遊戯王AU-M<英雄の孫>   作:yourphone

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……さて、お待たせしました。色々都合が悪くなかなか書けなかったんですよ。
長くなってしまったので二話に分けてお送りします。

追記:バウンスされたのに罠カードが発動されていたので最後の部分を修正しました。


お仕事、時々嫌がらせ!?

「「おぉ~」」

 

小斎さんに案内された先は見上げる程に高いマンション。

 

「おニちゃんおニちゃん! なんか……高いね!」

「だな。ま、地震とか津波とか危ないと思うが」

 

ここ、海が見えないとはいえ一応津波危険区域だろうし。海が見えないってことは高低差が少ないって事でもあるからな。

 

「君たちはこっちだ」

「へ?」

「だろうな」

 

その大きなマンションの横に建っている三階建ての極々普通のアパートに入る。手すりはところどころ錆びている。壁は多分コンクリート製。一階につき部屋が……三つか。

これは、あれだ。

 

「レッド寮よりは断然マシだな」

「隣のマンションにはうちのアイドルたちが住んでいるし、自分で言うのもあれだけれど世界でも高レベルの美人たちと顔を合わせられるんだ、最高の場所じゃないかな?」

「あ、あっちじゃないの……?」

「あんな家賃高そうなとこ、こっちから願い下げだ」

 

さて、事前に部屋は教えて貰っている。二階の一番奥がこれからしばらくの間俺たちが住むことになる場所だ。

 

「……ま、待っておニちゃん!」

 

 

 

次の日。

 

「さぁ、彼らが我が『YUSHOプロジェクト』が誇る最高のアイドルたちさ! 君たち、こちら今日からアルバイトとして働いてくれる人たちさ!」

「今日からここでアルバイトする事になった十哉と言います。よろしくお願いします」

「うわ……おニちゃんが変……。宇良華だよ!」

 

初日は顔合わせ。純香さんは写真を撮られてて居ないらしいが他の人たちに挨拶する事に。

今日居たのは男が三人に女性が二人。

 

「へぇ、兄妹(きょうだい)でアルバイト……訳ありか?」

 

真っ先にニヒルな男が声をかけてくる。普段着をかっこよく着こなしている辺り、そうとうな数のファンが居るんだろうな。

 

「えぇ、まあ。あと妹じゃなくていとこです。勝手に着いてきてしまって」

「ふぅん? ……訳ありなら深くは聞かないさ。兄妹ということにするけどね」

 

男はそう言ってウィンクする。

 

「沢渡。名前くらい教えてあげなさいよ」

「そうですよ」

「ああ! 忘れていた!」

 

男は大袈裟に空をあおぐと、俺たちに向けてニヤリと笑う。

 

「知っているものと思っていてね。そう、俺があの沢渡 遊治(ゆうじ)! ここのビックスターさ!」

 

沢渡さんは左手を顔に、右腕を後ろに大きく伸ばすというなんとも言えないポーズを取る。

……ん、んん? 何かコメントしなきゃいけねぇのか、これ!?

 

「あっははは! 変なの~!」

「おまっ、ばっ、宇良華!」

 

仮にも仕事先の上司だぞ!? 変なのとか、そんな事言って怒らせてクビになったら家に行かなくちゃいけないんだぞ!?

 

「ふっふっふっ……そんなに焦らなくても良いぜ十哉。子供には笑顔が似合うのさ」

「は、はぁ……」

 

キザったらしい言い回しだが、まぁ、気を悪くしなくて良かった。

次に口を開いたのはさっき沢渡さんに注意した女性だ。いかにも気が強そうで、金髪を伸ばしていて、胸がでかい。

 

「私は木霊(きりょう) 凪草(なぐさ)。名字は『木霊(こだま)』で、名前は『草が凪ぐ』と書くわ。こっちは妹の木霊 新葉(にいは)。『新しい葉っぱ』で『にいは』よ」

「よろしく」

 

凪草さんは少し高圧的な態度で自己紹介する。彼女の横に立っていた短いピンク髪の眼鏡をかけている女性がぶっきらぼうに挨拶してくる。染めてるんだろうな。

うーむ、凪草さんは俺の苦手なタイプだ。新葉さんは……どうだろうか。そもそも俺に関わらないタイプに見えるが……。

 

「次は僕の番かな?」

「あぁ、そうしてくれ」

 

栗毛の髪をボサボサにしているそばかすの男性が笑顔を見せてくる。この中で俺の次らへんに若い気がする。

 

「僕は骨塚(ほねづか) 春人(はると)。僕は沢渡さんや木霊姉妹とは仕事が違って、彼らがエンタメデュエルを主な仕事としてるなら僕は戦術面での書籍を書く仕事だね。簡単なコンボを考えたり、全く相違点の無いように見えるカード間のシナジーを考えたり……といってもまだ雑誌の片隅にちょこっと載る程度ですけどね」

 

一気に言い切ってえへへ、とはにかむ。まあまあ取っ付きやすそうな人だ。

 

「で、あっちのごついのが金上(かねあげ)光彦(みつひこ) 。うちの中で一番スタンディングデュエルが強いんだ」

 

骨塚さんが指差す先、まるであの門番のようにむきむきな男が腕組みしている。さっき「あぁ、そうしてくれ」と言った人だ。

門番と違って黒髪が生えてるな。

 

「なんか、あの人おニちゃんと似てるね」

「そうか?」

「うん、なんとなく」

 

そうかぁ? 俺はあそこまで鍛えてないし髪の色も違うし。まあ、普通のデュエルが強いってんならデュエルはしたくないな。

 

「自己紹介は済んだね? YUSHOプロジェクトは彼らに加え、今日ここに居ない純香君に少しワガママ……というか偏屈……じゃなくて……」

「あいつは『自由気まま』だろう、プロデューサー?」

「そうそう。自由気ままな風鳴 明羅君を合わせた―――」

「風鳴明羅ぁ!?」

 

待て待て待て待て、風鳴明羅って、部長じゃねぇか!

 

「おや、彼女のファンだったのかい?」

「いや待て、違うな、違うよな。部長が勝手に名乗ってるだけだろペンネームだったし。……あ、すみません。アカデミアの部長が風鳴明羅と言うペンネームでどうじ……漫画を書いていたので、つい」

 

気にしないでくれと手を振る。が、小斎さんが何か言う前に金上さんが呟く。

 

「ならそいつだ。プロデューサー、そろそろ時間だ」

「おっと。じゃあ皆お仕事よろしくね。二人には掃除をやってもらうから」

 

こうしてアルバイトが始まった。……いやおい、部長本当にプロなのか!?

 

 

――――――――

 

 

俺の疑問はほどなくして解消された。……といってもその日の夜に電話しただけだが。

『え、うんそうだけど』とあっさり認めて『知らなかったっけ? にゃははー』と軽く笑う部長に、がっくりと肩を落とすしか無かった。

 

「ちょっと!」

「わ、わ、ごめんなさい!」

 

凪草さんの声、宇良華がまた失敗したのか。

どうにも宇良華は掃除が苦手な様で掃き掃除ぐらいしかまともに出来ない。雑巾かけはバケツをひっくり返す。ごみ捨ては袋を持てない。

まぁ洗濯は特殊な服ばかりだから仕方無い、俺がやってる。

 

「まったく、何回目よ」

「ごめんなさい、ごめんなさい!」

 

っていうか俺たち以外にアルバイトが一人も居ないんだよな。どういう事だか……こりゃ確かに人手が足りないな。さて、こっちは終わるしフォローに行くか。

 

ガシャンッ!

 

「っ!」

「お姉さまに汚れを付けるなんて、許さない」

 

新葉さんがちりとりを蹴り上げた。ちりとりはゴミを撒き散らしながら宇良華に当たる。

 

「新葉」

「……ふん」

 

新葉さんはさっさと歩いて行ってしまう。宇良華は泣きそうになりながらゴミを集め直している。

 

「すみません凪草さん。ちゃんと言っておきますから」

「……そろそろ限界よ?」

「はい」

 

凪草さんも新葉さんを追うように去っていった。

 

「う、うぅぅ……宇良華悪くないもん、宇良華失敗してないもん……!」

 

……少し違和感があるんだよな。

俺は宇良華が失敗した瞬間を見たことがない。後ろを向いてたり少しその場を離れていたりして、な。

それに宇良華の言葉。毎回毎回同じ事を言っている。初めは叱ったりしたが宇良華は認めなかった。

そして、怒るのが必ず木霊姉妹なんだ。他の人たちはむしろ「良くやってるな」と言ってくる。

 

「宇良華。今度は何したんだ?」

「宇良華何もしてないもん! あの人がちりとり踏んづけたんだもん!」

「なら、これからはちりとりは常に手に持つようにな」

「うん……」

 

宇良華は頷く。宇良華は素直だからやり方を教えればすぐに反映する。

しっかしアルバイト本当に俺たちだけなのか? もっと募集しろよ小斎さん。

 

ちなみに純香さんは外国への出張だったらしくまだ帰ってこれないらしい。

 

 

 

――――――――

 

 

 

「限界、と言ったわよね?」

 

アルバイトが始まって数日。また宇良華が何かやらかしたっぽいな。慌てずにその場へ向かう。

 

「う……うぅぅ……」

「まったくプロデューサーは何考えてこんな使えない子を雇ったのかしら」

「お姉さま、どうします?」

「プロデューサーに掛け合って辞めさせてもらうわ」

「ふぇっ……!?」

「んなっ!」

 

流石にそれはまずい! 慌てて駆け付ける。

 

「すみません木霊さん! お願いですからそれだけは」

「へぇ? 何回もミスするような子を置いておけるとでも?」

「う…それは……」

「あなたも。毎回あなたがちゃんと言い聞かせると言うから我慢していたのに、残念だわ」

 

それを言われると痛い。俺の様子を見て凪草さんは溜め息を付く。

 

「それじゃあ、短い間だったけど―――」

「デュエルして!」

 

凪草さんの言葉を宇良華が遮った。

 

「私はともかくおニちゃんはちゃんとやってたもん! だから、デュエルして!」

「へぇ? 受けるとでも?」

「う……」

 

精一杯声を張った宇良華だったが、一言で黙る事になった。そして俺は宇良華の言葉に賛成出来ない。掃除の腕はデュエルで良くなるものでも無いし。

 

「お姉さま、良いんじゃないですか?」

 

だから、この後押しは予想外だ。

 

「新葉?」

「このデュエルでこちらが勝てば良いだけです。それにチャンス一つなくクビは純香が黙ってないでしょうし」

「……それもそうだけど」

 

凪草さんはうーんと唸る。後一押し……あんまりデュエルしたくねぇが、仕方無い。

 

「俺からもお願いします凪草さん」

「…………はぁ。新葉、タッグデュエルで良いわね? あなたから言い出したんだから」

「勿論ですわお姉さま」

 

タッグデュエルか。この流れだと俺と宇良華が組むんだが……宇良華ってどんなデッキなんだ? トラゴエディア(くそやろう)のデュエルでは場ががら空きの状態だったからどんなカードを使ってたか知らないし宇良華はあんまりデュエルはしてないし……。

 

「さぁ、デュエルフィールドへ移動しましょう」

 

デッキをどうするか……。そうだな、宇良華に頼らない奴で行くか。

 

 

 

――――――――

 

 

 

デュエルフィールドで向かい合う。

 

凪草 & 新葉 LP8000+8000

宇良華 & 十哉 LP8000+8000

 

「先にルールの説明をするわ。

 初期ライフはそれぞれ8000、チームの合計は16000。

 メインモンスターゾーンは九つ、エクストラモンスターゾーンは四つ。チームメンバーのモンスターゾーンの端を合わせた形ね。

 墓地とフィールド魔法、ペンデュラムスケールはチームで共有。

 全員最初のターンはドロー無し、四人目からバトルフェイズに入れるわ。

 また、相手プレイヤー一人にかかる効果は自分以外の誰かを指定して発動すること。例えば『ファイアーボール』でダメージを与えるのは相手のどちらかだけでなく相方にダメージを与える事も出来るわ。

 あと、戦闘ダメージはそのモンスターのコントローラーに与えられる事になるわ。それによって片方のプレイヤーのライフが0になったら、それを越えるダメージは残りのプレイヤーに与えられるわ。

 質問は?」

 

……一気に言われても正直よく分からないんだが。宇良華も頭の上に『?』が浮かんでるし。

 

「実際にやってみれば良いだけですから。順番は?」

(新葉)が最初。そちらの一番手は?」

「……宇良華、行けるか?」

「え? あ、うん!」

 

つまりターンは新葉さん→宇良華→凪草さん→(十哉)の順で攻撃出来るのは俺からか。

 

「では私のターンから。『封印の黄金櫃(おうごんひつ)』で『ネクロフェイス』を除外。さあ、皆さんデッキトップ五枚を除外してください」

 

 

『ネクロフェイス』

 レベル4 闇属性 アンデット族

 攻撃力1200 守備力1800

 [通常召喚で除外戻し、除外されるとお互いデッキトップから五枚除外。召喚すれば裏側除外をされたカードも戻せるも!]

 

 

ちっ厄介な。俺の除外されたカードは『団結の力』『ツインツイスター』『サイクロン』『ブンボーグ001』『ダウンビート』……ん? ブンボーグに『サイクロン』なんて入れてたか?

 

まあいい。宇良華は『ガード・ドック』『占術姫 コインノーマ』『メタモルポット』『ライトロード・ハンター ライコウ』『占術姫 クリスタル・ウンディーネ』か。

へぇ、リバースデッキだったのか。

 

新葉さんの除外は『針虫の巣窟』『針虫の巣窟』『マクロコスモス』『メタファイズ・ファクター』『メタファイズ・タイラント・ドラゴン』。

微妙なところだな。

 

凪草さんは『霊獣使いの長老』『霊獣使い レラ』『霊獣の連契』『精霊獣 アペライオ』『魂の解放』か。

……うーわ、まじかよ。

 

「では『メタファイズ・ラグナロク』を通常召喚」

 

 

『メタファイズ・ラグナロク』

 レベル4 光属性 幻竜族 チューナー

 攻撃力1500 守備力1000

 [通常召喚でデッキトップ三枚除外、その中のメタファイズの数だけ自己強化し相手にダメージを与えるとデッキからメタファイズを呼び出す奴。出た時は高額だったのにどんどん値段が下がっていった……]

 

 

「効果でデッキトップ三枚を除外。『メタファイズ・タイラント・ドラゴン』『次元の裂け目』『ライトロード・マジシャン ライラ』。よって攻撃力は1800に。……二枚伏せてターンエンド」

 

 

凪草&新葉 LP8000+8000 新葉:手札1枚

モンスター 『メタファイズ・ラグナロク』

魔法・罠   伏せ2枚

 

 

「えっと……えっと…私のターン! ドロー……は、ダメ、なんだよね?」

「ええ」

 

宇良華の番か。とはいえ、まだ動けない。

 

「じゃあ私は―――」

「スタンバイフェイズに除外されている『メタファイズ・タイラント・ドラゴン』をデッキに戻して効果を発動。それにチェーンして『マクロコスモス』。更にもう一つ、『メタファイズ・ディメンション』」

「……へ?」

 

『メタファイズ』デッキの特徴だ。『メタファイズ』は基本的にスタンバイフェイズに動く故に始動が遅い。でなければもっと流行ったんだろうけどな。

 

「二枚の永続罠が表側になり、手札の『メタファイズ・ダイダロス』を特殊召喚。効果は使いません」

 

 

『メタファイズ・ダイダロス』

 レベル7 光属性 幻竜族

 攻撃力2600 守備力1500

 [メタファイズモンスターによって出てくると特殊召喚したモンスターを全て除外し、除外から戻って他のメタファイズモンスターを除外する。恐らく上級メタファイズで最も扱いやすいモンスター]

 

 

「え、あれ? おニちゃん、私のターンだよね?」

「そうだ」

「……よーし、じゃあ行くよ! 『儀式の下準備』発動! デッキから『聖占術の儀式』とそれに名前の書かれている『聖占術姫 タロットレイ』を手札に加える! そして私を、『裏風の精霊』を通常召喚!」

 

あー、そういや宇良華って自分を『裏風の精霊』だと思ってるんだっけか。そりゃ『裏風の精霊』の使えるリバースデッキになるか。

 

「うーん……『禁忌の壺』を手札に加える! そして『聖占術の儀式』を発動! 手札の『禁忌の壺』をリリース! 来たりませ影の巫女、かしこみかしこみ、至り申す! 『聖占術姫 タロットレイ』!」

「『禁忌の壺』は除外されます」

「う~。攻撃できないからカードを一枚伏せてエンドフェイズ! 『聖占術姫 タロットレイ』の効果で手札からペスを、『ガード・ドック』をセット! ターンエンド!」

 

 

十哉&宇良華 LP8000+8000 宇良華:手札1枚 十哉:手札5枚

モンスター 『裏風の精霊』

      『聖占術姫 タロットレイ』

       伏せ(ガード・ドック)

魔法・罠   伏せ1枚

 

 

 

初めて戦うカテゴリーにしてはなかなかいい調子だな。そして特殊召喚封じの準備が出来た状態で凪草さんのターンか。

 

「じゃ、私のターン」

「スタンバイフェイズにタロットレイの効果! ペスを、『ガード・ドック』をリバース!」

 

『ガード・ドック』のリバース効果はそのターンの相手の特殊召喚を封じるというもの。これで『霊獣』デッキは行動不能といっても過言じゃない。

ちなみに伏せカードは……ふーん? また珍しいカードを……。

 

「メインフェイズ。『霊獣使いの長老』を召喚よ」

 

 

『霊獣使いの長老』

 レベル2 風属性 サイキック族

 攻撃力200 守備力1000

 [霊獣限定の『二重召喚(デュアルサモン)』。良く泣くおじさんさ]

 

 

「そして『精霊獣 カンナホーク』を通常召喚!」

 

 

『精霊獣 カンナホーク』

 レベル4 風属性 雷族

 攻撃力1400 守備力600

 [霊獣限定の『封印の黄金櫃』の効果。しかしこの効果で除外したカードが手札に来ることはないだろう]

 

 

「効果を起動! デッキから『精霊獣使い ウィンダ』を除外する! ……くぅ、これで二回目の私のスタンバイフェイズに『精霊獣使い ウィンダ』が手札に加わるわ」

 

つってもタッグデュエルじゃあそんなにターンは回って来ないだろうけどな。

 

「カードを一枚伏せてターンエンドよ」

「ではエンドフェイズにタイラントの効果で特殊召喚された『メタファイズ・ダイダロス』が除外され、『メタファイズ・ディメンション』の効果を発動します。『聖占術姫 タロットレイ』を除外します」

「うわーん! おバちゃーん!」

 

 

凪草&新葉 LP8000+8000 新葉:手札0枚 凪草:手札2枚

モンスター 『メタファイズ・ラグナロク』

      『霊獣使いの長老』

      『精霊獣 カンナホーク』

魔法・罠   伏せ1枚

      『マクロコスモス』

      『メタファイズ・ディメンション』

 

 

宇良華が涙目だ。まあ、どうにも出来ないけどな。

 

「俺のターンだ」

「ではスタンバイフェイズに除外されている『メタファイズ・ダイダロス』をデッキに戻し『メタファイズ・ネフティス』を除外。そして『メタファイズ・ディメンション』の効果が発動します。対象は……『ガード・ドック』」

「ペスまで……」

 

ふん? 普通は攻撃力の高い『裏風の精霊』を除外するんじゃ……まあいいか。

ワンキルすべきダメージは16000。相手のモンスターで一番攻撃力が低いのは『霊獣使いの長老』で攻撃力200。だが霊獣は速攻魔法で融合出来るから『メタファイズ・ラグナロク』を攻撃するほうが良くて、となると目指すべきダメージは17800。

……ところが、だ。霊獣の罠カードには『相手モンスターをフィールドの霊獣の数まで破壊する』効果を持つものがある。あの伏せがそれ―――『霊獣の連契』だとすると少し厳しい。対象を取らないから『ブンボーグ008』の効果で無力化できない。

 

「伏せカード次第、か。俺は『ブンボーグ003』を通常召喚! 効果でデッキから『ブンボーグ005』を特殊召喚! ゼロゴの効果で……『マクロコスモス』を破壊だ!」

 

『マクロコスモス』は特に問題なく破壊された。

 

「へーぇ? 私の伏せカードじゃなくて良いんだ」

「えぇ。どうにも今の俺のデッキは……ネタに振りきってて。 俺は『隣の芝刈り』を発動! ……ところでこの場合の『相手』に宇良華を選べますか?」

「いえ、それは駄目よ」

 

なら仕方無い。宇良華が一番少ないんだけどな。

 

「なら、凪草さんのデッキ枚数と同じ枚数になるまでデッキを墓地に送らせてもらう。んーと……俺のは元が六十枚、凪草さんは?」

「四十よ」

「で、俺はデッキから手札五枚と『ネクロフェイス』で五枚、ゼロサンでゼロゴを出したから残り枚数四十九枚」

「私は手札五枚、『ネクロフェイス』で五枚除外、そしてカンナホークで一枚除外して……二十九枚ね」

「よって俺はデッキの上から二十枚のカードを墓地に送る」

 

バラララララッとカードが墓地に送られる。こりゃ爽快だな。

墓地のブンボーグ共はっと…………おぉ、こりゃ運が良い。ゼロツーにゼロサン、ゼロゴも落ちてないが他のブンボーグ共はしっかり揃ってやがる。

 

「へぇ、これのために『マクロコスモス』を壊したのね」

「それにしてもブンボーグに芝刈りですか。……まさか!」

 

新葉さんが何かに気付き叫ぶ。その『まさか』かもな?

 

「ゼロサンをリリースして『ダウンビート』を発動! デッキから『ブンボーグ002』を特殊召喚、ゼロツーの効果でデッキから『ブンボーグ・ベース』をサーチ、発動!」

「お姉さまその伏せは!?」

「ざーんねーん。『サイクロン』じゃないわ」

 

オーケイ、これはいい。

 

「『ブンボーグ・ベース』の第三の効果を発動だ!

 俺の墓地の『ブンボーグ001』『ブンボーグ003』『ブンボーグ004』『ブンボーグ006』『ブンボーグ007』『ブンボーグ008』『ブンボーグ009』、そしてフィールドの『ブンボーグ002』『ブンボーグ005』を除外!

 相手の手札・フィールド・墓地のカードを全て……デッキに戻す!」

 

ふ~。まさか最初のターンに使えるとはなぁ。

残りの手札は二枚、そして通常召喚もしてしまった。

 

もうやる事は……無くは無い。どうしたものか。

 

「おニちゃん……」

「……うし」

 

やるか。

 

「『二重召喚(デュアル・サモン)』だ。通常召喚、『ブンボーグ003』! 効果で『ブンボーグ002』を特殊召喚、『ブンボーグ005』をサーチ、発動! そのままバトルフェイズだ!」

 

ゼロサンの攻撃力は1500。効果を使えば3500になる。

 

「『ブンボーグ003』で新葉さんに攻撃! そしてゼロサンの効果! 自身の攻撃力を2000アップだ!」

 

 

新葉 LP4500

 

 

「『ブンボーグ002』、追撃だ!」

 

新葉 LP3500

 

「く……やるわね」

「ふふん!」

「ターンエンドだ」

 

ようやく全員の最初のターンが終わったか。

 

 

十哉&宇良華 LP8000+8000 十哉:手札0枚 宇良華:手札1枚

モンスター 『ブンボーグ003』

      『裏風の精霊』

魔法・罠  『ブンボーグ・ベース』

       伏せ 1枚

      『ブンボーグ005』スケール10




うおおおおお! お前じゃねえぇぇぇぇ! 俺が欲しいウル枠は閃刀姫なんだ! ヴァンパイア二枚も要らねぇ!

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