BanG Dream!外伝 青い薔薇と白銀の戦士   作:リョースケ

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第5話 それぞれの思い

第6話 それぞれの思い

 

 

白金家―――

 

 

『でね!あこもリサ姉も加入していいよって言われて!今日のことは、一生忘れない!!』

 

画面の向こうであこが言っている

それを聞くのは彼女のゲーム仲間である白金 燐子だ

 

 

「オーディション合格おめでとう!あこちゃんの努力が認められたんだね」

 

『でも、努力だけじゃないかも』

 

「どうゆうこと?」

 

『曲が始まったら、勝手に体が動いたの!すっごく上手に叩けて、リサ姉はマジックって言ってた!他のメンバーもいつもより、うまく演れたって』

 

『友希那さんも言ってた!みんなそう思ったんだよ!すごくない!?』

 

「そんなことがあるんだ。うん、バンドってすごいね」

 

『すごいよ!やっぱりバンドって最高!みんなと演るのって、楽しすぎる!ずっと1人で練習してたから、超感動したよ!』

 

「……みんなで……」

 

 

彼女は大人しく、1人で何かを極めるタイプだ。その性格からピアノとネットゲームを極めている

ゲームの腕もかなりのものらしい

 

 

(昔からずっと、1人で弾いてるピアノ…大好き、だけど……誰かの一緒になんて……私は……考えた事もない……)

 

 

『みんなが集まると何が起こるか分からない!奇跡って、たぶんこーいうことだよ!』

 

「……奇跡……」

 

「バンド、きっと成功するね。私も応援する」

 

『ありがとう!本当に嬉しいよ!りんりんも何か音楽初めてみたら、この感じ分かるよ!』

 

 

(あ……私……あこちゃんにピアノの話、してないんだ)

 

燐子はよく、と言うよりほぼ聞き手に回っている。それはあこが常に何かの話題をもっているからだ。ネットで喋りすぎてオフ会で話題がなるなる事もないらしい

 

その結果、自分自身の事をあまり話せてはいない

 

 

『バンド名はまだ決まってないんだ。りんりん何がいいと思う?』

 

「………」

 

『りんりん?もしかしてもうゲーム、インした?なら我も出陣するのでしばしか待たれよ』

 

 

応答がない燐子に向かってあこが問いかける

ちなみに、この口調はかっこいいを追い求めた結果で厨〇病では無いらしい

 

 

「あっ、まだインしてないよ。その前にもう少し、あこちゃんのバンドの話を聞いたらダメかな?」

 

『任せよ!今宵は一晩中語り明かそうぞ!』

 

「ありがとう。嬉しい」

 

(……バンドの話……不思議だけど……聞いてるだけですごく……楽しい……)

 

 

これが彼女がバンドに興味を持った瞬間だった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷川家―――

 

 

(今日のセッション………不思議な感じだったわ……)

 

紗夜は、今日のセッションの事を思い出していた。今日の事は彼女が今まで体験したことのない事だった

 

 

「おかえり〜!……お姉ちゃん、何見てるの?」

 

そんな事を考えながら、スマホのサイトを見ていると、双子の妹、日菜が部屋に入ってきた

 

「!日菜。スマホのぞき込まないでって、いつも言ってるでしょ」

 

「何のサイト?……FUTURE WOULD FES?なにこれロックのイベント?」

 

「これは私の事で、日菜には関係ない」

 

 

 

 

「……そっかー。関係ないかー。じゃーさ、じゃーさ、リビング行かない?お姉ちゃんの好きなわんこの番組、お父さんが見てるよ」

 

「録画してあるから、あとで見るわ。今忙しいの。だいたい、日菜は犬、別に好きじゃ無いでしょ」

 

「でも、お姉ちゃんは好きじゃん?わたし達双子じゃん?たまには一緒になにかしても……」

 

一緒、その言葉に紗夜は激しく反応した

 

 

「いつもあなたは、一緒のことばかりするじゃない」

 

「……!お姉ちゃん、あたしは……」

 

「同じ日に生まれて、私の方が少しだけ先に生まれたからって、なんで同じことをされないといけないの?」

 

「もう高校生なんだから、お互い干渉しないって約束したでしょう。自分の部屋に帰ってちょうだい。私は練習があるの」

 

「……わかった。……あの。ごめんね?」

 

 

(『フェス』の事が日菜に知られたら、私の真似をして、必ず自分も出ると言ってくる)

 

(そして今までしてきたように、私の努力を、軽々と才能で追い抜いていく………)

 

紗夜はこれまで、日菜に勝ったことが無かった。それもいくら努力をしても。

その結果、紗夜はいつの日か日菜を遠ざけるようになって行った

 

 

「比べられるのは、もうたくさん。……必ず、頂点を獲ってみせる……」

 

 

これが紗夜の頂点を目指す理由だ。

 

 

 

 

 

 

今井家、湊家前―――

 

 

「いやー、なんか驚きの展開だよね。友希那とバンドか。うん、アタシ頑張んなきゃ」

 

 

リサは改めてバンドを頑張ろうと決意を固めていた

 

 

「……あの時はセッションの勢いもあって何も言わなかったけど、メンバーの意見に従うひつようは無いわ」

 

「ん。でもさ、アタシ……友希那をほっとけないから。アタシには友希那を1人にさせないって使命があるからね。だから、バンドもやる」

 

「バンドは、そういうのとは関係……」

 

「うん。バンドはバンドでいい。アタシはそんな友希那の近くにいたいの」

 

(いつか……ちゃんと友希那が昔みたいに、笑えるようになるまで)

 

リサと一也は唯一、友希那の過去を知っている。でも、一也が戦っている以上、彼に負担を増やすわけにはいかない

 

 

「それだけだからさ!」

 

「…………ついて来られなくなったら、幼馴染でも……抜けてもらうから」

 

「はーいっ!そのために、練習がんばりまーすっ!」

 

「バンドメンバーが揃ったら、FUTURE WOULD FES.出場のコンテストに出る。それは、ちゃんと分かってるの?」

 

「うん……そうだね。わかってる」

 

 

それは一也もよく知っている事だった。自分と居れば危害が及ぶ。それを理解して自分から身を引いた。

 

彼女の夢を守るために

 

 

「メジャーで『売れる音楽』をきょうようされ、苦しんでいたお父さんを、『今の君達の音楽は要らない』と切り捨てたあのフェス……」

 

「――お父さんは、そのせいで音楽を辞めた。ずっと憧れていたステージに拒まれて……だから、絶対に失敗は許されない。許さないから」

 

「うん。アタシはブランクもあるし……みんなより技術もない。でも――頑張るよ」

 

(友希那がそんな顔をしているうちは、はなれるわけには、いかないから)

 

「……なら、好きにして」

 

「うん!じゃ、また明日!」

 

「………リサ」

 

 

家に入ろうとしたリサを友希那が呼び止めた

 

「リサは………一也の事、どう思う?」

 

「え?………それは今日の事…?」

 

友希那が無言で頷く

 

「一也には関わるなって言われたよ。でも………」

 

「でも?」

 

「ううん、だからこそ、ほっとけない。私に何が出来るか分からないけどさ」

 

「そう………悪かったわね。呼び止めて」

 

「ううん、大丈夫」

 

 

リサが家に入っていった

 

 

 

 

 

 

乾家―――

 

 

 

 

「………」

 

 

俺はベットに横になり天井を見ていた

 

最近になって、オルフェノクが暴れることが増えた

 

奴らが何を考えているかは知らないが、1人で戦う事に少し危機感を覚えていた

 

 

でも……オルフェノクと戦えるのは俺だけだ。そして、その戦いにリサ達を巻き込んではいけない

 

 

「やるしかないか……」

 

 

静かに拳を握った

 

 

 

 

憧れ、興味、嫉妬、夢、決意…

 

 

それぞれが、それぞれの思いを胸に、夜が更けていく―――

 

 

 

 




次回は一也と燐子のオリジナルシーンを書くことを予定してます

一也は1歩を踏み出せない燐子にどう関わっていくんでしょうか?

次回もお楽しみに!

※Twitter→ryosuke_riderW
よかった覗いて見て下さい

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