【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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ハリー・ポッター原作なのにハリーはモブ同然。
ハグリッドは逮捕されるし、賢者の石の罠は鬼畜だし、オリ主が教師するしで、
自分で書いててとんでもない話になってるなと思った。
でもこれからもそんな話が続くんだと諦めた。

では36話どうぞ。


36. 新たなる授業

始業式の翌日から例年通り授業が始まる。レオは今年から選んだ魔法生物飼育学、占い学がはじまるのが楽しみだった。

初日はその二つはなく変身術、呪文学、魔法史だった。一年ぶりの授業であったが、問題なく終わった。やはり魔法史は研究のまとめをするにかぎる。

翌日はプランク教授の魔法生物飼育学を受講することとなる。周りから良い評判を聞いていたが、実際に授業を聞くと評判が正しいと分かる。まず、魔法生物とは何か、飼育方法や危険性、有用性などをしっかりと教えることから始まった。プランク教授曰く、

 

「知識なくして実戦なし! この授業では座学もしっかりやります。魔法生物と触れ合えて楽しそうなんて気持ちでいる生徒はいつか怪我をします。まずは魔法生物について正しい知識を身に付けてからです。そうすれば高学年になればユニコーンにも触れることができるようになるでしょう。」

 

それからは簡単な魔法生物をプランクが連れてきて生徒に見せた後、実際にも生徒にも取り扱わせる。しっかりと注意点を教えていたため問題なく授業は終わった。魔法生物飼育学は人気の授業の一つとなるまでそう時間はかからなかった。

 

 

対して、占い学の評価は低かった。

レオが初めて占い学の授業に出るとその評価も納得するしかないものだった。

まず、場所が悪い。北塔の一番上にあり移動するのもめんどくさい。教室内はシェリー酒の匂いが充満しているので適切とはとても言えない。だが、担当の教師に比べればこんなことは些細なものであった。

占い学の担当のシビル・トレローニーは瘦せていて大きな眼鏡をかけたトンボのように見える女性だ。

 

「占い学へようこそ。あたくしがシビル・トレローニーです。騒がしい俗世におられるみなさんとはあまり会う機会はありませんでしたね。あたくしの心眼は俗世にいると曇ってしまいますの。」

 

教室内の生徒たちを見渡しながら、霧の彼方から聞こえてくるような声で話を続ける。

 

「占い学は魔法学問の中で最も難解なものですわ。初めにハッキリさせておきましょう。未来を見通す才が無いものには、教えることはほとんどありませんのよ。書物ではある程度のことしか教えられませんの……。」

 

その後はお茶の葉を読むことになるのだが、レオとしてはがっかりの内容だった。トレローニーは確かに普通と違う魔力が体内にあるのが視える。だが、生徒たちの未来を予言している時にその力を全く使っていない。そのくせ本心から自分が才能が有ると思っている。おそらく彼女が力を使う時は本人でも気づかない時に何かしらの条件が必要なのだろうが、それを見ることができるのがいつになるかは分からない。

トレローニーがレオに死の予言をしてくる。レオは聞き返す。

 

「死とは具体的にどのような原因で起こるのでしょうか? 病気、事故、誰かに殺される。それとも別の何か? 未来が分かっているのなら対策をしますので教えてもらえないでしょうか?」

 

「未来とはあやふやで曖昧で不透明なものですわ。ゆえにあたくしはあなたが死する運命であるとしか告げれませんの。」

 

そうはいっているが特別な予言をしているようには視えなかった。

レオは占い学、というよりはシビル・トレローニーに見切りをつけた。今後は占い学の授業に出ることは無いだろう。無駄な時間を過ごすよりは研究をした方が良いに決まっている。

 

 

翌日には闇の魔術に対する防衛術の授業だ。昨年は教師として授業を行っていたレオとしては生徒として授業に出るのが何だか新鮮であった。

リーマス・ルーピンが狼人間であることはホグワーツから保護者にすでに連絡が行っているためダンブルドアとホグワーツに対して非難も来ていたが、世論的には徐々に人狼への差別がなくなってきているのと、ルーピンが何か問題を起こした場合はルーピンの解雇とダンブルドアの校長職を辞職することで一応は収まっている状況だ。

教室内に入るとルーピンはまだ教室には来ていなかった。今のところルーピンに問題があったなどと言う話は聞こえてこない。むしろ良い評判が多いほどだ。生徒たちが教科書などを準備しているとルーピンが入ってくる。

 

「おはよう、みんな。教科書は必要ないから鞄にしまってしまおうか。 他の寮から聞いているかもしれないけど、今日はいきなりだけど実習をしよう。杖だけあれば大丈夫だよ。」

 

狼人間の先生といきなりの実習、かなりの生徒たちが不安を覚えているようだ。

案内されたのは職員室だ。中に入ると篩箪笥が置かれているが、時折ガタガタと揺れている。不安を覚えた生徒が質問をするとルーピンは落ち着いて返答した。

 

「大丈夫、心配ないよ。中にはまね妖怪のボガートがいるだけだ。」

 

それからルーピンはボガート説明をし、問題を出していった。

 

「これからみんなにはボガートと対峙してもらう。一人ずつだ。複数人で相手するとボガートが何に変身すればいいか混乱しておかしな結果になってしまうからね。ボガートを退散させるのは簡単だけど精神力が必要になる。退治させる呪文はこうだ、私に続いて言ってみようリディクラス(ばかばかしい)。」

 

生徒はルーピンの言った呪文を繰り返す。

 

「うんうん、とっても上手だ。だけどね、本当に必要になるのは呪文じゃなくて笑いなんだ。さっきの呪文だけじゃ意味がない。君たちがボガートの相手をすると一番怖いものに変化するだろう。リディクラス(ばかばかしい)を唱える時にその怖いものを滑稽だと思えるものに変化させるようにイメージしながら唱えるんだ。そうすればその通りボガートが変化するはずさ。ちょっと時間をとるからみんな怖いものとそれをどうおかしくさせるかイメージするんだ。そしたら順番にやってみよう。」

 

生徒たちは各々考え始める。レオも考えるがいまいち怖いものがイメージできなかった。順番になれば自然と変わるからその時に対処すればいいかと結論した。

それから順番に一人ずつボガートの相手をしていった。巨人、蛇、死体、得体の知れない何か等々色んなものに変化していくボガート。レオの順番になり前に出る。

ボガートは形を変化させよとぐにょぐにょ蠢いていたが、最終的に五十センチほどの正体不明の球体になり動きを停止した。皆がアレがレナード・テイラーが恐怖する存在なのかと疑問に思っていた。

レオだけはこの結果の原因が分かった。

 

「なるほど、『遮断』でこちらの思考を読めなかったのか。だからこれがボガートの真の姿なのかな。」

 

レオが球体を掴もうとすると飛んで逃げてしまった。

 

「すいません、ルーピン先生。逃げられてしまいました。」

 

「あー……、うん。貴重なものを見れたし問題ないよ。さて、そろそろ授業も終わりだ。次回までに今回の感想とボガートについてレポートを作成するように。では解散!」

 

魔法生物を使った実習は生徒たちの心をうまくつかめたようでルーピンに対しての印象も良くなったようだ。

 

「レナード君はちょっと残ってくれるかい? 少し話があるんだ。」

 

呼び止められたレオはルーピンに連れられて彼の私室に案内された。

中に入った途端ルーピンはレオに頭を下げてきた。

 

「ずっとお礼が言いたかった……! ありがとう! 君の発明した改良型脱狼薬のおかげで僕は、僕たち狼人間はあんな思いをせずに済んでいる。感謝してもしきれない!」

 

「顔を上げてください。別にお礼を言われるために開発したわけじゃないですし、あの薬はまだ未完成です。」

 

それでも顔を上げず感謝を続けるルーピン。ついには何でも言うことを聞くなんて言葉まで出てきた。

 

「はぁ……。そこまで言うなら一つ研究に協力してもらいましょうか。」

 

「君の助けになるなら何でもやるよ! 何をすればいい!?」

 

「ちょうど協力的な狼人間がいるので改良型脱狼薬を更に発展させましょう。ルーピン先生、人に戻りたいですか?」

 

その言葉に絶句するルーピン。しばらくしてようやく言葉を発した。

 

「……そ、そんなことが可能なのかい……? もちろん人間には戻りたい! こんな化物なんて嫌だ……。」

 

「では、研究に協力してもらえるということでよろしいですね。と言っても血液なんかのサンプル提供だけしていただければいいんですけどね。」

 

「もちろんだ! 死なない程度になら持って行ってくれ! 完成までどのくらいかかると考えているのかい? 5年、それとも10年?」

 

「できれば、今年中ですかね。まぁ、他に優先することができたら後回しになりますが良いですか?」

 

「そんなに早くできるものなのか……? わ、分かった。もちろんこちらとしては異議は無いよ。」

 

研究室に戻って脱狼薬を改良した時の資料を引っ張り出す。今から五年ほど前に作ったものだから今見直すと色々と不出来なものだ。

今年のレナード・テイラーの目標が一つ決まった。脱狼薬を完全なものにすることだ。




ハグリッドがいないだけで魔法生物飼育学がとっても平和。

占い学はトレローニーが最初からトランス状態になってたらレオの見方も変わったでしょうね。

逃げたボガートは怖がらせなかった悔しさから進化しました。
現在はマグルの研究者を怖がらせる生活をしていて満足してます。
研究者からは「おおこわいこわい。」と言われてる。
ごめんなさい、嘘です。

ルーピンはレオに対してかなり信奉してます。
レオとダンブルドアどっちに味方する? と問われたら迷わずレオを選ぶぐらいには。

脱狼薬→変身するが理性は残る。
改良型脱狼薬→理性もそのまま人の姿でいられる。
その先の薬→狼人間から人間に完全に戻る……予定。

では次回お楽しみに。


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