【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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楽しみにしていた話が削除されたり、更新が全然ないと寂しいですよね。
本作を読んでいる皆様にはそんな気分にさせないよう頑張りますので
これからもよろしくお願いします。

では24話どうぞ。


24. 穢れているのは

レナード・テイラーが闇の魔術に対する防衛術の教師になって一週間が経過した。

ここ数日で廊下や大広間で無計画に攻撃する生徒は激減していた。

しかし、計画的にチームを組んで廊下で待ち伏せて奇襲するなど全く無くなったわけではなかった。

今のところレオにダメージを与えた生徒はいない。それどころかどんな防御をしているかさえ解明されてもいない。だがハーマイオニーを代表に優秀な生徒はそれぞれ対策を考え始めていた。

 

休日になり、レオは校長室に呼び出された。

 

「さて、レオ。闇の魔術に対する防衛術の教師を始めて一週間。どうじゃ? 問題ないかのぉ。」

 

「はい、今のところ大丈夫です。免除課題の方もまだ誰も成功者は現れていません。まぁ、上級生の実力者などは今は様子見に徹しているようですが。」

 

「ほっほっほ、そうかそうか。しかしの、その免除課題が問題でのぉ。校医のマダム・ポンフリーと用務員のフィルチさんから廊下での乱闘とそのあとの保健室のベッドが埋まってしまうことや廊下の清掃等で怒り心頭なのじゃ。早急に何か対策が求められる。何か良い案はあるかのぉ。」

 

免除課題を宣言してからの攻撃と返り討ちの繰り返しによってこのような苦情が出てしまうのではないかと薄々感じてはいた。代案は考えていたので提案する。

 

「そうですね、流石に時間や場所を指定しないのはやりすぎましたね。代案としては場所や日時を予め決めておいて、参加者を募集してイベントのような感じで行う方法ですかね。ちょうどクィディッチの競技場がありますしそこでなら広さ等は問題はないでしょう。月に一度ぐらい開催してクィディッチ同様観客席から観察可能にすることで生徒のレベルアップと対策を考えられるようにすればいいのではないかと。」

 

「うむ。イベントが増えることは良いことじゃ。よろしい許可しよう。」

 

「ありがとうございます。ではクィディッチ競技場の下見をしてもよろしいでしょうか? 実はまだクィディッチの試合を見たことが無いのですよ。」

 

「クィディッチには興味はないかの? あれはなかなか面白いスポーツじゃぞ。マグルのボウリングも負けてはいないとわしは思っているがの。競技場は特段立ち入り禁止はしていないはずじゃからいつでも大丈夫じゃ。ただ、クィディッチのチームが練習しているようなら邪魔はしないことじゃ。特に他寮が練習しているならあまり見るのも失礼じゃからの。」

 

 

校長室から出たレオは一旦研究室に戻る。休日なので当然ハーマイオニーが待っている。校長室での話をすると一緒に競技場に行きたいとの事なので共に向かった。

 

クィディッチ競技場ではグリフィンドールチームが練習を始めるところだったが、スリザリンチームがやって来て即座に一触即発の空気になる。レオとハーマイオニーはそんな事には気が付かず免除課題についてや授業について話しながら近づいていった。二人に最初に気付いたのはグリフィンドールの練習を見に来ていたロンであった。

 

「テイラー! まさかお前もスパイしに来たのか!? ハーマイオニーもグリフィンドールなんだからこんな奴と一緒にいるなよ!」

 

ロンのスパイ発言からハリーとキャプテンのオリバー・ウッドは顔をしかめる。対して女性陣と双子は軽く挨拶をする。女性陣はレオの勉強会の参加者なので顔見知りではあるのだった。

 

「スパイといっても……。僕はクィディッチのルールを知らないからどうしようもない気がするんだけどね。今日は闇の魔術に対する防衛術の授業のイベントでここを使うかもしれないからその下見に来ました。練習の邪魔になるようならまたの機会にします。」

 

そう言って競技場を去ろうとするとスリザリンの方から声が上がった。

 

「ははは! クィディッチのルールも知らないなんて優秀なレナード・テイラーともあろう者がものを知らないんだねぇ。勉強ができるだけで人生損しているよ。隣のマグル生まれの穢れた血にでも教えてもらえばいいんじゃないかな?」

 

スリザリンからは笑い声が沸き上がる。対してグリフィンドールからはハーマイオニーが穢れた血と言われ非難の声が爆発した。

 

「マルフォイ! よくもそんなことを!!」

 

ロンが中身の芯が露出してしまっている杖を使って発言の主、ドラコ・マルフォイに向けて呪いをかけようとする。

だが、呪いが発動するより先にマルフォイは吹っ飛んだ。

 

「ふぉおおおおおい!?」

 

競技場を舞うマルフォイ。両チームは唖然としてその光景を見た。

マルフォイが元居た場所の前には腕を振りぬいた体勢のハーマイオニーが立っていた。

 

「ぶへ!」

 

顔から落ちるマルフォイ。しかしダメージはそれほどでもないのかすぐ立ち上がり、ハーマイオニーを睨みつけ怒鳴り始める。

 

「この……! 穢れた血め! 純血たるこの僕を殴ったな! はっ、魔法も使わないなんてやっぱりマグル生まれは野蛮だな。どうせその頭の中もまともじゃないんだろ!」

 

対するハーマイオニーは冷めた目でわめくマルフォイを見ていた。

 

「私のことをどう言おうと別にいいけど、レオのことは馬鹿にしないでくれるかしら。レオはクィディッチについて知らなくてもそれを補って余るほどに素晴らしいんだから。あなたのような小さな人があれこれ言わないでちょうだい。」

 

「なんだと、この穢れた血! お前のようなヤツやテイラーみたいな半純血なんかが魔法界にいるのが理解できないよ。魔法使いは純血、なぁあああああああ!?」

 

マルフォイは言葉の途中で絶叫する。

マルフォイの頭が首から離れ落ちる。その光景にクィディッチの両チームは悲鳴を上げる。

 

「わぁああああああ!」

「きゃああああああ!」

 

皆が絶叫する中落ちたマルフォイの頭が叫ぶ。

 

「ああああああああ! 首が、くび! 死ぬ、死んじゃう! ……あれ? 痛くない!? なんで? どうなってるんだ!?」

 

その様子を見てまた混乱が広がる。誰もマルフォイの疑問に答えられない。ただ一人これを引き起こしたレナード・テイラーを除いては。

 

「ドラコ・マルフォイ、いい加減うるさいですよ。純血にこだわるのは結構ですが、こちらに干渉はしないでくれるとありがたい。それに親戚同士で子孫を作り続けた純血家系の方がよっぽど穢れていると思うんだけどね。あまりハーマイオニーのことを馬鹿にするともっとひどいことになりますよ。頭は明日になれば元に戻ります。食事も普通に取れますし、体も動かせますよ。じゃあ、ハーマイオニー行こうか。」

 

「待て! こんなことしてどうなるか分かっているのか!? 僕の父上は…ばっ!?」

 

今度はマルフォイの頭が縦に真っ二つになった。先ほどと同様に出血はなく痛みもないが喋ることはできなくなった。

 

「言い忘れていました。変に魔法で直そうとすると保護が消えて死にますよ。」

 

ドラコ・マルフォイは恐怖していた。喋ることができても直してくれなんて言葉、とてもじゃないが言えない。スリザリンのチームも同様の感情を持ったようだ。グリフィンドールは自業自得だと言ったがレオへの恐怖は少なからず感じている。普段と同様に接しているのは双子ぐらいなものだ。

 

競技場を後にし、研究室に戻って授業の計画や指輪の微調整をすることにした。

戻りながらハーマイオニーが礼を言う。

 

「レオ、私のために怒ってくれてありがとう。レオが怒ったの初めて見た気がする。ところでマルフォイの首はどうやったの?」

 

「首から上を空間置換で飛ばしたんだ。姿くらましを部分的に応用したような感じかな。そのままなら死んでしまうけど血管や神経を空間をまたいでそのまま繋いでいるからただ頭が別の場所にある状態になっている。ハーマイオニーこそ僕のために殴るなんてびっくりしたよ。でも嬉しかった、ありがとう。」

 

 

 

結局、色々あったせいで競技場の下見ができなかったため、後日改めて競技場を見て回った。

広さは申し分なく観客席からも十分に戦闘を見ることができるだろう。寮一つが全員でレオに挑んでも大丈夫なはずだ。

 

 

競技場の一件からスリザリン生は明らかにレオを避けるようになった。元から勉強会にも参加していないが、更に距離が離れたように感じる。去年の寮杯を奪取された原因であり、さらにこちらのことを躊躇なく攻撃もしてくる。スリザリン生にとっては悪夢のような存在だった。

ドラコ・マルフォイはレナード・テイラーがトラウマになってしまっていた。レオが視界に入るだけで全力疾走、闇の魔術に対する防衛術は一番後ろで小さくなっている。更には『穢れた血』という言葉は決して口にすることは無くなり、その言葉が聞こえるだけで言った者に対して怒鳴るようにまでなってしまった。

 

レオはその話を聞いて、これでこちらに面倒なのが関わらなくて済むとしか思わなかった。悪いのは完全に向こうなので哀れみなどは感じる必要もなかった。魔法を極めるには邪魔なものは必要ないのだ。




流石に廊下などでの戦闘の後処理で校医・用務員ブチ切れました。
今後は授業だけ戦闘可能です。

原作の決闘クラブの代わりにレオに挑戦する決闘大会開催予定。

吹き飛ぶマルフォイ、さらに首が落ちる。
穢れた血と言って色んな話でひどい目に合ってる気がしますが自業自得ですよね。

では次回お楽しみに。

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