堕天使ある程度組めました! あとはイシュタムを二枚入れるだけ……『虚無魔人』? クリスティアで良いじゃない。っていうかルシフェルそこまで弱くないと思うのですけれども。そこは人それぞれですかね。
「っつつ……なんだ、どこだここ……」
痛む頭を押さえながら立ち上がる。……少し記憶が飛んでやがるな。確かアカデミアに変な奴らが乗り込んできて……そうだ銃……無くなってる、か。まあいい。
周りを見回す。薄暗くて見辛いが、なんらかの建物の中みたいだな。少しばかりほこりっぽいから結構古い建物だろうな。壁は片側にしか無くて中央―――恐らく中央―――には吹き抜けがある。風は、感じない。
「問題は……出口が全くもってわからねぇって事、周囲に
立ち止まっててもしょうがねぇ。壁伝いにでも歩くか。
「ふふっ、私の先攻だね! まずはこれ、『儀式の下準備』! 『聖占術の儀式』と『聖占術姫 タロットレイ』を手札に加えるよ!」
『聖占術姫 タロットレイ』
レベル9 光属性 天使族 儀式
ATK2700 DFE1200
[モンスターを
宇良華が発動したのは、一枚から二枚になる魔法カード。天上院天馬はサーチされた二枚のカードから相手のデッキを予測する。
(リバースデッキなのは確定。純構築か、シャドールとの混成型か)
「ふふ、ねぇ。あなたはカードの精霊が見えるの?」
天馬の思考を遮る様に、宇良華が問い掛ける。見た目相応に天真爛漫に質問を投げ付ける。
その笑顔の裏に毒を潜ませながら。
「残念だけどまだ見たことは無い。……だけど、
「なんで?」
「そこの十哉のお祖父さんが見える人だったからね」
ふーん、と興味無さそうに呟く宇良華。自分から聞いておいてこの反応なのは望む答えではなかったからか、元から興味が無かったからか。
「それじゃあ、今から見せるのは大分面白いかもね。私は私を召喚するよ!」
「は?」
巻き上がる
『裏風の精霊』
レベル4 風属性 天使族
攻撃力1800 守備力900
[召喚でリバースモンスターのサーチ。効果の使いにくさに比べて攻撃力がそれなりに高い]
「あははっ! ビックリしてる! 変な顔~! あはははははっ! そして私の特殊能力で、おいで! 私のペット!」
『裏風の精霊』がにっこり笑いながら口笛を吹くと、何処から現れたのか黒い物体が部屋中を跳ねる。
「紹介するね?『素早いビッグハムスター』の
『素早いビッグハムスター』
レベル4 地属性 獣族
攻撃力1100 守備力1800
[リバースで仲間呼び出しのハムスター。『素早い』という名前の割にリバースなので遅い(言ってはいけない)]
跳ね回る黒い物体は宇良華の頭にポスッと入り込んだ。
宇良華はくすぐったそうに頭をさすってから手札の魔法を発動させる。
「私は『聖占術の儀式』を発動! フィールドの
来たりませ影の巫女、かしこみかしこみ、えっとぉ……お願いします! 『聖占術姫 タロットレイ』!」
先攻で四枚もの手札を消費した宇良華。残りの手札は、二枚。
「一枚伏せてエンドフェイズにおば……
宇良華 LP8000 手札1枚
モンスター 『聖占術姫 タロットレイ』(中央)
魔法・罠 伏せ
「僕のターン、ドロー」
「スタンバイに、罠、『星遺物の
「あ、あぁ」
天馬は宇良華の突然な雰囲気の変化に戸惑いつつ、罠の発動を許すしかない。
「起きて、ペス。おはようペス。そして
「くっ……」
『星杯』デッキはリンク召喚を連続するデッキ。故に特殊召喚封じは刺さる。ぶっ刺さる。
「カードを二枚伏せて、モンスターを伏せる。ターンエンド」
生徒最強とはいえ、何も出来なくなるほどに。
「エンドフェイズに
天馬 LP8000 手札3枚
モンスター 伏せ(中央)
魔法・罠 伏せ2枚
そして、その後も天馬は何もさせてもらえず。逆転のカードを引くこともなく。
「
「ぐ……」
天馬 LP0
宇良華 win
扉を開く。
『痛いよぉ……お父さん、お母さん……どこぉ……』
「ちっ、外れか」
扉を閉じる。
無数の階段、無数の扉。延々と続く迷宮。
「……っあー! うぜぇ!」
扉があって出口かと開けたら恨み言。しかもその先の部屋には何も無し。暗さに目が慣れてきたからと下を覗きこんだり、上の方を見上げたりしたが終わりが見えねぇ。
今のところ手当たり次第に扉を開けてるが、その度にあんなホラーゲームみたいな声を聞くとなるとちょっと気分が滅入っちまう。
「となると、上か、下か」
んー。じゃ、なんとなく下で。ちょうど近くに下り階段があるしな。
しっかし静かだ。ここまで静かだと逆に耳鳴りがしてくる。
「おーい!」
おーい…おーぃ……ぉーぃ…………ぉ ……ぃ ……
「おぉう。どんだけ深いんだここ」
ここまで綺麗なエコーなんて初めて聞いたぞ?
ま、いいか。さっさと一番下まで行くか。……ちょっと飛び降りてみたくもあるけど、流石に死ぬだろうな。ここは地道に階段を降りるしかない、か。
『―――』
「うん? テンテン?」
テンテンの声が聞こえた……気がした。気がしただけだが今は他に手掛かりもないからな……しゃーない、行くか。
幸い声は進行方向、つまり下から聞こえたしな。