「……ふわぁ」
「んー」
この間の事件のせいで今日は休講。門番も始末書がうんぬんとぼやいていた。ざまぁみやがれ。
そんでレッド寮でのんびりしてるんだが、久し振りに静かな休日だ。
『眠り姫』はいつも通り寝てるし、遠亞はブルーに上がる為に勉強中だ。俺の過去問見せてるが……まぁ、まだ難しいだろうな。宇良華は……外で釣りでもしてんのか? 朝飯食ってから見かけてないな。
俺はちょいとデッキ回し。恐らく今門番が使ってるデッキだしな、自分でも動かしとかないと。
とはいえ。
「ちっ、動き方多すぎだろ!」
こりゃ、あれだ。何度か本番回した方が良いな。
まーしかし門番が使うだけあって強すぎる。『バスター・ブレイダー』が先攻ロックかけるぐらいじゃなきゃ止められない。並大抵のデッキじゃ無理だ。……強いデッキでも無理かもしれない。
『我ならば』
「無理だろうな……おっと」
最近独り言が増えてやがる。何でかは……信じたくねぇが……いや、やっぱりいい。
「そうだ、遠亞! ちょっとこい!」
「なんだよ十哉」
「息抜きも必要だろ? 部活行くぞ」
「……まぁ、いいか」
どーせ不腐風先輩は部室に居るだろ。
「よう。お前が居るとは珍しいな」
「……あぁ、十哉。今日は休みだよ?」
「こっちの台詞だテンテン」
部室にテンテンが居た。物憂げに溜め息なんてつきやがって……。イケメンは何やっても絵になるからな、人生得してるよな。
ちなみに遠亞は部室に入った瞬間不腐風先輩に捕まった。今は奥の部屋で絵のモデルになってるんだろう。触手物でも頼んで遠亞に押し付けておくか。
「生徒最強さんが何溜め息ついてんだ?」
「僕だって人間さ……ジュージューは僕を過大評価しすぎだよ」
「いやおい、この学校の最底辺から見たお前の正当な評価だぞ? お前こそ自分を過小評価しすぎなんじゃねぇか?」
「そうかな……」
はぁ~。テンテンは昔から顔に出るから分かりやすい。
「悩みか何かあるなら聞いてやるよ。なんだかんだで幼なじみだしな」
「ジュージュー……」
「で、何なんだ? 遂にテンテンも恋愛を知ったのか?」
ニヤニヤしながら聞いてやる。こんぐらいしてやれば肩の力も抜けるだろ。
「まったく……そうだね、じゃあちょっとデュエルしてくれない?」
「そんなに言いにくいのかよ」
まあちょうど良い。これの動きを確かめるチャンスだしな。
距離を取り向かい合う。デュエルディスクから出る光でEXモンスターゾーンが浮かび上がる。
「やってやるよ」
「ありがとう。それじゃあ」
「「 デュエル! 」」
遊城十哉 LP8000
天上院天馬 LP8000
「俺の先攻か。おぉ、これなら……ちょいと長くなるぞ」
「うん。……ジュージューのデッキで長くなるのってあったっけ?」
「俺のじゃねぇかもな。『SPYRAL―ジーニアス』を通常召喚」
『SPYRAL―ジーニアス』
レベル1 地属性 機械族
攻撃力500 守備力400
[出てくるだけで『SPYRAL GEAR』をサーチ、制限無し。手札を捨てて自己蘇生、デメリットは有るものの制限無し。なんだぁてめぇ(ブンボーグ002、キレた!)]
「効果使うぜ?」
「…………『
「おぉ。サーチは『SPYRAL GEAR―ビックレッド』」
『幽鬼うさぎ』
レベル3 光属性 サイキック族 チューナー
攻撃力0 守備力1800
[手札誘発で効果を使ったカードを破壊する。ただし効果は無効化されないから注意]
「それは……無いでしょ」
「まぁな。俺もそう思う。ビックレッド発動。ジーニアスを完全蘇生して装備、ジーニアス効果でサーチは『SPYRAL GEAR―ドローン』」
『SPYRAL GEAR―ドローン』
レベル1 風属性 鳥獣族
攻撃力100 守備力100
[デッキトップ操作、地味だが見過ごせない量の攻撃力増加、墓地の『SPYRAL―ダンディ』の回収の三つの効果。特にデッキトップ操作が恐ろしい]
「じゃあ、運試しだ。手札の『SPYRAL―ダンディ』の効果発動。テンテン、お前のデッキトップは―――」
『モンスターだな』
「魔法だ! 魔法カードを宣言、めくってみろ!」
あん? モンスターって言おうとしたんだが……。
「僕のトップは、『ソウル・チャージ』。正解だよ」
「……ま、結果オーライだ。ダンディを特殊召喚!」
『SPYRAL―ダンディ』
レベル4 地属性 戦士族
攻撃力1900 守備力1200
[相手のデッキトップを当てれば特殊召喚。外しても手札に残るし、SPYRALの効果で特殊召喚されるとバック破壊]
「んじゃ、二体でリンク召喚、『SPYRAL―ザ・ダブルヘリックス』を左EXモンスターゾーンに特殊召喚!」
『SPYRAL―ザ・ダブルヘリックス』
地属性 戦士族 リンク
攻撃力1900 link2(←↓)
[フィールド・墓地ではダンディとして扱い、相手のデッキトップを当てて『SPYRAL』モンスターを特殊召喚かサーチ。流石に名称付きでターン一回の制限有り]
「ダブルヘリックスの効果で魔法を宣言。見るまでもねぇな?」
「まったくだね」
「効果で、デッキから『SPYRAL―グレース』をリンク先に特殊召喚だ」
『SPYRAL―グレース』
レベル7 闇属性 魔法使い族
攻撃力1200 守備力2800
[通称:『全身アドおばさん』。起動効果は毎ターン使えるサーチ、墓地に送られた
「んーで、グレースの効果を発動! 『SPYRAL MISSION』カードのサーチだ!」
えーと、どれだっけな。……あぁこれだ。
「『SPYRAL MISSION―救出』をサーチ! 墓地のジーニアスの効果、手札を捨てて蘇生。 そしてジーニアスのサーチ効果! 『SPYRAL GEAR―マルチワイヤー』をサーチ! 更に今捨てられたジーニアスの効果で手札を捨てて蘇生! サーチは『SPYRAL GEAR―ラスト・リゾート』!」
『SPYRAL GEAR―ラストリゾート』
レベル4 地属性 機械族
攻撃力1000 守備力1000
[手札からSPYRALモンスターに装備出来るモンスター。……モンスターだ。装備されたモンスターは戦闘・効果の破壊耐性に対象に取られなくなり、更に他のフィールドのカードを墓地へ送ればダイレクトアタック出来るまさにSPYRALの最終兵器]
「……手札が、減って無い」
「なにすっかなぁ。取り敢えずグレースが邪魔だし、グレースとダブルヘリックスで二体目のダブルヘリックスをリンク召喚。そんで、グレースの効果。『SPYRAL RESORT』と『SPYRAL―ダンディ』をサーチだ」
……あーくっそ、始めの『幽鬼うさぎ』が良い仕事してんな!
「ジーニアス二体でエクシーズ『
『森羅の姫芽宮』
ランク1 光属性 植物族 エクシーズ
攻撃力1800 守備力100
[森羅モンスターの特殊召喚効果と自身のデッキトップをめくってアドバンテージを取る効果を持つ]
「エクシーズ素材を取り除いて姫芽宮の効果だ。俺のデッキトップは……『SPYRAL―ジーニアス』。モンスターだから墓地だ」
「そして蘇生?」
「当然。手札捨ててジーニアス蘇生、サーチは……『SPYRAL GEAR―エクストラアームズ』だな。もういっちょジーニアス蘇生、サーチは『SPYRAL GEAR―ラスト・リゾート』だ。そして、墓地の『SPYRAL MISSION―救出』の効果、こいつを除外して墓地のダブルヘリックスを右端に蘇生だ!」
これで、次はっと。
「ジーニアス二体でエクシーズ、『
『LL―リサイト・スターリング』
ランク1 風属性 鳥獣族 エクシーズ
攻撃力0 守備力0
[モンスター一体の攻撃力の増加、レベル1鳥獣族のサーチ、劣化ユベル効果を持つ。高攻撃力のやつに自爆特攻をかけよう!]
「……ジュージューって、大人の女性が好きなの?」
「んー。嫌いじゃねぇよ……ガキよりかは、な。スターリングの効果、EXモンスターゾーンに居るダブルヘリックスの攻撃力を300×2の600ポイントアップだ」
「ふーん……」
「こっちのがメインだけどな。素材を取り除いて効果、デッキから『D.D.クロウ』をサーチ」
『D.D.クロウ』
レベル1 闇属性 鳥獣族
攻撃力100 守備力100
[手札誘発で墓地のカードを除外していくカラス。地味にターン1回の制限がない]
「えーと。これ、確か僕が話をしたいからデュエルを挑んだ……筈なんだけど」
「そうだっけな。まー自由に話しててくれよ。こっちはこっちで勝手にやらせてもらうさ。『SPYRAL RESORT』を発動。そして効果、デッキから『SPYRAL―ボルテックス』をサーチ」
「ジュージュー……相変わらずだね」
『SPYRAL―ボルテックス』
レベル8 光属性 悪魔族
攻撃力2800 守備力1200
[通常召喚できず、墓地の『SPYRAL』を三枚除外することでのみ特殊召喚できる。自分の『SPYRAL』と相手のカード二枚を破壊する効果、破壊されたら自分フィールドを一掃してダンディを呼び出す効果を持つおじさん。SPYRALの最終兵器を装着されたらかなり厄介]
「はっ、言ってろ。『森羅の姫芽宮』と『LL―リサイト・スターリング』の二体でリンク召喚、『プロキシー・ドラゴン』、そして『ソウル・チャージ』!」
「え……!?」
「グレース、ダンディ、ドローンを特殊召喚! ライフを3000失う」
遊城十哉 LP5000
「ドローンの効果だ、デッキトップ三枚を見せろ」
「ごり押しだね……はい」
ふむふむ……『ソウル・チャージ』、『予想GUY』、『ハーピィの羽箒』……やべぇのが最後に居るな。ま、このままで良いだろ。
「グレースの効果、『SPYRAL MISSION―強襲』をサーチ。『プロキシー・ドラゴン』と『SPYRAL GEAR―ドローン』、『SPYRAL―グレース』でリンク、『ファイアウォール・ドラゴン』をEXモンスターゾーンのダブルヘリックスの下にリンク召喚!」
「
「部長は来んじゃねぇ! 『プロキシー・ドラゴン』の時に出直して来い!」
不腐風先輩が扉をバーンッと叩き開けてきたからすぐさま押し戻した。
……なんか、一瞬パンツ一丁の遠亞が見えた気がしたが、気のせいだな。うん。
「ったく」
「あ、あはは……部長も相変わらずだね」
テンテンは苦笑いしている。実はこいつも万能部の一人だ。全然活動してねぇけどな!
「さて、と。手札を捨ててジーニアスを蘇生、サーチは『SPYRAL GEAR―ドローン』で、もういっちょ蘇生、サーチは最後の『SPYRAL GEAR―ドローン』だ」
「またエクシーズ?」
「んな訳ねぇだろ? ジーニアス一体でリンク召喚、『リンクリボー』」
『リンクリボー』
闇属性 サイバース族 リンク
攻撃力300 link1(↓)
[レベル1モンスター一体のみでリンク召喚でき、攻撃力の無力化、自己蘇生を持つクリボー兄弟期待の新星]
「ジーニアスは除外される。『リンクリボー』とダンディでリンク召喚、『プロキシー・ドラゴン』! フィールドからモンスターが墓地へ送られたから『ファイアウォール・ドラゴン』の効果、チェーンして『ファイアウォール・ドラゴン』の効果だ! 相互リンクは2、よって墓地の『SPYRAL―ダンディ』と『SPYRAL―グレース』を回収、そして手札のグレースを特殊召喚だ! そのままグレースの効果、『SPYRAL MISSION―強襲』をサーチだ!」
「……」
「そんで、ジーニアスと『プロキシー・ドラゴン』でリンク、『トライゲート・ウィザード』をメインモンスターゾーンのダブルヘリックスの横にリンク召喚だ。ジーニアスは除外され、『ファイアウォール・ドラゴン』の効果で手札のドローンを特殊召喚。ドローンとグレースの二体でリンク召喚、最後の『プロキシー・ドラゴン』だ。『ファイアウォール・ドラゴン』の効果で手札のドローンを特殊召喚だ」
「あー、ジュージュー?」
「なんだ?」
「……やっぱり良いや」
なんだ? 変な顔しやがって。……まぁいい。さっさとテンテンのターンにしなきゃな。
「エクストラリンクの条件が揃ったな。ドローン一体でリンク召喚、『リンクリボー』を右EXモンスターゾーンへ!」
これで左EXモンスターゾーンに『SPYRAL―ザ・ダブルヘリックス』、その下に『ファイアウォール・ドラゴン』、真ん中に『プロキシー・ドラゴン』でその反対側に『トライゲート・ウィザード』。右EXモンスターゾーンにはたった今リンク召喚した『リンクリボー』が居るし右端―――『トライゲート・ウィザード』の右には二体目の『SPYRAL―ザ・ダブルヘリックス』が居る。
「『ファイアウォール・ドラゴン』の効果で手札のダンディを特殊召喚、その後『トライゲート・ウィザード』の効果! 用済みの『ファイアウォール・ドラゴン』を除外! 墓地の『SPYRAL MISSION―強襲』を除外して手札のダンディを特殊召喚! 二体のダンディで特殊召喚、現れろ『深淵に潜む者』!」
『深淵に潜む者』
ランク4 水属性 海竜族
攻撃力1700 守備力1400
[水属性の強化と相手の墓地利用を封じる効果持ち。普通に厄介だ]
「これで最後だ、墓地の『SPYRAL』カードを三枚除外して『SPYRAL―ボルテックス』を特殊召喚だ。そして『SPYRAL GEAR―ラストリゾート』をボルテックスとメインモンスターゾーンのダブルヘリックスに装備、『SPYRAL MISSION―強襲』を発動、カードを一枚伏せる。そしてエンドフェイズに『SPYRAL RESORT』のコストで墓地の『SPYRAL GEAR―ドローン』をデッキに戻す。あぁ、ついでに『SPYRAL MISSION―強襲』は後二ターン後の俺のエンドフェイズに破壊される」
遊城十哉 LP5000 手札1枚
モンスター 『SPYRAL―ザ・ダブルヘリックス』(左EX)(攻撃力アップ+600)
『SPYRAL―ボルテックス』(左端)
『深淵に潜む者』(左から2)
『プロキシー・ドラゴン』(中央)
『トライゲート・ウィザード』(右から2)
『SPYRAL―ザ・ダブルヘリックス』(右端)
『リンクリボー』(右EX)
魔法・罠 『SPYRAL MISSION―強襲』
『SPYRAL GEAR―ラストリゾート』装備先『SPYRAL―ボルテックス』
『SPYRAL GEAR―ラストリゾート』装備先『SPYRAL―ザ・ダブルヘリックス』(右端)
伏せ
『SPYRAL RESORT』(フィールド)
手札こそ一枚だが、エクストラリンクしているから相手はEXデッキからモンスターを出せない。
『トライゲート・ウィザード』が相互リンク3だから相手の効果を一回無効にして除外できる。
あと、『深淵に潜む者』で墓地利用を止めさせられる。
この二体を処理したくても『プロキシー ・ドラゴン』が身代わりをしてくる。
更に『SPYRAL―ボルテックス』で相手フィールドのカード二枚を破壊出来る。
それに加えメインモンスターゾーンに居る二体の『SPYRAL』は『SPYRAL GEAR―ラストリゾート』によって一切の破壊を防がれ『SPYRAL RESORT』によって全ての『SPYRAL』モンスターは対象に取れない。
しかも『リンクリボー』によって攻撃してきたモンスター一体の攻撃力を0に出来る。
おまけに伏せてある『SPYRAL GEAR―マルチワイヤー』で表側のカードはデッキトップに戻せる。
ついでに言うと手札は『D.D.クロウ』だから墓地に行ったカードは除外出来る。
最後に、『SPYRAL MISSION―強襲』の効果は『SPYRAL』の効果で相手のカードを破壊したら一枚ドロー出来る効果だ。次のターンの事も考えてある。
ちなみに、総攻撃力は2500+2800+1700+1400+2200+1900+300=12800。
「どうよ、この布陣。正直今の門番とデュエルしたくねぇな」
「ドロー!」
「スタンバイに『深淵に潜む者』の効果だ」
これで墓地発動は不可能だ。
「…………十哉はさ、おかしいよ」
「あ? 張っ倒すぞコラ」
「そのデッキを使いこなせるんだよ? 『SPYRAL』だけじゃない、他のデッキもなんだって使いこなしてみせる。なのにオシリスレッドだ」
『ブラックホール』を使われる。当然、『トライゲート・ウィザード』で止める。
「昔っから僕よりも凄く強かった。そりゃ、僕が一番強いとは思って無いけどさ」
「そうだっけか?」
今度は『予想GUY』を発動か。出てきたのは『星杯に誘われし者』。
「そうやってとぼけて、透かして、のうのうと生きてさ。僕よりも才能があるのに」
「いやいや、デュエルってのは結局のとこ運だろうが。後はデッキを構築するための金だな」
あ、そうそう。このデッキの資金は遠亞だ。口八丁で金を巻き上げてやったぜ。
二体目の『星杯に誘われし者』が召喚される。……マルチワイヤーはまだ良いか。
「僕は、思い出したんだ。思い出してしまった」
「……何をだ?」
「このカードに描かれているのは、『モンスター』だということを」
『緊急テレポート』が発動される。それは通す。現れたのは『星杯に選ばれし者』。
「どうなんだい、十哉」
「何がだ?」
ボルテックスの効果を起動し、二体の『星杯に誘われし者』を破壊する。『SPYRAL MISSION―強襲』によるドローカードは『SPYRAL RESORT』か……。
「本当は、見えてるんでしょ?」
「だから何がだ」
『ソウル・チャージ』か。『D.D.クロウ』を使って片方の『星杯に誘われし者』を除外しておく。
天上院天馬 LP7000
「カードの精霊」
「んな訳ねぇだろぅが」
バトルフェイズに入る。『星杯に誘われし者』は『SPYRAL GEAR―マルチワイヤー』を発動してデッキへ戻す。
「嘘だね。……少なくとも一回は見た筈だよ」
「……あの時のは覚えてねぇな」
やっぱり、テンテンがおかしいのはこないだの事件のせいか。あのデッキは持ってきて無かった筈なんだけどな……。
「……あぁ、怖いよ、十哉。怖いよ、助けてよ十哉! 友達だろ!?」
「幼なじみだ。『リンクリボー』の効果を使う」
悪いが、自分の事で精一杯だ。
「っ! ……一枚伏せてターンエンド、エンドフェイズに『星杯に選ばれし者』は除外される」
天上院天馬 LP7000 手札1枚
モンスター 無し
魔法・罠 伏せ
「俺のターン、ドロー。……深呼吸しろよ天馬。ったく、お前は昔っからよわっちぃんだよな」
「……」
「弱いなら弱いなりに、せめて笑ってろ。辛くなったら今みたいに話を聞くぐらいはしてやるからよ。お前は強く見えるんだから、笑ってるだけで誰かの救いになれる。俺とはちげぇからな」
「う、うん」
ま、こういうのは励ましときゃ良いんだ。変に助けてやって依存されても困る。
『薄情だな?』
「ハッ、これが俺だからな。『トライゲート・ウィザード』の効果、伏せを除外だ!」
「……すーーっ。ふぅーーっ」
伏せは『神風のバリア―エアー・フォース』かよ。あぶねぇな。
「バトルだ! モンスター全てでダイレクトアタック!」
天上院天馬 LP0
遊城十哉 win
「……うん、落ち着いたよ十哉。ありがとう、やっぱり十哉は僕のヒーローだよ」
「そんなんじゃねぇよ」
ヒラヒラと手を振る。
「いやー! いい話だねぇっ! 私、感動ですっ!」
おー、流石、雰囲気クラッシャーの風鳴明羅様だぜ。んじゃあそこで落っこちてる遠亞を回収して帰るか。
「……十…哉?」
「なんだ、てっきり不腐風先輩に服ひんむかれてデッサンされてたと思ったぜ」
「十哉はエスパーか何かかー!?」
リンクブレインズパック、実に興味深い。欲しいカードが三種類も出てきてしまった。
これは、買うしかない!
……っと、前回の後書きと内容が違うじゃねーかとか思った人も居るかもしれませんけれど。許してください、『SPYRAL』書けよとリアルで圧力がかかった(気がした)んですよ。
言い訳はこれくらいで、次回予告。ナレーター:十哉。
ふぅーっ。『SPYRAL』とかもう使いたくねぇな。もう飽きた。やっぱこんな面倒なデッキより相手を粉砕するブンボーグとか、突破が容易いバスター・ブレイダーとかのが良いぜ。……だからレッドなんだけどな。ま、テンテンも取り敢えず元気になったっぽいし、一件落着だな。……お、校長。こんなとこまで何しに来た?
―――は? 俺、退学?
次回、『ピンチ! 防げ退学!』