何が起こった!?
では12話どうぞ。
その日の朝の大広間は少々騒がしかった。
レオが話を聞いてみるとどうやら飛行訓練が始まるようだ。
レイブンクローはハッフルパフと合同だ。それはつまりグリフィンドールとスリザリンが合同で授業をすることを意味している。
レイブンクローとハッフルパフとしてはまた獅子と蛇のつまらない争いが起こるのかとため息をついた。
そんなことより箒で空を飛ぶことの方がよっぽど良い、大多数がそう思っていた。
実はレオは箒に乗ったことがない。クィディッチも見たこともないしルールすらも知らない。
今まで研究漬けの毎日で息抜きもハーマイオニーと出会った図書館ぐらいなものだった。
(箒か……。どんな感じなのかなぁ。まぁ僕は飛行魔法使えるし、あまり興味はないかな。)
その日の大広間は箒やクィディッチの話題で終始ざわめいていた。スリザリンの机では明らかな無知をさらしているのもいたが、少しは静かにできないのだろうか。
飛行訓練の当日。
すでにグリフィンドールとスリザリンの授業は終了した後だ。
案の定一悶着あったようで、どうやらハリー・ポッターとスリザリンのうるさかったヤツ、マルフォイというらしい、この二人がトラブルを起こしたとのこと。
それ以外にも箒のコントロールができなかったり、かなり悪い噂ばかり聞こえてくる。
レオは校庭に出て、レイブンクロー生とともに並んでいた。
いつも通りに見えるが、両親やハーマイオニーが見たら医務室に行った方が良いと言ってくるだろう。今、心の中は混乱と緊張でいっぱいだった。解る人には解る程度だがそれが顔に表れていた。
(ありえない。なんなんだ、この箒……。まともじゃない。どの箒も魔法式が穴だらけだ。こんなのじゃまともに飛べるのかもあやしい。前の授業で悪い話ばかりなのも当然だな。こんな箒でうまく飛べるのは、この穴を埋めるのに適切なコントロールを直感で行える人だけだぞ。)
通常は見えない魔法が見える為、レオはこの欠陥だらけの箒で飛ぶことにに恐怖を感じた。
「何をボヤボヤしているんですか。」
鷹の目のように鋭い目つきのマダム・フーチが生徒たちに指示を出す。
「皆箒のそばに立ちなさい。右手を箒の上に突き出して、上がれ! と言う。」
生徒たちは上げれと叫ぶがほとんどは少し動く程度で、中には全く動かない箒もある。
レオの箒も少し動いた程度であった。
(当然か。面倒だから浮遊呪文を使うか。)
周りが成功し始めるころ合いを見て無言呪文で手に箒を取る。
その後の飛行訓練でもとてもじゃないがこんな欠陥だらけの箒で飛ぶ気にはなれず、箒にまたがったまま飛行魔法でごまかして過ごすレオであった。
その日はホグワーツに来てから初めて経験した恐怖の一日であった。
その日の深夜もレオは賢者の石防衛の罠の改良を行っていた。
今日はフリットウィックの罠の改良を終わらせてしまおうと作業を急ぐ。
真夜中になっても作業を続けていると最初の部屋へ侵入者が現れたことを感知した。
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私、ハーマイオニー・グレンジャーは怒っていた。
今日は飛行訓練があり、初めて箒で空を飛ぶのだと楽しみにしていたのだが、またもスリザリンとくだらないトラブルがあった。しかも英雄と呼ばれたハリー・ポッターはこちらの注意も聞かず勝手な行動をとるし、周りの連中もそれを止めようとしないばかりか当然の行動としている。
もう少し考えて行動はできないのだろうか?
挙句の果てにハリー・ポッターとロナルド・ウィーズリーがスリザリンのマルフォイと夜中に決闘をするという規則を完全に無視した行動をしようとしている。これがバレればグリフィンドールからどのくらい減点されるかなど考えもしていないみたい。
必ず阻止しなければと、談話室で待っていると馬鹿二人が降りてきた。
馬鹿二人はいくら言っても論理立てて話しても聞く耳を持たない。
(なんて考え無しなのかしら! 少し考えればマルフォイの罠って解るはずなのに!)
談話室を出て最後の忠告をして戻ろうとしたが、肖像画の中に太った婦人がいなくなっていた。閉め出されてしまった……、最悪だわ。
中に入れなくなっていたネビルと合流してあの二人が更なる馬鹿をしないか監視することに決めた。
結局、私の予想が的中して決闘などなくマルフォイの罠であった。
そして現在、管理人のフィルチから逃げている最中というわけだ。
まったくもって今日は厄日だわ。
そう、この時はこの瞬間が最悪な時間だと思っていたのだった。
フィルチを振り切るため私たち四人はとりあえず、一番近くにある扉に入った。
そこがどこであるか、確認しなかった私たちは相当に焦っていたのだろう。
中に入ってフィルチが遠くに行くのを待った。
声が遠ざかるのを確認してすぐに出ていこうとするが扉は開かない、それどころか触れもしなくなっていた。
困惑している私たちの後ろから声が聞こえてくる。
「だれ?」「なに?」「しんにゅうしゃ?」
「きゃああああ!」
振り向いた私は叫ぶことしかできなかった。
そこには首が三つもある大きな犬……ケルベロスがいたのだった。
ハリーとロンは必死に逃げようと扉をどうにかしようとしている。
ネビルはどうやら気絶しているようだ。
「こども」「みせいねん」「せいと」
しばらくたってもケルベロスは襲ってこなかった。というか、さっきから喋ってないかしら?
意を決して話しかけてみることにする。
「あの……、人間の言葉がわかるの?」
「わかる」「はなせる」「すごい?」
どうやらコミュニケーションは取れるようだ。それにすぐにこちらをどうこうする敵意は感じない。
「私たちのこと襲わない? 外に出たいのだけれどどうすればいいのかしら?」
「おそわない」「でられない」「わからない」
ハリー達も落ち着いてきたようでケルベロスとのやり取りを見ている。
でもこのケルベロスは襲いはしないようだけれど出る方法を知っているわけではないようだ。
それからしばらくの間、扉をどうにかするために鍵を開ける呪文、アロホモーラを使ったりしていたが効果は表れなかった。ケルベロスはこちらに興味がないのか眠ってしまった。
「れんらく」「たいき」「くる」
ケルベロスが起床し話しかけてきた。誰かから連絡がきたということか? 来るって誰が?
外から扉が開かれた。やっと出られると喜んだが、次の瞬間には血の気が引いた。
マクゴナガル先生がものすごい怒りの形相で立っていたのだから。
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侵入者を感知したレオは即座に第一の部屋の様子を確認するため、魔法でケルベロスの視界と同期した。
(まだ罠の改良は完璧ではない……。このタイミングで侵入者ということは闇の帝王が僕が関わっていると知って早急に賢者の石の奪取に動いたのだろうか?)
ところが、ケルベロスの視界には闇の帝王ではなくハーマイオニーの姿が映っているではないか。他にもネビルとハリー・ポッターと誰か知らないが男子生徒がいる。
(なんでハーマイオニーが!? とりあえずケルベロスには未成年の臭いの区別をつくようにして襲わないようにしてあるから大丈夫だろうけど……。)
彼女らの前に出て扉を開けることもできるが、この計画にレナード・テイラーが関わっていると知られるのは問題だ。
ひとまずグリフィンドール寮監のマクゴナガルに連絡することにした。
「
思考を送信する魔法でマクゴナガルにこのことを伝える。
((マクゴナガル先生。レナード・テイラーです。例の計画の作業中侵入者を感知。確認の結果、グリフィンドール生が四人、入り込んでいます。対応のほどよろしくお願いします。))
寝ようとしていたマクゴナガルはいきなり頭の中に声がしたと思ったら予想外の知らせに仰天した。すぐに着替えもせずに四階廊下に急いだ。
例の扉を開けるとポッター、ウィーズリー、ロングボトム、それになんとグレンジャーもいた。
「あなたたち……。自分たちが何をしているか分かっているのですか? 夜中に寮を抜け出す! おまけに立ち入り禁止の場所に入り込む! 規則を守る気はあるのですか! 一歩間違えば死んでいたのかもしれないのですよ。」
「でも……、先生、その僕たち……。」
「言い訳無用です、ミスター・ウィーズリー! グリフィンドール50点減点です。一人につき50点です。これに懲りたら今後このような真似はしないことです。いいですね!」
言い渡された四人はショックを受ける。特にハーマイオニーは泣き出してしまいそうだった。
レオにはハーマイオニーが何の理由もなしにこんな行動をするとは考えられなかったのでマクゴナガルに待ったをかける。
((マクゴナガル先生。テイラーです。守りの計画のためにも一応侵入の経緯を確認していただけませんか? それにハーマイオニーが無計画に侵入したとは思えません。))
マクゴナガルはレオの発言で少し冷静さを取り戻す。今までの授業での態度から確かにハーマイオニーがこんな校則違反をするとは考えにくかった。
「ミス・グレンジャー。どうしてこのような事態になったのか説明してみなさい。場合によっては減点についても考慮します。」
ハーマイオニーは部屋に侵入するまでの経緯を説明する。
ハリーとロンがマルフォイとの決闘に向かったこと、止めようとしたこと、太った婦人がいなくなったこと、ネビルと合流したことなど。
全てを聞いた後、マクゴナガルは大きなため息を吐いた。
「全く……、ポッター、ウィーズリー呆れました。ミス・グレンジャーの言う通り少し考えれば解るでしょうに。あなたたちは50点減点のままです。ミスター・ロングボトム、あなたはもう少ししっかりしなさい。ですが、この二人よりマシであるため25点減点にします。最後にミス・グレンジャー、あなたはこの二人に巻き込まれたようなものです。しかし、規則違反は規則違反。情状酌量して15点減点としましょう。」
レオはハーマイオニーを気の毒に思った。今回だけで140点の減点。真面目で点数を稼ぐことに真剣だった彼女には相当堪える大きさの減点だ。しかもほとんど巻き込まれたようなものだ。
四人はマクゴナガルに連れられて寮に戻っていく。気を取り直してさっさと今日の予定のところまで罠の魔法式の構築を完成させてしまおうと『眼』に力を集中させるレオであった。
(次に会う時のために、ハーマイオニーを元気づける方法を考えておこうかな。)
レオは箒の才能は有りません。一般生徒と同程度です。
ホグワーツの箒を原作より劣悪にしてみました。まともに飛べる箒がほとんどないです。
オリジナル魔法。思考を送信するだけです。名前考えるの難しい……。
(( ))で思考を表してます。
ケルベロスは前回レオが作っていた魔法薬で人並みの知恵をつけて喋れるようにしました。頭のそれぞれで一言ずつ喋ってます。
そしてロン! やったね! 初セリフだよ。
では次回お楽しみに。