では19話どうぞ。
賢者の石を手に入れたレオはそのまま寝ずに研究を開始した。
朝になると研究室の扉が勢いよく開かれハーマイオニーが飛び込んできた。
そのまま勢いに任せてレオに飛びつく、ハーマイオニー。
「レオ! 無事ね!? 怪我とか呪いとか大丈夫よね!?」
驚くレオの体を触って怪我がないか確かめていく。
問題が無いことを確認すると大きく息を吐きだした。
「良かった……。レオなら大丈夫だと信じていたけど、やっぱり心配せずにはいられなかったわ。お疲れ様、お帰りなさい、レオ。」
「ただいま、ハーマイオニー。心配かけてしまったね。無事賢者の石は守り切ったよ。もう脅威はないだろう。報酬として賢者の石の研究も許可されたよ。」
レオは手にしていた賢者の石を見せる。その美しさにハーマイオニーも目を輝かす。
「当分は賢者の石の解析に時間を費やすことになると思う。その間はハーマイオニーと勉強とかできなくなると思うけどいいかい?」
「わかったわ。その間、レオの研究でも見学したり、自分の魔法の勉強をしているわ。解析頑張ってねレオ!」
レオが賢者の石を闇の帝王ヴォルデモートから守って数日が経過した。
クィレルが行方不明になったことで様々な憶測が流れた。しかしダンブルドアが早々に真実を、クィレルが闇の帝王の手の者であり、ヴォルデモート復活のためにホグワーツに隠されていた賢者の石を狙い、そして死亡したことを公表した。その際、優秀な生徒に協力してもらっていたことも生徒たちには伝えられていた。名こそ明かされなかったがレナード・テイラーであることはバレバレであった。
そのレナード・テイラーは研究室から一歩もで出ずに賢者の石の研究に没頭していた。
(卑金属を黄金に変える部分は解析終了。……しかしどれだけ見ても飽きないな。究極なまでに編み込まれた式、無駄な部分が存在しない。永遠の命を得ることができる命の水の生成も命と言うものを肉体、魂ありとあらゆる視点から解き明かさないことには不可能だろう。それを簡単に成しうるこれはまさに賢者の石と言う名にふさわしい。)
その後もホグワーツ最終日まで研究は続けられた。研究を見にに来たハーマイオニーも邪魔してはだめだと感じ、声をかけずにその様子を見守っていた。真剣そのものな顔のレナード・テイラーを初めて見てレオの新たな面を知ることができ少し嬉しくなった。
今日は学年末パーティーが大広間で行われる。
大広間は青と銅で装飾されており、レイブンクローのシンボルである鷲が描かれた横断幕が目立っていた。
スリザリンの七年連続寮対抗杯獲得は阻止され、レイブンクローが優勝した。
レナード・テイラーに触発された生徒が多くいたこと、レオ自身も多くの得点を獲得したことがこの結果を導いた。
「また一年が過ぎた。」
ダンブルドアが演説台の上に立ち話し始める。
「さて、宴を始める前に寮対抗杯の表彰を行う。四位、グリフィンドール347点。三位、ハッフルパフ372点。二位スリザリン、522点。一位レイブンクロー638点」
レイブンクローから爆発したような歓声が上がる。スリザリンの連続寮杯獲得記録を止めたため、グリフィンドールとハッフルパフからも大きな拍手が鳴り響く。スリザリンだけはレイブンクロー、特にレナード・テイラーを睨みつけていた。
学年末パーティーが始まり、生徒たちは思い思いに食べ、話し大いに楽しんでいた。レオは賢者の石の解析をほぼ完了させていたため久々のまともな食事をじっくり味わっていた。そうしているといつの間にかレオの周りには多くの生徒が集まってきている。
「テイラー君! 本当にありがとう! 君のおかげで寮杯を獲得できた。まさか卒業するまでにこの感動を味わえるとは思っていなかった……。」
「レイブンクローに寮杯を奪われたのは悔しいけど、あのくそったれのスリザリンの寮杯獲得を阻止できただけでグリフィンドールにとっても君は英雄だ! ハッフルパフだってそう思っているに違いない!」
周りをよく見るとレイブンクロー生の下級生から上級生まで、勉強会に参加しているグリフィンドールとハッフルパフの生徒もいるではないか。
「よーし! この史上最強の研究バカを胴上げだ!!」
「「「おおー!!」」」
周りのテンションは最高潮になりいつの間にか胴上げされることが決まっていた。
レオは落ち着いて食事がしたかったため、目くらましの術とそばにいた生徒をレオに誤認させる魔法を施し身代わりにした。
身代わりの生徒が訳も分からず胴上げされているのを申し訳なく思いながら大広間から抜け出し研究室に戻る。途中にハーマイオニーに見つかり一緒に行くことになった。
「胴上げがそんなに嫌だった?」
「見られちゃってたか。まぁ、あのテンションにはちょっとね……。」
宴が終わるまで研究室で今年一年の出来事を振り返って静かに過ごした二人。宴も嫌いではないがやはりハーマイオニーと二人で静かにしている方が心地よいと感じる。
その後、今年度の成績の発表が張り出された。首位はハーマイオニーで700点満点中853点だった。レオは試験免除などそもそも順位に関係ない扱いであったが、生徒たちは一年だけの付き合いでレオがすでに殿堂入りしていると共通の認識を持っていた。
その他多くの生徒の成績も例年と比べて平均値が上昇していた。レナード・テイラー勉強会のおかげと多くの教師から賞賛を貰う結果となった。
「学年トップおめでとう、ハーマイオニー。ご褒美でもあげようかい?」
「レオの方が成績良いのに何言ってるのよ。まぁ、でも貰えるものなら貰いましょうか。夏休みも私に魔法を教えてくださらないかしら?」
「もちろん。でも最初の一週間はニコラス・フラメルの所で賢者の石について色々学んで来る予定だからその後になるかな。」
「わかったわ。その一週間で私も力を高めるんだから! ビックリさせてあげるわ!」
ホグワーツ最終日
キングス・クロス駅に向かう蒸気機関車に乗り込もうとしたレオとハーマイオニーは声をかけられた。
ハリー・ポッターとロナルド・ウィーズリーだった。ロンは嫌々とした態度を隠そうともしていないのでハリーが何か用があるのだろう。
「なんだい? 何か用?」
「レナード・テイラー。君に聞きたいことがあるんだ。」
レオはハリー・ポッターから何か聞かれるようなことがあったかなと考えたが何も思い浮かばなかった。
「あの夜。君が賢者の石を持って扉から出てきた時、ダンブルドアにヴォルデモートが逃げたって言っていただろ。あれはどういうことなんだ?」
「賢者の石については調べたようだね。ヴォルデモートはクィレルに寄生して賢者の石を狙っていた。僕はダンブルドア校長に依頼されてその防衛に手を貸していた。そしてあの日、阻止した。それだけだよ。」
「じゃあ、ヴォルデモートは生きているんだ……。父さん、母さんの仇が……。」
「ハリーも、テイラーもその名前を言うのをやめろよ!」
この中でヴォルデモートの名前で恐怖しているのはロンだけであった。ハリーはいまいちその名前に恐怖を感じられず、レオは直接話しても特に恐怖することなどないと思っていた。ハーマイオニーはマグル生まれであることとレオから恐怖する意味がないことを教えられていたのでただの犯罪者を必要以上に怖がる必要はないと結論付けていた。
「聞きたいことはそれだけかい? じゃあ、行こうハーマイオニー。」
「待ってくれ、もう一つだけ。あいつは戻ってくるのか?」
「さぁね。本人はその気のようだったし、賢者の石以外にも方法はあるしね。そのうち戻ってくるんじゃないかな。」
その言葉にハリーは何かを決意したようだった。ロンはそんなの信じられるかと言ってハリーを引っ張っていってしまった。
列車に揺られながらコンパートメントでハーマイオニーと一緒に過ごす。学校が終わって気が抜けたのかハーマイオニーは眠ってしまっていた。その寝顔を眺めながらレオはこの一年を回想する。
(組み分け、ダンブルドア校長からの依頼、授業、勉強会、教授たちとの討論や共同研究、ヴォルデモート、ハーマイオニーとの休日、そして何より賢者の石。この一年色々あったなぁ……。)
また次の学年も経験したことのない出来事が起こるのか、新しい研究対象が現れるのか、そんなことを考えながらレオも眠りについていった。
こうしてレナード・テイラーの一年目の学校生活は終了した。
寮杯はレイブンクローが獲得しました。
各寮の点数は全体的にレオの勉強会のおかげで上がっています。
グリフィンドールはハーマイオニーが頑張りましたが、最初の140点減点が痛すぎた。
校長特別贔屓点は流石に最初の部屋にも入れなかったのでなしです。
さて、次回からは秘密の部屋です。
次回予告!
賢者の石を闇の魔の手から無事守り切ったレナード・テイラー。
二年生になりハーマイオニーと共に勉学に励むレオ。
しかし! 次なる闇の刺客が襲い掛かる!!
甘いマスクで人を惑わすイケメン詐欺師!
邪悪なる魂を宿した悪魔の日記帳!
そして、毒蛇の王たるバジリスク!!
いずれも強大な相手、苦戦は必至だ!
はたしてレオはこいつらからハーマイオニーを守れるのか!?
次回、2章 秘密は暴かれるもの
乞うご期待!
※本編の内容は次回予告とは異なる場合があります。御了承下さい。