ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多
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三連休なんでちょっと早めに投稿。

では38話どうぞ。


38. 隠し子騒動

10月第二週。

レナード・テイラーの研究室は奥に行くほど危険で貴重なものが保管されている。
研究室の奥から二番目の部屋。
ここではレオが造った新たな魔法生物のクーは順調に育っていた。今の大きさはすでに7~8歳程度の子供並みに育っている。

「それじゃあ、クー。僕は授業に行ってくるから。明日にも体が安定してそこから自由に出られると思うからもう少しの辛抱だね。」

レオが研究室を出ていく。クーは培養槽の中を漂いながら考える。

(お外はどんなのかなぁ? 知識は知ってるけど見たことない……。見たいなぁ。出ちゃおうかな。ご主人は許してくれるよね? うん、行こう!)

外への好奇心に逆らえなかったクーは培養槽を飛び出す。半透明の体を取り込んである人間の遺伝子を参考にして姿を変える。魔法で子供用のローブを作って着て研究室の外へ飛び出した。

「しゅっぱ~つ!」

ホグワーツ内は研究室内では見たことのないものばかりでワクワクしっぱなしのクー。
ゴーストを見たり動く階段や絵画を眺めたりしながら校舎中を歩き回った。見るものすべてが新鮮であった。
だが無計画に歩き回った結果、迷子になるのは必然であった。

「どうしよ? ご主人はどこだろ? でもご主人に見つかったら怒られるかも……。お腹もすいた。」

現在授業の真っ最中なので廊下には生徒や教師の姿は見えない。あてもなく歩いているとなんだか安心させる匂いを感じた。とりあえず直感でその匂いの元に行くことに決めた。

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私はホグワーツ魔法魔術学校、グリフィンドール所属三年生。ハーマイオニー・ジーン・グレンジャー。現在14歳。今は変身術の授業を受けているところ。いつものように担当のマクゴナガル先生の言葉を一言一句聞き漏らさないように集中していた。そんな何も変わらない同じような授業中だった。
それがいきなりの乱入者によって混沌としたものに変わるとはその時の私には予想などできなかった。

「ここかな?」

教室の扉が開けられ誰かが入ってくる。マクゴナガル先生もみんなも一斉にそちらを見る。
そこに立っていたのは真っ白な少女だった。純白のローブに白銀の髪、肌もかなり色白だ。目だけは緑であり白の中でかなり異質な感じであった。
全員が頭に疑問符を浮かべている。

(((誰だ? あの子?)))

その疑問ももっともだった。他の寮の下の学年だから見たことが無いとかそういう話ではない。明らかに幼すぎる容姿だ。まだ10歳にも満たないであろう。

「あなたはどなたですか? 誰かに連れてきてもらって迷子にでもなりましたか? 名前は? 保護者は誰ですか?」

マクゴナガル先生はやさしく白い少女の相手をしている。白い子は質問には答えず、教室内を見渡している。

(あ、目が合った。)

目が合った途端、少女の顔が喜びに変わった。私を指さして驚愕の言葉を放った。

「ママ!」

「「「ママ!?」」」

みんなが私を一斉に見る。私は放たれた言葉の衝撃から混乱してどうしていいか分からず固まってしまった。少女はそんなことお構いなしに私に近づいてきて抱き着いてくる。混乱はますますひどくなる。

「グ、グレンジャー! その子はあなたの子なのですか!? 相手は誰です!? いえ、そもそもその年で子供など……! ダメ、ダメですよ、グレンジャー!」

マクゴナガル先生もかなり混乱している。その様子を見て私は少しずつ平静を取り戻していった。自分より取り乱した人を見ると落ち着くというのは本当のようだ。

「あなたは誰なの? 名前はなんていうの?」

「ママ、わたしだよ。クーだよ。えっとね、探検してたら迷子になっちゃって……。ママの匂いがしたからここにきたの。」

「クー? えっと、まさかレオの?」

あの小さなプルプルの半透明な謎生物がこの子? にわかには信じられなかったが、ここは魔法学校で造ったのはあのレナード・テイラーなのだ。何が起こってももはや驚かないと思ったが、レオは私の想像をいつも容易く超えてくるなぁ……。
呑気にそんなことを思っていると、レオの名を出したのがまずかったのか、周りは更に混乱していく。

「今、レオって言った? やっぱり相手はレナード・テイラーなのね!」
「キャー! 二人ともおめでとう! 式はいつになるの?」
「後で色々と詳細を。後々の参考にするわ。」
「その前に相手探しじゃないの?」

「くそっ! やっぱりテイラーかよ。」
「というか子供だとして大きすぎないか?」
「どうせ魔法や魔法薬じゃないか? 何でもありだろあいつ。」
「ロンがショックで気絶した!」

女子も男子も言いたい放題だ。何人か無視できない発言もあるが気にしたら負けだろう。レオの魔法云々については否定できない……。
マクゴナガル先生も混乱しっぱなしだし、どうしよう……。でもこれ以上は何も起こらないよね?
そんな私の淡い希望も次に教室に入ってきた人物を見た瞬間、木端微塵に吹き飛んだ。

「授業中失礼します。こちらに見知らぬ生き物が乱入してきませんでしたか?」

私の想い人、レナード・テイラーの登場です。
教室内はますますヒートアップ。マクゴナガル先生はレオに詰め寄って何か見当違いな説教を始めるし、逃げたくなってきた。

「ご主人!」

私に抱き着いていたクーちゃんがレオを見つけると背中からドラゴンのような翼を出してレオに飛んで行った。私を含めたレオ以外の全員がそれを呆然と見ている。あれだけ騒がしかったのが嘘のように静まり返っている。

「ご主人! お腹すいた! ごはんまだ?」

「クー、勝手に出歩くなんてダメじゃないか。培養槽に感知魔法を設置しておいて良かった。それにしても、もう人型になれるなんて予想以上の成長だな。とりあえず、研究室に戻るよ。ご飯は説教の後でね。」

そう言って二人は教室を出ていこうとする。

「「「「ちょっと待った!!!」」」」

教室内の全員から待ったがかけられた。いくら何でも説明なしは無理だった。
それからレオによるクーちゃんの説明が始まった。
と言っても細かい魔法生物や魔法薬の理論、レオ独自の魔法、更には賢者の石まで出てくるのでとてもじゃないが理解が追いつかなかった。

「ミスター・テイラー。申し訳ありませんが、簡単に事実だけ教えてください。この子供は何なのですか?」

「僕が造った新しい魔法生物です。」

「それがなぜミス・グレンジャーのことをママと呼んだのです。」

「ハーマイオニーに素材として髪を提供してもらったのでその影響かと思われます。」

「そうですか。はぁ~……。今日は疲れました……。この子が勝手に授業中に入ってきたのでその分の監督責任としてレイブンクロー5点減点です。今日は授業にならないでしょう。授業内容をレポートとしてまとめて提出すること。以上です!」

レオとクーちゃんは研究室に戻っていった。なんか周りから視線を感じる。

「相変わらずテイラーはぶっ飛んでるな。子育て頑張れよ、ママ!」
「未来の旦那との子供の練習にはいいんじゃない?」

みんながふざけてこんなこと言ってくる。
ま、まぁ確かにレオとは恋人になって……、ゆくゆくは結婚も……。
子供も欲しいし、そう思えばクーちゃんも私のDNAが入ってるんだから私の子供よね?
……よし!

「私、頑張るわ! クーちゃんを立派に育ててみせる!」

みんなからまさか本気にするとは……って雰囲気を感じるが気にしない。

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それからのレナード・テイラーのそばには白い少女、クーが付いていくようになった。皆がレナード・テイラーが造った魔法生物に興味津々であった。
たまに一人でいるクーを見かけた生徒はその様子を微笑ましく観察したり、弟や妹がいる生徒たちは一緒に遊んで可愛がるようになった。
一気にホグワーツのアイドル的な存在にまでなってしまったクーであった。

クーも色んな人や物を見て、触って、食べて、経験を積むことで順調に成長していった。
レオももちろん愛情をもって接しているがやはり多くのことを経験させるためクーのやりたいようにさせている。
そしてやはり近しい存在なのかハーマイオニーのことをママと呼んで一番懐いていた。その様子から14歳にしてすっかりママ扱いに慣れてしまったハーマイオニーなのだった。



ハーマイオニーはママになりました。
レオのことは創造主として認識≠パパです。

クーは性別は無いんですがハーマイオニーの髪の影響で少女型となりました。
まだまだ成長途中なのでこれからどんどん性能が明らかになります。今は体の形を変えたりドラゴンの翼を出したり簡単な魔法を使えるぐらいです。
そのうち登場人物紹介みたいの作って詳細や裏設定を明かすかも?

では次回お楽しみに。