遊戯王AU-M<英雄の孫>   作:yourphone

4 / 31
今回、エンタメデュエルということでアクションマジックを使用します。それもオリジナル。
しかも長くなったんで前編後編に分けます。

以上の事に『灰流(はる)うらら』使ってでも読んでくれるデュエリストはどうぞ、(つたな)い文ですが。


エンターテイメント・デュエル!

「―――となる訳で、ペンデュラム召喚自体は出来ます。……とはいえ、最大の特徴であったエクストラデッキからの大量召喚が出来なくなるので、今ペンデュラムを多用するデッキを使っている人はそこだけ注意してデッキを組み直してみてください」

 

霞城先生がペラペラ喋っているが、悲しいかな大半の生徒は聞いていない。

理由は幾つかあるが一番の理由は今朝配布されたデュエルディスクのせいだろうな。八型の物と同じ見た目だが、新しいルールに合った物だ。

……俺のは『ガーディアンタイプ』のディスクらしく、他の奴らのと違う! と一悶着あった。最終的に『そんなに言うなら門番とこ行って貰ってこいよ』という俺の一言で静まったが。

というか、皆一度は門番のデュエル見てんのな。そりゃ、学園最強とは戦いたく無いだろう。

 

「ん、そろそろ時間ですね。皆さん移動しましょうか」

 

生徒が先生の話を聞いてなかった理由の二つ目。

誰だったか、外の人がわざわざこの離れ島までやって来て『リアルソリッドビジョン』について講義してくれるそうだ。

因みに三つ目の理由は、単にペンデュラムを使わないデッキを使っているから。俺はブンボーグがペンデュラム使えるから一応聞いてる。

 

ざわざわと移動を始める。一人だけ机に突っ伏している。

 

「おい、起きろ。移動だぞ」

「…フムュゥ……Zzz……」

 

なんで俺がこいつの面倒係なのが公然の事実となってるんだ? 誰か手伝えよ。

 

 

――――――――

 

 

場所はいつもの大講堂―――ではなく、第四体育館。六年前ぐらいの春休み中に建てられた、かなり新しい建物だ。

 

「ふーん。初めて入るがこんな風になってたんだな」

 

中心には平均的な中学校が入りそうなぐらい広い空間があり、それを囲うように椅子が設置してある。

大講堂の巨大版みたいな感じか。全部真っ白で目が痛いな。

 

と、ブウゥゥンと低い音が聞こえてきた。そして中央に一体のモンスターの姿が現れる。

あれは……『雷帝家臣ミスラ』か。

 

ミスラは何処からかマイクを取り出す。

 

『それではどうぞ皆さん、ご自由にお座りください』

 

「も、モンスターが……喋った!?」

「マジか……リアソリやべぇな!」

 

隣でラーイエローの奴らがこそこそ喋ってるが……馬鹿らしい。他のとこからマイクで喋ってんだろ。ってかリアソリってなんだよ。

『眠り姫』を引きずり、出入り口に一番近い椅子に座る。……地味に真正面のど真ん中だ。

 

「おい『眠り姫』、目ぐらいは開けとけ」

「…ふわぁ……あら……朝? ……でももう一週間……ぐぅ」

「そんなに寝たいならもう起きるなよ」

 

そんなことを喋ってる内に座り終えたみたいだ。あー、やっぱり自然と色別になるのか。クラス自体は色別じゃないんだがな。二人しか居ない(おれら)がど真ん中に陣取ったから青と黄色が分かれて……ん? 待てよこれって凄く目立ってねぇか?

 

『では、リアルソリッドビジョンについての説明の前にリアルソリッドビジョンを使用した『エンターテイメント』をお見せしたいと思います。暫しお付き合いください……』

 

ミスラがマイクを床に置き、深々と礼をする。そして消えた。

すげぇなリアルソリッドビジョン。まるで本当にモンスターが居たみたいだ。……いや、一応物質的には『存在した』のか。

 

そしてショーが始まる。

 

 

 

 

 

 

『アクションフィールド展開。―――ダークタウンの幽閉塔!』

 

 

 

途端に照明が消え、黒いビルが地面から出てくる。奥には巨大な塔、生徒たちから一番見やすい場所には川と橋が現れる。

同時に、中央に凶悪そうなモンスターが召喚さ(あらわ)れる。あれは……『アックスレイダー』か? またコアなモンスターを……。

 

アックスレイダーは片手で斧を振り回している。お、ビルに叩き付けた。

そこで一陣の風が吹く。その強風に煽られ、アックスレイダーがたたらを踏む。

風とともに現れたのは『E(エレメンタル)・HERO フェザーマン』。

 

フェザーマンの鳥のような腕が、振り上げられたアックスレイダーの斧をはじく。アックスレイダーは斧を手放しはしなかったが、しかしそのせいで腕が大きく跳ね上がり隙が出来る。

風を纏った正義の鉄拳がアックスレイダーを一撃の元に粉砕した。

 

………どうもショーはEーHEROが敵を倒していくものらしい。まぁ、ちょっと調べてみればこの学園から『英雄』が卒業しているのは分かるか。

ってかフェザーマンじゃアックスレイダーを倒せないんじゃねぇか? いや、ショーには無粋な突っ込みか。

 

フェザーマンが風を纏い、飛び立つ。――――瞬間、高速で飛行してきた何かをかわす。

俺の顔の真横に刺さったそれは、炎の矢。

 

「……ヒュウ、こりゃあ『エンターテイメント』だ」

「すぅ……」

 

消えないんだが、これ。てか熱い。

 

舞台では『E・HERO スパークマン』が『インフェルニティアーチャー』を狙撃位地から追い出している。

よく見ると右手に『スパークガン』を装備してる。成る程、それで守備表示にすれば倒せるな。

 

『ねぇ、貴方』

 

真横から声がした。驚いて見ると『インフェルニティ・アーチャー』の炎の矢が消えており、青白い肌の女性が居た。

 

「…………」

『ちょっと手伝ってもらえるかしら?』

「……すげぇなリアルソリッドビジョン。えぇと、何を手伝えば良いんですか? ミス・バーストレディ」

『貴方にはショーに特別出演して欲しいの』

 

まあ、だろうな。目立つのは嫌なんだが。

 

『そしたら特別にあの子とデュエル出来るから、ね?』

「あの、勝手に人をデュエル狂いにしないでいただけますかね?」

『あら違うの? ごめんなさいね……まぁ、無理矢理にでも出てもらうけど』

「は?」

 

『E・HERO バーストレディ』が俺を小脇に抱える。

 

「おいおいおい! ちょっ、『眠り姫』助け――――」

「Zzz……」

『それじゃあ行くわよ』

「うおわっ!?」

 

バーストレディが飛び上がり、空中で俺を放り投げる。

 

「なっちょっ」

 

舌が回らない。叫ぶ事もままならず、舞台に着地。だが、あ、足が……。

 

足を押さえて悶えていると、声が。

 

『久し振りだな、十哉』

『相変わらず生意気そうだな!』

 

声のした方を見ると、フェザーマンと『E・HERO バブルマン』が立っていた。

 

「久し振り……ってどっかで会ったのか? 悪い、覚えが無いんだが」

『フ、まあ、我々に心を開くのが久し振りだからな……』

「は?」

 

今度は後ろ。振り向くと、スパークマンが近付いていた。

 

『イマハ、ショー。クルヨ』

「うおっ!?」

 

急に地面が盛り上がったしかも喋った。……よく見ると、俺は『E・HERO クレイマン』の上に着地していたらしい。周りの『E・HERO』たちが当然のように浮かんでいたせいで気付かなかった。

…………ん? 『浮かんでいる』? 待て、こいつら人間じゃ

 

『キュレアァァァ!』

 

浮かびそうになった変な思考を吹き飛ばすように、光輝くドラゴンが形作られる。

 

「お、おいおい……『銀河眼(ギャラクシーアイズ)光子竜(フォトンドラゴン)』かよ……」

『大丈夫だ! 君には奴を倒せる二枚のカードがある!』

『さあ、これを!』

 

バブルマンから渡されたのは二枚の『融合』。

……これなら……いやいや、待て、ちょっと待て。良いのか? そんな安易な方法で良いのか? これはショーなんだよな?

 

『さあ!』

『ン! クルヨ!』

 

光子竜が力を溜める。口に膨大なエネルギーが溜まっていく。

 

「『エッジマン』居ないのか!?」

『彼は彼の地で邪悪と戦っている……』

 

マジかよ『プラズマヴァイスマン』の効果破壊使えねぇじゃん。

 

「くっそ! フェザーマンとバブルマンで『融合』! 全てを凍結させる冷酷なるヒーロー! 『E・HERO アブソルートZero』! 更に『融合』! スパークマンとアブソルートでもう一度アブソルート!」

『私は、言われるほど冷酷ではない。ただ、強すぎるだけなのだ』

 

真っ白なヒーローが現れる。同時に光子竜が凍りつき、砕ける。

 

「……なあ、観客が全く盛り上がって無いが、これで終わりか?」

『それの答えは“いいえ”よ。言ったわよね?』

「『あの子とデュエル出来る』……だったか?」

 

「そのとーーーーおりっ!」

 

『それじゃあまたね』『バイバイ』『また、いつか』

 

短い別れの言葉と共にヒーローたちが消える。建ち並んでいたビルも地面の中に消えていく。

 

後に残ったのは空中に残された俺と……いや待て!?

 

「うおっと!?」

 

地面に落ちる。そういや、クレイマンの上に立ってたな……。

 

バンッ

 

照明が落ちる。真っ暗だ、顔の前に持ってきた筈の手のひらさえも見えない。

 

バンッ

 

舞台の上、女性にスポットライトが当たる。

黄色を基調としたキラキラしたドレス。だが、着けている手袋とブーツ、そしてカチューシャは真っ赤。髪の毛は赤と黒が半々になるように染めている。顔には星と涙の模様。

 

「レディース・エンド・ジェントルメン! 私のショーをご覧頂きありがとうございます!」

 

盛大な拍手。……あー、もしかして今の内に逃げた方が良いのか?

 

バンッ

 

遅かった。スポットライトに照らされる。

 

「ショーのお手伝いをしてくれた遊城十哉君にも拍手を!」

 

先程に比べてまばらな拍手。

 

「それでは!……っと先に、はいこれどうぞ」

「あ、どうも」

 

手渡されたのはサイン入りの名刺。ふむふむ、『エンターテイナー・YUSHOプロジェクト 九重(ここのえ) 純香(すみか)』ねぇ……聞いたことがあるな。確か、世界初の公式女性エンターテイメントデュエリストだったか。

 

「私は九重純香っていいます! 皆よりほんの少し年上です! ……知ってたかな?」

 

観客席がざわめく。誰かが大声で「スーミー!」と叫び、純香さんはそれに笑顔で手を振った。

 

「今日は皆に『エンターテイメントデュエルとはどんなものか?』ということを教えに来ました!」

 

拍手。……おい、ガチのファンが数人居るぞ。そいつらだけ熱気が違いすぎる。

 

「百聞は一見にしかず! なので臨時アシスタントの十哉君とデュエルしたいと思いま~す☆」

「おい待てちょっと待てかなり待て。別に俺じゃ無くても良いだろうが」

 

殺意の視線が注がれてるんだよ。これが終わったら確実に絡まれそうなんだよ。

 

「ほらほら、何のデッキにするの? 準備してね」

「人の話を――」

「アクションフィールド展開! スペシャルデュエリストサーカス!」

 

輝く光と共にサーカスのようなフィールドに変わる。

 

「準備オーケー?」

「……」

 

デュエルディスクにデッキは入っていない。渋々、腰のデッキポーチに触れる。

どうする? 相手のデッキが分からないから……いや、ここは勝敗に関わらず短期決着が付く『ブンボーグ』でやるか。

 

「オーケーだ」

「よーしそれじゃあ……皆は知ってるかな?『戦いの殿堂に集いし――』ってやつ」

 

ふむ、観客席には『知ってる』奴が多いな。

 

「十哉君は?」

「聞いたことはあります。……覚えてない、ですけど」

「もー、緊張しなくて良いよ? もっといつも通りにして!」

「無茶言わないでくださいよ……そう言えば俺、名前教えましたっけ?」

「ん~? バーストレディが教えてくれたんだよ☆」

 

はあ? ……あれか、ちょいと調べれば出てくるのか、俺は。

なんてこれからの行動に少し気を付けようと思った時。

 

「……そうそう、あのヒーローたち、十代さんから借りたものなんだ。格好いいよね!」

 

…………あ?

 

「おい、今なんつった」

「え?」

「じいさんから、借りた?」

「そ、そうだけど?」

 

ほーう? そうかそうか。……そういう設定なら、良いさ。じいさんの名前を出すなら遠慮は無い。

 

「わりぃ、何でもねぇよ」

「本当に食い付いた……ごほんっ! アクションデュエルをするときはまず始めにデュエルのコールを行います! 知ってる人たちは周りの人に教えてあげてね!」

 

一瞬のざわめきの後観客席からコールが始まる。始めは小さく、徐々に大きく。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が」

 

「 モンスターと共に地を蹴り宙を舞い! 」

 

「 フィールド内を駆け巡る! 」

 

「 見よ、これぞデュエルの最強進化系! 」

 

「アクショ~~ン!」

 

「「デュエル!」」

 

 

十哉 LP8000

純香 LP8000

 

げ、俺の先攻か……しかもそんなに手札が良くない。スケールが揃ってるだけ良いか。

 

「カードを伏せてターンエンド」

 

十哉 LP8000 手札4枚

モンスター 無し

魔法・罠 伏せ(中央)

 

「意外と堅実な始まりだね?」

「意外とって何だよ!」

「うふふ。永続魔法『陽炎柱(ヘイズピラー)』!」

 

純香さんの後ろで炎が(くすぶ)り、突如燃え上がる。

 

「そして、燃え上がる炎を火種に! 現れろ、『陽炎獣(ヘイズビースト) スピンクス』!」

 

『陽炎獣スピンクス』

 レベル6 炎属性 獣族

 攻撃力1900 守備力1900

 [デッキトップ当て、からの炎属性特殊召喚。レベル6のわりにステータスが低いので注意。相手からは対象に取られないよ(にっこり)]

 

女性の顔をしたライオンのようなモンスターが炎の柱から飛び出してくる。

 

「スピ、今回もよろしく」

 

モンスターに話しかけるとか、頭大丈夫か?

 

『ええ。……ほら、効果』

「そうそう」

 

話せるのかよすげえな……リアルソリッド………そういや、ヒーローたちも喋ってたか。……ん、じいさんのヒーロー……んん?

 

「スピの効果発動! スピンクスは『モンスター』『魔法』『罠』のどれかを宣言することで、デッキトップが当たればモンスターを特殊召喚できるよ! 外れれば……残念!」

『さて、どうするの?』

「私は『モンスター』を宣言! めくるよめくるよ~ ジャジャンッ!」

 

引いたカードを見せてくる。そのカードは……

 

「オ~ッケィ! めくったカードは『陽炎獣ヒュドラー』! 予知エネルギーを火種に、ヒュドラーを特殊召喚!」

 

『陽炎獣ヒュドラー』

 レベル6 炎属性 恐竜族

 攻撃力2300 守備力200

 [炎属性しか出せなくなるけど、素材追加は強いと思う]

 

スピンクスの額に嵌まっている宝石が光り、八つの首を持つうねうねした奴が出てきた。

 

『姐さん!』『久し振りっす!』『お、こりゃ食べがいがありそうな小僧』『馬鹿、食うなよ……ジュルリ』『うるせぇって顔してんぜ』『そうだな、最近のガキは短気でいけねぇ』『俺らが言えたことじゃねぇけどな?』『 だな! シャッシャッシャッ! 』

 

うぜぇ。そして慣れたように続ける純香さん。

 

「そしてお喋りなそこの恐竜(ヒュドラー)の熱気を火種に、『陽炎獣グリプス』を特殊召喚!」

『やっほお』

 

『陽炎獣グリプス』

 レベル6 炎属性 鳥獣族

 攻撃力200 守備力2100

 [フィールド・墓地のモンスターが炎属性のみなら手札から特殊召喚。一番鳥っぽい]

 

『僕、頑張るよー!』

『けっ』『媚び売りやがって』『猛禽類だろうが』『お坊っちゃまめ』『熱くないと出てこれない癖によぉ』『食わず嫌いめ』『突破力無しだ』『性能悪く無いんだがなぁ』

『そんなに本当の事言ったらグリプス泣いちゃうわよ?』

『スピ姉が一番酷いよ!?』

 

……ひでぇ言われようだな。

 

「うんうん、私のモンスターたちは皆元気です!」

「いやそういう問題か?」

 

思わず突っ込んでしまった。

 

「そういうものだよ! グリプス・ヒュドラー・スピンクスの三体でオーバーレイネットワークを構築!」

 

グリプス、ヒュドラー、スピンクスが光となり、床に現れた宇宙のようなものに入っていく。

 

陽炎(ヘイズ)の王よ、灼熱(しゃくねつ)巨鳥(きょちょう)よ! 宇宙を火種とし爆誕(ばくたん)せよ! X(エクシーズ)召喚、ランク6! 『陽炎獣バジリコック』!」

 

『陽炎獣バジリコック』

 ランク6 炎属性 鳥獣族

 攻撃力2500 守備力1800

 [素材の数によって効果が追加されていく。3個以上で素材×200の攻守アップ・4個以上で相手に対象に取られない・5個以上で効果破壊耐性。つよーい(なおザ・ライトニング)]

 

『巨鳥』という言葉が綺麗に当てはまる体躯。六本ある脚。よくよく見ると頭に小さな王冠が乗っている。

全体的に見て、印象は一言。

 

「鶏か」

「ち、違うもん! バジリはもっと、こう、格好いいの!」

 

俺の呟きを聞き取り、純香さんが反論する。

 

が、意外な方向から反論の反論が飛んでくる。

 

『何を言う純香。鶏は()()ものだ。味、栄養、料理の種類。そして何より、卵が先か鶏が先かという高尚な命題にも使われている』

 

おお……威圧感が凄い。これは鶏なんて言ってられない。既に言っちゃったけど。

 

「まあ、バジリがそういうなら……バトルフェイズ! バジリコックはX素材が三つ、よって攻撃力は3100! ダイレクトアタックだよ! 『陽炎(ヘイズ)――」

(トラップ)発動『攻撃の無力化』」

 

バジリコックの全身が燃え上がるが、俺の罠から出てきた謎の光線に遮られた。

 

「無力化!? ……うぐ、バジリ、ごめん」

『ふむ……純香よ、焦る必要は無い』

「うん。……カードを二枚伏せてターンエンド!」

 

純香 LP8000 手札1枚

モンスター 『陽炎獣バジリコック』(EX)

魔法・罠 伏せ(左から2)

     『陽炎柱』(中央)

     伏せ(右から2)

 

「んじゃ、俺のターン。ドロー」

「スタンバイに永続罠『陽炎光輪(ヘイズグローリー)』を発動しておくよ」

 

……別に行動阻害系の罠じゃなさそうだな。とはいえ、この手札じゃ、なぁ。

 

「スケールセッティング! 右端に『ブンボーグ005(ゼロゼロファイブ)』、左端に『ブンボーグ006(ゼロゼロシックス)』!」

 

『ブンボーグ005』

 レベル5 地属性 機械族

 攻撃力500 守備力500

 [スケールで破壊されると墓地のブンボーグを蘇生。003、002共々、ブンボーグ展開の(かなめ)]

 

『ブンボーグ006』

 レベル6 地属性 機械族

 攻撃力500 守備力500

 [スケールで破壊されると墓地のブンボーグを回収(サルベージ)。基本的に003を回収したいところ]

 

ディスクの魔法・罠ゾーンの両端が手前にスライド、カードを置く場所が出てくる。そこにゼロゴとゼロロクを置く。

 

空中に『PENDULUM』の文字が浮かび上がる。

 

P(ペンデュラム)召喚! 『ブンボーグ009(ゼロゼロナイン)』を守備表示!」

 

『ブンボーグ009』

 レベル9 地属性 機械族

 攻撃力500 守備力500

 [ブンボーグの最終兵器。ブンボーグたちの攻撃力集中・攻撃の邪魔封じ。守備表示にだけ勝てない]

 

空からゼロキューが降りてくる。……バジリコック相手だと格段に小さい。

 

 

「ペンデュラム……十哉君、分かってるね!」

「はい?」

「P召喚はエンタメデュエルで初公開されたんだよ!」

 

ふーん。それは知らなかったな。……ってかいつの間にバジリコックの上に乗ってたんだ?

 

「『機械複製術』、対象はゼロキュー」

 

ゼロキューが複製され、二体目のゼロキューが現れる。

 

「あれ、一体だけ?」

「デッキに居ないだけだ……ターンエンド」

 

ゼロキューは強いが、単体じゃあバジリコックを倒せない。

 

十哉 LP8000 手札1枚

モンスター 『ブンボーグ009』(守備)(中央)

      『ブンボーグ009』(守備)(左から2)

魔法・罠  『ブンボーグ005』(スケール10)

      『ブンボーグ006』(スケール1)

 

「私のターン! ドロー!」

 

さて、俺の手札に手札誘発は無い。

 

「バジリの効果! 素材を取り除き、ブンボーグ009を除外する! 『陽炎(ヘイズ)霧弾(ミストボム)』!」

 

バジリコックが大きく羽ばたくとゼロキューが陽炎(かげろう)に包まれ、次の瞬間消えていた。

 

「取り除かれたのはスピンクス! 『陽炎光輪』を墓地に送って手札に戻すよ! そして、燃え続ける炎を火種にスピンクスを召喚!」

 

始めのターンの繰り返しか。そしてスピンクスの効果は……。

 

「スピの効果発動! 私は『モンスター』を宣言! ジャジャンッ! ……めくったのは『陽炎光輪』でした、残念!」

 

ふぅ~。当たってたら多分負けてた……かもな。

 

「それじゃあバトル! スピで残っている『ブンボーグ009』を攻撃! 『陽炎(ヘイズ)魔法弾(マジカルショット)』!」

 

スピンクスが巨大な炎を作り出し、ゼロキューを消し炭にした。

 

「バジリ!」

『うむ』

 

バジリコックが高く飛び上がる。

 

「バジリの攻撃力は2500! 『陽炎(ヘイズ)(オブ)獣撃(ロード)』!」

 

バジリコックが炎を纏い、突撃してくる。熱気がここまで伝わってくる。

 

…………ん? まて、止まる気配が無い。

 

「うおぉっ!?」

 

直前で横に跳んで直撃は避けた……が、風圧と熱が確実に俺の体力を削った。

 

十哉 LP5500

 

純香さんはバジリコックが炎を纏う直前に飛び降りてスピンクスにまたがっていた。

 

「メイン2で(ピラー)効果、スピンクスをバジリコックの素材にしてターンエンドだよ」

 

 

純香 LP8000 手札2枚

モンスター 『陽炎獣バジリコック』(ORU 3)(EX)

魔法・罠  『陽炎柱』(中央)

      伏せ (右から2)

 

 

「危ねえだろぅが!」

 

あっさり進める純香さんに怒鳴る。

 

「え? 何が?」

「今の攻撃だよ! 死にかけたぞ!?」

「ああ、それは大丈夫だよ。なんとリアルソリッドビジョンに危険は少ないのだ!」

「………具体的には?」

「月に八人ぐらいは怪我人が出るかな。……今のところ死傷者は出てないから安心して!」

 

安心できねえっ!?

 

「ほらほら、私はターンエンドだよ?」

「……ちっ、ドロー!」

 

うーん、お前じゃあなぁ……まあ、ブンボーグが来ないよりマシか。

 

「P召喚! 『ブンボーグ007(ゼロゼロセブン)』!」

 

 

『ブンボーグ007』

 レベル7 地属性 機械族

 攻撃力500 守備力500

 [仲間を守るブンボーグの片割れ。他のブンボーグたちを攻撃させない。2体並べば相手は攻撃出来ない(ブンボーグだけのとき)]

 

全身刃物の危なっかしいブンボーグが降り立った。

 

「そしてまた『機械複製術』だ」

 

ゼロナナが三体に増やされる。

 

「これでそっちは攻撃出来ない。ターンエンドだ」

 

時間稼ぎ? そうに決まってるだろ。

 

十哉 LP5500 手札0枚

モンスター 『ブンボーグ007』(守備)(左から2)

      『ブンボーグ007』(守備)(中央)

      『ブンボーグ007』(守備)(右から2)

魔法・罠  『ブンボーグ005』(スケール10)

      『ブンボーグ006』(スケール1)

 

「うーん……エンターテイメントに時間稼ぎは要らないんだけどなぁ……ドロー! それじゃ、バジリコックで007を除外。『陽炎霧弾』!」

 

一番左のゼロナナが掻き消された。……残ったゼロナナたちがガタガタ震えている。

 

「ターンエンド!」

 

純香 LP8000 手札3枚

モンスター 『陽炎獣バジリコック』(ORU 2)(EX)

魔法・罠  『陽炎柱』(中央)

      伏せ (右から2)

 

「ドロー!」

 

来ないか。しかもこれは、な……。

 

「あーくそっ、一枚伏せてターンエンド!」

 

十哉 LP5500 手札0枚

モンスター 『ブンボーグ007』(守備)(中央)

      『ブンボーグ007』(守備)(右から2)

魔法・罠  『ブンボーグ005』(スケール10)

       伏せ (中央)

      『ブンボーグ006』(スケール1)


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。