次の話の始めから決闘にするにはこうするしかなかったんだ・・・文才の無い非力な私を許してくれ・・・
「全くアイツは・・・」
授業は今も続いているが、流石は遊戯王の世界と言った所だろうか。クラスの生徒の殆どが、突然現れたハノイの騎士の映像を見ている。
先生も授業よりも映像を優先しているという混沌と化したそんな中で、有馬は学校から出て行った遊作の事を考えていた。
「はぁ・・・」
今日、遊作を見ていて分かった事が3つあった。
1つ、学校ではいつも気だるげ
2つ、自分の意見をあまり口にしない
3つ、ハノイの為なら無断で帰宅出来る
これらの事から心配になること、それは成績である。
遊作は頭が良い。だが、教師から見たらどうだろうか?
いつも眠そうにしている。
発言は殆ど無い。
これだけでも少しマズいのに、今回の無断の帰宅も、ハノイが出る度となれば・・・
おい、授業(真面目に)受けろよ。
「はぁ・・・・・・」
思わず今度は長い溜め息が出る。
草薙さんが言う普通の高校生活を遊作が出来る可能性って・・・
「まぁまぁ!アイツが居なくたって俺がいるんだ!解説なら任せろ~!」
島、俺は違う事を考えて溜め息をついたんだ。それと、お前の解説よりも、普通に決闘を見た方が理解できる気がする。お前の解説って、どうやって突破できんだ~とかこんなの無理に決まってんだろ~とか、実況だろ殆ど。分かってる。
「・・・それにしても、何でこのタイミングなんだ?」
ハノイの騎士は、隙をついてLinkvrainsを攻撃していると遊作から聞いた。この前の事件からしても確かな筈だ。
だが、今回は違う。どうどうと出てきて、尚且つplaymakerはどこだと大きな声で言っているが、破壊活動はしていない。
考えられる事としては、本物だということと、偽playmakerが居たように、ハノイを演じている何者かであること。
どちらにせよ、決闘を申し込まれたら勝てば良いのだ。
「気を付けろよ・・・遊作・・・」
俺は今、Linkvrainsに入って、ハノイの目の前に立った。
仁王立ちで俺と真正面から何も危害を与えず話をしようとしている時点で、俺の知っているハノイじゃない。そんな気がしたのだが、相手がハノイのアバターで俺と決闘と言ってきたのだから、油断は出来ない。
「来たなplaymaker ・・・」
ハノイが喋る。少し声が違う。それに態度ももう少し調子に乗っていた筈・・・やはりコイツは・・・
「ふ・・・ふははははははっ!」
ハノイが大きな声で笑い始めた。
それと同時に遊作とアイは確信した。
コイツは、ハノイの騎士じゃない。
「今から俺とスピード決闘をしてもらうぞ!この、GO鬼塚と!!今その化けの皮を俺が剥いでやる!」
そう言ったハノイの騎士の姿をしたアバターは、徐々にポリゴン体の用になり、とうとう本当の姿が明かされる。
金色の髪、筋肉質な体、前回の事件の後に会った2人のカリスマ決闘者の1人。
そこには、決闘を申し込んでくるGO鬼塚の姿があった。
「興味ないね。帰るか。」
しかしそれでもplaymakerはぶれない。
何?ハノイじゃないの?なら知らん。そんな感じである。
「いや、お前には俺の決闘を受けて貰うぞ。」
そう言うとplaymakerと鬼塚GOの周りには大きなドーム状の囲いが出現した。まるで鳥籠のようだ。
それはとても大きな物で、多くのビルも一緒に囲んでいた。
「これは・・・?」
ログアウトボタンを押してもログアウトが出来ないという状態に、playmakerは困惑する。
「これがある限りお前は俺と決闘をしない限りログアウト出来ない!さぁ決闘だ!」
面倒な。決闘決闘と何回言えば気が済むんだ。
だが内側からはプログラムの変更など出来なさそうだ・・・これは受けるしか無いか・・・
『どうだ内側からプログラムが弄れない気分は?もう受けるしか無いんじゃ無いか?』
「はぁ・・・そうだな。」
playmakerはアイの言葉に溜め息どしつつも答えた。
正直言うと、こういうタイプ・・・見るからに脳筋そうな奴はあまり得意では無い為、少し面倒だ。
「覚悟は出来た用だな・・・!」
そう言ってGO鬼塚はDボードに乗って、近くに流れていたデータストームへと波乗りする。
・・・?SOLテクノロジーが警告をしない・・・?
「・・・これはどういう事だ?まさか、SOLテクノロジーがアイを狙ってこんな事を・・・?」
だとしたら、俺はまんまと騙されて罠に掛かったということになる。
「おい!さっさとしろ!」
「分かっている!」
騙されたということに、若干切れ気味になるが、しばらくして落ち着きを取り戻す。そうだ、ハノイに奪われるよりはSOLテクノロジーの方がまだマシな筈だし、何よりも勝てば良いんだ・・・。
勝てば良いのだよ!勝てば!
「・・・・・・・・・」
『playmaker様?流石にそろそろ行った方が良いんじゃないか?』
「そうだな。」
そう言って俺は持っているDボードを出現させ、それに乗って決闘盤を構え波に乗った。
脳裏に浮かんだ仮面の奴と同じ事を考えていたなど、全然悔しくない。断じて悔しくはないのだ。
「来たか・・・!」
「さっさと終わらせる。」
『お、今日のplaymaker様は強きだなぁ!』
黙っていろ
『も~お~!playmaker様ったらこ~わ~い~!』
黙 っ て い ろ
「おい!始めんぞ!」
「ああ。済まない。」
どうやら大分怒らせてしまったらしい。GO鬼塚は少しイラついている。
急いで俺はGO鬼塚の近くまで移動する。
しかし、その時には既にGO鬼塚の顔は怒ってはおらず、獰猛な笑みをしていた。
俺はお前を倒すという、獣の如き獰猛な意思が、playmakerへと向けられていた。
最強でありたい。それがGO鬼塚の望みであり、常に注目を浴び、子供や大人から喝采の嵐を受ける。それがGO鬼塚のプライドだった。
だからこそ、子供達からの喝采を奪った奴を許すわけにはいかない。
こんな決闘を申し込まれても断るような奴に、少しハノイを倒したからと注目を浴びてる奴なんかに、俺が負ける筈なんてない。
それこそが、GO鬼塚がplaymakerと決闘する理由だった。
「俺こそが一番だとコイツを倒して証明してやる・・・!いくぞ!」
「「スピード決闘!!」」