ただし決闘は無い。
天使?悪魔の間違えだろ?
俺は赤き竜との決闘を終えて、再び赤き竜に飲まれ、VRAINSの世界へと戻った。
行きに見た悪夢は見なかった。一体あれは何だったのだろうか。
転生した時は明るかったのに、空はすっかり夕方になり始めている。かなり時間が経ったのだと推測できた。
赤き竜曰わく、別世界へ移動する場合、多少の時差が発生するらしい。
帰ってきた場所は神様の用意してくれた家の前。どうやら帰るついでに赤き竜が運んでくれたらしい。
やっぱり万能タクシーだな・・・
「へぇ~、網膜認証タイプか。これならセキュリティーも堅いな。さてと、ちゃんと俺の網膜も認証されてるかなぁ~と。」
少し心配になりながらも、目を認証カメラの前に出す有馬。やがてピピっという音と共に家のドアが開く音がした。
よし入ろう。そう思った時だった。
有馬の決闘盤がアラーム音を流し始めた。ちなみに音楽は神の怒りであった。あの神、余程仕事への怒りが強いらしい。
「へ!?ちょ、どうやって電話出れるんだ!?コレ!?」
『オォーン』
意訳:落ち着け、そこにtelephoneとあるだろう?それを押せば良いのではないか?』
慌てて赤き竜の言った通りにする。
すると黒髪の色白な肌色をした30代ぐらいの女の人の顔が現れた。
麻也と名前には出ている。
『あ、有馬君?ごめんね~、今日からしばらくからDen Cityから離れて仕事しなくちゃならなくなっちゃってね?銀行にお金は預けてあるから、それでどうにかしてね?本当にごめんなさい。言い忘れてたの・・・。お金が無くなったりしたら言いなさい?こっちでもそれなりに有馬君の為に稼いで来るから。』
「は、はぁ?・・・、分かりましたけど・・・」
物凄い勢いで話され、とても混乱している有馬には、これが精一杯だった。
『それじゃあね!あ、今日のカリスマ決闘の見学チケット、私使えないから使って良いわよ~。確か・・・ブルーエンジェルとGO鬼塚だったわね。どちらも人気な決闘者だから、見に行ったら?じゃ、またね~。』
ブチッ
通信が切れて麻也さんの顔は見えなくなった。
色々と大変そうな顔だったが、今は他人の心配をしている場合じゃない。
まず、銀行に入ってるお金。これは100万円ちょいあるのが決闘盤のメニューで確認できた。が、問題は
「どうしよう・・・食費代とか電気代とか、計算しなくちゃいけないのか・・・?家計簿を付けないといけないのか・・・?」
駄目だ、絶対借金だよコレ。
仮に決闘で稼げたとしても、労働やらで忙しいし、何よりも目立てるぐらい勝てるかも分からないし。
ありまのめのまえがまっくらになった!
「・・・・・・決闘・・・見に行くか・・・」
『オ・・・オォーン』
意訳:う・・・うむ
赤き竜の案内で、何とかその会場まで辿り着いた。
そこでホットドッグと珈琲を売ってるフードトラックがあり、買って食べたのだが、それがかなり美味しかったので、ついつい2個買ってしまった。残りの1本を黙々と食べながら、有馬はフードトラックの近くでブルーエンジェルとGO鬼塚の映っている映像を見る。
・・・鬼塚はまだしも、財前は見る影も無いな・・・
「ねぇ、おじさん。ブルーエンジェルってどんな人物なのか知ってない?」
「ん?あぁ、ブルーエンジェルね。ブルーエンジェルはLink vrainsの看板娘と言われていて、使うデッキとその見た目が天使のような事で人気だよ。強さもかなりのものだ。」
「ふ~ん・・・、天使ねぇ~・・・Link vrainsって?」
「決闘者等が行ける第2の現実世界とも言われているVR空間の事さ。」
遊戯王の天使ならロクな奴じゃないんだろう?
どうせ笑顔で鬼畜効果を使いまくるんだ!
ボチテンシヨンタイ・・・うっ、頭が・・・
「君も決闘者なのかい?どんなデッキを使うのか聞いても良いかな?」
「色々あるんで・・・。例えばこんなのですかね?」
そうして見せたのは、比較的見せても問題なさそうなHERO召喚獣。超融合は抜いてある為、問題は無い筈。
「へぇ~、こんなカードもあるのかぁ・・・ありがとな、っと、お~い、遊作~」
「あ、草薙さん。」
紫色の髪をしたおじさん、草薙さんは、デッキを返すと近くを通りかかったロブスターのような髪をした青年、遊作に声をかけた。
・・・え
「草薙さん、どうしたんだ?」
「いや、お前と同じ高校の制服を着てたから、もしかして知り合いかなんかじゃないかと思ってな。」
え、同じ高校なの?
というか、この人、主人公と知り合いなの?!
「いや、カバのような奴には会ったが、彼とは会っていないと思う。」
「あ、はい。会った事無いです。」
「そうか・・・、お前も友達早く作れよ?俺はお前にまともな高校生活を送って欲しいんだ。」
カバのような奴というのに少し興味が沸くが、それ以上に今の会話が気になる。まともな高校生活を送って欲しい?
どういう事だろう?
「すまないと思っているんだ・・・、お前を巻き込んでしまって・・・」
巻き込んでしまって?何に巻き込んだんだ?
どんどん気になる情報が出てきて、有馬は遊作の返事を待つ。
「俺は俺の意思でやっている。俺は、あんたの弟と、俺の過去を奪った奴らに復讐する・・・!」
ぐっと手に力が入る遊作。
過去を奪った?何かの経歴だろうか?
何にせよ、主人公に会えたのはやはり嬉しい。遊戯王の世界がより楽しめる筈だ。
「・・・そうか、なぁ、遊作?データストームって知ってるか?」
どうやらこの話は、もう少し続きそうだ。
短くてスミマセン・・・
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もうこれだけで嬉しい・・・、まさかこんな文を読んでくれる人がいたなんて・・・