これじゃあ雪矢白さんがただのぽっと出のモブになってしまう……。ま、いっか。
2018/6/26 途中、ドロー枚数が間違ってたので修正。
「ふんふんふ~ん♪」
今日は休日だ。ついこの前休みを貰ったのにすぐ休みでちょっとだけ申し訳なくなる。事務員の中には休日出勤をしてる人も居るしな。
とはいえいくらYUSHOプロジェクトとはいえ法律には逆らえないしな。『実質週休無し』とかは無い。
「んっふふふ~♥」
「……」
部屋でデッキを
コンビニでは売ってないから、少し遠くの書店に行く……のだが。
「宇良華、そんなに楽しいか? 歩いてるだけだぞ?」
「おニちゃんとデートなんだよ!? 楽しいに決まってるよ!」
「おまっ」
かなりの大声でそんな事を言ってのける宇良華。慌てて周りを見回すが幸い人通りは無かった。
「宇良華、そう言うのはせめて家の中だけにしろ。俺が社会的に殺されかねない」
「えー」
ただでさえ宇良華がフラフラと何処かへ行かないように手を繋いでいるんだからな。……仲の良い兄妹程度に見られてりゃ良いんだが。
それより、沢渡さんの試練についてだ。
沢渡さんが求めているのは要するに盛り上がりだろう。それは分かる。
だが、それを実行するのは難しい。
俺のデッキは四つ、内一つは
『ブンボーグ』は攻撃力の高さで魅せられるかもしれないが……やることは毎回同じなんだよな。
となると残るは一つだけ。だが……なぁ。
こないだのデュエルでクロがデッキに入ったし、眼は変な事になるらしいし、しかもデュエルの内容はともかくビジュアルがなぁ。
「新しいの作るべきか?」
「えー? おニちゃんならなんでも大丈夫だけど、今のままで大丈夫だよ?」
俺のぼやきに宇良華が反応する。そういう問題じゃないんだが……まぁいいか。
でもなぁ。デッキをこのままでやるんだったら俺自身の問題なんだよなぁ。そうなると、だいぶ……難しい。
何を直すべきかは分かるんだが、じゃあ直そうと思えば直せるような物じゃない。
……トラウマの克服、か。これでも生活出来る程度にはなったんだけどな。
「おニちゃ~ん。ねー、止まってってば~!」
「ん? おっと」
考え事をしてたら目的地を通り過ぎようとしてた。危ない危ない。
『ブークー・オフ』の看板の下を通りすぎる。
宇良華を絵本コーナーへ置き、俺は雑誌コーナーへ向かう。
お、あったあった『月刊 デュエルマッスル』。そんなに数は無いけどコアなファンが居るから結構長い間続刊している。お値段730円(税抜)、まあこんなもんだろ。
これが無かったら今の俺は無いと言っても過言じゃない。
「む、十哉か?」
「あ?」
渋い声をかけられ、思わず不良みたいな声を出してしまった。横を見ると金上さんが『月刊 デュエルマッスル』を手に取っている。
「って金上さん? 何でここに」
「本を買いにな」
そりゃそうだ。書店にデュエルをしに来る奴はそんなに居ない。我ながら馬鹿な事を聞いた。
「お前はそれを買うのか?」
「あー、はい」
仕方無いとはいえ、この『月刊 デュエルマッスル』は評価が極端に別れる。なにせ内容がな……。
体の作り方や体に良い食事内容みたいなものだけなら良かったんだが、実践的―――実戦的な動きの説明とか首の締め方とかそこそこヤバいものが書かれている。
だからこそデュエルアカデミアでの事件の時になんとか出来たんだが。
「なら買う必要は無いな」
「……は?」
金上さんは『月刊 デュエルマッスル』を元あった場所に戻す。
……いやいやいや、なんだ買う必要が無いって。
「実はな、俺はこれを二冊持っている」
「……は?」
「サインくださいっ!」
「ああ」
「お、お、俺も!」
「良いだろう」
「あー色紙持ってねー! ちくしょーっ!」
「ばーっかじゃねーの!? この町に来ておいて色紙無しとかよ! 半端な気持ちで入ってくるなよ、この町によぉっ!!!」
「んだとこのヤロー!」
「やめんか」
「「ひえっ」」
「次のデュエル大会頑張ってください!」
「うむ」
金上さんに連れられて『ブークー・オフ』を出る。事務所に戻るまでの間、金上さんはファンの人たちに囲まれてた。
幸か不幸か、私たちはファンたちの眼中に無かったみたい。おかげで変な目で見られる事は無かった。
「……ふぅ」
「人がいっぱいだったね!」
「金上さんも有名人だしな……」
あ、十哉の言葉遣いが崩れてる。なんか呆然としてるし。
「そ、そうだ! 『月刊 デュエルマッスル』をもう持ってるって本当なのか!?」
「あぁ、俺の担当ページがあってな」
「そうなのか!?」
おニーちゃーん。戻ってきてー。……うわ、目がキラキラしてる。子供みたい。
「ち、ちなみにどの部分を……?」
「『
「っ! マジか……!」
あ、十哉がなんか感極まって饒舌になってる。えっと、この雑誌に救われたとかなんとか。……うーん、『月刊 デュエルマッスル』に? 救われる?
良く分かんないけど、なんかモヤモヤする。
「そうか。……そうだな。デュエルでもするか?」
「えっ……その……」
うんうん、十哉はデュエルをしたがらない。考えて考えてどうしても必要になった時以外は絶対にデュエルをしない。いくら金上さんでも十哉のその部分は変えられないよ?
「ついでだ、俺の試練という事にしよう」
「やろう―――じゃねぇ、やります!」
……えー。おニちゃんってこんなチョロかったっけ。
そんなこんなでデュエルコート。
「全力で来い」
「…………。~~~っ」
おニちゃんはディスクのデッキと腰のホルダーに入ってるデッキを入れ換えた。
「おニちゃん、頑張ってー!」
精一杯応援する。私にはこれくらいしか出来ないから。私じゃあ十哉を―――。
「「 デュエル! 」」
遊城十哉 LP8000
金上光彦 LP8000
先攻は……金上さんだ。
「……では、『魔界発現世行きデスガイド』を召喚」
『魔界発現世行きデスガイド』
レベル3 闇属性 悪魔族
攻撃力1000 守備力600
[召喚でデッキからレベル3の悪魔族モンスターを呼び出せる]
あ、可愛い。それに効果もそこそこ……ううん。凄く強い。
「効果を発動し、デッキから『魔サイの戦士』を特殊召喚」
『魔サイの戦士』
レベル3 地属性 悪魔族
攻撃力1400 守備力900
[フィールドに居ると他の悪魔族に破壊耐性を付与、墓地へ送られればデッキの悪魔族を墓地へ送れる]
「現れろ、俺のサーキット。アローヘッド確認、召喚条件はレベル3モンスター二体。デスガイドと魔サイを右下、左下のアローヘッドへ。サーキットコンバイン! 出現せよ、『彼岸の黒天使 ケルビーニ』!」
『彼岸の黒天使 ケルビーニ』
闇属性 悪魔族 リンク
攻撃力500 link2(↙↘)
[リンク先への破壊耐性、自身の破壊を身代わりさせる効果、デッキからレベル3モンスターを墓地へ送ることで彼岸の攻撃力守備力を上げる]
「墓地へ送られた魔サイによってデッキから『トリック・デーモン』を墓地へ」
『トリック・デーモン』
レベル3 闇属性 悪魔族
攻撃力1000 守備力0
[効果か戦闘で墓地へ送られるとデッキから『デーモン』カードをサーチ]
「そして『トリック・デーモン』によって『インフェルニティ・デーモン』をサーチだ」
「げっ、インフェルニティ!?」
おニちゃんが嫌そうな顔をする。なんでだろ?
『インフェルニティ・デーモン』
レベル4 闇属性 悪魔族
攻撃力1800 守備力1200
[ドローされた時にハンドレスなら特殊召喚。特殊召喚時にハンドレスなら『インフェルニティ』カードをサーチ。ターン1の制限無し(重要)]
「ケルビーニの効果。デッキから『ダンディライオン』を墓地へ送ることで自身の攻撃力を300上げる」
『ダンディライオン』
レベル3 地属性 植物族
攻撃力300 守備力300
[墓地へ送られるとトークンを二体生成]
「そして『ダンディライオン』の効果で綿毛トークンを二体特殊召喚する」
うわぁ、凄い。手札減ってないのにモンスターが三体も並んでる……それに綿毛が可愛い!
「次だ。Pスケールに『マジカル・アブダクター』をセット」
『マジカル・アブダクター』
レベル4 地属性 魔法使い族 スケール3
攻撃力1700 守備力1400
[魔法発動で魔力カウンターが乗り、スケールならば三つ取り除いてペンデュラムモンスターをサーチ。モンスターならばカウンターの数だけ攻撃力が上がり三つ取り除いてレベル1魔法使い族をサーチ]
「『おろかな埋葬』を発動。デッキから『ヘルウェイ・パトロール』を墓地へ」
『ヘルウェイ・パトロール』
レベル4 闇属性 悪魔族
攻撃力1600 守備力1200
[モンスターを戦闘破壊するとそのレベルに応じてバーン、墓地から除外すると手札の悪魔族一体を特殊召喚]
「『マジカル・アブダクター』に魔力カウンターが一つ乗る。更に永続魔法、『インフェルニティ・ガン』を発動、『マジカル・アブダクター』に魔力カウンターが一つ乗る。そして『成金ゴブリン』発動。ドローする」
遊城十哉 LP9000
「これにより『マジカル・アブダクター』に乗っている魔力カウンターは三つ。全て取り除きデッキからペンデュラムモンスターである『エキセントリック・デーモン』をサーチする」
『エキセントリック・デーモン』
レベル3 闇属性 悪魔族 スケール7
攻撃力1000 守備力0
[スケールならば自身と相手フィールドの魔法・罠を破壊し、モンスターならばリリースすることで相手フィールドのモンスター一体を破壊する]
「そのままスケールセット。これよりペンデュラム召喚を行う! スケールは3と7、よってレベル4から6までのモンスターをペンデュラム召喚出来る! 手札より出でよ、『インフェルニティ・デーモン』、『終末の騎士』!」
『終末の騎士』
レベル4 闇属性 戦士族
攻撃力1400 守備力1000
[召喚、特殊召喚でデッキから闇属性モンスターを墓地へ送る]
「特殊召喚した『インフェルニティ・デーモン』の効果発動。それにチェーンして『終末の騎士』の効果だ。デッキから『インフェルニティ・ネクロマンサー』を墓地へ送り、カウンター罠、『インフェルニティ・バリア』をサーチする」
カウンター罠? ああいうカテゴリ専用のカウンター罠って強いんだよね。
「俺は綿毛トークン二体と『終末の騎士』、『インフェルニティ・デーモン』の四体でリンク召喚を行う。アローヘッド確認、上下左右。召喚条件はモンスター二体以上! 出でよ、『ファイアウォール・ドラゴン』! 中央へとリンク召喚する!」
「出たなループ竜……!」
ループ竜? おニちゃん何言ってるの?
「カードを伏せる事で手札はゼロ。よってフィールドの『インフェルニティ・ガン』を墓地へ送ることで墓地の『インフェルニティ・デーモン』と『インフェルニティ・ネクロマンサー』を特殊召喚だ。『インフェルニティ・デーモン』のみ『ファイアウォール・ドラゴン』とリンク状態とする」
『インフェルニティ・ネクロマンサー』
レベル2 闇属性 悪魔族
攻撃力0 守備力2000
[ハンドレスで墓地のインフェルニティモンスター一体を蘇生]
んーっと? なんで二体も出てきてるの?
「『インフェルニティ・デーモン』の効果で『インフェルニティ・ビートル』をサーチ」
『インフェルニティ・ビートル』
レベル2 闇属性 昆虫族 チューナー
攻撃力1200 守備力0
[ハンドレスならばリリースすることでデッキから同名モンスターを自由に特殊召喚]
「そして『インフェルニティ・デーモン』と『彼岸の黒天使 ケルビーニ』でリンク召喚を行う。アローヘッド確認、上と左右。召喚条件はトークン以外のモンスター二体以上! 出でよ、『トライゲート・ウィザード』! 『ファイアウォール・ドラゴン』の右側にて相互リンク状態だ!」
うーん、なんか顔隠してて嫌な感じ。あ、十哉が苦い顔してる。おニちゃんのがいっぱいカッコいいよ!
「『ファイアウォール・ドラゴン』のリンク先のモンスターが墓地へ送られたことによって、手札の『インフェルニティ・ビートル』をファイアウォールのリンク先へ特殊召喚する」
あ、あのカブトムシ可愛い。
「『インフェルニティ・ネクロマンサー』の効果により墓地の『インフェルニティ・デーモン』を特殊召喚。その効果によりデッキから『インフェルニティ・ミラージュ』をサーチする」
『インフェルニティ・ミラージュ』
レベル1 闇属性 悪魔族
攻撃力0 守備力0
[ハンドレスならばリリースすることで墓地から二体の『インフェルニティ』を蘇生する]
「では、シンクロ召喚を行う。レベル4、『インフェルニティ・デーモン』とレベル3、『インフェルニティ・ネクロマンサー』にレベル2、『インフェルニティ・ビートル』をチューニング。合計レベルは9、召喚条件はチューナー+チューナー以外のモンスター二体以上! 出でよ、『氷結界の龍 トリシューラ』!」
『氷結界の龍 トリシューラ』
レベル9 水属性 ドラゴン族 シンクロ
攻撃力2700 守備力2000
[シンクロ召喚成功で相手の手札・フィールド・墓地からカードを一枚ずつ除外できる]
「ではトリシューラの効果を発動、チェーンしてファイアウォールの効果だ。リンク先の『インフェルニティ・ビートル』が墓地へ送られたことにより手札の『インフェルニティ・ミラージュ』を特殊召喚! その後、遊城十哉、貴様の手札一枚を除外させてもらう!」
「くそっ!」
えっとえっと、除外されたのは……『バージェストマ・ピカイア』だね。確かドローする効果だった気が。
「ふむ、ではファイアウォールの効果を使いトリシューラをバウンスする。そして『インフェルニティ・ミラージュ』をリリースして墓地の『インフェルニティ・ビートル』、『インフェルニティ・ネクロマンサー』を特殊召喚。そして『インフェルニティ・ネクロマンサー』の効果により墓地の『インフェルニティ・デーモン』を特殊召喚。『インフェルニティ・デーモン』の効果によりデッキから二枚目の『インフェルニティ・ミラージュ』をサーチする」
ん? あれあれ? ついさっき同じ形を見たような。
「シンクロ召喚を行う。二度出でよ、トリシューラ! トリシューラの効果にチェーンしファイアウォールの効果だ。手札の『インフェルニティ・ミラージュ』を特殊召喚し、手札を一枚除外させてもらう!」
またー!? そんな、おニちゃんの手札がもう三枚になっちゃった……除外されたのは、『聖なるバリア―ミラーフォース』。
「ふむ。……では、『インフェルニティ・ミラージュ』をリリースし、墓地の『インフェルニティ・デーモン』と『インフェルニティ・ビートル』を特殊召喚。『インフェルニティ・デーモン』の効果により最後の『インフェルニティ・ミラージュ』をサーチ。
ではリンク召喚を行う! アローヘッド確認、上下。召喚条件は効果モンスター二体! 『インフェルニティ・デーモン』と『氷結界の龍 トリシューラ』の二体でリンク召喚! 出でよ、『コード・トーカー』! 右EXモンスターゾーンにて『トライゲート・ウィザード』と相互リンク状態だ!」
『コード・トーカー』
闇属性 サイバース族 リンク
攻撃力1300 link2(↑↓)
[リンク先のモンスターの数によって攻撃力が上がり、リンク状態ならば破壊耐性]
「ファイアウォールのリンク先のトリシューラが墓地へ送られた。よって手札の『インフェルニティ・ミラージュ』を特殊召喚。そして『インフェルニティ・ビートル』をリリースし、デッキから『インフェルニティ・ビートル』を二体特殊召喚する。どちらもリンク状態だ」
あ、増えた! つぶらな瞳が可愛いよぉっ!
「更にリンク召喚を行う! アローヘッド確認、左右と下。召喚条件は名前の違うモンスター二体以上! 『コード・トーカー』と、『トライゲート・ウィザード』のリンク先の『インフェルニティ・ビートル』でリンク召喚! 出でよ、『トロイメア・ユニコーン』! 右EXモンスターゾーンにて『トライゲート・ウィザード』と相互リンク状態だ!」
『トロイメア・ユニコーン』
闇属性 悪魔族 リンク
攻撃力2200 link3(←↓→)
[リンク召喚成功で手札一枚をコストにバウンス、その時相互リンク状態ならばドロー。通常ドローが相互リンクのトロイメアの種類の数となる]
っ! なんだろう……あのモンスター、凄く、嫌な感じ。今すぐ
「『インフェルニティ・ミラージュ』をリリースし、墓地より『インフェルニティ・デーモン』と『インフェルニティ・ネクロマンサー』を特殊召喚。『インフェルニティ・デーモン』は『トライゲート・ウィザード』とリンク状態だ。
そして『インフェルニティ・デーモン』により『インフェルニティ・ブレイク』をサーチする。そのまま伏せ、リンク召喚を行う!
アローヘッド確認、左右。召喚条件はトークン以外のモンスター二体! 『インフェルニティ・デーモン』と『インフェルニティ・ビートル』でリンク召喚! 出でよ、『バイナル・ソーサレス』! 『トライゲート・ウィザード』と相互リンク状態だ!」
『バイナル・ソーサレス』
地属性 サイバース族 リンク
攻撃力1600 link2(←→)
[相互リンク1で相互リンク先のモンスターが与えたダメージ分回復。相互リンク2で自分モンスターの攻撃力を半分にし、それと同じだけ他のモンスターの攻撃力を上げる]
「『インフェルニティ・ネクロマンサー』の効果、墓地の『インフェルニティ・デーモン』を特殊召喚。『インフェルニティ・デーモン』の効果により『インフェルニティ・バリア』をサーチする。……伏せて、ターンエンドだ」
金上光彦 LP8000 手札0枚
モンスター 『トロイメア・ユニコーン』(右EX)
『バイナル・ソーサレス』(右端)
『トライゲート・ウィザード』(右から2)
『ファイアウォール・ドラゴン』(中央)
『インフェルニティ・デーモン』(左から2)
『インフェルニティ・ネクロマンサー』(左端)
魔法・罠 『マジカル・アブダクター』(スケール3)
『エキセントリック・デーモン』(スケール7)
伏せ 3枚
「俺のターン……ドロー」
うわぁ、ぼんやり見てたら酷い事になってる……。
「エクストラリンクしないで満足できんのか?」
「ふん、試練で封殺してどうする。満足させてみろ」
「……手札四枚で無効三回が封殺じゃねぇのかよ」
え? ……あ、『トライゲート・ウィザード』が一回無効なんだ。それにあのインフルなんとかのバリアが二枚だから、無効が三回。それにあのインフルブレイク? とかいうのもあるから……え、ここから勝てるの?
「カードを四枚伏せる」
「『インフェルニティ・ブレイク』。墓地の『イインフェルニティ・ビートル』を除外し伏せカードを破壊だ」
「ターンエンド。どうしろっつーんだよ」
うーん……。私じゃあどうすれば良いか分かんないよ。
遊城十哉 LP9000 手札0枚
モンスター 無し
魔法・罠 伏せ 3枚
「では、ドロー」
「スタンバイフェイズに『バージェストマ・レアンコイリア』! 除外されている『バージェストマ・ピカイア』を墓地へ戻す!」
「『トライゲート・ウィザード』」
「チェーンして『バージェストマ・オレノイデス』! 手札があるから『インフェルニティ・バリア』は使えない!」
「ほう? ならばチェーンして『増殖するG』を発動。残念だが、バージェストマは呼び出せない」
「ぐっ……」
あぁ……十哉の罠がどんどん潰される……。
「バリアが一枚剥がれたか。メインフェイズ、『トライゲート・ウィザード』の効果で最後の伏せカードを除外する」
これで十哉を守る手段は無くなった。だから十哉の負け―――
「除外されたカードは『やぶ蛇』! 『インフェルニティ・バリア』は魔法・罠の
「なにっ」
『RR―アルティメット・ファルコン』
ランク10 闇属性 鳥獣族 エクシーズ
攻撃力3500 守備力2000
[他のカードの効果を受けない、素材を使い相手の攻撃力を下げつつ効果発動を封じる、『RR』が素材ならば相手の攻撃力を下げ、相手モンスターが居ないならばバーンとなる]
おニちゃんを守るように金色の鷹が翼を広げる。綺麗……。
「正規召喚じゃねぇから蘇生も出来ないし効果も使えないが、効果を受けないという効果は残る!」
「戦闘で破壊すればいい、か。『やぶ蛇』はバージェストマとは相性が悪いだろう」
「そこそこな」
凄い……逆転しちゃった。『トライゲート・ウィザード』の効果を使われなければそのまま十哉の負けだったのに。
「おニちゃん、おニちゃんかっこいいー!」
「だが、苦し紛れの一手に過ぎん。どちらにせよこのターンで貴様の負けだ」
むぅ、負け惜しみを!
「まずは『貪欲な壺』を発動。『バイナル・ソーサレス』『トロイメア・ユニコーン』『コード・トーカー』『氷結界の龍 トリシューラ』『インフェルニティ・ミラージュ』をデッキに戻し、二枚ドロー!」
ほとんどエクストラデッキじゃん!
「一枚伏せ、リンク召喚を行う! アローヘッド確認、上と右下左下! 召喚条件は効果モンスター二体以上! 『インフェルニティ・デーモン』と『トロイメア・ユニコーン』、そして『バイナル・ソーサレス』でリンク召喚! 出でよ電脳世界の騎士、『デコード・トーカー』!」
すっごい豪勢な素材で出てきたね。でも攻撃力は2300。確か効果でリンク先のモンスターの数で500ずつ上がるけど……それでも3300。まだ勝てない!
「『ファイアウォール・ドラゴン』によって手札の『インフェルニティ・デーモン』を『ファイアウォール・ドラゴン』のリンク先へ特殊召喚。効果でデッキから『インフェルニティ・ミラージュ』をサーチする。
そしてリンク召喚を行う。『インフェルニティ・デーモン』と『インフェルニティ・ネクロマンサー』でリンク召喚、出でよ『バイナル・ソーサレス』。『ファイアウォール・ドラゴン』のリンク先だ。」
……あれ、なんかさっき戻されたはずのモンスターたちがすぐに出てきたよ?
「『ファイアウォール・ドラゴン』の効果により『インフェルニティ・ミラージュ』を特殊召喚。リリースして墓地の……『インフェルニティ・ビートル』と『インフェルニティ・デーモン』を特殊召喚。効果で『インフェルニティ・ブレイク』をサーチ。そしてその二体でリンク召喚。出でよ、『コード・トーカー』。そして伏せていた『死者蘇生』を発動。『終末の騎士』を特殊召喚。その効果で『トリック・デーモン』を墓地へ。効果で『インフェルニティ・デーモン』をサーチする。
そしてカードを伏せ、リンク召喚を行う。『終末の騎士』と『コード・トーカー』でリンク召喚。出でよ『トロイメア・ユニコーン』。『バイナル・ソーサレス』と相互リンクだ」
う……また出た。なんで、こんなに気持ち悪い……。
「墓地の『ヘルウェイ・パトロール』を除外して手札の『インフェルニティ・デーモン』を特殊召喚。効果は使わない。バトルフェイズだ」
え? まだ攻撃力が3500を越えてるモンスターは居ないよ?
「相互リンク2の『バイナル・ソーサレス』の効果を発動。『トロイメア・ユニコーン』の攻撃力を半分にし、その数値だけ『デコード・トーカー』の攻撃力を上げる」
「ええっ!?」
それじゃあ、『デコード・トーカー』の攻撃力は3300で、『トロイメア・ユニコーン』の攻撃力は2200だから、半分にして1100で、それを足すと―――
「攻撃力4400! 『デコード・トーカー』で『RR―アルティメット・ファルコン』へ攻撃!」
「く……」
遊城十哉 LP8100
そんな……。
「残りのモンスターたちでダイレクトアタック。終わりだ」
遊城十哉 LP0
金上光彦 win
おニちゃんが負けちゃった。あれ、確か、試練を失敗したらお仕事無くなるって……。
「ふ、いいデュエルだった」
「そうですか?」
「あぁ。だから試練は―――」
「やだ! おニちゃんをいじめないで!」
精一杯、大きな声で!
待て、落ち着け満足民! 俺はまだ下級満足民なん―――うわあぁぁぁぁあっ!
次回予告、ナレーター:金上光彦。
レディース、エンド、ジェントルメン。
宇良華が俺の判断に待ったをかける。
彼女は子供だが、デュエリストだ。
ならば、やることはたった一つ。
俺に勝ち我が儘を通して見せろ。
次回、『鉄壁と風』