これの前に遊作がカオスと言いましたが、そんな事は無かった。短いです。
IF:癒やし空間破壊事件
夏休み、それは学生に訪れる長期休暇。出された宿題をこなして楽しむ日々である。しかし、夏は暑い。外出などしたら倒れてしまうのでは、などと思う人もいる。
夏休みの生活は十人十色なのだが、その中で最も天国から地獄に突き落とされた人物がいた。彼は嘆いた、己の失態を・・・ある者は糾弾した、お前のせいで・・・と―――
夏の日差しの中、今日も草薙はフードトラックの中で注文を受ける。真夏だが、彼の作る出来立ての熱いホットドッグは評判が良い。赤いケチャップに黄色いマスタード、茶色い焦げ目の付いたジューシーなソーセージ。その匂いはたちまち辺り周辺を包み込む。
「はい、ホットドッグ1つ。ありがとうございました。」
「草薙さん、よく平気だね?こんな暑い中ソーセージ焼くとか拷問だと思うんだけど?」
「草薙さんはこれでも気温に対してはタフだからな。」
へぇ~、と遊作の言葉に反応したのは有馬蓮。遊作と同じ高校1年生だ。彼もまた、この夏休みの被害者の一人である。
「それにしても人が多いね?何かあんのかな?」
「今日はこの近くで決闘大会があるからな。行くのか?」
「いや、今は気分じゃないし、暑いからパス。ダルさが凄まじい・・・エアコン欲しいなぁ・・・」
「?お前の家にエアコン無かったか?前にお前の家に行った時にはあったと思うんだが・・・」
いや、あったけどお前らと遊んだ日に壊れてた。そう言う有馬の横で話を聞く遊作の腕に付いている自称イケメンAIのアイは、汗をダラダラと流して聞いていた。夏の暑さに適応して汗を流せるAI、技術も進んでいるのだろう。
『へ、へぇー。それは残念だったな。』
「ホントだよ・・・」
「・・・なんなら俺の家に来るか?」
予想以上に困った顔をしている有馬に、遊作は自分の家へ泊まればと誘った。エアコンもあるため、有馬の家と比べるとかなり心地よいだろう。
「・・・良いのか?」
「あぁ、殆ど何も無い家だからな。泊まるついでにアイが暴れるのをどうにかしてほしい。」
それは俺が泊まるのがついでで、アイを抑えて欲しいのが本年か。そう思い、苦笑いをしながらアイのいつもの行動を思い出す。
「それじゃあ、お言葉に甘えて、泊まらせて貰うよ・・・」
そうして有馬は遊作の家に泊まらせて貰ったのだが、遊作の言う通り本当に何も無い。お掃除ロボットみたいなのがいるが、働けているのだろうか。
「本当に何も無いな・・・」
『だろぉ~?こんな俺を囲う硝子何かより、この味気ない部屋をどうにかしたほうが良いだろ。』
アイを囲う硝子は重要だな。
「別に良いだろう。置く物が無いんだ。」
「ふ~ん。で、俺はどの部屋で寝れば良いんだ?」
「向こうのドアを開ければ小部屋が一つあるからそこで良いか?」
良いよと言いながら、遊作に言われたドアを開ける。部屋にはベッドと机、そしてエアコンがあった。
そう、エアコンである。
「ゆ、遊作?これ・・・点けてもいい?」
一応の確認を取る。すると遊作は、ん?別に良いが?、と返答してくれた。それを聞いた有馬の行動は速かった。即座に持っている荷物を部屋の隅に置き、机に置いてあるエアコンのリモコンを手にとり入/切のボタンを押す。
ピッ!ブォォォォン・・・
「あ、あぁぁぁぁ・・・涼しいぃぃ・・・」
「それじゃあ俺はしばらく外出するから、アイを頼んだ。」
遊作が出て行ってから、3時間が経過した。
有馬はアイとお掃除AIロボットという面子で、遊作の家に居た。因みに、遊作の家にはエアコンは1つしかない。そのエアコンがある部屋は有馬の泊まる部屋である。遊作がエアコンエアコンと言っていたのを考慮してくれたのだろう。遊作の使う部屋には、遊作の他にもアイやお掃除AIロボットもいる。
『おい、お前。』
「ナンデスカ?」
『お前、俺の子分ならここから俺を出せ。』
「・・・ワカリマシタ!」
カチャカチャと音を発てながら作業するお掃除AIロボット。アイの子分となった為か、アイの言うことは大抵聞く。
お掃除AIロボットが作業をしてる間に、有馬はエアコンの効いた部屋で横になってゴロゴロしていた。
「あぁぁぁぁ・・・」
『オォォン』
意訳:お前はそれ以外喋れんのか?
かれこれ1時間、有馬はずっとあぁぁぁぁと言い続けている。床に這い蹲りながら声を出す姿は、見る者によってはバイオ・ハ○ードを連想するだろうというくらいに、有馬はグダグダしている。
――もはや、エアコンになれないだろうか――
と、もはや意☆味☆不☆明な思考になっている。そもそもエアコンになれたとしても、自分は涼められるのか分からないだろう。
有馬がこうして、
ウィーン・・・
「あぁぁぁぁ・・・あえ?」
『オォォオォン』
意訳:急に止まったな。エアコン。
これだけならまだ良い。自然に切れたと思うだろう。しかし、問題はここからだった。
「・・・・・・あれ?」カチカチカチカチカチ
ボタンをいくら押しても、エアコンが点かない。仕方無く有馬は隣の部屋へと移動する。
「・・・・・・向こうの部屋に行こう。」
『オォォン・・・』
意訳:お、おう
『あぁぁぁぁ・・・・・・』
「ドウカシマシタカ?」
『ドウカシマシタカ?じゃねぇよ!家のブレーカー落ちてんじゃねぇか!?』
「ハイ、ソノホウガロックヲカイジョスルノニハヤイノデ。」
駄目だコイツ、早く何とかしないと・・・
『取りあえず元に戻せ!これが見つかったりなんかしたら――』
「どうかしたのかアイ?」
あ、終わった。
「それでエアコンが壊れたのか・・・お前のせいで・・・!」
『スミマセン・・・!』
アイの話によると、有馬の家でエアコンが壊れた理由は、アイが他のAIを子分にして、知識自慢をしていた時に、ふざけて、俺ならあのエアコンだってもの凄いスペックに出来る、等と言ったらしい。スペックを良くしようとして、お掃除AIロボットは家のエアコンを分解して壊してしまったのだろう。
そして今回の遊作の方は、アイが硝子の檻から脱出するために、お掃除AIロボットにロックを解除しろと命令し、お掃除AIロボットは最も手っ取り早い、ブレーカーを落とすという方法で解決した。だから有馬の点けていたエアコンは切れたのだろう。
「というか、遊作のエアコンは壊れて・・・ないよな?」
有馬は一番の心配である遊作のエアコンが無事かを、アイを片手にブレーカーを上げてから見に行った。
有馬は入/切のボタンを慎重に押す。
ポチ
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
点かない。急に消したのが悪かったのだろう。
「○▼※△☆▲※◎★●!」
『オオオオオォォォォン』
意訳:落ち着け有馬ぁぁ!
『アワワワワ・・・』
ピンポーン
場が混沌と化している時、遂に
隠れても無駄。どれだけ隠れんぼをしてもいずれ捕まる。有馬は勇気を持って玄関の扉を開けた―――
「予定より遅くなった、・・・?どうした?」
遊戯王では、一部の人達から、天使は悪魔だと言われている。そして、この場に現れたのは、彼らを殺す
「・・・・・・これは、どういうことだ。」
「」
『』
有馬は土下座をしながら首を出し、アイは白目を向いている。そんな中でもお掃除AIロボットは素知らぬ顔で掃除をする。
「俺が目を離したのが間違いだったか・・・」
この日は遊作の家から、夜まで1人と1AIの悲鳴が聞こえたという。南無。
作者は夏は嫌いですね。暑いし、手札誘発のドローじぃさんが出るから。