・・・FGOでなんとなく呼符2枚を全て円卓ピックアップに使い、モーさん来いと祈ったらトリスタン×2・・・あぁ、私は悲しい・・・
「それで、お前のあの赤い竜はどんなAIなんだ?」
「あー、よくわからないなー。気づいたら決闘盤に居たからさ~」
俺は今、草薙さんのフードトラックにて、草薙さんに尋問を行われている。もちろん赤き竜に関してだ。
あの後俺はログアウトして、屋上に居るのを見た遊作に、お前が黒コートなのか?と言われ、そのまま財前葵を発見。病院にて財前晃に関係を聞かれた。え?ただの知り合いですよ。とだけ答えた。・・・シスコンお兄ちゃんは何の心配してるんだよ。
「本当にかぁ?」
「本当だって!俺もあんなの初めて見たし!」
「・・・どうだかな」
勿論嘘である。俺はえ、え~っと・・・とか言う嘘のバレやすい奴じゃないからな。このまま信じさせる!
「というか、あの後の財前の様子、どうなの?」
「一応、病院にハッキングしてカルテを手に入れたんだが・・・」
『凄いねぇ、そんな事まで出来んの?というかそれ、プライバシーの侵害、犯罪だよ?』
「ハッキングは全て犯罪だ。」
「そうだな、高校1年生の女子の個人情報を見ているんだ。立派な変態だ。」
『うわー、草薙の変態ぃ~』
「お前らなぁ?言っておくが見逃してる時点で共犯だからな?」
「共犯者か~・・・いざという時は草薙さんを売ろう!」
話を変えて、俺と草薙さん、アイで盛り上がっている中、遊作は一人、ずっと暗い表情でいる。やはり財前葵が気になるのだろうか?
「・・・・・・なぁ遊作、決闘をしないか?」
「・・・俺と決闘・・・?」
「そう、もう俺目立っちゃって精神的に疲れちゃってさ?そんで決闘して気を楽にしたいな~なんて?」
精神的に疲れた理由は目立ったことも確かにある。けどそれ以上にずっと暗い表情されてると、近くにいる俺とか凄い心配になって疲れちゃうんだよね。だから一刻も早く疲れの種をどうにかしよう。そういう意味で、俺は決闘を申し込んだ。
「ルールは・・・スピード決闘と同じにしよう。デッキ20枚のEX5枚、 フィールドもメインとEXで4つ、スキルの使用はどちらも禁止!ま、現実じゃストームアクセスも出来ないし、俺はスキル知らないし、関係無いか。」
「・・・やるとは言ってない。」
ルールを説明したら遊作がトラックから出ようとする。ちょっとちょっと!ここで帰らないでくれよ!?
「良いじゃないか?遊作も偶には現実で決闘したらどうだ?ハノイとの時に何か役立つかもしれないし。」
出て行こうとする遊作を、草薙さんが呼び止める。ナイス草薙さん。遊作は溜め息を尽きながら此方へと足を進める。
「・・・1回だけだ」
「あぁ。・・・・・・これから使う俺のデッキは、俺が一番好きなデッキだ。そして、いつもこのデッキを使っていると、不思議と不安とかも無くなっていった・・・それはな、コイツが一番好きなデッキであるから、一番楽しいと思うデッキだからだ。」
遊作は何も言わず、俺の話を聞いていた。草薙さんも、アイですら、口を挟んでこない。・・・恥ずかしいな・・・。
「遊作、お前はそのデッキを使っていて、楽しいか?」
「・・・わからない。」
「そうか・・・ま、急ぐようなことじゃないな。ゆっくりと、気づいていけば良い。・・・さ、話は終わり!決闘を始めよう!」
石井先輩の時と同じように、お互いのデッキをシャッフルし、手札を4枚ドローする。
「じゃ、ジャンケンで勝った方が先行後攻を決めるとしよう。」
懐かしい、前世ではこうして友人と決闘したな・・・何だか少し寂しくなってきた。いけないいけない、今はそんなしんみりしてる場合じゃないな。
「「ジャンケンポン。」」
遊作
LP4000
手札4
「先行を貰う。・・・手札からサイバース・ウィザードを召喚。更に手札からバックアップ・セクレタリーを守備表示で特殊召喚。カードを1枚伏せ、ターンエンド。」
遊作
デッキ:16
手札:1
メイン:サイバース・ウィザード(攻撃)
バックアップ・セクレタリー(守備)
魔法罠:1
「んじゃ、俺のターン、ドロー・・・俺は手札から調律を発動。デッキからクイックシンクロンを手札に。その後デッキトップを墓地へ送る・・・ジェットかぁ・・・まぁまぁかな。手札からジャンクシンクロンを召喚。」
「・・・チューナーモンスター、シンクロか。」
「効果で墓地からジェットを蘇生。この時、手札のドッペルの効果、特殊召喚。」
『お~凄いな。1ターンでフィールドが埋まった。』
「さ、まずは1体目、レベル3のジャンク・シンクロンで、レベル2のドッペル・ウォーリアーをチューニング。シンクロ召喚。ジャンク・ウォリアー。シンクロ素材になったドッペルの効果で、ドッペルトークンを2体、攻撃表示で特殊召喚。そして、ジャンク・ウォリアーの効果。俺のフィールドのレベル2以下のモンスターの全ての攻撃力をこのカードの攻撃力に加算する。」
「!攻撃力2300から攻撃力3600に・・・!」
おぉ、遊作の表情が段々良いものになってきた。
「・・・何だ?」
「あぁいや、気にしないでくれ。バトル、ジャンク・ウォリアーでサイバース・ウィザードを攻撃。」
遊作
LP4000ー(3600ー1800)
=2200
「ターンエンド」
「俺はこの時、罠カード、サイバース・ビーコンを発動。デッキからドラコネットを手札に加える。」
有馬
デッキ:13
手札:3(クイック・シンクロン)
EX:ジャンク・ウォリアー(攻撃)
メイン:ドッペル・トークン(攻撃)×2
ジェット・シンクロン(守備)
魔法罠:0
遊作
デッキ:16
手札:2(ドラコネット)
メイン:バックアップ・セクレタリー(守備)
魔法罠0
「俺のターン、ドロー。手札からドラコネットを召喚。効果により、デッキからビットロンを守備表示で特殊召喚。ビットロンでリンク召喚。リンク1、リンク・スパイダー。効果により、手札からビットロンを守備表示で特殊召喚。ドラコネット、リンク・スパイダー、ビットロンでリンク召喚。リンク3、エンコード・トーカー。」
エンコード・トーカーを出した時、遊作の表情が少し曇る。ブルーエンジェルを倒したカードということで、ブルーエンジェルを思い出してしまったのだろう。
「遊作、ブルーエンジェルの事、気になるのか?」
「あぁ、俺とハノイの戦いに、巻き込まれてあんな事になった・・・それが凄く苦しい・・・」
遊作は罪悪感を感じている。それは表情からも、声音からも伺える。自分のせいで犠牲者が出たことに、強い罪の意識に捕らわれているのだろう。
「・・・お前は馬鹿か?」
「!黙れっ!」
有馬の発言に遊作は心を乱す。当たり前だろう、ブルーエンジェルが傷付いたのは自分のせいだということを、呆れ顔で馬鹿にされたのだから。
「何でお前はそんなに一人で背負い込む?俺じゃあ不甲斐ないだろうが、草薙さんだってアイだっている。」
「だが!あの時俺がブルーエンジェルの決闘を受けていれば――」
「遊作・・・確かにお前の言うとおりだ。受けていれば何も無かっただろう。でも、ハノイの騎士は誰でも良かったんだ。どうせ別の駒を利用しただろうさ。・・・お前の気にする事じゃない。」
藤木遊作は、少しツンケンしていて、周りに興味を示す事が少ない。だから高校でも友達は少なく、どこか浮いている。
しかし、他人を思いやる気持ちは強い。自分のする事に極力人を巻き込まないようにいつもしている。要するに、周りには素っ気ない言葉で返したりするが、その人を自分のせいで危険に晒したくはないというツンデレなのだ。
「・・・・・・俺は手札から死者蘇生を発動、墓地のサイバース・ウィザードをエンコード・トーカーの下に特殊召喚する。」
「遊作・・・」
草薙は心配そうな顔で遊作を見つめる。今の遊作の表情は初めて見たのだ。辛そうで何かに耐えるような表情、見ていられない。
「サイバース・ウィザードの効果、ジャンク・ウォリアーを守備表示にする。バトル、エンコード・トーカーでジャンク・ウォリアーを攻撃。」
有馬
LP4000ー(2300ー1300)
=3000
「ターンエンド・・・」
遊作
デッキ:14
手札:0
EX:エンコード・トーカー(攻撃)
メイン:バックアップ・セクレタリー(守備)
サイバース・ウィザード(攻撃)
有馬
デッキ:13
手札:3(クイック・シンクロン)
メイン:ドッペルトークン(攻撃)×2
ジェット・シンクロン(守備)
「俺のターン、ドロー。・・・俺はレベル1のジェット・シンクロンでレベル1のドッペルトークン2体をチューニング、シンクロ召喚、霞鳥クラウソラス。効果発動、このターン、エンコード・トーカーの効果を無効にする。そして、手札のダンディライオンを墓地に送り、手札からクイック・シンクロンを特殊召喚。ダンディライオンの効果により、綿毛トークンを2体を守備表示で特殊召喚する。俺は、レベル5のクイック・シンクロンでレベル3の霞鳥クラウソラスをチューニング、シンクロ召喚、ジャンク・デストロイヤー。効果発動、チューナー以外のシンクロ素材の数だけ相手フィールドのカードを破壊できる。エンコード・トーカーを破壊する。」
「・・・・・・俺は・・・無理だ。自分の失敗が招いたと思うと・・・」
思わず手に力の入る遊作。表情は険しく、少し俯いている。有馬はそんな遊作にイラつき始め、遊作の頭に握り拳をぶつける。
「ッ!」
「ガハッ!?」
いきなり殴られた遊作は、若干驚きながらも、さっきまでの思い詰めていた顔とは逆の間抜けな顔をしていた。そんな遊作に、有馬は言葉をぶつける。
「・・・・・・あーもう分かったよ!ならこうしよう。俺達はハノイの騎士とSOLテクノロジーと戦う共犯者だ。俺達は仲間の失敗を全員で埋め、全員で戦い、全員が罪を背負う。遊作のそのミスは、俺達が一緒に背負ってやるから、その見てて心配になる顔は止めろ。」
「心配・・・そうか、俺は・・・心配を掛けていたのか・・・」
心配になる顔を止めろと言うと、遊作は今まで自分が心配されていたことに気付き、草薙と有馬、アイに謝った。草薙とアイは、遊作が謝ってくるということを信じられないといった顔で見ている。
「すまない、草薙さん、有馬、・・・アイ」
「気にするな遊作。・・・そうだ、新しいホットドッグが出来るんだ。お前に味の感想を聞きたい。」
「この決闘でお前は俺を楽しませてくれている。だからお前のことは許すよ。」
『ちょっとちょっと?俺だけ間があった気がするんですけど?まぁ、遊作が謝るなんて滅多に見れないものを見れたから・・・許してやるよ。』
全員から向けられた暖かい言葉を聞き、遊作は有馬に感謝の言葉を伝える。ありがとう、と。有馬はその言葉を聞いて決闘を再開しようと言った。
「・・・全く、世話が掛かるな・・・さぁ、決闘を再開しようか?」
この日の決闘は、遊作にとっても、有馬にとっても忘れられないものとなった。
今回の決闘はこれで終わりです。結果は想像にお任せします。