今回は次回のネタこねに少し時間がかかりそうなので番外編です。
今回の主人公の上海人形はいつもの上海人形とは別のやつです。表記的にはA上海でまとめています。
上海可愛い
[アリス亭]
僕の名前は上海。アリス様に仕える人形部隊の一体だ。
こう見えて自立人形だ。
結構前から自分で動けるようになっていたが、言う気になれなくてな。だって何の研究も実験もしていない僕がなったんだよ?言いにくいじゃないか...
毎晩夜遅くまで人形を弄り、実験を繰り返し改良を加え...ってやってんのに、昨日まで部屋の掃除してた奴がいきなり動けるですよ?あの実験は何だったんだって話になっちゃうじゃないですか...
てわけで、こんな感じで静かに生きている自立人形もいるんですよ。ちなみに僕が知っているだけでも2体は自立人形がいる。
本当はもう一体いたのだが...アイツは...いい奴だったよ...この前家出した自立上海人形を探している時にアリス様が吹雪に入った後、なかなか出てこなかったので心配したアイツが飛び込んでいった。当然ながらアイツは帰ってこなかった...きっと吹雪で倒れた木に潰されたりしたんだろう。
そえそう。家出した自立人形と言うのはアリス様が知っている中での自立人形だ。僕達はアリス様に知らさずに過ごしているからいつ自爆特攻をするハメになるのか分からない。ま、そのスリルが有るから知らさずにやっているんだけど...
んで、話を戻して...その自立人形は家出して、僕達が毎日探しているのだ。
結構前置きが長くなってしまったが、この前霧の湖前の森を探していた時の話をしようかな.....
[霧の湖前の森]
捜索初めて4日目今まで家事を任されていた奴も捜索に駆り出された日。
僕は妖怪などに絡まれないように捜していた。
すると...「そーなのかー」この声は絶対あの妖怪だな、と言う声が聞こえてきた。
絡まれたくはないが様子を見るだけならと浅はかな気持ちで木の影から覗きみると...
氷の妖精と宵闇の妖怪が楽しそうに雑談していた。
「で、そのカエルを凍らしてやったのよ!」「そーなのかー」よく聞く会話だな...
「んじゃね~」「そーなのかー」どうやら氷の妖精は帰るようだ。そう言えば宵闇の妖怪ってどこへ帰るのだろうか...その好奇心が後にめんどくさいことを引き起こすとは全く考えてなかった...
宵闇の妖怪はフワフワと空を漂っていた。それを下から僕は追跡していた。「白か...」おっと、つい声が出てしまった。ん?そこ変われって?残念だけど僕は一人称こそ僕だが、れっきとした女だ。だって上海人形はほとんどが女だもの。ちなみに白ってのは空の雲の色だ。残念だったな!!
しばらくついて行くと、森の真ん中にポッカリ穴が開いた様な広場に出た。真ん中には切り株があり、そこに彼女は腰掛けた。
この広場は遮蔽物が何もないので、近づく事が出来ない...
よく良く聞いてみると何か喋っているようだ...
見つかる覚悟でそっと近づいてみると...「そーなのかーとかやってられっかよ...」聞いては行けないものを聞いてしまった気分だ。とりあえず励ました方が良いのか...
そこでオロオロしていると、どこからともなくどでかい熊がやって来た。何故やって来たかは知らないがやって来た。
低い唸り声上げ、僕を見る。でも人形という事に気づいて次の獲物、つまり宵闇の妖怪に目をつけた。
静かにそして素早く宵闇の妖怪に飛びかかる。
「今私は機嫌が悪いんだよ...」そんな決め台詞の様なことを言いながらどこからともなく木の棒を取り出した。そんな装備で大丈夫か?
その木の棒を素早く横に振る。長い。その棒は3mはあるんじゃないかと言うくらいの長さだった。
ふり抜かれた木の棒は熊の脳天を捉え、熊を吹き飛ばした。正直いってあの大きさの熊を吹き飛ばせる腕力よりも、その熊の重さを受け止めた棒の耐久性を疑う。一体何で出来ているんだか...
熊はすっかり怯え宵闇の妖怪の力を凝視する。まぁ、見た目は幼い女の子だからな...
「邪魔だ...失せな...」と言いながら棒を地面に叩きつけると、熊は走って逃げて行った。
そろそろバレる前に逃げた方が良さそうと判断した僕は気づかれないようにそろりそろりと逃げ帰る。
「おい...」あぁ、これはバレてますわぁ...
「これ落としたぞ...」と言いながら小さなリボンを渡してきた。髪を触るとさっきまで付けていたはずのリボンがなかった、どうやら途中で落としていたようだ。
「シャンハーイ!!」と言いながら頭を下げリボンを受け取る。さぁ、このまま逃げさせてもらおう。
「また明日もここに来い。私の秘密を知った罰をくれてやろう。」
これは死刑宣告と取ってもいいのですか?
二つに分けたので続きを楽しみに待っといて下さいね?