上海可愛い
[メリーの家~上海side~]
「暇だ.....」
蓮子が気絶している間、何もすることが無い...2時間ほどずっとメリーは暇そうにテレビを見ているし、私は机の上でただ立っている。
ついさっきまでは世話ーるくんをいじって、動けるようにしたのだが.....3歩歩いたところで首が取れて動かなくなった。
ここまでポンコツなのをよく売る気になったな、と意味のわからない感心をする。
きゅぅぅぅ.....
可愛らしいお腹のなる音が聞こえる。音の発生源はメリーのようだ。
「お腹空いたわね。」
恥ずかしがるわけでもなくメリーは呟く。確かに....世話ーるくんを待っている間にハンバーガーと言うのは食べてしまった。
「ねぇ上海さん。料理作るから手伝ってもらえる?」
首を後ろに向けながらそう聞いてくる。少し悩んだ後、コクリと頷く。
「んじゃ、今日の晩御飯は簡単にカレーね。」
そう言いながらメリーは台所に向かう。私はその後を追う。
[メリーの家・台所~上海side~]
綺麗に整った台所。レストランの厨房なんかより綺麗じゃないか?と思えるくらいだ。
メリーは鍋を出したり包丁を出したりしていた。私は食材を運んだり、まな板を出したりしていた。
食材は、玉ねぎ、人参、牛肉、カレールー、納豆、秋刀魚、チョコレート.....などなど最初は普通の材料だったが、途中からおかしくなって言った。二日前買ったものを冷蔵庫に入れていたらしいが.....腐ってないか?
「上海さん、私秋刀魚切っておくから他の材料切っといて。」「分かった。」
秋刀魚は一体どうするつもりなのだろう.....まさかカレーに...そんな事ないか...
私は黙々と野菜などを切っていた。途中、ブロッコリーや鷹の爪があった。新しい味付けか?と思ったが.....切ろうと思っていたものに[シュールストレミング]があった時は、「あ、これだめだ。絶対不味い物が出来上がる」そう思った。ちなみにシュールストレミングは静かに足元の棚に入れておいた。
.......背後からチェーンソーみたいな音が聞こえたり、明らかにおかしいくらい部屋の温度が上がったり....色々あって、カレーが完成した。
完成したと同時に蓮子が起きた。その顔は苦悶の表情だった。
そして私にはその原因が分かっていた。私も同じ顔をしていただろう。
その原因とは...もちろんメリーの作ったカレーだった。正しくはカレーのような謎の物質だ。
色はもちろん紫。臭いはこの世のものとは思えない程の恐ろしいもの。カレー?の中からは秋刀魚が頭を覗かせている。
メリーは平然としているが、私達2人はその臭いになんとか耐えている。これが[立っているのがやっと]って状態だろう。
「あ、おはよう蓮子。晩御飯できたから食べよ?」
すっごい可愛らしい笑顔でそう言いながら、各自の皿にカレー()を注いでいく。
全員の分を注ぎ終わると同時に、カレーを掬っていたお玉が溶けて無くなる。皿は溶けなかったが、カレーの下の白飯は蒸発した。
「さぁ、召し上がれ♥」「「い、いただきます」」
どっちも笑顔だが、私達は引きつった笑顔で言う。
スプーンで掬うってみると、秋刀魚の頭とカレーが付いてきた。蓮子の方を見ると、バナナの皮が入っていたようだ。
顔を見合わせ同時に口に入れる。
口の中で広がる甘すぎるカレー.....喉を通るのを邪魔する納豆...ただ苦いだけの秋刀魚の頭.....それが絶妙なバランスで奇跡の味を醸し出していた。
一言で言うと.....地獄だった。
どんな人間もあれ以上不味いものを食べたものはないだろうと言うくらい不味い。
~蓮子&上海食事(拷問)中~
何度も吐きかけながら完食した。
「「.....ご馳走様でした...」」「お粗末さまでした~」
胃の内容物を抑えながらメリーの皿を見ると...
「少しも.....減っていない...?」
メリーは不思議そうな顔をしながらこう言う。
「あんな不味いもの、私食べられないもの。にしても良く食べれたわね♥」
2人は盛大に吐きだしたとさ。
皆さんもメリーカレー作ってみてください!!きっと死にます(笑)