賢者の石編は後3話ぐらいですかね。
それでは16話どうぞ。
新学期。
それからは特に変わらない日常が続いた。
クィディッチでみんな(レオ除く)が盛り上がったり、宿題が大量に出たりしたが、賢者の石を盗もうとする輩は現れていない。
勉強会で生徒に魔法を教えたり、自分の研究をしたり、ハーマイオニーと一緒に休日を楽しんだりと充実した毎日が続いていた。
ある休日、ハーマイオニーがレオの研究室に駆けこんできた。
「レオ! 大変なの! ドラゴンが……。」
「うん、落ち着こうか、ハーマイオニー。深呼吸、深呼吸。」
落ち着いたハーマイオニーの話では図書館で珍しくハグリッドが本を探していたらしい。
しかもその本がドラゴンの飼育方法についてだった。いやな予感しかしなかったのでハリーとロンが小屋に誘われたのに便乗してついていくと予感は的中。ハグリッドはドラゴンの卵を孵化させようとしているようだ。
さらには卵を持っていたあやしいヤツにケルベロスを大人しくさせる方法を喋ってしまうというおまけつき。
「何がフラッフィーは音楽を聞かせると眠っちまう可愛いやつだ、よ! それにドラゴンを無許可で飼育するのは違法だって教えたのに昔からの夢だったとか言って聞いちゃいないわ! レオはどうしたらいいと思う? ダンブルドア校長先生に伝えた方が良いのかしら。」
レオはもうハグリッドに見切りをつけていた。ケルベロスの弱点は解消済みだし、賢者の石の守りは万全だが、不確定要素は排除するべきだ。完璧に見えるものでも綻ぶ可能性は必ず出てくるものだ。消えてもらった方が良いだろう。
「ダンブルドア校長はだめだ。どうせ擁護してなかったことにするだろう。ケルベロスのことを話したということはその相手は賢者の石を狙った者の可能性が高い。守っている意識の無いハグリッドにはアズカバンに入ってもらうとしよう。」
「アズカバン?」
「魔法使いにとっての刑務所のような場所だよ。処刑場も兼ねてはいるけどね。」
「じゃあ、ハグリッドは……。」
「ドラゴンの卵を所持しているぐらいじゃ死刑にはならないだろうけど、数年は出てこないだろう。とりあえず、僕の伝手で魔法省の魔法生物規制管理部に連絡をしておくよ。ドラゴンの方はそうだな……、研究対象として僕が確保しよう。血液や鱗、牙は貴重な材料にもなるし、うまく手懐けて育てれば材料の調達とドラゴンを使った研究が進められそうだ。」
「良かった……。ドラゴンは処分されたりはしないのね。いくら不法に所持した卵でもドラゴンには罪は無いものね。」
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俺は生き物が好きだ。特にでっかくて強いやつらが大好きだ。
昔からそうなんだ、もう魂に刻まれたもんだと思っとる。
ドラゴンなんかを飼って一緒に遊ぶことなんか何度夢に見たかわからねぇぐらいだ。
昔は色々あったが今はホグワーツで森番をして色んな生き物と触れ合えている。ダンブルドア先生には本当に感謝してもしきれねぇ。
だけど、やっぱりドラゴン飼ってみてぇなぁ……。
そんなことを思っているとドラゴンの卵を持って処分に困っている奴と会った。
賭けをして手に入れることができた俺は人生で最高にツイていた!
まぁ、その時色々話しちまったが、ダンブルドア先生のいるホグワーツなら大丈夫だろう。
今日は待ちに待った日だ。とうとう卵が孵化しそうなんだ!
ハリーとロンも呼んで一緒に記念すべき瞬間を見守っている。
卵の殻が割れて中から美しいドラゴンの赤ちゃんが出てきた。ノーバートって名前に決めていたんだ。手に乗せると噛んできたが、愛情表現だろう。なんてかわいいんだ。
一週間もするとノーバートはどんどん大きくなってきた。そろそろ小屋から出して空を飛び回らせてやりてぇな。ハリー達もきっとそう思っているに違いねぇ。ハリーとロンは毎日のように見に来てくれている。今日もロンが追いかけっこして遊んでくれている。
あぁ、毎日が幸せだな。
そんな幸福を噛みしめていると、小屋のドアがノックされた。急いでノーバートを隠そうとするが、ドアが開かれてしまった。
ドアの先には初めて会う男と生徒……、確かレナード・テイラーだったか? 二人が立っていた。
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「失礼します。私は魔法省魔法生物規制管理部ドラゴンの研究および制御室所属、ウォルター・ハワードと申します。こちらでノルウェー・リッジバック種の不法飼育を行っているとの情報を受けて参りました。確認するまでもなく、情報に間違いはないようですね。……さて、あなたはアズカバン送りになるでしょう。もちろん裁判で弁護する機会は与えられますが、最低でも五年は覚悟した方がよろしいでしょう。」
「い、嫌だ! 俺は悪くねぇ! 好きな生き物と一緒にいて何が悪いってんだ!」
「あなた、許されざる呪文を使って、『使いたかったから使って何が悪い』と言う人を見たらどう思われますか? ただの狂人でしょう。私にはあなたがそのように見えています。何と言い訳しようとも犯罪は犯罪、ご同行をお願いしますよ。」
「ノーバートはどうするんだ!? まだ生まれたばかりで俺がいなけりゃ死んじまうぞ! 俺はこいつを一人ぼっちにするわけにはいかねぇ!」
「それについてはご安心を。こちらのレナード・テイラー氏が研究対象として引き取ってくださいますよ。もちろん魔法省の許可は取得済みです、当然ですね。それではテイラー氏、後はお任せします。」
ハグリッドは絶望した顔でウォルターに連れられて行く。
小屋の中にはレオと困惑したハリー、レオに敵意を向けるロンだけが残った。
レオは小屋の中を飛び回っているノーバートに失神呪文を当てる。子供とはいえ流石はドラゴン。動きが鈍りこそすれど、失神はしなかった。だが、その隙に用意してあった専用の首輪を装着する。途端に先ほどまでの暴れっぷりが嘘のように大人しくなり、レオの肩にとまった。
もう用はないと言わんばかりに小屋から立ち去ろうとするレオ。
そこにロンが罵声を飛ばしてきた。
「おい! レナード・テイラー! おまえ、ハグリッドを嵌めたな!? 自分がドラゴンの研究をしたいからハグリッドに罪をきせてアズカバン送りにしたんだ。ノーバートを返せよ!」
「ドラゴンの飼育には許可がいる。彼はその許可を持っていなかった。投獄は当然だと思うのだけど。僕はドラゴンを制御する術を持っているが、彼はどうなんだい? 仮にこのままドラゴンの飼育を続けていたら手に負えなくなって生徒に危険が及んでいただろう。そうなってからでは遅かったと思うよ。まぁ、ドラゴンの研究をしたかったのも否定はできないけどね。」
「うるさい! 手に負えなくなったら、ドラゴンキーパーのチャーリーに渡す予定だったんだ! 何も問題はなかったのにお前が余計なことをするからこんなことになったんだぞ!」
「罪を隠蔽する方が正しいと思っているんだね。まぁ、どうでもいいか。」
まだ、何か言ってくるロンを無視して小屋を出る。
ハリーが話しかけてきた。
「待ってくれ。ハグリッドってそんなに悪いことをしたの? アズカバンってそんなに酷い所なの?」
「ドラゴンは成長するのも速いし、熟練の魔法使いがチームを組んで討伐するような魔法生物だ。それに鱗や牙、その他色々な部位が危険な魔法薬の材料になりうる。そんな存在を許可のない人間が扱うのは問題だろう。アズカバンは……、そうだな簡単に言えば幸せがない地獄のような場所かな。」
ハリーはそれを聞いてハグリッドがそんな場所に贈られることになってしまった原因のレナードに嫌悪の感情を向ける。いくらハグリッドに問題があって、ドラゴンが危険でも彼は友人だった。その友人を自分の研究のために犠牲にしたのは許せなかった。もっと他に方法があったはずに違いない。
ハリーとロン、二人との関係性は最悪と言っていいものになったが、そんな事よりドラゴンを無事確保できた方がよっぽど重要だ。
小屋から研究室に向かいながら考える。
(さて、何から研究しようかな。強靭な鱗の利用方法、魔法薬への応用、色々あるな。)
「……ああ、そうだ。君に名前を付けないといけないね。いつまでもドラゴンじゃ呼びずらいしね。」
ノーバートと呼ばれていたがそんなことは頭の中からはすっかり消え去ってしまった。
自分にはネーミングセンスがないと知っていたため研究室に戻ったらハーマイオニーに名前を付けてもらおうと決めたレオだった。
ドラゴンとハグリッド退場回でした。
ドラゴンの騒動がないので森とユニコーンについて場面なし
ついでに減点もないし、マルフォイの出番もなし!
ハグリッドがいない影響はそれなりにあるし原作沿いのタグ外した方が良いかな……。
ドラゴンの名前はどうしよう……。
活動報告で名前募集します。気になる名前があれば採用します。
では次回お楽しみに!