ありがとうございます。UAやお気に入りが増えるたびにニヤニヤしています。
それでは11話どうぞ。
ホグワーツに来てからの最初の休日。
レオはガーゴイル像の前に来ていた。
「タケノ〇の里」
合言葉を言うと像はどけ、螺旋階段を昇り扉にたどり着く。
扉を三回ノックしながら要件を言う。
「レナード・テイラーです。例の件で参りました。」
「おお、お入りなさい。」
中に入るとダンブルドアと前回はいなかった不死鳥の姿が目に入った。
「ダンブルドア校長は不死鳥を手懐けているのですか?」
「そうじゃ、もうかなりの付き合いになるかの。名をフォークスと言う。」
レオが『眼』を使って観察してみる。不死というだけあってその体には特別な魔法式が刻まれていると思ったが、特に変わったところはない。いたって普通の魔法生物の魔力しか読み取れなかった。
(肉体ではなく、魂が特別なのかな……?)
「では、さっそくじゃが君の改良案を拝見しようかの。」
「はい。これが改良の詳細です。」
ダンブルドアは羊皮紙の束を受け取り、じっくりと吟味していく。
初めは感心しているようだったが、どんどん読み進め次の羊皮紙に行くほどに渋い顔になっていった。
全て読み終えた後、大きく息を吐きだしてレオの目を真っすぐに見て言った。
「まずは率直な感想を述べよう。凄まじい計画じゃ、どの改良も未成年の魔法使いのものとは思えん出来じゃ。だがしかし、あまりにも容赦が無い。無慈悲なまでに侵入者を排除するようにできておる。わしでも何の対策もないままでは賢者の石のある部屋にたどり着く時には命がないじゃろう。そして一番の問題点はいくつか闇の魔法に類する技術が使われていることじゃ。これはどういうわけかな?」
レオはいまいちダンブルドアの言っていることが理解できなかった。
「ええと……。ダンブルドア校長、侵入者は闇の帝王を想定しているのですよね? そして排除する、つまりは殺害を目標と設定し全力で計画を作成しました。この前あらゆる手段を許可するとのことでしたのでこのようになりました。最後に闇の魔法に類する技術とはどれのことでしょう?」
ダンブルドアは戦慄した。ここに記された闇の魔法……しかも最悪の部類の魔法とほぼ同一な技術をそれだと知らずに理論から組み立てたというのか? にわかには信じられなかった。
「では闇の魔法についての知識からこれを作成したわけじゃないのかの?」
「闇の魔法についてはいくつか知っています。禁じられた呪文や悪霊の火、いくつかの呪いとかぐらいですけどダンブルドア校長がそこまで反応する魔法は使っていないと思います。」
(無意識にアレと同じものを造ろうとしていたとは、なんということじゃ……。やはり彼は闇に堕としてはならんの。)
「分かった。とりあえずこの案で計画を進めよう。改良は申し訳ないが明日の深夜から始めよう。理論はできているようだが他に必要なものはあるかの? それと万が一に生徒が侵入した際の安全対策は大丈夫じゃろうか?」
「では、いくつか魔法薬の材料の提供をお願いいたします。安全対策ですが第一と第二の罠で未成年対策を施す予定ですので安心してください。」
その後、細かな修正などを話し合って賢者の石防衛計画は完成となった。
さっそくレオは研究室で準備に取り掛かるとのことで戻っていった。
レオが出て行った後、一人きりの校長室でダンブルドアは考える。
(果たしてこれで良かったのだろうか……。レナード・テイラーの力を見るのとこちらの陣営に引き込むために計画に加担させたが、まさか闇の魔法を躊躇なく計画してくるとは……。彼自身それに対して何の疑問も持っていないのをどう捉えたらよいのか。あくまで魔法の研究だから、教師に頼まれたからなのか、それとも彼の心の奥底に闇があるのか……。いずれにしろしっかりと見極めねば。)
ダンブルドアは悩みがまだまだ続きそうだと直感で感じてため息をつくしかできなかった。
レオが研究室に戻るとドアの前にはハーマイオニーがいた。
本を読んでいるようだったがレオが戻ってくるのに気付くと笑顔になりレオに向かってきた。
「おはよう、レオ! 今日は休日だし研究室に来たわ。授業が始まってからはあまり話せてないから今日は一日ここで過ごすわ。」
「おはよう、ハーマイオニー。確かに同じ学校でも寮が違うとあまり話さなくなってしまうね。グリフィンドールとレイブンクローが合同なのは魔法史しかないしね。とりあえず中へどうぞ、歓迎するよ。」
ハーマイオニーを中に招き入れる、とりあえず紅茶とクッキーを用意する。
お互いに寮と研究室での生活や最初の週を終えてのホグワーツの授業について話が弾んだ。
「ホグワーツは素晴らしいわ! 授業は面白いし魔法はどれだけ学んでも奥が深くて楽しいわ。レオに勉強を見てもらったおかげで変身術や呪文学では点数を貰えたわ。ただ、魔法薬学のスネイプ先生はちょっとスリザリン贔屓が過ぎる気がするの……。ハリー・ポッターに対しては無茶な質問をするし、私が挙手しても相手にしてくれなかったわ。」
「スネイプ先生はちょっとグリフィンドールが嫌いだからね。ただ悪い人じゃないと思うし、魔法薬の腕前は確かだよ。点数を獲得するには完璧な魔法薬を作って認めさせるしかないかもね。」
「やってやるわ! そういえばレイブンクローはどんな感じなの?」
「寮で生活してないから何とも言えないが、皆授業はしっかり受けているし、金曜の午後にはここで勉強会をすることになったよ。他寮の生徒も参加できるようにするつもりだけど、ハーマイオニーは勿論参加かな?」
「もちろんよ! あぁ、レイブンクローいいなぁ……。グリフィンドールも悪くはないんだけれど落ち着きがなかったりして子供っぽい人が多いのよ。」
ハーマイオニーはしばらく不満や愚痴をこぼしていた。
「そういえば噂に聞いたんだけれどレオは空を飛べるのね? 皆が階段で迷っているのに飛んで移動していると聞いてビックリしたわ。私もちょっと迷って危うく授業に遅刻するところだったわ。上級生たちも飛行してないし難しい魔法なの? 私でも飛べるようになれるかしら?」
「んー、どうだろう。一応飛行魔法は僕オリジナルの構成で造っているけど、物を動かしたり、浮かせる魔法は山ほどあるしそれの組み合わせで造ったものだから他にも独自に飛べる人はいるんじゃないかな。結構コツがいるからすぐにはできないかもしれないけど、飛んでみたいかい?」
「もちろん! 魔法で空を飛ぶなんてまさにマグルの絵本の中みたいで素敵だわ。」
それからレオは計画のための準備で魔法薬の作成の取り掛かる。
ハーマイオニーはレオの作業を見たり宿題をしたりして時間を過ごす。
たまに会話もあるがほとんどお互いの作業に集中する二人。
それでもこのホグワーツに来てから一番心が安らぐ時間であると二人は感じていた。
ホグワーツに来る前の図書館での時間のようであり懐かしくもあった。
「さて、一段落したな。ハーマイオニーはどう?」
「私はもう宿題は終わったからレオの作業を観察していたわ。教科書や色々な本読んだけど、今作っている魔法薬は載ってなかったわ。レオのオリジナル?」
「そうだよ。どんな効果か原料から解るかな?」
「ちょっと待って、時間を頂戴。」
ハーマイオニーはうーんとうなりながら原料を見てレオの作業を思い出す。
数分の後、自信なさげだが答えが出たようだ。
「ちょっと自信ないけど……、知性に影響する薬かしら?」
レオは予想以上に近い回答に驚いた。
「すごいね、ハーマイオニー。結構高度な魔法薬なんだけれどかなり近い回答だ。正確には投薬した対象の知性・感情のレベルを人類相当まで引き上げる魔法薬だ。とりあえず、動物実験では成功しているからあとは量と効果の微調整かな。」
ハーマイオニーは自分の回答が褒められて嬉しそうにする。
日も暮れてきたので大広間に夕食を食べに行こうとする二人。
レオはふと気が付く。
「そうだ。ここは大広間のすぐそばなんだから料理を持ってくればここで食べられるね。」
「良いわねそれ。そうすればわざわざグリフィンドールとレイブンクローに分かれないで一緒に食べられるわ。」
二人は大広間から必要な分だけの料理とデザートを運んできて研究室の食事スペースでディナーを楽しんだ。ホグワーツに来てからこうして顔を合わせての食事は初めてだったので、いつもより楽しくそして美味しく感じられた。
これから休日は予定がなければここで自由に過ごして一緒にディナーをとることに自然と決まった。
デザートまで食べ終わり、まったりしている二人。穏やかな時間は早いもので就寝時間が近づいてきた。
「そろそろ寮に戻るわ。また色々と研究を見せてね。おやすみなさい、レオ。」
「おやすみ、ハーマイオニー。」
こうしてレオの心地よい休日は終わっていった。
ダンブルドアが不安視しているアレとは何でしょうか?
賢者の石防衛計画の詳細は侵入者が入るまでお楽しみに。
ただ一つ言えるのは石を狙う者はあの世行きです。
レオの魔法への認識は闇や悪など関係なしに高度であるか、美しいかなどを重視しています。
なのでアバダ・ケダブラも殺すことに特化してそれ以外の要素を排除した純粋な構成なのでレオとしては良い呪文という認識です。
次回はロンに初セリフがあります(予定)。