【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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今回の話である人物が嫌な奴に感じると思います。
この登場人物はこんなんじゃない! と思う方もいらっしゃると思いますが、
二次創作と言うことで勘弁してください。

では14話どうぞ。


14. 開発と助言

ハロウィンの後からハーマイオニーは周囲に溶け込めるようになった。

今ではグリフィンドール生の勉強の面倒を見るようになっているようだ。

ハリーとロンとは友達になれたようで三人で行動することも増えている。

だが、ハーマイオニーにとっては一番の友人はレナード・テイラーであることは変わらず、休日はレオの研究室で過ごすのが当たり前になっていた。

 

11月になりクィディッチのシーズンが始まった。

最初の対戦カードはグリフィンドール対スリザリン。まさに因縁の対決からのスタートだ。

だが、そんな事にはまるで興味がないレオは今日も研究室で魔法研究三昧。

 

(さて、賢者の石の罠の改良は完了。あとはニコラス・フラメルから賢者の石の研究許可がもらえれば最高なんだけどなぁ……。)

 

そんな事を考えながら、テーブルに置いた十個の指輪を見つめる。

これらは普段はレオの全ての指に付けられているものだ。通常は認識阻害と透明化の複合でその存在を知る者は皆無である。

指輪にはそれぞれ異なる能力を持たせる予定である。

現在は十個の内、五個が完成済み。残りについても理論は完成しているため、順次作成していく方針だ。

問題がなければ一学年終了時には完成するはずだ。その後は必要に応じて改良を重ねていけばいいだろう。

 

(とりあえず、反射から造っていこうかな。)

 

指輪の一つを魔法陣の上に設置し、魔法式を刻み込んでいく。式は幾重にも層を重ねより複雑な文様を形成していく。全神経を集中させ、『眼』を使って極微細なミスもないように新しい魔法具に力を宿す。

 

 

 

ふと気付くとすでに夕方になっていた。魔法に熱中していると時間を忘れてしまう。

クィディッチは終了したのか廊下にはそれなりの人の気配がする。

一段落したため紅茶で飲んでリラックスしようと準備していると、ドアがノックされた。

 

「レオ、ハーマイオニーよ。入ってもいいかしら?」

 

「どうぞ、ちょうどよかった今紅茶の準備をしたところだよ。」

 

お邪魔しますと言ってハーマイオニーが入ってきた。その後ろにはハリーとロンが続いていた。

 

「お邪魔します。うわぁ、なんかすごい場所だね。」

 

「こりゃすごいや。何が何だかわからないけど、とりあえず凄そうだ。」

 

「いらっしゃい。どうしたんだい、ハーマイオニー。他の人と来るなんて初めてじゃないか。それとポッター君とウィーズリー君はあまり周りのものを触らない方が良いよ。」

 

色々と周りを見て触ろうとしていた二人に注意しておく。実際にはそこまで危険なものはここには無い。本当に危険なものはずっと奥で取り扱っている。

 

レオは紅茶とお菓子を食べながら、ハリーとロンが今日のクィディッチでの出来事について文句を言っているのを聞いていた。

内容を要約すると、ハリーの箒にスネイプが呪いを仕掛けたと考えているらしい。

 

(スネイプ先生レベルで呪いをかけたら今頃箒はバラバラだろう。仮にスネイプ先生が呪っていても他に保護魔法を使っていた人がいると考えるべき。クィレルにヴォルデモートが憑依していることも考慮すればクィレルが呪いをかけてスネイプ先生が対抗していたのだろう。普段の態度から誤解されているなぁ。)

 

「レオ、スネイプ先生は呪ってたと思う?」

 

「絶対そうだよ! だってスネイプだぜ!? ハリーへの態度を見れば100%犯人だよ!」

 

「僕もスネイプに間違いないと思う。」

 

「状況を見ていないから断言はできないな。仮にスネイプ先生が犯人だとしたら今頃ポッター君はベッドの上か、棺の中だろう。だから呪っていた人とは別に守っていた人もいると思う。どちらにしろ、推測しかできないな。」

 

(まぁ、ヴォルデモートのことは言わない方が良いだろうから、こんな回答しかできないな。)

 

ロンとハリーはレオがどう言おうがスネイプ=犯人で決めつけているようだ。

ハーマイオニーだけはその時の状況を思い出そうとしている。

 

「えーと、そうだ。レナードはニコラス・フラメルって知ってる?」

 

ロンのいきなりの発言に流石に驚いた。

 

「どうしてその人について知りたいんだ?」

 

三人は言いたくないようだったが、意を決してハーマイオニーが話し始める

 

「この前、グリフィンドールから大量に減点されたことがあったでしょ? あの時、私たち禁止された四階廊下に入っちゃったの。そこにはケルベロスがいたわ。今日ハグリッドとお茶してきたんだけどその時のことをロンが喋ってしまったの。そしたらケルベロスはハグリッドのペットでホグワーツで何かを秘密裏に守るためダンブルドア校長に貸したと漏らしたわ。その何かはニコラス・フラメルという人が関係しているとも言っていたわ。実はレオなら知ってるかと思って聞きに来たの。」

 

レオは必死に冷静を保とうとした。心の中ではハグリッドへの呆れとダンブルドアのへの疑念でいっぱいだった。

 

(ハグリッドは何を考えているんだ? 大事な機密情報を生徒にぺらぺらと喋るなんて……。ダンブルドアもなぜそんな人に情報を渡しているんだ?)

 

レオは迷った。賢者の石のことは秘密だ。だけれども自分がニコラス・フラメルについて知らないのも不自然ではないだろうか。とりあえず賢者の石は伏せて高名な錬金術師と言うか? いや、それだけの情報があればハーマイオニーならば簡単に賢者の石にたどり着く。さて、どうするか。

 

「もちろん知っているよ。けど、ただ教えるだけじゃ意味がない。何事もまずは自分が考えて調べることから始まる。僕に聞きに来たということはハグリッドは答えてくれなかったんだろう? なら僕も答えるわけにはいかないかな。でも調べることは止めないよ。」

 

これでは少し苦しいか? などど思っているとロンが怒り出した。

 

「レナード・テイラー! おまえは嫌な奴だな! 知っているのに教えないなんて。自分で調べるより知っている人に聞いた方が良いに決まっているじゃないか。それなのに自分だけ知っていて何も知らない僕たちのことを心の中で笑っているんだ! そうに違いない! ハリーの箒に呪いをかけたスネイプがケルベロスに対して文句を言っているのを僕たちは聞いたんだぞ。スネイプはその何かを盗もうとしているに違いない! だから知っているなら教えろよ! ああ、分かったぞ。実はお前もニコラス・フラメルのこと知らないんだろ? でも頭が良いって評判を崩されたくないから知っている振りをしているんだ。もういい! こんなやつ頼らなくたって僕たちだけでなんとかしよう。」

 

ロンは一気にまくしたてると、走って出て行ってしまった。ハリーは一言謝ってからロンの後を追って行ってしまった。

ハーマイオニーはロンの態度に怒り心頭のようだ。

 

「まったく! ロンったらどういう思考回路しているのかしら。レオに対して失礼だわ!」

 

当のレオはポカーンとしていた。

 

「レオ……? 大丈夫? あんな言葉で傷ついちゃだめよ。ロンには後で私がきつく言ってやるわ。」

 

「いや、別に問題ないけど、……人ってあそこまで思い込めるものなんだなって吃驚した。一方的に自分の考えを言って決めつける。すごいね。」

 

レオは皮肉でもなんでもなく感心していた。ああいった人間とは接したことがなかったため、他人はあそこまで違う存在なんだなと、人の思考はこの『眼』でも解析不能だと改めて思った。

 

「なんにしても、僕からは教えられないし、調べるのもお勧めしない。ハッキリ言うと深入りすると危険だよ。」

 

「忠告ありがとう。でも私は知識として知っておきたいわ。けれど知るだけにとどめておこうかしら。あの二人が暴走するのを止めるストッパーも必要だろうし。」

 

「じゃあ、あの二人については任せていいかい。よし、この話はこれで終了! そろそろいい時間だし、夕食にしようか。」

 

その後はいつも通りに二人で夕食を楽しんだ。その頃にはロンの言葉など頭の片隅にも存在しなくなっていた。

 




はい。ロンにはおかしなことを言わせてしまったと思います。

スネイプがハリーを呪う+ハグリッドが教えてくれない+レオも教えてくれない+優秀なレオへの嫉妬=怒り爆発! てな具合で感情のまま口に出してしまいました。

スネイプはハロウィンの時ケルベロスに噛まれはしませんでしたが、散々馬鹿にされたので愚痴を言っていました。それをハリーに聞かれてました。

では次回お楽しみに。

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