BanG Dream!外伝 青い薔薇と白銀の戦士 作:リョースケ
第6話 それぞれの思い
白金家―――
『でね!あこもリサ姉も加入していいよって言われて!今日のことは、一生忘れない!!』
画面の向こうであこが言っている
それを聞くのは彼女のゲーム仲間である白金 燐子だ
「オーディション合格おめでとう!あこちゃんの努力が認められたんだね」
『でも、努力だけじゃないかも』
「どうゆうこと?」
『曲が始まったら、勝手に体が動いたの!すっごく上手に叩けて、リサ姉はマジックって言ってた!他のメンバーもいつもより、うまく演れたって』
『友希那さんも言ってた!みんなそう思ったんだよ!すごくない!?』
「そんなことがあるんだ。うん、バンドってすごいね」
『すごいよ!やっぱりバンドって最高!みんなと演るのって、楽しすぎる!ずっと1人で練習してたから、超感動したよ!』
「……みんなで……」
彼女は大人しく、1人で何かを極めるタイプだ。その性格からピアノとネットゲームを極めている
ゲームの腕もかなりのものらしい
(昔からずっと、1人で弾いてるピアノ…大好き、だけど……誰かの一緒になんて……私は……考えた事もない……)
『みんなが集まると何が起こるか分からない!奇跡って、たぶんこーいうことだよ!』
「……奇跡……」
「バンド、きっと成功するね。私も応援する」
『ありがとう!本当に嬉しいよ!りんりんも何か音楽初めてみたら、この感じ分かるよ!』
(あ……私……あこちゃんにピアノの話、してないんだ)
燐子はよく、と言うよりほぼ聞き手に回っている。それはあこが常に何かの話題をもっているからだ。ネットで喋りすぎてオフ会で話題がなるなる事もないらしい
その結果、自分自身の事をあまり話せてはいない
『バンド名はまだ決まってないんだ。りんりん何がいいと思う?』
「………」
『りんりん?もしかしてもうゲーム、インした?なら我も出陣するのでしばしか待たれよ』
応答がない燐子に向かってあこが問いかける
ちなみに、この口調はかっこいいを追い求めた結果で厨〇病では無いらしい
「あっ、まだインしてないよ。その前にもう少し、あこちゃんのバンドの話を聞いたらダメかな?」
『任せよ!今宵は一晩中語り明かそうぞ!』
「ありがとう。嬉しい」
(……バンドの話……不思議だけど……聞いてるだけですごく……楽しい……)
これが彼女がバンドに興味を持った瞬間だった――
氷川家―――
(今日のセッション………不思議な感じだったわ……)
紗夜は、今日のセッションの事を思い出していた。今日の事は彼女が今まで体験したことのない事だった
「おかえり〜!……お姉ちゃん、何見てるの?」
そんな事を考えながら、スマホのサイトを見ていると、双子の妹、日菜が部屋に入ってきた
「!日菜。スマホのぞき込まないでって、いつも言ってるでしょ」
「何のサイト?……FUTURE WOULD FES?なにこれロックのイベント?」
「これは私の事で、日菜には関係ない」
「……そっかー。関係ないかー。じゃーさ、じゃーさ、リビング行かない?お姉ちゃんの好きなわんこの番組、お父さんが見てるよ」
「録画してあるから、あとで見るわ。今忙しいの。だいたい、日菜は犬、別に好きじゃ無いでしょ」
「でも、お姉ちゃんは好きじゃん?わたし達双子じゃん?たまには一緒になにかしても……」
一緒、その言葉に紗夜は激しく反応した
「いつもあなたは、一緒のことばかりするじゃない」
「……!お姉ちゃん、あたしは……」
「同じ日に生まれて、私の方が少しだけ先に生まれたからって、なんで同じことをされないといけないの?」
「もう高校生なんだから、お互い干渉しないって約束したでしょう。自分の部屋に帰ってちょうだい。私は練習があるの」
「……わかった。……あの。ごめんね?」
(『フェス』の事が日菜に知られたら、私の真似をして、必ず自分も出ると言ってくる)
(そして今までしてきたように、私の努力を、軽々と才能で追い抜いていく………)
紗夜はこれまで、日菜に勝ったことが無かった。それもいくら努力をしても。
その結果、紗夜はいつの日か日菜を遠ざけるようになって行った
「比べられるのは、もうたくさん。……必ず、頂点を獲ってみせる……」
これが紗夜の頂点を目指す理由だ。
今井家、湊家前―――
「いやー、なんか驚きの展開だよね。友希那とバンドか。うん、アタシ頑張んなきゃ」
リサは改めてバンドを頑張ろうと決意を固めていた
「……あの時はセッションの勢いもあって何も言わなかったけど、メンバーの意見に従うひつようは無いわ」
「ん。でもさ、アタシ……友希那をほっとけないから。アタシには友希那を1人にさせないって使命があるからね。だから、バンドもやる」
「バンドは、そういうのとは関係……」
「うん。バンドはバンドでいい。アタシはそんな友希那の近くにいたいの」
(いつか……ちゃんと友希那が昔みたいに、笑えるようになるまで)
リサと一也は唯一、友希那の過去を知っている。でも、一也が戦っている以上、彼に負担を増やすわけにはいかない
「それだけだからさ!」
「…………ついて来られなくなったら、幼馴染でも……抜けてもらうから」
「はーいっ!そのために、練習がんばりまーすっ!」
「バンドメンバーが揃ったら、FUTURE WOULD FES.出場のコンテストに出る。それは、ちゃんと分かってるの?」
「うん……そうだね。わかってる」
それは一也もよく知っている事だった。自分と居れば危害が及ぶ。それを理解して自分から身を引いた。
彼女の夢を守るために
「メジャーで『売れる音楽』をきょうようされ、苦しんでいたお父さんを、『今の君達の音楽は要らない』と切り捨てたあのフェス……」
「――お父さんは、そのせいで音楽を辞めた。ずっと憧れていたステージに拒まれて……だから、絶対に失敗は許されない。許さないから」
「うん。アタシはブランクもあるし……みんなより技術もない。でも――頑張るよ」
(友希那がそんな顔をしているうちは、はなれるわけには、いかないから)
「……なら、好きにして」
「うん!じゃ、また明日!」
「………リサ」
家に入ろうとしたリサを友希那が呼び止めた
「リサは………一也の事、どう思う?」
「え?………それは今日の事…?」
友希那が無言で頷く
「一也には関わるなって言われたよ。でも………」
「でも?」
「ううん、だからこそ、ほっとけない。私に何が出来るか分からないけどさ」
「そう………悪かったわね。呼び止めて」
「ううん、大丈夫」
リサが家に入っていった
乾家―――
「………」
俺はベットに横になり天井を見ていた
最近になって、オルフェノクが暴れることが増えた
奴らが何を考えているかは知らないが、1人で戦う事に少し危機感を覚えていた
でも……オルフェノクと戦えるのは俺だけだ。そして、その戦いにリサ達を巻き込んではいけない
「やるしかないか……」
静かに拳を握った
憧れ、興味、嫉妬、夢、決意…
それぞれが、それぞれの思いを胸に、夜が更けていく―――
次回は一也と燐子のオリジナルシーンを書くことを予定してます
一也は1歩を踏み出せない燐子にどう関わっていくんでしょうか?
次回もお楽しみに!
※Twitter→ryosuke_riderW
よかった覗いて見て下さい