業火変身 仮面ライダー   作:バケツ頭

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絶対悪魔仮面ライダーのリメイクとなります。前の作品を書くのをやめた理由は自分の思ったものが書けなくなったからです。自分勝手ではありますが、もしよければまた見てください!


第1話 コードネームD

俺の名は悪郷幽魔、小学校5年生になりたてだ。俺の世界にはエスパーと呼ばれる超能力者がいる。漫画などでよくあるアレだよ。とはいえ漫画のように上手くいくわけではなくやはりエスパーを差別したり恐怖する人達もいる。俺の話に戻るが俺こと悪郷幽魔には一般人とは違う点が二つほどある。

 

一つ目、俺はかつて瀕死の重傷を負い生死の境を彷徨った事がある。だがその時、俺は夢の中で自分を神と名乗る男に出会った。その神は俺の体を治してくれただけでなく、人知を凌駕した力と知能を授けてくれた。

 

二つ目、俺には神がくれた力以外にもレベル7のパイロキネシスの能力が備わっている。俺の姉が殺された後に能力が備わっていることが分かった。能力が備わってから俺はバベルにスカウトされ特務エスパーとなった。以来俺は同じレベル7の少女達と共にチームを組み活動している。

 

以上が俺が一般人とは違う点だ。これらの事を踏まえて俺に起きた出来事を話して行く事にしよう。俺が20歳になるまでに起こった出来事を。

 

 

 

風都にある霊園、ここには悪郷幽魔の愛する家族が眠っている。幽魔は百合の花を片手に墓前の前に立ち被っているハットを外した。

 

「麻里奈姉さん、今日は百合の花にしてみたよ。よく百合が好きっていってたよね」

 

俺のこの世界でのたった1人の家族、悪郷麻里奈は素晴らしい女性だった。血の繋がっていない俺を実の弟のように育て愛してくれた。そんな姉さんはバベルに就職し本来ならばザ・チルドレンの主任となる筈だった。

 

だが姉さんは主任になる前にある男に殺された。犯人を倒そうとした俺も当時はまだ能力が発現しておらず瀕死の重傷を負った。その時から俺の運命は急変した。俺は再び神と出会い男に復讐するための力を要求した。すると神は俺に人知を超えた力を授けてくれたんだ。

 

その力を持って俺は姉を殺した犯人をビルの屋上へと追い詰めた。だが犯人は俺が近寄ろうとすると足を踏み外しそのまま転落死してしまった。最初は清々したと言わんばかりだったが時間が経つにつれ後悔という二文字が頭を過った。犯人に同情するつもりはないが…………誰にでも償いのチャンスはあると俺は信じたい。姉さんがそう信じたように。

 

PLLLLPLLLLPLLLL!

 

「もしもし、俺だ」

 

『幽魔!その近辺の銀行で立て篭もり事件発生だ!』

 

近辺か、それなら先に向かった方が良さそうだな。

 

「了解だ光ちゃん、スーツは持ってきてるから先に行って対処しとくぜ」

 

『あ、ちょっと幽魔待t』

 

幽魔は皆本との電話を強引に切った。バベルの特務エスパーは基本的に主任の指示で動く。幽魔達の主任は皆本光一21歳。飛び級で大学を卒業したエリートの中のエリートだが幽魔達ザ・チルドレンに手を焼いているようだ。

 

墓を後にし近くの路地裏に走る。路地裏は昼間だというのに薄暗く外からはあまり路地裏の様子は分からない。幽魔は持ってきたリュックのジッパーを下ろす。中には黒革のトレンチコートにアームガード、更には武器などがしまえるベルトなどが入っていた。幽魔は服を脱ぎスーツに着替え始める。着替えているうちに送られてきた位置情報を確認した。ここから300メートルほどの場所か。既にSNSなどで情報が出回っていた。

 

今居候させてもらっている友達から貰ったマスクを目元に付け変声機を作動させた。友達曰くヒーローはマスクをつけるものだとさ。別にヒーローを気取る気はないが身元を隠せる。それにこのマスクは皮膚に張り付く仕様になっており爆風などでも外れることはない。俺が貰ったマスクを改造したから性能は保証する。

 

「それじゃあ行くか」

 

心の中で自分のマシンが目の前に来るよう念じる。すると幽魔の目の前に一台のバイクがひとりでに現れ停車した。そのバイクは白をベースとした車体に細部は赤色に炎のデカールが施されている。更には一風変わったフロントカウルに両サイドには3本のマフラーが備わっている。

 

愛車ヘルサイクロンだ。幽魔の身長は小学五年生にして1m75㎝もある。それに任務の時にはバベルが発行した免許証を使用できるため容易に乗ることができる。幽魔はヘルサイクロンに跨り帽子を外しヘルメットを被る。そしてヘルサイクロンを銀行に向けて走らせていった。

 

 

銀行では多くの客が人質に取られていた。犯人はそれぞれ銃火器で武装していて銃口を人質に向けていた。

 

「もう警察が来やがったぞ!」

 

「てめえら動くんじゃねえ!さっさと金を奪え!」

 

男は銀行員に持ってきた鞄に金を入れるよう指示する。脅された銀行員は涙を浮かべ言われた通りにする。残りの仲間はパトカーに向かって銃を向け弾丸を放つ。

 

「近寄るんじゃねえ!!」

 

弾丸はパトカーや電柱に被弾し風穴が開いた。次々と放たれる銃弾の雨により警察は近づくことさえも出来ずにいた。このような凶悪な事件がこの国で起こるのは稀だ。それ故に警察官達はこの手の事件に不慣れだ。

 

「応援はまだか!?」

 

「……遅れて申し訳ない」

 

警察官たちは突如改造されたバイクで現れた少年を見て驚きを隠せないでいた。

 

「君は誰だ!?」

 

「俺はバベルの特務エスパー、デーモンだ」

 

幽魔はヘルサイクロンから降りると胸ポケットからバベルの証明証を現場を指揮している警官に見せた。まだ光ちゃん達の姿は見えない。いつもヘリか車だが今日はおそらくヘリだろう。風都からバベル本部まではかなりの距離がある。

 

「犯人と人質は何人だ?」

 

「犯人は5人で人質は17人だ、おい君まて!」

 

警官達の制止を無視して銀行の裏手に回る。正面突破では強盗犯達をただ刺激するだけだ。それに犯人はかなり感情が高ぶっているようだ。時間が経つにつれ人質の身に危険が及ぶ可能性がある。しかも隣にはガソリンスタンドが。隣とはいえもし引火したらヤバイどころじゃ済まないな。

 

パイロキネシスは炎を操ることが出来るが火力の調整が難しい。出来ないことはないが一歩間違えれば相手を一瞬で灰にする事など容易い事だ。それ故俺はここぞという時にしか能力は使わないようにしている。能力を使わない時は基本的に俺と光ちゃんで開発したガジェットを使っている。

 

さてと本題に戻って侵入経路は二つ、裏手のドアか屋上からの侵入だ。この建物は3階建てで屋上がある仕様だ。恐らく現金などは一階にある。ならば侵入するには屋上からが最適だろう。一番警備が手薄なはずだ。まあ通常の銃弾なら炎で溶けるから怖くはないが。

 

幽魔は右腰にあるホルスターからグラップルガンを取り出した。このグラップルガンは光ちゃんと一緒に共同開発した物だ。内部には俺が作成した小型の超強力モーターが備えられており、30メートルに及ぶ強靭なロープが仕込まれている。

 

グラップルガンの鉤爪部分を屋上に向け放つ。屋上に鉤爪が突き刺さるのを確認するとモーターを起動させ屋上まで一瞬で移動した。屋上に備えられた扉を開ける。

 

銀行員内に進入成功。幽魔は気配を消しそのまま人質がいる場所に向かった。

 

「ったく、何で俺が見張りなんかやらなくちゃならねえんだ」

 

仲間の愚痴を言いながら犯人グループの1人がこちらに向かった歩いてきていた。咄嗟に壁際に隠れ男が通りかかるのを待つ。

 

「あー、これなら隠れ家で留守番してたら良かっ」

 

男が角を曲がろうとした刹那、男の頭を鷲掴みにし壁に叩きつける。打ち所が悪かったのか男はそのまま脳震盪を起こし気を失った。残りは4人、人質を見張るのに3人として後の1人は金を詰め込んでいるだろう。だが時間的にはもうそろそろ逃走する頃合いだ。一階に降りて壁際に身を寄せ大広間の様子を確認する。人質は中央に集められ犯人の残り4人が銃を構えていた。

 

「人数分の人質を使え、他は始末しろ!」

 

「………まずいな」

 

リーダー格の男が仲間にそう指示すると、人数分の人質を捕まえ残った人質に銃口を向けた。幽魔は男達の足元にベルトのポケットから取り出した煙幕弾を投げつけた。煙幕弾からは煙が勢いよく放たれあっという間に広がった。煙により近くにいた犯人達は視界を失われた。

 

「ゴホゴホ!なんだこれは!?」

 

「おいてめえら!誰も撃つんじゃねえぞ!」

 

先程から犯人達の位置はある程度把握しているので、記憶を頼りに1人ずつ確実に墜としていく。

 

「ゴボッ!?」

 

「お、おいどうした!?」

 

「ぐあっ!!」

 

煙が晴れると犯人達は全員気を失って倒れていた。すぐさまベルトからナイフを取り出し縄で縛られた人質達を解放していく。そんな中、俺の頰を1発の弾丸が掠めた。頰からは数滴の血が溢れ出した。

 

「てめえ好き勝手やりやがってよ!!なにもんだ!?」

 

「俺はバベルの特務エスパーだ。もう終わりだ、これ以上罪を重ねるつもりか?」

 

「うるせえ!てめえをぶっ殺した後で俺も死んでやる!!」

 

「そんな事させるか」

 

犯人の仲間の1人がこちらに向かって無差別に銃撃してきた。警察の情報が甘かったようだ。まだ1人隠れていたとは。俺は人質の前に炎の壁を作ろうとしたがその必要はなかった。弾丸は俺の目の前で停止した。隣を見てみると光ちゃんと俺のチームメイトが突入して来た。

 

「サイキックフォースフィールド!!」

 

弾丸を止めていたのは赤毛の少女、レベル7のサイコキノ明石薫だった。薫は停止した弾丸を全て跳ね飛ばした。その隙に相手の懐に飛び込み、腹部に重い一撃をみぞおちに叩き込み男はそのまま意識を手放した。

 

「がはっ……!」

 

「いっつもおいしい所は幽魔が持って行くから、こっちはつまんないね」

 

これで制圧完了だ、幸い人質は誰も怪我していない様子だし良かったよ。しかし、この手の事件が最近日本で増えている。何故ここまで犯罪者達の行動が活発化してるんだろう。

 

「そうでもないぞ薫」

 

「全く、僕達はチームなんだぞ。チームで動かないと!それに死んでたかもしれないんだぞ!」

 

「大丈夫だよ、これくらい」

 

「それと前々から思っとってんけどその声ダースベーダーみたいやで。何で変声機なんか使てんの?」

 

「俺は正体を徹底的に隠したいんでね」

 

「とか言いつつ内心はカッコいいからやってる、と思ってるでしょ?」

 

サイコメトラーの志穂が俺に触れ心を読み取る。そんなのズルイじゃないか?確かに内心ではカッコいいと思ってるけど、それくらい思っても良くないか?俺だってまだ小学生だぜ?まあ良いか、そんなに恥ずかしい事もした事ないし透視されて困るようなことはない。

 

「それじゃあ帰るか」

 

事件も無事に解決し幽魔は風都にあるSNACK & COFFEE 白銀という喫茶店に来ていた。ここではコーヒーとマジックショーが楽しめる。この喫茶店のママさんの名はリリィ白銀、もういいお年だが昔の写真と見比べてもあまり変わらない容姿をしている。

 

「はいブラックコーヒーね。それにしても幽魔君、まだ子供なのにブラックコーヒーが好きなんて変わってるね」

 

「甘いのは苦手でね」

 

俺は出されたコーヒーを啜る。この店のコーヒーは中々美味い。そんな中1人の女性が俺に声をかけてきた。その女性は照井亜樹子、風都警察署署長の奥さんで昔は探偵事務所の所長をやっていたらしい。

 

「あら幽魔君じゃない久しぶりね」

 

「亜樹子さん久しぶり」

 

「その帽子、だんだんとサマになって来たじゃない。その帽子が似合うのは一人前の証拠よ」

 

「そんな事ないさ、俺はまだまだだよ」

 

幽魔が被っている中折れハットは亜樹子の古い友人が生前使っていたもので、ある時それを譲り受け今ではお守りのような役割をしている。亜樹子さんはあまりこの帽子の本来の持ち主の話をあまりしたがらない。だが聞くところによると持ち主の人は遺体で見つかったらしい。他殺で犯人はまだ見つかっていない。不思議なことにサイコメトリーの捜査官に調べて貰った結果何らかの力が干渉し読み取ることが出来なかったという。今は迷宮入りとなり事件は時が経つにつれて忘れられていった。

 

その時、カランカランという音が鳴りドアから人が入って来た。その人は俺が今世話になっている家の人だ。亜蓮 譲二、風都警察署の刑事でシングルファーザー。譲二の息子の亜蓮伴は俺の唯一の親友だ。因みにマスクや変声機などのアイデアは全て啓太が出してくれた。伴は筋金入りのヒーローオタクだ、アイデアが底を尽きることはない。

 

「おーい幽魔!」

 

譲二は仕事が終わり帰り道に俺を拾いに来てくれた。任務の時以外はヘルサイクロンは使えないからこうして迎えに来てもらっている。因みにだが薫達3人は光ちゃんのマンションに同居してる。

 

「迎えが来たな。それじゃあご馳走様リリィさん、亜希子さんもまたね」

 

「亜希子さん、リリイさんご無沙汰してます」

 

「譲二君久しぶり、最近春菜とはどう?」

 

「いやまあ、お世話になりっぱなしです。ハハハ、それじゃ帰ろうか」

 

おじさんは話をそらしそのまま車に戻り自宅に向かった。おじさんは最近亜希子さんの娘の照井春菜さんと付き合っている。啓太のお母さんが亡くなったのがもう7年も前だ。だからそろそろ新しい人を見つけるのも良いんじゃないかと俺が提案した。春菜さんは今私立探偵をやっていてよく警察と連携して働いている。そのため会う機会も多くそこから付き合いが始まったんだ。

 

「幽魔お疲れ様。聞いたぞ、また1人で勝手に行動して銀行強盗をやっつけたって。お手柄だな」

 

「また命令違反して怒られたけどね。それより早く帰って晩御飯を食べよう。お腹空いたよ」

 

 

日本のとある廃教会、この教会は十数年前から閉鎖されており荒れ放題となっていた。窓ガラスは割れ埃はたまりとても劣悪な環境だ。そんな中6人の男女が荒れ放題の教会に集まっていた。白衣を着て眼鏡をかけた女性、スーツを身につけ左目には眼帯をした女、大柄で着物を着た大男、チャラい服装をした少年、ステッキを携え紳士の風格を表した老男性、そして彼らを束ねるリーダー格の男だ。最初に口を開いたのはリーダー格の男だった。

 

「素材は集まったかドク?」

 

ドクと呼ばれた白衣の女性はタブレットを操作して現状報告した。

 

「いいや、まだまだだね。中々覚醒とまではいかないんだよ。とはいえ次の目星はついてるけど」

 

「さっさとこの世界の人間を全て殺しちまえば話は簡単だ。ワシはゴチャゴチャしたのは嫌いじゃ」

 

「まあまあ、一度に殺せば楽しめないじゃん。もっと楽しもうよ、ジェントルはどう考えてんの?」

 

「…………我輩は主に従うのみ」

 

「ま、今は俺もリーダーに従うぜ」

 

「まだ事に移すのは早い、焦って失敗すればそれこそ元も子もない。素材を集め仲間を増やしてからでも行動に移すのは遅くない」

 

「そんならワシん所に任せい」

 

着物の大男が指を鳴らすと天井の暗闇から蜘蛛を模した容姿の女性が、蜘蛛糸を伝って降りてきた。その女性は怪人というのが妥当な姿をしていた。降りてきた怪人は大男の前にひれ伏した。

 

「やる事は分かってるなアラクネ」

 

「………御意、鬼蜘蛛団長」




悪郷幽魔/仮面ライダーデーモン
瀕死の重傷を負った幽魔は夢の中で神と名乗る人物に出会う。神からゴーストドライバーとブランク眼魂、更には高い知能を授かった。その後幽魔は超度7のパイロキネシストである事が発覚しそのまま流れでバベルに入った。過去に姉を殺した犯人を追い詰めて死に追いやった過去があり、それ以降例えどんな悪人でも命までは奪うことはしないようにしている。

見た目

【挿絵表示】

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