遊戯王AU-M<英雄の孫>   作:yourphone

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七月からブラホが準制限になるそうで。どんだけ環境デュエルがカオスになってきてるのか分かりますね。

速く『メタファイズ』作りたいブラホ×2と『グランドクロス』×3と『カオス・エンド』×3と『妨げられた壊獣の眠り』入れて「ずっと全破壊!」ってしたい(出来ない)


生徒最強・天上院天馬

「おら走れ走れ! 遅刻するぞ!?」

「ひぃ~~!」

 

いつも通りの朝。だが、今までと違うところが一つ。

 

「てめえのせいで出るのが遅くなったんだからな遠亞!」

「はっ、わっ、分かってる!」

 

俺の前で海馬遠亞が走っている。そもそも普通はこんな走る必要なんて無いのだが、遠亞の奴直前まで寝てやがった。

挙げ句、起こしてやったら『ヘリを使わないのか?』だと? 拳骨くれてやった。

 

しかし、うーむ。脚が短いからか運動不足だからか、遅い。そんなんじゃ門番から逃げられないぞ?

 

「ふわぁ……貴方じゃ無いんだから……」

「心の中を読むな! それとお前はまず自分の足を使いやがれ!」

「嫌ですわ」

 

『眠り姫』は俺に引きずられている。もう慣れたもんだ、襟首掴むのも、引っ張って移動するのも。……悲しい事にな。

何で俺ばっかりこんな目に合わなきゃならんのか。

 

「はっ、無理っ、きつっ!」

 

遠亞が止まり、息を整える。あのなあ、そんな暇無いんだが? ……いや、とはいえお坊ちゃん相手にやり過ぎか……?

 

「別に俺が引っ張ってやってもいいぞ?」

「はっ、はっ、な、何?」

「こいつみたいに引っ張ってやっても良い、と言ってる。ま、今回だけだがな」

「お、お願いする! 初日から、遅刻なんてしたくない!」

 

おいてめぇ思ったより元気そうだな。やっぱ走らせるか?

 

「ふわぁ……止まってて良いんですの?」

「は? ってやべ! 遠亞、乗れ!」

「え!?」

「ほ~らこっちよ~……すぅ……」

 

遠亞を『眠り姫』に抱かせて、走る。流石に二人分は重いが、走れない程じゃない!

『眠り姫』のゴスロリ服は襟首だけ全力で補強してあるから、そう簡単には破れない。筈。多分。

 

「は、はなっ、離せぇ! 自分で走る、走るから! だから離してくれぇ~~~!」

「Zzz……」

 

これ、端から見たらかなりシュールだな、うん。

 

 

――――――――

 

 

「つっかれた……」

 

だが、間に合ったぜ。かなりギリギリだったけどな。危うくまた門番にデュエル挑まなきゃならんとこだった。

 

ちなみに今は一時限目が終わった所だ。

 

「次は……げ、実践デュエルか……」

 

俺が一番嫌いな授業。だが、単位取るためだ……仕方無い。今回も『眠り姫』とノンビリやれば良いか。

 

「さて皆さん。君たちにも可愛い後輩が出来ましたね」

 

急に霞城先生が話し始める。おいおい、もう移動した奴らも居るんだが良いのか?

 

「そこで、今回の実践デュエルは一年生たちとデュエルしましょう……と言うことを説明するのを忘れてました」

 

いや忘れんなよ。あんた一応先生だろ?

 

「人には間違う時はあるのです。プロだってプレイングミスは有るものなのです。……まあ、デュエルの場所は変わらないんですけどね。ですから移動してください」

 

話が飛び飛びだぞ。そんなに腹減ってるのか?

ま、いいか。いつも通り、いつも通りに『眠り姫』を連れて移動する。

はー、マジでこいつ引き取ってくれる奴は居ないのか?

 

「Zzz……」

「ちっ」

 

移動先は体育館。いつもの大講堂だと複数人のデュエルが出来ないからな。二年生はあらかた来てるが、一年生はまだ来てないみたいだな。

人混みの中に見慣れた青髪が見えたので近付く。……『眠り姫』は端っこにほっぽっておく。

 

「よおテンテン。一人だなんて珍しいな」

「やあジュージュー。うん、今日は…えっと、約束っていうか……予約? みたいなのがあるからかな」

「ほーん。よく取り巻きどもが許したな」

「と、取り巻き? ……まあ、恒例行事らしいしね。僕としては普通に楽しいデュエルがしたいだけなんだけどね」

「良く言うぜ」

 

と、そうだそうだ。テンテンに宇良華の事追い返して欲しいんだった。

 

「なあテンテン、門番に言ってくれよ。宇良華は俺の妹じゃないって」

「え? 宇良華は正真正銘、ジュージューの妹じゃないか。いつも思うけど羨ましいよ、僕は一人っ子だからね」

「―――は?」

 

笑顔で何言ってんだこいつ。俺も一人っ子なんだが。

 

「いやお―――」

「あ、一年生たちが来たみたいだね」

 

見ると、確かに見慣れない顔が増えている。でなくとも制服が綺麗だから一年生だと分かる。

 

が、それどころじゃない。

 

「テンテン、おま、さっきの本気で―――」

「お前が天上院天馬だな!」

 

俺の後ろから怒鳴り声。…………しかもなんか昨日聞いたな?

 

「ん、昨日の勘違い野郎。お前ブルーだったのか」

「お、おま、おまえ、遊城十哉! 昨日はよくも!」

 

昨日の帰りに襲ってきた筋肉だるまが居た。青い制服が全く似合わない。

どうでも良いけど怒鳴り声うるさい。ほら、周り皆こっち見てるじゃねえか。先生どもが居るんだからあんま目立ちたく無いんだよ。

 

「十哉、剣山君と知り合いなのかい?」

「ん? まあ……」

「昨日こいつに散々コケにされた! ムカつく事にデュエルせずにな!」

「あっ……それは御愁傷様……」

 

テンテンも察したか。っていうかこいつ剣山とか言うのか。……即刻消去しとくか。こんなのの名前なんて覚えても得はないからな。

 

「じゅ、十哉! たす、助け―――」

 

遠亞の声が聞こえてきた。……が、な~んか嫌な予感がする。

 

「さあデュエルだ! 遊城十哉!」

 

いや、やっぱこいつから離れた方が楽かもな。

 

「呼ばれてるから、じゃあな」

「なっ!? お前、逃げるんじゃない!」

 

無視する。フォローはテンテンがどうにかするだろ。

ったく、もっと先輩を敬えって話だ。

 

んで……大半の一年生は緊張で固まってるが、そこに食い込むように一ヶ所、二年生の……オベリスクブルーの……女子どもが……。いや、きっとさっきのは聞き間違いだろう。遠亞の声があの群れの中から聴こえる訳無いだろ、うん。

 

「ジュ~ヤ~!」

「な ん で だ よ」

 

聴こえちまったのは仕方無い。遠亞を助ける為、虎穴に入る。

 

「なあ、なんかここらに一年のレッド居なかったか?」

「え? 何よあんた、……!? 皆、遠亞君を悪魔から逃がすのよ!」

 

は? あ、悪魔?

 

少し戸惑った隙を突かれ、女子どもが布陣を組む。

前に三人、その後ろに遠亞を据えて左右から女子で挟み、そして更にその後ろに三人……いや、四人か。

 

「…………遠亞、モテモテじゃねえか」

「何処がだ!?」

 

いやいやいや、むしろ何処をどう見たらモテモテじゃないってなるんだ?

 

「なり損ない! 勝手に私たちの遠亞君と話さないでよね!」

「そうよ! 落ちこぼれの癖に!」

「遠亞君と話そうだなんて五世紀早いわ!」

 

ほうほう、前の三人で攻撃……もとい、口撃してくる戦法か。となると……いや、少しは反論しておくか。

 

「いや遠亞もレッドだ―――」

「遠亞様と呼びなさいよ!」「あんたみたいなクズが来ないでよね!」「ほらさっさと消えなさい!」

「あーうん、分かった。今年もたまには『眠り姫』頼むぞ」

「「「 良いから消えなさい! 」」」

「あっ、はい」

「ジュ~~ヤ~~~~!?」

 

悪い遠亞。流石の俺でもそう簡単には突破出来ないわ。

 

 

――――――――

 

 

霞城先生が言うことには、コース別にデュエルしろとのこと。……ブルーの女子たちのブーイングをスルーして遠亞を回収。

 

「十~哉~、何で助けてくれなかったんだ~!」

「悪かったって。ほら涙拭けよ」

「泣いてない!」

 

周りを見てみる。

イエローの奴らは、まあ普通にデュエル始めてるな。使っているのも『化合獣』とか『真紅眼(レッドアイズ)』、珍しいとこじゃ『電子光虫(デジタルバグ)』とか……あれは……あぁ、『SHYフレーム』か?

対して、ブルーはデュエルしてるのが全く居ない。……いや、一組居る。

 

「遠亞、ちょっと見物といこうじゃねぇか」

「は? デュエルしないのか?」

「後でも大丈夫だろ? ほら来い。……先輩を差し置いて『生徒最強』となってる奴のデュエル、見て損は無いだろ?」

「む……」

 

囲むブルーたちの人垣の後ろから見る。遠亞は小さすぎて見えないみたいだな。

しゃーない。近くの女子に声をかける。

 

「なあ、おい」

「何よ女の敵」

「遠亞、最前列まで」

「えっ十哉?」

 

遠亞を女子に押し付ける。

 

「へぇ、あんた案外……いえ、お安いご用よ」

「よろしくな」

「ちょっ!? まっ」

「一名様ご案内~。ほら男子退きなさい!」

 

遠亞は一瞬にして人垣に飲まれていった。なんつぅか、あぁいう『人に好かれる能力』ってのは必要だよな。俺には無いが。

 

さて、盤面はっと。

 

剣山(たつ) LP8000 手札2枚

モンスター 『究極伝導恐獣(アルティメットコンダクターティラノ)』(一番左)

      『魂喰いオヴィラプター』(左から2)

      『プチラノドン』(守備)(右から2)

魔法・罠   伏せ(中央)

 

天上院天馬 LP8000 手札4枚

モンスター ジュラエッグトークン(中央)

 

 

ふんふん、あの筋肉が先攻で恐竜デッキか。んで、あの状態でテンテンの後攻。

ジュラエッグトークンがあるのに『ロストワールド』が無いってことは……『幽鬼うさぎ』でも使ったか。

 

「どうだ俺の恐竜コンボは!」

「うん、なかなかの物だよ。特にその『究極伝導恐獣』は厄介だね」

 

 

『究極伝導恐獣』

 レベル10 光属性 恐竜族

 攻撃力3500 守備力3200

 [攻撃力守備力ともに最高のモンスター。効果も豪勢なうえに、特殊召喚の方法も緩い]

 

 

テンテンは褒め称える。ただし余裕の笑顔で。

 

「僕のターン、ドロー」

 

静かなドロー。()()爽やかだな。

 

「うーん。そうだね……それじゃあまずはこのジュラエッグトークンでリンク召喚。『リンク・スパイダー』!」

 

 

『リンク・スパイダー』

 地属性 サイバース族

 攻撃力1000 link1(↓)

 [通常モンスター一体で呼び出せる超汎用カード。トークンは通常モンスター扱いなので、ジュラエッグトークンでも呼び出せる]

 

 

「なっリンクモンスター!?」

「そして『ギャラクシーサイクロン』を発動したいな」

「ちっ、くそっ! なら破壊され、墓地に送られた『生存境界』を除外して『プチラノドン』と『リンク・スパイダー』を破壊だ!」

 

 

『プチラノドン』

 レベル2 地属性 恐竜族

 攻撃力500 守備力500

 [破壊されると大型恐竜を呼び出す赤ちゃん。赤ちゃんなのに破壊されるのか……]

 

 

ほう、流石ブルーに入っただけあるな。

 

「そして破壊された『プチラノドン』の効果だ! デッキから『超伝導恐獣(スーパーコンダクターティラノ)』を特殊召喚!」

 

 

『超伝導恐獣』

 レベル8 光属性 恐竜族

 攻撃力3300 守備力1400

 [攻撃力がやけに高く、通常召喚できる恐竜モンスター。効果はバーンのデメリットのせいで使いにくい]

 

 

おお、流石にあんな巨体が並ぶと壮観だな。

だが天馬は笑顔だ。

 

「それじゃあ僕は『ブリリアント・フュージョン』を発動し、その処理で融合。デッキから『星杯の妖精リース』と『ジェムナイト・ガネット』を墓地へ送り、『ジェムナイト・セラフィ』を融合召喚!」

 

 

『ジェムナイト・セラフィ』

 レベル5 地属性 天使族 融合

 攻撃力2300 守備力1400

 [召喚権を増やす効果を持つ。融合素材がジェムナイト+光属性という簡単なものなので出張力が高い]

 

 

「セラフィが居る限り、僕は二回召喚出来る」

「ならば『究極伝導恐獣』の効果だ! 手札の『幻創のミセラサウルス』を破壊して裏側になってもらう!」

 

 

『幻創のミセラサウルス』

 レベル4 炎属性 恐竜族

 攻撃力1800 守備力1000

 [手札誘発で恐竜族を守る効果と、墓地での仲間蘇生効果がある。見た目アンデッド族なんだけどなぁ]

 

 

これでセラフィは裏側になった。しかもそのせいでExモンスターゾーンが潰されている。

 

「やるね。手札のモンスターを捨てる事で墓地のリースを回収。そしてこの効果で墓地に送られた『ジェムナイト・ラズリー』によって『ジェムナイト・ガネット』を回収……と言いたいけど、コストで送られたから発動出来ないんだよね」

 

 

『ジェムナイト・ラズリー』

 レベル1 地属性 岩石族

 攻撃力600 守備力100

 [効果で墓地に送られたら墓地の通常モンスターを回収出来る女の子]

 

 

天馬の場には『ブリリアント・フュージョン』と、裏側にされた『ジェムナイト・セラフィ』が一体だけ。……だが、手札は三枚。しかもまだ通常召喚していない。

 

「……行くよ? 『フォトン・リード』でリースを特殊召喚、成功時に効果を発動。デッキから『星遺物―『星杯』』を手札に」

 

 

『星杯の妖精リース』

 レベル2 光属性 天使族

 攻撃力100 守備力2000

 [自分の効果で墓地から戻ってきて、なおかつ出てきたら星杯をサーチする。地味に守備力も高い]

 

 

「さて。なんとかなるかな……裏側になっているセラフィをリリースして『星遺物―『星杯』』をアドバンス召喚」

 

 

『星遺物―『星杯』』

 レベル5 闇属性 機械族

 攻撃力0 守備力0

 [これがいる限り相手はExデッキからモンスターを出しにくいうえに、通常召喚されたこのカードが場から離れたら星杯モンスターが二体出てくる。しかも墓地から除外して星遺物カードをサーチ。厄介すぎる]

 

 

「更に『トランスターン』。リースをコストにデッキから『創造の代行者ヴィーナス』を特殊召喚」

 

 

『創造の代行者ヴィーナス』

 レベル3 光属性 天使族

 攻撃力1600 守備力0

 [ライフコストを払う事で名前通り仲間を創造する天使。ただしよく事故る]

 

 

「ヴィーナスは500LPを払う事で『神聖なる球体(ホーリーシャインボール)』を呼び出せる……さぁて。『神聖なる球体』でリンク召喚! 『星杯竜イムドゥーク』!」

 

 

『星杯竜イムドゥーク』

 風属性 ドラゴン族

 攻撃力800 link1(↑)

 [リンク先に対してカタストル効果を持つ、星杯のペット。あまりの可愛らしさに星杯モンスターがもう一度通常召喚してくる。なおセラフィとは効果が被り、通常召喚を三回行うといった事は出来ないらしい]

 

 

お、天馬のやつノッてきたな。

 

「更にイムドゥークと『星遺物―『星杯』』でリンク召喚! 『星杯剣士アウラム』!」

 

 

『星杯剣士アウラム』

 炎属性 サイバース族

 攻撃力2000 link2(↙↘)

 [リンク先の星杯モンスターを墓地へ送れば死者蘇生。地味な攻撃力アップ効果もある]

 

 

「『星遺物―『星杯』』がフィールドから離れたからデッキから星杯モンスターを二体、特殊召喚する!」

「なっ、二体もだと!?」

「来い『星杯に(いざな)われし者』『星杯の守護竜』!」

 

 

『星杯の守護竜』

 レベル1 風属性 ドラゴン族

 攻撃力400 守備力400

 [成長前のペット……もとい、子竜。地味に汎用力ぅ……ですかね。手札から捨てれば、リンクモンスターへ耐性を持たせてくれます]

 

 

「アウラムの効果! リンク先の守護竜を墓地に送り、イムドゥークを蘇生! そしてイムドゥークと誘われし者でリンク召喚! 『星杯神楽(かぐら)イヴ』!」

 

 

『星杯神楽イヴ』

 水属性 魔法使い族

 攻撃力1800 link2(←→)

 [居るとただただ面倒な妹。二体並んだ時の耐性は他を圧倒する……かも、しれなくもない]

 

 

「まだまだ! 1000LPを払うことで『神聖なる球体』を二体創造! 片方をイムドゥークに、もう片方を『リンク・スパイダー』に! そして……『リンク・スパイダー』と『星杯剣士アウラム』でリンク召喚!」

 

すうっと息を吸い込み、叫ぶようにその名を呼ぶ。

 

「『星杯戦士ニンギルス』!」

 

 

『星杯戦士ニンギルス』

 地属性 戦士族

 攻撃力2500 link3(←↑→)

 [リンクモンスター二体以上というそこそこ面倒な召喚条件。だが、その分恐ろしい効果を持っているお兄ちゃん]

 

 

「ニンギルスのリンク先にはイムドゥークとイヴ……よって二枚ドロー!」

 

ふむ、左端にイムドゥーク。中央にイヴ。その間にリンク召喚か。

 

「二枚もドロー……だが所詮その程度! 俺の恐竜たちには敵わない!」

「それはどうだろうね。イムドゥークとヴィーナスでイヴをリンク召喚だ! ……ふふふ」

「な、何が可笑しい!」

「墓地に送られたイムドゥークの効果で手札から『星杯に誘われし者』を特殊召喚! 笑った理由はね。逆転するからだよ!」

「なん、だと!?」

「墓地の守護竜を除外して墓地からガネットを蘇生。二体でエクシーズ!」

「エクシーズ!?」

 

あー……あれか。

 

「さあこい、『ダイガスタ・エメラル』!」

 

はい出たよエメラル。強いデッキにはほぼ必ず入ってるんだよな。

 

「効果で墓地の『リンク・スパイダー』二枚と『イムドゥーク』を戻してワンドロー」

「ふ、ふん。だが俺の二体のティラノを越えられるモンスターは居ないぞ」

「そうかな? まあ、見てなよ。ニンギルスの効果発動! 『ブリリアント・フュージョン』と君の『究極伝導恐獣』を墓地に送る!」

「なっ!? 破壊しない墓地送りだと!?」

 

へぇ? しかも見た感じ対象を取らないのか。強いな。

 

「更に『団結の力』をニンギルスに装備。これの効果は知ってるよね? 僕の場のモンスターは四体……3200アップの5700!」

「何ぃ!?」

 

つえーよなー、『団結の力』。『火力が足りないが展開力あるデッキ』に簡単に入れられるし。

欲を言うなら、更にゼロキュー効果と『リミッター解除』を……なんてな。ブンボーグの話だ。

 

「バトル! ニンギルスで『超伝導恐獣』に攻撃!」

「うあぁっ!」

 

剣山 竜 LP5600

 

「一体目のイヴで『魂喰いオヴィラプター』に攻撃!」

「だがオヴィラプターの攻撃力は1800! 相討ちになってもらう!」

 

しかし戦闘後、フィールドにはイヴだけが残る事になる。

 

「な、なぜだ!?」

「リンク状態のイヴは戦闘・効果では破壊されない。二体目のイヴでダイレクトアタック!」

「ぐうっ!」

 

剣山 竜 LP3800

 

「エメラルで攻撃!」

「っ!」

 

剣山 竜 LP2000

 

「うん、僕はカードを伏せてターンエンド」

 

 

天上院 天馬 LP6500 手札0枚

モンスター 『星杯神楽イヴ』(左端)

      『星杯戦士ニンギルス』(左から2)

      『星杯神楽イヴ』(中央)

      『ダイガスタ・エメラル』(右から2)

魔法・罠 『団結の力』(装備先、ニンギルス)

     伏せ 

 

宣言通り逆転したか。だが手札は無い……これを越えられたら負けるぞ、天馬?

 

 

「俺のターン……ドロー! くっ……」

 

墓地発動はミセラサウルスぐらいか? フィールドはがら空き。

つまり、筋肉のやつは三枚の手札からニンギルスを倒す(或いは『団結の力』を破壊する)必要がある。

 

「よし、墓地のミセラサウルスと『超伝導恐獣』を除外することで墓地の『プチラノドン』を蘇生! 更に『化石調査』! デッキから『魂喰いオヴィラプター』をサーチし、通常召喚!」

 

 

『魂喰いオヴィラプター』

 レベル4 闇属性 恐竜族

 攻撃力1800 守備力500

 [出てきたら恐竜族を墓地送りorサーチ。自身も持ってこれる]

 

 

「効果でデッキから『究極伝導恐獣』をサーチする。オヴィラプターのもう一つの効果! 『プチラノドン』を破壊して墓地の『魂喰いオヴィラプター』を特殊召喚! そして破壊された『プチラノドン』の効果だ! 呼び出すのは『ランスフォリンクス』!」

 

 

『ランスフォリンクス』

 レベル6 風属性 恐竜族

 攻撃力2700 守備力800

 [通常Pモンスター。スケールにあれば通常モンスターに貫通付与出来る。これ単体でもそれなりに強い。ぜひ『スパイラル』デッキに()]

 

 

『プチラノドン』で呼ばれたモンスターはそのターンは攻撃出来ない。惜しいな。流石に『超伝導恐獣』は二枚も入れないか。

 

「オヴィラプター二体でエクシーズだ! 『エヴォルカイザー・ドルカ』!」

 

 

『エヴォルカイザー・ドルカ』

 ランク4 炎属性 ドラゴン族

 攻撃力2300 守備力1700

 [モンスター効果絶対潰すマン。ターン1制限が無く、『ブレイクスルー・スキル』のイラストにも描かれている。素材が恐竜族限定でさえ無ければ……強すぎるか]

 

 

「墓地の恐竜族モンスター二体を除外して『究極伝導恐獣』! バトルだ!」

 

さて、筋肉野郎は6500のLPを削り切れるか?

 

「『究極伝導恐獣』で『ダイガスタ・エメラル』を攻撃!」

「くらうよ」

 

天上院 天馬 LP4800

 

「これで4900……次! 『星杯神楽イヴ』に攻撃だ!」

「戦闘破壊耐性だよ」

「だがダメージは通る!」

 

天上院 天馬 LP3100

 

「二体目のイヴに攻撃だぁっ!」

 

天上院 天馬 LP1400

 

「ドルカ! イヴに攻撃!」

「良いよ」

 

天上院 天馬 LP500

 

「……くそっ! ターンエンドだ!」

 

 

剣山 竜 LP2000

モンスター 『エヴォルカイザー・ドルカ』(右Ex)

      『究極伝導恐獣』(中央)

      『ランスフォリンクス』(守備)(右から2)

 

「ドロー、バトル。ニンギルスで『エヴォルカイザー・ドルカ』を攻撃!」

「ぐあぁぁああっ!」

 

剣山 竜 LP0

 

win 天上院 天馬

 

「うん、良いデュエルだったよ」

「く……」

 

ブルーの生徒(主に女子)から拍手喝采。おいおい、止めてやれよ負けたあの筋肉だるまが惨めじゃねぇかもっとやれ。

しっかし、テンテンの奴ギリギリだったな。危うく負けそうになってたじゃねぇか。

 

「十哉、十哉! 俺たちもデュエルだ!」

「ん? 遠亞か。良く戻ってこれたな」

「その気になればそれくらい出来る! いいからデュエルしろ!」

「はんっ、テンテンのデュエルに当てられたか? まあ良い。やってや―――」

 

ふと、こいつのデッキを思い出す。そして、今セットしているデッキをちょっと確認。

 

「……嫌、止めといた方が」

「いいや! やると言ったらやるんだ十哉!」

「あっそ。泣いても知らねぇからな」

 

あーあ。また女子から嫌われるのか。別に良いけど。

 

「しゃーねぇ、俺の先攻。『破壊剣の伴竜』召喚『破壊剣士融合』サーチ発動。手札の『バスター・ブレイダー』と伴竜で『竜破壊の剣士―バスター・ブレイダー』」

「ふっ、その程度……え?」

「ターンエンド。お前、ドラゴン族以外のモンスターで強いの居るのか?」

「…………………………うえぇぇぇえ!?」

 

 

 

デュエル結果:女子からブーイングをくらい、ただでさえ低い俺の好感度が更に下がっていった。

 




ちなみに『ランスフォリンクス』ではなく『超伝導恐獣』が出ていたらテンテンの負けでした。剣山君が二枚入れてて片方手札に来ちゃってたって事で許して。

では次回予告、ナレーター:十哉

少し変わったがいつも通りの日常。いつも通り起きていつも通り起こしていつも通り登校して……疲れる。
と、机の中に見慣れぬ……いや、見たことあるな、これ。

ラブレターって言うんだよな、これ。

次回『愛は一途に』

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