【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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ハリー達も活躍させたいなー。とは思っていますが、レオの行動とか考えると必然的に出番が減ってしまう。どうしたものか。

では25話どうぞ。


25. 開く秘密の部屋

レナード・テイラーの闇の魔術に対する防衛術の評判は良好だ。

防衛の基本の後は学年ごとに必要な事だけを効率重視で教えているが、個々の得意不得意を見極めて苦手の改善や長所を伸ばす方針でもあるので今まで苦手だった生徒も確実に実力が伸びているためだ。

また、免除課題があるためほとんどの生徒が模擬戦などを行っており、ホグワーツ生徒全体の戦力が増強することにもなった。

ハリーやロン、スリザリン生は特にレオを敵視しているため、対抗心を糧に実力の伸びが顕著だ。

しかし誰も免除課題をクリアした者は現れず、時間は過ぎていった。

 

 

 

1992年10月31日

 

今年もハロウィンがやってきた。去年と同様ホグワーツ中にかぼちゃの匂いが充満している。ホグワーツに何かを仕掛ける者は今回は現れないだろうからゆっくり食事ができるだろうとレオは考えていた。

 

「「トリック・オア・トリート!」」

 

レオが廊下を移動しているとハロウィンの決まり文句が聞こえたので振り向く。そこにはグリフィンドールの悪戯双子がニヤニヤしながら立っていた。

 

「ふっふっふ。兄弟、どうやらレイブンクローの天才様はお菓子を持っていないと見える。」

 

「ああ、兄弟。では悪戯開始だ!」

 

双子はありったけの糞爆弾と臭い玉を大量に投げ始める。周りの生徒は悲鳴を上げて逃げ惑う。

レオは指輪の一つ『遮断』の効果範囲を広げ、糞と臭いが自分に来ないようにする。

爆弾が炸裂した後は廊下が一面ひどいことになっていた。レオは廊下を清める為魔法を発動しようとするが、その隙に双子は様々な花火をレオに向けて発射する。花火を見ると面白い仕掛けが施されているのに気付いたためあえて相手の思惑に乗って消失呪文を当てる。呪文が当たった花火は消えるどころか増殖していき最終的に七色の美しい花が咲いた。レオが花火を見ていると双子が近くまで来ており口に何か入れようとしてきた。

 

「お菓子がないならこっちからキャンディーをプレゼントだ!」

 

これにはどんな仕掛けがされているか興味を持ったレオはわざと口に入れられる。

口に入れた瞬間にキャンディーは溶け成分が体に広がる。途端レオの鼻からは鼻血が止まらなくなる。

 

(あの小さなキャンディーにこれだけの効果を持たせたのか。この二人魔法具の開発においてかなりの才能を持っているな。)

 

冷静に自分の状況を確認しているのを見て逆に双子がオロオロしだす。

 

「あれ? 大丈夫だよな? レオ、鼻血でてるぞ。おーい?」

 

「キャンディーのせいでぼーっとしてるんじゃいよな!? 意識あるよな!?」

 

指輪の内、『治癒』を発動させて体の中の異物を消去する。血はすぐに止まり、血だらけの体を廊下と共に綺麗な状態に戻す。

 

「面白かったです。他にも悪戯グッズの開発はしてるんですか? もしよければ見てみたいです。」

 

「……もしかしてわざと食べた? やっぱりそうか、あっさり過ぎると思ったんだよ。」

 

「悪戯グッズならまだまだ色々あるぜ。そうだ! レオも開発に協力してくれよ。天才様の力を借りればもっと面白くできるぞ。」

 

フレッドとジョージはこれ以上ない考えだと言わんばかりに協力を求めてきた。

レオはしばらく考える。

 

(確かに、この二人は面白い。魔法具の開発はひらめきも重要だ。少しぐらいなら手伝ってもいいかもしれないな。)

 

「少しなら良いですよ。金曜の午後の勉強会の後で時間がある時なら協力しましょう。」

 

「よっしゃ、流石は天才様だ話が分かるぜ。」

「でもいいのかい? 優等生。俺たちみたいな悪戯小僧と付き合うと評判落ちちゃうかもよ?」

 

「別に周りの評価などはどうでもいいです。開発した魔法具が面白そうだから、理由はそれだけで十分ですよ。それじゃあ、説教頑張ってください。」

 

そういうと目くらましの呪文を使い姿を消し立ち去る。残された二人も逃げようとするがフィルチとマクゴナガルがその前に立ちふさがっていた。後にはマクゴナガルの説教と二人の誠意のない謝罪の声だけが残された。

 

 

 

「トリック・オア・トリート!」

 

夕食はダンブルドアの掛け声から始まった。大広間はかぼちゃを中心とした御馳走でいっぱいであり皆が大いに楽しんだ。人気音楽グループの「骸骨舞踏団」まで招かれており、トロールが侵入するなどもなく最高の気分のままパーティーは終わった。

 

レオは自室の研究室に戻り指輪の調整を行っていると扉がノックされた。

応答するとフリットウィックであった。何でも校長からの呼び出しのようだ。

フリットウィックと共に校長室に入ると中にはダンブルドア校長、マクゴナガル、スネイプにハリーとロン、そして泣いているフィルチがいる。

 

「ダンブルドア校長、いったい何事でしょうか?」

 

「夜も遅くにすまん、レオ。早速じゃがこれを見てくれんか。」

 

ダンブルドアの指さす先には固まってピクリとも動かない猫が横たわっていた。一目で何かしらの呪いによるものだと解る。猫に近づき詳しく解析をする。今まで見たことないもので少々苦戦をしたが解析完了だ。

 

「どうじゃレオ、何か解ったかの? わしは石になっているのは解ったが、いったいどのような魔法を使ったかまでは解らなんだ。」

 

「確かに石になっていますね。どのような魔法を使ったかまでは生憎解りませんでした。僕も初めて見る構成式でしたけれどこれは不完全ですね、もし完全に作用していればこの猫はすでに死んでいたでしょう。何かしらの妨害や干渉があったかして不完全状態であるため石になるだけで済んだのでしょう。」

 

レオはそういって猫に手を触れ魔力を浸透させていく。一定の魔力が体に充満したとこで猫の体内に残る魔力を打ち消すように変換する。次の瞬間には猫はビクンとさせ動き出した。

 

「ミセス・ノリス!!」

 

フィルチがこちらに駆け寄る。猫も飼い主の元へ歩いていき抱きしめられる。

 

「ありがとう! 君は今まで見てきた生徒で最高だ!」

 

レオの手を取りぶんぶんと握手をしてくるフィルチ。

解放されたレオは校長に詳しく話を聞く。何でも物騒なメッセージの前にこの猫が石になって放置されておりそれを運悪くハリーとロンが遭遇したところに他の生徒たちが来て犯人扱いされてしまったようだ。

 

「秘密の部屋? 何ですかそれ?」

 

「秘密の部屋とは、ホグワーツ創設者の一人であるサラザール・スリザリンが作ったとされる伝説の部屋じゃ。スリザリンが他の創設者と決別した際にマグル生まれを排除する何かを残したとされている。実際のところその部屋が実在しているかも定かではない、何しろ千年ほど前のことじゃ。だが、このような事件が起こっておる以上スリザリンの継承者を名乗る何者かが確実にホグワーツにいる。全員十分に注意をすることじゃ。」

 

ダンブルドアが注意を促して解散となった。レオだけはこの場に残るように指示された。

全員が出て行った後、ダンブルドアが話し始める。

 

「残らせて申し訳ないの。君は秘密の部屋の何かが仕掛けた石化を解除してしまった。半純血であることもあるが、このままでは継承者のターゲットになるやもしれん。そこでわしが知っている情報を教えておこうと思う。……実は秘密の部屋が開かれたのは今回が初めてではない。五十年前にも開かれ一人の生徒が犠牲になった。当時在籍していたルビウス・ハグリッドがアクロマンチュラを秘密裏に飼育していたため犯人と疑われて退学となった。実際には違う、アクロマンチュラには事件のような殺し方は不可能じゃった。わしにも何が秘密の部屋にいたのかは確証がない。だがその時の継承者は確信しておる。……ヴォルデモートじゃ。当時はまだトム・リドルという名だったがそれでも心には闇があり人の道を外れ始めていた。今回の件にどのように関わっているかはわからん。だがあやつが今回も暗躍していると思っておる。」

 

「なるほど……。去年クィレルに寄生していた時の何かしらの仕掛けを施していたんでしょうか? それとも今年も何かしらの手段で潜入しているのか……。」

 

「それらの可能性もあるが断言することはできないのぉ。だが注意せねばならんじゃろう。今回は誰も死なせはしない。」

 

レオとしては犠牲者とかスリザリンの継承者が何を考えているか、ヴォルデモートが関わっているなどよりも秘密の部屋とその中に潜む何かのことを考えていた。

 

(猫を石にしていた式……、あれはただの魔法じゃない、いや魔法ではないかもしれない。初めて見る構成だった。不完全でさえあの完成度と美しさ……。素晴らしい。あれを再現するには人では難しいだろうな。)

 

レオは今年の目標を決めた。秘密の部屋を見つけること、そしてその中のモノを徹底的に解析することだ。

 

(そのためには死ぬわけにはいかないな。もう少し防御系の指輪の調整をしておこう。とりあえず不完全だけど解析できたんだからそれに対抗した防御を組み込んでおこう。)

 

頭の中で今後の予定を決めていく。闇の魔術に対する防衛術の授業、免除課題の大会、秘密の部屋の探索と調査、防御手段の構築等々、今年もやることが多くなりそうだ。




レナード・テイラー、ウィーズリーツインズの悪戯グッズ開発顧問に就任。

レオの指輪紹介 その2
・遮断
魔力を遮断する空間層を生成する。層の厚さは使用魔力で決定。
この空間では魔力が急速消失していくため、範囲内の魔法は徐々に威力・速度が低下していく。装着者の使用魔法にも影響があるため使いどころが難しい。
若干の物理的な壁にもなるが強い衝撃には耐えられない。
最大の性能は精神に作用する効果の遮断。以前ダンブルドアの開心術を防いだのはこれ

レオの指輪紹介 その3
・治癒
名前のまんまの効果。
怪我の治癒、解毒、解呪を行う。治癒は自身の治癒力を高めるだけなので骨折ぐらいなら効果があるが、四肢欠損などには効果なし。
解毒や解呪も限度があり強すぎる毒や呪いには効果が薄い。
但し一度受けた毒・呪いはデータとして残るのでどんどん対抗できるようになる。

石化解除。マンドレイクが不要になっちまったぜ。

では次回お楽しみに。

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