【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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感想を読んでもうハリーやロンの出番はそこそこでいいかなって思うようになりました。
まぁ、出番が全く無くなるわけじゃないですけど原作のイベントが改変・消滅したりはしていくと思います。

では26話どうぞ。


26. 怪物の正体は

閉鎖空間であるホグワーツでは噂の浸透性はとてつもなく速い。

翌朝にはフィルチの猫がハリー・ポッターとロン・ウィーズリーによって酷い目にあわされたという噂が全校中に広まっていた。特にロンは車の件の罰則でフィルチに厳しくされた逆恨みから妥当だろうと判断されていた。

秘密の部屋の継承者であるとの噂はほとんどなかったが二人から距離を取る生徒も少なくなかった。

 

猫の一件後の最初の二年生の闇の魔術に対する防衛術の授業。レオが出席を取ると即座に数人から秘密の部屋についての質問が飛んできた。こうなることも予想していたのであらかじめ授業内容は秘密の部屋への対策や危険な魔法生物への対処などを考えておいた。

 

「さて、皆が秘密の部屋について知りたいようなので僕が知っている情報を教えておきましょう。情報は共有していた方が良いものはありますからね。」

 

特に言ってはいけないと口止めされたわけではないので昨日のダンブルドアの話をする。

ホグワーツ創設者の話、スリザリンの離別、秘密の部屋、五十年前のこと、ハグリッドのこと、ヴォルデモートのことまで全て。ただ、ヴォルデモートの名前が出るたびに悲鳴が上がるのはどうにかならないのだろうか。

一気に新しい情報を得た生徒たちは様々な憶測を話し始める。現実を見ていない突飛なものから、よく考えて自分の意見を出しているものまで様々だ。

レオが手を叩いて場を静かにさせる。

 

「皆さん静かに。色々と話したいことは多いでしょうが、まだ授業中です。ですが、皆さん秘密の部屋についてどうしたらいいのかといったことで頭がいっぱいでしょう。よって授業内容は対秘密の部屋をテーマに進めていこうと思います。」

 

殆どの生徒はレオの授業内容には賛成のようだ。スリザリンからは不満そうな雰囲気を感じるが無視して進める。

 

「昨日の猫を分析したところ、秘密の部屋の怪物はおそらく生物を即死させる何らかの手段を持っています。ですが猫は石になっていただけでした。これは効果が不完全に働いた結果です。猫でさえ即死は防げることから魔法以外の手段でも防御が可能であると推測できます。今は解析中ですが次に何かしらの事件が起これば対策方法も確立できるでしょう。それまではどうすればいいのか? 魔法で防御する手段を身に付けるのか? まずは、防ぐ方法を考える前に襲われない状況にしましょう。おそらく標的はマグル生まれの者なのでマグル出身者は極力単独行動はしない、欲を言えば純血の人と一緒にいると良いでしょう。より狙われにくくなるはずです。」

 

マグル出身者は熱心に聞いている。逆に純血特にスリザリンは真面目に聞いておらずあくびまでしている。

 

「ではここからは秘密の部屋の怪物がなんであるか推理していきましょうか。マルフォイ君!」

 

急に名指しされたマルフォイはビクッとしてレオを見る。また何かされるのではないかと恐怖に震えている。

 

「マルフォイ君、君は純血でしかもかなりの地位がある、しかも代々スリザリンといつも言っているね。50年前のこととか今回のこととか何か聞いたことはないかな?」

 

「し、知らない……です。他の純血の家でもそんな話は聞いたことがない、です。」

 

「ふむ……。他の純血の人も何も知らないかな?」

 

純血の家系の生徒が首を横に振る。秘密の部屋はやはりスリザリンの継承者だけの秘密なのだろうか。

 

「では純血の生徒には課題を出します。ああ、これはやってこなくても別にいいですよ。課題内容は親や親族に対して秘密の部屋について尋ねて結果をまとめること。有益な情報があれば寮に加点します。まぁこれについてはあまり期待はしていません。その他の皆さんも何か有益な情報があればどんどん言ってください。そういった情報は多く共有した方が良いですからね。」

 

授業は終了し、それぞれの寮に帰っていく。グリフィンドールからはスリザリン、特にマルフォイは何かを隠していると思っているのかあからさまに敵視していた。

一人残ったハーマイオニーが寄ってくる。

 

「レオ、今回の騒動どうなっちゃうのかしら。私もマグル出身だし対策したいの。」

 

「はい、これ。」

 

レオは銀のネックレスを手渡す。いきなりのプレゼントにハーマイオニーは狼狽する。

 

「え、どうしたのレオ? いきなりこんな。」

 

「ハーマイオニーにだけ特別にプレゼントさ。ありったけの防御式を組み込んでいる。昨日の猫を解析した結果も反映されているから即死することはないと思う。贔屓だと思われるかもしれないけど、内緒だよ?」

 

「こんなすごいのを私に? 嬉しい……。着けてくれないかしら?」

 

「お安い御用さ。」

 

そういってレオはハーマイオニーの首にネックレスを着けていく。

 

(あれ? なんだか顔が熱い? なんでだろ? ただネックレスを着けてもらってるだけなのに。)

 

自分の変化に答えが出なかったが、きっとすごい魔法具を身近に感じて興奮しているのだろうと結論した。

 

「じゃあ、問題が解決するまでは身に着けておいて。怪物のこととか判明したらその都度バージョンアップしていくよ。」

 

ハーマイオニーは絶対外さないことを誓った。

 

 

 

その後は大きな出来事もなくクィディッチシーズンが幕を開けた。

レオは観戦にもいかず校舎内を探索している。もちろん秘密の部屋についての手がかりを探るためだ。扉という扉を片っ端から開けていく。そのどれもが秘密とは言えない中身だった。

 

(まぁ、そうだろうね。こんな簡単に見つかるなら既に秘密でも何でもないだろうしな。とりあえず校舎の何か所かに監視用の魔法具を設置しておくか。)

 

巧妙に存在を隠した映像を記録できる水晶玉を校舎に十数個ほど設置していく。安全のため、そして自分の研究のためだ。

 

(これで良し。あとはぶらぶらと散策してみますか。僕も半純血だし猫の件から上位目標だろうしな。)

 

歩いていてもゴーストぐらいしか遭遇はしなかった。

 

(どうせなら怪物が出ればいいんだけど……。あぁ、でも未知の相手じゃ何が起こるか分かんないしまだ早いかな。ん?)

 

奇妙なものを見つける。蜘蛛が大小種類を問わず一斉に外に向かって出ていっているのである。通常ではない行動、これも何か今回の件に関係しているのだろうか。

 

(逃げる蜘蛛、スリザリンの怪物、スリザリンといえば蛇、通常出ない殺害方法、不完全石化。……バジリスクかな?)

 

現状あるヒントからとりあえず予想を立ててみる。後は実物を見るか次に誰か、どうせならば動物じゃなく人間が石になれば治して話を聞けるのだけれど、なかなか死なずに石にだけなるなんて幸運はないだろうと期待はしていなかった。

 

 

その夜。

レオの研究室の扉が叩かれた。ベッドの上から外の様子を魔法で確認してみる。今は平時より格段に防御機構が高められているのでそう簡単には侵入してこれないはずだが念のために研究室全機能を開放しておく。

扉を叩いていたのはマクゴナガルだった。

 

「ミスター・テイラー! 起きなさい! 緊急です! 一緒に来なさい。」

 

どうやら何事か、恐らくは秘密の部屋関連で何かあったようだ。

すぐに準備してマクゴナガルに連れられて医務室に到着する。医務室にはダンブルドア校長、マダム・ポンフリーがベッドの上に横たわる一人の生徒を見ていた。確か、グリフィンドールの新入生のコリン・クリービーだったはずだ。

 

「こんな夜遅くにすまん、レオ。生徒に犠牲者が出てしまった。不幸中の幸いだが石になっているだけで死んではおらん。前の猫の時と同様に回復させることはできるかの。」

 

「診せてください。……前回と同様ですね、不完全に作用しています。これならば問題ないでしょう。」

 

コリンの頭に手を置き猫と同様の手順で解呪していく。飛び起きるコリン。

 

「わぁあああああ! ……あれ? な、あー、え。あっ! ダンブルドア先生! 僕お見舞いで、蛇が、カメラを、そしたら……。」

 

「大丈夫じゃ、落ち着きなさい。ポピー、安らぎの水薬の用意を。」

 

安らぎの水薬を飲んで落ち着いたコリンは何があったのか話し始める。クィディッチの試合で怪我をしたハリー・ポッターのお見舞いの為に一人で夜に出歩くのは危険と知りながらも我慢できずに来てしまったこと。その途中で何かが這いずる音と自分のことを見ている気配を感じて持っていたカメラで捉えるためカメラを構えて振り返った。その先には巨大な蛇がこちらを見ていた。次の瞬間には体の自由が利かなくなり気づいたらベッドの上だったらしい。

マクゴナガルは溜息をつく。

 

「お見舞いをしたいのは分かりますが、時間を選びなさい。ミスター・テイラーがいたからこうして元に戻れたのです。一歩間違えば命を落としていたかもしれません。グリフィンドール30点減点です、これに懲りたら危険な真似はしないことを肝に銘じなさい。」

 

「はい……。ごめんなさい。テイラー先輩もありがとうございます。」

 

レオはコリンのカメラを解析中で話は聞いていなかった。カメラのフィルムはぐずぐずに溶解しておりレンズも粉々になっていた。だが猫やコリンの体に比べて残留している魔力は多く解析が進みそうだった。

 

「ふむ、大蛇か。やはりスリザリンの遺したものとみて間違いないじゃろう。レオ、正体は判明したかのう。」

 

「今までの証拠と大蛇ということを考えてバジリスクとみて間違いないかと。猫は状況を見ていないのでわかりませんが何かに反射した目を見て、クリービー君はカメラ越しに見たのでバジリスクの即死の魔眼を軽減できたのでしょう。」

 

「バジリスクか……。対策を講じねばならんな。レオも協力してくれんか。」

 

「解りました。秘密の部屋とバジリスクには興味がありますし喜んで協力します。」

 

(幸運にも石になった人と緩衝材になったカメラを解析できた。これで魔眼防御はどうにかなりそうだ。さてこれからどうしましょうかね。継承者の出方を待つか、こちらから何か行動をしていくか。)




純血の家系から情報を得ようとしたり調査したりしましたが結局はコリンとカメラの解析と証言でバジリスクであるとの結論に至りました。

ハーマイオニーにプレゼントしたネックレスはレオの指輪の防御に使われている魔法式(まだ紹介してないのも含む)と同じものが使われています。ただ、強度は指輪ほどじゃないので数回使用したら壊れてしまいます。

顔が熱くなるハーマイオニー。ちょっと自覚が出てきました。

ハリーは原作同様にドビーブラッジャーに腕を折られました。岩心がいないので骨抜きにはなりませんでしたが、大事を取って一日入院となりました。

では次回お楽しみに。

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