【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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6話です。

今回は特にイベントもなく平和にホグワーツに出発です。


6. 九と四分の三番線からホグワーツへ

1991年9月1日 キングス・クロス駅

 

キングス・クロス駅にはマグルに秘匿されたホームがある。

九番線と十番線の間の柵の向こうの九と四分の三番線には今日はホグワーツ行きの紅の蒸気機関車が停まっており、多くの魔法使いの姿があった。

その中にはテイラー家とグレンジャー家の姿もあり、共にホグワーツに入学する子供がいることもあって会話を弾ませていた。

レオがハーマイオニーに魔法について教えるうちに家族ぐるみでの付き合いとなっているのであった。

 

「レオ君、娘のことよろしくお願いしますね。私たちは魔法については全くの無知ですし、この子も友達付き合いは苦手ですからねぇ……。」

 

「わかりました。僕も友達はハーマイオニーしかいませんのが、ホグワーツでの生活は七年間もありますし気長にやっていこうと思います。」

 

「心配無用です、グレンジャー婦人。父親の私より息子は優秀です。魔法についてならレオに任せておいてください! むしろ娘さんが友人になってくれたおかげでレオに初めての友人ができて私たちの方が大助かりですよ。」

 

談笑を続けていると出発の時間が近づいてきた。レオとハーマイオニーは空いていたコンパートメントに入り、それぞれの両親に出発の挨拶をするため窓から顔を出す。

 

「父さん、母さん。行ってまいります。」

「うむ。良い学生生活を送ってこい!」

「体に気を付けるのよ。友達作るのよ。手紙書いてね。ええとそれから……。とりあえず頑張って!」

 

「ママ! パパ! 行ってきます! クリスマスには戻るわ!」

「行ってらっしゃい。無理はしないようにね。」

「何かあったらレオ君に相談するんだよ。頑張りなさい。」

 

 

列車が走り出してからすぐに二人のいるコンパートメントの扉が叩かれる。

扉を開けると一人の少年が申し訳なさそうな顔をして立っていた。

どうやら他のコンパートメントに行く当てがないようだ。

 

「ごめんね……その……席空いてる? どこもいっぱいで……。」

「私は構わないわ。レオは?」

「別に問題ないよ。」

 

了承を得た少年はおずおずした感じで席に座る。

 

「僕はネビル・ロングボトム……。よろしく……。」

「私はハーマイオニー・グレンジャー。でこっちは」

「レナード・テイラーだ。よろしく。」

 

ネビルはレナード・テイラーの名を聞くと目を見開いて口をパクパクさせる。

レオが自己紹介すると大抵の魔法使いはこのような反応をする。

正直なところレオは少しうんざりしていた。

 

「レナード・テイラーって……、僕でも知ってるよ! 有名人だ! 若いって聞いてたけど、僕と同じくらいだなんて……。」

 

「ロングボトム君は今年入学か? だとしたら僕とハーマイオニーも同じだよ。」

 

「こんなすごい人が同学年だなんて……。どうしよう僕のダメなところが目立っちゃうよ……。」

 

「始まる前から卑屈になっちゃ、それこそダメになっちゃうわよ! うじうじしていないでしっかりしなさい。」

 

ハーマイオニーの励ましでは気持ちはあまり変わらなかったようで顔色は優れていなかった。

その後は車内移動販売でお菓子を買ったり、昼食を食べながら雑談をして過ごす三人。

話題はホグワーツに入ってからどこの寮に入りたいという話題に移る。

 

「二人はどの寮に入りたい? 私はグリフィンドールとレイブンクローで迷っているわ。」

 

「僕は正直どこでもいいかなって思ってる。どんな場所だろうと自分の思うように研究を続けるだけだよ。適正で言えばレイブンクローな気がするが。」

 

「僕は……。ばーちゃんがグリフィンドールに入れって言うんだけれど……、多分ハッフルパフだよ。最悪スリザリンじゃなければ良いかな。」

 

「ロングボトム君、ハッフルパフが劣等生でスリザリンが闇の魔法使い予備軍って認識を持っているならその考えは修正した方がいいよ。ハッフルパフも偉大な魔法使いを輩出しているし、スリザリンだからと言って全員が闇の魔法使いというわけじゃないから。ただ父さんの話では今のスリザリンはほとんど純血主義だからハーマイオニーみたいなマグル出身には居心地は悪そうだな。」

 

「そうね、できれば気分よく勉強したいから自分に合った寮に行きたいわ。どうやって所属寮を決めているのかしら? 何かテストをするのかしらね?」

 

テストという言葉はネビルを怖気づかせるには十分な力を持っていた。

 

「どうしよう……。いきなりテストなんて無理だよ、結果が出せなくて入学できないなんてなったらばーちゃんになんて言われるか分かんないよ。」

 

「心配しなくても大丈夫だと思うよ。それぞれに合った寮を決めるんだから難しいテストじゃなくて適性を測る何かをするんだろう。」

 

「そうよね、なんにしても楽しみだわ。」

 

その後、しばらくお互いについてやホグワーツについてのあれこれ色々と話し合った。

 

 

 

ホグワーツまでの道のりも半分は過ぎた頃、ネビルが声を上げた。

 

「あれ? トレバー! トレバーがいなくなっちゃった! どうしよう二人とも見なかった?」

 

「落ち着いて、ネビル。トレバーって何なの?」

 

「ペットのヒキガエルなんだ。すぐにどこかに行っちゃうんだよ。探さなきゃ。」

 

「私も手伝うわ。」

 

二人は出ていこうとするがレオは動こうとしない。

 

「レオは来ないの?」

 

「二人とも僕らは何だい? 魔法使いだろう。わざわざ外に出ていかなくとも魔法を使えば良いだろう。」

 

あっ、といった感じで二人は気づく。

 

「そうだった、魔法を使えば良かったんだわ。まだ魔法使いの感覚に慣れてないみたいね。」

 

「でも僕はペットを探す魔法なんて使えないよ。」

 

「ハーマイオニーだったらどんな魔法を使うのがいいと思う?」

 

「呼び寄せ呪文かしらね。やってみるわ。ネビル、トレバーの特徴を教えてくれないかしら。」

 

ハーマイオニーはヒキガエルの大きさ、色などを聞いて頭の中でイメージする。

姿を思い浮かべてから自分のもとへ来るイメージを構築していく。

 

「アクシオ!」

 

数秒の後、廊下の方からレオたちのいるコンパートメントに向けてヒキガエルが飛んでくる。

 

「トレバー!」

 

「やったわ。成功よ!」

 

ネビルはハーマイオニーに何度もお礼を言い、ハーマイオニーは今の魔法の結果に満足気味だった。

 

「ハーマイオニー、今の魔法は良かったよ。構成がしっかり組まれていた。」

 

「レオの教えが良かったからよ。」

 

その後は特に問題もなく時間が過ぎていく。

次第に空も暗くなってきたので、三人は男女ずつに分かれ制服に着替える。

その後三十分ほどでホグズミード駅に到着した。

荷物はそのままにしておくよう指示があったので三人はそのまま列車の外に出る。

 

駅のホームにはダイアゴン横丁でも見た大男が待っていた。

レオが『眼』を使って見ると通常の人と異なった魔力が全身を覆っていた。

おそらくは人ではない魔法生物との混血なのだろう。

 

「イッチ年生!イッチ年生はこっちだ!ついて来い!」

 

どうやら一年生はあの大男が案内するようだ。

 

「さあイッチ年生のみんなホグワーツが見えるぞ。この角を曲がったらだ。」

 

山道を抜けるとホグワーツが見えた。周りからは歓声が上がっていた。

 

次に四人ずつボートに乗って、湖を進む。

レオ、ハーマイオニー、ネビルのボートには人数が足りなかったのか三人しか乗らなかった。

ボートは蔦のカーテンをくぐり崖にある入り口に入っていく。

暗いトンネルの先の船着場に到着し、大きな扉の前まで案内される。

 

「よし、全員いるな?」

 

扉を三回ノックし、扉が開くとエメラルド色のローブを着たマクゴナガル教授が待っていた。

 

「マクゴナガル教授、イッチ年生のみなさんです。」

 

「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう。」

 

マクゴナガル教授に案内され玄関ホールを通って小さな部屋に通される。

 

(さてこれから組み分けだろうか。どんな結果になることやら。)

 




ハーマイオニーのレベルが上昇しているためトレバーがらみでハリー達に遭遇することなくホグワーツに到着となりました。

次回は組み分けです。
レオとハーマイオニーの寮はどうなるのかお楽しみに。

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