ガールズ&パンツァー アンツィオ物語   作:木原@ウィング

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休載すると言ったな?
あれは嘘だ

いや、本当の所は当分はこの作品の執筆には戻らないつもりでしたが(-"-;)
これからはあまり不快にさせないように書いていくつもりです
俺は俺のやりたいようにやります。

あと途中まで書いていた物を保存し忘れたのか全部消えていたので書き直すのに時間がかかりました














































あ~大洗に行きたい
癒やされたい。
あ、近い内にガルパンキャラとオリキャラでの恋愛作品書くつもりですのでそっちもよろしくお願いします


練習試合です!!

「いよいよこの日が来たっすね~」

 

「そうだね、ペパロニさん」

 

「昨日はしっかり眠れましたか? みほさん」

 

「うん、大丈夫だったよ。カルパッチョさん」

 

「お~い、そろそろ集合するぞ~?」

 

みほ達アンツィオ高校の面々は西住流が指定した合宿場に到着した。

その場には他の学校の生徒もちらほらと見かけられた。

 

(凄い……本当に全国の戦車道チームが集まっている)

 

「良いか? お前達、今日から始まる合宿だが決して怪我の無い様にするんだぞ?」

 

「「「「「「「「「はい! 総帥」」」」」」」」」

 

「そして全国の奴らに見せつけるぞ!! アンツィオ高校は弱くない! いや、強いって事を!!」

 

\ドゥーチェ!/  \ドゥーチェ!/  \ドゥーチェ!/  \ドゥーチェ!/  \ドゥーチェ!/ 

 

\ドゥーチェ!/  \ドゥーチェ!/  \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/  \ドゥーチェ!/ 

 

アンチョビの演説が終わるとアンツィオ高校の面々は口々に総帥コールを始める。

それを初めて見る他の学校の生徒達はポカーンとしてしまっている。 

 

「よ~し! 時間までまだ有るけどみんな急いで練習場所に向かえ~!」

 

「「「「「「「「「おぉ~!!」」」」」」」」」

 

アンチョビの号令と共にアンツィオの生徒達はCV33に乗り込み演習場に発進し始める

 

「何だったのかしら? さっきの」

 

「あれがアンツィオ高校かぁ」

 

「excitingな子達だったわね!」

 

「西住隊長、さっきみほ副隊長いませんでした?」

 

「あぁ、いたな」

 

「みほ、滅茶苦茶アンツィオに染まっていなかったか?」

 

「……みほ」

 

その場にいた他の学校の面々は先程の行動から持ち直し、苦笑いしていた

黒森峰の生徒達は随分と驚きを感じていた

自分達が良く見知った人物のはっちゃけた姿を見たからだろう。

普段はちょっとの事では動じないまほですら驚いて口を開いてポカンとしていた

 

 

「よ~し! 我々が一番乗りだな!」

 

「そうっすね姐さん!!」

 

「でも早すぎませんか?」

 

「みほさんの言う通りです。いくら何でも……」

 

「物事を進めるには少し早いくらいが丁度良いんだ!」

 

「流石は総帥! 抜かりないっす!!」

 

練習試合の会場にCV33で一番乗りしたアンツィオ高校

しかし、そのメンバーの中でも比較的(まだ)常識人のみほとカルパッチョは訝し気に言う

それに対しておおらかな笑顔で答えるアンチョビとそれを称えるペパロニ

 

「ふん、単純なのね! 貴方達がアンツィオ高校?」

 

「え?」

 

突然、自分の後ろから声をかけられみほは振り返る

みほは振り返って見るがそこには誰も居なかった

 

「? あれ? 誰もいない?」

 

「ちょっと!! ここに居るでしょう!? 見えてるでしょうが!!」

 

「冗談ですよ」

 

「冗談!?」

 

「はい、冗談です」

 

少し意地悪そうな顔をしてそう宣言するみほ

その顔は小悪魔の様な感じだった

 

「それで、どちら様ですか?」

 

「どちら様って……この制服見て分からないの?」

 

からかわれた事が不満なのかその少女は自分の制服を見せつける

その制服はサンダース大付属高校の制服だった

 

「サンダース大付属高校ですか」

 

「そう! 今日のあなた達との練習相手よ」

 

「サンダース高校が相手……ですか」

 

「貴方達のような弱小高校の相手が四強の一つの私たちなんだから感謝しなさい?」

 

その上から目線の言い分に少し眉を不快そうに曲げるみほ

 

「お~い、どうしたんだ? みほ」

 

「あっ、ペパロニさん」

 

少し険悪な雰囲気になりかけていたその場にペパロニが笑顔で手を振りながらやって来た

それを見て少し笑顔になるみほ

 

「そろそろ相手が来るらしいからアンチョビ姐さんが呼んでるぜ?」

 

「えっと、今その相手と話していて」

 

「え!? もう来てたのか?」

 

「うん、ほら……」

 

「え? 何処だ?」

 

「いや、目の前にいるでしょうが! 何だ、お前は目でも悪いのか!?」

 

「ん? おぉ、そこに居たんだ」

 

「え、まさか本当に気が付いていなかったの!?」

 

軽快な笑顔で頭を掻くペパロニとその態度に驚愕するサンダース大付属高校の隊長らしき人物

二人のやり取りを見て苦笑いをするみほ

 

「で? アンタが今日のアタシ等の練習相手っすか?」

 

「何をサラッとなかった事にしているのよ……えぇ、そうよ」

 

「ペパロニさん、この人はサンダース大付属高校の隊長さんらしいよ」

 

「隊長は隊長でも2軍のだけどね」

 

「え? 2軍ってそんなの有るのか!?」

 

「はい、サンダース大付属高校は全国で一番人数が多いんです」

 

「へ~スゲェな!!」

 

「ふふん! そう、私は凄いのよ!」

 

ペパロニの率直な感想を受けて嬉しそうに胸を張る隊長

そこでふとある疑問に思い立ったのかみほが手を挙げて質問する

 

「あの、そう言えば聞いていなかったんですけど……貴方の名前って何ですか?」

 

「アレ? 名乗っていなかったっけ?」

 

「はい」

 

「そう……だったら名乗らなければいけないわね!」

 

「私は、サンダース大付属高校の2軍隊長! エイブリーよ!!」

 

「エイブリーさんですね」

 

「で、貴方達の名前は何なのかしら?」

 

「おう、私達も名乗らないとな。みほ、『アレ』やるぞ!」

 

「え、えぇ~!? 『アレ』やるの!?」

 

「『アレ』?」

 

ペパロニとみほの『アレ』発言が気になるのか首をかしげるエイブリー

ようやく話が纏まったのか少し顔を赤らめたみほと笑顔なペパロニが背中合わせで立ってエイブリーに向き直る

 

「全国戦車道の名だたるチームにその名が轟くアンツィオ高校! 戦車乗りの魂背中に背負い、不撓不屈の! あ、副隊長!  ペパロニ様たぁ、私のことだ!!」

 

「そして私は、その右腕にしてアンツィオ高校の頭脳! ノリと勢いに確かな力を授ける大参謀! 西住みほとは私の事です!」

 

「…………」

 

「…………ペパロニさぁん、これやっぱり物凄く恥ずかしいです」

 

「なぁに言ってんだよみほ。お前だった結構ノリノリだったじゃねぇか。それに相手を見て見ろ」

 

恥ずかしそうに顔を下に向けるみほと大して平気そうな顔でエイブリーを指さすペパロニ

ペパロニに言われるがままエイブリーを見てみるみほ

そこには口をポカンと開けて止まっているエイブリーが立って居た

 

「私達の凄さに驚いて放心しているぞ」

 

「うん、ある意味で驚いて放心しているんだと思うんだけど」

 

そこでようやく放心状態から復帰したのかエイブリーが少し困惑した表情で聞く

 

「えっと……さっきのあれって何?」

 

「前にペパロニさんが読んだ漫画の影響であんな風の名乗りをすることになって……」

 

「……貴方も苦労しているわね」

 

「あ、でもさっきのはやる前は恥ずかしいですけどやってみると結構楽しいんですよ?」

 

「……何やかんやで貴方も楽しんでいるのね」

 

「ま、まぁ良いわ。それより、今日の試合はよろしくね」

 

エイブリーはそう言って手を差し出してくる。

その意図を察して差し出された手を掴んで握手するみほ

 

「はい、よろしくお願いします」

 

「私達はどんな相手でも全力を出すから……呆気なく勝負が付いちゃうかもね?」

 

「……ふふ、それは無いですよ」

 

「? どういう事かしら?」

 

「そんなの決まってんだろ?」

 

エイブリーの発言を受けて目の色が変わるペパロニとみほ

その一瞬にして変わった二人の様子に少し飲まれかけるエイブリー

 

「豆戦車だけだと思って甘く見ていると痛い目を見ますって事ですよ」

 

「そう、それにな……弱小校だとは思ってくれるなよ?」

 

「「私達を誰だと思っていやがる」」

 

「…………」

 

「お互い、全力を出して戦いましょう」

 

それだけ言って二校の代表は分かれた

いよいよ試合が始まる

 

「Avanti!!」

 

「Tank forward!!」

 

 

 

 

試合が始まって暫く経った。

相手はサンダースの2軍だがそこそこの強さを誇っているようで既にみほ達アンツィオ高校の1/3が脱落していた。

 

「ペパロニさん率いるオオカミさんチーム、リスさんチーム、ヘビさんチームはそのまま攪乱してください!」

 

『SI!! テメェ等、このペパロニに続けぇ!!』

 

『『『おぉぉぉぉぉ!!』』』

 

「そしてカルパッチョさんのデージーチームと総帥は合図をしたら混乱した敵チームを各個撃破してください」

 

『任せろ! レジスタ!!』

 

カルパッチョの乗るセモベンテからカンターレの元気な返答が帰ってくる

 

『おい! みほの名前はジェラートって言っただろ!!』

 

『レジスタの方が格好良いみほにはピッタリだろ!?』

 

突然始まった通信機越しでのペパロニとカンターレの口喧嘩

もはやそれはアンツィオ高校の名物と言われるほどになってきていた

 

「わ、私としてはどっちも好きだから良いんだけど」

 

『そうも行かねぇ!! 名前は一つだから良いんだ』

 

『だからこそ格好良い名前の方が良いだろう? 凜とした名前の子とのディナーは最高なんだ』

 

『なぁにがディナーは最高なんだ、だ! お前、まだ一回もみほと二人きりでディナーなんか行けてないだろうが!!』

 

『お前が毎度毎度一緒に付いてくるんだろうが!!』

 

「もう! 二人とも今は相手との戦闘に注意を向けて!! 相手はサンダースなんですよ!?」

 

『『す、すいません』』

 

延々と続きそうだった言い争いに決着を付けたのは少し怒ったみほの怒声だった。

それを受けてすぐに大人しくなるペパロニとカンターレ。

これを見ればアンツィオ高校での力関係を垣間見れただろう。

 

((((みほさんは怒らせない様にしよう……))))

 

 

『どうだ、ジェラート?』

 

「総帥……」

 

『なんだかみほにそう呼ばれるのはむず痒いな』

 

「そうですか? 私はジェラートって名前にようやく慣れてきた所ですよ」

 

『まぁ、慣れるまでに時間が掛かったよな』

 

アンチョビは少し困ったように頭を掻きながら通信機越しに苦笑いをする。

そんなアンチョビの様子を隣で控えていたカルパッチョも苦笑いで見ていた。

 

「総帥、ペパロニ達は大丈夫でしょうか?」

 

「みほが指揮しているんだ。大丈夫だろう」

 

「でも何時も作戦時には簡単なミスをしてますし」

 

カルパッチョは普段のペパロニを知っているからか少し不安そうになっている。

アンチョビはそんなカルパッチョを見て少し微笑む。

 

「カルパッチョ……お前は最近のペパロニを見ていたか?」

 

「え?」

 

「アイツ、みほが指揮を執るようになってから失敗するどころかいつも以上に張り切って成果を上げているんだ」

 

「そうだったんですか?」

 

「あぁ、私自身もとても驚いている」

 

とても嬉しそうに懐から戦果表を取り出す。

そしてそれをカルパッチョに渡して見せる。

 

「これは……確かに最近のペパロニの戦果が凄いですね。でも、何で急に?」

 

「恐らくはみほの為なんだろうな」

 

「みほさんの為?」

 

「黒森峰での様な事を繰り返させない様にするためか、それともただ単にみほを守るための力が欲しいのか……」

 

「ペパロニも思う所が有ったんですね」

 

カルパッチョもみほが自分達、アンツィオ高校の戦車道への参加を決意したあの日の出来事を思い出してそう呟いた。

あの日、自分達ですら見た事が無い程に怒ったペパロニ。

そんなペパロニの力を引き出したみほを凄いと思いながらも自分もみほの手助けがしたいと思ったのだ。

 

『各車両! これよりわちゃわちゃ作戦を開始します!!』

 

「おっと……そろそろ戦局が動きそうだな?」

 

「みたいですね」

 

「さぁ、私達も動くぞ!」

 

「はい!」

 

アンチョビの号令と共にアンチョビの乗るセモベンテM40とカルパッチョの乗るM13/40、そして護衛のCV33が走り出す

 

『CV33部隊はナポリターンで敵の動きを牽制してください! とどめはカルパッチョさんとアンチョビさんがお願いします!』

 

「「了解!!」」

 

『それでは皆さん! 健闘と好運を祈ります!』

 

 

 

「何でこんなにもやりにくいの!? 相手はただの豆戦車なのに!!」

 

「動きが速すぎて狙えない!?」

 

「それでもウィークポイントを狙えば一撃で!」

 

「だから相手がわちゃわちゃと動き回っているから狙いが定まらないの!!」

 

サンダース大付属高校の主力部隊は今現在、舐めてかかっていたCV33に翻弄されていた。

その猛攻の前にM4シャーマンに乗った面々は指揮系統が混乱している。

 

「よし今だ!! 全員ナポリターンでキルポイントに誘い込んで決めてやれ!!」

 

「「「「SI!!」」」」

 

ペパロニの指示と同時にその場の全車両が180度回転する。

その行動にサンダース大付属高校の生徒達は驚愕する

 

「なっ!? いくら豆戦車でもあんな事すれば横転するのに!?」

 

「何でそのまま走行できるの!?」

 

「感心している場合じゃないです!! 囲まれました!!」

 

アンツィオ高校の機動力の高さにサンダース大付属高校が呆気に取られている間にペパロニ率いるCV33部隊がM4シャーマンを取り囲む

 

「Spara!!」

 

ペパロニの攻撃命令を受けてM4シャーマンを取り囲んだCV33が一斉に射撃を開始する。

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」

 

「いや、痛いのは戦車だから!!」

 

「くぅ!! 何をしている!? 豆戦車如き! 早くどうにかしなさい!!」

 

「出来たらとっくにしてる!!」

 

パニック状態になりかけたフラッグ車の操縦士と護衛車の砲手が喧嘩を始める。

 

「ね、ねぇちょっと!! 喧嘩している場合じゃなくて砲撃されまくっているんだけど!!」

 

「落ち着きなさい! たかが機銃如きじゃこの戦車を倒すの無理よ!!」

 

車長の一言で落ち着きを少し取り戻せたのかハッとなる操縦士と砲手。

それを見て操縦士にすぐさま指示を出す車長

 

「そうだ! だからさっさと追いかけて潰すわよ!!」

 

一時のパニック状態からすぐに立ち直ったフラッグ車とその護衛はそのままCV33の追撃に向かう。

そのまま自分達の周りを囲むCV33に砲撃を撃ち込む。

しかし、砲撃はCV33の横に着弾しただけで相手は意にも介していない。

 

「ちゃんと狙いなさい!!」

 

「やっている!!」

 

「待て! CV33を見て見ろ!!」

 

フラッグ車からの怒りの通信に砲撃を外した護衛車も怒鳴りつける。

護衛車の一つがCV33が全車反転してM4から逃げ始めたのだ。

 

「逃げていく?」

 

「勝てないと悟って慌て始めたのか?」

 

「よし!! だったらさっさと仕留めるぞ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

すっかり勢いを取り戻して調子に乗り始めたサンダース。

そのままCV33を追いかけて森の中に入り込むM4。

 

相変わらずすばしっこく動き回るCV33に何とか食らいつこうとするM4シャーマン

 

「さぁ、止め!!」

 

M4から砲撃が飛びそれをギリギリで再び避けるCV33

 

「っち! 装填をッ!!」

 

「撃て!!」

 

装填を命じる直前、M4の横から砲撃が突き刺さる。

その衝撃が収まるとM4から白旗が立ち上る。

 

「サンダース大付属高校 M4シャーマン走行不能!!」

 

「砲撃!? 一体何処から……」

 

フラッグ車を護衛していた一両が走行不能になり、慌ててキューポラから顔を出して辺りを見渡すフラッグ車の車長。

目を凝らして遠くを見つめてみると森の奥から一台のセモベンテを発見する。

 

「二時の方向にセモベンテ発見!!」

 

『フラッグ車ですか!?』

 

「いや、フラッグ車ではないがここで潰すぞ!」

 

『了解!!』

 

見つけたセモベンテを二台で倒そうとするM4。

そんなM4に向かって突進するように全速力で向かってくるセモベンテ。

 

「破れかぶれでやけになったか!?」

 

「だったら望みどおりに潰してやる!! 撃ち方よーい!!」

 

「そのまま敵戦車の間を走りぬいてください」

 

「SI!!」

 

M4の間へみほの乗るセモベンテが駆け抜ける。

セモベンテの突撃を受けて少し動揺したのか間が空き、そこを綺麗にすり抜けたみほ。

 

「今です!!」

 

みほの指示を受け、セモベンテがナポリターンを決めて護衛車の背後を取る。

 

「Jesus!!」

 

「撃て!!」

 

超至近距離から背後を撃ち抜かれ、M4シャーマンから白旗が上がる

 

「サンダース大付属高校 M4シャーマン 走行不能!!」

 

「残るはフラッグ車だけ!!」

 

「舐めるなぁ!!」

 

護衛を全て倒されたフラッグ車がセモベンテに照準を合わせて突撃してくる。

 

「アンツィオ高校如きに、私達サンダースが負ける筈無いんだよぉ!!」

 

「……アンツィオ高校如き?」

 

キューポラから顔を出したサンダースのフラッグ車車長の言葉を聞いてみほの眉が少しだけ上がる。

その顔には少しだけだが怒りの表情が有った。

 

「……装填完了しています」

 

「……ここでは撃破しません。作戦通りに行きます」

 

「了解」

 

装填手からの連絡を受けてそう答えるみほ。

顔を一切向けず、視線を敵フラッグ車からは離さない。

 

「撃て!!」

 

「撃て!」

 

敵フラッグ車からみほの乗ったセモベンテに向けて砲撃が飛んでくる。

それと同時にみほのセモベンテも砲撃をする。

 

みほ達の撃った砲弾はM4シャーマンの履帯を片方だけ吹き飛ばす。

サンダースのフラッグ車の砲弾は見事にセモベンテに直撃し、白旗が上がる。

 

「アンツィオ高校 セモベンテ 走行不能!!」

 

「ふっ! 勝ったわね」

 

セモベンテを撃破したというアナウンスを聞いて自分たちの勝利を確信したサンダースのフラッグ車。

そんなフラッグ車の背後から轟音が響く。

轟音がしてから少しするとフラッグ車に衝撃が走る。

 

「サンダース大付属高校 フラッグ車 走行不能!!」

 

「……え?」

 

フラッグ車の車長はキューポラから顔を出して周りを見渡すと、いつの間にか自分たちの後ろに二体のセモベンテがいた。

その砲身からは煙が出ており、それでM4を撃破したのだ。

アナウンスの意味が分からないのか敵フラッグ車の車長はポカンと口を開けてただ茫然としている。

こうして、サンダース大付属高校とアンツィオ高校の練習試合はアンツィオ高校の勝利に終わった。

 

 

 

「みほ~!!」

 

「ジェラート!!」

 

「レジスタ!!」

 

「みほさん!!」

 

試合が終わり、広場に集まったペパロニ、カンターレ、アンチョビ、カルパッチョは今回の試合の作戦の立役者であるみほを囲い、もみくちゃにして喜んでいた。

 

「まさかサンダース大付属高校に勝ててしまうなんて!!」

 

「今までじゃ、考えられない事だぞ!」

 

「流石はジェラートだ!」

 

「レジスタはやっぱり最高だぜ!」

 

「皆さん、少し落ち着いてください~」

 

みほの頭をわしゃわしゃして喜ぶペパロニ。

他のアンツィオ高校の面々を相当嬉しいのかさっきから普段以上に落ち着かない様に笑いながら他の人達と話している。

そこに歩いてくるサンダース大付属高校の戦車道チーム。

 

「HEY! アンチョビ~」

 

「ん? おぉ、ケイか!」

 

ケイとアンチョビは顔を合わせると挨拶として互いにハグを交わす。

 

「Great!! 今回のアンツィオ高校との試合! とても素晴らしい試合だったわ」

 

「そっちこそ相変わらず強かったよ」

 

「そうでしょ? 2軍だけど彼女達は私達1軍も信頼しているからね~」

 

「所で、あの作戦を考えたのは?」

 

「ん? あぁ、それはな……お~い! みほ!!」

 

「? はい」

 

アンチョビに呼ばれてケイ達の元に来るみほ。

 

「あなたがあの作戦を考えたの?」

 

「あっはい」

 

「……Exciting!! 見ていてとっても楽しい試合だったわ!!」

 

「わっ!」

 

みほを見て笑顔を見せるとケイはそのままみほに抱き付く。

いきなりの事で目を白黒させて驚いて固まるみほ。

そこに三人ほどのサンダース大付属高校の生徒が近づいて来る。

 

「ケイ、何やっているのよ」

 

「あら、エイブリーじゃない? 試合後の挨拶?」

 

「そうよ。で、その抱き付いている子が隊長?」

 

「ううん、この子はさっきのExcitingな作戦を考えた子だって!」

 

「さっきの? ……そう」

 

それを聞いたエイブリーはみほに顔を向ける。

みほもその顔を見てこの少女が先ほどのフラッグ車に乗っていた車長だと気が付いた。

 

「改めて、私はサンダース大付属高校戦車道チーム二軍の隊長、エイブリーよ」

 

「アンツィオ高校戦車道チーム 参謀 西住みほです」

 

「西住? もしかして貴方、西住流の?」

 

「……はい、そうです」

 

「そう……凄かったよ。本当に」

 

「まさか豆戦車達に負けるとは思わなかったわ」

 

エイブリーはそう言って笑顔でみほに笑いかける。

先程の試合の時とは違うその様子を見て首をかしげるみほ。

それを見て、エイブリーは少し気まずそうに頬を掻く

 

「あ~試合中はごめんね? 私って戦車に乗ると口が悪くなるから」

 

「パンツァー・ハイですか?」

 

「そうなんだよね~私としても困っているんだけど」

 

困った風に言うエイブリーにみほはアドバイスしようとした瞬間

 

「お~い、みほ~!!」

 

「そろそろ準備するから戻ってきて~!!」

 

「あ! は~い!! 分かりました~」

 

「あら、ごめんなさいね? この後、何か有るの?」

 

「はい!! サンダースの皆さんも良ければ是非!!」

 

「WAO! 何か楽しそうな事?」

 

「はい! とても楽しい事です!!」

 

「OK!! それじゃあ私達も参加させてもらうわ!!」

 

「ありがとうございます!! それじゃあ、準備してきますね!!」

 

そう言ってみほはペパロニ達の元へ急いで行った。

みほのその姿を手を振りながら見送るケイとエイブリー。

しばらくしてケイが再び口を開く。

 

「エイブリーもそのパンツァー・ハイが無ければ一軍に来れるんだろうけどね~」

 

ケイはやれやれと手を挙げて首を横に振る。

その仕草を見てエイブリーも苦笑いになる。

 

「前までは絶対に一軍になってやる!って思っていたんだけどね。最近は二軍の子達が心配になっちゃって直っても上がらないと思うわ」

 

「あれ? そうなの?」

 

「うん、なんか二軍の子達が放っておけなくてね」

 

「そっか……まぁ、エイブリーだったら安心して二軍を任せられるわね!」

 

「任せなさい。あの子達を鍛え上げて一軍だって倒せるようにしちゃうから」

 

「ふ~ん、言うじゃない」

 

エイブリーからの宣戦布告を嬉しそうに受け取るケイ。

そんな二人を遠くから見つめるアリサとナオミ

 

「何か、私達はカヤの外って感じね」

 

「仕方ないさ。それよりさっきの子……」

 

「どうしたのよ?」

 

「いや……何でもない」

 

ナオミはそれだけ言ってポケットからガムを取り出して噛み始める。

 

「……アンタって本当にガム好きよね?」

 

「お前も食べるか?」

 

「遠慮しておくわ」

 

それだけ言って二人もケイとエイブリーの元に向かって行った。




※今回のサンダース大付属高校との試合で使用した作戦

わちゃわちゃ作戦
CV33で敵の戦車部隊へ突撃し敵部隊を全方位から囲み銃撃する。
銃撃する時は前方のCV33はナポリターンで反転してくる

相手が落ち着きを取り戻す前に煙幕を巻きながら散開し辺り一面を見えなくさせてセモベンテ、もしくはP40で狙い打つ
煙を巻き終えるとCV33はその場を離れる。

別verで煙を巻かずそのまま銃撃で注意をCV33へ向けさせ、CV33を追撃させてキルポイントへ誘い込みセモベンテ、もしくはP40が止めを刺す

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