ロンやフォイにいたっては一言もセリフがなかったかな?
こんな話ですが、楽しんでいただければ幸いです。
では10話どうぞ。
入学式の翌日。
レオが目覚まし魔法で目を覚ますと、普段とは別の部屋でまだ夢の中と錯覚しそうになるがすぐにここはホグワーツで、自分専用の部屋をもらったことを思い出した。
大広間が近いせいなのか、早めの朝食をとっている生徒たちもいるからなのか、すでにいい匂いがこちらの部屋まで届いていた。
軽くストレッチをしてから着替えと授業の準備をして朝食に向かう。
大広間には教職員たちはほぼ全員が揃っていたが、生徒の方はまだ少数でありゆっくりと朝食を楽しんでいた。
レオが大広間に入ると気づいた生徒たちがひそひそと何やら話し始める。
何事かと思って、聴覚強化をするとどうやらレオが特別措置で寮ではなく研究室での生活になることが噂されているようだ。
しかも尾ひれがついて中には明らかに嘘だとわかるようなものまである始末。
(まぁ、いいか。研究室をもらったのは事実だし、研究の邪魔にならなければ問題なし。)
そう思いレイブンクローの机で食べ始める。
イギリスの料理は自国民からも不味いと断言される。
ただし、朝食は別だ。ホグワーツの朝食はその中でもさらに別格においしいと言わざるを得ない味だった。
(そういえば、昨日の入学式の豪華なディナーもおいしかったな。ここの料理は誰が作っているんだろう? 機会があればお礼を言いたいな。リクエストもできたりするんだろうか?)
デザートを食べていると、ハーマイオニーが朝の挨拶をしてきた。
「おはよう、レオ! やっぱり、レイブンクローの所属になったわね。私もグリフィンドールと最後まで迷ったわ。けれど! これから寮杯をかけて勝負よ! どんどん点数を稼ぐわ! それから聞いたわよ、特別に自分の研究室での生活が認められたんですってね。時間があるときにお邪魔してもかまわないかしら?」
「おはよう、ハーマイオニー。朝から元気そうで何よりだ。僕の部屋の場所は玄関ホールを挟んで大広間の反対にあるよ。僕が中にいる時なら歓迎するよ。」
その後は授業について少し話してハーマイオニーはグリフィンドールの机に戻っていった。
ホグワーツでは入学式の次の日からさっそく授業が始まる。
新入生の最初の関門は授業の難しさや厳しい教師、大量の宿題ではない。
校舎という建物そのものが最初の敵だった。
複雑というだけではない、曜日によって位置が変わったり、一段消える階段、隠し部屋に隠し通路等々、まさに迷宮と言って差し支えないだろう。
上級生たちは新入生たちがあたふたとしているのを黙って見守るだけだ(中には笑ったり、助けたりする者もいるが)。
習うより慣れよ。まずはどんどん迷ってホグワーツを知るのが肝心なため、上級生たちは助けない。自分たちも通ってきた道だ、そして彼らもまた次の新人たちを見守るのだろう。
だが、今年の新入生で一人だけ教師でさえ目を疑う行動をする者がいた。
やはりというかレナード・テイラーだ。
レオは階段など使わずに、浮遊術を使用して目的の階まで移動している。
周りの生徒たちはあっけにとられポカンと口を開けるしかなかった。
施錠された扉や、行き先が変わる扉も片っ端から解除して進むレオ。
おかげでどの授業にも遅刻せず到着できたが、その姿を見て固まっていた生徒たちは自分も移動中ということを思い出して、全力で走ることになった。
レオたちレイブンクロー生の最初の授業は魔法史であった。
担当のビンズはゴーストであるからなのか単調に教科書を読むだけの非常につまらない授業だ。
レオは早急にこの授業に見切りをつけて罠改良案について考えを巡らせ始めた。
周りのレイブンクロー生にとっては別教科の予習時間になってしまっていた。
次は薬草学の授業だ。
温室での授業でハッフルパフ寮監のポモーナ・スプラウト教授の下で学ぶ。
最初の授業がいきなりつまらなかった反動か、皆生き生きとしている。
まずは、簡単な薬草の説明と温室内の見学となった。
一日目最後は闇の魔術に対する防衛術であった。
レオは正直この授業に期待していた。闇払いである父から色々と鍛えられていたため、自分の力がどこまでのものか確かめるにはちょうど良いと思っていた。
だが、その期待は裏切られることとなる。
教室に入るなり強烈なニンニク臭がする、担当のクィレルは終始おどおどしてしどろもどろであってまともに授業ができていない。
しかも最悪なことに『眼』には彼が『何か』に憑りつかれているのが見て取れた。
こんな教授ではダメだと、諦めて自習をすることにするレオだった。
一日目の授業の2/3がまともじゃなかったため、レオは家で研究を続けた方が良かったんじゃないかとさえ思い始めた。
しかし、その認識は次の日には改められることとなった。
二日目最初、変身術の授業。
教室に入るとマクゴナガルの姿はなく、トラ猫が教壇の上に座っていた。他の生徒たちは気づいていないが、レオは『眼』で猫がマクゴナガルだと読み取った。
(流石は変身術の教授だ。まさか動物もどきであったとは……。初めて見たがかなり複雑な式だ。)
猫がマクゴナガルの姿に戻り、授業が開始する。
「最初に警告しておきます。変身術はホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの一つです。ふざけた態度で私の授業を受ける生徒は出て行ってもらいますし、二度とクラスには入れないと思ってください。」
授業は変身術の実演を見せ、理論を教えてからマッチ棒を針に変える課題をすることとなった。
レオは一発で変身させた後、マクゴナガルに提出した。
「流石ですね、ミスター・テイラー。レイブンクローに5点。」
「ありがとうございます。マクゴナガル先生は動物もどきなのですね。動物もどきの人とは初めて会いましたので色々と伺いたいのですが。」
「良いでしょう。あなたは初歩は問題ないようですし、動物もどきについて簡単に講義をしましょう。ただし、他の生徒から質問等あればそちらを優先します。」
マクゴナガルと話してみると彼女がいかに優秀であるかが理解できた。
授業が終わるころには二人して変身術の理論等に熱い議論を交わすほどになっていた。
授業終了十分前になって我に返るマクゴナガルとレオ。
「コホン。では皆さんの変身度合いを見て回ります。授業以外の時間で変身術のコツを知りたければミスター・テイラーに聞くとよいでしょう。」
他の生徒たちは完璧に近くできたものは極少数、ほとんどは色や形だけの変化のみで中には全く変えられない生徒もいた。
「今回の課題は初歩の初歩です。ですが全ての変身術の原理の基礎が詰まっています。完璧に成功させたものは学年でミスター・テイラーとミス・グレンジャーのみでした。ここにその二本がありますのでよく観察するとよいでしょう。」
(ハーマイオニーも成功させたか。僕の講義の成果が出ているようでなによりだ。)
次は呪文学だ。
フリットウィックは呪文を楽しく、そしてわかりやすく教えると評判を聞いていたが、その通りだった。レオは魔法を読み取れるがここまでわかりやすく教えることはできないと感じた。このように教えるには魔法に対する高い理解がなければ不可能だろう。
最初は簡単な杖先を光らす魔法の実習となった。先ほどの変身術の授業のせいか、レオが成功させた後は周りからアドバイスを求められることになってしまった。
「テイラー、どうやったら光るんだ? 全然光らないよ。」
「わたしは光るけど、点滅しちゃうんだけど。」
「僕は光が強すぎて……! 目が! 助けて!」
レオはフリットウィックと協力して一人一人に理論とイメージの仕方等を説明していく。
授業が終わるころには全員が同じように動かすことができるようになっていた。
「素晴らしい魔法の理解力でした、テイラー君。それに他の生徒にも教える手伝いまでありがとう。レイブンクローに10点あげましょう。みんなも成功させたので追加で10点です!」
教室内では皆が喜び、レオに対してはお礼の嵐だった。
本日最後の授業は魔法薬学。
場所は肌寒い地下牢だ。ガラス瓶が並べられ得体のしれない動植物がアルコール漬けにされていたり、鍋の中に様々な色の液体が煮えていた。
合同で受けるハッフルパフ生と着席して待っていると担当のスネイプが入ってきた。
出席を取り終えると演説を始める。
「この授業では、魔法薬調剤の微妙な科学と厳密な芸術を学ぶ。」
(相変わらずスネイプ先生はポエミーだ……。まぁ、魔法薬の知識は非常に素晴らしいので問題はないが。)
レオとスネイプは魔法薬学会で面識があり一緒の研究も行った仲であった。
スネイプは大演説を終えると魔法薬の理論の説明を始める。
初回は簡単なおできを治す薬の調合を行うようだ。二人組で別れるように指示があり、皆がレオとペアを組みたいらしくなかなかペアができない。
「二人組を作るのにいつまでかかるのだ! レイブンクロー1点減点。さてテイラーはすでに吾輩と同等かそれ以上の魔法薬学の知識と調合の実力がある。特例として吾輩の助手として授業を受けなさい。」
レイブンクロー生たちはしぶしぶペアを作っていく。
調合を開始してからはレオが材料の切り方、下準備、投入のタイミング等アドバイスをしていく。レオのアドバイスを受けたペアは問題なく薬の調合を終えることができた。
「時間だ。できたものは机の上に提出だ。」
スネイプは薬の評価を始める。皆最初の魔法薬であるため緊張しながらじっとしている。
「ふむ、テイラーのおかげかほとんどの薬が合格点に達しているな。レイブンクローとハッフルパフに1点ずつやろう。宿題として今回作った薬の原料と効果についてのレポートを羊皮紙1枚にまとめるように。テイラーは特別に免除。だが別に何かしらの魔法薬についてのレポートを提出だ、内容は問わん。」
レオ以外の生徒はスリザリン贔屓のスネイプが他寮に加点するなどありえないと聞いていたので驚愕していた。
今日の授業はどれも満足することができたレオは夕食を楽しんでいた。
食べ終わるころにタイミングを見計らったのか何人かの生徒たちが集まってきた。
「あの、テイラー君ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな?」
「どうしましたか?」
「今日の授業で君は噂通りの人だと思い知ったよ。だけど僕たちも知識を求めるレイブンクロー生! いつまでも君に負けたくはない。なので少しでもいい、色々と教えてはくれないだろうか。」
周りの生徒はみな頷いている。
(どうしたものか……。休日は自分の魔法研究もしたいし……。だからと言って魔法に興味を持ったものを拒絶するのも嫌だな。)
「分かりました。僕も自分の研究は続けたいので、休みの金曜の午後だけ勉強会を開きましょう。二週間後の金曜までには部屋の準備をしておきますので、僕の研究室に集まってください。ただし、魔法を学びたい人は拒みませんので他寮の人も受け入れますのでその点は了承してください。」
「ありがとう! さっそく周りのみんなに宣伝してくるよ。」
(なんだか話が大きくなるような気がするが、とりあえず考えておかなければならないな。)
自室に戻るとさっそく研究室の準備に取り掛かる。
拡大呪文で十分なスペースを確保。次に必要なものを自宅の研究室から転移させ設置していく。
二時間ほどで殺風景な部屋は見慣れた魔法の研究室に変貌していた。
模様替えに満足したレオはいつも使っていたベッドで安らかな眠りについた。
授業が始まった10話でした。
レオの各授業への評価は以下のような感じです。
魔法史→予習時間
薬草学→知っていることも多いが、初めて知ることもある良い授業
防衛術→予習時間 ニンニクのせいで魔法史以下
変身術→マクゴナガルとの変身理論討論大会
呪文学→フリットウィックの教え方が面白くて、新しい魔法の発想が得られそう
魔法薬学→なぜか助手に
ちなみにスネイプ先生はレオのことを歳の離れた弟のように感じています。
本人は認めませんが、若干優しくなっています。
あと、この物語でもハリーいじめは健在です。