遊戯王AU-M<英雄の孫>   作:yourphone

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何故か定期的に訪れる新しいデッキ作りたい意欲。
堕天使組みたい……足りないのは
イシュタム×1
ルシフェル×1
ユコバック×2
マスティマ×1
トレイン×3
アドバンスドロー×2
ヴァルハラ×1
背徳×2
戒壇×2
追放×3

……まだまだ先は長いなぁ。


お気に入りの色

「おお、すげぇ速い」

 

遠亞が走る。ただただ走る。宇良華もその後ろに着いていこうとしているが、距離は開くばかり。

 

「うにゃ~~!」

 

宇良華は奇声を上げながら無茶苦茶に走る。

 

「なぁ、走れとは言わないからせめて歩かないか?」

「そしたら遅刻してしまうでしょう……ふわぁ」

 

…………そうだけどよ。毎日毎日人を一人引きずって走らなきゃならないこっちの身にもなれよ。

 

「はぁ……ったく」

 

今日はテストの結果発表日。一年生にとっては初めてのテストの結果が帰ってくる訳だ。

俺らには全く関係ないけどな。最低限やっときゃあ落ちやしねぇんだから。

 

「む、今日は少し早いな遊城十哉」

「遠亞の奴がギャーギャー騒ぐからな」

 

門番と軽く言葉を交わす。宇良華は既に門番の小屋に入っている。

 

「すぅ……」

「ふむ、お前の『眠り姫』は今日も変わらないな」

「誰が俺の物だアホ。今すぐにでもお前にくれてやるよ」

「ふん。悪いが俺の趣味ではないのでな」

 

肩をすくめて校内へ。

 

「―――趣味に合ってたら貰ってるのかよ」

 

それはちょっと……うん、闇が深いな。

 

で、教室に着いたが……まーそれなりにざわついてる。教室にそれぞれの順位が張り出されるしなぁ。一応見ておくか。

 

『二年・実技

 一位 天上院天馬

 二位 三沢龍一

 三位 比那名居加奈』

 

まあ、一位は変わんねえよな。そんで、二位と三位の奴誰だよ。

で……筆記はっと。

 

『二年・筆記

 一位 遊城十哉

 二位 天上院天馬

 三位 早野理玖』

 

いつも通り。んー、今回は全体的に簡単だったからテンテンに負けるかもと思ってたが。

結果を写真で撮って不腐風先輩へ送る。……あ、遠亞に結果を不腐風先輩に送れって伝えてねぇな。

 

ま、いいか。今回は俺が送っとこう。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「皆席に着くんだよー」

 

時間か。霞城先生が号令をかける。

 

 

――――――――

 

 

昼休み。んじゃあちょいと一年生の所に行こうとしたんだが、イエローの奴にからまれた。

 

「てめぇ、レッドの癖に毎回毎回よぉ……!」

「邪魔なんだが」

 

こいつの顔は良く知ってる。ってか自然と覚える事になった。

ラーイエローの金瀬(かなせ)修也。一年の時から常に他人を見下し、自分より下の奴を攻撃してくる馬鹿だ。それも筋金入り。

一年生の時に実力も知識も爽やかさも人望も全てを上回っているテンテンに『実技が一位でムカつく』とかいう理由でデュエルを仕掛けたぐらいだしなぁ。……当然のごとくボコボコにされてた。

 

「うっせぇ! デュエルしやがれ!」

 

そんで、何か俺が目の敵にされている。テストがある度に食って掛かってくるから、そろそろそのソフトモヒカンを引きちぎってやろうかと思ってる。

 

「うるさいのはお前だろうが。周りの迷惑も考えやがれ」

「迷惑はてめぇだよ遊城十哉! 『英雄の孫』とか言われてちやほやされやがって……自惚れてんじゃねぇぞ!?」

「むしろ迷惑をかけられてる方なんだが。……それにちやほやされてるように見えるか? そうだ、お前に俺の『英雄の孫』っていうレッテルやるよ。それで満足だろ? ―――あ、テンテン! わりぃ、俺と『眠り姫』の分のドローパン買ってきてくれ! 金は後で払う!」

 

教室に顔を見せたテンテンにお使いを頼む。こいつのせいで今日の昼休みは潰れるだろうしな。

テンテンは事情を察して、親指を立ててくる。

 

「くそっくそっ! 俺を無視しやがってぇ!」

 

金瀬は地団駄を踏む。

 

―――正直な話。一歩間違えたら俺もこんな風になっていた。じいさんの栄光にすがり、親の七光りを使って、他人を見下す生活。

 

「……はっ、つまんねぇ。くだらねぇわ」

「んだと!」

 

IFの可能性なんて知ったこっちゃねぇ。俺は、ここに居る俺だけだ。

 

「ほれほれ、デュエルしてやるよカナゴン」

「その名前で呼ぶなぁ!」

 

ただし、同族嫌悪はしっかりとさせてもらう。

 

 

十哉 LP8000

修也 LP8000

 

「俺のターン!」

 

先攻はあっちか。イエローのデッキは大半がいわゆるファンデッキ。止めるところをしっかり止めれば負けは無い。……だが、種類が多すぎて何処で止めるべきか分からないというブルー生徒はそこそこ居る。

 

まあ俺には関係無いし、そもそもこいつのデッキは分かってる。

 

 

「俺は『ゴブリン突撃部隊』を召喚!」

 

『ゴブリン突撃部隊』

 レベル4 地属性 戦士族

 攻撃力2300 守備力0

 [殴ると守備表示になるパワーアタッカー。小さい頃使ってた人も多いんじゃないでしょうか]

 

 

「そして『補給部隊』に『補充部隊』を発動! カードを一枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

修也 LP8000 手札1枚

モンスター 『ゴブリン突撃部隊』(中央)

魔法・罠  『補給部隊』(右端)

      『補充部隊』(右から2)

       伏せ(中央)

 

『補給部隊』はモンスターの破壊で一枚ドロー、『補充部隊』は1000ダメージごとに一枚ドローする永続魔法。

そう、こいつ何故だか知らないが『ゴブリン』が好きならしい。

 

「ドロー。『破壊剣の伴竜』を召喚。効果」「1000LPを払って『スキルドレイン』だぜぇ!」

「だろうな。カードを二枚伏せてターンエンドだ」

 

 

十哉 LP8000 手札3枚

モンスター 『破壊剣士の伴竜』(中央)

魔法・罠 伏せ2枚

 

 

めんどくせぇ……。

こいつのデッキは『ゴブリン突撃部隊』や『ゴブリンエリート部隊』のデメリットを『スキルドレイン』で消しつつ、『追い剥ぎゴブリン』や『追い剥ぎゾンビ』といった永続罠でアドバンテージを取っていく動きをしてくる。

俺の『ブンボーグ』はモンスター効果を使って攻撃力を上げていくから、『スキルドレイン』で一切動けなくなる。

 

「俺のターンだ! ドロー! 『ゴブリンエリート部隊』を召喚だ!」

 

 

『ゴブリンエリート部隊』

 レベル4 地属性 悪魔族

 攻撃力2200 守備力1500

 [白い鎧を着用したゴブリンたち。棍棒の方が使いやすいのか僅かに攻撃力が下がるが、代わりに守備力が上がった]

 

 

「更にカードを伏せるぜ! バトル! 突撃部隊でその雑魚を攻撃だ!」

「ちっ……」

 

十哉 LP7100

 

「エリート部隊! やれぇっ!」

「トラップ、『破壊剣の追憶』。手札の『破壊剣士融合』を捨てることでデッキから『バスター・ブレイダー』を特殊召喚だ」

 

この『スキルドレイン』状態での攻略方法は、魔法・罠で『スキルドレイン』を破壊するか―――高打点のモンスターを呼び出す事だ。

 

「ぐ、くそっ! バトルフェイズを終了してターンエンド!」

 

 

修也 LP7000 手札0枚

モンスター 『ゴブリン突撃部隊』(中央)

      『ゴブリンエリート部隊』(右から2)

魔法・罠  『補給部隊』(右端)

      『補充部隊』(右から2)

      『スキル・ドレイン』(中央)

       伏せ(左から2)

 

 

「んじゃドロー。手札の『破壊剣―アームズバスターブレード』を『バスター・ブレイダー』に装備させる……こいつじゃあ『スキルドレイン』は消せないが、他の永続魔法・永続罠の効果は発動出来ないぜ」

「うっせぇ! さっさとかかってきやがれ!」

「へいへい。バトルフェイズだ。『バスター・ブレイダー』で『ゴブリンエリート部隊』を攻撃」

 

修也 LP6600

 

しかし、『スキルドレイン』の効果でこのデッキの持ち味は消されるし動きにくいのは変わらない。

 

「『補給部隊』で……いや、出来ないのか。くそがっ、めんどくせぇ事しやがって!」

「……手札の『グローアップ・バルブ』を捨てて墓地の『破壊剣士融合』を回収。んでカードを二枚伏せてターンエンドだ」

 

いちいち突っ込んでられるかよ。

 

 

十哉 LP7100 手札0枚

モンスター 『バスターブレイダー』(右から2)

魔法・罠 伏せ3枚

    『破壊剣―アームズバスターブレード』(『バスターブレイダー』に装備)

 

 

「ドローだ! ふはははは!」

「んだよ急に笑い出して気持ちわりぃな……」

「『愚鈍の斧』を突撃部隊に装備だ!」

 

やっべ。『愚鈍の斧』は攻撃力を1000上昇させる装備魔法。故に『ゴブリン突撃部隊』の攻撃力は……3300。

 

「『追い剥ぎゴブリン』を発動してからバトルだ! 突撃部隊、『バスター・ブレイダー』を倒せ!」

「『ガード・ブロック』だ。この戦闘でのダメージを0にして、一枚ドローさせてもらう」

「くっそが! さっさとやられろよ! ターンエンドだ!」

 

 

修也 LP6600 手札0枚

モンスター 『ゴブリン突撃部隊』(中央)

魔法・罠  『補給部隊』(右端)

      『補充部隊』(右から2)

      『スキルドレイン』(中央)

      『追い剥ぎゴブリン』(左から2)

      『愚鈍の斧』(突撃部隊に装備)

 

 

……さて、そろそろ真面目に考えるか。

 

「ドロー」

 

手札は二枚。伏せは『破壊剣の揺籃(ようらん)』と『破壊剣士の宿命』。相手の墓地のモンスターはエリート部隊だけ。攻撃力アップは500だけしかできない。

 

「そうだな……墓地の追憶の効果。追憶と、墓地の『バスター・ブレイダー』と伴竜を除外して融合召喚!

 来たれ万物の頂点を狩るものよ! 今その力を見せつけよ! 『竜破壊の剣士―バスター・ブレイダー』!」

 

こいつの攻撃力は2800。3300まで残り500だ。

 

「バトル。竜破壊の剣士で『ゴブリン突撃部隊』を攻撃! 『竜破壊剣(ドラゴンバスターブレード)』!」

「だが攻撃力が足りないぜぇ! 返り討ちだ!」

 

そう……でも、足りるんだよな。

 

「セットされていた『破壊剣士の宿命』を発動! 対象はお前の墓地の『ゴブリンエリート部隊』だ!」

「げげっ!……だが、だが! 相討ちになって貰うぜぇ!?」

 

お互いのモンスターが破壊される。

 

「『補給部隊』でドローだ!」

「バトルフェイズ中に『リビングデッドの呼び声』! 甦れ『バスター・ブレイダー』!」

「は、はぁっ!?」

 

実はちょっとした事故なんだよな。

 

「やれ、『バスター・ブレイダー』! 『破壊剣一閃』!」

 

修也 LP4000

 

「『補充部隊』で二枚ドロー! 」

「更に『破壊剣の揺籃(ようらん)』だ! デッキから『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』と『破壊剣の追憶』を墓地に送って、エクストラデッキから『破壊蛮竜―バスタードラゴン』を特殊召喚! ダイレクトアタック!」

 

修也 LP2800

 

「ぐぐ……『補充部隊』でドロー……」

「そして手札から『破壊剣士融合』! 場のバスタードラゴンと『バスター・ブレイダー』で融合召喚!

 再び現れろ、『竜破壊の剣士―バスター・ブレイダー』!」

 

一息。

 

「終わらせろ。『竜破壊剣(ドラゴンバスターブレード)』!」

「うぎゃあぁっ!」

 

修也 LP0

 

十哉 win!

 

 

「お、覚えてやがれ!」

 

金瀬は負け惜しみを言って逃げていった。

―――てかほんとさ、一月(ひとつき)ごとに一々突っ掛かってくるのやめてくれないか?

 

「ジュージュー。はい、頼まれたドローパン」

「お、テンテンサンキュー。ほーれ『眠り姫』、昼飯だぜ」

「……Zzz…ふゎあ。あらありがとう」

「っと、テンテン。ほい代金」

「どうも。今回はどうだった?」

「まーそんなに良くなくてな。ごり押しした」

「あー、成る程」

 

……あ。そーいや遠亞の奴どうなったんだろうな。

 

「わり、ちょいと電話」

「ん」

 

ピポパっと。存外すぐに出た。

 

「お、遠亞。結果どうだった?」

『ふ。まぁ想定通りだったよ』

「って事はラーイエローに上がれるのか?」

『…………』

 

お? どうにも様子がおかしいな。

 

『まぁ、なんだ。ラーイエローには上がれるさ。けど……服はレッドのままで良いようにしてもらえないか?』

「は?それぐらいなら別に通さなくても。それに『眠り姫』はあれだろ? ……まあ一応理由ぐらいは聞かせろ」

『そりゃ……僕はブルーが好きだから。イエローは……好きじゃないんだ』

「んー?」

 

なんか隠してやがんな遠亞。まあ、人それぞれか。

 

「とにかく、俺がとやかく言うことじゃ無いからな。一応服装については『制服を着用すること』ぐらいしか書いてないかったはず……後で確認しとく。じゃあな」

 

通話を切る。

ふーむ。なんなんだ? なんつうか、違和感。

 




さあこの伏線じみた何かはいつ回収されるのでしょうか。回収されない可能性もまた少し。

今回登場したデッキは『ゴブリン』を基本としたファンデッキ。『スキルドレイン』を破壊されても『おねだりゴブリン』でどんどんアドバンテージを取れれば良いなぁって感じです。


では次回予告。ナレーター:門番

気付いたのだが、遊城十哉から預かっているあの宇良華という少女。かなり胡散臭い。
余りにも遊城十哉がうるさいから遊城十哉の家系を少し調べたのだが―――
む! 貴様! 何を、うおぉっ!?

次回、『波乱の波紋』

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