車長 「シーッ」

ケイ 「じゃあみんな、くれぐれも安全第一で!無茶をして後悔するような目に合うのだけはノンだからね!」

アリサ「オレペレーション・カウンスール!ミッション開始!」

一同 「ラジャー!」

 

廊下を歩くシャーマンチーム。

 

砲手 「とはいってもさー」

操縦手「どうやって取り入ろうか」

通信手「普通に近寄って『仲良くしてくださ~い』は?」

車長 「いや、流石にあの人たちもそこまでおバカじゃないでしょ・・・・」

装填手「じゃあ自然にあっちから来るの待つ?時間かかっちゃうよ」

アリサ『あーテステス、テステス。みんな、聞こえる?』

 

各自耳に付けた超小型イヤホンから声がする。

 

車長 「はい、聞こえてます」

アリサ『こちらからは無線でサポートするわ。でも基本的に遂行するのはあなたたち。戦果を期待しているわ』

通信手「ラジャ、任せてください!」

 

と話している間にクラークたちを発見する。

周囲にはすでに数名の生徒たちがおり、質問を浴びせている。

本場アメリカ人、白衣を着こんだいかにもないで立ち、そして博士と言う肩書に皆興味津々である。

 

サンB「クラーク博士、日本へはどうして来られたんですか?」

クラー「日本には日本にシカない独自の文化と歴史がありマース。現地でその見分ヲ深め、研究の更ナル境地を開くのが目的デース」

サンC「サンダースにはどれだけ滞在されるんですか?」

ハリス「私タチが望む物が見つかるマデ、と言ったトコロでショウか」

サンD「これまでどんな研究をされてたんですか?」

マー 「地球ト言う概念にとらわれズに、この広い宇宙カラ見たグローバルなエルシデーションを実現する装置を開発してまいリまシタ」

砲手 「傍目に聞くとすごい人類に貢献してそうな物言いなのがすごい」

車長 「語尾に全部(主に宇宙人関係)がつくことを除けばね」

通信手「さ~て、どうやってコンタクトとろっか」

車長 「それについては私に考えがあるの」

装填手「えっ、なになに~?」

 

廊下を歩く三バカ。

向かい側から歩いてくる車長たち。

 

車長 「__だからー、そうじゃないって言ってるじゃん」

通信手「えー、ゼッタイないよ~」

砲手 「まあ、ロマンがあるっちゃそう言えなくもないけど」

 

などと話しながらすれ違う瞬間、

 

操縦手「だからー、宇宙人が地球に潜伏してるなんて考えらんないじゃん」

ハリス「!」

マー 「!」

クラー「!」

 

三バカが一斉に振り返る。

 

装填手(釣れた!)

砲手 (反応めっちゃ早い!)

車長 「だ、だってさー、宇宙人って科学力すごいんでしょ?だったら正体隠すのだって楽勝じゃん」

操縦手「そうだとしてもさー、さすがに一度も見つからずにってのは無理があるでしょ。絶対何回も見つかってるはず」

通信手「そういうのを見つける装置とかがあるなら話は別だけどさ~」

車長 「でもいないって証明できてないんだからいないって決めつけられないじゃん!」

装填手「悪魔の証明っていうんだよそれ」

ハリス「ヘイ!キミたち!」

通信手「え?はい、何でしょう?」

マー 「君タチ、ケイさんのチームメンバーですよね?」

砲手 「はい、そうですけど」

ハリス「モシよろしければ艦内を案内シテもらえまセンでショうか?」

装填手「えっ、私たちがですか?」

マー 「エエ。できれバ顔見知りの方々の方が私タチとしてモ安心できますノデ」

アリサ『単純ねえ』

 

コロっと懐柔された三バカに、アリサは皮肉めいた笑みを浮かべた。

上手く取り入り、三バカを案内しながら艦内を巡る。

 

車長 「ここがメインエントランスです」

操縦手「ここから様々な施設棟につながっているんですよ」

通信手「いつもここ通るたんびに身が引き締まる感じだよね~」

砲手 「あんたはいつものべ~ってしてるでしょ」

ハリス「ハハハ、仲がよろしいのデスね」

装填手「まあ、ずっと一緒に戦車道やってましたから」

砲手 「ハリス博士たちもお付き合いは長いのですか?」

マー 「そうデスねー。もうかれコレ何年になるでショウか」

ハリス「同じ志を持っタ者同士、モハヤ切っても切れナイ関係と言えマスね」

クラー「イエス!我々はベストフレンズなのデース!」

三バカ「イヤッフーウ!」

アリサ『いちいちやかましいわねこいつら』

クラー「オヤ?」

 

ふと見ると、上りエスカレーターの辺りで人だかりができている。

歩み寄るクラーク。

 

クラー「ドウしまシタ?」

サンB「あっ、クラーク博士!」

サンC「エスカレーターが壊れちゃったみたいで、全然動かないんです」

 

見るとエスカレーターはうんともすんとも言わない。

 

サンD「ここが使えないと、遠回りの階段で上るしかないんですよー」

クラー「ソレは困りましタね。チョット見せてくだサイ」

 

屈みこみ様子を見る。

 

クラー「フム、ナルホド・・・・。デハ、これをこうすれば・・・・」

 

ウィイイイイイイン

 

すぐにエスカレーターが動き始める。

 

サンB「わあ、直った!」

サンC「クラーク博士、ありがとうございます!」

クラー「ユアウェルカム」

通信手「すごいな~、ちょっと見ただけで直しちゃった」

ハリス「これくらいの故障、クラーク君なら楽勝デスね」

マー 「我々の中でも一番ノ技術を持ってイマすからネ」

クラー「イヤー」

 

謙遜するクラーク。

 

装填手「そんな技術、どうやって覚えたんですか?」

クラー「コレは覚えた、というヨリ自然に身についタ、が正解デス。全ては夢を叶えるタメの過程でしかありまセン」

砲手 「凄腕技術が通過過程って」

車長 「夢のためって、やっぱりロマンを追い求めてですか?」

クラー「ザッツライト!」

通信手「じゃあ、サンダースに来たのもその夢に関連してるからですか~?」

ナオミ『うまい誘導尋問だ』

ハリス「イエイエ、そう言った訳デハ」

マー 「あくまで後学のタメ、招致に応じたに過ぎませんノデ」

アリサ『ちっ、引っかからないか』

ナオミ『焦りは禁物だ。ゆっくり攻略法を見つけるんだ』

 

それから同行するも、

 

サンD「なかなか成果が出なくて・・・・。ボク、段々無駄なことをしてるんじゃないかと不安に思えてきたんです」

マー 「この世にムダな努力ナドありまセン。アナタの積み重ねたモノは必ず未来のアナタ自身を助けてくれマス!研鑽を重ねるとハ今結果を出すタメではなく、未来につなげるタメにあるのデス!」

サンD「あ・・・・ありがとうございます!ボク、もっと頑張ります!」

 

三バカたちは、

 

サンE「この薬品にこれを足すと、どうしてこうなるのか納得できない・・・・。私、ひねくれてるなあ」

ハリス「素晴らシイ!」

サンE「え!?」

ハリス「結果に疑問を持つこと、それこそガ研究者に必要な心構えなのデス!アナタはそれがそうだからコウ、などト教えられた世界を今飛ビ出したのデス!」

サンE「博士・・・・」

 

次々に、

 

クラー「ハイ、これで完成デス」

サンF[うわ、すごい!こんな簡単にドローンが!」

クラー「おまけで真横にも移動できるようニしまシタ。ホーラ、スーイスイ」

サンF「すっげー!マジリスペクトしちゃいます!」

 

生徒たちの信頼を得始めていた。

 

車長 「すごいね、クラーク博士たち」

通信手「行く先々で生徒の助けになってる」

装填手「宇宙人がらみでないと、こんなすごい人たちだったんだね」

砲手 「しかも変なこと一切してないし」

操縦手「もしかして本当に後学のために来てただけなのかな?」

 

シャーマンチームたちもだんだんクラークたちを信用し始めてしまっている。

 

アリサ『ちょっとアンタたち!何日和ってんの!』

車長 「でもアリサさん、皆さん真面目に指導してくれてますよ?」

装填手「相談ごとには親身になってくれてますし」

通信手「いい人ですよね~」

操縦手「実は私もちょっと相談に乗ってほしいかも」

砲手 「頭ごなしに疑ったりせずに、もうちょっと信じてもいいんじゃないでしょうか」

アリサ(この子たち・・・・ミイラ取りがミイラになってる!)

ナオミ「どうするんだ?あいつら同調してしまってるぞ」

アリサ「こうなったら奴らがボロを出すのを待つんじゃ遅いわ。奴らが思わず地を出す罠が必要だったのよ!」

ケイ 「どうするの?」

アリサ「これを用意しました!」

 

そう言ってアリサは大きな袋を取り出した。

 

クラー「サテ、そろそろ時間です。楽シイ時間をありがとうゴザイマシタ」

車長 「いえ、こちらこそ!とても勉強になりました!」

操縦手「近いうち、私たちの所にもご指導に来てくださいね!」

マー 「ソレは願ってモないことデス。是非お邪魔させてもらいマスね」

 

などと話してると__

 

ケイ 『ヘイ、シャーマンズ、聞こえる?』

車長 「え、隊長?アリサさんどうしたんですか?」

ケイ 『これから一番の仕掛けが行くから、しっかり対応してね』

装填手「えっ、仕掛けってどんな__」

通信手「あれ?」

 

通信手が声を上げる。

 

車長 「どうしたの?」

通信手「あそこの角、人影が__」

 

と言った瞬間__

 

サッ!

 

全身銀色の宇宙人が飛び出して来た。

 

車長 「・・・・」

装填手「・・・・」

クラー「・・・・」

ハリス「・・・・」

 

固まる一同。

宇宙人と目が合う。

 

操縦手「グ・・・・」

砲手 「グレイだーーーーーっ!?」

 

ダッ!

 

叫び声を聞くと同時にグレイが猛スピードで逃げ出した。

次の瞬間__

 

三バカ「Yearrrrrrrrr!」

 

三バカが目の色を変えてでグレイを追いかけ始めた。

 

ケイ 『かかったわ、追いかけて!』

車長 「わ、わかりました!」

アリサ(かかったわ!このまま空き教室まで引き込めば・・・・!)

 

グレイの着ぐるみを着たアリサがほくそ笑む。

後ろを三バカが付いてきている。

 

アリサ(来てる来てる。この後身柄を確保してジ・エンド。我ながら惚れ惚れする手際の良さだわ!)

サンD「うわっ、何!?」

サンE「宇宙人だ、宇宙人が出たぞー!」

 

騒ぎに気付き始めた生徒たちが騒ぎ出す。

 

アリサ(ちょっと騒ぎになり始めたわね。さっさとあいつら捕まえて終わりにしないと__)

 

振り返ると__クラークが何か持っている。

ぱっと見、特殊なデザインの銃に見える。

 

アリサ「ちょ!?」

クラー「シュートヒム!」

 

バシュウン!

 

クラークの握った中から光線が放たれ、アリサのすぐ横をかすめる。

 

アリサ(撃ってきたあ!?)

車長 「ちょっ、クラーク博士!ここ校内ですよ!?撃っちゃだめですってば!」

ハリス「ご心配ナク!コレは人に当たっても大丈夫デス!」

マー 「我々にお任セくだサーイ!」

 

ハリスとマーティンまで同じ銃を持ち出し、グレイ(アリサ)に向かって撃ちまくる。

 

バシュン!バシュン!バシュウン!

ボゴオン!

 

外れた光線が柱に当たり、爆発で大きくえぐれる。

 

アリサ「ひいいいい!?」

 

涙目になりながら逃げまくる。

 

操縦手「何あの威力!?」

車長 「本当に人には無害なんですよね!?」

マー 「理論上は大丈夫デース!」

装填手「実証してないんかい!」

 

アリサ「こ、殺されるー!」

 

命からがら空き教室へ転がり込む。

そのまま追いかけて入っていく三バカ。

 

ハリス「キャッチアーップ!」

ナオミ「てい!」

ハイル「オウッ!?」

 

教室に入った瞬間、ナオミの当身が入りハリスが気絶する。

 

クラー「ハリス君!?」

 

慌てて振り返ると__

 

アリサ「このっ!」

 

アリサがクラークを投げ飛ばし、クラークが気絶する。

 

マー 「ヘッ、ヘルプミー!」

 

事態を察したマーティンが教室から逃げようと踵を返すが__

 

車長 「ごめんなさい!」

 

ポコッ

 

マー 「アウチッ!」

 

車長がモップでマーティンの頭を叩いた。

その後。

 

ケイ 「さーて、どうしてあげようかしら」

 

拘束された三バカは戦車倉庫でケイたちの囲まれている。

 

アリサ「やってくれたわねこのマッドサイエンティスト!」

ナオミ「最初は教室に誘い出して問いただすくらいに考えていたんだが」

車長 「あれはやりすぎですよねー・・・・」

クラー「ススス、スミマセーン!つい我を忘れテ・・・・」

マー 「反省してマース!許してくだサーイ!」

ケイ 「じゃあ、許してあげる代わりに質問に一つ答えて」

ハリス「ハイ、何なりト!」

ケイ 「何をしにサンダースへ来たの?」

クラー「エ」

ナオミ「そもそもそれを知りたかった。校長を操ってまで潜入してきたんだ、ただ遊びに来たわけではないだろう」

マー 「そ、ソレは・・・・」

ハリス「トップシークレットなのデ・・・・」

アリサ「水責めにしようかしら。それとも不眠責め?」

三バカ「ノオオオオオオオオ!」

車長 「あ、あの!多分これではないかと」

 

車長が一枚の紙を差し出す。

 

ケイ 「これは?」

車長 「さっき三バカさんたちを捕まえた時、白衣から落ちてきたんです」

 

それはとある雑誌の切り抜き。

ケイがサンダースの学園艦をバックにインタビューに答える企画だった。

 

ケイ 「ああ、これ先月の。もう記事になってたの」

車長 「あの、ここを見てください」

ケイ 「んー?」

 

よく目を凝らすと__ケイのバックに移っているサンダースの学園艦の空中付近に、何か見える。

それは__円盤に見えた。

 

アリサ「えっ、なにこれ、UFO!?」

ハリス「私たち、ソレを見てサンダースはUFOの離着陸をひそかに行ってイルと睨んだのデス」

クラー「デスがきっと直接聞いてもはぐらかされルと思いまシテ」

マー 「こうして直接確かめニ来たのデス」

ナオミ「なるほど・・・・そういう訳だったのか」

クラー「エ?」

ナオミ「素直に聞いてくれれば答えたものを」

アリサ「えっ、ナオミ?あんた、このUFOのこと知ってるの?」

ナオミ「ついてきてくれ。見た方が早いだろう」

 

拘束を解かれた三バカがナオミの後を歩く。

やがて屋外に用意された戦車道練習エリアに辿り着いた。

そこには数台の戦車と__何かの発射台のようなものが設置されている。

 

通信手「?これ、何の装置ですか~?」

ナオミ「この間、新しい練習方法を試験的に導入するという話があっただろう。搬入された折、何度か試しに使ってみたことがあったんだ」

 

ファイアフライに乗り込むナオミ。

装置を操作すると、発射口が開き上空へ狙いをつける。

そして__

 

シュバアァッ!

 

すごい勢いで円盤が発射されていった。

 

ハリス「オオ、あれハ!」

クラー「まさニ私たちが探していたUFOデース!」

マー 「やはり私たちの仮説ハ正しかったのデース!」

 

それを__

 

ナオミ「はーい」

 

ドオン!

バアアン!

 

いともたやすく砲撃で四散させるナオミ。

 

三バカ「ノオオオオ!?」

アリサ「これって・・・・まさかクレー射撃!?」

ナオミ「そうだ。高速で発射されるクレー(円盤)の軌道を読み、目視で距離を見極め、瞬時に狙いをつけ砲撃を当てる。__まあ、難易度が高すぎて訓練にならないから近いうち返却する予定だったんだが」

砲手 「__難易度が高いって、ナオミさん一発で当ててなかった?」

装填手「パないね~」

ケイ 「たぶん、記事の写真を撮った時に写りこんじゃったんでしょうね。偶然の産物ってやつ」

クラー「ソンナ・・・・」

ハリス「我々の夢ガ・・・・ロマンが・・・・」

マー 「ノオオオ・・・・」

 

期待も爆散した三バカは、力なくその場にへたり込んだ。

そして一週間後、サンダース学園艦にて。

 

ケイ 「ヘイ!はかどってるかしら?」

 

ケイが声を掛ける先では__

 

クラー「ハイ、ここが終われバ補修はほぼ完了デース」

 

クラークたちが色々なメカを使い、サンダース内部のメンテナンスを行っていた。

 

ナオミ「結局、あれだけやったあいつらを許すとはな」

アリサ「ほんと、隊長も懐が広いって言うかなんていうか」

ケイ 「彼らを許すって決めたのは校長だもの。その決定には従わなきゃね」

車長 「あの人たちの技術力ってほんとすごいですからね。本来何か月もかかる補修も一週間で済ませちゃいましたし」

ケイ 「そうね。それに彼らも悪気があって来たわけじゃない。熱意が溢れて抑えきれなかっただけよ。私たちの中にだってあんな正直な子はそういないわよ?」

アリサ「あんなのいたらシャレになりませんってば」

ケイ 「お詫びってことで校内に自由に使えるフィットネス自転車を設置してくれたし、戦車の操縦訓電ができるベルト式訓練機も用意してくれた。みんな喜んでるからいいじゃない」

ナオミ「生徒の中には彼らを尊敬しているのもいる。もし彼らの正体がただのUFOマニアのマッドサイエンティストだと知ったらショックを受けるだろう」

ケイ 「そういうこと。彼らを無碍に追い出すより、共存する道を選んだ方がお互いにメリットがある。WIN-WINってやつね」

ナオミ「本音は?」

ケイ 「見てて面白いし」

ナオミ「でしょうね」

 

窓を見ると、外は激しい雨と風で吹き荒れている。

 

ナオミ「台風、直撃でしたね」

ケイ 「そうね。まあ、ナオミたちがスケジュール管理してくれたから、訓練には支障なかったのが幸いね」

アリサ「あーあ、雨降ってなかったられもんでかき氷食べようと思ってたのに」

 

と、そこへ__

 

ピンポンパンポーン

 

艦内放送が流れ始めた。

 

ケイ 「どうしたのかしら?」

放送 「艦内へ連絡します。現在台風の影響により大波警報が発令されています。不要な外出は避け、艦内にて待機をお願いします」

ケイ 「けっこう強いみたいね」

装填手「大波警報だって。スクイーディのお店、だいじょうぶかな?」

砲手 「うーん、浜辺だからねえ。気になるなあ」

車長 「ここの窓からだと様子が見えないよ。もっと高い場所じゃないと」

操縦手「じゃあ艦橋行ってみる?あそこからなら見渡せるし」

通信手「よ~し、行こう~」

 

連れ立って一行は艦橋へ。

 

装填手「おおー、すごく広く見えるねえ」

通信手「あっ、見える見える。スクイーディのお店開いてるよ」

砲手 「この雨でも開いてるとか・・・・千鶴さんもやる気満々だねえ」

車長 「海水浴客もいないでしょうに・・・・誰のために開けてるのかしら」

 

れもんを眺めてわいわいしているシャーマンチームとは逆に、双眼鏡で沖を見張るケイとナオミ。

 

ケイ 「あっ」

 

ケイが声を上げる。

はるか遠くの沖合いに、大波が発生していた。

だんだんとこっちに向かっている。

と、艦が動き始め、船首を波に向け始める。

 

ナオミ「警戒態勢に入ったか」

アリサ「ま、あの程度の波だったらサンダースはびくともしないわ。大きく構えてればいいのよ」

 

どんどん近づいてくる波。

しばらくして__ケイが異変に気が付いた。

 

ケイ 「・・・・まずいわね」

アリサ「え?」

ナオミ「どうしました?」

ケイ 「タンカーだわ・・・・。波に押し流されてる!」

車長 「ええっ?!」

 

沖合から大波に巻き込まれたタンカー船が由比ガ浜に向かって押し流されてきている。

 

ナオミ「まずいな、あのままだと由比ヶ浜に入って座礁しかねない」

砲手 「大変、なんとかしなきゃ!」

装填手「なんとかしなきゃってどうするの!?あんな大きいタンカーどうやって止めるの!?」

通信手「学園艦をぶつけて食い止めるとか~?」

アリサ「バカね、学園艦みたいな大きな船をぶつけたら、それこそタンカーが大破しかねない。そうしたら多数の死傷者が出るし、油が流れ出て由比ヶ浜海岸も壊滅的被害を受けるわよ」

操縦手「じゃあどうするんですか?このまま放っておいても大変なことになっちゃいますよ!」

ケイ 「・・・・」

 

何かいい案はないかと考えるケイ。

そこへ__

 

ハリス「お困りのようデスね」

 

三バカが現れた。

何だか自信満々の笑みを浮かべている。

 

ナオミ「アンタたち・・・・」

マー 「事態は把握シマした。あのタンカーをドウにかすれバいいのですね」

アリサ「簡単に言うわね。言っとくけど吹っ飛ばすだの消し炭にするだのは認めないわよ?」

クラー「フッフッフ、ワタシたちを見くびってもらってハ困りマス」

ハリス「我らMIT首席の技術力と科学力を持って!」

マー 「今コソサンダースの皆さんニ報いて見せまショウ!」

 

そして謎の装置を取り出す。

 

ハリス「ア、ケイさん。この装置に向かっテ合言葉を叫んデもらえますカ」

ケイ 「あら、何だか楽しくなってきたじゃない。それで、合言葉って?」

ハリス「ヒソヒソ・・・・」

ケイ 「?それで何が・・・・。__いいわ、じゃあ行くわよ」

 

すうっと息を吸うケイ。

 

ケイ 「トランスフォーーーーム!」

 

ケイが装置に向けて叫ぶと__

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

サンダース全体が揺れ始めた。

その頃、海の家れもんでは。

 

イカ娘「大きな船がこっち来てるでゲソ!」

栄子 「まずいぞ、ありゃタンカーだ!あのままだとこっち来て座礁か転覆だ!」

イカ娘「そんなことになったら海が汚れるでゲソ!断じて許さないでゲソ」

 

浜辺へ向けて駆け出すイカ娘。

 

栄子 「おいムチャするなイカ娘!いくらお前でもあの大きさは無理だ!」

イカ娘「やってみないと分からないでゲソ!__む?」

 

ふと気が付くと、少し離れたところにいたサンダースの学園艦が動き出し、タンカーの進路に立ちふさがる。

 

千鶴 「艦体でタンカーを止めるつもりかしら」

栄子 「そんなことしたら事故っちまうぞ!」

 

ハラハラして見ていると__

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

学園艦から何か聞こえ始めた。

 

栄子 「ん?何の音だ?」

千鶴 「サンダースの方から聞こえるわ」

 

何ごとかと見ていると__

サンダースの学園艦が突如縦に割れ始めた。

そして次々と様々な場所が持ち上がり、また割れ、垂直に伸び始め__続々と変形し始める。

しまいには分かれた部位が伸び始め、手足のように広がり始める。

 

栄子 「何だ何だ、何が起こっている!?」

 

呆気に取られている間にサンダースは変形を終え__そこには学園艦の面影の残る超巨大ロボットがいた。

 

栄子 「な、な、なんじゃありゃー!?」

 

開いた口が塞がらない栄子、あらあらと動じない千鶴、目を輝かせながら見入るイカ娘。

巨大ロボの頭部には、ちょうどケイたちのいる艦橋エリアがあてがわれている。

 

ナオミ「これは・・・・!」

装填手「どうなってるの!?学園艦が立ち上がっちゃった!」

ハリス「コレぞMIT主席の我らの技術を全て注ぎ込んダ最高傑作!」

クラー「変形合体艦・『グランドサンダース』デース!」

三バカ「イヤッフゥーーー!」

アリサ「ウチの学園艦に何ちゅう改造してんのよ!」

操縦手「やっぱり反省してないんじゃないですか!?」

マー 「落ち着いてクダさーい!それよりも今ははタンカーを止めるのガ先決デス!」

 

クラークが取り出したコントローラーを使ってグランドサンダースを動かす。

 

ガシィンッ!

 

上手く両手でタンカーを捕まえた。

 

砲手 「おお、いいぞ!これで解決だな!」

 

グググググ・・・・

 

しかし押し流されるタンカーの勢いは止まらず、少しずつグランドサンダースは体制を崩し始める。

 

ナオミ「押されているぞ」

クラー「パワー不足デース」

アリサ「じゃあどうすんのよ!」

マー 「エネルギーチャージが必要デス!」

 

そういうが否やマーティンは設置されていたフィットネス自転車をこぎ始める。

 

マー 「エネルギーチャージ!」

 

どんどんエネルギーが発生するが__

 

ググググググ

 

ナオミ「まだ押されているぞ」

ハリス「まだエネルギーが足りまセン」

ケイ 「どうすればいいの?」

ハリス「コンナこともあろうかと!校内各地にエネルギーチャージ機を設置しておきまシタ!」

アリサ「え、まさか」

 

その頃校内では。

 

サンE「うおおおおおおお!」

サンF「サンダース生の底力、見せてあげるわ!」

サンG「どんなもんじゃあああああ!」

ケイ 『みんな、頑張って!私たちの力で、由比ヶ浜を守るのよ!』

サン生「サンダース・ファイトー!」

 

ケイの校内放送によって事情を聞いたサンダース生たちが各地で設置されたフィットネス自転車をこぎ続けている。

全力でこぎ続け、疲れたら次の生徒がこぎ始めるというローテーション。

全校生徒が懸命にエネルギー供給を行っている。

 

操縦手「すごい、サンダースが一つになってる!」

クラー「ムッ!」

 

クラークの持っているコントローラーが光り始める。

 

クラー「エネルギーチャージMAX!コレならいけマス!」

 

意を決しクラークがボタンを押す。すると__

 

学園艦「グオオオオオオオオオオン!」

 

グランドサンダースが猛々しい雄たけびを上げてタンカーを持ち上げた。

 

ザバアアアアア!

 

それと同時に大波に飲み込まれるグランドサンダース。

しかし、大波がぶつかろうと微動だにせず、グランドサンダースは持ちこたえた。

そして波が完全に収まってから、ゆっくりとタンカーを下ろした。

 

ケイ 「・・・・」

 

ゆっくりとマイクを持ち上げ__

 

ケイ 「ミッションコンプリート!みんな、お疲れ様!」

サン生「Yearrrrrrrrrrrrr!」

 

次の瞬間、全サンダース生たちは飛び上がって成功を喜んだ。

その後。

 

クラー「デハ、これは貴女にオ預けしマース」

ケイ 「ええ。確かに受け取ったわ」

 

クラークたちは学園から去るとき、コントローラーをケイに差し出した。

 

アリサ「どういうつもりかしら。コントローラーを預かるより、元に戻させた方が絶対いいのに」

ナオミ「今後も同じ事態にならないとは言い切れないだろう。トランスフォームしなければ今まで通りの学園艦なんだ、支障はないとの判断だろう。それに__」

アリサ「それに?」

ナオミ「アリサもやってみたいだろう?アレの操作」

アリサ「んなっ!そ、そんな気持ちこれっぽっちもないんだから!」

ナオミ「そうか。じゃあ次動かす機会があれば私がやろう」

アリサ「あっ、ずるい!」

ハリス「デハ、我々はコレで」

マー 「お騒がせシマした」

 

そう言って去っていこうとする三人。

 

ケイ 「ねえ」

 

ケイが呼び止める。

 

三バカ「?」

ケイ 「気が向いたらまた遊びに来てちょうだい。生徒たちはみんなあなたたちを慕ってるし。宇宙人がらみの来訪でなければ私たちはいつでも歓迎するわ」

クラー「感謝しマース」

 

学園艦から降り、砂浜を歩く三バカ。

 

マー 「いい子タチでしたネ」

クラー「エエ。アリサくんはチョット怖いですガ、またお会いしたいデス」

ハリス「今度お邪魔スル時は面白い発明品デモお土産に持っテいきまショウ」

シン 「あっ!?」

 

浜辺をとぼとぼ歩いているシンディーに出くわした。

ギクリとした表情のシンディー。

 

ハリス「やあシンディー、ドウしましたカ?」

シン 「え?いや、あの、その・・・・ねえ?」

 

シンディーの様子から見るに、どうやら飛び出してから今まで宇宙人の情報は手に入れられなかったようだった。

気まずそうに、視線を落として肩をがっくり落としている。

 

マー 「シンディー、研究所ニ戻りマショウ。研究ハこれまで集めてクレた資料でも十分にできマース」

シン 「へっ!?」

ハリス「ソウソウ。人間上手く行かナイ時は必ずあるモノです」

クラー「私タチはチームデス。お互い支えあって行こうジャありまセンか」

 

そう言って笑顔で研究所に戻る三バカ。

 

シン 「ちょ・・・・何なの!?気持ち悪いんだけど!」

 

去っていく三人を、戸惑いながら追いかけるシンディーだった。




その後、サンダースの学園艦は時々直立歩行する時がある、という噂が出回り始めたとかなんとか。

個人的な意見ではありますが、サンダースは他の学校と比べても一丸と言うか、全校生徒が一つの目標に向かって協力し支えあうイメージがあります。
軍隊的と言ってしまえばそうかもしれませんが、自分としては協調性が優れている学校である、と思います。

近頃本当に暑い夏が続きますが、みなさんお気を付けて!
私は・・・・ギリギリ健康を保っていますよ!

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