遊戯王AU-M<英雄の孫>   作:yourphone

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デュエルアカデミア編
『英雄の孫』と『眠り姫』


「おーい。朝だぞー。もう何で男子寮に女子が居るのかとか俺の部屋に居るなとか言わないから起きろー」

「んむにゃ……」

 

 俺の名前は遊城 十哉(じゅうや)。ここ、デュエルアカデミアのオシリスレッド生徒だ。ちなみにもうすぐ二年生。

 

 んーで、この制服ガン無視の銀髪ゴスロリ少女は雪矢 雪。通称『魔をも恐れぬ眠り姫』。制服を着けていないからどこの科の生徒なのか全く分からない。

 

 何故だか俺になついてしまって、訳が分からないが俺の部屋に寝泊まりしている。

 だ、大丈夫。他の奴らにはバレてない。

 

「まだ眠いですわ……起こしてくださるぅ? あのデッキで」

「やだね。あれはつまんないし」

「ふーぁ。デュエル……!」

「勝手に始めてるし」

 

 幸い、こっちのデュエルディスクに入っているのは『破壊剣』のデッキ。

 こちらもデュエルディスクを展開する。

 

「お先にどうぞ……すやぁ」

「寝るなよ。てか始めたのそっちだろうが!」

「じゃぁあ先攻。……と。そういえばマスタールール4ですわよね……?」

「そのつもりだけど」

 

 マスタールール4。新たに制定されたデュエルルールだ。エクストラモンスターゾーンとやらが出来て、今までの構築だと展開一つ出来なくなる。

 

「なら…このディスクだと出来ないわ……」

「あ」

 

 確かに。ペンデュラムスケールとフィールド魔法ゾーンさえ存在しているこのデュエルディスク八型だとエクストラモンスターゾーンが無い。

 とはいえ、これが現在の最新型デュエルディスクなんだけど。

 

「今はまだ春休みだけど、また新しいディスクが配付されてる筈」

「……はぁ。眠い目を擦りながら……行くとしますか……」

 

 なんとまぁ珍しい。この眠り姫が自分から起きるとは。

 

「それじゃあ同行してくだぁ~あぁ。…やっぱり寝てて良いかしら……?」

「……引きずってても連れ出す」

 

 気のせいだったか。

 

 

――――――――

 

 外に出る。いい天気だ。太陽があったかい。

 

「あーー、溶けるーー」

「今春なんだけど」

 

 このもやしっこが。首根っこ掴んで(すた)(さび)れた小さなオシリスレッド寮から構内へ。

 

 このデュエルアカデミアには3つのコースがあり、上……つまり、成績の良いコースから順にオベリスクブルー、ラーイエロー、オシリスレッドとなる。

 

「Zzz」

「…おーい、寝てるんならほっぽりだすぞー」

「……ふわぁ。眠いですわぁ、英雄のお孫さん」

「うっせ」

 

 手を離す。べちゃっと雪が倒れる。

 

「……」

 

 気にせず歩いていく。

 

 と、後ろから寝息が。

 

「……たっく」

 

 きびすを返し、この起きることの無い『眠り姫』を引っ張っていく。

 

 しかし……英雄のお孫さん、か。この人はそれでからかう事はあっても、必要以上に言ってこない。だから、嫌々ながらも追い出せないで居るのか?

 

 俺のお祖父さんは遊城 十代。『HERO』デッキを使う英雄だ。

 なんでも、初めはただの落ちこぼれだったのに世界の平和を守ったとか何とか。

 格好いい。素直にそう思う。それと同時に嘘臭いとも思う。

 小さい頃に何回か会ったが、ただのデュエル好きな好好爺だった覚えがある。カードの精霊が見えるとか言ってたけど信じられない。

 

「ん~? お、や、お、や」

「げ。……おはようございます校長」

「おはよう、英雄のなんたら君。そして……そっちはやっぱり寝てる~のね」

「Zzz」

 

 嫌な相手と出くわしたな……。

 この人は現校長、ルドロス・アルケーン。言葉の変な部分を伸ばすので有名。

 俺かオシリスレッドに落ちた原因。

 

「今日は何しにここ~へ?」

「あーっと、新しいデュエルディスクが出ていないか見に来たんです。マスタールール4に移行するらしいですから」

「んっん~、確か~に」

 

 なーんかどことなく人を見下してる気がするんだよなこの人。

 

「でもざんね~んながらまだ来てない~のね」

「そうですか」

「たぶん始業の日に~は配給される筈な~のね」

「そうですか。……となるとマスタールール3の方でやるしか無い、か」

 

 そう呟くと

 

「んん~? わたしとやる~のね?」

「違ぇよ誰が二度とあんたとやるかっての」

 

 おっと口調が崩れた。

 

「あー、まぁ今思えば流石に酷かった~のね。……まあ謝る理由は無い~のね」

「二連続で後攻ワンキル決められて運も実力の内とか言われて落ちこぼれ扱いとか誰が納得するかっての!」

「筆記が悪かったんじゃない~のね?」

「上位百人の中には入ってたわ! 偏見してんじゃねーよ!」

「正しく実力不足な~のね」

 

 もうやだこの人嫌い!

 

「……ふわぁ、うるさいですわね。起きちゃったじゃないですのぉ…zzZ」

「寝てるじゃねーか!」

 

 ったくこっちはこっちでぇ! しゃーない、まずは起こすか。

 

「校長、マスタールール3で良いですから審判してくれます?」

「勿論な~のね」

「ほら雪! 起きろ! デュエルだぞ!」

「……はっ! ……気のせいでしたわ」

「デュ~エ~ル~!」

 

 耳元で怒鳴る。何故だか誰かに頭を殴られた感じがした。

 

「はいはい……マスタールールはどちらで?」

「今までのやつだ。先攻は貰うぞ」

「どぅぞぉ……ふわぁ」

 

 

 

 十哉 LP8000

 雪  LP8000

 

 

 

 ソリッドビジョン展開確認。先攻ドローは無く、初期手札5枚。

 さぁて手札はっと。……おぉ。

 

「手札から『ワンフォーワン』! 『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』を手札から捨てて『破壊剣士の伴竜』を特殊召喚、守備表示!」

 

 

『破壊剣士の伴竜』

 レベル1 光属性 ドラゴン族 チューナー

 攻撃力400 守備力300

 [ 通常召喚で破壊剣サーチ。そしてリリースでバスター・ブレイダー特殊召喚orバスター・ブレイダーが居るときに破壊剣を手札から捨てて蘇生 ]

 

 

 揺りかごに入った白い竜が現れる。その姿は竜というより子犬か子猫のようだが、このデッキのキーカードだ。

 

「伴竜の効果! 自身をリリースして墓地から『バスター・ブレイダー』を特殊召喚! 『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』はフィールド、墓地に居るときは『バスター・ブレイダー』として扱う!」

 

 伴竜が光となって消え、その光は屈強な戦士を形作る。

 

 

『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』

 レベル7 地属性 戦士族

 攻撃力2600 守備力2300

 [ バスター・ブレイダーになる。破壊された敵を装備、それを墓地に送って相手の同じ種族を破壊 ]

 

 

「で、手札の『破壊剣―ドラゴンバスターブレード』を『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』に装備、自身の効果で特殊召喚! そしてチューニング!」

 

 

『破壊剣―ドラゴンバスターブレード』

 レベル1 闇属性 ドラゴン族 チューナー

 攻撃力400 守備力300

 [ 手札からバスター・ブレイダーに装備、そこから特殊召喚できる。そして装備されている間は相手はエクストラから特殊召喚出来ない! 恐ろしいロックだ! ]

 

 

『破壊剣の使い手 バスター・ブレイダー』が『破壊剣―ドラゴンバスターブレード』を抱えて飛び上がる。

 

「レベル7とレベル1、合計レベル8! 幾多を壊し余多を滅ぼす! 『破戒蛮竜―バスター・ドラゴン』! 守備表示だ!」

 

 如何にも凶悪そうな面構えの白き竜が姿を(あらわ)す。

 

 

『破戒蛮竜―バスター・ドラゴン』

 レベル8 闇属性 ドラゴン族 シンクロ

 攻撃力1200 守備力2800

 [ 相手を全てドラゴン族に。自分の番にバスター・ブレイダー特殊召喚、相手の番にバスター・ブレイダーに墓地の破壊剣を装備 ]

 

 

「ふわぁ」

「竜を目の前にして欠伸……流石な~のね、『眠り姫』」

 

 つっこまない、つっこまないぞ!

 

「バスター・ドラゴンの効果! 墓地の『バスター・ブレイダー』を蘇生させる!」

 

 バスター・ドラゴンが吠えると『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』がまた出てくる。

 

「カードを2枚ふせてターンエンド!」

「手札がスッカラカンな~のね?」

「……ま、まぁ、な」

 

 

 

 十哉 LP8000 手札0枚

 フィールド

『破戒蛮竜―バスター・ドラゴン』(守備)

『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』

 魔法・罠 2枚

 

 

 

「Zzz……」

「起きろー!」

「……あら、私の番? ドロー」

 

 こちらの場を見て、手札を見て、一つ溜め息。

 

「きついわ……どうせそのふせのどちらかは『破壊剣士融合』でしょうし」

 

 めっちゃバレてる。

 

「……手札が酷い。ふわぁ、起きれそうにないわ……モンスターをふせる。カードを2枚ふせる。ターンエンドよ」

「なら、エンドフェイズにバスター・ドラゴンの効果。墓地のドラゴンバスターブレードを『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』に装備する」

 

 

 

 雪  LP8000 手札3枚

 フィールド

 裏側守備表示 1枚

 

 魔法・罠 2枚

 

 

 

「速い~のね、ターンが」

「事故ってるんだろ? ドロー」

「スタンバイフェイズに罠カード『バージェストマ・オレノイデス』でブレード破壊よ」

「……」

 

『バージェストマ』、か。

 

「モンスターをセット、バトルだ! 『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』! 滅龍剣!」

 

 ふせられていたのは『水晶機巧(クリストロン)―シストバーン』。

 

 

『水晶機巧―シストバーン』

 レベル3 水属性 機械族

 攻撃力1500 守備力1500

 [ 自分の表側のカードを破壊してクリストロンチューナー呼び出しor墓地から除外して『水晶機巧』モンスターサーチ ]

 

 

「『破壊剣の使い手』は倒した相手を自らの糧とする。シストバーンは装備させてもらう!」

「……あ、忘れてましたわその効果」

 

 これで厄介な()()は出てこない!

 

「ターンエンドだ」

 

 

 

 十哉 LP8000 手札0枚

 フィールド

『破戒蛮竜―バスター・ドラゴン』(守備)

『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』(『水晶機巧―シストバーン』装備)

 魔法・罠 2枚

 

 

 

「ドロー、ですわ」

 

 引いたカードを見て一言。

 

「サレンダーしたいですわぁ……ふわぁ。じゃあ、『水晶機巧―プラシレータ』召喚。鈍く光れ」

 

 緑色に輝く宝石の亀。それがプラシレータ。

 

 

『水晶機巧―プラシレータ』

 レベル2 水属性 機械族

 攻撃力500 守備力2000

 [ 自分の表側のカードを破壊してクリストロンチューナー呼び出しor墓地から除外して手札の『水晶機巧』モンスター特殊召喚 ]

 

 

「その時バスター・ドラゴンで墓地のドラゴンバスターブレードを『破壊剣の使い手』に装備させる」

「ですわよね? プラシレータの効果。対象は自身」

 

 それを待っていた!

 

「速攻魔法『破壊剣士融合』!」

「……あ」

 

 しまったという顔をしてももう遅い!

 

「バスター・ドラゴンの効果でドラゴン族になっているプラシレータと『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』で融合!

 来たれ万物の頂点を狩るものよ! 今その力を見せつけよ! 『竜破壊の剣士―バスター・ブレイダー』!」

 

 

『竜破壊の剣士―バスター・ブレイダー』

 レベル8 光属性 戦士族 融合

 攻撃力2800 守備力2500

 [ 圧倒的ドラゴン族キラー。ドラゴン族を守備表示にし、フィールドでの効果発動も防ぐ。貫通持ちだが、ダイレクトできない ]

 

 

 

 長大な剣を持つ巨大な戦士が現れる。よし、これでロックが完成――「『神の宣告』ですわ」

 

「あらら、残念だった~のね」

 

 雷に打たれ『竜破壊の剣士―バスター・ブレイダー』が消える。……4000ダメージ与えたと考えよう。うん。どちらにせよ攻撃できなかったし。

 

「墓地に戻ったシストバーンの効果。除外してデッキから『水晶機巧―サルファフナー』を手札に。藍色の輝きはすべからく宝石(いし)を惹き付ける」

 

 来ちゃったか……。

 

 

『水晶機巧―サルファフナー』

 レベル5 水属性 機械族

 攻撃力2000 守備力1500

 [ 手札のクリストロンカードを墓地に送れば特殊召喚出来る。特殊召喚と同時に自分のカード1枚を破壊する。そして破壊されると仲間を呼び出す。手札or墓地発動なのでヴェーラーで止められないのだ! ]

 

 

「まずは『異次元海溝』。墓地のプラシレータを除外。その後、手札のサルファフナー効果。同じく手札の『クリストロン・エントリー』を捨てて守備表示で特殊召喚、その後自身を破壊。黄色き輝きは自らの重さに耐えかねる」

 

 サルファフナーは黄色の宝石で出来た竜。『水晶機巧(クリストロン)』デッキのキーカード。こいつが来て初めて回り始める。

 

「サルファフナーが破壊されたとき、デッキから他の『クリストロン』モンスターを守備表示で呼び出せる。黄色の輝きが弾け、採掘されしは白き輝き。『水晶機巧―スモーガー』を特殊召喚」

 

 サルファフナーの体を覆う黄色の宝石が崩れ去り、中から鈍く白い体を持つ一匹の虎が現れる。

 

 

『水晶機巧―スモーガー』

 レベル3 水属性 機械族

 攻撃力1000 守備力1800

 [ 自分の表側のカードを破壊してクリストロンチューナー呼び出しor墓地から除外して『クリストロン』罠カードをサーチ。今のところ『クリストロン』魔法カードは存在しない ]

 

 

 

「スモーガーの効果で『異次元海溝』を対象。破壊してデッキからクリストロンチューナーを発掘。深き暗き海溝に埋もれし黄金の輝き。『水晶機巧―シトリィ』。『異次元海溝』が破壊されたから除外からプラシレータが転がり落ちる」

 

 全身金色に光る女の子型ロボット、シトリィ。髪のように伸びる宝石は、まるでツインテール。

 

 

『水晶機巧―シトリィ』

 レベル2 水属性 機械族 チューナー

 攻撃力500 守備力500

 [ 相手ターン中に墓地のモンスター1体を特殊召喚、そのままチューニングしてくる。チェーンして除去したりレベルを変えればチューニングしなくなる。尚、この効果でチューニングされると素材は除外される ]

 

 

「シトリィ、プラシレータでチューニング。合計レベルは4。

 金と緑の輝きは、白く輝く一陣のさざ波へと移り変わる。『水晶機巧―クオンダム』!」

 

 女の子と亀が合体、変形し、青年のようなロボットになる。なんでだよ。

 

「だがまだバスター・ドラゴンの守備力を越える奴は居ない!」

「クオンダム、スモーガーでチューニング。合計レベルは7。

 二つの輝く宝石の、光に隠れこそこそと、重き体を静かに揺らす。『超重忍者 シノビ―A()C(シー)』」

 

『超重忍者 シノビ―A()C(シー)

 レベル7 地属性 機械族 シンクロ

 攻撃力1200 守備力2800

 [ 守備表示で攻撃してくる。墓地に魔法・罠が無ければダイレクトもしてくる。幸か不幸か、雪の墓地には『異次元海溝』があるからダイレクト出来ない ]

 

 

「ぐぅっ……バスター・ドラゴンと同じ守備力か……」

「なんというか、毎日のように見ておいてその反応はむしろ凄いですわね。貴方、役者の才能ありますわよ? バトル、『シノビ――A()C(シー)』は守備力を攻撃力として守備表示で攻撃できる。ふせモンスターに攻撃。忍爆棒」

 

 ふせていたのは『グローアップ・バルブ』。呆気なく爆発四散する。

 

 

『グローアップ・バルブ』

 レベル1 地属性 植物族 チューナー

 攻撃力100 守備力100

 [ デッキトップを墓地に送り蘇生(ただし一回のみ)つまり、わりとあっさり戻ってくるチューナーだ。ランダムだが墓地送りも兼ねている ]

 

 

「面倒なモンスターを……ターンエンド」

 

 

 

 雪  LP4000 手札1枚

 フィールド

『超重忍者 シノビ―A()C(シー)』(守備)

 

 

 

「そろそろ起きてきたか? ドロー!」

「まぁ、それなりには」

 

 この『眠り姫』は自らの使う『水晶機巧』の放つ光で目が覚めるとかいう変な特徴……個性か? がある。だから毎朝俺の部屋で寝てるこいつを起こす為にデュエルしている。

 故に、お互いのデッキの事は大体分かっている。

 

「しかし……」

 

 引いたカードは『破壊剣―ウィザードバスターブレード』。

 ふせてあるカードは『破壊剣士の宿命』。

 となると……。

 

「よし、まずはバスター・ドラゴンの効果! 墓地の『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』を蘇生だ! そしてセットカード、『破壊剣士の宿命』を発動!」

「あらら」

「除外するのはサルファフナー、スモーガー、クオンダムの3枚! 『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』の攻撃力・守備力は1500アップ! よって攻撃力は4100!」

 

「カオスジャイアントには敵わない~のね」

「うっせえ脳筋! 手札の『破壊剣―ウィザードバスターブレード』を『破壊剣の使い手』に装備、墓地へ送って効果! 墓地の『破壊剣士の伴竜』を手札に! そのまま通常召喚!」

 

 

『破壊剣―ウィザードバスターブレード』

 レベル3 闇属性 魔法使い族

 攻撃力1200 守備力900

 [ 手札からバスター・ブレイダーに装着、そこから墓地に送れば墓地の『破壊剣』モンスターを手札に戻せる。また、装備されていると相手は墓地のモンスターの効果を発動出来ない。……十哉は伴竜のサーチを優先したらしい ]

 

 

 よーし、このまま行ける!

 

「召喚成功時効果! デッキから『破壊剣士融合』を手札に! バトル! 『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』で『超重忍者 シノビ―A()C(シー)』を攻撃! 強化滅龍剣!」

 

 宿命の効果で燃えさかる大剣が機械仕掛けの忍者を切り捨てる。

 メイン2でシンクロしてもいいが……バスター・ドラゴンの効果は使用済みだから……いや、伴竜を残すのは……その為の融合だろ。

 

「1枚ふせてターンエンドだ!」

 

 

 

 十哉 LP8000 手札0枚

 フィールド

『破戒蛮竜―バスター・ドラゴン』(守備)

『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』

『破壊剣士の伴竜』

 魔法・罠 1枚

 

 

「では、ドロー。これは……フィールド魔法、『クリスタルP(ポテンシャル)』」

 

 周囲が宝石だらけの洞窟に変わる。

 

「ふふふ、鮮やかな光が私に力をくれるのよ」

「それならバスター・ドラゴンの効果! 墓地の『破壊剣―ドラゴンバスターブレード』を『破壊剣の使い手』に装備だ!」

「では『死者蘇生』。墓地の『シトリィ』を蘇らせるわ」

 

 雪の足元から宝石をかき分けて、金色のロボットが這い出てくる。

 

「そして墓地の『クリストロン・エントリー』を除外、『シトリィ』を指定」

「っ~」

 

 どうする? 融合で吸い取れるが……いや、融合したところで意味が無い、どころか攻撃が少なくなりかねない。

 

「続けていいぜ」

「ならデッキからスモーガーを墓地に送りシトリィのレベルを3に。金色は反射し、白く輝く光へと変わる」

 

 シトリィは墓地のモンスターを特殊召喚し、そのままシンクロに繋げるモンスター。墓地にはプラシレータかシノビ―A・C、それとスモーガーだが……。

 

「スモーガーは除外して効果。『クリストロン・インパクト』を手札に加える。当然ふせてターンエンド」

 

 

 雪  LP4000 手札0枚

 フィールド

『水晶機巧―シトリィ』(守備)

 

 魔法・罠 2枚

 うち、『クリスタルP』(フィールド魔法)

 

 

 ……除外から『クリストロン』を呼び出し、守備力を無に還してくる、それが『クリストロン・インパクト』。

 

 今除外されているのは……シストバーン、サルファフナー、クオンダム、スモーガー2枚。

 そして墓地にはプラシレータとシノビ―A・C。

 

 となるとシンクロ先はレベル4、か。

 

「……ドロー!」

 

 ちっ、『死皇帝の陵墓』か。今のところ何の意味もなさない。

 

「……効果で装備されているドラゴンバスターブレードを特殊召喚! そして――」

「なら、その(とくしゅしょうかん)時。シトリィの効果発動。墓地のプラシレータを特殊召喚、チューニング。ここは……

 素早き正答、風に乗りて困難なる問題を解く! シンクロ召喚! 『HSR(ハイスピードロイド) 快刀乱破(かいとうらっぱ)ズール』!」

 

HSR(ハイスピードロイド) 快刀乱破(かいとうらっぱ)ズール』

 レベル4 風属性 機械族 シンクロ

 攻撃力1300 守備力1600

 [ 特殊召喚された相手なら攻撃力が倍になる効果と墓地に送られたとき別の『SR』を手札に戻す効果を持つ。が、その分通常召喚されたモンスターにはかなり弱い ]

 

 

 ふむ、クオンダムじゃなくてズールか。確かにレベル4機械族だから出せるけど。

 

「素材の2枚は除外されるわ」

「オーケー。なら、『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』と『破壊剣士の伴竜』でチューニング!

 歴戦の猛者よ! 大いなる覇者よ! 今その真なる力を見せ付けるとき! シンクロ召喚! 『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』!」

 

 右の角は折れ、右腕には大怪我。だが、それさえも力と経験の象徴。最強を誇る竜が現れ、吼える。

 

 

『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』

 レベル8 闇属性 ドラゴン族 シンクロ

 攻撃力3000 守備力2500

 

 [ 攻撃力1900のキングのエースカード。特殊召喚されたモンスターは攻撃力がこのカード以下の場合ブッ飛ばされ、更に破壊した数×500のダメージまで飛んでくる。出しやすい上に簡単にフィニッシュまで持っていくまさにエース。

 ただし注意、ブッ飛ぶのはお互いのモンスター。つまりバスター・ブレイダーたちでロックをしている十哉は迂闊にこの効果を使えないのだ ]

 

 

 これで効果を使って攻撃で終わり……にはならない。

 何故なら、あの伏せカードは『クリストロン・インパクト』だからだ。さて……どうでてくる。

 

「まずはバスター・ドラゴンの効果! 省略、『破壊剣の使い手』! 場の『破壊剣―ドラゴンバスターブレード』を装着!」

 

 息を吸い込む。

 

「バトル! いけっ、『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』! 『灼熱のクリムゾン・ヘル・バーニング』! 『()ズール』を攻撃だ!」

「パズールの効果、攻撃力は倍になる! よって攻撃力2600!」

「だが『スカーライト』の攻撃力は3000だ!」

 

 爆炎がパズールの機械の体を容赦なく溶かしていった。

 

「きゃあっ!」

 

 

 雪  LP3600

 

 

「続いて『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』! 滅龍剣!」

「ここで『クリストロン・インパクト』! チェーンは? 無いなら罠カードの発動にチェーン、『バージェストマ・オレノイデス』! まず『オレノイデス』をモンスター扱いの守備表示で特殊召喚! そしてインパクトで呼び出すのは『水晶機巧―サルファフナー』! 守備表示! インパクトによってそちらのモンスターたちの守備力は全て0に! ……宝石の爆発は、時として人知を越える!」

 

 成る程そう来たか。攻撃をしかけていたバスター・ブレイダーの前に2体のモンスターが立ち塞がる。

 

「なら攻撃対象は『オレノイデス』! 消えろ!」

 

 三葉虫のようなモンスターは一刀の元に消え去った。

 

 ……スカーライトの効果を使っても倒しきれない。ならば終わり……いやまて、何か忘れている?

 

「……まぁいい。メイン2にバスター・ドラゴンを攻撃表示にしてターンエンド!」

 

 十哉 LP8000 手札1枚

 フィールド

『破戒蛮竜―バスター・ドラゴン』

『破壊剣の使い手―バスター・ブレイダー』(『ドラゴンバスターブレード』装備)

『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』

 魔法・罠 1枚

 

「意外と長引く~のね。これが底辺のデュエルな~のね?」

「うるさいですわよ校長。ドロー!」

 

 うん、やっぱりこいつ起きると性格変わるよな。

 

「スタンバイフェイズにバスター・ドラゴンの効果! 墓地のウィザードバスターブレードをバスター・ブレイダーに装備!」

「…この手札じゃあ……サレンダーですわ」

 

 雪がデッキを、その綺麗な指で叩く。

 

「受け入れる~のね?」

「あぁ」

「では、遊城 十哉の勝利な~のね」




プレイングミスがあったら報告お願いします。
それとこのモンスター解説って要りますか? 取りあえず次回まではモンスターのみ解説を入れてみます。

では次回予告。ナレーター:十哉

取りあえず『眠り姫』とのデュエルに勝利した俺。
おい、起きたのは良いけどどっか行くなよ!
追いかけた先にはこのデュエルアカデミア最強の門番……と、女の子……?
は? 『お兄ちゃん』!? 俺は一人っ子だ!

次回『何かの幕開け、最強の門番!?』

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